───可愛くなくても旅はする───
【ケース22:中井出博光/略してアルマデルカナブン】  ……さて。  一人の男が縛り上げられてる中、僕はテブラデスキーさん状態でその様を見てました。 春菜「へぇええ……これがアッくんの転生先の……」 粉雪「髪型くらいしか似てないね」 夜華「ふむ。混ざりすぎた結果か?」  好き勝手言われてる彰はめっちゃ戸惑っている。  かくいう俺もさっきまでは戸惑っていたが、そうだよね。  あの夏の記憶と経験が無くなったなら、日余も更待先輩も彰利を好きなまま。  桐生親子もちゃっかり居るようで、いつかの夏の流れのままに連れ添ったりしたのでしょう。  もはや俺は何も言うまい。  個々の判断など最終的には個々が決めねばならんものなのですし。  重婚がいかんと言うようなこともせんし、空界ならばそれが許される。  彰利が受け入れたかどうかは別として。 春菜「けどまあ、やろうと思えば百年も想えるものだね。自分で自分に驚くよ」 粉雪「なんのために転生なんてしたのか知らないけど」 夜華「まあ、それはこれから問いただせばいい。時間はたっぷりとあるのだからな」 春菜「そだね」  ふむと顎に手を置いた。  どーせ俺は日陰モンよォと頷いてしまえばそれまでのことなんだけど、まあなんだ。アレですよ。ガヤガヤと散々騒いで、食事のためなのか、解散したみなさまのあとには─── 中井出『キモストって呼んでいい?』 彰  「やめなさい!?」  彰は磔にされておった。  いわく、腕がめっちゃ痛いらしい。  キリスト式磔はね、痛いよ。  といっても釘が打ち付けられているわけでもなく、手首をぎっちりと十字の柱に縛られてる……そんなキリスティン。これって力緩めたら、自分の体重で手首とか折れそうだよね。  漫画とかだったら絶対に、手首に巻かれたロープの近くで“ギチギチ”って効果音が鳴ってるね。胸張って言える。 中井出『つーわけで彰、あとは貴様とカイに任せる。僕、ちと引っ込むから』 彰  「引っ込む?」 中井出『うむ。浮遊島の住民がこの場を離れている今こそ好機。     キミはこれからロイヤルクリスタルエメラルドエモーションエレメンタルエレクト     ロエレクトラアトランダムアストラルアダマンタイトアルマデルアルマジロカクタ     スティック・ザ・カナブンを探しなさい』 彰  「長ェ!! なにそれ!」 中井出『空界のカナブンだ。5匹ほど集めて調合依頼でも出しなさい。     忘れてる記憶ってやつに刺激を与える薬が出来る……らしいよ?』 彰  「らしい、ってキミね……」 中井出『俺ゃダメだ。本格的に人が苦手だ。     かつての猛者相手でもどうにもビクッと来てしまった。     だからこれからの旅は貴様らに任せる。人が居なくなったら交代しておくれ』  言うや、能力を解放。  僕は光と闇の粒子になって、二人へと纏わりついた。  さて、僕は僕でフェルダールの方で休んでよう。  精神相手なら大丈夫なのに、生身相手だとブルッちまう弱い僕をなんとかせねば。 【ケース23:弦月彰/虫を拳で落とす者】  モンシャァアアン……!! 彰 「……オッ?」  体に力が漲る! おおこれは何事!? ラグ『提督がなにかしたのか……? 体に活力が流れてくる……』 彰 「オウヨ! これならば〜〜〜っ!《バリバリーーーッ!!》」  硬質な縄を力技で千切る!  YATTA! 今日から僕らは自由だ〜〜〜っ!! 彰 「よっしゃあカナブン獲りいくべーーーっ!!    記憶が曖昧なのはすげぇ気分悪ぃ!」 ラグ『俺の記憶が戻るのは、全部のマナを集めたあたりだろうな』 彰 「OK! ならばレディゴー!」  浮遊島を駆け、飛び降りる!  青銅の鎧じゃないのはアレだが、まあ気にせず!  つーか夜華さんごめん! でもオイラ怖かったんだ! 完全に記憶を取り戻してからじゃないと、キミと真正面から向き合えない! 散々っぱらからかったアタイだけど! 彰 「エエエェェェエエェェェェエエェェェエエエ!!!」  顔を少し悲しめにし、口を少し歪に開けつつ叫び、ぐるぐる回転しながら落ちる!  もちろん手にはラグナロク状態のカイ。  で、えーと……散々回転したけど、まだ地面につかん。  どうしよう。 彰 「…………優雅に、そして力強く!」  バシッ、ビッシィと手を伸ばしたり足を伸ばしたりしてみた。  意味? ありませんとも。 ───……。  さてさて、前世の記憶も少し手に入れたところで、何処に行けばなにがあるのかも解ったアタイは素直にサウザーントレントに向かった。  で、今は森の中でカナブン探しをしておるのじゃけんども。 彰 「パイロットウィングスのように、    サウザーントレントに突っ込んだのはいいんだけどさ。    まさかバランス崩して頭から地面に刺さるとは思わんかったよ」 ラグ『それでどうして無事なんだよ……』  そりゃあアタイがつぇええええからよ。  つーわけでカナブン探しさ。  この広い森でカナブン探し……苦労するぜ? 彰 「カナブンっつーからには蜜に寄ってきたり光によってきたり?    クヌギの木なんざありゃしねーぜ?」 ラグ『そだなー。俺が自然の精霊だったら、まだ確認の仕方とかもあったんだろうけど』  生憎とそげなカナブンの情報なんぞ、前世の記憶の中にはありゃあせん。  なので地道に探すしかねーんだけどね。 彰 「ぬう。記憶は欲しい。欲しいけどミアンドギャルドもなんとかせんと」 ラグ『先にどっちに、っていうのはここに落ちる前に言ったほうがよかったか』 彰 「せやね」  森ン中は広大です。  思わずまっくらくら〜いくら〜い♪って歌いたくなりもうす。  つーか歌った。ノリって大事よね。 彰 「まっくらも〜り〜は〜♪ 不思議なと〜こ〜ろ〜♪    あ〜さ〜〜〜か〜ら〜ず〜〜ぅと〜♪ まっくらクラ〜イクラ〜イ♪」  アレ、ステキな歌よね。  メトロポリタンミュージアムはトラウマだけど。  なんであげなもんが古のビデオテープに大事に残されていたのかは謎だ。 彰 「カイはメトロポリタンミュージアムって知っとる?」 ラグ『ん……持ち主の記憶では多少は』 彰 「ほうかほうか」  ガキん頃に入手して見たビデオ。  幼心に怖かったさ。  なにが怖いのかを今思い出そうとしても、これが不思議と解らない。  でも怖かった。  たぶん、あの雰囲気と、楽しげだったのに最後は閉じ込められるってところが怖かったんだと思いマッスル。 彰 「ぬう!? カイ! 虫がおったわ! あれがカナヴン!?」 ラグ『いや、レイヴンだ』 彰 「敵ACを確認!?    よっしゃあそんじゃあアタイのKARASAWAが火を吹くぜェエエ!    《ドゴォォォォ!!》グボォオッヘェエエエエイ!!?」  殺気を向けた途端にカナブンが飛んできた!  その飛んだ方向ってのがアタイの鳩尾で、その勢いで体がくの字に曲がるッッ!!  まるで一歩くんのボディブローをまともにくらった唐沢さんのようにッッ!!  おおう! これってカラサワはカラサワでもAC的なカラサワじゃないよぅ!! 彰 「キョホホだが捕らえたぜ〜〜〜〜っ!! カナブン! ゲットだぜ!!」  でげでで〜〜ん!  手に入れたカナブンを即座にバックパックにイン!  アイテム一覧を見てみれば、しっかりと…………メタルカナブンだった。 彰 「………」  OK解った。アタイの虫獲り魂に火ィつけたぜテメー。  でも一応メタルカナブンに調べるを発動。  すると───  ◆メタルカナブン  めっちゃ硬いカナブン。  飛行することは出来ず、羽を広げて跳ぶことで木から木へと移る。  その速度は弾丸めいていて、投げれば武器にも使える。  硬さは竜の鱗とまではいかないまでも、相当に硬い。  が、甲虫類の頂点に立つロイヤルクリスタルエメラルドエモーションエレメンタルエレク  トロエレクトラアトランダムアストラルアダマンタイトアルマデルアルマジロカクタステ  ィック・ザ・カナブンの硬さには負ける。  ……。 彰 「だから長ぇええよ……」  なんなんだこのカナブン。  でもこのカナブンを5匹も集めなきゃならんとくる。  現在0匹。捕まえられんのかこれ……。 ───……。  サウザーントレントを駆ける。  ウホォオオと叫びつつ、なんか原始に戻った気分で。 彰 「よっしゃあ見つけたぜカイィイ!」 カイ『オーラァイ!』  現在のアルマデルカナブンの数……1匹!  甲虫類の頂点と言うだけあってモノスゲー速度と硬度だ!  だが捕まえることはそう難しいことじゃねィェー! 彰 「ナックル!《ベキャア!》ギャアア!!」  飛んでいるソレを殴り落として捕まえようとしたら、殴ったアタイの拳が砕けた! 彰 「ギャヤヤア砕けたァアーーーッ!!    いたぁい! いたぁい!? 痛いんだよーーーォォォォ!!!    たすけてぇええマイフレンドォオオ!!」 カイ『言ってる場合か! いいから捕まえろ!』 彰 「ギャアひどい!」  砕けた拳に突き刺さっているカナブン! それを左手でガッシィと掴み、バックパックに収納! 名前調べんとホンモノかどうか解らんから片っ端から捕まえては調べる!  ◆レインボーカナブン  見る角度で甲殻が七色に変色するカナブン。やっぱり硬い。 彰 「また違うのかよ! くそぅ骨折れ損って言葉通りになりやがった!」  月操力を解放! 砕けた手を治すと、次を探してレッツハバナーウ! ……。  ゴシャア!! 彰 「イギャーーーリ!!」  ◆ダイヤモンドカナブン 彰 「ダイヤモンド!? なんかもうこれ加工とかに使えるんじゃないの!?」  *硬いから名前がつけられただけで、ダイヤモンド的な価値は一切ない 彰 「ゲゲェ役に立たねぇ!!」  次! ……。  ベキャア! 彰 「いたやぁあ!!」  ◆プラチナカナブン 彰 「なんでこう硬いのばっかなん!? しかも絶対に骨折りにくるし!」  カナブン捕まえるたびに骨が折れとるよアタイ!  だが構わん! 似てる色のカナブンだろうと片っ端から捕まえて、記憶を完全なものに! ───……。  それから……数週間の月日が流れた……嘘だが。 彰 「数週間の月日が流れた〜って言われて、月日じゃねーじゃねぇかと返したキミ!    4週間以上経ってれば一応月日になりそうだから気をつけろ!」  なんとかカナブンを手に入れたアタイら(主にカイ)はそれらを調合! ……ちょうご……調合ってどうやるん? カイ『……また面倒なことになりそうな予感が』 彰 「アレか? 魔導術師とかいうやつに頼めばいいのか?」 カイ『だと思うが。どうせならヤムベリングのところに行けばいいんじゃないか?    一応行かなきゃいけない場所だしな』 彰 「おおナルホロ」  調合の仕方がわからなかった。ならば! これから作るしかない!  この物語は太陽の心を持つアタイ、弦月彰が! 世界に誇れるニッポン人のニッポン人によるニッポン人のための薬! 脳内刺激薬を作ってゆく……一大叙情詩である。 彰 「ほいで、ヤムベリングって誰だっけ」 カイ『北の魔女だな。ウェルドゥーンの赤い魔女……だったか?    居る場所が北の孤島だから、行くなら船か飛行物体が必要になる』 彰 「アタイら自ら空をゆく!」 カイ『周辺をレッドドラゴンが飛んでるらしいから却下。海を渡っていこう』 彰 「OK! 筏作りなら得意YO! 名づけて……泥船丸!」 カイ『……名前がアレだがしっかりと作ろうな』  OK行く場所が決まった! あ、でもその前に中井出が言っとったフレアブランドとかをどうするかだけど……ふむ。 【24:弦月彰(再)/サマルトリア物語】  そげなわけでやってきたのがここです。 彰 「いやぁあ〜〜〜…………さっむぅううーーーーーっ!!」 ラグ『剣だから何も感じないな。頑張れ』 彰 「あ、てめぇ! “剣が放つ熱で平気だ!”とかいうイベント的なものはねーの!?」 ラグ『疲れるから断る』 彰 「ほんとキミその気になったら持ち主そのものやね!」  やあ! アタイだぜ!  大地を激走、時には空を飛翔しつつ訪れたここ、イーディンジルド氷河からお伝えする!  ニュースキャスターのようにな! ウェーッハハハハ!! 彰 「で、アイスブランドって誰が持っとるん?」 ラグ『セルシウスかフェンリルあたりじゃないか?』 彰 「ナルホロ、そらそーなるわな」  雪原地帯をザムザムと往く。  やあすっげぇ寒い! 凍えてしまいそうじゃわい!  だがアタイは歩いた……遥かなる武器を求め、歩いたのだ……!  だってファンタジックウェポンYO!? しかもアイスブランド! 欲しい!  そげなわけで勇んで探し始めたわけでありんすが─── ……。  10分後。 彰 「オウフ……」 ラグ『彰!? 彰ぁーーーっ!!』  雪原に倒れ、その上に雪に積もられている俺が発見された。オブスタクル(障害、邪魔者)と雪へ向けて言おうとしたが、か細い声でオウフと出ただけだった。  寒い……尋常じゃない寒さだ……しかもアイスブランドはおろか、それを持っているヤツがどこに居るかさえ解らねー。  なんか段々と感覚なくなってきたし、幻覚が見え初めてる気が……あ、あれ? キミはおうムル? もしかしておうムルかい? ラグ『ええいもう! 火の属性解放!』  王允ではなく、おうムルが見え始めた時、体が熱に襲われた。  ジュワッと解ける雪! 体に走る熱!  あまりの熱さにオーージェーーーーイ!!と奇妙な声を出して飛び跳ねると、アタイの体は再び寒さに襲われた。 彰 「ギャアもう寒い寒い! 月然力!」  ならば温めましょう。  月然力・火を解放して体に熱を。  毛皮のマントでも途中で購入してくりゃよかったなと思ったが、そげな金は持ち合わせておらなんだ。ポリットイーターやってる時にいろいろと報酬はもらったものの、ほぼがブツでの交換だったから。ほら、ナックルとかそっちの。今も装備しておりますし。 彰 「おーしゃーい! アイスブランド探すべー!    つーかテイルズでいうならヴォーパルソードとフラムベルグとかじゃないんかな」 ラグ『世界によっての話なら、個別があっても不思議じゃないだろ』 彰 「そらそっか」  敵に襲われてもカイで退けております。  いや、こいつ強ぇええよ? 属性集めてみたらもう切れ味バツグンです。  だがアタイのハイパーストレングスも負けちゃいねー。  鎌の力で筋力増強! 拳を振るえばブロォオオ!って感じで拳が光ります。  その要領でラグナロクを振るえば、軽く剣閃だって放てるぜ? 彰 「結局能力に頼りきりなアタイ参上……」 ラグ『自分が身につけているものなら胸を張れ。張れないなら自分に馴染む努力をしろ。    そうすりゃもうその能力はお前のもんだろ』 彰 「ぬう正論ティー。まあ、せやね。それっきゃねーべな」  頼りっきりが嫌なら、使いこなして自分自身の力にすりゃあえーのよ。  体のほうは元から鍛えてるわけだし、あとはカイを振るうのとかナックルの技術とかを。  日々の積み重ねだぁね。  つーわけで刀のラグナロクをよっこいしょと構える俺さー。 彰 「いぃつでもこいぃっ!」  意味もなくストリートファイター代表のリュウの真似をしてみる。  ハチマキはないが気にするな。 彰 「やあ、しかし何処に向かったもんかな。地図見ても氷河であることしか解らん」 ラグ『ダニエルを空に飛ばして、精霊の石碑があるかを調べてもらうとか』 彰 「おお冴えてる! よっしゃいけダニエーーール!」  奇妙なポーズを取りッ! スタンド・鋼筋男爵を出現させるッッ!!  それをメッギャアァ〜〜ンと空に飛ばすと、なんかあっさりと石碑が見つかった。 彰 「ドラゴンルーラーが居て、    落し物で竜槍スマウグを落とすとかそんな奇跡体験があればよかったのに」 ラグ『絶対に殺されるからやめとけ』  正論だった。  そんなわけで、ダニエルが教えてくれた石碑に向かってスボスボと進むアタイ。  いやね? その石碑ってのが氷河の上にあったんよ。  気づくわけねーべよ、そげなもん。 彰 「オ、オオ〜〜〜ッ、あれが氷精霊の石碑か〜〜〜っ!    マニマニマニ! いかにもという形をしてやがるぜ〜〜〜〜っ!!」  形はフツーじゃよ? うん普通。  でも石碑ってさ、普通だからこそ“いかにも”ってモンなんですよ。  だって石碑だし。 彰 「氷河自体は……よし、凍っておるね。でも不安だから月空力使いつつ進もう。    アタイのことだから薄い部分踏んでゴボシャアとか水ン中に落ちそうだし」 ラグ『ああ、なんとなくそう思ってた』 彰 「思ってたんなら言おうよ」  ともかく進みます。  しかしその途中、なにやら石像を発見したのです。  や、その氷像ってのが氷の下……つまりは河の下にあるのですがね?  あんま綺麗な氷なもんだから、底まで透き通って見える所為なのですが、どうにもその石像が構えるお手手に、なにか球のようなものが乗せられておるのですよ。  なんだろアレ。ジャーゴンボール? 彰 「なぁカイ。あれってなんだろな」 ラグ『ん? ……おおっ? なんだあれ』  カイでも解らんか。  ンムー、なんとかして取れんもんか。  まさか氷河を溶かすわけにもいかんし……あ、もしかしてフレアブランド持ってきたら解けるイヴェントとか!? ……そうなると、アイスブランド持っていくと砂漠でもなにかしらのイベントがありそうだよなー……ファンタジーって不思議。  だが言おう。ああっ女神さまっ劇場版のセレスティンのように! 彰 「私はそんなに待てない!!」  ダニエルを召喚!  死神ならではの壁抜けを利用し、一気に沈んでもらう!  で、それがなんなのかを見てきてもらうと…… ダニエル『ハッハッハ! 永久水晶というものノヨウダ! まったくの勘ダガナ!』 彰   「勘かよ《ズビシ》……でも永久水晶か。      あれ入手したら氷河が溶けるとかそういうオチ?」  ダニエルにツッコミを入れつつ、じ〜〜〜っと永久水晶(仮)を見下ろす。  ダニエルは壁抜け出来ても、水晶までは壁抜け出来ないから取ってきてもらうことが出来ないのですよ。なんとかならんかね。 彰 「カイ、なにか閃けコノヤロー」 ラグ『物凄い身勝手さだなオイ。あー……球の大きさの分だけ溶かして、    あとはダニエルに取ってきてもらうってのはどうだ?』 彰 「ハイそれ採用! レッツファイア!《ジュゴォン!》」  ラグを構え、月然力・火を解放!  さらにラグの中の火属性も解放してもらって、突き刺した先からジューーーワーーーッ♪と氷を溶かしてゆくッッ!!  最初はそれでOKだったんだけど、進むにつれ……つまり永久水晶(仮)に近付くごとに氷が溶けづらくなってきて、ついには溶けなくなった。 彰 「ウハーイ……こりゃいよいよもってフレアブランドフラグか……」 ラグ『いかにもだよなぁ……』  しかし近付いてみれば、かなり綺麗な水晶がそこにあった。  まるでドーム型のように近づけない範囲が設定されているようだが、これがこの水晶かなにかの効果範囲ってことざましょう。  なので周囲の氷を溶かし、そのドーム状の氷壁ごと持ち上げ、氷河の上へと運ぶ。  幸いにして鎌の能力を引き出せば持てないこともなかったんで。  そげなわけでドッカと置いたこの大きな氷球(中に石像と水晶アリ)。 彰 「めんどっちぃからアイスブランド手に入れたら砂漠まで持って行かん?」 ラグ『賛成だ』  そこがゲーム等との差なんでしょうね。  べつにアタイらこの氷河が溶けても構わんし、中の水晶が気になるし。  持てないわけでもないから持ってってしまおう。それがいい。  ただし石碑に宿る精霊とかに見つかったらコトなので、帰りに再び回収するってことで。どっか物陰かなんかに隠しておきましょう。 彰 「ほいじゃあさっさと石碑に行ってと……ぬ?」  氷河をスケートのごとくショザームと滑り、石碑まで辿り着くと……なんとそこから青白い物体が現れるではないかッツ!  や、人型ではない奇妙な物体でして……なんと言やぁええのか。  ともかく、石碑の下の氷がメキバキと積もって、一体の物体へと変わったのです。  OH神秘。 彰 「何者かァァ!」  せっかく神秘を前にしたので叫んでみると、物体は案外冷静に対応してくれました。 物体『我は氷精。この石碑を守る氷の妖精である』  犬のような狼のような……フェンルン(フェンリルと言いたい)ではないらしく、どっちかっつーとこっちは子犬みたいな感じ。それでもデケーけど。 彰 「妖精ッスカ……あの、すんませんがアイスブランドくれません?」 氷精『だめだ』 彰 「てめぇには情ってものがねぇのか!」  即答でした。  まあ予想はしてたんだけどさ……。 氷精『人の子よ。なにゆえにアイスブランドを求める』 彰 「失われたものを取り戻すためなのよさ!    俺とこの武器に宿る意思、ちょいと記憶喪失気味なのよ。    それを取り戻すためにはどうしても強い属性の力が必要なのよさ。    だからお願い、アイスブランドをクラサイ」 氷精『だめだ。主の居ぬ間に秘宝を渡したとあっては、申し訳が立たぬ』 彰 「エー……」  あっさり断られた。  だがお待ち!? 主の許可があればEってことよね!? 彰 「ところでそのアイスブランドって何処にあるの?」 氷精『フフッ……知ったところで無駄だ。    アイスブランドは形を変え、厳重に保管してあるのだからな。    たとえ見つけようとも、辿り着くことすら出来ぬ』 彰 「………」 ラグ『………』  なんかもう十分でした。 ───……。  さて、そげなわけで鎌・アームストロングを解放し、氷球を抱えて大地を駆けるアタイ! 彰 「こんなに大きな氷球を持ちあげて走れるなんて……アタイってばサイキョーね!」 ラグ『いっそ氷精が哀れだな……。    ほぼ間違い無くその中の水晶がアイスブランドなんだろうけど、    セルシウスに怒られる程度じゃすまないだろ……』  うす、まあハッキリ言えばかっぱらってきました。  だ、だって仕方が無かった! アタイらはこれがアイスブランドだなんて知らなかったんだ! だって氷精は知ったところで無駄だとまで言ってたんだから、これはただの飾り物なのYO! 彰 「Ja! しかし涼しいを通り越して冷てェエエィエェエーーーーーッ!!!    でも走るアタイ! ステキ! で、これどうやって溶かそうか」 ラグ『やっぱりロプロスト砂漠に行くしかないんじゃないか?』 彰 「じゃよね」  そうと決まればゼンはイソゲだー!  この、自然ばかりの世界をズドドドドと走り、モンスターが現れれば 彰 「愛を受け取ってェエエーーーーッ!!」  氷球をルヴォァアと投げつけ、メゴシャアと潰す!  結構な重さだから、リキの無いモンステウはゴシャアと潰れるしかありんせん!  キャアステキ! アタイもう迷わない! 我道を貫くのってすっごいエゴだけど、アタイはアタイの人生を彩るために我道を突っ走ります!  大体エゴがどうとか叫んでばっかで夢や希望を追えるかーーっつーの!!  人間なんて矛盾ばっかさ! アタイもだけど! 彰 「んでー!? すまーん! 両手塞がってるから地図が見れーーん!    ロプロスト砂漠はどっちだー!」 ラグ『俺も剣状態なんだが……ちょっと待て。《キィン》』  カイが人型に戻り、マップを開く。  んで、遥か左方であることを教えてくれる。 彰 「左ねオッケン! やぁしかしこの球からしたたる水の美味ェこと!    一滴飲んだだけで体が潤される気分じゃぜ!?」 カイ『少しずつ溶けてるってことか? それとも氷河の氷がまだ溶け切ってなかったのか』 彰 「まあよまあよ、そげな理屈はどうでもヨロシ。    頭の中が一線越えりゃああとは存分に冒険するのみ!」 カイ『元気でいいね、お前』 彰 「オウヨ!」  地界で暮らしててつまらないって感じてたあの頃……アタイは腐っておりました。  しかし今はどうでしょう。つまらないと感じる余裕すらなく、知らなきゃいけないことが山積みの状態で……しかし退屈だけは感じることなく生きておる。  それってとりあえずは自分が見ていた視界が広がったってことよね?  ええじゃないのそれで。アタイはもっと楽しみたかったのだ。家系がなんだ家の見栄がどうだと考える暇もないくらい、もっと走りたかったに違いねぇ。  鎌がダニエルなのはアレだけど、これも慣れればフツーに幽波紋っぽくていいし。  ようは心の持ち様、考え方次第。それでいいのだイケルナリ! ───……。  はい。そげなわけでロプロスト砂漠です。 彰 「僕は負けませんよっ《キッ》……ウソです暑いですごめんなさい」  景色がユガンドール。  赤くユガンドール。  スカーレットにユガンドール。  赤く緋く朱く紅くアガガガガ……! 彰 「グム〜〜ッ、この氷を抱えていなければとっくに干からびていたところだ〜〜〜っ」 カイ『だったら一人で持ってくれ……二人でも重いぞこれ……しかも暑い……』 彰 「暑いって字を“熱”のほうの熱いにしたいくらいの暑さじゃわいまったく……」  いい加減持つのも疲れたので、現時点ではカイと二人で氷球を頭上に持って飛んでおる。  舞空術ー!とばかりにゴシャーと。だって足を地面につくと熱いんですもの。  暑いじゃあ……ねぇぜッ!? 熱いンだッッ!! 彰 「さて……ま〜た石碑の在り処が解らんわけですが」 カイ『提督でも呼ぶか……? その方が早いだろ……』 彰 「や、この際だからしばらくほっとかん?    そしてアタイらだけで話進めてオッタマゲーション!    クォックォックォッ、やつの驚く顔が目に浮かぶわい……《ボウッ……》」 カイ『怖ッ!? ほんとに浮かばせてどーする!!』 彰 「なんもしとらんよ失礼な! アタイにそげなことが出来るとお思い!?」 カイ『………』 彰 「………」  内側から見てるんだろうなぁって考えたら納得できた。  よし、さっさと行くか。 ……。  10分後。 彰 「オウフ……」 カイ『彰っ!? 彰ぁあーーーーーっ!!!』  THE・脱水症状一歩手前。  あぢぃ……目が歪む……もっと歪みねぇのがいいよアタイ……。  砂漠に氷球を落とし、その上でぐったりマイハート。  腹とかは冷たいけど背中が焼ける……なので裏返ると今度は一瞬にして逆の効果を得られた。そんなことを続けていると急激な温度変化で体調を崩し、もっとぐったりマイハート。タスケテクラサイ。 彰 「くそっ……滴る水じゃ既に足りねぇ……げ、月然力・水……」  月然力を発動。  水をジョヴォジョヴォと発生させるも、外気温の影響であっという間にぬるま湯に。  それを喉に通しても、キンキンに冷えた水を飲む喜びを得られるわけもなく、ならばと氷球にぶっかけて呑もうとすると凍ってしまう始末。それが溶けるのを待っても喉が渇く。ジレンマってやつでしょう。 彰 「カイ、キンキンに冷えた水を俺の口の中に創造してくれ。ソッコーで飲むかンヨ」 カイ『いいけどな……ンッ』  カイが、キュッと閉じた俺の口に触れ、イメージを解放させる。  すると口の中にボッと出現する冷たい水……っ! 冷たい水…………っ! 彰 (……! キンッキンに冷えてやがる…………っ!)  いえまあこれが言いたかっただけです。  でも喉を潤したかったのも本当さ。  なのでゴクリと飲んだ。すると漲る活力!  うおお内側から冷やされるこの感触がたまらねェYO!! 彰 「うっしゃあ蘇った! さっさと行こうぜカイ!」 カイ『水一杯でこうまで蘇るか……いや、いいけどな』  苦笑をもらすカイとともに再び氷を持ち上げ、石碑を探した。  ダニエルを空に飛ばし、探索してもらったりもして。  しかし砂漠は随分と熱で歪み、空から探すのも中々難しい。 彰 「いっそタイダルウェイブでも出せないもんかね」 カイ『出来たら楽だろうなー』 彰 「つーかキミさ、中井出に連れられて移動してる中で、    ここの石碑やイーディンジルドの石碑の位置、マッピングしとかんかったの?」 カイ『仕方ないだろ、提督はここだここだ次はここだって、    周りを確かめる暇もなく到着するんだから』 彰 「ああそら無理だ」  ぼやきながらも、辛くなれば水を創造してもらってそのまま飲む。  腹が減れば肉を創造、熱で焼けた岩でジュウウと焼いて食い、水で乾杯する。  さてさて、そうこうしているうちにマップの行動範囲を示す部分が埋まっていき、とうとう最後。砂漠のマップの色が変わっていない場所に辿り着くと、ようやっと石碑を発見した。  ……そうしているうちに夜になり、今現在めっちゃ寒いです。 彰 「……最初から夜に来りゃよかったな……」 カイ『だな……』  激しい後悔が俺達を襲った。  しかしぼやいてたって状況は進まぬ。  石碑の前に立って、精霊が現れることを願った。  するとどうでしょう!  なんとその石碑から、炎の布を纏った炎の女が現れるではないか! 炎精『人の子よ。この場になんの用か』 彰 「キミらって人の子って言うの好きね……えーと、フレアブランドください。    あ、アイスブランドはもらってきたので、きちんと許可は得てます」 炎精『なに……? ……確かに、それはアイスブランド……』 彰 (あ、マジだった)  ウソ言ってみたらあってた!  なんと、これがアイスブランドとは……! しかも許可を得たって言葉でなんかウンウン頷いてらっしゃる……これ、もしかしてイケる? 炎精『───《すぅ……はぁ……》……許可の証明がある筈です。それを見せなさい』  OH? 急に張り詰めた雰囲気が無くなって、丁寧言葉になった。  なんでしょうね。や、そげなことより……証明? ねーぞそんなもん。 彰 「ありませんよそんなもん」 炎精『《ぴくり》……なんですって?』 彰 「だから、そんなもんはござんせん。    強いて言うならこのアイスブランドがそうだとしか言いようがねー」  なので馬鹿正直にいきましょう。  どうせかっぱらったことがバレたら難癖つけられてバトるんだろうし、ならば我が道を突き進むのがスパイラルドライバー! 炎精『……………』 彰 「………」  でも殺気がハンパじゃあござんせん。  若者風に言うとパネェ。あんま好きじゃないんだけどね、この言葉。  などと思っとったら、急に殺気がなくなりました。こう、パタリと。 炎精『……いいでしょう。証明がないことが証明。    それをきっぱりと言い切るのなら、あなたは選ばれた者でよいのでしょう』 彰 「えっ!?」 カイ『えっ!?』 炎精『えっ?』  …………なんか正直者が光を見た。  思わず“えっ”と驚いてしまい、カイも同じく驚いた所為で炎精までもが戸惑っていた。  でもそう返されたのを驚いただけと認識され、炎精は天に手を翳すと……なんと地面に光の球を落としました。つーかね、夜でも消えない陽が頭上にあったんだけど、それが落ちてきた。この世界だからこそそげな太陽があるのかと思ってたら……なんとそれがフレアブランド! 炎精『それがフレアブランドです。さあ、アイスブランドと重ね、氷から解放しなさい』 彰 「おお! レンジャー!」  地面でブスブスと砂漠の砂を焦がしている球体のフレアブランドへと、球体のアイスブランドがある氷球を乗せる。するとあれだけ硬かった氷が一瞬で溶け、石像と水晶がフレアブランドへと落下。次の瞬間には眩い光を放ち、石像が柄へ変化。球体がそれぞれ緋と蒼の刃に変わり、二本の剣が完成した。  それを二刀流で装備してみると……なにやら強くなった気がした。 彰 「相反する属性の武器を片手ずつに持つことで俺の強さがさらに加速した。    その反発が生み出す力は素晴らしい。英語で言うとレオパルドン」 カイ『それ言うならリパルジョンだ』  あれ? そーだっけ? まあいいコテ。  ともかくこれを手に入れたならもはやここに用はねー!  あとはえーと……北だよな? 彰 「とりあえず北に向かえばいいんだっけ?」 カイ『そうだな。えーっと?    マップによると……漁業都市アッサラントに行くことになる。    そこから船で行こう。筏作るのもいいけど、作るならしっかりと……って。    そういえば彰は空飛んで行くとか言ってたっけ?』 彰 「ドランゴ飛んどるんしょ? ヤだよアタイ」 カイ『おまけに感覚狂わせる瘴気が空に漂ってるって記憶があるな。    いつ頃の記憶か解らないから、今も漂っているか否かは謎だが』 彰 「やっぱそうなりゃ筏っきゃねーべよ!    キャア! 腕が鳴るワ! アタイの腕がメキベキ鳴る!」 カイ『物理的に鳴らすな!』 彰 「ぬう。……ねぇカイ?    腕を胸の前で組んで、軽く睨みながら“このたわけが”って言ってみて?」 カイ『……? このたわけが《デゲデデ〜〜〜ン♪》うわぁっ!?』  カイが律儀にやってくれた……ら、突然プレートが音を出した! ワッツ何事!? と見てみれば、なんかプレートに“……すごい漢だ。”という特殊称号が追加されていた。 カイ『………』  アタイはきっと……その時のカイの微妙な顔を、きっと忘れないのだと思いました。 ───……。  なんか割りと親切にしてくれた炎精にお礼を言いつつ、アタイらは夜の砂漠を抜け、漁業都市アッサラントへ向けて走っていた。や、ほんに辿り着いたのが夜でよかった。じゃなけりゃ、アイスブランド入りの氷球離した時点で焦げてたわ。  しかしこう走りづめだと……もうアタイ疲れたよ。  とは思うものの、さすがにミアンドギャルドがヤバくなったらヤバイ。なのでダッシュでござーる! バザールでござーる! 彰 「なんか双剣で炎とか出てると、デビルメイクライのルドラとアグニを思い出すわい」 カイ『炎が出るのか』 彰 「オウヨ。二つ合わせてルドルグニス! ……なんて名前はないけどね?」  ヒュフォンフォンと双剣を振るってみる。  おお、この程よい重量感……! ステキだねこれ! しかも炎と氷がヒョヴァーと出るでよ! ステキステキステッキン! 彰 「シャアアアアア!!《ボボボボボ!》」  サムスピの十兵衛の真似をして、八相発破をしてみる。  両手の剣で連突……ただそれだけ。  走りながらだから余計疲れて、いつしか立ち止まってゼーゼー言っておりました。  転移したいところだけど、次元の関係上、危険であることは改善されてねーだろうから迂闊に出来やしねー。 彰 「走るのって楽じゃねぇよね……。    こう、氣でも使えりゃ足に込めて走れたり出来るんだろうに」 カイ『氣は誰にでもあるっていうから、彰にもあるんじゃないか?    使い方を知らないだけで』 彰 「そうなんかね。まあいいコテ」  氣、ねぇ。  こう、手にコキューンと込めて、イヤァッ!と緑色の光弾を……それちょっと違うか。  あれって特殊な例だよね。デービルさん……もとい、ビーデルさんでさえ出来たんだからアタイにも出来るはず。漫画と現実を一緒にするのは無茶じゃけんども、こういう世界を走っちまうとどうも……ね。境界線が無くなる気がしてならんよ。 彰 「現実とゲームを一緒にするなって言う人、居るんだけどさ。    あれってどうなんだろうね。    そういう人に限って、自分の嫌な部分ではゲームを否定しまくるし」 カイ『いきなりいったいなんの話だ……』 彰 「いやいやアタイ思うのよ? たとえば“男の娘”。    あれってゲームん中じゃあおなごよりもべっぴんって設定がヤケに多くて有名です。    気に入ってたのに男でしたと知ると急に嫌う人続出。    嫌わなくてもなんで女じゃないだって言う人盛り沢山。    挙句には“骨格的に無理”とか“こんな男居るわけねぇ”とか言い出す。    ……それを言ったのが、“現実とゲームを一緒にするな”って言った人だとしたら、    なんつーかそれはとても悲しいなって。    それって“ゲームと現実を一緒にするな”ってことじゃない。    よーするにやっぱ、自分さえよけりゃいいんだろうね、みんな」 カイ『……先、急ごうか』 彰 「せやね」  休憩を挟みつつ走りました。  ほいでもって辿り着いた先。漁業都市アッサラント付近にて筏をガンゴンと作り、全てを終えた時には夜が明けていた。 彰 「ごおおおおお眠ぃいい……!」 カイ『さすがに徹夜に加えて、行動しっぱなしというのは疲れますね……』 彰 「カイ〜、口調、口調……」 カイ『勘弁してください……意識して口調変えるの、結構疲れるんですよ……』  筏の横で、男二人がゼェゼェ。  でも大工仕事っぽくてなんか心が清々しいのよね。不思議。  トンカチと木って、どうしてか男をワクワクさせる不思議な魅力があると思うんだ。  トンカチねーけど。 彰 「うじゃ、早速行くか……。寝たいところだけど、    ギャルドが危険なヤツと一緒に居るとなると、なるったけ急いだほうがよかギン」 カイ『どういう言葉ですか、それ……』  でも二人で筏を頭上に掲げ、走る。  アッサラントの皆様は早朝ということもあって眠っているらしい。  そんな景色を突っ走り、町の先の海辺へ筏を泳がせると、それに乗っていざ凱旋!! 彰 「よっしゃあいくぜ海の男!」 カイ『はいっ! いきましょう海の男!』  そして筏と波の組み合わせ男を狂わせる。  俺達は寝不足ということもあって、ハイになりながら海をゆく。  波に揺られてバッシャバシャ。  櫂を振って水を掻き、ひたすらにウェルドゥーン山を目指した……! 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