───地上最強猫列伝『第ニ章◆飢餓!夜華さんの受難!の巻』───
───……。 ふと気づくと、我輩は猫であった。 つーか、どういう状況? なんで俺、猫になってんの? しかもキュートな子猫さんですよ……まいったなオイ……。 冥月 「あの……もしかして、彰衛門さんの前々世さん……ですか?」 猫  「……にゃ〜」(言うことはそれだけですか?) 冥月 「ごめんなさい、何言ってるのか解りません」 猫  「にゃ〜……」(ぬう……) 猫にされる以前の記憶がすっぽり抜けてます。 確か腹が減って、カツアゲしようと子供に歩み寄ったところまでは覚えてるんだが…… ンマーーー!!いいや。 うん、それはいい。 ただ腹が減ってますな……なんなんでしょう、この体力の消耗は……。 もしかして俺、暴走してた? しかも口周りがなにやら湿っぽいっつーか……なに? ゴシゴシ…… 猫  「?」 顔洗いの要領で口を拭ってみる。 すると……そこにあるのは血液。 ……あら?なにこれ。 もしかして俺、口でも切った?……にしては痛まないしねぇ。 猫  「にゃぁあ〜〜ぉおおお〜〜〜」 ねちっこく、しかも意味がなさげな声で冥月さんに語りかける。 冥月さんは俺と、その血を見比べて合点がいったように答えた。 冥月 「あのね……彰衛門さん。よ〜っく聞いてね?」 猫  「にゃ〜〜〜ん?(あぁ〜〜〜ん?)
」 冥月 「彰衛門さんね、空腹のあまりにモーロックになって、     篠瀬さんの腕……食べちゃったの」 ───……愛? じゃなくて、はい? 猫  「にゃにゃ……にゃ〜にゃ?(今……なんと?)」 冥月 「不思議な顔してますね……でも、事実ですよ。     彰衛門さんは篠瀬さんを襲って、篠瀬さんの腕の肉を食いちぎって食べたんです」 猫  「にゃにゃにゃ……にゃ〜にゃにゃ?(俺が……マジすか?)」 冥月 「何度聞いても同じですよ。彰衛門さんは食べました。     その証拠に、篠瀬さんの腕から血が出てるでしょう」 猫  「にゃ……」 チラリと、倒れている夜華さんを見る。 ……と、確かに切られたり殴られたりしただけじゃあ出来ないような傷から、血が出てる。 猫  「にゃ〜にゃにゃあ……にゃにゃにゃにゃ(なんとまあ……マジすか)」 ショック……大ショックだ……。 まさか……まさかこの俺が……───食人鬼に……? キュルル…… 猫  「ギニャッ!?(はうっ!?)」 ぐ、ぐぐぐ……!ど、どうしたことかこれは……! 腹が鳴った途端、目の前の冥月さんがとんでもないご馳走に見えてきおった……!! わぁ、ヤバイ。 これじゃあ本当に食人鬼じゃないですか……。 猫  「ギニャニャー!!ニャゴー!フカーーーッ!!」 俺はなんとか、自分が腹が減ってることを冥月さんに伝えようとした。 だが悲しいかな、猫語なんぞ理解できるわけもなく……いや待て! キャッツ&ドッグスの犬猫どもも喋ってたんだ! ヤツらに出来て俺に出来ないわけがない! そう……『猫になった俺が普通に話そうとする』からダメなんだ! もっと異国語を話すかのようにしてみれば─── 猫  「ニャ……ウニャゥ……───カァーーーッ!!!」 クワッ!! 冥月 「ひゃっ!?え!?い、いま『カァーーッ!!』て……」 猫  「我……極めたり」 猫でありながら人の言葉を理解した……。 これぞ、石の言葉を理解するということ……。 猫  「というわけで冥月さんや?俺にメシをください。     このままじゃあ俺、キミに噛み付くことになりそうです」 冥月 「えぇっ!?ちょ───本気ですか!?     って、猫の姿で平然と喋られても対処に困るんですけど……」 猫  「フッ……今の俺はちぃとばかしマジだぜ?     次に腹が鳴った時……それがタイムリミットだ」 冥月 「うわわ……わ、解りました!何か調達してきます!」 慌てたように……というか実際慌ててるんでしょうけど、 冥月さんがマジ顔で走っていった。 あの顔から察するに…… 本気で夜華さんの腕の傷は、俺が食いちぎったものらしいですな……。 猫  「やれやれ……マジか?」 これはいけませんね。 せめて夜華さんの傷を治してさしあげねば───ギュグ〜〜ッ……。 猫  「あ……」 腹が……鳴った。 ───……。 夜華 「くっ……血が止まらない……!」 足の縄を千切り、なんとか自由を取り戻したわたしは傷の手当てをしていた。 この際この縄でもいい。 千切った服を巻きつけて、その上からこの縄で…… 猫  「ニャー……」 夜華 「うん?猫か……すまない、相手にしている余裕はないんだ」 猫  「ガルルルル……」 夜華 「───え?」 耳を疑った。 今この猫、『ガルルルル……』って鳴いた……のか? 夜華 「な、ななななにぃっ!!?」 しかも、見ればその猫が後ろ足二本でのっしのっしと歩いてくるではないか。 珍妙を通り越して寒気すら感じた。 猫  「おいワンコロ……出てきて勝負しろ……!」 夜華 「ね、ねねね猫が、がががが……しゃ、喋った……たたた……!?」 気味が悪い。 もしかしたら先ほどの食人鬼に関係している猫なのかもしれない。 ここは退いた方が───いいに決まっている!! どうせ戦わないと誓ったのだ!ならば逃走こそが勝利───!! 夜華 「くぅっ……!!」 わたしは血が止まらない腕を庇いながら立ち上がり、その勢いを殺すことなく走った。 猫の足は速い……ここはとにかく走った方がいい! 夜華 「くそっ……道場の外がこんなにも危険な世界だったとは……!!」 呆れてものも言えない。 ともなれば、あの道場の中はなんと平和だったことか。 わたしは今まで、喋ったり二本足で立つ猫など見たことが─── バッバッバッバッバ……!! 夜華 「うん?……う、うわっ……」 バッバッバッバッバ……!! 夜華 「うわわわわわぁあああああああああああっ!!!!!」 ───喋るとか二本足だとかは甘いものだった。 わたしは今まで、後転をしながら人を追う猫など見たことがない。 しかもあんな馬鹿げた追い方だというのに、わたしよりも足が速かった。 猫  「ハイヘヤハイヘヤハイヘヤハイヘヤ!!     ワンツースリーフォーファーーーイッ!ハァッ!」 タンタンタンタンババッ───ギュルルルルルスタッ!! 猫が後転から跳躍し、回転しながらわたしの前に着地した。 なんてことだろう。 わたしはあっという間に回りこまれ、退路を失ってしまった。 猫  「メシ……メシシ……」 相手は猫……。 だというのに、どうして命の危険まで感じているのだろう……わたしは。 この猫は危険だ。 猫  「キョェエエエーーーーキョキョキョッ!!!ごぉふっ!!」 夜華 「ッ!?この鳴き声は───!!」 先ほど、わたしの腕の皮を噛み千切った食人鬼が叫んでいた声だ……! まさか、半人半妖の物の怪だったというのか……!? ガブッ!!───ブチィッ!! 夜華 「くあぁあっ!!」 猫  「ガルルルル……」 くっちゃくっちゃ……ゴクリ。 猫が、わたしの足の皮を食いちぎり、飲み下した。 ───もう確信した。 これは化け物だ。 猫なんかじゃない……!! 夜華 「だが……だがわたしは……!母上……わたしはどうしたら……!!」 猫  「ごぉふっ!!」 猫が再び飛び掛かる。 その目は赤く染まり、猫の目とは思えないものだった。 ガリッ!! 夜華 「くぁはっ……!!」 猫  「ハゥルルル……!!」 その顎全体を使うかのように、猫がわたしの腕に深く噛み付いた。 普通ならば力を込めづらい状況だというのに、 なんとその猫は強引に骨まで噛み砕こうと力を込めた。 夜華 「あ……あああ……!!や、やめろ……やめてくれ……!」 猫  「ハウグッ!!ゴグフッ!!ごぅふっ!!」 メキッ……ミキミキ……!! 腕が軋む。 ゆっくりと噛み砕かれてゆく感触は……わたしに恐怖しかもたらさなかった。 夜華 「う、あ……うあぁああああっ!!!」 もうだめだ。 きっとわたしは死んでしまうのだろう。 ───そう思った時だった。 声  「なぁあにやってんですかぁああああああああっ!!!!!」 ドッゴォオオオオオオンッ!!!!! 猫  「ギョェエエエエエーーーーーーーーーッ!!!!!!」 遠くから光り輝く何かが飛んできて猫を吹き飛ばした。 およそ『猫』では考えられない悲鳴を残して、その場に静寂が訪れる。 夜華 「はっ……はっ……!う、ぐっ……はっ……はぁっ……」 腕に噛みついていた猫の目を見た時、『殺されてしまう』と本気で考えてしまった。 その猫にはどう足掻こうが勝てないのだと。 もしこれが母上の言っていた『相手との力量の差を知ること』なのだとしたら、 化け物とはいえ猫にも勝てないわたしは…… ───……。 冥月 「大丈夫ですかっ!?」 猫  「な……何をためらっているンだ……殺せ!     ……お前の手で……!私を止めてくれ!!バドォ!!」 ピシュン───ドッガァアアアアアアンッ!!!!! 猫  「ギャアアアアアーーーーーーーーッ!!!!!」 冥月 「彰衛門さんには訊いてませんっ!!」 彰衛門さんを月壊力で吹き飛ばしたところで、わたしは篠瀬さんに向き直った。 夜華 「……お前は……?」 冥月 「えっ!?え、えと……わたしは旅の修行僧です。わたしの猫がご迷惑を……」 夜華 「なっ……あれはお前が飼っているのかっ!?」 冥月 「えと……まあその、似たようなものかと。     それより傷がひどいですね……これを塗ってください」 言って、竹筒に入った水を取り出す。 面と向かって治癒能力を見せるわけにもいかないので。 夜華 「これは……?」 冥月 「まあまあ。まずはごろうじろです」 水に月聖力と月生力と月清力を流し込んで、篠瀬さんの傷口に流してゆく。 夜華 「いっ……!!」 冥月 「我慢してくださいね、すぐに治りますから」 夜華 「なに……?治る……のか?」 冥月 「はい。───ほら、もう治りました」 夜華 「なっ……」 自分の腕を見た篠瀬さんが驚きの声を漏らした。 そこにはもう傷口なんてものは存在しておらず、ちゃんとスベスベの肌があったから。 なんて、段落をつけようとした時だった。 猫  「ガルルルル……!」 冥月 「あー……」 犬のような声で鳴く猫が、のっしのっしと二足で歩いてきたのだ。 服も治してあげたかったけれど、あまり干渉するのもダメだと思うし…… 冥月 「そ、それではっ!旅、頑張ってくださいねっ!!」 夜華 「なにっ!?ま、待てっ!せめて礼を」 冥月 「そんなのいりません!───長寿と繁栄を!!」 バク転で走ってきた猫を見て、わたしは一刻も早くここと離れた方がいいと思った。 篠瀬さんのためにも、わたしのためにも。 ───……さて、それから1時間後。 冥月 「はっ……はぁっ……!!な、なんていうしぶとさしてるんですか……!!」 わたしの目の前には、混沌の渦に縛り上げられた猫が居た。 調達してきたものをあげようとしても、 『それは僕のだ!高松組のやつらは出て行け』とか言い出して襲ってくる始末。 だから月操力と神魔法術の全てを尽くしてようやく動けなくしたわけですが…… 猫  「俺はなにも喋らねぇぜ……!フッハッハッハッハッハ……!!     見た目はこんなにプリティだけど……!中は───筋金入りさぁっ!!」 人が疲れ果ててるのに、この余裕の態度はどうだろう。 なんだか腹が立ちます。 冥月 「はぁ……食べ物あげますから、正気に戻ってくださいね……?」 暴れられない状況じゃないと暴れるんだろうから、こうして縛り上げた。 この状態で食べ物を口に運んであげれば、素直に食べてくれるだろう。 冥月 「じゃあまず、この剥きリンゴを……」 わたしは綺麗に剥いて、 幾つかに小さく切ったリンゴを彰衛門さんの目の前に持っていってガリッ!! 冥月 「いたぁあああああーーーーーーーっ!!!!」 ……噛まれた。 わたしの指が。 猫  「肉が食べたい!肉が!ウウーーーッ!!」 冥月 「こ、このぉおお……!!」 お肉が食べたいからって普通、人の指をかじりますか……!? 冥月 「お肉なんてありません!ちゃんとリンゴを食べてくださいっ!!」 再びリンゴを彰衛門さんの前にゴリッ!! 冥月 「いたたぁああああああああああっ!!!!」 猫  「肉!肉!わあっ!わあっ!!」 冥月 「で、ですからっ!お肉なんてないからこうしてリンゴを!!」 猫  「肉!」 冥月 「………」 猫  「肉!肉を!」 彰衛門さんが肉肉と叫ぶ中、わたしはとあることに気づいた。 彰衛門さんの目は……ああ、わたししか見てない。 それ=わたしが肉。 冥月 「……飢えって怖いですね……」 彰衛門さんからはあれほど日常を感じていたのに、今じゃ殺戮と破壊しか感じられません。 そもそも猫になんか食べられたくない。 冥月 「……もういいです、頭にきました」 こんなのは彰衛門さんじゃない。 こんなのと一緒に旅をしたって面白くないです。 だったら───お望み通り、お肉を食べさせてあげようじゃないか。 冥月 「異翔転移」 まずは未来からサーロインステーキ用のお肉を転移。 それを月然力・火で一気に焼き上げ─── 猫  「肉!!おいしそうな焼肉のにおいがする!!」 冥月 「後悔してくださいっ!!」 猫さんの口にガボッ!と突っ込んだ!! 猫  「!!───……」 ───その日、猫の叫び声はステーキの熱が冷めるまで鳴り響きました。 自業自得です、猫舌さん。 ───……。 猫  「あの……なにが起こったのか全然覚えてないんだけど……。     どうして俺、舌が完膚なきまでに腫れ上がっとんの?」 冥月 「知りませんっ!」 猫  「なにやら長時間絶叫したかのように喉も荒れてるし」 冥月 「知りませんっ!」 猫  「フッ、なにも知らないのか馬鹿めが」 冥月 「っ!」 ドパァンッ!! 猫  「ブベェエーーーイ!!!!」 顔面をサッカーボールキックされました……。 冥月 「全部彰衛門さんが悪いんだからねっ!?     我が儘言ってリンゴ食べようとしなから!」 猫  「おがががが……い、いや、ですからね?記憶にないんですよ……?     それなのにこのプリティなフェイスをサッカボールキックしてくれちゃって……」 せっかくのロシア猫フェイスがヘコんでしまうじゃないですか……。 猫  「しっかしさ、冥月さん?キミって時々子供っぽい喋り方になるよね。なんで?」 冥月 「え……なってませんよ」 猫  「いいやなってます」 冥月 「なってません!」 猫  「なってますよこのタコ助!ゆでるぞコラ!!」 冥月 「タコじゃありません!」 猫  「さっきだって『彰衛門さんが悪いんですからね』じゃなくて、     『彰衛門さんが悪いんだからねっ!?』って言ってたろうが!」 冥月 「言ってないもん!」 猫  「今まさに子供っぽいじゃないですかこのタコ助!ゆでるぞコラ!」 冥月 「タコじゃないも───ないです!!」 猫  「ほっほっほ!言い直しおったわこのタコ助!ゆでるぞコラ!」 冥月 「ぐううっ!!」 ドパァアーーンッ!!! 猫  「ゼブラ!!」 再びサッカーボールキック。 椛よ……アータの娘、容赦ないですよ……? 冥月 「あぁっ……今、本当に篠瀬さんの気持ちが解ります……」 猫  「ほっほっほ、苦し紛れになにを大ボラふいておりますかね」 冥月 「あの……彰衛門さん。本気で怒るよ?」 猫  「おお、そりゃその方がええよ?そうすりゃあ気も晴れるでしょう」 冥月 「え……?」 猫  「あのさ、キミって『義キョウダイ』の誓いを重荷に感じてるだろ」 冥月 「そ、そんなことないよ?なに言ってるの、彰衛門さん……」 猫  「一。無理に自分だけで頑張ろうって気がある。     ニ。つまらんことで意地になって、助けを借りようとしない。     三。自分が置かれてる状況を夜華さんに照らし合わせて疲れてる」 冥月 「………」 猫  「俺と夜華さんは別に義キョウダイの誓いはしてないし、あれが自然である。     お前は誓ってしまってからというもの、     夜華さんみたいに立ち回れない自分にイライラしてた。     ハッキリ言ってさ、キミ……夜華さんに嫉妬しておるでしょ」 冥月 「───!!!」 驚愕の表情。 だがそれは、図星を突かれた方の驚愕だった。 猫  「なにに関して嫉妬しとんのかは知らんが……そりゃあヘンでないかい?     冥月の方が『出来ること』なら多いでないの」 冥月 「……そんなことない……」 猫  「あ〜ん?」 冥月 「そんなことないっ!!だってわたし、彰衛門さんに全力でぶつかれないもん!     どこかでブレーキが入っちゃって、好きなだけ気持ちをぶつけられないもん!     他のことが出来てもそれが出来ないんじゃあ嬉しくないよぅ!!」 猫  「……フッ……」 訳が解らん。 まさか適当に言った『嫉妬』って言葉が正解だったとは……。 時々自分が怖くなるぜ……。 冥月 「わたし……もっと彰衛門さんと楽しむことを知りたいよ……。     篠瀬さんみたいに遠慮なんて無しにして、彰衛門さんと言い合いたいよ……」 猫  「夜華さんみたいにって……そげなことされたら俺、切り傷が絶えませんよ……?」 冥月 「…………切り……傷?」 猫  「だってそうざんしょ?夜華さんっつーたら刀で、刀っつーたら切り傷。     今まで何回切られたか解らんよ俺……」 冥月 「………」 猫  「む?」 冥月さん、なにやら思考中。 きっと今日の献立のことを心配してるに違いねぇ。 猫  「安心をしよ冥月さん、俺がとびっきりのネズミを捕まえてきてやるから」 冥月 「そっか……そう、だよ……」 猫  「む?嬉しいかね?そりゃあよかった、捕まえるのは構わんけど流石に食えん」 冥月 「彰衛門さんっ!」 がばしっ!! 猫  「ギニャッ!?───ややっ!猫語が漏れてしまった!     なにかね!なにをするのかね!!人をいきなり抱き上げたりして……!     わたしは高貴で気高いロシアンブルーですよ!?」 冥月 「わたし、篠瀬さんに刀技を習うよっ!!」 ───……え? 猫  「……今、なんと?」 冥月 「篠瀬さんに、刀技を習うのっ!」 猫  「なんとまあ……マジすか。なんで?」 冥月 「篠瀬さんの考え方とかが解ったら、     わたしも彰衛門さんに全力でぶつかれるでしょ!?」 猫  「ぜ、全力ってそりゃ……まさか……」 このつぶらな瞳のロシア猫な俺をザックザクに切り刻むっつーわけですか? 猫  「おめぇそりゃ……犯罪だぜ?」 冥月 「考え方を理解するのがどうして犯罪なの!?」 猫  「だっておめぇ……あれだ。     夜華さんの考え方ってのは俺をことあるごとに俺を切り刻むことじゃないの?」 冥月 「……それって毎回、彰衛門さんがからかうからでしょ?」 猫  「失礼な!俺ゃあ普通に接してるだけですよ!」 冥月 「普通でからかうのはどうかと思うよ?」 猫  「普通だからいいのです。それより───」 冥月 「?」 冥月さんが首を傾げる。 気づいてないんかな、さっきから話方が子供っぽいままだってことに。 猫  「えっとさ、言葉遣いが子供っぽいままですが?」 冥月 「え?あ───……」 おお、冥月さんの顔がみるみる内に真っ赤に! まるでゆでダコですね。 冥月 「……いいもん……。言葉遣いも篠瀬さんの真似して直すもん……」 猫  「ややっ!?」 刀技が使えて言葉遣いが武士っぽい……!? それじゃあまるっきり『屠神冥月』じゃないですか!! って、もしかしてこの所為だったの? 『みさお』と『冥月』の言葉遣いがああも違ったのって。 猫  「フッ……だがそれが貴様の生きる道だというのなら……俺は止めねぇぜ?」 冥月 「わたしも絶対、刀に誓えるような人になって、     彰衛門さんを驚かしてやるんだ……」 猫  「………」 切り刻むの間違いじゃないですか? ……なんだか不安でした。 Next Menu back