───地上最強猫列伝『第五章◆装着!完全武装する猫!の巻』───
───キィンッ!! 鋭い刃物が擦り合わされるような音を合図に、 この悟り猫と光莉……いや、聖は神降に降り立った。 座標は以前と同じ、俺が高校二年の頃の秋。 悟り猫「さて人の子よ。貴君は魂が神側であるが故、     この場所での苦痛は微々たるものの筈。その見解は合っているか?」 聖  「う、うん……」 聖がキョロキョロと辺りを見渡す。 その景色が物珍しいのだろう。 つーかいい加減悟り語調で話すのも疲れました。 悟り猫「人の子よ、貴君をここに連れ出したのは他でも無い。     『桜』と呼ばれる半猫半人を探してほしいのだ。     メス猫になんの関心も抱かなくなった今の我輩ならば、     お目通りも叶うに違いない」 聖  「その桜って人、そんなに偉い人なの?」 悟り猫「然り……。猫であり人でありながらも神の子の姉として君臨するおなごなり。     我ら猫がその猫神様に会えば、まだ猫は負けないのだ」 聖  「えっと……よく解らない」 悟り猫「昔話をしてやろう。遙か昔、この世界は人によって支配された。     我ら猫は家畜扱いされ、     この世界でひっそりと住まなければいけないことになったのだ。     しかしその遙か昔に猫神様はご降臨なされた。     その名を『桜』。元悪霊だった存在が神の使い魔に昇格し、     さらに様々な事柄の上にひとりの神の子の姉とまで謳われたと聞いた」 聖  「う、うん……それで?」 悟り猫「ある時だ。家畜と人との戦争が始まった。     人の我らを見下した態度、振る舞いに我らが耐えられなくなったのだ。     だが……その戦争で勝利したのは人間。     その屈辱と戒めとともに、我らはやがて『声』を忘れた」 聖  「………」 悟り猫「我ら家畜……いや、我ら猫は猫神様の助けを待った。     あの方が居れば我らは負けないと思ったからだ。     ……だが時既に遅く。猫神様は神の子とともに神界に帰ってしまった。     そうなれば我ら猫には再び闇の時代が訪れることになる。     だから願った。思った。憧れた。     その所為か、我ら猫は時々に猫神様の幻覚を見るようになっていた。     あの方が居らっしゃれば、と」 聖  「うん……」 悟り猫「確かに……我らは負けはしたし、声も忘れた。が……諦めたわけではない。     だからこそある日、一匹の猫長老が言った。     『幻の猫神様が居る本当の場所を探せ。そうすれば、猫はまだ負けない』。     ……我ら猫はその言葉を糧に生きた。     いつの日か猫の戦士が猫神様を見つけ出すまで耐えるのだ、と。     そして……我らはとある情報を手に入れた」 聖  「情報……?」 悟り猫「そう……猫神様かどうかは解らんが、     猫の耳と尾を持つ神の子の連れがこの神降に居る、と。     我らの旅は、苦労は……ようやく終わるかもしれぬのだ……」 聖  「悟り猫さん……」 悟り猫「旅を終えた時、我ら猫が再び言葉を発する日が来てくれると信じている。     我らは遠い先祖のため、この旅を終わらせるわけにはいかぬのだよ人の子よ……」 聖  「……辛かったんですね……」 悟り猫「……ただの一度でよかった。     世界に居る猫全てが、たった一言でも話すことが出来れば……。     しかし多くの猫はまた、一言も話すことも出来ずに散っていった……。     我らはそんな先祖のため、再び起こるであろう戦争に勝つ必要があるのだ……。     多くの猫が忘れてしまった『声』を思い出すため……」 聖  「っ……!」 遠い目をしながら俺は話を終えた。 全てデタラメだが、聖は真剣な目で俺を見て……しかも猫達のために泣いてくれた。 信じられんがマジで泣いてます。 ……ほんに、よい娘に育ってくれてますじゃ。 そげな娘を騙すのは心苦しいが、これもこの町の攻略のため。 以前はこの町の神力に打ち勝てなかったが……今のこの悟り猫状態ならば、或いは…… 悟り猫「多分無理でしょうけどね……」 家系の肉体じゃないから多少はマシだが、それじゃあ根本的な攻略になってない。 聖  「悟り猫さんっ!」 がっし!! 悟り猫「ギニャッ!?」 腹を掴まれて抱き上げられた。 その目が俺の目を捉え、真っ直ぐに見つめてくる。 悟り猫「な、なにをするのかね!びっくりするではないですか!」 聖  「それはごめんなさいです!でもわたしっ……悟り猫さんのお手伝いがしたいよ!     ねぇ悟り猫さん!わたしにはなにが出来る!?なにか出来るかなっ……!!」 悟り猫「………」 聖が涙目で訴えかけております。 これは……予想以上に純粋娘っ子に育ってしまったようです。 悟り猫「そうですな……まずは人から神の子が行きそうな場所を訊くとしましょう。     例えば───むう、神社などが何処にあるかを訊くことにしましょう。     恐らくそこに、猫神様がいらっしゃる筈です」 聖  「神社───だね?うんっ!」 言うや否や、聖さんは俺を地面に置いて走り出してしまった。 かなりの速度……振り返るつもりもなく走り去ってしまった。 ……で、取り残される我輩。 悟り猫「いや……聖ってコレと決めたら止まらない子なのかもしれんね……」 行動の早いこと早いこと。 まあいいコテ、俺も猫神様を探すとしましょう。 伝承はデマだが、猫神様の噂は聞いたことがある。 神降の……なんて言ったかな。 たしか鳳翼神社……だったかな。 そこに耳と尾を生やした人が居ると聞いた。 そのお方に会うことが出来れば───猫はまだ負けない。 これが猫の戦士が出来ることだ。 いえ、ただの忘却の旋律の真似なんですけどね? まさか聖が感動してくれるとは思わなかったんで、 しばらくはこの設定のままで行ってみようかと思います。 悟り猫「さあ行くとしましょう。目指すは───鳳翼神社なり」 期待に胸を膨らませて我輩は歩き出した。 歩く度にアスファルトがヒタヒタと音を鳴らすのがちと気になる。 紳士として靴くらいは欲しいところですなぁ……。 そう、『シュレック2』の長靴を履いた猫みたいに。 悟り猫「───よし。猫モードならば前よりは辛くはないだろう。発動せよシステムナム!     “冥府誘う深淵の災い(ハデスディザスター)
”モード・ルドラ。“黄昏を抱く創造の世界(ラグナロク)”」 ビギッ─── 悟り猫「ゴニャッ───!!」 頭が軋む。 景色が砂嵐と化し、自分が立っている場所が解らなくなる。 だがその掌に小さな黄昏の草原が出来たことだけを確認すると、 鋭い痛みと吐き気の中でイメージを解放した。 悟り猫「ウ、ウニャニャ……!!」 黄昏から創造物が吐き出されるのを確認すると、すぐさまに閉じる。 悟り猫「ギ、ギニャ……ニャ……!!」 だがしかし、閉じても激痛は残り、吐き気も凄まじい。 大急ぎで月生力と月清力を体に流すが……そう易々と回復してはくれない。 悟り猫「フ、フクククク……」 じゃけんども……フフフ、創造出来たぜ……! 『刀』と『帽子』と『ブーツ』と『布生地一式』と『営業許可証』……! あとはこれを装着して……と。 悟り猫「ムウ!完璧───ゔっ……」(ゴポリ) 頭痛と吐き気がピークに達した時───俺の腹は主である俺に反旗を振り翳したのでした。 悟り猫「ウゲッ……ゲェエエーーーッ!!!!」 俺はその場で蹲り、盛大に吐いた。 喉が焼けるように痛み、涙が止まらずに出た。 な、なんつーか……ラグナロクコピーって使う度に反動が強くなってきてるな……。 コピー出来ないものを無理矢理コピーした代償ってやつかね……。 悟り猫「ゲボッ……ゲハッ……!!!は、はぁっ……」 ようやく気分が落ち着いた頃。 俺はアスファルトに膝をつき、両手を地面について息を荒げていた。 ……猫のとる体勢じゃねぇなこりゃ。 しかも人に見られてるし。 悟り猫「えーと……ィヤッハッハッハッハ!!とんずらぁああーーーーっ!!!!!」 トパタタタタタタタッ!!!! 皆様の視線から逃げられるようにとんずらを実行!! やりきれませんな、まったく。 ───……。 悟り猫「美しい……」 帽子、黒衣、ブーツ、そして刀。 どれも猫の体躯に合わせた特注品だ。 その全てが黒と少々ある赤とで統一されてるのは、死神っぽさを表したいからです。 腰に刀を差し、帽子を被って黒衣を纏い、ブーツを履いた猫……美しすぎる。 せめて黒猫だったらもっと良かった気もするんだが、 ロシアンブルーは嫌いじゃないから別にOK。 当然二足歩行は基本です。 悟り猫「さて……───腹が減った」 カツコツと音を鳴らしつつ、道路の隅を歩む。 そう……人知を超越した猫がここに居る。 なにやら通行人がケータイとかいうヤツで写真を取ってくるが相手にしない。 だがしかし……こうカシャカシャと写真撮られてると…… 悟り猫「パピ♪ヨン♪」 通行人『………』 蝶野公爵の真似をしてみたら皆様が白い目で我輩を見てきました。 ひでぇ……ケータイ写真っていったらパピヨンでしょう? 悟り猫「おまんら……許さんぜよ!!」 その『悟り猫』を侮蔑とした態度───恥と知れ! 悟り猫「覚悟しなっ!下衆ども!」 我輩はシャアっと刀を抜き、その群集に飛び掛かった! 男A 「うわっ!?なんだっ!?」 男B 「すげぇよこれ!絶対新製品のラジコンかなんかだぜ!?」 悟り猫「ニャアッ!!」 ゾフィィンッ!! 男A 「……へ?」 男B 「なっ……あ」 男A、Bの持っていたケータイが真っ二つに切れる。 俺は綺麗に回転して着地したのち、ケータイを持つ他それぞれの群集を睨んだ。 女A 「な、なんかヤバくない……?ラジコンじゃないよこれ……!」 女B 「やばいよこれ……ケータイ壊されるなんて冗談じゃないわよ……?」 男A 「お、俺……買ったばっかだったのに!」 悟り猫「ニャア!!」 トカカカカッ!! 軽快に走り、一気に間合いを詰める!! おなごどもが驚いて身を硬直させるが、それこそが人体に起きる隙!! 俺は慌てずに刀を滑らせ───ヒュキンッ!! 女A 「え?あ───あぁあっ!!」 女B 「わ、わたしのケータイがぁっ!!」 軽やかにケータイを破壊。 この悟り猫の写真など……あってはならぬのだ!! そもそも猫って霊感強いしさ、心霊写真とか写ってたら嫌じゃないですか。ねぇ? だから滅ぼします、我輩を写したケータイを。 男C 「うわ……なんかヤバイぞ!!この猫、自分を写したケータイ全部壊す気だ!!」 女C 「そんな!冗談じゃ」 シュキィンッ!!! 女C 「あ……」 男C 「うお……」 おなごと男が持っていたケータイを悉く屠り去る。 うむ……かつて無いポテンシャル。 いい按配だ。 女A 「な、なんなのこの猫!!普通じゃないわよ!?」 悟り猫「フッ……訊かれたならば答えねばなるまい。     さあっ!遠き者は耳に聞け、近き者は目にも見よ!!     我が名はっ!誇り高きロシアンブルー、悟り猫!!」 男A 「今だっ!!」 ガッシィッ!! 悟り猫「ゴニャッ!?」 なんと!自己紹介してる間に掴まってしもうた!! 悟り猫「ゴニャーーーーッ!!ぎにゃにゃにゃにゃ!!」 男A 「うわっ!くそっ!暴れるなこのクソ猫ッ!!」 女A 「ど、どうするつもり!?」 男A 「決まってンだろ!?テレビ局にでも売って金にするんだよ!!     二足で歩いて、しかも喋るんだぞ!?金になるだろうが!!」 女B 「あ───そっか!そうすればケータイ分のお金なんてもうウハウハに……!」 男A 「そういうこと!いいから押さえるの手伝ってくれ!」 男B 「あ、俺荷造り用のヒモ持ってるけど」 男C 「よし!んじゃあ縛っちまうか!!」 悟り猫「ギャニャアアアアーーーッ!!!!」 ───…………。 ───……。 悟り猫「俺はなにも喋らねぇぜ……!?フフフハハハハハハハッ……!!     見た目はこんなにプリティだけど……中は───筋金入りさぁっ!!」 ボカッ! 悟り猫「アウチッ!!」 殴られてしまった。 男A 「なんつーかこいつ……すっげぇ偉そうだな」 女A 「しかも『CATS&DOGS(キャッツアンドドッグス)』のロシア猫の真似してるし……」 男B 「そもそも別に尋問してるわけじゃねぇのに、なにを喋らないつもりだったんだ?」 悟り猫「あの……ほどいてくれません?ほどいてくれたら肉球触らせてあげるから」 女A 「う……ちょっと魅力的」 男B 「肉球触りたいなら今触ればいいだろ?ほら」 スッ……ゴリッ。 男A 「キャーーーッ!!!」 伸ばされた手を噛んだ。 するとどうだ、男Aが怪虫に襲われそうになった仲田くんのような声を出すではないか。 こいつ、かなりの漂流教室ファンと見た!! さて、今の我輩の状況はというと……不覚なことに囚われの身です。 体を雁字搦めに縛られていますよ。 やれやれまったく、これだから人は…… 男A 「なにしやがるっ!」 ボカッ!! 悟り猫「アウチ!!」 また殴られた……しかも考え事してる最中にですよ……。 もう踏んだり蹴ったりです。 女A 「でも可愛いよね。飼い主とか居るのかな」 男A 「どうだろなぁ。こんな格好させる飼い主なんて居るのか?     なんだかこの猫なら自分で服とか着れそうな気がするぞ?」 女B 「確かに……」 女C 「この帽子も黒い服とかも、ぜ〜んぶ自分で作ったのかなぁ〜?」 おなごがニコニコしながら顔を近づけてくる。 我輩はそげなおなごに───ブシィッ!! 女C 「わぁっひゃぁあああああああああっ!!!!!??」 ご存知、轟天弦月流奥義『毒霧』を進呈。 男C 「うわすげぇ!!この猫、毒霧まで吐きやがった!!」 男A 「マジかよ!!」 女C 「あぁあ〜〜〜〜……目がァ〜〜〜……目がぁ〜〜〜っ……!!」 ムスカくん、キミは英雄だ。 いやはやなんつーか猫ナメんなよこの野郎。 男A 「不用意に近づくなよ!?こいつただの猫じゃねぇよ!」 男B 「そんなもん、二足歩行してた時点で解ってたことじゃねぇか?」 男C 「そうかも」 男A 「とにかく、逃げられないようにキツく縛ってある内にテレビ局に電話を……」 フフフ、せいぜいくすぶっておるがよいわ。 我輩は貴様らなんぞと遊んでやれるほど暇猫ではないのだよ……。 ポキポキポキポキ……ポキポキ……シュルルッ!! 女A 「わぁっ!?この猫、間接外してヒモから逃げようとしてる!!」 悟り猫「ゲェエエーーーーーッ!!!!!」 いきなりバレた!! 男C 「ゲ、ゲェエエって……もうちょっと猫らしいこと言ってみろよな……」 悟り猫「にゃぁああおぉおおお〜〜〜〜っ」 男A 「うお……すっげぇ可愛くねぇ泣き声……」 悟り猫「なんだとてめぇ!!」 ───フフフ、だがしかし。 話が逸れたお陰で、あと少しで逃げられる!! ポキポキ……コキンッ。 悟り猫「フハハハハ!!さらばじゃああああーーーーーっ!!!!」 トカカカカカッ!! 小さなブーツがアスファルトを蹴る音が響く。 男C 「あっ───逃がすな!!絶対に逃がすなぁあっ!!」 男A 「おうっ!」 男B 「ああっ!!」 女A 「全力でっ!!」 女B 「はいやぁあーーーっ!!!」 女C 「死ね!!」 悟り猫「キャッ……キャァアーーーーーッ!!!!」 町人どもが一斉に襲い掛かる中、虚を突かれた俺は為す術も無く囚われの身となった。 ───……。 悟り猫「俺はなにも喋らねぇぜ……!フフフハハハハハハハッ……!!     見た目はこんなにプリティだけど……中は───」 ズパァン!! 悟り猫「すじブベッ!!」 再びヒモで縛られてしまったこの現状……なんとしたものか。 とりあえず喋り途中でビンタはヒドイと思います。 男A 「テレビ局に突き出して売るのは決定として……どうすっかな」 男B 「電話出ないのかよ」 男C 「公衆電話なんか使うの何年ぶりになるやら」 既に我輩を『売る対象』としてしか見てないよこいつら……。 いやはや現代っ子って金に関してのことだけでは強いね、ほんと。 普通怖がったりするもんじゃありません? ……まあ望めないものをいつまでも考えてても仕方ないッスね。 悟り猫(FUUUUM) 男どもが公衆電話に屯している中、 おなごどもは俺の目の前に煮干をチラつかせて遊んでる。 女A 「食べたい?ん?食べたい〜?」 悟り猫「別にンなもん食いたくもないですよ。なに言ってんのかねこのアマは」 女A 「……なんかナチュラルに中傷されたんだけど」 悟り猫「あのね、家族の誰かが死ねばそれに順ずるのが家族の愛であるように、     そっちが見下した態度を取ればこっちもそれに順ずるのが愛でしょう」 女A 「……ジュドーさま?」 悟り猫「というわけで我輩を解放しなさい。さもなくば大変なことになる」 女B 「大変なことってなにかな〜?猫さ〜ん」 悟り猫「我輩、『悟り猫』と申すもの。猫さんなどとは呼ばないで頂きたい」 女C 「猫さんで十分でしょ」 悟り猫「ならば貴様のことはドブルベイベーと呼びましょう」 ドブル「なっ───なにそれっ!」 悟り猫「ど、どうしたドブルベイベー!!」 ドブル「早速呼ばないでよ!わたしそんなの認めないからね!?」 悟り猫「では我輩を悟り猫と呼びなさい」 ドブル「ふんっ、誰が猫の言うことなんか聞くっていうのよ」 悟り猫「チッ……この腐れドブルめが……」 ドブル「くさぁっ!?こ、こンのクソ猫っ……!!」 女A 「うわっ!ちょっと待った!相手猫!猫だよ!?」 ドブル「うがぁあーーっ!!猫が何よ!中傷したのは事実でしょうっ!?」 やれやれ……これだから最近の若人は。 悟り猫「ドブルよ。貴様が最初に『猫で十分でしょ』と見下したきたのだ。     それに対抗して何が悪い」 ドブル「普通にドブルとか言わないでよね!?     ……大体、猫がわたしたちと対等だって思う方がヘンでしょ」 悟り猫「そもさん!」 ドブル「?……せっぱ」 悟り猫「貴様には何が出来る?」 ドブル「……なにって」 悟り猫「我輩はこうして旅をしながら困り人を助けることが出来る。     だがしかし、自分は猫より崇高だと謳える貴君ら人間は、一体何が出来る?」 ドブル「物が作れるじゃない。世界が発達していって、その上で生きていける。     それが答えよ。どう?」 悟り猫「なにを偉そうにこのドブルめが……」 ドブル「『ドブル』言うのやめなさいよねっ!?」 悟り猫「貴様、なにを自分でやったかのように威張っている?     世界を発達させているのは貴様ではないのに、何故ゆえに貴殿が偉ぶる?」 ドブル「同じ人間だからよ。成長すればわたしだって何かを創る人になるんだから」 悟り猫「……どうせ森林薙ぎ倒して無駄に酸素減らすだけだろうがクソドブル」 ドブル「っ───」 ドボォッ!! 悟り猫「ギャウッ!!」 ドブルのトーキックが炸裂! この悟り猫に1ポイントダメージ!!! なんでかって、蹴られる瞬間に後ろに飛んだからです。 悟り猫「ほほっ、図星を突かれて悔しいかね」 ドブル「うるさいっ!!」 ドブルが体重を乗せた拳を一気に落とす!! が───ドッカァッ!! ドブル「───!?」 女A 「え、あ……え……?」 女B 「ま、前足一本だけで……!?」 我輩は軽く持ち上げた左腕一本だけで、ドブルの拳落としを防いでいた。 これぞ龍 書文(ろんしょぶん)ガード。 男A 「み、見ろ!!猫の足がコンクリートの地面にめり込んで……!!」 男C 「そんな衝撃を……片腕一本で支えたんだ……」 男B 「オリバと龍 書文かよ。つーかどれだけの体重かけたらこうなるんだ?」 ドブル「し、知らないっ!わたし知らないわよっ!叩いたら地面がベコッて!!」 男A 「……お前、もしかしてマッスル?」 ドブル「違うわよっ!!」 ちなみに地面は月然力・地で砕きました。 演出は必要ですしね。 ドブル「多分この猫がなにかしたのよ……!そうに違いないわ!」 既に普通の猫としての認識はゼロだった。 悟り猫「分析は終わったかね。ならば逆立ちしても勝てぬことはワカっただろう」 ドブル「うっ……」 観衆 『うう……っ』 悟り猫「察しの通りだ。わたしはキミの遙か上に居る」 ドブル「───ぼ、防御が上手いのは解ったわよ!でも攻撃が強いとは限らないでしょ!」 悟り猫「攻守交替───」 俺は軽く捻った腕をブンッと振る。 その腕がおなごの持っていたバッグに当たると、そのバッグが空の星と化した。 ドブル「………」 観衆 『───』 悟り猫「まだやるかい?」 全員 『───失礼しました!!』 その場に居る全員が姿勢を正して敬礼をした。 全員 『散ッ!!』 バシュウッ!! 悟り猫「おわっ……」 しかも全員が忍者のように散開。 既に見渡せる景色の中に人は居なかった。 悟り猫「………」 俺はしばらく呆気に取られて、その場に立ち尽くしたのでした……。 Next Menu back