───FantasticFantasia-Set25/サマルトリア物語───
【ケース56:弦月彰利/…………まあその、タクシム】 ───時が止まった。 映像の中で消滅する悠介と、高らかに笑う黒竜王を前に。 みさおは悠介の手でこの場に転移され、俺の腕の中で静かに眠っている。 だが…… 彰利 「………え?」 知らず、口からこぼれるのは疑問の言葉だけ。 だってしょうがない。 この目で見てしまったのだ、親友が消される場面を。 蒼竜王の時とは違う。 完全に見てしまったんだ、どうしようもない。 リヴァ「………」 リヴァイアは何も言わない。 俺に気を使っているのか、それともただ普通になにも言えないのか。 いや、そんなことはもうどうでもいいのかもしれない。 俺が生きてきた『意味』が、映像とはいえ俺の目の前で消滅した今となっては…… ああ、どうしよう。 思考が止まっていく。 しっかりしなくちゃいけないのに、頭の中が『考えること』を放棄してゆく。 ああどうしよう……俺はこれからどうしたらいいんだろう。 彰利 「っ……」 思えば、何処かで安心していたのかもしれない。 この世界にあって、親友は信じられないくらいに強くなっていたから。 だから誰にも負ける筈は無いんだって勝手に思い込んでいた。 だからこそ黒竜王との戦いだとしても、心の何処かに安堵を持っていた。 思うほど心配してなかったし、消滅を目の当たりにしても未だに信じられない。 ───いや、違うか……信じたくないだけなんだ。 ああ、どうしよう……なぁ悠介……俺はどうしたら─── リヴァ「……検察官。せめてみさおを連れて逃げるぞ。     黒竜王の様子からするに、あいつはみさおを探し続けるだろう。     わたしたちでは太刀打ちを考えることすら愚行だ。今はもう……逃げるしかない」 迷っている俺に声が降りた。 けどそれは、俺が望んでいたものとは明らかに声質が違うものだ。 悠介……悠介、俺はどうしたら…… リヴァ「っ……腐ってる場合か!?起きてしまったことは変えようがないだろ!     立てっ!このままみさおまで攫われてもいいのか!」 彰利 「───……」 声が聞こえる。 俺に向けて怒鳴りつける声が。 でも頭の中が考えるのをやめてゆくと、 その声が、目の前の人の顔が、誰のものなのか解らなくなってくる。 思うことはただ悠介のことばっかりで、苦しいのに泣けもしない自分が悲しかった。 認めてしまえばきっと泣けるだろうに、認めてしまったら立ち直れない自分が悲しかった。 だからこそ、あいつの声で言ってほしかった。 『たわけ』とでも『寝言は寝て言え』とでも。 けれど……それさえも叶うことの無いこの現実に、俺はどう向かい合っていればいいのか。 もう、それすらも考えられなくなっていた。 そう。 怒ることも嘆くこともせず、ただただ……頭の中がゆっくりと停止していった。 リヴァ「腐るな!死んでしまったっていうなら生き返らせる方法を探せばいいだろう!     塵を掻き集めて再生するだとか、     そういうものを全てやらずに諦めるのかお前は!」 彰利 「…………───」 けど。 その言葉に、自分の目に光が灯るのを感じた気がした。 彰利 「……できる、かな」 リヴァ「そんなの知るもんか!     だがやらずに思考を停止させるのは間違いだっていうことくらい、     子供でも知っている!」 彰利 「………」 そう……なのかな。 そうだったらいいな。 あいつが蘇ってくれるなら…… リヴァ「待ってろ……!     今シェイドに頼んで悠介の魂を連れて行かないようにと釘を刺しておく!」 ルヒド「それは無意味だよリヴァイア」 リヴァ「うわぁっ!?い、いつからそこに居た!」 ルヒド「今」 リヴァ「……あ、ああ……それはいい。考えてみればお前はいつだって神出鬼没だった。     それで、無意味っていうのはどういう意味だよ。     もう魂を浄化させてしまったとか言う気か?」 ルヒド「そうじゃないよ。そもそも魂を捕まえる必要がない。だって彼、まだ生きてるし」 彰利 「───!」 リヴァ「なに……!?待て、だが確かにあの時───!」 ルヒド「まあまあ。     実はね、黒竜王の極光をくらっても傷のひとつもついてないものがあるんだ。     今は黒竜王も別のところに向かったみたいだし、それを探してみたらどうかな」 リヴァ「傷ひとつついてないもの……?なんのこ───くあっ!消えた!!」 彰利 「……悠介が……生きてる……?」 ───ああ、そっか。 生きてるんだ、あいつ……。 そっか……はは、そっかぁ……!! 彰利 「そうと解れば元気リンリンパワー全開だぜ〜〜〜っ!!     んで!?悠介は今何処に居るんじゃい!!」 ルヒド「『珠』を見つければ解るよ。彼の体は消滅したけど、そこにこそ答えがある」 リヴァ「珠……?竜族の───っ……そうか!」 彰利 「あ〜〜〜ん?」 リヴァ「真面目に聞け。いいか、悠介は竜人の力を得ていた。     そして黒竜王と戦った時は竜人になっていた───つまり。     わたしたちが見た『消滅した悠介』は『悠介の人間の体』だけだ。     ヤムベリングによって人や死神や神よりも     竜人に近しいものにされた魂と竜人の肉体部分は、     恐らくディルゼイルによって竜王の珠の中に収められたんだろう」 彰利 「……んじゃあ、その珠さえ見つけりゃあ───」 リヴァ「ああ……既に『人』ではないだろうが、悠介の生死は確認できる」 彰利 「……なにを言っているのだ?     悠介が『人』をやめてることなんざ先刻承知の事実だろ」 リヴァ「いや……そういう『人ではない』じゃなくてだな」 彰利 「私は一向に構わんッッ!!だってどげな姿になろうと悠介は悠介だもの!!     それにさ、悠介なら自分の『人間の体』くらい創造しちまわぁ。     ロディエルの野郎の所為で意識を引っ張られた時に見た悠介の記憶の中でなんて、     切れた腕をピッコロさんみたいに生やしてた男じゃぜ?     人間やめてるってんならあの頃から既にやめとるわな」 ルヒド「あはは、親友の言葉とは思えない発言だね」 あったりまえじゃい、俺とヤツとの間で遠慮なんぞは無用でござる。 などとは思ったが、今はそれよりも悠介のことをなんとかせねば。 珠っつーてもあの黒竜王の極光くらったんだから相当遠くに飛ばされてるよなぁ。 はァ〜ンア、過去ではピッコロさんの気持ちが解ってしまったらしい彼が、今や竜人か…… この彰利も随分と差をつけられたもんだぜ…… しかし何故かな、てんで悔しいって感じがしないのは。 ふふ、不思議と認めちまってる自分がいるぜ。 そう、一言で言えば『がんばれカカロット、お前がナンバーワンだ』って感じ。 彰利 「そしてゆくゆくは俺もベジータのように超野菜人4に……」 や、べつに超野菜人にはなれなくてもいいんだが。 超レタス人なら喜んでなる、と言いたいところだが…… 何故かストレッチマンを連想してしまう俺はおかしいのだろうか。 彰利 「ヌッハッハッハッハ!!     ストレッチパワーが!ここに溜まってきただろぉ〜〜!!」 リヴァ「馬鹿言ってる場合か!」 彰利 「グ、グウムッ」 怒られてしまった。 彰利 「そこでこの彰利は考える。果たして竜の珠はいったいどこにあるのかと」 リヴァ「わたしは知らないぞ。     珠の研究を悠介に申し込んだことはあるが、きっぱりと断られたんだ。     だからあの珠の反応も気配もなにも解らない」 彰利 「じゃあそこの絶世の暇人、なにか知ってるかね?」 ルヒド「あはは、まさか。僕はここに居たから………………わからないよ」 彰利 「お待ちなさい!なんザマスかその長ったらしい間は!」 ルヒド「あはは、会話に間が出来るのは当然のことだと思うけど。     休みも無しに喋ることが出来たら凄いよ、うん」 彰利 「なにぃ、なんなら俺がメイドさんに関してのことを事細かに話してやろうか?     言っておくが『間』らしい『間』など存在しねぇぜ?」 ルヒド「興味ないから遠慮しておくよ」 彰利 「なんだとてめぇ!!メイドさんは最高だぞ!?最高なんだぞ!?」 リヴァ「そんなくだらないことよりもシェイド、本当に知らないのか?」 彰利 「くだっ……!?」 ひでェ!! くだらないって言った!今この人くだらないって言った!! だ、だがしかし、ここで怒っては悠介救出の時が長引くだけ……! 彰利 「いいだろう、小僧……!今からこの彰利は、     ジョースター家の紳士と名乗っても罰は当たらぬ最高紳士に成り下がってやる!」 ……いや、成り下がっちゃダメだろ。 くそう、こういう時に悠介が居ればツッコミのひとつも飛んでくるだろうに。 彰利 「で?どうなんだ?珠のある場所は?知ってるのか?」 ルヒド「わざわざ区切って言うと逆に解り辛いね」 彰利 「噛み砕いて言ってやってるんですよあたしゃあ!!     で!?どうなのかね!!言わんとこのキャベツの命は無ェわよ!?」 ルヒド「キャベツなんて何処にもないけど」 彰利 「茶化しとらんととっとと言え!!RPGでじれったいと思うのは、     次への展開が長ったらしいことに他ならないんだぞこの野郎!     少なくともアタイはそうだ!!だから言え!」 ルヒド「えーとね、それなんだけど───もう誰かに拾われちゃってるんだ」 彰利 「なんと!?誰!?」 ルヒド「彼───晦悠介とは一度会っている人だよ。教えるのはそれだけ」 彰利 「なんでじゃい!」 ルヒド「僕がキミならこう言うよ。『楽しいから』って」 それだけ言い残すとシェイドの野郎は虚空へと消え去った。 まあそりゃあそれでも別によかギン、問題は『悠介と一度会ってるヤツ』ってのだ。 何処におるん? 彰利 「リヴァイア?」 リヴァ「黒竜王の極光の直線上にあるのは……遠くてもロプロスト砂漠だな。     珠はここまでは飛んでいないと思うが、可能性は否めない」 彰利 「砂漠ね……聞いただけで暑っ苦しそうだなチクショウ」 ムッハァーーーッ!!というベガ語とともに勢いよく溜め息を吐くと、 リヴァイアに砂漠の手前を訊ねた。 ようするに砂漠には行きたくないという意思表示でござる。 でもね、こういう場合って大体が砂漠の中に落ちたってのが有力なんだよね。 や、落ちたのが別の場所であっても、 『悠介に会ったことがあるヤツ』が砂漠に向かったって可能性も大なわけだが。 はぁ〜……RPGだとこういうイベントって面倒なんだよなぁ……。 彰利 「村人に話し掛けてもヒントくれるわけでもねぇし」 リヴァ「?なんのことか解らないが腐るな。言葉に棘があるぞ」 彰利 「気にするねぃ、俺ゃ高校時代は案外こういう言葉使いだったんだ」 あの頃は若かったね、俺。 彰利 「まぁ、そんなことより悠介だ。     こうなりゃヤケになろう───砂漠だろうがなんだろうが望むところだ!!」 リヴァ「珠は竜の巣に落ちたようだぞ」 彰利 「ゴメンナサイ嘘ツキマシタ」 リヴァ「冗談だ」 彰利 「おもしろすぎンぞてめェ!!こういう状況で冗談言うのはよそうや強き友よ!」 リヴァ「腐るなって言ってるだろ、少しは落ち着け」 彰利 「ウググググ……!!」 アァ、アカンわ……やっぱ悠介居ないと俺って情緒不安定っつーか……落ち着かねぇ。 いや、居ないっつーか、元気だって解ってる状態で離れてる分にはいいんだよ。 けどここに居ない上に瀕死かもしれないとか思うと落ち着かねぇ落ち着かねぇ!! これが……これが恋!? 彰利 「なんて変態オカマホモコン展開してる場合じゃあねぇ。     俺ゃもう無理矢理自分を作るのはヤメたんだ」 リヴァ「検察官?」 彰利 「行こっかリヴァちゃん。面倒だから砂漠からスパッと」 リヴァ「……本気か?『暑い』というか『熱い』ぞ」 彰利 「?暑いんしょ?」 リヴァ「ああ、熱い」 彰利 「じゃーじょーぶだって。     だって俺、アパートに住んでた時は冷房器具なんぞ無しで生き抜いてきたんだし」 リヴァ「いや……あのな。冷房があってもあそこは熱いぞ。解るな?『熱い』んだ」 彰利 「何を言うのかね失礼な!この私が『暑い』って言葉を知らぬとお思いか!」 リヴァ「いや……知ってるならいいんだが。     もう一度確認するぞ?『暑い』んじゃない、『熱い』んだ。解るな?」 彰利 「……暑いんしょ?」 リヴァ「ん。熱いんだ」 彰利 「………」 リヴァ「………」 なんでこげに何度も訊かれたんだろうねぇ。 不思議だぁなぁ……。 【ケース57:弦月彰利(再)/デザートに砂漠はいかがですか?】 彰利 「例えヴァ〜♪独りきりィ〜そ〜ぅらウォ〜、見ィン上げてェ〜呟〜くゥ〜♪     ウィ〜つだウァっトゥェ〜遠〜ゥウォくを〜〜目ェ指し〜走ィてェ〜居たァ〜♪」 よし暑くない!ちっとも暑くない!! その代わりに熱い!ものめっさ熱い!! 溶けてる溶けてる靴溶けてる!!溶けジュゥウウウウウウッ!!!! 彰利 「デベラヴォラッヂャアベジャリヤァアアアアアアアッ!!!!!」 既に叫びも尋常じゃないものになってるぜトニー!! よし誰だトニーって!!つーか熱ッ!熱い!! 余裕こいて適当に転移した俺が馬鹿だった! 彰利 「アベジャリヤ((訳:とても熱い))
ァアアーーーーッ!!!アベジャア((訳:熱い))ーーーーーッ!!!!」 リヴァ「普通の靴のままで降りる馬鹿があるか、これを履け」 彰利 「バカとはなんだコノヤロウ!でもありがとう」 渡された具足を装着すると、不思議と熱さは感じんかった。 それどころか少々ひんやりとしていて気持ちいい。 彰利 「おお!熱くない熱くない!なんてーの!?コレなんてーの!?」 リヴァ「べつにこれといった名前はない。氷の魔導を靴に通しただけの魔導錬金の具足だ」 彰利 「ほうほう、でもあんがと」 あのままじゃあ足の裏がヴァーヴェキューになってたところだよ。 あたしゃ自分の足の裏をミディアムレアにする趣味はござんせん。 彰利 「それはそれとして!いくぜ必殺!広域スキャァアアーーーン!!!!」 マキュリィイイイイン!!!俺は広域スキャンを発動させた!! ───説明しよう!広域スキャンとは狩人が為せる奥義である! 敵、または人物を探し当てるのにとても便利なのだ! ちなみに正直に言やぁ俺にゃあそんな能力はないので、 これはただ気配を探っているだけである! 彰利 「───ムウ!反応あり!左手をご覧ください!そこに何者かが───」 ドパァアアアアンッ!! ???『ギャアアアアアアス!!!!』 彰利 「キャアアアアーーーーーーッ!!!!」 サンドワームが現れた!! コマンドどうする!? 1:M11型ランチャーバズーカ(アルファレイドカタストロファー) 2:月然力・氷+風で氷結 3:ダークマター/モード:ダークイーターで八つ裂き 4:ヨーゼフよろしく、素手で戦う 5:逃げる 結論:1 彰利 「うっしゃあいくぜ久々の───アルファレイドッ!カタストロファーーッ!!!」 我が右手に焔よ宿れ!業火降臨、火炎方陣!! 彰利 「標準固定!レッツ・フォイエル!!」 言葉とともにアルファレイドが放たれる! 眩い閃光はサンドワーム(ガッコの体育館以上はデカい)の体に直撃する!! が───バジュウンッ!! 彰利 「ひょぇええいっ!!?」 アルファレイドはサンドワームを傷つけるにも至らず、あっさりと弾かれ霧散した。 というのもサンドワームの皮膚(?)は異様なほどに弾力があるようで、 弾いた閃光を雨のように四方八方に撒き散らせたのである。 ええ、ほんと雨のように。 つまり───ドチュチュチュチュチュチュゥウウンッ!!!! 彰利 「ぎょわぇあぃぁあああああっ!!!!」 リヴァ「くわあぁあっ!!?」 まるで閃光雨である。 もちろん被害にあったのは俺とリヴァイアであり、慌てふためきながら光から逃走。 リヴァ「す、少しは考えて攻撃をしろ検察官!」 彰利 「し、失礼な!俺だって考えてるよ!!」 普通デカミミズみたいなヤツがアルファレイド弾くなんて思わないだろ! リヴァ「いいか検察官!     サンドワームは物理攻撃以外を悉く弾く!近接戦闘以外を望むな!」 彰利 「うあ……マジすか」 あんなデカブツ相手に武器か素手で戦えと? 彰利 「リ、リヴァちゃん!?せめて月切力とかってダメ!?     シャイニングブレードとか!」 リヴァ「光も闇も全ての属性を弾くんだ!物理以外は望めやしない!」 彰利 「ゲゲェエエエーーーーーーッ!!!!」 オーマイガー!!神様アンタヒドイ!! 何故ェ!?何故こげな試練をよこしやがったのゴッド!! S・W『ギャアアアアアス!!!!』 彰利 「キャーーーーーッ!!!!」 サンドワームが襲い掛かってきた! コマンドどうする!? 1:とんずら 2:転移でとんずら 3:穴掘ってとんずら 4:リヴァちゃんにエクスカリバー撃ってもらってその隙にとんずら 5:フルブレイクカタストロファーでこの辺もろともコナゴナに吹き飛ばしてやる 結論:5 彰利 「───コナゴナに吹き飛ばしてやる!!」 常備用マジックで額に『M』を書き、一気に気力を解放!! 己の中にある力───死神の力と鎌の力と月操力の全てを闇の光へ変えて……!! 彰利 「さらばだ粉雪、みさお。そして悠介……───」 S・W『ギャアアアアアス!!!!』 彰利 「うるせぇハゲ!今カッコイイとこなんだから黙ってろスダコ!!     っておわぁああああああああああっ!!!!」 それは突然の出来事! ああなんてことマイセルフ!……マイセルフ?…………マイセルフ!! サンドワームの野郎が俺を丸飲みにしようと口を開いてきやがったのだ! その様はまるでおめぇ……アレだ、 FF6に出てくる『腹の中に洞窟を持ったゾーンイーター』っつーかなんつーか!! 食べられれば『物真似師ゴゴ』に会えるだろうか!───いや無理!絶対溶ける!! 絶対腹ン中に洞窟なんて持ってねェよコイツ!! いやしかし!だがしかしだ!こういうのは定石通りに行くと、 腹ン中で暴れる一寸法師戦略でなんとかなるのではないか!? 腹ン中からだったら案外アルファレイドでもブチノメーション出来るのでは!? 彰利 「よ、よし来い!!薄っすらと脂の乗った俺を食べてみせぃ!!     多分悠介よりは脂肪があると思うよ!?うん!!」 彼ってばもうマックシング時のジャックハンマーみたいなダイヤモンドマッスルだろうし。 多分脂肪はあんまり残ってないだろうなぁ。 でも不思議と筋肉が目立たないから不思議だ。 普通にスラッとしたボディだし───とかなんとか言ってる内にサンドワームが目前に! 最後に『ウ』を付けて『棒線』を抜けば『サンドワムウ』なヤツが目前に! 奥義はサンドワムウってくらいだからやっぱり『神砂嵐』か!? 彰利 「っておわぁあああああっ!!!」 がぶりんちょ♪ ───……。 ……というわけで、あっさり食されました。 周りを見渡してみれば予想外というか、ゾーンイーターみたいに洞窟紛いの胃袋がそこに。 彰利 「いやぁ……あるんだねぇ、こげなゲームみたいな現象」 外は熱いってのに胃袋の中は以外にひんやりしてる。 案外心地いい……つーかここに家を建てたいくらいに住みやすそうだ。 困ることと言えば、時折砂を食っちまうみたいで砂が流れ込んでくることくらいか。 あぁ、あとメシが無いな。 胃袋削って喰おうにも……案外硬いぞ、こいつの胃袋。 まるでホントの洞窟だ。 彰利 「消化出来てんのかね、まったく」 それはそれとして、と。 どこから滅ぼしてくれようかね。 彰利 「洞窟になってるからには何処まで続いてるのか気になるけどね、     今の俺にゃあそれほどの余裕がないわけだ」 なんてったって親友の安否が気になるところだし。 彰利 「まずはこの胃袋(?)を破壊して……」 声  「うわわっ!待ってください!」 彰利 「むっ!?何奴!?」 それは突然のことだった! いやそりゃあ自覚が無ければなんでも突然な出来事になっちまうのが世の中なんだから、 なにが起きても突然って言えば突然なんだが。 ともあれ声のした方向を見てみれば、 そこには浮遊する小屋に乗ったひとりのあんちゃんがおがったとしぇ。 ……タレ? 男  「胃袋に刺激を与えないでください……!     一気に胃液が飛び出してきて大変なことになりますよ!」 彰利 「バカヤロコノヤロォ、どうするかなんて俺の勝手だい。     貴様こそこげなところでなんばしょっちょか、こんげら」 男  「なにって……見ての通り、食べられてどうすることも出来ない状態にありますが」 彰利 「なるほど、一目瞭然とはまさにこのこと。で、キミ誰?     俺は孤高の紳士、弦月彰利という武士ぞ」 男  「申し遅れました。私はミルグナント=ロハイムという者。     魔導魔術に手を染め、魔導錬金術にも手を染める魔術師です」 ペコリとお辞儀をする男。 その名も─── 彰利 「マリグナント・バリエーション?」 ハイム「ミ、ミルグナント=ロハイムです!」 違ったらしい、残念だ。 彰利 「で、ロムスカくんはここでなにしとるん?」 ムスカ「ロムスカではなくロハイム!!」 彰利 「いいじゃんムスカで。覚え辛いからキミムスカ。ロムスカ=パロ=ウルラピュタ」 ムスカ「……嫌な人ですね、あなた」 彰利 「そうだ」 何を隠す必要があろう、俺こそはTHE・無礼人(ぶれいど)。 初対面でも容赦せんしストレイツォでも容赦せん。 彰利 「で、ムスカくん。キミは魔導術師だそうだね?なんとかここから出られない?」 ムスカ「ムスカじゃないけど言わせてもらいましょう。     私もつい先ほど飲まれたばかりなのでなんとも言えませんが……     ひとまず壁……というよりは胃袋ですね。     胃袋の外壁を刺激するようなことはしないでください」 彰利 「やった瞬間胃液がゴポリ?」 ムスカ「はい、ゴポリです。私の場合、小屋が浮遊しているお蔭で助かりましたが」 彰利 「ほうほう……だったらそれに乗りながらか浮遊しながら攻撃すりゃあいいわけだ」 ムスカ「攻撃って、一体なにを?」 彰利 「ままま、ちと離れときんさい」 ムスカくんに離れるように指示すると俺も宙に浮き、右手に熱い吐息を吹きかけた。 彰利 「よっ」 ドボッシャアッ!! 悠介に習うように音速拳の要領で壁……胃袋?を殴った。 すると見渡せる胃袋の壁全てから一気にウジュルと湧き上がる汁!汁!汁! それは当然胃袋の天井からもなわけで───ポタリ、ジュウウウウウウッ!!!! 彰利 「ウワラジャウギャラジャオギャギャギャギャアアアアア!!!!!!」 熱くて痛い!?いや痛い!?なんて喩えればいいんだコレ!!訳解らん! 痛くて熱いのか純粋に痛いのか溶けて痛いのかあぁもう解らんワケ解らん!! 彰利 「ムスカくん!その小屋ってば屋根は丈夫!?」 ムスカ「ロハイムです。……一応、廃棄の干渉払いを継ぎ足して作った小屋ですから。     熱や霊気、胃液やちょっとした衝撃などには耐えられますよ。     そうじゃなかったら自分が試した時に溶けてます」 彰利 「おおそれもそうだ!つーわけで入れて!?」 ムスカ「構いませんけど……って、貴方はブレイバーなんですか?」 彰利 「むっ!?貴様……何故それを!」 ムスカ「ランクプレート見れば解りますって。     これでも私は旅のランクライセンス屋なんですから」 彰利 「ほうほう……で、旅してたらゾーンイーターに食われたと?」 ムスカ「……まあその、そんなところです」 それって『旅のなんたら屋』としては物凄くダメな気がするんだが? 俺が言うのもなんだが、こいつの未来が少々不安に思えてしまったよ。 彰利 「んで……こっからどうやって出るつもりだい」 ムスカ「それが解らないから苦労してるんですがね」 彰利 「ンマー、そりゃそうだが───少々手荒い方法でも文句ない?」 ムスカ「え……そりゃあ出られるならもうなんでもいいんですけど」 彰利 「よっしゃ任しとき!     むしろ転移で出れば一発なんだが、こういう状況下でそげなヤボは無しだ!     先ほど溜めたフルブレイクの力を爆発系から波動系に変えて───!!」 少々宙に浮くと、自分の前にフルブレイクカタストロファーの力を集めてゆく。 彰利 「これであの世へ送ってやる!!     ビッグバンッ……!!かめはめ波ぁーーーーっ!!!!」 集まってゆく『黒の光』に両手を添えると、それを一気に解放!! 黒い閃光は澄み切った轟音を掻き鳴らし、 胃袋の壁へと衝突しマゴシャアアアアアンッ!!!! 彰利 「オギャアアアーーーーーーッ!!!!!」 ムスカ「うわぁああああーーーーーっ!!!」 見事に爆発してくれた。 付け加えておきたいが、言い回しはソレとしても爆発させる気はさらさらなかった。 どちらにしろ結果は散々である。 爆発とくれば光と煙に包まれてギャアアが定石なんだろうが、 残念ながら俺の波動は全てが黒なわけで、 俺とムスカくんはヤミに包まれたまま小屋ごと吹き飛ばされた。 ───……。 ……。 で、気づけば─── 彰利 「グ、グムゥ……」 ……そう、気づけば小屋の中に倒れてた。 何気なく外を見てみればそこは砂の上───つーことは? リヴァ「無事か、検察官」 彰利 「んあ……おー、リヴァちゃん」 リヴァ「そういう呼び方はやめてくれ……」 溜め息とともにリヴァイアに迎えられた。 俺も溜め息を吐くとともに小屋の中に寝転がり直し、 近くに倒れてたムスカくんにウェ〜イと親指を立てて見せた。 ムスカ「無茶しますね……」 彰利 「何を言うか、これが無茶だっつーなら悠介のやってることはどうなるのさ」 ムスカ「───ユウスケ?」 ハタと、ムスカくんが不思議そうな顔をする。 俺はそげなムスカくんにギヌロと睨みを利かせた。 彰利 「お?なんだ?やンのかコラ」 リヴァ「いきなり喧嘩腰になるなよ、検察官。なぁお前、もしでいいんだが……     これくらいの大きさの黒紫色の珠を見かけなかったか?」 ムスカ「えっ?えっと───ってうわぁああああっ!!?     リ、リリリリヴァイアさまぁっ!!?」 彰利 「これ!そういうときは『リィイイイイイリバイアサン!!!』でしょう!」 ドゴスッ!! 彰利 「ハンブルグッ!!」 リヴァ「『さん』付けで呼ぶなっ……!!」 彰利 「しぇっからしかとぉっ!!     うーさおいどんがどぎゃんこと言ったったか聞いとっとーと!?     おいばリバイアサンと言ったんでよ!リヴァイアサンって言ったんじゃなかと!!     解ーかこん発音ば違い!口ば開けて言う『バ』じゃなく、     唇を噛むようにして言う『ヴ』の発音が大事ったい!解っとーと!?」 リヴァ「お前の喋り方がまず解らない。まず黙れ鬱陶しい」 彰利 「うわヒッデェ!!鬱陶しいって言った!     今この人鬱陶しいって言ったよ!!」 リヴァ「言ったがどうした、黙れ」 彰利 「お、押忍」 ……なんかボク、空界だとこんなんばっかだよね……。 なんて可愛そうなボク……。 ムスカ「お、お会い出来て光栄です!あ、あの俺……じゃなくて私はっ……!!」 リヴァ「落ち着け。それと聞きたいことはひとつだけだ。     さっきも言ったけど黒紫色の珠を見なかったか?」 ムスカ「は、はい!見ましたですはい!」 彰利 「なんと!?何処で───何処でだ!?」 ムスカ「いえあの……拾ったんですけど、     用途が解らなかったので行商人に売ってしまって……」 彰利 「ベンハーッ!!」 ドス! ムスカ「ヘキャッ!」 極上馬鹿にナックル進呈!ああもうこいつお馬鹿!! つーかもう大馬鹿!王馬鹿!至高馬鹿!オメガ馬鹿!! 彰利 「そんじゃあその行商人てぇのは何処ぞ!?とっとと言わんとヒドイぞこの野郎!」 ムスカ「え、えっと……ハローナル渓谷に向かうって言ってましたから、     もうここらには居ないかと……」 彰利 「この馬鹿ちん!」 ドス! ムスカ「ベン!」 オメガ馬鹿にナックル進呈! 彰利 「そんじゃあそのハローナル渓谷ってのはどこじゃい!!」 リヴァ「落ち着けって言っただろ検察官。ハローナル渓谷ならここからそう遠くない。     こっちだ、急ぐぞ」 言うなり、リヴァちゃんたら全力疾走。 まるで滑るかのようにスジャーと走っていった。 っていかんかん、感心してる場合じゃあねぇ……俺も追わねば。 彰利 「それじゃあ俺はこれで失礼させてもらうよ。     キミは……って、あのゾーンイーターは?」 ムスカ「さっきの光で死んだか、それとも潜っているかでしょう。     どちらにしろ私ももうここから離れますが」 彰利 「そうした方がえ〜よ」 ムスカ「ところで……その、『ユウスケ』というのは     『ユウスケ・ツゴモリ』のことですか?」 彰利 「……お?知っておるん?」 ムスカ「ああ、やっぱりそうでしたか。     知ってるもなにも、この小屋を浮けるようにしてくれたのは彼ですから」 彰利 「ほぉ〜〜……それで?」 ムスカ「お蔭でこうやっていろいろなところへ行けるようになったんです。     海の上も渡れて便利ですよ」 彰利 「ほぉ〜〜……それで?」 ムスカ「あ、いえ……それだけです」 彰利 「この星も大体片付いたな……。     フリーザさまにもっと歯応えのある星を紹介してもらうか……」 ムスカ「フリーザ?」 彰利 「んにゃ、ただのベジータの真似だから気にしなさんな」 俺は死神の骨子に力を送ると浮遊し、一気にその場から離れるように飛翔した。 その速度たるや、ツバメのそれを凌駕する速さだっただろう。 ……が、それでも中々リヴァちゃんの姿を見つけるまでには時間がかかった……。 リヴァちゃん、キミ速すぎ……。 Next Menu back