───FantasticFantasia-Set42/空中大庭園バトル───
【ケース92:晦悠介(再)/よくあるあの面倒な進み方】 ───……ォォォォオオオオオオッ───バチュゥンッ!! 男衆 『おわぁああーーーっ!!!』 女衆 『ひぇえゃあああーーーーっ!!?』 何もない虚空に突っ込んだ途端、景色が一変して見知らぬ場所へと降り立った。 というより、放り投げられた。 結果、俺達は転がって───ピピンッ!ピピンッ!! ???《侵入者アリ!!侵入者アリ!!タダチニ排除スル!!》 ……闇の精霊シェイドの言うとおり、この場所が敵だらけだという事実に行き着いた。 彰利 「お?なんだ?やンのかコラ」 で、みんなが驚く中でひとりだけやる気の彰利がボクシングポーズを取って構える。 が、浮遊する小さな機械のようなものが放ったレーザーが彰利の頬を薄く切ると、 振り向いて『逃げよう?』とガイアばりの極上スマイルで言った。 悠介 「に、逃げるったって何処にだ!」 彰利 「なに言っとんの!そげなもん、この機械もどきの居ない場所に決まって───!」 彰利がバッと手を横に振って周りを見る。 ───が、その一面にその『機械もどき』が居ることに気づき、滝のような汗を流した。 彰利 「えっと……」 小さな機械から大きな機械まで選り取りみどりだ。 けどそいつらは本当に機械というわけではなく─── ベリー「すごい……!エメオ=ノヴァルズだ……!実在したんだ……!」 悠介 「って、ひとりで納得してないで教えろ!なんなんだよこいつら!」 一斉攻撃を開始してきた機械もどきを叩き落しつつ質問。 余裕をもって行動したいもんだが、全然まったく余裕なんてもてなかった。 ああつまり……数が多すぎ。 しかもいきなり襲い掛かってくる始末。 ベリー「うわこのっ!え、えっとねぇ!これは『エメオ=ノヴァルズ』っていってねぇ!     かつてのノヴァルシオにも幾つか存在したっていう古代技術で造られた物体よ!     ノヴァルシオが落ちた際、地上の空界人がそれを回収して研究したんだけど、     ついにはその生態もどうやって造られたかも不明のまま!     機能停止すると同時に塵になって消えたのよ!───ああもう邪魔っ!!」 彰利 「なんと!?ではこやつらってモンスターなの!?」 ベリー「お馬鹿!死んじゃえばドラゴンだって塵になるでしょ!それと似たようなものよ!     わたしにだって解らないことはまだまだあるんだから、     なんでもかんでもわたしに訊かないでよ!」 彰利 「なんだと魔女この野郎!!てめぇそれでも魔女かコラ!!」 ベリー「魔女かどうかと知識は関係ないでしょ!?」 彰利、みさお、ベリーも懸命にエメオ=ノヴァルズを破壊してゆく。 そんな中で、ふと視線を移してみれば───ドゴゴゴゴゴゴゴチュチュチュチュゥウン!! 智英&荒焼き『しょげぇえぁあああああああーーーーーーーーーっ!!!!!!』 智英と荒焼きが集中攻撃を受けて断末魔の悲鳴をあげていた。 どうしてか狙われまくっているようで、 俺達への負担が大分減ったので……まあ役に立っているといえば立っている。 悠介  「それでベリー!光の精霊は何処に居るんだ!?」 ベリー 「わ、わたしだってここ入るの初めてなのよ!?知るわけないでしょ!」 彰利  「ぬぅうこの役立たずが!      これシェイドさんや!?こっからどう進めばよいのかね!?」 シェイド『ここから三つの塔が見えるな?      そこへ行き、塔の頂上にある光の珠を砕けばいい。      そうすることでこの大庭園の中央に道が出現する』 彰利  「オッケン!そーゆーわけなんだけど!?どうする!?」 ベリー 「じゃあみっつに分かれてそれぞれで光の珠を砕きましょ!      編成はそっちで適当に決めて!わたしは西の塔に行くわ!」 みさお 「じゃあわたしもそっちに行きます!」 悠介  「よし、じゃあ俺は東へ行く!彰利は───」 彰利  「オウヨ!俺は───東へ行く!!」 悠介  「馬鹿かオマエは!そうしたら北の塔に行くヤツが居なくなるだろうが!!」 彰利  「居なくなる……?馬鹿な、適役はちゃんとあそこに居るじゃないか」 彰利がゆっくりと指を差す。 俺はそちらへと振り返り───絶望した。 智英 「モミィイイイイイーーーーーーーーッ!!!!!!!」 荒焼き「しょげぁああああーーーーーーーっ!!!!!」 そこでは智英と荒焼きが未だにレーザーを撃たれまくっていて、泣き叫んでいた。 悠介 「……冗談だよな?」 彰利 「いや……うん、さすがに冗談にしとかないとヤバそうだわ」 どうやら最初は本気だったらしい。 勘弁してくれ。 彰利 「んじゃあ俺は北の塔に行くわ。それでは各自突貫!!」 全員 『おうっ!!』 彰利の言葉を引き金にそれぞれが疾駆した。 俺は東塔、ベリーとみさおは西塔、彰利は北塔、智英と荒焼きは囮という方向で。 離れてゆく俺達の耳には、最後まで智英と荒焼きの絶叫が届いていたが、 終始完全無視を決め込んだのは言うまでもない。 【ケース93:弦月彰利/黒と闇の人】 彰利 「アァルファレイドッ───カタストロファーーーッ!!!」 キィイイイイッ───バジュゥン!ズガガガガガガァアアッ!!!! 次から次へと襲い掛かるエメオなんたらを壊してゆく。 最初はガトリングブラストで行っていたが予想以上に耐久力が強く、 ガトリング程度じゃ壊せないから厄介だった。 彰利  「そらシェイド!とことん暴れろ!長い洞窟暮らしで鬱憤も溜まってるだろ!」 シェイド『言われるまでもない!』 シェイドは双頭剣を取り出すと、それに闇を流し込んだ。 すると双頭剣からもう二本の刃が飛び出して、まるで手裏剣のような形に変わる。 シェイド『消え失せろ』 酷く冷たい声で放たれた言葉とともに風を裂く四頭剣。 それは嫌になるくらい存在するエメオなんたらを簡単に砕いていき、 敵によって塞がれていた道をあっさりと開けた。 彰利 「………」 呆気に取られるのは当然だ。 簡単には破壊できない群集を、剣を投げただけで悉く滅ぼしていくんだ。 唖然とするななんて無茶すぎる。 シェイド『なにを呆けている。進め』 彰利  「あ───っと、解ってますわ!!」 そこでやっぱり確信する。 俺と戦っている時、シェイドはてんで本気を出していなかった。 彰利  「シェイド───キミさ、俺を利用して外に出たかっただけだろ」 シェイド『さてな。そんな前のことは忘れたな』 彰利  「ヤなヤツだねキミ」 けどそんなことは今さらだ。 俺は必要なものを手に入れたし、それこそ今さらあーだこーだ言うつもりもない。 シェイドが悠介と契約し直すと言っても悔しいとかそういう思いもないだろう。 むしろ逆に、悠介をエレメンタルマスターに仕立て上げるのも面白そうだと思っている。 彰利 「クォックォックォッ……さあ行きますよシェイドさん!!     全ては我が親友のために!こげな場所などあっと言う間に攻略してくれよう!     存分に後悔なさい!“解放、比類無き深闇の漆黒鎌(ロード、ゼノ)
”!!」 ルナカオスにダークスライサーを流し込み、 シェイドから闇の力のバックアップをしてもらってダークネスフラッシャーを放つ。 ルナカオスから放たれた闇の光から闇の刃が無数に放たれ、 エメオなんたらを次々と穿ってゆく。 彰利 「よっしゃよっしゃ!やっぱ予想通りこやつら闇属性に弱ェぜ!!     さあ存分に後悔なさい!!素晴らしいでしょう!後悔なさい!!     あなたがたには十数える間だけ後悔する時間を差し上げます!ひとつ───」 ゾガガガガガガガシャァアアアンッ!!!!! 彰利 「キャーーーッ!!?」 ひとつ数えた途端にシェイドさんが投げた四頭剣が戻ってきて、 その場に集まったエメオなんたらを薙ぎ払った。 あまりの出来事に大変驚くと同時に、 怪虫に襲われそうになった仲田くんの叫び声を上げてしまった。 彰利  「こ、これシェイちゃん!人の決めセリフの前口上中になんたることを!      この後悔の時間を終わりにして      さらなる後悔の時間を差し上げられたいのですか!?後悔させますよ!?」 シェイド『御託はいい、進め。弱すぎて話にならん』 彰利  「ゲェエエーーーーーッ!!!」 弱いって言った!この人弱いって言った! 人がアルファレイド使ってひとまず滅ぼせる相手に弱いって! ……なんだか今なら、 自分のレベルが少ない内にケルベロス仲魔にしたどこぞの主人公の気持ちが解る気がする。 マグネタイト足りねぇっつーの。 などと思ってる間にも突貫してくるエメオなんたらを破壊してゆく。 休む暇無しとはこのことだ。 彰利  「その点で言うとキミって経済的よね。消費物なんて無いし」 シェイド『何を言っている?精霊の召喚には精神力の消費を伴うぞ』 彰利  「そうなんですか!?」 私は大変驚きました!! てっきり消費するものなんて無いと思っとったのに!! シェイド『精霊が強者と契約するのもそれが理由だ。      向上心の無い者は精神も脆弱なものだ、仕方ないだろう』 彰利  「あ〜……ナルホロ……」 確かにそれじゃあ強者とじゃなくちゃ契約出来んわ。 弱いヤツじゃああっという間に精神崩壊して、召喚どころじゃないってことだ。 彰利  「……アレ?ってことはさ、キミみたいに強か精霊と契約しとるおいどんは……」 シェイド『精神の消費は激しいだろうな。気をしっかり持て。      それから我を召喚する時は【黒】を展開してからにしておくといい。      消費が抑えられるぞ』 彰利  「サー・イェッサー!!」 なんだかそうしないとマジで倒れそうだ。 気をつけよう。 彰利  「しっかし長い通路だなオイ!これってどれだけ続いてるの!?」 シェイド『このまま螺旋状に最上階まで続いているだろう。      そこにある光の珠を砕けばそれでいい』 彰利  「あんじゃい!だったら天井ブチ破ってすぐ向かえばええやん!!      オラ突貫ーーーッ!!!」 ゴォッ───メゴォンッ!! 彰利 「ギャップス!!」 飛び、頭突きで破壊してくれようとした天井はとんでもなく固かったです。 思わず頭がヘコんでしまったんじゃないかと錯覚するほどだったのです。本当です。 彰利 「ゴワギャァアアアアーーーーーーーッ!!!!!     ギャアーーーーッ!!ウギャアーーッ!!いたやぁああーーーーーっ!!!!」 俺は、それはもうもんどり以上の暴れっぷりをしました。 痛いです、硬いです。 シェイド『愚かしいな。この塔は黒曜石で出来ている。      頭突き程度で破壊出来れば苦労はしない』 彰利  「カカカカカ……!!そ、それ早く言ってほしかった……!!」 うお……頭蓋陥没してるんじゃねぇかこれ……。 涙と眩暈が止まらねぇ……。 シェイド『馬鹿者を契約者に持つと存外に苦労する。しばらく休むか』 彰利  「お、俺はまだまだやれるぜ〜〜〜っ!!」 甞められっぱなしは性に合いません。 俺は勢いよく立ち上がり、やる気の有無を見せつけ───ドシャアと転倒した。 彰利 「な……なんだこれは……眩暈がする、吐き気もだっ……!     なんということだっ……このDIOがっ……!     頭蓋を砕かれて立ち上がれないだとっ……!!」 砕かれちゃいないが、とりあえず動けそうになかった。 オウシット。ハリィシット。 シェイド『どうでもいいがな。ここで動けないということは      先ほどの謎漢と怪物ウィリブと同じ末路に陥るということを忘れるな』 彰利  「謎漢は解るけど、ウィリブってなに?」 シェイド「魚のことだ。空界では魚のことを代表してウィリブと呼ぶ。      魚は魚と呼べばいいのだがな、      一般的な魚といえば空界ではウィリブという魚なのだ」 彰利  「つーとあのバケモノふたり組のことかい───      ってしつっこいわ!エエ加減にせぇ!!」 これでもかってくらいにしつこいエメオなんたらに キングクリムゾンの一閃を放ってブッ潰す。 それでも後から後からわらわら増えてくるエメオなんたら……勘弁してください。 彰利  「あのさぁシェイちゃん?このエメオなんたらっていったいどれくらい居ンの?」 シェイド『エメオ=ノヴァルズだ。言っておくがこいつらに限りなどないぞ。      こいつらはこの浮遊島で精製されている。      絶対数というものがあってな、      決められた数から減れば、それを満たすために精製される』 彰利  「え───じゃあ倒すだけ無駄?」 シェイド『進むためには破壊するしかあるまい。      立て、眩暈など大したものではないことくらい知っている』 彰利  「はぁ……」 多分、悠介が溜め息吐く時ってこういう時なんだろうなと思った。 けどしゃあない。 俺は勢いよく起き上がると、ルナカオスにさらに闇を注ぎ込む。 彰利  「行きますよシェイちゃん。存分に後悔させておあげなさい」 シェイド『その【後悔】がどうたらを言うのはやめろ』 言いながら構え、一呼吸吐いて走り出した。 止まる気は無い。 破壊し、ただ進むだけだ。 彰利  「行くぞぉおーーーーっ!!!シェイド!!」 シェイド『応ッ!!』 止まったら捕まるだけだ。 小さいが、あのレーザーの威力は確かなのだ。 囲まれて撃たれまくったらいくらなんでもアウトだ。 彰利  「(ハン)ッ!!」 螺旋状に上へ続いているだけだといっても、 長すぎる通路の先から次々と飛んでくるエメオさん。 そいつらにダークネスフラッシャーを放つとともに、 発生する塵の中へ潜り込むように駆ける。 同じく塵の先から現れるエメオさんをシェイドが剣で破壊してゆく。 その速度は俺の限界速度なんて軽く超えた速さだ。 彰利 「ああもう手加減されてたのは悔しいけど今はその強さが有り難いわ!     ああっ!なんて素直なボク!!」 通路が闇に包まれ、 様々な場所から破壊音が聞こえる中で───俺はただ闇の中を突っ切った。 【ケース94:ヤムベリング=ホトマシ−/クリムゾンメイガス】 ベリー「走り抜けなさい小娘!」 みさお「小娘って言わないでください!───あなたがたも邪魔です!!     アルファレイドカタストロファーーッ!!」 無限に現れるエメオ=ノヴァルズを破壊してゆく。 驚いたことに小娘は強力な光を幾度と無く放って、それでも尚平然とした顔で走っている。 悠介とツンツン頭のデータからロードした知識によれば、 この小娘は『冥月刀』というものの具現体。 月操力っていう神の力と死神の力を少し混ぜた力を行使する月の家系の子。 けどその力は他の誰よりも濃く、だというのに他の誰よりも安定している。 ベリー「訊いていい?なんでそれだけの力を何発放っても平然としてられるの?」 小娘とともに通路を駆け抜けながら言う。 小娘はそれを聞いて妙な視線でわたしを見たあと、 また出てきたエメオ=ノヴァルズに光を放って破壊した。 みさお「わたしの中に冥月刀っていう月光石で出来た刀があるからですっ!!     ああもうしつこいですね!!ガトリングッ……カタストロファーーーッ!!!!」 ゴォオオガガガガガガァアォオオオオオンッ!!!!!! ベリー「……あ、はは……」 単純な威力ではエクスカリバーには勝てないものの、 エメオ=ノヴァルズを破壊するだけならこれほど便利な攻撃はないだろう。 ベリー「月光石があるってだけで何発も撃てるもんなの!?」 みさお「神の血も死神の理もわたしの中にあります!     それを支える奇跡の魔法があれば何度消費しても回復されるんです!     ただ───消費が大きすぎれば回復まで時間がかかるんです!」 言って、やはり光を放って襲い掛かるソレを次々と破壊する。 わたしは後ろから追ってくるソレに魔導を放って破壊する。 みさお「ところで何処まで続くんですかこの通路!無駄に長すぎですよ!?」 ベリー「わたしだって知らないわよ!」 長い長い通路を駆ける。 けど、全然果ては見えない。 塔自体がとんでもない高さと大きさを見せていたのは解っていたけど───ここまでとは。 意識を集中させればこの通路がほ〜〜〜んの少しだけ坂道になってるのが解るけど─── まさかここまで広いとは。 感覚の鈍い人じゃあ同じ場所を走らされてるんじゃないかって思うくらいだ。 ベリー「塔自体はダマスクスと黒曜石を加工したもので出来てるみたいだから     破壊してショートカットも出来ないし……なによりエメオ=ノヴァルズが邪魔!」 魔女だからって魔導力が無限だなんて思うな! ここまでしつこく出られれば魔女だってキレるわ!! ベリー「深淵より我が魔導を引き出さん……。言の誓約より我が意思を外せ。     “LuminousDestory(至光にて万物を砕かん)───Fill agains Fill. Sword of SupremeRuler(満たし、更に満たせ。その意が覇王の剣と化するまで)”」 両手に極光を込める。 いい加減面倒になってきたわたしはとうにキレていたのかもしれない。 みさお「え……あ、ちょっと待ってください!なにをする気ですか!?」 ベリー「あぁっはっはっはっはぁっ!!ブッ潰れろぉっ!“───Excaliver(魔導極光剣)”!!」 魔導を全開にしてエクスカリバーを放った。 もういい、ダマスクスくらいエクスカリバーだったら破壊できる。 ガカァアッ!!!ギキキキキキキィイイインッ!!!! ベリー&みさお『キィイイヤァアアアアーーーーーーーッ!!!!!』 ───……破壊できる筈だったのに、 放ったエクスカリバーは通路の壁を反射するだけで、 その通路に居たわたしと小娘を苦しめた。 どうやら塔自体に強力な魔導反射のなにかが編みこまれていたらしく、 わたしと小娘は逃げ回ることとなった。 それはそうだ、当たれば絶対に死ぬ。 みさお「馬鹿ですかあなたはっ!!こんな狭い場所であんな攻撃するなんて!!」 ベリー「あーーーうっさいうっさい!!!!」 放った極光は天井と床と左右の壁に弾かれながら先へ先へと飛んでゆく。 もちろんその場に居たエメオ=ノヴァルズを破壊しながらだ。 これはこれで突き進みやすくなったといえばなったか。 ベリー「行くわよ小娘!」 みさお「解ってます!それと小娘って言わないでください!!」 駆け抜けてゆく。 でもふと思った想像がわたしの中に通ると、寒気がゾォッと駆け抜けた。 たとえば───こうやって極光を追いながら駆けていて、先の方に壁でもあったら─── その瞬間にエクスカリバーが跳ね返ってきて一発で消滅、なんてことに…… ベリー「ひぃいっ!かかか考えないようにしよっ……!!」 駆け抜けてゆく。 けれどもその速度が少し遅くなったのはわたしの恐怖からで─── 隣で速度を落とした小娘も恐らくは同じこと考えてるんだろうな〜って、そう思った。 【ケース95:晦悠介/エレメンタル野郎】 ───ォオオオオオオオオッ!!!! 悠介 「ォオラァッ!!」 ゴバッッシャァアアンッ!!!! 次々と現れるエメオ=ノヴァルズを破壊しつつ全力で疾駆する。 後ろから飛んでくるエメオ=ノヴァルズは精霊達が破壊してくれている。 悠介 「ったく……どれだけ続いてるんだこの塔は……」 馬鹿みたいに広く、馬鹿みたいに高い。 全力での疾駆でさえ果ての見えない場所を延々と走らされているようだ。 悠介 「っ……なぁ、この塔ごと光の珠っていうのを破壊することは───」 いや、ダメだ。 この場所は遠い昔に誰かが造ったもの。 それを自分の勝手だけで破壊するのは酷い侮辱だ。 ネレイド 『破壊、ですか。それは───』 悠介   「いや───すまないネレイド、今のは無しだ。       破壊が可能でも不可能でもいい、このまま進もう」 オレアード『マスター!こちらへ!』 悠介   「おっ───とわぁっ!?」 オレアードが俺の手を引く。 次の瞬間、俺の後ろをレーザーが飛ぶ。 その即座にナパイアが通路の地形を変形させて、 後ろから追ってくるエメオ=ノヴァルズを潰してみせた。 悠介   「……すごいな、そんなことまで出来るのか」 ナパイア 『自然を操るのがわたしたちの力ですから。       ご安心なさってください、       マスターの命はわたしたちがお護りいたします』 ノーム  『だけどすごい精神力だよなー。       普通精霊をこれだけ出せば精神がもたないぞー』 サラマ  『素直に感心する。大した男だ』 ディー  『あまり無茶をしないでくださいね、悠介さま』 ニーディア『我だけで十分だがな……存外に臆病か?』 悠介   「慎重だって言ってくれよ……」 シルフ  『情けない声を上げるなマスター。強者がそんなことでどうする』 小言を言いながらも、次々と現れるエメオ=ノヴァルズを地盤で砕き、 水で流し、火で焼き、風で吹き飛ばし、雷で破壊し、さらに自然が押し潰す。 俺がすることなんて、 時折吹き飛んでくるエメオ=ノヴァルズをこの拳で破壊することくらいだ。 悠介 「つーか硬ッ!!痛ぇっ!!」 力を込めた拳が裂けた───が、一応破壊は出来る。 悠介 「……よし!来いっ!!」 気合を込めて疾駆した。 まだまだ続くこの長い通路のような螺旋の坂を。 ───……だが。 悠介 「………」 結局あれ以来エメオ=ノヴァルズの流れ弾が飛んでくることなど一度としてなく、 俺はただ黙々と走るだけだった。 ……返せ、俺のやる気と気迫。 ディー『………───え、えいっ!』 モシャアと溜め息をついたその時、 まるで掛け声のような声とともにエメオ=ノヴァルズが一体だけ飛んできた。 俺は反射的にそれを破壊すると、エメオ=ノヴァルズが飛んできた方向を見た。 ディー『………』 その先ではウンディーネがにこ〜っと笑っていた。 悠介 「…………うおぉおおおおおっ!!同情なんてっ!同情なんてぇえええっ!!!!」 ディー『ああっ!悠介さまっ!?』 俺は駆けた。 全力を超えた全力を振り絞り、まるで風を切り刻むが如く。 そう───ようは精霊の飛翔速度よりも速く走ればいいのだ。 そうすればこの溜まった悲しみを発散することが─── シルフ『わたしたちを振り切ろうというのなら無駄だ、やめておけ。     自分の指になにが付いているのかをよく考えるんだな、【マスター】』 悠介 「───……」 ───……出来そうになかった。 サラマ『自分で呼び出しておいて振り切ろうだなど。     ……妙な考えをする。おかしなものだ』 悠介 「ほっとけ……自分でもおかしな行動取ったって呆れてるんだから……」 所詮そんなもんだった。 とかなんとか言ってる間に、今までとは違った景色が見えてきた。 シルフ『マスター、果てが見えたぞ。大した速さだ、褒めてやる』 悠介 「あのな、お前の言い方全然褒めてるように聞こえないぞ」 シルフ『元がこういう口調だ、これでも褒めている』 悠介 「そうか……?」 どうしてか素直に喜べなかった。 けどまあ、なにはともあれ開けた場所に辿り着いた───途端、泣きたくなってきた。 ニーディア『ほう、ルミナスゴーレムか。       ウィルオウィスプめ、どうやらここでの暮らしが気に入っているらしい』 ゴーレム 『ゴォオオオオオオオオオオンッ!!!!』 そう、まただ。 またバカデカい相手だ……しかもその大きさがハンパじゃない……。 シルフ 『気をつけろマスター、相手の強さはそこいらのドラゴン並だ。      ただのデカブツだと油断するとやられるぞ』 悠介  「ドラゴン並って……じゃあ他の塔に居るやつらは───」 ナパイア『……なにを言っているのですか?ゴーレムが居るのはこの塔のみです』 悠介  「───へ?」 ナパイア『え?あの……知っていてわざと自分で選んだのでは……?』 悠介  「………」 神様……俺は本当に馬鹿なんでしょうか……。 サラマ『仲間思いな契約者だと感心していたのだがな……まさか素だったとは』 悠介 「おぉおおっ……おぉおおお……!!」 多分人が本気で自分を呪う時って、こんな時なんだろうと心の底から思ったりした。 けど泣いてる暇は無い。 悠介 「くっそ……こうなりゃヤケだ!!全力で行くぞお前たち!!」 精霊 『応ッ!!』 叫ぶとともに黄昏を創造。 屠竜剣を鞘から抜き去ると、強く握ることで戦斧石の力を引き出した。 が─── ドリアード『呼応なさい、自然の摂理よ。海、水、木、山、森、谷の理をここに』 ニーディア『地水火風の四大元素よ、我が雷の糧となれ。       六大の自然と四大の元素に囲まるることで荒ぶる神の裁きよ───』 ルミナスゴーレムを囲むように六人のニンフが六芒星を模した位置に立ち、 その内側でさらに地水火風の精霊が四つの位置に立つ。 そしてその内側───中央に居るルミナスゴーレムの頭上に居るのがニーディア。 ゴーレム『ゴォオオオオオオオオオンッ!!!!』 計、十の精霊に囲まれ、一体の雷獣に見下ろされたルミナスゴーレムが吼え猛る。 それとともに攻撃を繰り出すが、そのどれもが空振りに終わる。 なにせ、攻撃する度に突風に抑えられて攻撃がスローに見えるのだ。 あんな攻撃では誰も傷つけられない。 そして、俺もルミナスゴーレムも悟るのだ。 『この場から離れなければ危険だ』と。  ォオオオオオオオオオッ!!!! だが気づいた時にはもう遅い。 それぞれの精霊の存在自体で象られた魔方陣からは魔力の渦が発生し、 それは竜巻となってゴーレムを包み─── それだけでなく、その頭上に居るニーディアへと飲み込まれてゆく。 悠介 「───っ!!」 直感がそうさせた。 俺はすぐさまに神魔竜人力を解放し、黄昏の力を以って防御に徹した。 直後─── ニーディア『いくぞ木偶、死に際の雄叫びは済んだか』 冷たく放たれた言葉とほぼ同時─── ゴーレム『───!!』 その場の音が消えた錯覚を覚え、その中でただ、ひとつの呟きのみが耳に届いた。
『“然が拠代たる皇の雷(イレヴナルラインゲート)”』
───声が聞こえた刹那、場が溶け、砕ける気配を感じた。 あまりの轟音に聴覚が訊くことを拒絶するのと同時に、目に映る世界が次々に滅んでゆく。 その崩壊のまさに中央に居たゴーレムなど、瞬間も待たずして刹那に滅びを迎えた。 とんでもなく硬い筈だった塔はいとも簡単に砕け、 俺が立っていた足場さえ滅ぼし、やがてはケシズミひとつ残さずに雷光は消える。 悠介 「………」 出番が無かったとか……そんなことはどうでもいい。 黄昏を消し、地面に降り立った俺は呆然とするのみだ。 塔の表にも嫌になるくらいに居たエメオ=ノヴァルズは見渡す限り全てが滅び、 その場に居るのは余波を食らってピクリとも動かない智英と荒焼きのみだった。 悠介 「いや、それはいいんだが」 ぐったりと動かない智英と荒焼きを完全無視し、舞い降りてくる精霊たちを見上げた。 ニーディア『久しぶりに魔力の全力を解放した。これほど心地のいい気分は実に久しい』 悠介   「だとしてもやりすぎじゃないか?下の大地が見えるほど穴が空いてるんだが」 ニーディア『馬鹿を言うな。確かに全力は出したが、以前はこれほどの威力は出なかった。       場が黒曜石だからこそ我は安心して雷光を放ったのだぞ。       魔導反射を砕き、黒曜石で出来た塔を破壊するなど予想も出来まい』 悠介   「けどな……ありゃ誰が見たってやりすぎだろ……。       お蔭で光の珠っていうのを見ることも出来ずに終わっちまったぞ」 ニーディア『……マスター。お前はもう少し己の力を見極めた方がいい。       己がまだ未熟だと思えば確かにまだまだ上は目指せよう。       だがお前の場合は己の力に関して無知すぎる。       解るか?お前がどのようにして世界の創造をしたのかは知らんが、       その創造が済んだ時、我らの力は飛躍的に上昇した。       ああでもしなければ我らが増幅した力に当てられるところだったのだ』 悠介   「あー……」 それを言われると何も返せない。 確かに全力で行こうとしたのは事実だけど、 あれはやりすぎで───しかもそれが自分の所為とくるとさすがに痛い。 そういえば以前にもこういうことがあった。 黄昏を創造して、未完成の『“遙かに遠き望郷の詩(ワールドオブノスタルジア)”』の『言』を唱えた時。 そう、丁度ミル・ガーゴイルと戦っていた時だ。 黄昏から力が溢れて、 フェンリルもグリフォンも力を吐き出さなければいけない状態になっていたっけ。 恐らくは、だけど───精霊たちの場合、 黄昏の魔力の泉に慣れていないから力が暴走しかけたんじゃないかと思う。 だったら確かに一緒に強くなる必要がある。 こんな風に、力が暴走しかけないようにするためにも。 ネレイド『マスター、エメオ=ノヴァルズが来ます。如何なさいましょうか』 悠介  「もちろん迎え撃つ。お前らは平気か?」 シルフ 『心配など要らない。お前は自分の心配だけをしていろマスター』 悠介  「……シルフさ、俺のこと嫌いだろ」 シルフ 『………』 悠介  「───シルフ?」 シルフ 『た、戯言を言うな。嫌悪を覚えるのであれば契約などしない』 言って、シルフは何処にそんなに居るのか解らないくらい いっぱい居るエメオ=ノヴァルズに向かって飛翔していった。 ディー『照れているんですよ。さあ、わたしたちも参りましょう。     北の塔と西の塔の光の珠が砕けるまでの辛抱です』 悠介 「ん───ああ」 剣を構え、疾駆した。 さっきまでと違って広い場所だとさすがに精霊たちもカバーしきれないのか、 エメオ=ノヴァルズの何体かが俺に向かって飛んでくる。 俺はそれを確認するとともに剣を振るう。  ヒュオッ───ゾフィンッ!パギャアァンッ!! 弧を描く一閃が二体を切り裂き、返す刃が一体を砕く。 その勢いのままに小さく跳躍すると、立っていた場所にレーザーが奔り─── 続いて中空に居る俺へ向けて無数のレーザーが放たれるが、 これをイージスによって弾き返すことで向かってくるエメオ=ノヴァルズを破壊する。 悠介 (よし、いける───!) 確信とともに着地し、地を這うような疾駆でレーザーを掻い潜りつつ破壊。 浮遊島に破壊の音と爆煙が次々と舞う。 どうやらエメオ=ノヴァルズには一定の行動パターンがあるようで、 レーザーを撃つ動作はレンズがまず赤く光ることが判明する。 それが解ると戦いは随分と楽なものになり、 俺は次々と襲い掛かるエメオ=ノヴァルズをそれこそ次々と破壊していった。 が───相手も馬鹿ではないらしく、 セキュリティレベルは段々と高くなっていっているようだった。 事実、エメオ=ノヴァルズの体は後から現れるものの方が大きくなり、 耐久力も上がっている。 やがてレーザーを認識させるレンズの輝きも無くなり、 ジワジワと戦いづらくなっていくのが実感できた。 サラマ『チィッ!キリが無い上に、破壊すればするほど強度が上がってゆく……!!』 シルフ『厄介だな……』 ノーム『シルフー、オイラもう疲れたー。精神的にだけどー』 シルフ『泣き言を言うな。なんとかしろ』 ノーム『うー、面倒なのやだー』 さすがに精霊たちにも疲労……というか、同じ作業の繰り返しに疲れを見せ始めている。 このままじゃまずいな……。 悠介   「お前たちは指輪に戻ってろ。あとは俺がやる」 ニーディア『なに?正気かマスター、この数だぞ。それも、倒せば倒すほど強化する』 悠介   「疲れたんだろ?だったら休め。なんとかなる───いや、なんとかするから」 ニーディア『……確認する。本気か?』 悠介   「危なくなったら呼ぶから。頼む」 ニーディア『───いいだろう、了解だマスター』 シルフ  『ニーディア!?貴様───!』 ニーディア『何か策があるのだろう?       それにシルフよ、マスターの言葉を信じるのも精霊の勤めだ。退け』 シルフ  『……おいマスター。わたしたちの力が信じられないわけではないのだな?』 悠介   「当たり前だ。けど、今は退いてくれ。あとは俺がなんとかしてみる。       大勢で潰すよりひとりでやった方が強化速度も落ちると思う」 シルフ  『……解った、好きにしろ』 言って、シルフが指輪に戻ってゆく。 それを合図にするように他の精霊も指輪の中に戻っていき、その場には俺だけが残された。 エメオ《……排除、スル、排除……スル》 悠介 「……上等!」 俺は俺を信じてくれた精霊たちに感謝しながら、剣を鞘に納めて構えた。 同時に意識の手を裡に埋没させると、小さく創造した黄昏からゲイボルグを抜き取った。 悠介 「そっちが数ならこっちは手数で行かせてもらう。     自信過剰になるつもりはないが、剣と槍の攻撃速度が同一だなんて思うなよ」 視界が赤く変異する。 槍を握る手には力が篭り、黒髪だったソレは銀色へと変わる。 元より朱いゲイボルグの槍は鞘に納まった屠竜剣から流れる戦斧石の力を受け止め、 さらに紅蓮に染まっている。 悠介 「疾───!!」 足に力を溜め、放たれたレーザーを掻い潜りながら奔る。 刹那に連ねる連撃は『一』を唱える内に実に十二。 確実にエメオ=ノヴァルズを一撃で突き穿ち、止まることなく破壊してゆく。 エメオ《排除セヨ!排除───》 ツ───パァンッ!! けたたましく鳴る警報の音が、現れる度に消えてゆく。 同時にセキュリティレベルも上がる一方で、 既に標的固定など無くレーザーをがむしゃらに放つだけの塊と化している。 しかしそれを避け、幾度となく打突を連ねてゆく。 破壊ととも塵の白煙が巻き起こると、 それを盾にするように疾駆してエメオ=ノヴァルズの死角へと回る。 セキュリティレベルはバケツに汲まれる滝の水のようにどんどん上がってゆくが、 こうやって同じ手に振り回されるところを見るとどうやら学習能力は高く無いらしい。 ───と思ったのも束の間。 ゴーレム『ゴォオオオオオオオオオオオンッ!!!!』 悠介  「いぃっ!?」 破壊する度に大きくなっていったエメオ=ノヴァルズは、 ついにはルミナスゴーレムへと姿を変えた。 といっても塔の最上階に居たヤツほど輝きは無く、 よく見れば急造で出来の悪い木偶のようにも見えた。  フオッ───ボガガガガガガガガンッ!!! 残ったエメオ=ノヴァルズを破壊すると、ルミナスゴーレムに向き直った。 輝きが少ないとはいえ、かつて苦戦したゴーレム系の存在。 塔の頂上のゴーレムは精霊たちが破壊したために、実を言えば強さが不明なままだ。 悠介 「けど、一体ならなんとか───いぃっ!?」 一体だけだと安心するのもこれまた束の間。 遠くの方からズシンズシンと歩いてくるその姿は目の前のものと同じもので、 しかもその数が一や二程度じゃあなかった。 さらに現れるものが後になればなるほど姿が大きくなっていて、 色も胴のような色からだんだんと輝きを増して、金色にまでなっている。 悠介 「……じょ、上等!!」 どもりの混じった覚悟とともに、俺はゲイボルグを強く握って疾駆した。 こうなったらやれるところまでやるだけだ───!! 【ケース96:弦月彰利/ライトさん(夜神ではない)】 ───……あら? 彰利 「おいシェイちゃん、なんか───エメオなんたらの数が減ってないか?     つーか目に見えて少なくなってる」 疑問点一はそげなところ。 今現在も塔の頂上目指して長ったらしい通路を走っている途中だが、 さっきまでとは違って今は通路ギッシリにエメオ=ノヴァルズが現れることが無い。 せいぜい一、二体がちょろっと出てくる程度だ。 シェイド『───……貴様の親友が東塔を攻略、破壊した。      今現在は外でセキュリティゴーレムを引きつけている』 彰利  「速ッ!!え……もう光の珠壊し───塔を破壊したっ!?」 シェイド『驚くのならばどれかひとつにしろ』 彰利  「無茶言うでないわ!!だってこの塔破壊したって!      つーか塔に入ったのほぼ同時ザマスのよ!?どういう速さしてんのよ!!」 シェイド『静まれ、やかましい』 彰利  「やかまっ……!?」 シェイド『驚くのは確かに勝手だが、驚いた先になにがあるわけでもあるまい。      それよりもだ。エメオ=ノヴァルズは破壊され、精製されるたびに強化される。      貴様の親友が外でエメオ=ノヴァルズの破壊を続けているが、      その速度は人技を超えている。      このまま無茶を続ければ貴様の親友の方が保つまい』 彰利  「な、なんですってぇえええーーーーーーーっ!!?」 それはいかん!つーかなんで悠介ってば自分で自分の首絞めるようなことしてんの!? 何故ェ!?何故なのグレート!! シェイド『考えられる理由などひとつだろう。      貴様の親友が外で暴れている理由は、我らを進みやすくするためだ。      言っただろう、外でセキュリティゴーレムを引きつけていると』 彰利  「───……」 まいった。 悠介ってばなんでこう自分ひとりで突っ走るのか。 ……って、俺が言えた義理じゃないけど。 彰利  「よっしゃあ急ぎますよシェイちゃん!!ここのセキュリティ造ったお馬鹿さんに      たっぷりと後悔の時間を差し上げるのです!!」 シェイド『造った者などとうに居ないがな』 彰利  「そういうツッコミ無し!怒りますよ!?───っと」 突然、視界が開けた。 おメメをパチクリと瞬かせてみれば、そこは驚くくらいにビッグな広間で─── その中央に輝く光を見つけるに至り、ようやくここが頂上だということに気がついた。 彰利  「シェイちゃん、あれが光の珠というものかね?」 シェイド『そうだ。目的はあれを破壊することだ。出来るか?』 彰利  「……硬い?」 シェイド『相当にな。だが闇を行使すればどうということもない。いくぞ』 彰利  「フッ……任せろ」 ベパァンッ!! 彰利  「えひゃいっ!!」 シェイド『妙な慢心は捨てろ。失敗したいか』 彰利  「おががががが……な、なにも殴らんかて……」 多分、契約した精霊に殴られたのって全世界探しても俺だけだと思う……。 おぉお顔面イタイ……。 彰利  「えーと、で?どうすりゃええのん?」 シェイド『ダークスライサーを使え。我がバックアップをする』 彰利  「あいよー、了解」 ダークスライサーの力を流し込んだままだったルナカオスを構える。 と、シェイちゃんがその姿を闇の霧に変えて、ルナカオスに滲みこむように消えてゆく。 彰利 「シェイちゃん?」 剣  『準備は出来ている。あとはこの剣で光の珠を砕けばいい』 彰利 「ヌ───了解」 感じる……剣から伝わり、オイラの中にも流れ込んでくる闇の波動。 ルナカオスと俺の中にあるダークスライサーの鎌の骨子がドクンと脈打っている。 さあ参ろう!俺はこの剣で───光の珠!貴様を倒す! 彰利 「───ウゥーーーッヒャアァーーーーー虚しいィイーーーーーッ!!!」 さすがに倒す相手が無機物だと前口上も虚しくなるだけだ。 後悔しきりです、アホなことするもんじゃあねぇや……。 彰利 「ところでシェイちゃん、光の珠って切りつけると爆発したりする?」 剣  『あれはウィルオウィスプの光の力を封じ込めている、といった方が喩えがいい。     当然切り付けられれば圧縮された力が解放され、四方八方に飛び散るだろうな』 彰利 「余波によるダメージとかは……」 剣  『そう大きいものではない。【攻撃】をイメージして放たれた力ではないからだ』 彰利 「でもダメージはあるのね?イタイのね?」 剣  『些細なものだ。喩えるならば針が刺さった程度の───』 彰利 「───」 剣  『……仮の主?』 オイラは剣を振り被って、ピッチャーの第一球のように─── 剣  『なっ───き、貴様まさか───!!』 彰利 「ごめんよ大友くん!ぼく、針が刺さる痛みはずっと昔から苦手だったんだ!!」 剣  『誰が大友───ぬあぁあああああああっ!!!!』 ───投げました。 ブルルヒョヒョンヒョンと風を切って回転するルナカオスと、 けたたましく叫ぶシェイちゃんをぼくは投げたのです。 でも不思議と後悔はありません。 むしろどこかスッキリした感じでぼくは極上ガイアスマイルをしました。本当です。  ザゴシャァンッ!ガカァアアアアアアアアッ!!!! 剣  『ぐおぁああああああああああああっ!!!!』 やがて剣が光の珠に刺さるとソレは爆発。 闇の精霊として、光の爆発をくらったシェイちゃんは大層叫びました。 嗚呼、俺様無傷、超無傷。 ……もちろんこの後、剣から出てきたシェイちゃんに これでもかってくらいボコボコにされたのは言うまでもありません。 それでも床に転がってたルナカオスを回収したぼくは、 急いで悠介の居る外へと飛び降りました。 ありがたいことに内側からなら頂上の広間の天井を開けることが出来たのです。本当です。 【ケース97:簾翁みさお/アイガットサーン】 タタンッ─── みさお「あ」 ベリー「あ……」 ようやく頂上へついたわたしとベリーさん(こう呼べと言われた)は絶句した。 散々苦労して辿り着いてみれば、 光の珠は跳ね返りまくったエクスカリバーによって粉々に粉砕されていたのです。 みさお「……天井、開いてますね……。元からだったんでしょうか……」 ベリー「だとしても、飛んでる途中でエメオ=ノヴァルズに狙い撃ちされてたわよ。     それに───ほら、あそこの壁で機械みたいなのが壊れてる。     多分エクスカリバーの余波で天井を開ける装置かなんかが作動したんでしょ」 みさお「はあ……あの、どうします?なんだか物凄く拍子抜けなんですけど……」 ベリー「降りるしかないでしょ?     この天井から降りてもいいけど───その場合、覚悟はしておいてね」 みさお「あの通路をまた降りるなんて嫌ですよ。わたしは天井を選びます。     それにどうしてかエメオ=ノヴァルズさんももう来ないみたいですし」 ベリー「……言われてみればそうね。悠介がなにかやってくれたのかしら」 そういえばさっき、物凄い轟音を聞いたっけ。 もしかして塔を破壊したとか───て、まさかですよね。 エクスカリバーで破壊出来なかったこの塔を破壊するだなんて…… みさお「じゃあ行きましょうか」 ベリー「ん、そうね」 わたしとベリーさんは空を飛ぶと、開いたままの天井から外へと降りていった。 ───……で、少しずつ降りていった先では、 悠介さんがひとりでバカデカいゴーレムを圧倒的に薙ぎ払いまくってました。 軽く数えて三十は居るバカデカい存在をひとりの小さな存在が薙ぎ払う様は幻想的。 ありえないと思いながらも、それをやってるのが悠介さんだとなんか納得してしまった。 彰衛門さんに聞いただけだったけど、どうやら本当に巨大な相手と縁があるようだった。 【ケース98:晦悠介/クリムゾンランサー】  オォッ───ズガガガガガガガギィゴギィンッドゴォンッ!!! 悠介 「オォオオオオオオオッ!!!!」 放つ点の打突が現れる存在の悉くを一撃で屠り去る。 だがそれは渾身を込めてようやくのもので、 既に強く握りすぎて槍を持つ手からは血が出ている。 一を穿つに十の力を。 十を穿つに百の力を込め、死神と化したその状態で出せる限界を超えてなお限界へ。 ゴーレム『ゴォオオオオオオオオオオンッ!!!!!』 悠介  「遅いんだよ鈍間(のろま)っ!!」  カッ───バガァアンッ!!! ゴーレム『グゴォオオオオンンッ!!!!』 振るわれた拳に石突きを合わせて破壊。 即座、背後に迫る気配に合わせて振り向き様の閃きを奔らせると、 眉間を一撃にて穿ち、塵化に誘う。 さらに左右から襲い掛かる相手には 地を薙ぐように振り回したゲイボルグによる足払いで薙ぎ倒し、 一方を串刺しにしてからもう一方に渾身の力を以って振り落とすことで双方を破壊した。 ゴーレム『ゴゴォオオオオオオオオッ!!!!』 が、破壊する度に強化される相手は尽きることなく襲い掛かってくる。 それを迎え撃つべく放たれる連撃はまるで切羽の間も無く振るわれる神速の刃。 ロードしたルドラの意識が槍を持った俺の意識を高みへと誘うことで、 それとともに視界もより染まり、握る力にもさらなる気迫が篭る。 悠介 「“捻り穿つ(ねじりうがつ)……ッ”!!」 ロードしたルドラの意識が技法となって俺の体へ流れてくる。 そのためか。 どう振るえばより効率よく立ち回れるのか───そして、その一手先までが読める。 事実、繰り出す槍は次々と現れる強化ゴーレムを砕いてゆき、 その速度はついにゴーレムの出現速度を上回った。 そうしてやがて、その場に居るゴーレムが一体となると。 俺はその大きさに臆することさえなく疾駆し、跳躍とともに槍に全力を込めた。 悠介 「イメージ!超越、凌駕にて解放!“芯を穿つ(ゲイ)───三十矢の緋竜槍(ボルグ)”!!!」 槍がイメージを一身に受け、紅蓮に染まり終えた瞬間─── それは放つ必要もなく、ゴーレム目掛けて飛翔した。 ゴーレム『グゴォオオオオオオンンッ!!!!』 それを『死』と受け取ったのだろうか。 今までこちらの攻撃を避けようともしなかったゴーレム初めて防御に回り、 全力を以ってゲイボルグを殴り落とそうとした。 だがその拳が槍に触れるか触れないかの瞬間、紅蓮の槍は三十もの(やじり)へと姿を変えた。 ゴーレム『オ───』 それは動揺だったのだろうか。 今となっては確かめる術も無い。 何故ならゴーレムは───ゾボゴガガガガガギヂヂガゴガガガガガァアンッ!!!!! ゴーレム『ゴ───ォ……』 ……空振りした拳が振り切られるより速く、 三十度も芯を穿たれ───叫ぶ間も無く絶命したのだから。 悠介 「───……はぁ」 塵が風に流されてゆく。 いったいどれほどあったのか、既に小さな山が出来そうなくらいに積もったソレは、 やがて眺めのいい景色に流されるままに見えなくなった。 Next Menu back