───FantasticFantasia-Set49/こうかいのお時間───
【ケース113:晦悠介/人間、やめますか?】 ヴンッ───…… 悠介 「……はぁ」 何体目かのサイクロプスをコロがすと、ゆっくりと息を吐いた。 消費は中々のものだが、それも以前ほどじゃない。 みさお「とんでもないですね……。     普通、見えているからってこんな距離から命中させますか?     わたしとしては国の輪郭がぼんやり見える程度で、     人の姿もよく見えないくらいなんですけど……」 悠介 「グリフォンの能力のお蔭だ。普通にやったらもちろん見えやしない」 言って、イーグルアイで遙か遠くに居るサイクロプスへと光の矢を放つ。 途中、二度と見たくなかった阿修羅面(怒)を見たが─── その姿はサイクロプスが劣勢と知ると、どこかへ飛んでいってしまった。 ……あ〜……こっち来なくてよかった。 ウィル『嗚呼、さすがはマスター……こんなにも早くに光の行使を出来るようになるとは。     さあ、どんどん行使してくださいませ!及ばずながら私も手伝いましょう!』 ベリー「……元気ね」 悠介 「……そうだな」 光の矢の精製のためとはいえ、ウィルを召喚したのは失敗だっただろうか。 一発放つたびに歓声あげるもんだから正直疲れる。 こっちはこっちで、ノートが能力を使った所為でフラつきながらやってるっていうのに。 悠介 「───疾ッ!」 ピシュンッ! ───それでも射る時は酷く集中する。 なんていうか、やっぱり弓道はいい。 集中力を高めるって意味では弓道はいいもんだ。 ……いや、言い方が妙だった。弓道はいいぞ、弓道は。 むしろ日本武道やお家芸はいいもんだ。 意味なんて限定するまでもない。 悠介 「ん───おおみさお、面白いぞ。     一体のサイクロプスが放った光の矢を弾きながらこっち走ってきてる」 みさお「え───えぇっ!?」 悠介 「もしかしたら『ミル』かもな。     他のやつらより体が二回りくらい大きいし色も違う」 みさお「ど、どうするんですか!?」 悠介 「……すまん、俺限界。ノートの行使って疲れすぎる……」 そう言った途端体がぐらついて、俺は草原に膝をついたあとに倒れてしまった。 みさお「悠介さんっ!?」 彰利 「ダーリン!?」 悠介 「ダーリン言うな!って……もう起きたのか」 彰利 「ンム。ノートさん、指輪に戻る前に回復してくれたし」 悠介 「あー……そうか」 なんていうか酷くダルい。 行動力の原理が内側から破壊されていってるような…… ああつまり、精神力が乾き始めてる。 悠介 「悪い、彰利……あいつ任せていいか?」 彰利 「あいつ?って……あー、あのかなり遠くに居るマメツブ?何者?」 悠介 「多分、ミル・サイクロプス。     攻撃力が高い上に目からレーザー撃つから気をつけろ」 彰利 「オーライ。キミはどうするね?」 悠介 「……寝る。体は平気なんだけど酷く眠い。だから……任せた」 彰利 「フッ……いいでしょう、ではとくとごらんにいれましょう」 みさお「とくとご覧にって……もう眠ったみたいですよ?」 彰利 「なんと!?くっ……まあいいでしょう。     ではあのサイクロプスに存分な後悔の時間を差し上げましょう」 【ケース114:弦月彰利/貰い物の力】 ややあって、サイクロプスさん登場。 オガー!と叫んで、自分の前に倒れてる悠介を見下ろしています。 オイラはそげなサイクロくんの背中を空中から襲いました。 卑怯?結構です!! 彰利 「ヌィヤァアアッ!!」 サイク「───!?」 ゴォッ───ドゴォオオオンッ!!!! 力を込めて振るったルナカオスがあっさりと避けられる。 だが動ずることもなくゆっくりと立ち上がる。 彰利 「む……?手応え無し」 サイク「グォオゥウ……!!」 聞こえた声にゆっくりと振り向く。 そこにはバカでかい図体をしたサイクロくん。 彰利 「あの間合いで逃げるとは中々の腕前───お見事。     出会った相手が私でなければ今少し長生きも出来たでしょう。     ……後悔なさい。貴方には十数える間だけ後悔の時間を差し上げます」 サイク「ガアッ!!」 マゴシャアーーーーーンッ!!! 彰利 「ブベェエーーーーーーッ!!!!」 横一閃に振るわれた棍棒で空を飛びました。 おお、銃に放たれる弾丸の気持ちが少し解った。 しかしいきなり不意打ちとは……って、俺もやったけどさ。 彰利 「さ、さあ……後悔の時間はお終いです。存分に後悔出来ましたか。     それではここからは更なる後悔の時間です」 みさお「十数えてませんし顔面大変なことになってますけど……逆に後悔してません?」 彰利 「してませんよ失礼な!!」 ベリー「大丈夫なのツンツン頭ぁ。なんだったらわたしが代わりに」 彰利 「よっ───」 バサッ! ベリー「うわぷっ!?ちょ、なにすんのさ!」 ヤムさんの目に砂をぶっかけて視界を奪った。 まったく、余計なことは必要ではありません。 彰利 「誰が戦うかを決めるのは貴方ではありません。     さあ今の内に後悔を終わらせて差し上げます。死を以ってね」 チキリとルナカオスを構える。 もちろんサイクロくんに向けて。 サイク「ゴォオォウウ!!」 なんてことをしてたら、急にサイクロくんの目が輝いた。 何事かと構えたが、すぐさまに理解したオイラは横に飛ぶことでそれを避けた。 するとソレ……レーザーは後ろにあった木を薙ぎ倒し、何処かへと飛んでいってしまった。 うおう……すげぇ威力。 彰利 「初めて見る術ではありましたが……あなたの攻撃には殺意などまるで無し!     そんな術ではたとえ兵士は殺せても、死神には到底通用しますまい……。     ───ここは戦場!殺意のこもらぬ攻撃で止められるものなど何ひとつ無し!」 サイク「ガァアッ!!」 バガァアアンッ!! 彰利 「キャーーッ!!?」 ウソ!冗談です!殺意めっさ篭ってます! 棍棒なのに物凄いクレーター出来ちゃってます!当たったらミンチですよこれ!! じゃけんど弱みを見せたらお終いです───落ち着け俺ドボォッ!! 彰利 「はぐおっ!?」 攻撃を跳躍で避けていた俺の腹に、投擲された棍棒がメリリと……!! 思わずバランスを崩して、草原に倒れてしまいました……。 彰利 「オゲッ!!ゲホブホオ!!……か、かはぁ……!     ほ、ほう……これは珍しい……。あなたはもしや滅却師(クインシー)
では……?」 みさお「そんなわけないでしょう」 彰利 「フフフフフ……これは面白い。ひとりは見知らぬ術を使い、ひとりは滅却師(クインシー)。     そのどちらもが飛び道具。そしてそれがふたりとも私の敵として現れようとは……     なんたる奇遇、なんたる偶然の悪戯か。     ならばご覧に入れましょう……私の斬魂鎌の真の姿」 みさお「ちょ、ちょっと待ってください!     なんですかその『ひとりは見知らぬ術を使い、ひとりは滅却師(クインシー)』って!     も、もしかしてわたしも数の中に入ってるんですか!?」 彰利 「羽薄きなさい!『劈烏』!」 自分の影からダークスライサーを抜き取ると、 その力を解放させてダークネスフラッシャーを引き出す。 闇であるそれを更に黒と影で強化し、真っ黒な無数の刃を精製した。 これこそスピリットオブノートに頂いた能力。 黒関連のものならば好き勝手に強化出来、鎌の能力のリミットブレイクも可能になった。 彰利 「どうです、さあ後悔なさい……。私は七番隊第四席、一貫坂慈楼坊(いっかんざかじろうぼう)。     またの名を鎌鼬慈楼坊。鎌鼬の称号は最強の飛び道具使いの証。     この宙を舞う無数の刃、『劈鳥』を見て生き延びたものなどただ一人として無し。     ……ほらほらどうです?     目で追うことすらできないでしょう、華麗なる死へのプレリュード……」 ベリー「そうなの。じゃあこれからは慈楼坊って呼ぶわ」 みさお「いえ、記憶が確かなら一貫坂慈楼坊さんって髪型は妙に纏まってましたからね。     七三分けっていうか……とにかくモミアゲが綺麗に纏まってました。     うん、『キューティクル』って呼びましょう。鎌鼬“キューティクル”慈楼坊」 ベリー「略してカマキュー……うわダサッ!!」 彰利 「………」 どうしよう慈楼坊……オイラ後悔しちゃいそうだよ……。 でも続けます。ここまでやったらもう後には引けません。 彰利 「ハッ。そんな棍棒など『劈鳥』の前には赤子も同然、無力です。     同じ飛び道具を使う者として私に出会ってしまったことを存分に後悔して」 バゴチャアァアアアアアンッ!!!! 彰利 「ヘキャイィイーーーーーッ!!!!」 俺に投げた所為で棍棒が無かったサイクロくんは、 棍棒のことをバカにされたのが癪に障ったのか全力で殴ってきました。 俺はまるで弾かれるように草原を跳ね転がり、ジュザ〜〜〜と滑ってようやく止まった。 彰利 「ゲホッ!ゴフホッ!!……馬鹿な、今のはまぐれ……!あまり図に乗ると」 サイク「ゴォアァアアアアアッ!!!!」 彰利 「キャーーーッ!!!」 サイクロさんが豪腕を振るう。 その大きさときたら、建物ブッ潰す鉄球よりもバカでかいものだった。 いやまいった、やっぱアレかね。 悠介と一緒だからバカデカいヤツが来たのかね。 彰利 「まいったな。だったらこれからずっと、相手はバカデカなヤツになりそうだ……」 言って、強化したダークネスフラッシャーを放つ。 だがそのどれもを完全に無視して、サイクロくんは轟音を立てながら走ってくる。 ベリー「余計なことやってないでマジメに戦いなさいよ!!死にたくないでしょ!?     それともなに!?命捨てたいの!?」 彰利 「───……」 カチリ、と頭の中で音がした。 それが何を意味するものなのか、俺はすぐに理解できた。 彰利 「───死にたい?ふざけろ。“俺”に向かって軽々と死を唱えるんじゃねぇ」 ドゴォンッ!! サイク「───グ?」 振るわれた拳を左手で掴み、強引に止めた。 そのバカげた力は俺の左腕の骨を砕き、その幾つかが腕の側を貫いて露出する。 それは、見るものが見れば親のハラを食い破って生まれでた黒のバケモノのようだった。 彰利 「見ろよ。もう“血すらも黒”だ。骨だけじゃない、外見以外は黒に染まった。     よく見とけよヤムベリングさんよ……“死”って言葉はな、     その意味さえ知らないやつが軽々と口にしていいもんじゃねぇ」 メギッ─── サイク「グアッ……!?」 彰利 「貰い物の力……結構じゃねぇか。     それがあって強くなれるなら、俺は自分がどれだけ卑怯でも構わない。     “死にたいくねぇ理由がある”。俺が生きる意味なんて、もうそれで十分だ。     そして───お前に聞かせる言葉もこれで終わる」 サイクロプスの影が蠢く。 それを確認するまでもなく俺は口の端を歪め、言った。 彰利 「───受けてみろ!100倍“超連撃観音寺弾”(ゴールデン・キャノンボール)!!」 ゴパァゴボゾガガガガガガガガガァッ!!!!! サイク「ゴォオオオオァアアアアアアアッ!!!!!」 影から無数の刃が飛び出る。 それは無数の黒の光であり、 体を貫いたら貫いたで黒の光がサイクロ君を覆って、影の主を食っちまった。 ベリー「え……」 みさお「あ、ああ……」 ……結論から言えば、その場には血の一滴も残らなかった。 影に食われたものがどうなるかなんてどうでもいい。 邪魔者が居なくなったことは確かなのだから。 というわけで─── 彰利 「ミッションコンプリィーーーーッ!!ボォオオッハハハハハハハハ!!!!!」 みさお「ボハハハハーーーーッ!!!ってなにやらせるんですか!!」 彰利 「だってオイラ真面目な雰囲気嫌いだし!     見てよこのサブイボ!俺が真面目に戦う!?冗談じゃねぇやい!!」 みさお「自分でやっといてそれですか……」 彰利 「愛?んにゃんにゃ、今のは死神の力を高めた結果ぞね。     ルドラをロードした悠介が槍持つと気が高ぶるのと一緒一緒。     まぁオイラは『遅いんだよ鈍間』なんて言わないけどねッ!」 みさお「……劈鳥ってなんのために発動させたんですか?」 彰利 「もちろんからかうため!!」 みさお「はぁ……」 溜め息を吐かれてしもうたわ……。 ───あ、じゃけんど…… 彰利 「ヤムヤム?一応さっき言ったことは事実だからね?     俺に対して軽々と死って言葉は言わんでくれ。     こちとら十回以上死んでる身だ、今さらそんなこと言われるまでもないさね」 ベリー「それはデータで見たから知ってる。     でもね、貰い物の力で偉そうにしてるのって、見てて情けないわよ?」 彰利 「ああそりゃあ価値観の違いだな。     『強くなりたけりゃなんでも利用する』。それがオイラのやり方だ。     誇りを持って死ぬのと、地べたに這い蹲ってでも生きるのと───     選べって言われたら迷うことなく後者を選ぶよオイラ。死ねない理由があるから」 情けないって自覚はずっと昔からある。 けど、もう自分で頑張れば悠介の未来が救えたあの頃とは訳が違うんだ。 俺は俺の限界を超える術なんて持ってなかった。 だったら他者の力を利用する以外でどうやって強くなれる。 そんな方法があるのなら逆に聞きたいくらいだ。 彰利 「俺はもう『誇り』なんてものは要らんのよ。     ただ親友と恋人と娘。そのどれもが揃ってる未来があればいい。     そして───デカくて速くて強いこと。これだけ揃えば負けは無い」 みさお「ゴリカマキュー……」 彰利 「変な略称つけるでない!!」 言いつつ死神化を解除して、何気なく手を傷つけてみた。 ちと気になることがあったからだが─── 彰利 「うおう……見ろみさおさん!人間の状態じゃあ血は赤いぞ!」 みさお「露出してた骨はもう直したんですか……」 彰利 「放置してたら痛いし」 まあなにはともあれこれでOKね。 あとは眠ってる悠介の周りだけ時間を速めて、と─── オイラはもう一度死神化すると、悠介の身体速度のみを加速させるように時間を速めた。 すると一分も経たない内にムクリと起きる悠介。 悠介 「くぁ……あ〜ぁ………………おはよう」 彰利 「モーニン」 人民の夜明けである。───いや、関係無いが。 しかし、なんつーか改めて月空力ってありがたいよね。 時が操れるのって貴重です。 ありがとう十三夜の家系の人。 悠介 「───サイクロプスは?」 彰利 「おお、倒しましたぜ。ノーちゃんのパワーアップは最強です。     お蔭で黒も影も闇も操り放題で、鎌の強化も出来ますわ」 みさお「強化した結果が劈烏なんて、ゼノさんきっと悲しみますね……」 彰利 「ゼノの悲しむ顔が見れるなら貴重でないかい?」 みさお「あー……それもそうですね」 ポムと手を打つみさおさん。 何気にヒドイヤツだ。 悠介 「っし!じゃあ国のことは自然の流れに任せて、     リヴァイアに報告してから修行に入るか。     それで……行けるところまで行っておこう」 智英 「おいらはおなごを探しに行くモミアゲ」 荒焼き「では私は彰利くんの様子を見ながら変態オカマホモコンの秘訣を探りましょう」 悠介 「帰れ」 智英 「モミッ!?」 荒焼き「なんと!?」 速攻でしたな……帰れと。 智英 「何を言うモミアゲ!目的も達成出来ずに帰れるかモミアゲ!」 荒焼き「その通りです!私には変態オカマホモコンの称号を得て     真面目な自分を滅ぼすという大儀があるのです!!     さらに冥月刀というものを手に入れて、世界の支配者に───」 悠介 「…………彰利、みさお、ベリー、ちょっと壁作っといてくれ」 彰利 「ウィ?……あ、ああ、OKOK」 悠介がボファアシャアアと溜め息を吐き散らしながら後ろを向く。 その背中をおいらとみさおさんとヤムヤムで守るように立つ。 ようするに悠介の行動を見せないようにする、といった行動だ。 悠介 (……性格強制変換バッヂと、     イメージをエネルギーに変えて放つ刀が出ます。     ……ただし創造の理力というわけじゃない、っと。     あとは───あぁアレだ、咲桜に手紙でも宛てよう。     『黒竜王さえ滅ぼせる至高の力の末に人間になった謎漢を返す。     荒焼きに渡した冥月刀はまがい物だけど、     それなりに万能だから欲しくなったら殴って奪ってくれていい。     ……追伸:二度と飛ばさないでくれ』、と。弾けろ) 壁を作る背後でポムという音がした。 振り向いてみれば悠介の手に冥月刀に酷似した造型の刀と、妙なバッヂが創造されていた。 悠介 「ほれ、変態オカマホモコンの称号バッヂと冥月刀だ。これ持って帰れ」 荒焼き「なんと……こんなもの貰ってよろしいのですかモミアゲさん」 悠介 「いいからとっとと帰れたわけ……」 智英 「待てモミアゲ!!おいらの目的はおなごと交配することで───」 悠介 「神界にも女は居るだろ。遠慮なくボコボコにされてこい」 智英 「お……おお!言われてみればそうだモミアゲ!     なにも地界人じゃなくてもよかったんだモミアゲ!     でも……どう帰ればいいんだモミアゲ?」 悠介 「……“干渉、創造神(アクセス、イド)”」 悠介が自分の中の神との干渉を求めた。 するとあっさりとそれは受け入れられ、悠介の姿が長身の男へと変わる。 ソード「───汝らを神界へ飛ばす。     汝らがこの世界に訪れた際に発生した穴の原理は分析済みだ。それを複製する。     神界への扉を開いてもいいんだが、嫌な気配がしたんでな。     念のため汝らに不力遮断の膜を張り、極力小さな穴で汝らを飛ばさせてもらうぞ」 智英 「前口上はいいからさっさとしろモミアゲ!」 荒焼き「フフフ……このバッヂと冥月刀さえあれば私も世界の王に……」 みさお「バッヂがあるなら付けた方がいいんじゃないですか?ほら」 ザグシュッ!! 荒焼き「しょげぁああああーーーーーーーーっ!!!!!」 ソードさんが虚空に穴を創造している最中、 みさおさんが荒焼きが持っていたバッヂを荒焼きの胸に刺した───途端、 荒焼きは絶叫とともにアンコを撒き散らしてみせた。 ベリー「うわ汚ッ!しかも臭い!!」 荒焼き「痛い!これは痛い!!あ───い、いえ、ですがこの気分はどうだろう……。     このバッヂをつけた途端、私の中で何かが溢れてくる……!     これは───そう!おなごに悪戯したい気持ちと男に襲い掛かりたい気持ちと     少女に手を出したい気持ちと女装したい気持ちが混ざり合った感覚……!?     ああっ!ありがとうモミアゲさん!私は───たった今目覚めました!!」 ベリー「うわぁ……」 みさお「……彰衛門さんも一歩間違えればああなっていたんですか……」 彰利 「そげな紙一重みたいに言うなよ……」 人格を疑われてしまった気がした。……辛いねコレ。 ソード「開いたぞ。とっとと行け」 荒焼き「愛してる!!」 ソード「愛など要らん」 荒焼き「大好きだ!!」 ソード「そういうことは同じ変態同士で言い合え……」 荒焼き「………」 彰利 「どうしてそこで俺を見るのかね!!」 ベリー「ほーらほらほら、さっさと行く」 気色の悪い荒焼きを前に、ヤムヤムさんが式を発動させた。 どうやら衝撃を発生させる式だったようで、 荒焼きはそれに吹き飛ばされることで虚空に開いた穴へと消えてゆく。 智英 「それじゃあおいらも行くモミアゲ。子供が出来たら見せにくるモミアゲ!!」 ソード「いらん。未来永劫に訪れるな」 智英 「ひでぇモミアゲ!!てめぇ何者だモミアゲ!?     名前覚えといてやるから言えモミアゲ!!」 ソード「……名は『ソード』。神界での名は『剣喪(けんそう)』という。     産まれた時から神界人というわけではないが、一応創造神を名乗らせてもらった。     ……覚える必要はない、今すぐ忘れろ」 智英 「いつか仕返しにくるから覚悟しろモミアゲ!!」 ソード「二度と来るな。そしてさっさと消えろ」 ドゲシッ!! ソードさん、疲れた顔で謎漢(人間になっても額と服にそう書いてある)を蹴った。 智英 「ひでぇモミア───ゲェエエエエエェェェェェェ──────…………」 荒焼き「この世の果てで愛を歌って踊りましょぉおおぉぉぉぉ───………………」 次いで荒焼きを放り投げると、虚空に開いた穴をさっさと閉じてしまった。 ……結局なんのために現れたんだか。 まあ来た理由も聞いたし目的が達成されたなら居る理由も無いわけだが…… みさお「悠介さん、喜ぶでしょうね」 彰利 「いや、多分もうソードの内側で喜んでると思うぞ?」 みさお「そうですか?……って、そうに決まってますよね」 チラリと覗き見たソードの顔が、ヤケにツヤツヤと輝いていた気がした。 恐らく内側の悠介の喜びの表れようなんでしょう。 彰利 「さぁってとぉ!こっから明日に向けて修行じゃわい!腕が鳴るのぉ〜〜っ!!!」 そう言ってムキリとポージングを取ると、 我が上腕二頭筋が『ヒィ〜〜〜ッ!!』と鳴いた。 みさお「ほんとに鳴らさないでください!!」 彰利 「だって今まで疑問だったんですもの!     腕が鳴るって言って、鳴ったためしなどただの一度として無し!!     大人はみんなウソツキだ!だから僕が真実にしてあげたんじゃないか大友くん!」 みさお「誰が大友ですか!!カマキューさんいい加減に漂流教室ネタはやめてください!」 彰利 「カマキュー言うな!!そもそも“キューティクル”要らんよ!!     鎌鼬慈楼坊!慈楼坊でいいじゃん!なんでわざわざキューティクル入れるの!!」 みさお「じゃあ鎌鼬“モミアゲ”慈楼坊って呼ばれたいですか?」 彰利 「え゙っ……や、そりゃあ慈楼坊はモミアゲステキだけど……。     それはいかんよ?ね、いかん。そげなこと言ったら悠介怒るよ?     つーか俺モミアゲ言われたくないし」 そうだよそう、そうじゃねぇの! オイラひとつ気になったことがあるよ! ……や、モミアゲとは関係ないけどね? 彰利 「“時操反転(プリーヴィアス)”」 額に手を当てて唱えました。 するとオイラの体がパチュンと弾け、あっという間に猫の姿に! 悟り猫「お……おお───おおお!!見て見てみさおさん!ちゃんと黒だよ!体毛黒!     憧れの黒猫だよ!?死神状態だとほんとなにもかもが黒いよ!?“時操回帰(アフティアス)”!」 再び額に手を当てて唱え、人間に戻りました。 もちろんこれはさらなる実験をしてみるためでござる! 人間に戻ったオイラはすぐに死神の骨子を外すと普通の人へと戻り、 その状態で時操反転を唱えてみました。 こうすればきっとロシア猫の魂は消えないだろうと思った結果です。 だが─── 彰利 「……あ、あれ?“時操反転(プリーヴィアス)”!“時操反転(プリーヴィアス)”ッ!!     ウェックスペクトッ───パットゥォルゥォッヌァーーームッ!!!」 ……効果無し。まるで無し。特に最後のはまるで意味が無い。 何故!?何故ェ!何故なのグレース!! 彰利 「ってまさか……こういう特殊能力まで、     死神化した状態じゃなけりゃ使えないってこと……?」 ベリー「そうなんじゃないの?     スピリットオブノートほどの実力者になるとハンパなことはしないだろうし」 彰利 「ア、アゥワワワ……」 なんてことだ……俺はもうニ度とロシア猫にはなれないのか……。 いや、黒く染まってもロシア猫はロシア猫なんだが……オウジーザス。 ロシアンブルーという感じはまるで無しだ。 彰利 「危険な匂いがプンプンするぜ……。     俺はこのまま死神としての生活を強いられるのか?     今さら月操力の無い人間生活なんて耐えられないわよ……主に殴られる体が」 みさお「体張ったからかいをしなければいいんだと思いますが」 彰利 「お馬鹿!このままじゃあホームレス時代にやってた     『当たり屋』での稼ぎも出来ないのよ!?     こう……走ってきた車の前に飛び出して慰謝料請求!     日に三回の当たり屋……そのお蔭で俺、ホームレス時代を乗り切れたんじゃぜ?」 みさお「普通一日に三回も轢かれれば死にます───というか一回で十分です」 いや、冗談だったんだけど……あっさりと信じられる俺って……かなり異常? なんかどんどん非常識生命体になっていくね、オイラ……。 悠介 「───ふぅっ……。リヴァイアへの報告終わったぞー。修行始めていいかー?」 彰利 「オウヨー!今度の俺はちょっと強ェぞ?」 みさお「あーカッコイイ、彰衛門さんはカッコイイですよー」 彰利 「かっこよさなんて求めてませんよ失礼な!!」 などと言ってる間に黄昏が展開されてゆく。 その中で悠介が全部の精霊を解放すると、 俺もゆっくりと黒の解放を確かなものにするべく、黒を発動させるのでした。 【ケース115:エリオット/卑怯者の末路】 エリオ「はっ、はっ……はぁっ……!」 森を駆け抜ける。 既に落ちたファウエルの城へ少し振り返り、だが再び走った。 弱い王になんて興味ない。 次は誰を利用してやろうか─── エリオ「また失敗に終わりましたが……クックック、     次はこうはいきませんよリヴァイアさま」 どこでもいい。 まず自分の地盤をきっちりと整えられる場所を探して、 それが整ったら密漁でもなんでもすればいい。 時間はたっぷりある。 次の時が来たら、今度こそリヴァイアさまやあの男に目にものを───ガササッ! エリオ「ひっ!?だ、誰だっ!!」 ???「メルヘン?」 エリオ「はっ───ひ、ひやぁあっ!!?」 音のした方を見れば、空中に浮いている物凄い形相をした物体。 しきりにメルヘンメルヘンと謳い、ゆっくりとゆっくりと近づいてくる。 そんなバケモノ紛いの相手を前に、私の直感は『逃げなければ死ぬ』と告げた。 私はその直感に動かされるままに地を蹴り、森の中をひたすら走った。  ───そういえば、何処かで見た。 何処だっただろう。 私はあの存在のことを、この空界で見たことがある。 それも随分前。 まだ私がリヴァイアさまの助手をしていた頃。 あの頃は早く実力を付けたくて、リヴァイアさまが工房に居ない時は しょっちゅう魔導書や研究書物を盗み読んでいた。 そう───そうだ。 その中にあった筈だ。 確かあれは───神界の妖精。  ───ダンッ! エリオ「くあっ!?な、なにをするんだお前っ!は、離せ!どけっ!!」 妖精が私の背中に体当たりをし、私を地面に押し倒した。  ───そう、思い出してきた。 確か神界の妖精は自らを絶滅させないためにありとあらゆる種族と交配する。 その方法は異常で、どんな種族の雄であろうと襲い─── エリオ「確か……あ、相手が死ぬまで交配を……───!?」 妖精 「メ〜ルメルメルメル……メルヘン!!」 エリオ「キャッ───キャーーーッ!!!」 いよいよ、といった感じで妖精は私に襲い掛かってきた。 私は必死で抵抗したが為すすべもなく─── Next Menu back