───FantasticFantasia-Set55/キレたアイツは100億馬力───
【ケース124:晦悠介/全ての竜の頂点に立つ者を皇竜王と呼ぶ】 ───……キンッ。 静かな音を立てて、俺の後ろで空間が閉ざされた。 スピリットオブノートが所有する『世界』だ。 異空間をその場に具現したり、または存在自体をその空間に引き込むため、 たとえ『世界』を創造していても塗り潰されるほどの力を持つ。 今行使したのは『存在自体を空間に引き込む』方だ。 それゆえに外界からの情報などは一切途切れる。 悠介 「………」 それが今は好都合だ。 ノートが世界の行使をした所為で随分と消費は激しいが、動けないってほどじゃない。 それに俺の中にはもう無属性の諸力も存在している。 もしそれが無かったらノートも世界の具現なんてしなかっただろう。 悠介 「……ん」 あとは俺がやるだけだ。 彰利にはこの世界で起こることでの負担なんてかけたくない。 この世界でする危険なことの全ては俺が受け持とう。 元々今、この世界に彰利が居るのは俺に付き合ってくれてるからだ。 あいつは何の関係も無い。 だったらこの世界で、あいつが危険なことをする必要なんて何処にもないんだ。 俺の我が儘であいつを死なせてしまうわけには───いかないんだ。 悠介 「……ごめん、みんな。俺の我が儘に付き合わせることになるけど───」 精霊や飛竜や召喚獣に小さく謝罪の言葉をかける。 けど、一人一体一頭たりとも文句を言う者なんて居なかった。 逆に『望むところだ』と、『ともに戦えることを嬉しく思う』と。 そして───『一緒に居られることを嬉しく思う』と言ってくれた。 悠介 「───ありがとう。行こうか、ジハードっていう黒飛竜の下へ───」 ノートのお蔭で俺の気配は黒竜王には気づかれない。 だったら実行に移るのは今しかないだろう。 ノートがこの場に居たら『それは弦月彰利の役目だ』って止めるだろうし、 気配に気づかれていればこんなに悠長に錬金なんてしてられなかった。 だから───今しかない。 ジハードに直接会って、そして───
そして───24時間の時分が流れた。
───キィイイ───バジュンッ!! 彰利 「ムッハァーーーッ!!シャ、シャバの空気ィーーーッ!!」 みさお「もういやですもういやです!あの世界には二度と行きたくありません!!」 ノート『ご苦労、修行は終わりだ。これで心配事など───……?』 …………。 彰利 「ありゃ?悠介ったらどしたのよ、そんな工房の隅で頭抱えたりして」 みさお「悠介さん?」 ノート『……マスターよ……』 ノートの呆れ返った言葉が胸に突き刺さる。 でも解ってくれ、こんなことになるなんて微塵にも思ってなかったんだ。 彰利 「え?なになに?なんぞねふたりして。ノーちゃんたら何か解ったの?」 ノート『……言ってしまっていいのか?かなりのショックを受けると思うが』 彰利 「……?言ってもらわねば解らんさね。構わんッ!!存分に披露されませい!!」 彰利が声高らかに叫んだ。 だがその肩をベリーがポムと叩くと、『やめといた方がいいわよ……』と言った。 彰利 「何故かね!私が知りたいと言ってるのだよ!?」 ベリー「ところでツンツン頭、修行どうだった?」 彰利 「へ?あぁいやもう聞いてよヤムヤム、もう大変どころの騒ぎじゃないよ?     あまりのキツさに死んでまうかと思ったくらいで───」 ベリー「だったら余計に聞くのやめときなさい……」 彰利 「……あー……あの、なんだかとっても意味解らないんですけど。     ゆ、悠介?キミいったい何したの?」 彰利とみさおが『解らない』って顔で俺を見る。 しかしみさおは『月視力』で俺の過去を見たのか、 驚愕の表情をすると腰を抜かしてしまったかのようにヘタリこんでしまった。 彰利 「みさおさんまで……な、なにかその目は!哀れな者を見る目でオイラを見るな!」 ベリー「だって実際哀れだしさ……。ね、悠介、もう言っちゃっていい?」 ノート『私も流石に呆れてものも言えないが……』 みさお「悠介さん……あなたって人はどこまで……」 悠介 「意気込んで出て行った俺の気持ちも汲んでくれ……」 彰利 「だ、だからなんぞね!!悠介!親友としてキミに物申す!何があったのかね!!」 ひとりだけ置いてけぼりをくらっていた彰利が叫ぶ。 さすがにそう訊かれれば答えないわけにはいかない───とはいえ…… ああもう仕方ない、なるようになれだ。 悠介 「……俺の親友の弦月彰利だ……。挨拶してくれ、ジハード(・・・・)
」 彰利 「───へ?」 魔法インビジブルを解くと、その場に小さな黒飛竜が現れた。 何を隠すことがあろう……この小さな飛竜こそかつて、 両腕を失い、リビングアーマーと化したゼプシオンを打ち破ったとされる伝説の黒飛竜。 名をジハード───黒竜王の側近と言われていた筈の飛竜である。 ジハード『……悪いが我は王以外と話すつもりは無い』 彰利  「え……え……?あれ、おかしいな……あれ?あれ?      オ、オイラ目と耳が腐ったんかな……あれ……?あれぇ……?」 彰利が必死になって目と耳をこする。 が、目の前にある現実は消えたりしない。 ベリー「ねぇツンツン頭……もう一度訊くけど……修行、大変だった……?」 彰利 「ア……アアア……ア、アアーーーーーーーッ!!!!」 やがて、ようやく理解に至ったのか─── 彰利はアシュラマンのような顔で汗をいっぱい出しながら叫んだ。 そう……答えはあまりに単純で、あまりに残酷だった。 ───もう昨日のことになるが、 彰利とみさおがノートに連れられて異空間に消えていったあとのこと。 俺は精霊と召喚獣と飛竜を連れて、 飛竜たちが言うジハードの居る山……ブラックヘイルに向かった。 そこで異様な気配に気づいたジハードが瞬時に俺を探し当て、襲い掛かってきた───が。 俺が戦闘態勢を取るとともに縮小化が解けた仲間たち─── 主にベヒーモスとリヴァイアサンを見た途端に停止。 戦う意思は無くなっていなかったようだけど、俺はまず話し合いの場を設けた。 そして熱心に語り合っている中、 四飛竜と精霊達と召喚獣達が俺のことを事細かに説明し出し─── どういうわけか気に入られ、現在に至る。 みさおが言おうとした『あなたって人はどこまで……』の続きは、 恐らく『どこまで人じゃないものに気に入られやすいんですか』というものだろう。 彰利 「シバーーーーッ!!シバーーーッ!!ア、アアアーーーッ!!シバーーーッ!!」 ベリー「うわっ!?ど、どうしちゃったのツンツン頭ったら!」 みさお「叫ばせてあげてください……。     ついさっきまでやってたことが無駄になったって思えば、     現実逃避のひとつでもしたくなります……」 ベリー「でもこれ、五月蝿いんだけど……」 みさお「ほうっておいてあげてください……お願いします……」 彰利 「シバーーーーッ!!シバーーーーーーッ!!!アアーーーーーッ!!!」 彰利がアシュラマンの真似をしながら泣き叫ぶ。 まあ……確かに真似ではあるんだが、あの涙だけは本物だろうなと理解できてしまった。 ベリー「あ、でも悠介?今さらだけど黒竜珠はどうだったの?     飛竜を小さく召喚するためには竜王の珠が無くちゃダメだったでしょ?」 悠介 「……ん」 ベリーの質問に、首に下げた五つの珠を見せた。 それぞれ黄、蒼、緑、赤、黒とある。 ベリー「え……?なに、もしかしてついでに黒竜王まで倒しちゃったの!?」 悠介 「そんなわけあるかっ!!……あのな、これはジハードのものだったんだよ」 ベリー「……?なにそれ、どゆこと?」 みさお「話が見えませんけど……。     竜王の珠って竜王が持ってるものじゃないんですか?」 首を傾げるベリーとみさお。 そして泣き叫び、やがて崩れるように蹲って泣き出す彰利。 それらを前にして、小さく息を吐いてから話を始めた。 悠介 「この世界には元々、レヴァルグリードっていう黒竜王が居た。     まずそれを覚えてくれ」 ベリー『レヴァル、グリード……って……伝説上の竜王じゃない。本当に居たの!?』 悠介 「ああ、側近であるジハードが言うんだから間違い無い」 みさお「あの……なんなんですか?そのレヴァルグリードっていうの」 ベリー「九頭竜(くとうりゅう)って云われてる、既に絶滅した竜族の王の名前よ。     姿のイメージなら地界で言うヤマタノオロチを連想してくれれば早いわ」 みさお「ヤマタノ……」 悠介 「そう。空界に生きる全ての竜族の親であり、王であった伝説上のドラゴンだ。     歴史書にも極一部にしか書かれてないし、     証拠となるものが一切ないからデタラメだって言われてきたらしい」 でも証人が居た。 それがジハードだ。 みさお「でも、どうして黒竜珠をそのジハードさんが持ってたんですか?     そこのところがまだ話されてませんけど……」 悠介 「それは簡単だ。ミルハザードは世界の均衡になったんであって、     元から『黒竜王』なんかじゃなかった。     黒竜王って呼び方は、その姿と強さに畏怖した者達が勝手につけた名前なんだ。     だから黒竜珠も持ってなかったし、     ジハードにしてみれば王でもなんでもなかったんだ」 みさお「……え?あ、でもじゃあちょっと待ってください?     そういう事実があるなら、悠介さんがゼットと戦う際には     ジハードさんと戦わなきゃいけないなんてこと無かったんですよね?     だったらどうしてノートさんは彰衛門さんに修行なんか……」 みさおの一言に、その場に居た全員の視線がノートに集中する。 するとノートは秘め事を暴露されたかのように溜め息をひとつして、やがて言った。 ノート『弦月彰利に【自信】というものをつけさせるためだ。     最初はジハードと戦わせ、     強さを解らせた上で黒竜の王にでもなって自信をつけさせようとしたんだがな。     当てが外れた、と言うべきか。マスターの行動力を見誤ったようだ』 彰利 「ア、アアアーーーッ!!返してーーっ!俺の時間を返してーーーっ!!     苦しまずに済んだはずの未来を返してーーっ!!     返してーーーっ!!息子を返してーーーっ!!」 今はただ彰利に申し訳ない気がした。 血涙まであと一歩ってくらいの号泣だ、さすがに罪悪感は消えない。 どうしてここで『瑪羅門の家族』の真似をするのかは敢えてツッコまないでおこう。 悠介 「すまん彰利。     悪いとは思ったけど、でもお前は無理に危険なことをする必要なんて無い。     ミルハザードと戦うのは俺の我が儘なんだ。だからお前は無茶はするな」 彰利 「アアーーーッ……って、それ本気で言っておりますか?」 悠介 「本気だ。今までの遊びの延長みたいなものとは訳が違う。     解ってるだろ?ここは些細なことで死んじまう世界だ。     お前はもう何度も『死』ってものを味わってる。それも、俺の所為でだ。     だからもうやめてくれ。お前には幸せになってもらわないと俺が困る」 彰利 「ぬう!何をぬかすかと思えば!     俺だってキミに幸せンなってもらわきゃ困るんじゃい!     キサマまさか死ぬことを想定した上で戦いに行く気じゃあるまいな!!     そげなことはこの彰衛門、辛抱たまらんぞ!?」 悠介 「誰が好き好んで死ににいくかっ!!自信過剰になる気なんてさらさら無いが、     だからって自分を卑下するつもりはない!!」 彰利 「ホッホォ〜?言いおったな?     ではオイラがキミに一発でも攻撃を当てられたら、俺の願いを聞いてもらうぜ?     制限時間は10秒。10数える間だけ後悔の時間を差し上げましょう。     その代わり10秒経っても殴れなかったら───悠介の言うことを聞きましょう。     どうかね?この勝負───受けて立つかね?」 悠介 「…………よし、解った。受けて立つ」 彰利の本気の目を見て、俺はゆっくりと構えを取った。 みさおが止めようとしたが、それを制して一歩前へ出る。 彰利 「言っとくけどこれは喧嘩じゃないから約束とは違うぜ?」 悠介 「解ってる。合図はどうするんだ?」 彰利 「この黒メダルを投げて、床に当たってチンって鳴ったら始めよう。     ただし、鳴る前に行動したら負けね?」 悠介 「そうか。じゃあお前は間違いなくイカサマするだろうから、     その黒のメダルじゃなくてこの光のメダルを投げような」 彰利 「ゲッ!!」 悠介 「……ゲ?ゲ、なんだ?」 彰利 「ア、アゥワワワワ……!!」 予想通りといったところか。 彰利は見るからに狼狽え、汗をだらだらと流した。 どうせ黒のメダルを投げて、 床に落ちる瞬間に影で飲み込んでしまおうとしたんだろう。 で、タイミングを見て俺が動けば俺の負け。 彰利はそのまま勝利を握れるって寸法だ。 悠介 「じゃあ投げるぞ」 彰利 「ギャア待って!!……あ、あのさぁ、まさか本気で殴ったりしない……よね?」 悠介 「……知ってるか?解らず屋にはな、     キツイ一発をお見舞いしなきゃいけない時ってあるんだ」 彰利 「な、なにを言うか!解らず屋なのはキミの方でしょうが!!     ボクたち友達だろ!?一緒に戦って何が悪いんだい!?」 悠介 「お前が死ぬかもしれない可能性の全てが悪い。     で、こう言えばお前は『修行したから大丈夫』って言うんだろうが、     だらかこそ今それを確かめる。     ───覚悟、決めろよ。手加減なんてしてやらないからな」 彰利 「───っ〜〜!!」 みさお「あ、あぅう……!!」 諸力、魔力、神力、死力、竜力、混沌の全てを解放してゆく。 工房の中は殺気に満ち溢れ、離れていたみさおはヘタリこみながら震えだした。 彰利 「す、すげぇ気だ……!オラの百倍はありそうだ……!!     で、でもこういう場面の王道って結局オイラが攻撃当てるんだよね!?     そうだよね!?ね!?あ、いや、べべべべつに怖くなんかないぞぅ!?     この足の震えはダンスの所為ですよ失礼な!!」 悠介 「10、って言ってたな。けどな、勝負なんていっつも一瞬で決まるものだろ。     だから10数えてからこのメダルを投げる。     その間俺は『お前には』なにもしないから、攻撃でもなんでもしてくれ。     でも───出来ればお前には解ってほしい。     俺はただお前に死んでほしくないだけなんだって。     もう、俺が原因で辛い思いをしてほしくないんだって」 角と翼が生えてゆく。 身体がゆっくりとスイッチを切り替えたように力に満ち溢れ、 自分でさえ未だ解らない己の全力に期待と不安が入り混じる。 彰利 「く、くっは……!は、はぁっ……!!     み、みさおさんヘルプーーーッ!殺気で足が動かーーーん!!」 悠介 「10……9……8……」 彰利 「ハ、ハワーーーッ!!」 悠介 「7……6……5……」 彰利 「こ、攻撃せねば……攻撃せねばならんのに……!     チィイ!こうなったら影で攻撃を───!ディナータイムだ!アモルファス!」 彰利が俺の影を凝視して力を送り込む。 すると俺の影が盛り上がり、俺目掛けて襲い掛かってきた───が。 バゴチャアンッ!! 彰利 「うお……」 悠介 「……2」 瞬時に振り下ろしたヴィジャヤの石突きが、その影を完全に黙らせた。 影に宿った力の全ては分散し、影はただの影となった。 悠介 「1、0───」 ピィンッ───メダルが宙を舞う。 刹那、彰利は腕をクロスして屈んだ。 彰利 「俺の負けだッ〜〜〜!!許してくれッ〜〜〜〜!!」 ……なにをするかと思ったらシコルスキー風敗北宣言だった。 俺はそれを確認すると溜め息とともに神魔竜人を解く。 それとほぼ同時にメダルがチャリンと床に落ち─── 彰利 「馬ァアアア鹿めぇえええっ!!!     真剣勝負の最中に気を抜くなどぉおっ!!!なんたる───」  ヒュオッ!───キィンッ!! 彰利 「ハ……カ、カカ……」 悠介 「マヌケ、か?」 メダルが落ちた瞬間に襲い掛かってきた彰利の喉元にヴィジャヤが突きつけられる。 彰利は再び汗をダラダラと流し、 空いた両手で『お手上げ』のポーズを取ると、大きく息を吐いた。 彰利 「すんません……俺調子に乗ってました……。     でもホントにイケると思ったんです。本当です。     これでもかなり強くなったんです。もう前までの僕じゃありません。本当です」 悠介 「そんなの最初から解ってる。けどな、だからこそ言ったんだよ。     お前の場合、力を手に入れると絶対に調子に乗るから」 彰利 「なにを言うんだい?このぼくが調子になんて乗るわけないじゃないですか」 みさお「ここに戻ってくる前に居た世界じゃあ、     『もう敵無しだぜ!?悠介にだって勝っちゃうよ俺!』とか言ってましたけど」 彰利 「イヤァアア!!バラしちゃダメヨォオーーーーーーーッ!!!」 叫ぶ彰利───というか、どうしてこいつはこう予想通りなヤツなんだ……。 と、そんなことを思っていると、自らインビジブルを解いて彰利を囲む三つの影があった。 ウィル『そうかそうか……ならば貴様はマスターの敵、というわけか……』 ディー『悠介さまに害を為す者悉くに等しき罰を……!』 ヴァル『そうですね……王に害を為すのであれば、たとえ親友だろうと……』 彰利 「キャーーーッ!!?」 ウィルオウィスプとウンディーネとヴァルトゥドゥスだ───と思ったら、 それに続くようにして全ての精霊、召喚獣、飛竜が彰利を囲んだ。 悠介     「だぁっ!ちょっと待てお前ら!         さすがにフクロはシャレにならないだろ!」 ドリアード  『平気です。シャレで済ませる気はありませんから』 悠介     「そ、そっか。って!なお悪いわっ!!」 ナイアード  『長い間貴方の傍に居て確信しました。         わたしたちが契約するのは貴方が最初で最後です』 オレアード  『ですからその唯一である貴方に手を出すような輩には、         それ相応の罰、というものを差し上げなければなりません』 アルセイド  『あなたを傷つける者……敵。敵は嫌い……許さない』 ネレイド   『小手調べにイレヴナルラインゲートでも開きましょうか』 ナパイア   『それはいい考えですね』 悠介     「全力でやめろ!!」 ニーディア  『準備は出来ているぞ?』 悠介     「今すぐ中止しろ!!」 ディー    『それでは地水火風の最大能力を合わせたディバインブラストで』 悠介     「それもやめろ!」 ベヒーモス  『なんだったら今度は全ての者と融合し、         バハムートさえ超えた極光で滅ぼしてくれようか?』 悠介     「殺すことを前提に語るのをまずやめろ!!!」 ゾーンイーター『いや、ここはワシの胃液で溶かし殺そう』 悠介     「お前もかゾーンイーター!……───つーか喋れたのかお前!!」 アーガ    『悪ぃな、なんだかんだで蒼竜王のことは気に入っちまったんだ。         てめぇが敵になるっつーんなら手加減はしねぇぜ?』 悠介     「やめろっつーとるんだがな……。         諸力で威力が上がったエクスカリバー受けてみるかキサマ……」 アーガ    『あ……いやぁ……は、話会おうぜ蒼竜王……』 みさお    「あの、もうエクスカリバー習得しちゃったんですか……?」 ベリー    「苦労してたみたいだけどね。何度腕を爆発させたことか」 悠介     「そこっ!いちいち暴露するんじゃないっ!!」 リヴァイアサン『さて、それでキサマの処遇だが───』 悠介     「そこも話を蒸し返すな!!落ち着け!まず落ち着け!!」 ベリー    「わはー、悠介って人に『落ち着け』って言う時って絶対そう言うよねー」 悠介     「やかましい!毎度毎度こうやって振り回されるから言うんだろうが!!」 みさお    「悠介さん、知ってます?苦労人は一時の苦労からは逃げられても、         逃げた先でまた苦労に捕まるらしいですよ?」 悠介     「ンなことは今の現状見れば一目瞭然だろうが!!」 みさお    「わっ、自分が苦労人だって認めました」 ベリー    「苦労してるのねー、悠介」 ニーディア  『まあ見ていろマスター。今からこの男に───マスター?』 ───ブチリ。 悠介 「てめぇらそこに座りやがれぇえええええっ!!!!バゴォッッッシャアアアアアアアンッ!!!!! 総員 『キャーーーッ!!?』 身体とヴィジャヤから雷光が放たれた。 だがそんなことは無視して、俺はジリ、とその場に居た全員に詰め寄る。 ベリー「うわ、うわわ……か、身体が雷化してる……!?」 みさお「エ、エネルです!怒りのあまりに悠介さんがエネルにーーーーっ!!!」 ベリー「待った待った!座るから!ね!?     ツンツン頭もなんとか言いなさいよ!親友でしょ!?」 彰利 「囲まれてた俺に何を言えと!?     むしろ助けてもらってセンキューってくらいですよ!?」 みさお「でもこのままじゃ一緒に黒コゲですよ!?それでいいんですか!?」 彰利 「いいわけあるかコナラァ!!     というわけで……あー、悠介?オイラ悪くないから見逃して?」 ベリー「あ!ずっこい!自分だけ助かろうって気!?」 みさお「最低ですよ彰衛門さん!!人としての情けは無いんですか!?」 彰利 「ンなもん幼少の頃に捨てたわい!」 ベリー「うわ最低!」 みさお「ひどいです最低です!」 彰利 「う、うっさいやい!最後に生き残った者が正義なんじゃい!!     大体キミたちだって人が囲まれてる時に暢気にくっちゃべりおって!!     と、とにかく!そげな力任せな行為はキミらしくありませんよ!?     まず先に話し合いを持ち込むのがキミでしょう!えぇーーっ!?」 悠介 「身体に教えねば解らんのだろう……?“神”の定義……」 総員 『なりきってるーーーーーっ!!!!』 ベリー「しかも何気に体罰決定してるわよ!?こういう時ってどうしてるのツンツン頭!」 彰利 「絶対逃走不可能だからボコボコにされてます」 ベリー「じょっ……冗談でも逃げてるとか言いなさいよぉーーーっ!!!」 何か騒いでる……ああ聞こえない、なにも聞こえない。 大丈夫、大丈夫だ。 とりあえず暴れよう。 ベリー  「ど、どうするのよ!さっきから転移で逃げようとしてるのに、       魔術効果打ち消されて飛べないのよ!?」 彰利   「だから……。こうなった時の悠介って先に全ての逃走手段を封じてくるから、       どう足掻いたって逃げられないだってばよぅ……」 ベリー  「じゃあ大人しくボコられろっての!?だったらわたしだって抗うわよ!?」 ジハード 『確かにな。これはいい機会かもしれん。       その気配、その人望を認めた上で黒竜珠を渡したが、真の強さは未だ知らん。       ならば今がそれを確かめる時だ───!!』 ニーディア『なるほど?それもまた一興か』 ノーム  『オイラも加勢するぞー。前は何かをする前にやられたからなー。       あれがオイラの全力だと思ったら大間違いだー』 シェイド 『言われてみれば我も一度も戦ったことがない。       これはある意味いい機会と言えるな』 ノード  『そうだろうな───汝らもいい機会だ。全員でまとめてかかっていけ。       なに、心配する必要はない。       これで生き残れなければ、元よりミルハザードには敵うまい』 ウィル  『くっ……マスターの乱心を止めるのも従属者の務め!       マスター、どうかお許しを───!』 ドリアード『争いは好みませんが……       あの心穏やかなマスターが怒りに飲まれたままなのは心苦しい限りです。       わたしたちニンフも助力いたしましょう……』 ディル  『まあたまにはいいだろう。私もこちらに付かせてもらうぞ、王よ』 彰利   「えーと、じゃあ俺、応援を」 ノート  『汝もだ、やれ』 彰利   「ゲェエエーーーーーーーッ!!!!」 様々な音、気配、力が入り混じる。 でも大丈夫だ。 頭は酷く曖昧だけど心は酷く落ち着いている。 相手が誰なのかって概念が切り捨てられてるけど、これなら冷静に対処できそうだ。 彰利 「こ、こうなりゃヤケだ!おぉりゃ〜〜〜っ!!」 誰かが突進してきた。 その手には闇の気配を感じさせる刃。 俺はそれを避け、手に力を込めた。 悠介 「五百万……一千万、二千万……」 彰利 「へ?あ、いやちょ───まさかぁああああっ!!!」 悠介 「二千万ボルト───“放電”(ヴァーリー)……!!」 やがて、攻撃を避けられたことで一瞬の隙を出したそいつへ、 溜め込んだ雷撃を───ヂガァンッ!!バゴゴガガァアアアアンッ!!! 彰利 「ウビギィイイイッ!!!アガガゴギギャアアアアアアアッ!!!!!」 ……放つと、その誰かの意識の気配は薄れていった。 まずはひとり。 みさお「うわ、うわわ……なりきってます……!     これ以上ないってくらいになりきってます……!」 ベリー「なりきってるってなんのことよ!もし元があるなら対処法くらい知らないの!?」 みさお「え?え、ええと……ゴム人間です」 ベリー「居るわけないでしょそんなの!!───ってうわぁああああっ!!」 悠介 「“神の裁き(エル・トール)”───!!」 ドゴォッッシュゥウウウウンッ!!!雷撃の大砲を放つ───が、避けられた。 ベリー「あ、あぶっ……!あぶぶっ……!あぶなっ……!!」 みさお「よく避けられましたね今の……というか流石です悠介さん。     暴走してても雷撃が素材に当たる前にきちんと消してます」 ベリー「あなたも随分冷静に見てるわね……」 みさお「もう慣れっこですから……」 ベリー「くぅ、こんなちっこい娘が苦労する時代なのね……」 みさお「ちっこさであなたにとやかく言われたくありません!」 ベリー「なにをー!?わたしは好きでこの体格通しての!     伸ばそうと思えば伸びおわあああああああっ!!!!」 ガガォンッ!!ガォンガォンッ!!ズガガガガガバギィンッ!ガシャゴシャァンッ!! 牽制として“無限襲雨の鉄製剣(ロングソード)”を放つが、 その全ては弾き落とされたようだった。 シルフ『やはりわたしを破っただけのことはある……マスターは強いな』 ベリー「あ、えと……あなたの風捌きも相当なものかと……」 どうやら風の刃で弾き落とされたらしい。 風───なにかひっかかるが、頭が灼熱してて思い出せない。 まあいい、今は目の前にある気配を鎮めることを優先しよう。 ジハード『ではハナは我に切らせてもらうぞ───!!いくぞ人間!!』 強い力がこちらへ向かってくる。 物凄いスピードだ───俺はその速度に合わせて槍を振るう。 が、その気配は感心するほどの動きでそれを避けてみせ、俺へ襲い掛かる。 気配の動きは真実感心に値するものだ。 目で見ず、心で気配を探知している俺にしてみれば、 それは奇跡って言っていいくらいの動きだ だが───ザブシュウッ!! 悠介  「づっ───ははっ」 ジハード『なに───!?』 腕にわざと攻撃させ、それを囮に相手を掴んだ。 どうやらそう大きいものではないらしく、しかし容赦することもなく拳を振り下ろした。 ジハード『なっ!待ごはぁっ!?』 ベゴチャアと砕けるような音が聞こえた───が、気にしない。 というより考えられない。 頭が熱い。 何も考えられない。 ただ気配がある。 俺を敵だと認識している気配だ。 だったら戦わなくちゃいけない。 ああくそ、それにしても頭が回らない。 どうしたっていうんだ……直前のことが思い出せない。 どうして俺、こんな風になったんだっけ……いや、今はどうでもいい。 今は思い出せることだけを糧に、目の前の気配を叩こう。 今俺に出来るのはそれくらいのようだ。 だから思い出せるものを───思い、出せる……え、えぇと……中井出? なんで中井出が……な、中井出?中井出……───中井出! 悠介 「シャンドラの火を灯せぇえええーーーーーーーっ!!!!」 総員 『ウヒャア来たぁああああーーーーーーっ!!!!』 煮えたぎる頭の中に、何故か中井出の顔が浮かんだ。 その途端俺は突き動かされるように疾駆し、感じる気配の全てへ襲いかかった。 ……そこからのことはよく覚えていない。 頭の熱が醒め、ハッと気づけば工房に転がる気絶者数十名。 なんとなくだけど、それをやったのが俺だと理解すると、すぐに治療に入った。 ひとりずつ治療するその間、 それぞれが俺の顔を見ると『悪戯をした子供』のようなバツの悪い顔をし、 どうしてか謝ってきた。 本当によく解らなかったけど、それぞれに『気にするな』と言って俺は苦笑した。 そんな中でノートだけが俺を見て笑い、 『もう少し感情のコントロールも出来るようにならないとな』と言った。 それを聞いて『ああ、俺キレたのか』と納得するに至り─── やっぱり自分は怒りやすいのだろうかと、何度目かの反省をする自分が居た。 ……まあその、全ての原因が俺にあるかどうかはこの際度外視して。 Next Menu back