───FantasticFantasia-SetEnd/そして全ては始まりと終わりへ───
【ケースEnd:スピリットオブノート/全ての始まりにして終わりなる者】 ───……そして。 見知らぬ土地へと降り立った。 ノート『………』 辺りを見渡してみるも、それこそ見慣れた空界のそれとは違う。 感じる力は───ああ、なるほどな。 ノート『………』 手を閉じてから開く───が、なんの力も発動しない。 ノート『……力を使い果たしたか。これでは空界に戻ることさえ出来ないな』 次元の狭間の中で感じた軸は───遥か過去の時代だ。 ノート『………』 ミルハザードは別の世界の火山口に落ちていった。 あの傷では助からないだろう。 だが……それは私も同じだな。 空界以外では私のマナは回復しない。 空界に戻る力も無い今の私では─── ノート『……いいや』 諦めるなどらしくない。 契約は切ったが、意思は再びマスターに会いたいと願っている。 マスターはミルハザードとの戦いで一度たりとも諦めなかった。 ならば私も─── ノート『……生きてゆこうか。この世界で私がどう生きてゆけるかなど解らんがな』 諸力も魔力も行使出来ない。 使えるとすればせいぜいで創造程度だ。 ノート『……マナは回復しない、諸力も使えない、魔力も使えない……情けないな』 三つも欠点が存在するとはな───情けない。 ───ならばせめて、と。 首飾り型の賢者の石を己の裡に埋め込むと、それを力として吸収した。 これで……まだしばらくは生きていられる。 この世界で生きてゆくのならば、 恐らく無である私の力はこの世界に馴染んでゆくのだろう。 そうなれば確かに生きてゆける。 だが───再び空界に戻るまで、私の精霊としての力は姿を潜めるだろう。 ……それでいい。 いつの日かあの愉快な日々に辿り着ける日がくるのなら。 ノート『ああ……歩んでゆこう。あの素晴らしい日々へ───』 意識を集中すると、賢者の石の力が見える景色の全てを構造として見せた。 それを分析し、創造すると───なんだかおかしくて笑えた。 こんな力の使い方もあるのだな、と。 ノート『ではゆこうか。この世界───神界で、私は静かに時を生きるとしよう』 “三つの戒め”は我が裡に。 精霊としての力を行使できない自分は、恐らく精霊としては既に不完全なのだ。 ならば生きてゆこう。 この世界で、創造のみを行使できる存在───創造神として。 ノート『三つの戒めか。こういう時、あの物覚えの悪い教え子ならばどうするのだろうな』 ふと、小さく黒を行使する教え子を思った。 そして……やはり笑った。 ノート『ああそうだな。そういうのも悪くない』 私は苦笑しながら、三つの戒めを我が名に戒めることにした。 マナも回復せず、諸力も使えず、魔力も使えないという三つの戒め。 それを『己を枷る』という意味で、小さく己の名として唱えた。 ノート『ソード、か。点が三つ増えただけで、印象など随分変わるものだ』 世界の創造まではまだ使用に至らない。 だが、なにか強力な力を吸収出来た時───それは出来るだろう。 その時には……そうだな、マスターの世界……黄昏を使わせてもらうとしよう。 ソード『待っていろ、マスター……いや、晦悠介。     いつか汝に再会し、私の知らぬ未来が開けた時───     汝にこの三つの戒めをくれてやるとしよう』 その時まで、せいぜい私もこの世界で生きてゆくとする。 さあ行こう。 この未来の最果てにマスターが居るのなら、悪くない。 もう一度、あの懐かしい景色へ───
ゆっくりと、歩み始めた足が草原を踏みしめた。 透き通った空気と、どこか神聖さを感じさせるその世界は予想以上に静かで。 ふと視界をよぎった鳥が、高い空へと消えてゆく。 そんな景色に自然と笑みがこぼれた。 悪く無い、と口からこぼれるのも自然のことだ。 先の未来でどんなことが起こるのかは解らない。 もしかしたら自分にも親友と呼べる者が現れるかもしれない。 そうなった先で自分がどうするかなども解らない。 が───それでも悪く無いと思えるのも面白いことだった。 見えないものがある、というのも悪くないものだ。 そんなこと、精霊であった時には気づきもしなかった。 この先こんなことが何度もあるのかと思うと、やはり笑みがこぼれた。 それすらも悪く無い。 では行こうか……マスターの居る、未来の最果てへ───
                        ───FantasticFantasia/了 Next Menu back