───やっぱりどう足掻いても主人公には向かんらしい───
【ケース24:ロビンマスク/倫敦の若大将!の巻】 ロビン「ウムムム〜〜〜〜ッ、今日もよく晴れたものだ〜〜〜〜っ」 バンッと開けた城ならではの巨大な窓から景色を眺める。 と、FF9のCGアニメーションのように鳥が空を飛んでゆく。 おお〜〜〜っ、ガーネット姫さんにでもなった気分だ〜〜〜っ。 ロビン「ウム、それではまだ少し早いが……大会の下準備に備えて起きるとしよう」 イギリス紳士に変貌したということで、 特別に個室を頂いたオレは、フルチン状態で頷いた。 フルチンといっても、パンツ以外のロビンパーツは装備してある。 トイレに行けないのはあんまりだってことで、パンツは脱げるようにしてくれたわけです。 でも他のパーツだけは脱げるようにしてくれなかったんだよね、どういうわけか。 そんなロビンなオレだが、ほら……こんな大きなベッドを用意されては、 一度はやりたくなってしまうというものでしょう。 『全裸で眠る』という大業を。 でもパンツ以外脱げなかったから、こうしてパンツだけでも脱いで寝てみたわけです。 ロビン「つーか腰痛ェよコレ……鎧着ながら寝るもんじゃねぇや……」 ともあれ紳士である以上、超人とはいえケツは締めておかねばなりません。 オレは硬くケツを締めながら、無造作に脱ぎ捨てておいたロビンパンツを手に取りました。 それを空中へと放ると自分も跳躍し─── ロビン「ヒョオオ〜〜〜ッ!!」 ガニマタの状態で体を横回転させたのち、空中でパンツをグワキィと穿()
いた。 フウ、今日もキマって───ドサ。 ロビン「ム?」 ふと聞こえた物音に促されるようにそちらを見た。 すると───顔を真っ赤にして、 口をパクパクとさせながら顔を真っ赤にさせてるレファルド皇国のメイドさんが……。 メイドさん「あ、あぁぁぁああああの……あ、朝のお報せ、に……」 ロビン  「ア───」 間。 ロビン  「キャアアアアアアーーーーーーッ!!!」 メイドさん「きゃっ……きゃあああああーーーーーーっ!!!!」 ロビン  「キャーーーーッ!!?キャーーーーーーーッ!!!!」 メイドさん「きゃあああああっ!!!きゃああああああああーーーーーーーっ!!!!」 ロビン  「キャアアアアアーーーーーーーーーーーッ!!!!」 この時以上の恥を、僕はきっと知りませんでした。 よりにもよってロビン流最終奥義『空中パンツ穿き』を見られるとは……。 しかも横回転してたから、絶対に我がモーニングウェポンを見られたこと請け合い……。 紳士超人としての新しい朝が、いきなり崩れた瞬間でした……。 【ケース25:晦悠介/朝、そして大会本番へ】 中井出「遅いなぁ彰利のヤツ」 創造高速飛空艇シルバリオの操縦桿を握った中井出がボヤく。 俺はその言葉を聞きながら、ここに来る前に寄ったロビンの個室のことを思い出す。 悠介 「ああ、なんか知らんが部屋の隅で体育座りしながら泣いてたぞ。     しばらくひとりになりたいから各国への迎えはやっといてくれ、だそうだ」 中井出「なんだよサボリか?」 悠介 「いや……理由までは解らなかったけど、あれは本物の涙だった」 中井出「早くも日余にフラれたとか?」 悠介 「そんなことないだろ、日余は夜のうちに帰ったわけだし」 中井出「あ……そか」 謎は深まるばかりだが、 『神聖なるメイドさんになんてものを』と呟いていたことになにか関係はあるんだろうか。 中井出「あ、そういやさぁ。晦は毎朝起きるの速いから知らないだろうけど、     今日メイドさんが朝起こしに来てくれたんだよ」 悠介 「そうなのか?」 中井出「ああ。でも……なんつーのかな……なぁ〜んか顔真っ赤でさぁ。     なにかあったのかね、って」 悠介 「………」 解らん。 彰利と関係あるだろうか、って考えたが…… あの彰利が『メイドさん』に失礼を働くわけがないしな。 悠介 「ただ単に熱があったんじゃないか?」 中井出「んー……ああ、そうだな、そうかもな。なんだか喋り方も上ずってたし。     よし、じゃあ待っても無駄ってことで───行くか」 悠介 「そうだな。じゃあ操作の仕方教えるから覚えてくれな」 中井出「OK。一応これでも興味の対象に関しては物覚えはいいほうだ。     なにせ、今まで見てきたエロビデオの内容全てを覚えているほどだ」 悠介 「……そういうことを公言するのはほどほどにな」 中井出「俺は自分に正直なんだ」 正直すぎるのはどうかと思うが……本人がそれでいいのならいいのか? ………………微妙だ、かなり。 悠介 「ともあれ、さっさと各国の勝者を迎えに行かないとな。あとが怖い」 中井出「今のお前に怖いものなんてあるのか?」 悠介 「そりゃあるさ。恐怖を感じないことに羨ましさなんて感じない男だからな、俺は」 中井出「そうなのか?恐怖しないってのはいいことだと思うけど」 悠介 「アホゥ、感情はどんなものでも大事にしろよ。     無かった者からの忠告だけど、     どんな些細な感情を無くしちまっても、絶対に世界観が変わっちまうぞ。     今まで『そう』と感じてきたものが180度変わるんだ。……正直、辛い」 中井出「晦……お前……」 悠介 「ああけどな、『手に入れる』分には構わないと思う。     俺は手に入れたことを喜んでる。でも置き去りにしたことは今でも後悔してる」 中井出「そりゃしょうがないだろ。     あんなことが目の前で起きて、正気でいられる子供はバケモンだ。     それってさ、それだけお前がガキん頃は人間してたって証拠じゃん」 悠介 「……あまり嬉しくない慰められ方だな」 中井出「方法なんてどうでもいいんだよ、慰めは慰めだからな。     それで立ち直るかどうかは相手次第だ。そうだろ?」 悠介 「……一応、サンキューとは言っておく」 中井出「おう、どういたしまして」 口の端を歪ませて歯を見せながら笑う悪友を前に、俺は軽く頭を掻いて応えた。 周りが馬鹿ばかりなのは、やっぱり落ち着けるものだって自覚とともに。 中井出「ま、いいんじゃないか?今までいろいろあった分、なんにでも感謝しとけよ。     あ、でも素直な心で向き合おうとしない猫かぶりにゃあ感謝なんぞしても無駄だ。     俺の造語教えてやろっか?『猫被りの皮は三味線にもなりゃしない』」 悠介 「語呂悪いな」 中井出「ほっとけ。猫被りなヤツほど役にたたないっていうか、     信頼におけないって言葉だよ。そんなもんだろ、世の中って」 悠介 「………」 小さな溜め息が漏れた。 けどそれは会話に疲れて、とかそんなものじゃない。 中井出もそれを解っているのか、やっぱり笑って操縦桿を動かし始めた。 ───……。 ……。 ややあって、オーエンとファウエルの国を回った。 あとは帰るだけって頃、早くも運転に慣れた中井出を余所に、俺は猫になって寝ていた。 はぁ……猫になってまったりするのも久しぶりだ。 不思議なもので、猫になると『なにかをやろう』って気が薄れてくるんだよな。 眠たくなるっていうのか……ともかく不思議な気分だ。 男  「なんでぇ、操作するヤツしか居ねぇのかよ。サービスがなってねぇじゃねぇか。     こちとら優勝候補のアルガン=サムランさまだぞ。女くらい用意しとけってんだ」 魔術師「自分で優勝候補と言っていれば世話が無い。     まあ誰にも迷惑がかからないだけマシか?」 男  「っ……てめぇ」 ……だってのにうるさい。 世界猫「……ゴニャ」 男  「あぁん?……猫?」 世界猫「………」 さてどうしたものか。 文句のひとつでも飛ばしたところだが、 『喋る猫』なんかと遭遇したらメンタル面での心配がある。 ゴツくても小心者なヤツは確かに居るわけだし。 魔術師「……カワイイ」 男  「あぁん?なんだぁてめぇ、猫がかわいいなんて、女かぁ?」 男が、フードを目深に被っている魔術師を肩をすくめながら睨む。 そんな男の足をテシテシと叩き、『よせ、お前じゃ勝てない』と忠告しておく。 が─── 男  「なんだこらぁ!!俺ゃあ猫が大嫌いなんだよっ!!」 ドゲシッ!と、あっさりと蹴られた。……ちなみにダメージは0だ。 しかし攻撃は攻撃……正当防衛を働かせてもらおう。 世界猫「───!」 ドシュンッ!! 男  「へっ……!?」 俺を蹴飛ばした男が、角と翼が生えてきた猫を見てしこたま驚く。 だが驚いたからといって蹴った罪は消えやしない。 動物虐待なんて大嫌いだコノヤロウ。 世界猫「ゴニャアア〜〜〜ォオ……」 男  「な、な……なぁあ……!!」 ゆっくりと翼で飛翔し、目の高さまで来た猫を見てカタカタと震える男。 ───それを見たら、正当防衛がどうとかで攻撃するのが馬鹿らしくなった。 世界猫「……ゴニャッ」 竜化を解いて、再び床で丸くなった。 やかましくしないならべつに怒る理由もない。 男  「な、なんでこんなところにモンスターが居やがんだ!?     翼を持った猫なんざ聞いたこともねぇが、こりゃモンスターだろう!」 魔術師「……少し黙っててくれないか。お前の声は耳に障る」 男  「なにぃ……?」 魔術師「ついでに言ってやろうか。姿さえ目障りだ、消えろ」 男  「なぁにぃ!?根暗な魔術師が言うじゃねぇか!!     魔術と魔導術、どっちが強いかここで試してやってもいいんだぜ!?」 魔術師「死にたいなら止めは───」 世界猫「……ゴニャ」 魔術師「……?」 見上げた魔術師の目に、 『やかましい、静かにしろ。喧嘩なら大会でやれ』という視線を送った。 それが届いたのか、魔術師は小さく溜め息を吐くと男の横を通り過ぎた。 男  「あぁ!?逃げンのかてめぇ!!」 魔術師「ここで戦うまでもない。大会で打ちのめしてやるからそれまでお預けだ」 男  「お、お預けだぁっ!?てめぇ俺をそこの猫畜生と同じ目で見てるってのかぁ!?」 魔術師「───くだらない冗談だ。貴様なんかよりそこの猫のほうが千倍は強い」 男  「なぁああにぃいいいっ!!?」 魔術師ともう一度目が合う。 すると魔術師はクスリと笑い、そこから立ち去ろうとした───が。 男  「待てっつってんだよ!!」 男は乱暴に魔術師のフードを引っ張ると、自分のほうへと引き寄せた。 その拍子に魔術師の顔が露になり─── 男  「……アン?やっぱてめぇ女か?」 魔術師「その汚い手を離せ、下郎」 世界猫「………」 その顔に見覚えがあった。 数える程度しか会ったことがなかったが、彼女は───  ドンッ───!!! 男  「うぶっ───!?」 名前が頭に浮かんだのとほぼ同時に、男が吹き飛び空を飛んだ。 軽く男の腹に添えられた手が衝撃を生み出した故だ。 そして、こんな変則魔術を得意としたヤツはアカデミーでもひとりしか居なかった。 世界猫「……久しぶり、リオナ=マグベストル」 リオナ「気配で大体は読めていた。久しぶり、晦悠介」 リオナ=マグベストル。 主に風を利用した変則魔術を得意とし、 変則系の魔術では常に首位の部類に君臨していた女性だ。 リオナ「三回生の頃のマナ上級力学の教室で会ったのが最後か。     どういう経緯でそんな姿になっているのかは知らないが、今はなにをしている?」 世界猫「見ての通り、大会準備員だ。お前は……どうして大会に?」 リオナ「妹が出るというから付き合いでだ。     恥ずかしいが、わたしの家はあまり裕福なわけじゃない。     そこで、妹がこの大会に出て騎士になるって決めたんだ。     騎士はそれなりの地位だ、兵士で居るよりは金が入る」 世界猫「その付き合いってわけか。……妹さん、剣術が得意なのか?」 リオナ「ああ。剣術だからレファルドに居ると思うが……勝っているかどうか解らないか?     リアナ=マグベストルっていう名前なんだが」 世界猫「リアナ、って───あ……マグベストル」 アホゥか俺は……戦いのほうに集中してた所為で、名前にまで気が回らなかった。 世界猫「心配ない、あの腕ならそこいらの男でも敵わないだろ。     俺が見た中じゃあ予選は楽々勝ってた」 リオナ「……そうか。わたしが言うのもなんだが、妹の剣は見事だからな。     そこいらの馬鹿な男になんて負けるわけがない」 世界猫「そうだな、実際中々の腕前かと思ってた剣士の男があっさり負けてた」 リオナ「そうだろうっ?リアナはわたしの自慢の妹だからなっ」 世界猫「………」 どうやら本気で自慢の妹らしい。 こいつのこんな誇らしげで嬉しそうな顔は初めて見た。 世界猫「ところで……アカデミーはもう卒業したのか?」 リオナ「余裕だ。風魔術の体系化がわたしの夢だからな、     あんな場所でいつまでも燻っていられない。     そのためにも皇国認定魔術師になって、     ヤムベリングさま直々の魔術講義を受けるんだ」 世界猫「自分の工房は持ってないのか?」 リオナ「工房の鍵は魔導術師か魔導錬金術師に送られるものだ。     魔術師には必要の無いものだから受け取っても意味がない」 世界猫「……なるほど。ところでその口調は相変わらずみたいだが……訊いていいか?     なんで男っぽい口調なんだ?」 リオナ「わたしの家には親が居ない。     だからわたしが妹を養うために強くある必要があった。その所為だな。     男っていうのは女と見るとすぐに自分より下だと見て取る」 世界猫「だからか。まあおかしいって言ってるわけじゃないから気にするな。     ただ知り合いにそういう口調のヤツが結構居るもんだから、気になっただけだ」 リオナ「気にしてない。アカデミーの中でもお前と弦月彰利は違った。     女だろうが落ちこぼれだろうが対等の態度で接していた。     だからこうしてわたしもお前に話し掛けている。     普通なら男になんて声をかけるもんか」 ……どうやら本当に相変わらずらしい。 多分篠瀬が学生だったらこんな感じなんだろう。 中井出「もう着くぞ〜」 世界猫「お、了解。じゃあまあ頑張れ。俺はのんびり観戦してるから」 リオナ「なんだ、大会には出てないのか。いい勝負が出来そうなのに」 世界猫「冗談だろ、真面目なヤツを邪魔するほど馬鹿じゃない」 リオナ「……それこそなんだ、負けない自信でもあるっていうのか?」 世界猫「やってみなけりゃ解らないさ、どんなことだって。     けど俺は観戦するって決めてあるんだ、だから頑張ってくれって言葉を送った」 リオナ「ふん……?相変わらずさっぱりしてるな。     重くなくていいけど、もう少し張り合いが欲しいな。     自信があるならハンデでもつければいい」 世界猫「たわけ、それこそ真面目なヤツへの侮辱だろ」 リオナ「…………いいや、出てもらうぞ。お前の実力、見てみたくなった」 世界猫「……そりゃ、大した願望だ」 そんな言葉とともに、ゆっくりと飛空艇は降りていった。 場所はもちろん、レファルド皇国だ。 ───……。 ……。 リオナ「いいか、絶対に大会に出るんだぞ。わたしと戦えとは言わない。     ただお前の実力を見せてくれ」 ……なんてことを言い残して、リオナは闘技場へと消えていった。 もちろん他の勝者も例外ではない。 リオナに吹き飛ばされたハゲの男も憤怒の顔で闘技場へ向かっていったし。 悠介 「…………大会、ね」 真面目なヤツの邪魔をするのは忍びないが、 ああいうたわけを排除するのは準備員の仕事、かな。 悠介 「───よし!!」 頷いてからの決心は早かった。 紙袋を創造し、ガボシと被ってニヤリと笑う───それだけで準備は整った。 校務仮面「校務仮面……参上!!」 途中参加が認められるかは解らないが、まあなんとかなるだろう。 ……よし、せっかくだからロビンも誘ってみようか。 ───……。 というわけで。 校務仮面「ロビーーン!!」 ロビン 「ウ、ウムムム〜〜〜〜〜ッ……オ、オレはなんということを〜〜〜〜っ」 未だに部屋の隅で震えていたロビンの肩を揺するが、ロビンは頭を抱えて苦しんだままだ。 校務仮面「ロビン!聞けロビン!現実逃避してる場合じゃないだろう!!      嫌なことがあったなら大会に出て気晴らしをするんだ!」 ロビン 「グ……グウウ〜〜〜〜ッ……」 校務仮面「『能力』は使わずにロビンマスクとして立ち上がるんだ!!      さあ!ジョンブルマンの仇を討たなくていいのか!!」 ロビン 「ジョ……ジョンブルマン〜〜〜ッ……」 校務仮面「シャーロックマンがとんずらした今、貴様がやらねば誰がやるって状況なんだ!      立ち上がれ!立ち上がるんだロビン!」 ロビン 「こ、校務仮面……オ、オレは……」 ───しばらくしてから、ロビンがシャキィンと立ち上がったのだった。 ロビン 「よし行こう!イギリス代表としてこの超人オリンピック、制してみせる!!」 校務仮面「よしその意気だ!乱入するぞ!」 ロビン 「おう!!」 そしてふたりで走り出した。 もうなるようになれだ。 【ケース26:晦悠介(再)/バトラー】 ドォンッ!!……バラバラバラ…… アルテミュラー『これより!魔闘大会本選を開始する!!』 総員     『オォオオオオオッ!!!!』 耳を劈く声が頭に響いた。 そんな中に存在する、紙袋を被った男と───ロビンマスクがひとり。 明らかに異質なんだが、 不思議と周りのヤツもヘンテコな格好をしているために違和感が無い。 アルテミュラー『なお今回は三国の王のお遊びとして、ふたりほど曲者が混じっている!         彼らに当たった時は速やかに諦めるように!!』 ……マテ。 曲者って…… 校務仮面「………」 高い位置にある客席をチラリと見れば、 そこに座っていた元至高魔導術師どもがニヤリと笑った。 ……悟られてたってことか? まあ、サンクス。 ロビン「わ、我はしこたま戦慄!!曲者とは許せん!このロビンがブチノメしてくれる!」 そして、なんにも解っちゃいない馬鹿がひとり。 ……けどなあ、ロビンや校務仮面として戦うとなると、 負ける可能性だって有り得るわけだ。 それも面白そうだからいいんだけど。 一般兵『それでは早速第一試合を始めます!黄竜の方角!!ロビンマスク!!』 ロビン「オオッ!!」 って、いきなりロビンか!?どこまで用意周到なんだ! 一般兵『緑竜の方角!!ラガード=エポニシオン!』 ラガー「ユーアー・ラガーメン!?」 一般兵『開始めぇいっ!!』 ドワッシャァアアアアアアアアアンッ!!!! 開幕のドラが鳴らされた。 と同時にロビンはラグビーで鍛えたタックルをすべく屈みこみ、やがて駆け出した! ラガー「ホアァッ!!」 ザグシュッ!! ロビン「ゲェーーーーーーッ!!!!」 が、あっさりと斬られた。 そりゃそうだ、剣士相手にタックルなんて馬鹿のすることだろう。 ロビン「グ……グウウ〜〜〜ッ」 ラガー「弱い!弱いネオマエ!!素人ネ!!死ぬヨロシ!!」 ロビン「───オレは素人ではないーーーっ!!」 ガイィンッ!! ラガー「オワッ!?」 ラガードが振り下ろした剣が、まるでゴムが棒を弾くように軽く跳ね返された。 ロビン「オレの鎧は硬度9サファイアで出来ている!貴様の攻撃など利くものか!!」 ラガー「な、なにカーーッ!!?そんなヨロイ卑怯ヨーーーッ!!」 ロビン「くらえ!ロンドン名物タワーブリッジ!!」 グワキィ!! ラガー「ウゲゲーーーッ!!!!」 あーーーっとロビンのタワーブリッジが決まったーーーっ!! でも剣と魔術の大会で締め技って物凄く地味だな、うん。 ロビン「そーらぁあーーーっ!!ギブアップかーーっ!!」 ラガー「ウガガガガガ……!!!」 メキメキメキメキ……!! ラガー「ギャーーーッ!!!ギ、ギブアップ!!ギブアップヨーーッ!!!」 一般兵『───!ギブアップ!勝者、ロビンマスク!!』 ロビン「ナンバーワーン!!」 ドゴシャッ!とラガードを捨てると、ロビンは天に向けて人差し指を突き上げた。 するとワァッ!という歓声が観客席から……てんで聞こえなかった。 ……やっぱり地味だったんだろう。 ロビン「……な、何故だ……勝ったというのに何故誰も歓声をあげてくれない」 一般兵『次の試合の邪魔になるので下がりなさい!───第二試合!!     赤竜の方角ッ!!リアナ=マグベストル!!』 リアナ「………」 一般兵『蒼竜の方角ッッ!!オロ=ノーブルング』 オロ 「……お手柔らかに、お嬢さん」 ロビン「………」 勝ったというのに一般兵に隅に追いやられ、 誰からも無視されたロビンは悲しそうな瞳で何故か俺を見た。 そんな目をされたって知らん、 というアイコンタクトをしてみると、やはり悲しそうな目で見られた。 ……などという遣り取りをした一瞬。  ───バヂィンッ!! オロ 「っ───!?馬鹿な!!剣で魔術を消し───!?」 リアナ「シッ───!!」  ビタァッ!! オロ 「はっ……!!」 一般兵『勝負ありっ!!勝者、リアナ=マグベストル!!』 リアナ「ありがとうございました」 観客 『ハワァアアアアーーーーーーーッ!!!』 ……一瞬だ。 少し目を逸らしていたその合間に、一気に間合いを詰めて寸止めで勝った。 ロビン 「ウムムム〜〜〜ッ、やるな、あの空界人」 校務仮面「……ああ。我流なのに型が整ってる感がある。      鍛えればどんどん成長するタイプだ」 妹であれなんだ、リオナのほうは─── 一般兵『第三試合ッッ!!黄竜の方角!リオナ=マグベストル!!』 リオナ「………」 ……こらこら、見る方向が違うぞ。 ちゃんと相手のほう見ろ。 リオナ「───……」 アイコンタクトが成功したのかは解らない。 けどリオナは小さく笑みを浮かべて、歩いてきた男を見据えた。 一般兵『緑竜の方角ッッ!!アルガン=サムラン!!』 アルガ「あぁ?なんだ、飛空艇に乗ってたお嬢ちゃんじゃねぇか。     へっ、こいつぁ丁度いい。さっきの借りをたっぷり───」 一般兵『開始めぇいっ!!』 ドワァアアアアアンッ!!!───キィ、ドッパァアアアアアアンッ!!!! アルガ「うぎゃああああああああああああーーーーーーーーーーっ!!!!!」 一般兵『……え?』 ……これもまた一瞬で勝負がついた。 ドラが鳴るとともに魔術を放ったリオナは、それこそ一瞬でアルガンを壁画にしてみせた。 リオナ「……おい、なにをしている。     これで勝敗が決していないなら、次の攻撃であの男は死ぬぞ」 一般兵『アッ───しょ、勝負ありぃっ!!』 観客 『ワァアーーーーーーッ!!!!!』 静まりかえっていた闘技場が熱を取り戻した。 その様子をうるさそうな態度で受け流しながら、リオナは再び俺を見て笑う。 ……なんだかな。 そんなに期待に満ちた顔をされたって、どうせ俺の出番なんてまだまだ先で─── 一般兵 『第四試合!赤竜の方角!!校務仮面!!』 校務仮面「………」 ……いや、いい。 出ればいいんだろ出れば……。 一般兵『蒼竜の方角ッッ!!ノイ=アコレルマン!!』 ノイ 「華麗に秒殺してあげるよ、安物の仮面のキミ」 一般兵『開始めぇいっ!!』 ドワァアアアアアアアンッ!!!! ノイ 「ヒョォオオオオオウウッ!!!」 見るからにナルシスト気質な男がレイピア片手に襲い掛かってくる。 対して俺は素手だ。 身体のモードは『人』であり、なんの力も引き出していない状態だ。 己で鍛えた五体のみで戦う……たまらないな、これは。 リアナ 「あのっ……頑張ってくださいっ!」 校務仮面「ン───ああ」 校務仮面を憶えられていたのか、リアナが俺に向けて応援をよこした。 その隣ではリオナが俺のことを物凄い形相で睨んでいて、正直居心地が悪かった。 ノイ 「余所見ですか!余裕なものですねぇっ!!ホラホラホラホラホラァアアッ!!」 シュピピピピピピピピピピィイインッ!!!! ノイ  「どうです!?私の攻撃が見切れますか!?      目で追うことさえ出来ないでしょう!華麗なる死へのプレリュード!!      この大会で私に出会ってしまったことを存分に後悔して───」 校務仮面「あー……すまん、遅い」 ノイ  「なっ!?」 自称『目で追うことさえ出来ない攻撃』の全てをなんなく躱し、溜め息を吐いた。 ……困ったな、もうちょっといけるかと思ったんだけどな。 校務仮面「ひとつ訊きたい。お前がこの大会に出た理由はなんだ?」 ノイ  「ホォオオオオアァアアアッ!!!!」 シュフィフィフィフィフィフィフィィンッ!!! ノイ  「く、くそ!何故当たらないのです!私は!私は誰よりも強く美しい筈なのに!」 校務仮面「……聞いちゃいないな」 ノイ  「うるさいですねぇ!!      そんなもの、目立ちたかったからに決まっているでしょう!!      美を琢磨するには人々の注目を浴びて緊張することこそ最高のクスリ!!      であるが故に騎士になれば私は最高に輝くのです!」 校務仮面「……はぁ。よし、潰れろお前」 ノイ  「なんですって!?」 思いっきり動機が不純な相手に容赦は不要だ。 憤怒とともに繰り出されたレイピアを軽く躱し、すれ違い様に腹に掌を埋めた。 ノイ 「オガ……」 ……どしゃあ。 一般兵 『あ……?あ、しょ、勝負ありっ!!』 ロビン 「やったなキン肉マン!」 校務仮面「誰がキン肉マンだ!!」 通路に戻ると、戻るなり失礼なことを言うロビンが居た。 ここまでは双方無傷───でもないか。 ロビンは剣で刺されてたからなぁ。 ともあれ次の出番までは暇だな……のんびり見るか。 Next Menu back