───闇とお肉とコアなあいつ───
【ケース30:晦悠介(ヤーサッ再)/親友強化計画】 ───そうして、俺と彰利はキングベヒーモスからなんとか逃げ出し…… 悠介&彰利『おわぁああああーーーーーーーっ!!!!』 現在、マンティコアに襲われていた。 彰利 「ママママママママッドーーーーーッ!!!じゃなくて!!     マンティコアって幻獣って言えるの!?キメラ系じゃなかったっけ!?」 声  『狭界の幻獣とは人の思念を吸収して出現するものだ。     存在がどうであれ、人がそうと思ったものが出現するケースが多い』 彰利 「へ───スッピー!?」 ノートの声がした───が、姿は無い。 俺の中から話してるのか? 声  『悪いな、狭界では空界の精霊は役に立たん。     せいぜいが話せる程度だ。ともに戦うことは出来んが、知識くらいはな』 彰利 「スッピー……キミってヤツは……」 声  『当然魔法も魔術も魔導も使えなくなってくる。あまり無茶はするな』 悠介 「へ?ちょっと待て、     キングベヒーモスから逃げる時に魔導が使えたけど、あれは?」 声  『簡単だ。マスターの場合、空界に居る悠黄奈との繋がりがあるから使える。     狭界には極端に、空界で普通に行使出来る力が少ないのだ。     魔力然り、諸力然り、マナ然り。     使うとなれば直接、空界から力を引っ張る他無い』 悠介 「なるほど……あ、じゃあ他の能力はどうなんだ?」 声  『空界で知られる力以外は普通に使える。それで凌いでくれ。     ただ単に、私を狭界に召喚するにはマナの消費が激しすぎるだけだ。     ニーディアならばまだ力を引き出すくらいは出来るだろうが、無茶はするな』 悠介 「ん、解った。解ったけど……なぁノート?     この世界で幻獣を倒すと、オーブは手に入ったりするのか?」 狭界に来てからそれは気になっていたことだった。 なんとなく答えは解っているが、それでもだ。 声  『それは無理だな。“倒した相手が何かを落とす”という決まり事は、     私が空界に植えつけた固定概念だ。狭界には通用しない』 悠介 「ありがとうノート」 彰利 「ありがとうスッピー」 声  『な、なんだいきなり……普通ここは残念がるところじゃないのか……?』 悠介 「馬鹿お前!     倒したモンスターがアイテム落とさない世界なんてファンタジーじゃない!!」 彰利 「故に我らは空界をそんな世界にしてくれたキミに盛大に感謝する!     ありがとうスッピー!ありがとうファンタジー!!」 声  『………』 悠介 「っと、そうだそうだ。もうひとつ訊きた」  ドンチュゥウウウウウウウウンッ!!!!!ドッガァアアアアアアアアンッ!!!! 悠介 「だわぁああああああああっ!!!!」 彰利 「ちょ、ちょっと待てマンティコアさん!!     そのレーザー反則だぞ!!獣系モンスターのくせにレーザー吐くなよ!!     あんま調子に乗ってっと───食うぜ?」 悠介 「よしやってやれ彰利!!」 彰利 「え?あの、冗談なん───」  ズバァンッ!! 彰利 「ほべしーーーーっ!!!!」 立ち止まり、範馬勇次郎の本気ポーズを取っていた彰利を、 マンティコアの前足がビンタした。 ありゃ痛いだろう……が、ここは彰利に任せよう。 悠介 「───もうひとつ訊きたい。     狭界の幻獣の姿は人の思念が象ってるって言ったよな?」 声  『ああ、その通りだ。狭界の幻獣はその名が示す通り“幻の獣”であり、     その存在自体が幻のような存在だ。     この場合の“幻”の意味は【珍しい】だのの類じゃない』 悠介 「……ようするに。元が思念であるため、存在が希薄って意味の、幻……?」 声  『話が早くて助かるぞ、マスター───その通りだ。     時にマスター、空界で死んだ存在が塵となったあとどうなるか、知っているか?』 悠介 「……?そのまま塵として残るんじゃないのか?」 声  『そうだな、【竜】などの【個の存在率が昂い者】は長い間残るだろう。     だがモンスターなどの【個の存在率が低い者】の塵はすぐに狭界に辿り着く。     【存在率】に関しては【奇跡の魔法】を喩えに挙げたほうが解りやすいか?     まあそれは適当に頷いてくれているだけでいい。     ……いいか、モンスターなどの塵は風に流されはするがすぐに【消える】。     竜族の塵は残るが、モンスターは消え───ここに辿り着く。何故だか解るか』 悠介 「───……」 ちょっと待て。 それってつまり…… 声  『この世界……狭界は、様々な存在の思念の辿り着く場所だ。     それは“塵”となったモンスターの思念も例外ではない。     竜族といえど赤子の頃に塵と化せば、思念とともに塵が狭界に流れるだろう。     その“塵”が様々な思念を食らって形を成す世界───それが狭界だ』 悠介 「……じゃあ。ミルハザードが生きたこの世界で……     あいつが相手を殺せば殺すほど強くなった理由って……」 声  『“思念”といえど、モンスターや竜族の塵の集合体だ。     それを殺し、その思念が体に流れれば……     幻獣が持っていた力が流れることは目に見えて明らかだろう。     ……解るか?それが狭界だ。汝ならば解るだろう。     思念と思念が生き争う世界にひとり降り立ち、     生き延びるために狂うしかなかったミルハザードの在り方が』 悠介 「………」 狂うしかなかった───確かにそうだ。 ここには様々な思念が集まり、恐らくはその思念の大半が人間の……それも空界人のもの。 そして、空界人がモンスターを殺せば殺すほどこの世界に幻獣が溢れ、 自分はその所為で死と生の狭間を足掻き続けることになる。 ……狂わない筈が無い。 ミルハザード本人が空界人だったのなら尚更だ。 悠介 「ミルハザードはこの世界の在り方を……?」 声  『知っていただろう。でなければ、あそこまで狂いはしないだろう。     仮説に過ぎないが、     恐らく空界に居た時に自分が思い描いていた思念の具現とでも邂逅したんだろう。     そしてこの世界の在り方を知った。そういう考え方もある』 悠介 「……そっか」 誰にだってそれぞれの思念がある。 その具現が自分の目の前に現れ、自分を殺そうとしてきたらどう思うだろうか。 ……ノートの仮説は確かに仮説だった。 けれど、説得力が全然無いかと言われればそんなことはなかった。 悠介 「───ん、サンキュ、ノート。少しだけどスッキリした」 声  『気にするな。こうして知っている知識を述べること程度でしか役に立てん。     またいつでも声をかけるといい』 悠介 「ああ。───彰利、待たせ───た?」 彰利 「フゥウウウオォオオオオオオオゥウウ……!!!!」 モキ……モキモキ……グゴゴゴゴゴ……!! 話を終わらせていざ彰利に加勢しようと思って振り向いた───ら、 彰利が巨大化し、さらに両腕を黒にして一体化させていた。 彰利 「我が煉獄の魔手にて───灰燼と化せェエエイッ!!!」 一体化した腕はまるで鉄槌。 怒号とともに振り下ろされたそれは、 威力と体重が限界以上に乗る場所で彰利を見上げているマンティコアの姿を殴りつけた!!  ───バゴシャォオオンッ!!!! マンティコア『ギガァアアアアアッ!!!!』 マンティコアが怯む─── もちろんその隙を見逃すほど、狭界でのツヤツヤ彰利は馬鹿ではない。 彰利 『ディナータイムだ!アモルファス!!』 影  『我こそ厭世(えんせい)への転落なり!!』 彰利 『ダァアアアアアアクッ!!センチネルッ!!』 闇  『わぁーれに触れる者は殺ス!!』 怯んだマンティコアへと、空中から闇が、地面から影が襲い掛かる。 もちろん地上から向かうのは闇と影に我が身の大半を貸し、通常のサイズになった彰利だ。 マンティコア『コァアアォオオオオオオッ!!!!』 だがもちろんマンティコアとてただやられっぱなしではない。 口に溜めた粒子砲じみた光を瞬時に放ち、 上空から降りかかってくる闇の一部を削ぎ殺した。 その威力を体感したダークセンチネルは─── 闇  『ごめん、俺前座だから』 訳の解らん言葉で逃げようとした。 彰利 「いや訳解らんよ!真面目にやれ!!」 闇  『彼女は言った!【さよなら】そしてデッドボォーーールッ!!』 彰利 「解らんての!いいから攻撃!」 闇  『待てぇい!弁護士呼ぶから!』 彰利 「呼ばんでいい!攻撃するか食うかどっちか!」 闇  『身から出たザビエル』 彰利 「それ言うなら身から出たサビ!!真面目にやれっての!」 おお……あの彰利から真面目にやれって言葉が出るとは……。 闇  『わ、わ〜れはしこたま戦慄!』 彰利 「せんでいいから攻撃!」 闇  『のっぴきならない言葉を使うな!』 彰利 「のっぴきならない言葉ってなに!?」 闇  『オリジナルとの遭遇!マニュアルにより速やかに……なんだっけ』 彰利 「知るかぁっ!!」 闇  『最近ヒゲが伸びてきてさぁ……あの人形』 彰利 「だぁから人の話を───ヒゲ!?」 悠介 「ヒ、ヒゲ!?髪じゃないのか!?」 キュォオオオ───ドッパァアアアアアアンッ!!!! 悠介&彰利『ギャアアアアアアア!!!!!』 アホなことやってる間にマンティコアにレーザー撃たれた……。 悠介 「アホーーーーーッ!!真面目にやるんじゃなかったのかぁっ!!?     撃たれただろうがアホッ!!そのツヤツヤは飾りか!?」 彰利 「ツヤツヤが飾れるかぁっ!!     ダークセンチネル!アモルファス!キミたちもう戻りなさい!!!」 闇  『た、戯言をぬかせぇ!』 彰利 「お黙り!キミ自身が戯言だよもう!!」 彰利、強引に黒で闇を包み込んで吸収。 騒いでいた隙に襲い掛かってきたマンティコアを前に焦るが─── 彰利 「拳でダメなら一点を徹す!!鎌力全開アームランス!!」 瞬時に黒を圧縮させ、腕を槍状に変換させた。 そしてマンティコアのこちらへ向かってくる速度と自分の速度を上手く合わせ─── 彰利 「エナジーダッシャ!!」 爆発的にダッシュした彼は、マンティコアの口内に突っ込み……ゴクリ。 悠介 「あ」 食われた。 悠介 「さらば親友……貴様のことは未来永劫頼まれたって語り継がない……」 無情だった。 まあどうってことないだろうと思うからこそだが。 現にマンティコアが急に暴れだし、苦しみだし、 やがて───黒く染まって小さくなっていった。 彰利 「ハァッ!ざっとこんなもんっ!!」 なんというか、黒っぽさが増してる。 内側から吸収しやがったな……? 彰利 「いンやぁ〜、狭界ってメシに困らなくていいね。     我が666体の同胞たちももっとよこせと張り切っとうぜ」 悠介 「それってさ、食えば食うほど同胞が増えるってことだろ?」 彰利 「そだよ?でも力を行使しない限りは腹減ったりしないから大丈夫サ。     興奮はするけど、何回もやってりゃ慣れるし」 悠介 「……その言葉、大会でお前と戦う前に聞きたかった……」 彰利 「へ?なんでさ」 ……ダメだこりゃ、言っても無駄だな。 ああいう機会なんて滅多にないから、 アホゥなことやる前に全力で戦ってみたかったのは事実なんだが。 彰利 「まあいいさね。     例のごとくラーニングも終了したし、マンティコアの力もしっかり頂いた。     出そうと思えば出せますよ?ほ〜らお出でさないマンティコアさん」 ゾリュ、という音とともに彰利の腕から先が巨大な獣の姿になる。 ソイツは黒から逃れようと暴れ出すが─── 彰利 「ありゃ、まだ完全に消化できてなかったか。お食べ、お残しは行儀悪いよ」 再びゾリュンと引っ込められると、彰利の体の中から再び嫌な咀嚼音が聞こえ始めた。 悠介 「……お前さ、それ気持ち悪くないか?」 彰利 「666回も食えば慣れるよ?」 悠介 「……すまん、訊いた俺が馬鹿だった」 彰利 「馬鹿め!馬鹿め!!」 悠介 「それ言うのは篠瀬だけにしろ!!」 まともな神経してないのは俺もこいつも同じだ。 黒として目覚めた辺り、 既にこいつは咀嚼して吸収するくらいどうってことなくなってたんだろう。 彰利 「ンなこと言ったって夜華さんとは絶縁しちゃったし……」 悠介 「いや……もういいから。とりあえず一息つこう」 彰利 「せやね。っと、夜華さんで思い出した。……お出でなさい」 悠介 「……?」 ふと、彰利が何かを思い出したかのように手を掲げ、そこから黒い塊を出した。 それはどんどんとカタチを作っていくと、やがて……南無になった。 南無 『ほねほねほねほねほね……───ここ何処ほね?』 悠介 「………」 現れた骨は、状況をまるで理解していないようだった。 不憫な……。 彰利 「ここは狭界という、たくさんの幻獣がおわす世界ナリ。     今日はここで散々っぱら修行するんで、キミにも協力していただきたい」 南無 『ほね……貴様が俺に頼むなんて相当ほねね……。     いいだろう、と言いたいところほねが、タダじゃあイヤほね』 彰利 「思い出の夜華さん写真一枚」 南無 『さぁ敵は何処ほね!?』 彰利 「………」 黒の君主である彼は、小さく『もうひとりの自分』の単純さに涙した。 自分でやっといて泣くなよ……。 そして多分、お前もレベル的にはあまり変わらんぞ? 彰利 「今ンところ敵はオルランドゥ。     だから敵を見つけたら即座にボコって食らうこと。OK?」 南無 『解ったほね!ほねぇいやぁああああああああっ!!!!!』 彰利 「へ?あっ!こ、これっ!!」 ケショショショショ……!! 悠介 「……行ってしまったな……」 彰利 「行ってしまったね……」 物凄い速度で景色に霞んでゆく骨を見送る。 けど追う気にはなれなかった。 だってな……あっちの方角ってキングベヒーモスから逃げてきた方角だし。 彰利 「知らないっていうのは一種の幸せですな」 悠介 「そうだな……───あ」 どんどん遠くなっていく南無をイーグルアイで見送るに至り─── その姿がマゴシャアンと吹き飛んだ。 何事かとほんの少し景色を離してみれば……キングベヒーモス。 悠介 「お〜、殴られてる殴られてる」 彰利 「む?……お〜、潰されてる潰されてる」 悠介 「見えるのか?」 彰利 「なんとか。お〜、咀嚼されてるぞ」 悠介 「ああ、そうだな」 彰利 「ほんとそう」 悠介 「………」 彰利 「……さ、旅立とうか」 悠介 「そうだな。俺達の冒険はまだ始まったばかりだ───」 などと連載打ち切り文句を口ずさみながら、俺と彰利は歩きだした。 もちろん彰利は影を伸ばして南無を回収したが─── それに気づいたキングベヒーモスと目が合った俺達は、絶叫を上げながらとんずらした。 ああ……前途多難だな、ほんと……。 【ケース31:晦悠介(チュパカブラ再)/百害あって一利無しョナリズム】 彰利 「友よ!キミなんでさっきから幻獣と戦わんのかね!」 キングベヒーモスから逃げ出して五分ほど。 彰利は何を思ったのかそんなことを言ってきた。 ああまあ、ここまで来て何度か幻獣とは会っても攻撃をしなかった俺を見れば─── 『何を思ったのか』以前に疑問に思うのは確かかもしれない。 悠介 「お前を戦わせたかっただけだが。不服か?あれから二体も食ったってのに」 彰利 「いえ、大変美味しゅうございました……じゃなくて!     キミも戦わなきゃ修行にならんでしょうが!!」 悠介 「俺としては、全部の鎌を三段階まで昇華させた状態のお前を早く見たいんだが」 彰利 「フッ……それを極めちまったら俺はきっと通常の三倍磯野カツオだぜ?」 悠介 「相変わらずその比喩は訳が解らんな……」 彰利 「それに関しての疑問は木下和俊氏に言ってくれ」 悠介 「誰だよ」 訳が解らなかった。 彰利 「まぁとりあえずその他もろもろの地界への不満でも語りたいもんだね、牛丼屋で」 悠介 「何故牛丼屋なのかは訊かないでおく」 彰利 「あそこほど殺伐とした雰囲気の場所はないだろう。     人々が集まり、店員の行動を頭の中や視覚で感知し……     その行動ひとつひとつに何故か注意しながら、     どれを食らってくれようかと思考に耽る。     そうして店員を呼びつけて食らうブツを語り、     淡々と注文を受けて用意に歩む店員の行動をやはり横目に見る。     やがて持ってこられた牛の最果てを玉葱とメシ、     汁とともにニッチャニッチャと咀嚼し、己の肉と化させてゆくんだ」 悠介 「喩え自体は間違ってないんだが、どうしてそうホラー的に語るんだお前は」 彰利 「黒になってから食生活が変わったもので」 腹が減れば壁でも地面でも吸収出来てしまう人外がニパーッと笑った。 食生活、いくらなんでも変わりすぎだろ。 つーか牛丼を牛の最果てって言うな。 他にもなにかあるだろうが───と言おうと思ったが、 どうにも食事のことばかり頭に浮かんできて…… やっぱり『最果て』という言葉しか浮かんでこなかった。 ああ解ってる、解ってるぞ……。偽善者はいつだってこういうときに黄昏るんだ。 彰利 「あ、ところで悠介、ハラ減ってねぇ?」 彰利が親友モードで語りかけてくる。 いつものふざけた感ではなく、時折に見せる『友達が友達に声をかける』ような感の声で。 悠介 「そういえば……ここ最近、あまり腹に溜まるようなものを食べた記憶は無いな」 彰利 「よっしゃ任しとけ!ちぃと用意してくっから!」 悠介 「用意?っておい〜?」 彰利は再び南無を出現させると、 ふたりでズダダケショケショと奇妙な音を撒き散らしながら走っていった。 ……なんなんだ? ───……。 ……。 彰利 「というわけで!!よく解らん幻獣をブフーの包丁で肉に変えてきたものです!!」 ややあって戻ってきた彰利。 その手には、巨大な骨付きマンガ肉が担がれていた。 ……いったいどれだけ大きいヤツを仕留めてきたのかは解らないが、 なるほど……そういえばブフーの包丁なんてここしばらく使ってなかったな。 彰利 「前と違ってこれだけデカいんだからいっぱい食えるでよ。     召喚獣や飛竜のみなさんにも振る舞いましょうや」 悠介 「……お前が気を利かせるのって不気味だな」 彰利 「失礼な!俺のこの世界の空気を受けて紳士になったのだよ!     故に他者にはやさしく振舞うのだ!というわけで火ィつけて?」 悠介 「ん、紳士云々は解らんが、火をつけるってことはとりあえず解った」 言って、式を六点で描いて解放。 魔導万象六式、フレイムウォール……と。 彰利 「創造するかと思ったら、せんかったね」 悠介 「基本さえ押さえておけば、案外式って万能だからな。     ほら、アカデミーで一回生の時習ったろ。ラインゲートのこと」 彰利 「ああ、万象のゲートのことね?全部で13個あるっていう」 悠介 「それをちゃんと勉強してたんだったら簡単だ。     俺にしてみれば創造よりも新鮮味が残ってる」 彰利 「贅沢だね、キミ」 悠介 「自分でもそう思ってるけど、創造とももう長い付き合いだから仕方ない」 彰利 「俺にしてみりゃ比喩は月操力ってとこか」 悠介 「俺の創造より付き合い長いしな。ところで……さっきから気になってたんだが、     南無のヤツはどうしたんだ?一緒に言ったんじゃ───」 彰利 「途中でキングベヒーモスに襲われたから逃げてきた」 悠介 「……そ、そっか」 恐らくまた、離れてから回収したんだろう。 キングベヒーモスも案外しつこいな……。 彰利 「おっと、そろそろいい色になってきたな。     つーわけでそっち持ってくれ。恒例のアレをやろう」 悠介 「そうだな。ファンタジーで肉といったらアレだ」 地面に縦に立てていた巨大マンガ肉を横にして持ち、ゆっくりと回転させてゆく。 彰利 「ミュージック!スタートゥハッ!!」 ベッポッ♪ベッポッ♪ デントコトコテト♪デントコトコテト♪ デコテンデコテンデコテンデコテンデントンテントンテンッ♪ 悠介 「ハァッ!!」 彰利 「───上手に焼けました〜♪」 デントテンテテントンッ♪テンッ♪ 彰利 「……ムフゥ、やっぱり骨付き肉を焼くならコレやらないとね」 満足そうに猫口で微笑む彰利は、本気の本気で満足そうだった。 ともあれ俺は内包している全ての召喚獣と飛竜と、根性で精霊を召喚して食事を始めた。 ノート『……なるほど、考えたな。     こちらにマナが無いというのなら、マナを創造して召喚すれば事は済む』 悠介 「……けど正直辛すぎるぞ……。     高位精霊の召喚って思ったより諸力やマナの消費が激しいんだな……」 ノート『安心しろ、食事が済んだらすぐに戻る』 悠介 「悪い……そうしてくれ」 マナの無い世界での精霊召喚は思ったより消費する。 普段、どれだけ大気中のマナに支えられていたのかがよく解ってなおさらだ。 ドリアード『大丈夫ですか?マスター……』 悠介   「あ、ああ……大丈夫だから。ドリアードも遠慮しないで食べてくれ」 ドリアード『……はい、いただきます』 アーガ  『むぐっ、うぐっ!!こ、こりゃ美味ぇ……!!       こんな上等な肉を食ったのは初めてだ!       しかも一口ごとに体に力が篭るっつーのか……!』 ヴァル  『倒しせば力に変換されるのなら、食すことも変わらない、ということですね』 ディル  『……クセになりそうな味だな』 ヘイル  『食うだけで強くなるというのは妙な感はあるが……』 悠介   「お、俺は食った分はマナに変換するイメージでも混ぜてから食う……。       努力もしないで強くなるのは好きじゃない……」 彰利   「こだわるねぇ……」 ノート  『性分だろう。仕方ない』 ニーディア『ふむ……いい味だ。       精霊として食事をするのは初めてだが、味覚はあるようだ』 悠介   「あれ?そうなのか?てっきり食事くらいするのかと……」 ノート  『精霊は大気中のマナや諸力を糧に生きる。今まではそうでもなかったが、       癒しが復活した空界は精霊が生きるには十分なくらいのマナがある。       故に、マナが全く存在しない狭界では精霊は生きていられないわけだ』 悠介   「……なるほど。とりあえず創造した箸を       指揮棒みたいに振り回して説明するのは行儀が悪いからやめような、ノート」 ノート  『……存外細かいな、マスター』 ノートの呆れたような可笑しそうな声を聞いて、俺も少し可笑しな気分になった。 ふと見れば巨大な肉を囲んで、それぞれががつがつと肉を食っていっている。 彰利は───これだけじゃ足りないとか言い出して再び肉を持ってきて、 それを月然力・火で焼き───再びモンスターハンターの真似をして焼き上げた。 それが終わると呆れるくらいデカイ肉を体の中に沈めていき、パキペキと咀嚼してゆく。 ……やっぱり食生活というよりは食事の仕方からして変わっちまった親友に、 少しの溜め息を進呈した。 彰利 「ムッハァーーッ!!満腹じゃ〜〜っ!!」 ……しかももう食い終わったらしい。 そらまあ、666体も内包してるんじゃあ食うのだってあっと言う間だろうが。 一方こちらは───いや、こちらも、か。 肉を食う、ということに少し躊躇があったらしいドリアードを始めとするニンフたちは、 結局肉を食うことはなかったが───ニーディアとノートはしっかり食べ、 それ以外は召喚獣と飛竜たちが食った。 あれだけあった肉は既に骨しかなく、その骨はフェンリルがかじっていたりする。 ……なんというか、こう思うのは大変失礼だとは思うが……妙に似合っていた。 ジハードとゼプシオンは顔を合わせるなり複雑そうな顔をしていたが……まあ、 そこのところは一応譲歩してくれたらしい。 生死を決めるような戦いをしたっていうのに、なんて簡単に譲ってるんだかな。 そう思ってもみたが、ディルゼイルに言わせてみれば 『ここに実体があるのならべつにいいのではないか?』とのことだった。 なるほど、そりゃ確かに。 殺されたのは事実だが、それはリビングアーマーであって事実上ゼプシオンではない。 そういうことなんだろう。 彰利 「よっしゃ!腹も満ちたし、卍解の練習でもすっかなぁ!」 さっきよりもツヤツヤな彰利が、さらに黒の密度を上げる。 が───ふと思ったことを俺は口に出していた。 悠介 「彰利」 彰利 「ぬ?どしたー?」 悠介 「ん……あぁ、なんていうのかな。あんまり『卍解』がどうとか考えるな。     なんでもかんでも真似に走るのはお前の悪いクセだ。     他の鎌の三段階にはまだまだ可能性があるんだろ?     だったらもう少し考えてから解放してみろ」 彰利 「………」 ポカンとした顔。きっとそんな形容が合うだろう顔をした彰利は、 けれどすぐに笑って『おう』と腕を上げた。 そして鎌を影から引き出すと、集中を高めてゆく。 召喚獣や精霊たちもそれを邪魔したくなかったのか、すぐに俺の中へと帰っていった。 悠介 「……頑張れ」 ───そして。 俺も小さくそう呟くと、神魔竜人状態の中から神魔を引っ込めて大きく息を吸った。 悠介 「……ん」 竜人をさらに解放し、竜の姿へとカタチを変えてゆく。 とは言っても、精霊召喚や幻獣召喚の要領と同じよう、 “自分を小さくするイメージ”を加えてだ。 それは思うとおり上手くいったのか、 俺は人の大きさに近い状態で竜……というよりは飛竜のような姿になった。 これなら彰利の修行の邪魔にならないし、 なにより竜になることで幻獣たちに見つかりやすくなることもない。 皇竜 『あとは……』 ……あとは、神魔を解放するだけだ。 その状態に慣れ、さらに上を目指せるように頑張ろうと思う。 死神の状態だって神の状態だって神魔の状態だって、そうやって限界を超越していった。 だったら出来る筈だ。 より、高みを目指すことが───!! 皇竜 『……とはいえ、竜になると声質が変わるのは……やっぱり違和感あるよな』 考えても仕方ないことを呟き、ゆっくりと神魔を解放していった。 ───……。 ……。 ───バジュンッ……!! 悠介 「っ……かはっ……!!」 神魔竜を解放してから一時間……程度だろうか。 なんとか耐えていた体が軋み、神魔竜が自分の意思とは関係なく解除された。 悠介 「は、はっ……!だめだ……予想以上に消費が激しいぞ、これ……!」 魂が竜であるなら、本来竜の姿のほうが消費は少ないだろうに…… どういった嫌味なのか、俺の体は竜の姿の時こそ消費が激しかった。 あぁいや……まあ理由は解ってる。 人としての理性ならまだしも、竜としての理性……というか抗体がまだ出来てないのだ。 だからこそただでさえ竜人の何倍も力の上がる竜化に加え、 神魔竜なんてものを解放するもんだから、 理性を吹っ飛ばすほどの破壊衝動を抑えるだけで手一杯なのだ。 まあ……それが消費が激しい理由である……まる。 悠介 「は、はぁ……まいったな……。こんな時に幻獣なんかに会ったら俺……」 幻獣 『………』 悠介 「………」 出会った。 ある日ではあるが、森の中でもなければ熊でもない幻獣に……出会ってしまった。 花咲く森の道でもない。そもそもこの世界に花なんぞ無いのだから。 ……いや、現実逃避はここまでにしよう、俺のブレイン。 幻獣 『ホガァアアアアアアッ!!!!』 悠介 「だぁあっ!!待て!まずは落ち着いて話し合いでも───サミング!!」 ゾブシュッ!! 幻獣 『キャーーーーーッ!!!?』 いきなり人のことを食しにきた幻獣のつぶらな瞳に目潰しを進呈した。 生暖かい感触が指に両手の指に広がり、思わず寒気がした。 つーか幻獣のくせに『キャーッ!?』って…… 悠介 「ぐっ……くそ!」 ともあれすぐに立ち上がり、距離を取ろうとしたが体が動かなかった。 くそったれ……!どうする……!? 悠介 「どうする……?そんなもん、いつだって“全力”だ───!!     一撃でいい……俺の中の竜よ!応えやがれぇえええええっ!!!!」 幻獣 『ギィイイアォオオオオオンッ!!!』 目を血に染め、しかしハッキリと俺を見据えた幻獣が突撃してくる。 それに向けて“一撃”のみを構えた。───いや、それは否だ。 体が動く限り何発だって───!! 悠介 「神魔ッ───竜人拳!!」  ヒュッゴゥンッ!! 幻獣 『ギィイッ!!』 振るった右拳はしかし、簡単に避けられた。 だが左手で描いていた魔導ではなく魔法で描いた式が、 攻撃を避けた幻獣に向けて放たれる───!! 悠介 「魔法万象ニ式───“地が拠代たる皇の震天(ダーヴナルラインゲート)”!!」 ガォオオンッ!!!───地面に二点を描き、諸力を込めてゲートを開く。 開かれた“地”の万象は幻獣の足元の地面を爆砕させ、幻獣が中空へと飛ばされる。 悠介 「っ……魔法万象五式!“氷が拠代たる皇の凍壊(クイティナルラインゲート)”!!」 ヒィイイイ……ザガガガガガガガガァッ!!! 幻獣 『───ッ……!!』 地に続き、氷のゲートを開いて鋭い氷の刃を具現し、幻獣を切り刻んで凍らせる。 さらに然のゲート───オクタナルラインを開こうとしたが…… 悠介 「ぶっ……ぐ───!?」 鋭い眩暈、鋭い嘔吐感に襲われ、意識が遠退いた。 諸力で灯した指の光が消え、無茶をしたためか体が軋んだ。 悠介 「づっ……、は……あ……!!」 神魔竜人が解け、ただの人間状態になってしまった。 このままじゃヤバイ───そう思って体に喝を入れたが、言うことなど聞きやしない。 しかも目の前で氷付けになった幻獣は、 諸力行使が途中で途切れたために閉ざされたゲートの力から逃れた。 つまり───氷付け状態から脱した。 ああ、くそ……冗談だろ?こんなところで、幻獣の力の糧にされるのか……? などと思った俺だったが、ひとつ忘れていたことがあった。 悠介 「……悪い、あと……頼んだ」 気絶はしなかったものの、呼び出すものを呼び出してからは倒れてしまった。 あー……もう体起こす力も無い……。 それくらい疲れきった体で見る視界───そこに、一体の飛竜が降り立った。 漆黒の色を象徴としているその飛竜は鬱陶しげに口を開くと、 襲い掛かってきた幻獣をあっさりと噛み砕いてしまった。 しかも噛み砕いた状態で口からレーザーを放ち、潰れた部分から存在全てまでを抹消。 ……さすが、レヴァルグリードの側近の飛竜……戦い方も強さも普通じゃない。 ジハード『王よ。あまり情けない姿を曝してほしくはないのだがな』 悠介  「そう言ってくれるなよ……。自分でも不甲斐ないって思ってるんだから……」 ジハード『いいや言わせてもらおう。狭界は皇竜化の修行には向かない。      そうと解っていて、なお狭界で修行するというのなら───      一度空界へ戻り、力を回復させてからもう一度来い。それなら文句は言わん』 悠介  「うぐ……」 情けないことに、とは思わなかったが……ともかく反論出来そうになかった。 なんていうのかな……ジハードの存在自体、お目付け役みたいな雰囲気を感じるんだよな。 苦手というよりは───あ、いや……やっぱり苦手なのか? 嫌いという方向の苦手ではなく、大臣に小言を言われるのを嫌う感覚というか…… ……なんだそりゃ。 悠介  「……解った。それじゃあ一旦戻るよ。確かにこの状態で狭界に居るのは危険だ」 ジハード『その通りだ。      この状態でキングベヒーモスなどに遭ってみろ、命が幾つ在っても足りん』 ……まったくその通りだ。 キングベヒーモスじゃないにしたって、この世界に居る幻獣はちと危険すぎる。 人間の状態で勝てる相手との遭遇率なんて、それこそメタルキング並だろう。 悠介 「それじゃあ、彰利を呼び戻して一緒に───って」 マテ。 あいつ、何処行ったんだ? 確かすぐ近くで鎌の解放の練習してた筈じゃあ……ドゴシャァアアアアアアンッ!!!! 声  『ほえねぇええいやぁあああああああああああっ!!!!!』 ……あ、ヤバイ。 聞こえた声の質だけで、次の展開が読めた。 声  「ウギャアお馬鹿ぁああーーーーーっ!!!!     なんだっててめぇはひとりでどっか行くと     必ずキングベヒーモス引っ張ってくるのさぁあああっ!!!」 果たして、予想は正解したらしい。 ……そして動けない俺はどうしたらいいのだろう。 悠介  「……ジハード、頼んでいいか?」 ジハード『……井戸までで、尚且つ今回きりだぞ、王よ……』 悠介  「すまん、今度からは本当に気をつける」 ジハードが俺の服を噛み、持ち上げる。 そうして飛翼をはためかせ───た時、 砕け散りながら空を舞う骨と、絶叫しながら走ってきた親友と遭遇。 そしてもちろん、 その後ろから信じられない速度で迫ってくるのは……ご存知、キングベヒーモス。 南無 『ほねぇえええええっ!!ほねねぇええええぃやぁああああああっ!!!!     て、てめぇなんで俺しか狙わねぇほ───ねぇえええええええっ!!!』 ドゴゴシャガギゴギズバシャシャシャァアアアアアンッ!!!!! 南無 『ほねぇええええええええええええええええええっ!!!!!!』 嗚呼……砕け散っても再生した南無が、またボロボロにされてゆく……。 悠介 「だがすまん南無よ……俺達は貴様の犠牲の上で生きていく……」 彰利 「キミも言うようになったねぇ」 悠介 「親友と骨には容赦無く生きるのが俺の信条なんだ」 彰利 「そりゃああんがと。そっちの方が重くなくていいや。     でも、もちろんほんとのピンチには手ェ貸してくれんでしょ?」 悠介 「……───解りきったこと訊くな、ばか」 彰利 「ふひひひひー♪」 彰利はなんだか照れたような恥ずかしいような顔をして笑った。 ……飛翔するジハードと同じくらいの速度で飛びながら。 どういう速さだと思って彰利をマジマジと見てみれば、 なにやら体の一部がモンスターのソレに変わっていた。 いや……これは幻獣の翼か?とにかく速い。 彰利  「む?ああこれ?さっき向こうで吸収した“怪鳥ズー”の飛翼。      やー、便利でしかも速いとくらぁ。……でもジハードさん?      もうちょい速度落としてくれると俺もゆっくり飛べるんだけど……」 ジハード『断る』 彰利  「うう……」 即答だった……頑張れ、彰利。 などと平和的なひとコマを展開してる中─── 声『ほねぇえええぇえええええええええっ……───』 彰利が回収し忘れたらしい南無の声が、遥か遠くに散っていった。 彰利 「うわやべっ!!回収し忘れた!! ……やっぱりか。 彰利 「ダークセンチネル、回収頼む!」 闇  『駅前留学ゥウウーーーーーッ!!!』 彰利 「……ごめんアモルファス……頼む……。     真っ先にこやつに頼んだ俺が馬鹿だった……」 回収のためにダークセンチネルを出した彰利だったが、すぐに吸収すると 代わりにアモルファスを出して回収に行かせた。 ……彰利がこんな疲れた顔するなんて珍しいよな。 悠介 「今日は意外なものが随分見れた気がする」 彰利 「そうかえ?俺ゃ散々だったよ───って、     『今日は』って……もう終わりみたいな言い方だけど、戻るん?」 悠介 「悪い、無茶のし過ぎで体が動かないんだ。     だから酷使した竜力を戻るまで空界で休むよ。     なんだったらお前だけ残って修行するのもいいし」 彰利 「んにゃ、ひとりでやっても面白くないから。     それにここで野宿ってシャレにならんから」 悠介 「だな。どの道戻った方がよさそうだ」 ややって南無を回収して戻ってきたアモルファスを吸収した彰利は、 視線の先にある巨大な井戸を見て安堵したのだった。 ……もちろん俺もだが。 ───……。 ……。 彰利 「ムッハァーーーーッ!!空気が美味い!……けどツヤツヤが無くなってゆく……」 そうして再び空界に戻ってきた俺と彰利は、 自然と背伸びをしてしまうほどに強い伸びをして息を吐いた───ら。 悠介 「……中井出?」 妖精たちが居なくなった泉の近くで、 何故か倒れて至福の笑みを浮かべているたわけを発見。 しかもその鼻周りは血で汚れ、既に硬くこびりついていた。 彰利 「……月視力、オ〜ン」 と、ここで彰利が月視力を使って中井出のここに至るまでの経緯を見た。 すると…… 彰利 「……あんまりにしつこく言い寄ってたんで妖精に幻覚見せられて、     鼻血吹いて気絶したらしい」 悠介 「どういう系統の幻覚見せられたんだか、想像に容易いな……」 彰利 「中井出だし」 悠介 「そうだな、中井出だし」 彰利 「でもなぁ、のぼせるほどエロイ映像ってどんなんだったんかな。     やっぱさ、エロいもの見て鼻血出すのってヘンだよね。     マンガでもアニメでもそういう表現よくあるけどさ。     何度思っても不思議なり。興奮してのぼせて鼻血が出るなら解るったって、     見た途端に鼻血出すのはやっぱヘンだよ」 悠介 「そりゃ聞き飽きた。中井出連れてさっさと戻ろう」 彰利 「親友に担がれながら言われてもなぁ……」 悠介 「……悪かったな、どうせ体が動かないよ」 井戸にはさすがにジハードは入れそうになかった故に彰利に連れてきてもらったんだが…… やっぱりかなり虚しい。というか情けない。 男が男に小脇に抱えられるのって……かなり情けない。 そんなことをしみじみと思った、とある日の午後だった……。 Next Menu back