───無常な諸行───
【ケース38:マクシミリアン=Gナス/ドリームス】 カンカン!! 裁判官「それではこれより───死刑を開始する!!」 Gナス『な、なんじゃってーーーっ!!?弁解する余地も用意されてねぇーーーっ!!!』 ふと目覚めると何故か裁判所の中に居た俺は、モーニング死刑宣告をされておりました。 解りやすいですか? 裁判官「む……では何か言い残すことはあるかね。それによって罪が軽くなるが」 Gナス『お前、小宇宙(コスモ)
を感じたことがあるか?』 裁判官「死刑!!」 Gナス『ホーーーッ!!?ま、待つんじゃよーーっ!!     そんなの一方的すぎやしませんか!?貴様のしていることは自殺行為じゃぜ!?     ……この場合、俺の方が自殺行為なんじゃろか?』 裁判官「……緊張感の無いヤツだな。少しは慌てたらどうなのかね」 Gナス『ハーーッ!!この若僧がぁーーーっ!!     死んだこともねぇアマチュアが説教たれるんじゃねぇーーーっ!!!     死に関しては誰よりも大先輩の俺になんたる仕打ちですか!?     今日の俺は一味も二味も違うんじゃぜ!?     もう五百年に一度しか転生出来ねぇフェニックスなんざ     比較対象にもならねぇのじゃぜ!?それほど死んでるってことです!     ……保険金とかどうなるんじゃろか』 裁判官「知らん」 Gナス『とにかく俺はアズーマの評判を下げなきゃならねーんじゃよ。     努力家時代の河内のために。というわけでザ・グッバイ』 堂々とドアを開け、俺は新たな旅に出かけました。 魚も猫の野郎の存在もありゃしないが、とりあえず裸足でサザエチックをカバーじゃよ。 心の中でサザエさんのテーマを流しつつ、 俺はかろやかなステップで冒険の旅へと駆け出した。 【ケース39:晦悠介/夢、見てるかい?】 Gナス『ヒーーゲメーーートローーーーッ!!!』 ドゴシャ!! Gナス『ギャア!!』 悠介 「あ」 悠黄奈「あ……」 突然奇声を上げ、駆け出したGナスが馬車に轢かれて死んだ。 どうやら何かの夢を見ていたらしく、起き上がったと思ったら駆け出し……現在に至る。 そういえばって思い出して、ポリットで眠ったこいつを迎えにきたらいきなりこれだ。 どんな夢を見てたのかは知らんが、こいつはこれで満足なんだろうか。 さて……オーエンの城下町に来てからのこいつ、何回死んだっけ? いや、やめようか。 思い出すと『不死身繋がり』でモミアゲ馬鹿とかタイヤキおばけのこと思い出すし。 Gナス『ギャア千切れるーーーっ!!!大岡越前助けてぇええーーーっ!!!』 そして車輪に胴体を踏み潰されてる親友は、 いったい何処の母親に引っ張られてるんだろうか。 つーか蘇るの早すぎ───あ、死んだ。 ゼロ=クロフィックスもここまで不気味な不死身だったら、 水晶の檻の中のあいつに遠慮することなくオウファの野郎をブチノメせたんだが。 Gナス『ウウ……ど、どう頑張ったところで、貴様というか俺は虫ケラなんじゃろか……。     こんな俺を見たらブライトさんはどのような反応を示しますか?』 知らん。というよりブライトって誰だ。 Gナス『そもそもなんじゃよ!?人を轢いておいて───……人じゃろか?     ナスを轢いておいて無視して進むなんてなに考えて馬を駆るのかあの主人!!』 おお、自ら人であることを捨てた。 そこまでナスっぷりが浸透してるのか。 悠介 「いいから行こう。気にしてたって仕方ないだろ。     今日はのんびりと買い物だのなんだのを堪能しよう」 Gナス『欲しいものは買ってもらえるんじゃろか』 悠介 「無茶なものじゃなければな。     ただポリットはもうやめとけ。お前はレタスの方が似合ってる」 Gナス『わあ、親友に認定されたんじゃよ』 認定だけなら随分前からしてたと思うけど。 まあ気にしないほうがいいか。 気にしたらまたやかましいだろうし。 ───そんなわけで、俺とGナスと悠黄奈はのんびりと城下町を歩くことになった。 ……その中で何回Gナスが死んだのかは忘れた。 ───……。 ……。 Gナス『ところで親友。俺の呪いはいつ解いてくれるのかにゃー』 悠介 「何処にでもこういう菓子ってのはあるもんなんだな」 悠黄奈「美味しいです」 Gナス『無視ですか』 散々っぱらGナスに振り回され、少々疲れ気味な俺は、 すぐそこの露店で売られていたパンを加工したようなサクサクとした菓子を食っていた。 地界の菓子と違ってそう油っこくもなく、なんというか食べやすいものだった。 Gナス『聞くんじゃよー親友!!俺はもうナスから人への進化を希望する!!     自分じゃ脱げねーし脱いでも弱体化したままのナスなんて御免蒙りたい!!     突発的なデッドエンドなんてもう懲り懲りなんじゃよーーーっ!!』 悠介 「安心しろ。お前が死んでも金は半分にならないし経験値も減らないし、     教会に行って神父に莫大な金払ってザオリクかけてもらう必要も無い」 Gナス『ホォオオーーーーッ!!!?俺の死には価値がねぇってことですか!?』 悠介 「食べられない分、普通のナスより価値は無いからタダなんだろ」 Gナス『ギャアひでぇ!!皆様ここにろくでなしが居ますブルース!!』 悠介 「……レタスが出ます」 Gナス『わあ、へへへ』 機嫌が直った。 悠黄奈「でも確かに今のままでは可哀想ですよ悠介さん。     もう理力も戻っているのなら、直してさしあげるべきです」 Gナス『そうじゃよ?力を無くしてみて思ったのじゃよ。     生き物とはなんと儚ぇものなのかと。     嬢にも勝てない男になんの意味があるじゃろか。……男以前にナスじゃけど』 悠介 「ふむ……」 Gナス『……な、なんじゃよ?』 悠介 「───よし、修行するか」 悠黄奈「え───!?」 Gナス『ギャアなぜぇえ!!?どうしてそこで修行って言葉が出るんじゃよ!?』 悠介 「考えてもみろ、弱体化してるうちに体を鍛えておけば、     元に戻った時に闇や影を完全に行使するだけの力がついてるかもしれないだろ」 Gナス『……何回死ねば俺はそこに辿り着けるのか』 悠介 「死なないようにするのも修行のうちだろ?よし、戻るか」 Gナス『ままま待つんじゃよ!     今日は嬢の思い出作りに専念するんじゃなかったのかねーーっ!!?』 悠介 「修行が思い出にならないなんてことは無いだろ」 Gナス『ギャアヤヤーーーッ!!!絶対血みどろの思い出と化すんじゃよーーーっ!!!』 悠介 「じゃあ死ぬな」 Gナス『だったら力戻すんじゃよーーっ!!!賢者の石の力なら造作もねぇんじゃろ!?』 悠介 「……決めた。お前自分の力で呪い弾けるくらい強くなれ。     ひとりで狭界に行ってたっていうから少しは期待してたのに、     やっぱお前楽して強くらろうって部分が変わってない。     俺も付き合うからお前ももう誤魔化すな」 Gナス『ギャ……ワワーーーーーッ!!!!』 虚空にブラックホールを創造した俺はナスを担ぎ、 悠黄奈の手を引いてその中に身を投じた。 庭園に戻って、ナスと自分を鍛えるために。 ───……。 ……。 ───庭園に着いてすぐに気づいたことは、そこに客人が来てたということだった。 イセリア「やっほ、悠ちゃーん」 中井出 「……よぉ」 イセリアだ。 隣には絶望を醸し出す中井出が居て、 イセリアに連れてこられたということが一目で解った。 悠介 「……どしたんだ?中井出……。この世の終わりみたいな顔して」 中井出「あ、いや……ははは……。俺さ、とうとう妄想を映像化する能力の開化と     ビデオテープをデッキ無しで映像化する能力を開化させたんだ……」 悠介 「なっ……す、凄いじゃないか!!この短期間でよく……!って。     じゃあなんなんだ?その希望が断たれたって顔は」 中井出「フッ……フフフ……俺はまた一歩大人になったってことさ……。     自分の妄想を映像で見る虚しさと、     この世界にはそもそもエロビデオのテープが無いことに気づいた虚しさ……。     それを知っちまったのさ……」 うあ……。 中井出「ふふ……知ってるか……?     自分の妄想ってな、想像してたよりも遥かに虚しいんだぜ……?     人の中には理想の女性が居るっていうけどさ、     理想ってのはつまり『自分』なわけだろ……?     それに気づいたら俺、自分を見て興奮するのかな、なんて邪念が入って……」 悠介 「あー……いや、その……まあ、なんだ……?き、気にするなって。な?」 中井出「自分の想像が『あは〜ん』とか『あ〜ん』とか言わせてるって思ったら、     なんつーかさ……途端に虚しくなっちまったんだよ……。     きっとさ、エロゲーのシナリオ書いてる人も、     テストプレイとかするとそんな気持ちになるんじゃないかなって……」 悠介 「解った!解ったから影の差した顔でそんなこと公言するなっ!!」 中井出「こんな筈じゃなかった……こんな筈じゃなかったのに……。     どうしてこんなことになったんだろう……。俺は……間違っていたのか……?     うっ……うぐっ……うぅうう……」 悠介 「泣くなぁああーーーーーーっ!!!!」 Gナス『夢、破れたりか……』 確かに夢なんだろうが、それも人それぞれってことか……。 そんな妄想映像でも満足出来るヤツは出来るんだろうし。 あぁいや、こんな話はもういい。苦手だ。 悠介  「中井出が暗い理由は解った。けどイセリアはどうしたんだ?何か用事か?」 イセリア「ううん?リヴァイアちゃんに会いにレファルドに行ったんだけどね、      それから王城の中ぶらぶらしてたらこのコに会って。      泣きながら空中庭園に連れていってくれって頼まれたから」 悠介  「……なるほど」 つまりもう、あの部屋に戻ることはないのだろう。 なにげに研究所まがいに利用してたのにな。って、だからか。 厳しい現実を知ったあの場所には居たくなかったってことか。 中井出「というわけで俺は新たな希望に向かって邁進することにした!!     その名も!喋れなくなった人や、寂しい人の思考を映像化して楽しませようの巻!     喋れなくなっても映像で話せばなんとかなる!     そしてひとり寂しい人は思考を映像化することで、     音声アリの思考に耽ることが出来る!!主に老人にオススメです!!」 悠介 「切り替え早いな……。けど、なんだろうな。お前らしい希望だな」 中井出「っへへー、老人の世話はじーさんのことで慣れてるしな。     それが救いになったら嬉しいだろ?たとえば……死に際の時にさ、     頭の中の思い出じゃなくて、思い出が映像として目の前に展開されたら……     笑いながら逝けるんじゃないかな。     その頃の自分や、親しかった仲間と一緒に見送られながらさ」 悠介 「……そうだな」 Gナス『提督にしちゃあ随分と美しい希望ですな。エロ魔人の野望はもういいのかね?』 中井出「エロビデオはもう卒業だ。なんかもう虚しくなっちまった。     まぁ軽い心境の変化ってヤツだよ。……きっかけは重すぎたけどな」 Gナス『あ〜……かけてやれる言葉が見つからねぇ……』 中井出「つーわけでだ!そんな希望を持ちつつ、     俺は『ゲームの世界へ潜れる能力』の体系化を目指す!!     映像として出せるようになったんだ!その世界に溶け込むことも可能な筈だ!!     ギャルゲーの世界に入ったら、それはもう女をオトしまくりだぜ!?」 Gナス『そのゲームはどっから仕入れるのかね?     俺ゃパイロットウィングスしか持っとらんが』 悠介 「俺は一切無い」 中井出「………………」 悠介 「あ!いや!落ち込むなって!志は凄いと思うぞ!?動機は不純だが!なぁ!?」 Gナス『うえっ!?あ、ああうんそうじゃね!!凄いぞ!貴様は凄い!!』 中井出「いいよもう……ヘンな慰めはよしてくれ……。     俺には現実の女よりエロビデオの中の女がお似合いだとか思ってんだろ……」 悠介 「おお!エロビデオ関係を続行する気だ!!」 Gナス『不死鳥だ!!不死鳥の誕生だ!!』 中井出「いや否定してくれよ!ここ否定するとこだろ!?」 悠介 「……え?してほしかったのか?」 Gナス『強がるでない!!もはや貴様はエロビしか愛せねーのじゃよ!?』 悠介 「嫌だな、そんな人生」 Gナス『まったくだ』 中井出「てめぇらぁあああ……!!」 既に帰ったらしい清水を思い、俺とGナスは遠い空を眺めた。 中井出から見れば、いわゆる遠い目をした俺達が映っていることだろう。 中井出 「あぁもういい。晦、集中したいから工房貸してくれないか?      あそこって空気がいいから集中出来る」 悠介  「集中力を高める空気があるから集中出来るんだけどな。      べつにいいぞ、どうせ使ってない」 中井出 「サンキュ。んじゃあ俺はこれで。イセリアさんは?」 イセリア「わたしは───うん、悠ちゃんに付き合おっかな。      そっちのメイドさんもその気なんでしょ?」 悠黄奈 「ええ、それは。わたしはわたしですから」 イセリア「……?よく解らないけど、まあいっか。で、悠ちゃん?これから何かするの?」 イセリアがGナスを見て言う。 こいつが着ぐるみを着るのは今に始まったことじゃないが、 初めて見るイセリアから見れば異質物体なんだろう。 悠介  「ちょっと修行をな。これから黄昏を展開するから、      イセリアも悠黄奈も、自分がやってみたいって思うことを試してみるといい。      “創造の枷”の限定解除はしておくから、誰でも創造が出来るようになる」 イセリア「わ、ほんと?やってみたいやってみたい」 悠黄奈 「創造ですか。はい、やってみたいです」 Gナス (くふふ……となると、      黄昏が展開されたと同時に呪い解除のイメージを具現すれば、      晴れて俺は元の姿に戻れるってわけじゃぜ?) 悠介  「その代わり、Gナスには枷をつけるから創造は使えなくなるが」 Gナス 『ななななんじゃってぇーーーーーっ!!!!?      なぜぇええ!!野菜差別を断固唱える!!ナスじゃからってそんなーーっ!!』 悠介  「お前のことだから、      黄昏展開した途端に呪い解除のイメージを弾かせるだろうし」 Gナス 『じゃからなんだってこういうところだけ鋭いのじゃよ!?      もっと別のところで鋭くなってーーーっ!!……恋愛面とか!』 悠介  「やかましい、大きなお世話だ───っと、中井出?」 中井出 「悪い、やっぱ俺も付き合うわ。      こっちの方がいろいろイメージ纏まりやすそうだし」 悠介  「そか」 ともあれ言を唱えると、思考の中に浮かんだイメージを具現化してゆく。 黄昏を抱く創造の世界。 全ての思いを内包したその世界を、ただ創造した。 悠介 「紅蓮に染まれ───“黄昏を抱く創造の世界(ラグナロク)”」 瞬時に黄昏の草原と化す景色。 庭園の綺麗な緑は姿を潜め、その場にはただ、あの日の景色のみが展開された。 風も吹けば草も揺れ、夕日に照らされた約束の木が影を作る思い出の景色。 その場所で俺は脇差を二本創造し、野太刀を背にして構えた。 初心忘るるべからず。 例の如く、重さは尋常ではない。 Gナス『ま、まずはウェイトトレーニングじゃろか?』 悠介 「そうなる。まあ徐々に慣れていけばいいさ」 言って、“彰利”が耐えられるであろう重さを創造し、重力としてGナスに振りかけた。 ゴシャア!!───死んだ。 悠介  「………」 悠黄奈 「………」 イセリア「………」 黄昏を展開して早々、気分の悪い雰囲気が修行の場が広がったのだった……。 ───……。 ……。 悠介 「お前なぁ!あれくらいの重力に耐えられんでどうする!!」 Gナス『ハァアこの若僧がぁああ!!人を殺しておいて開口一番がそれかね!?     弱体化したってあれほど言っといたでしょ!?殺す気ですか!?』(もう死んだ) 悠介 「弱体化にも程があるわ!!50キロの重みにも耐えられないのかお前は!!」 Gナス『ナスじゃったらぺしゃんこにもなる重さじゃよ!?加減せい!!     さもなくば孔明に焼き殺されるんじゃよ!?……俺が!』(火計が得意らしい) 何処の孔明だ。 悠介 「いいから集中する。重さは───はぁ、10キロからでいいか?」 Gナス『ホホ、どーんとこいじゃよー』 あからさまに胡散臭い笑みだった。 【ケース40:昏黄悠黄奈/キミの後ろにナスの影】 ズズ……ペタリ。ズズ……ペタリ。 Gナス『じょ、嬢……ご機嫌うるわしゅう……?』(もう潰れそう) 創造の練習をしていると、ふとGナスさんが裸足でやってきた。 ナスになってからはずっと裸足だけど、痛くないのだろうか。 Gナス『嬢……何を創造しようとしてるのじゃよ?』 悠黄奈「はい。悠介さんと同じく、初心に還ってハトあたりがいいのでは、と……」 Gナス『だ、だったら簡単……じゃよ?     手本を見せてやるんじゃよー……雰囲気で』(創造は封印されてるから) そう言うと、Gナスさんは傍に屈んで構えた。 Gナス『豆が欲しいか……?ならばくれてやる……!』 ……そして何も起きなかった。 Gナス『こうするんじゃよ?』 悠黄奈「………」 ニコ、と笑うGナスさん。 なんだかよく解らなかったけど、これは絶対に違うと……そう思った。 悠黄奈「………」 ふと見た悠介さんの居る方向。 そこでは悠介さんが、創造した自分の影と物凄い速さで攻防を繰り返している。 重りをつけているのにあれだけの速さが出せるなんて、信じられない。 でもやっぱりその重さは尋常じゃないのか、すぐに息を乱し始めた。 Gナス『ギャヤヤ……ジャパンスキーがあれだけの速さで息を乱すとは……。     あの重り、相当……だぜ?』(こっちももう潰れそう) 悠黄奈「あの……ナスが変形してきてますよ?」 Gナス『まだまだ平気……なんじゃろか』 悠黄奈「わたしに訊かないでください」 ボキィ!! Gナス『ギャアア!!足が折れたァーーーーッ!!!     あ、あぅぅ……!!たすけてぇえ!!』 悠黄奈「………」 たった10キロにも耐えられなかったGナスさんはその場で転がり、エウーと泣き出した。 どういうモロさなんだろう。 中井出「おーい彰利ー。じゃなくてGナスっつったっけ。ちょっとこっち来てくれー」 Gナス『自分から来たらどうじゃよ!?こちとら足が折れて歩けたもんじゃねぇや!!』 中井出「マクシミリアン=Gナス!パイロットが上官に逆らうんじゃない!!」 Gナス『ハアア!!サ、サーイェッサー!!』 そして匍匐全身してゆくGナスさん。 ……何気に頑張っているようです。 悠黄奈「………」 今なら解ることがいろいろとある。 最初はおかしな人にしか見えなかった彰利さんが、わたしを親友と言った意味や、 悠介さんが彼を親友として見ることの出来る意味。 突拍子が無くて訳が解らなくて、ウソはつくし酷いことはする彰利さん。 でも……不思議とあの人の傍は落ち着く。 それはやっぱり……心を許せるからなんだろうか。 そんなことを、黄昏の空を見上げながらに小さく思った。 Gナス『ぼぉ〜くのっ!手ーを握ィれぇ〜っ!!』 悠介 「一緒にっ!見ーないかぁい!!」 中井出「決して楽じゃっ!ないがっ!!」 三人 『最高の世界(せか)ぁーーーいっ!!』 辿り着いたGナスさんは、悠介さんを呼び寄せた中井出さんと一緒に歌を歌っていた。 悠介さんから流れてくる思考を感じるに、 どうやら中井出さんが思考を文字として映し出す能力の開発を始めたらしい。 そのために歌ってみて、歌詞が映し出されるかを試してみたようだ。 ……実験は失敗したようです。 それでも参考にはなったようで、元々それが目的だったのか 中井出さんは悠介さんとGナスさんに戻っていいと告げて作業に戻った。 Gナス『ホホ……嬢、小宇宙感じてる?』(死を体感しそう) 悠黄奈「だ、大丈夫なんですか……?息も絶え絶えですけど……」 Gナス『匍匐前進は軍人の務めなんじゃよ……?』 違うと思う。 Gナス『俺、もうちょっと軽い重みから挑戦したいと思うんじゃよ……』 悠黄奈「そのほうがいいと思います」 Gナス『グ、グッドバイ……』 ボキリ。 悠黄奈「あ───」 ……死んだ。 腰の辺りからバキベキゴキベキと砕けていき、首が折れた時点で動かなくなってしまった。 悠黄奈「ゆ───悠介さん!悠介さぁああああんっ!!!」 悠介 「どうしたっ!?って……あ」 修行中だったのにすぐに来てくれた悠介さんは、 血を吐いて白目剥いてるGナスさんを見下ろして、顔を手で覆った。 溜め息は付属品だったのだろう。 ───……。 ……。 悠介 「はぁ……とりあえず重力解いてナス脱がせて服着せたけど───」 不死身「今なら狩れる……いろいろと」  ■不死身ハンター  不死身ハンターは不思議と戦うわけでもなく、  誰よりも弱いが不死身なだけのハンターである。  和服に身を包み、あやかしを撃つ者……不死身ハンター。  自動に閉まるドアに驚くのは基本である。誤って挟まれると絶命も有り得る。 悠介 「なぁに狩る気だたわけ。いいから修行続けるぞ」 不死身「任せるんじゃよ。それでは嬢、ザ・グッバイ」 悠黄奈「え、あ……はあ」 悠介さんと不死身ハンターさんが離れた場所へと歩いてゆく。 少しの間のあとに不死身ハンターさんが潰れて死んだけれど、 悠介さんは慌てることもなく大きな溜め息を吐いていた。 【ケース41:イセリア=ゼロ=フォルフィックス/どうだ、まいったか=アマノ】 イセリア「えーと……」 イメージを纏めてそれを頭の中から弾き出すように促す───!! …………が、なんにも出やしない。 イセリア「あ〜……どうすればいいのかなぁ」 賢者の石とは違って、イメージの具現化ってとっても難しい。 こんなものをポンポンと成功させる悠ちゃんって…… イセリア「や〜、凄いわ」 そして羨ましい。 イセリア「ん〜……」 賢者の石(出来損ない)を握り締め、景色を見る。 すると、断裂的にだけど物質の構造が文字の羅列として見えるようになる。 でも全てがそう見えるわけじゃないので、書き換えられるものは限られている。 創造者、かぁ……。こんなものを持ってなきゃ創造できないわたしと、 何も持ってなくても創造出来る悠ちゃん……やっぱり悠ちゃんの方がすごいよね。 いいなぁ、ほんとうに。 ……ペタリ。 イセリア「?……誰───うあ」 ??? 「不思議……狩ってるか?」 ……ヘンな人が来た。 口を開けっ放しで、散眼をしながら立っている。 この服は……なんだっけ。 見たことない服装から見ると、地界の服かな。 イセリア「……誰?」 ??? 「不思議は別にハントしねぇが不死身が取り得なハンター……不死身ハンター。      ……何を狩るんじゃろか」 わたしが知るわけがない。 不死身 「ともかく嬢、キミは今何をしてるのか?」 イセリア「創造の練習。      コツさえ掴めれば普通に行使出来るようになったりしないかなって」 不死身 「嬢……それは無理ってものじゃぜ?創造はジャパンスキーの特権じゃよ。      他で言うなら葉流という小娘だけじゃよ。……怠け者じゃけど」 イセリア「へえ、地界には悠ちゃん以外に創造者が居たんだ」 不死身 「居たんじゃよ。神様らしいんじゃけどね。      ソード……ノートと同じく異端の神様らしいけど」 イセリア「異端?なにそれ」 不死身 「んー……死神で言うところのフレイアと同じさね。      きちんと『神』として産まれたわけでもない。      フレイアだって死神王に造られた異端の死神。      普通、男しか居ない筈の死神の中で……フレイアだけが女だった」 イセリア「あぁ、そういえばルヒドちゃんが時々そんなこと言ってた。      死神の女の子がどうとかって。フレイアちゃんっていうの?」 不死身 「イエス。滅法強かった。卍解を解放させた今なら勝てるかもしれんけど、      とりあえず弱体化した状態じゃあ絶対に勝てない」 イセリア「へえ……」 ルヒドちゃんもいろいろやってるんだ。 頑張るなぁ。 不死身 「ところで嬢、シェイドとは知り合いなのかね?」 イセリア「時々遊びに来てたから。さっきも来てて……随分口調が変わってて驚いた」 不死身 「口調っつーと……ああ、アレね。100年も経ってれば変わるもんデショ。      きっかけは蒼木澄音にあったみたいだけど」 イセリア「スミネ?誰?」 不死身 「ホホ、嬢は気にせずともよいことじゃよ。      というわけで俺、重力マラソンの最中なので駆けてくる。ザ・グッバイ」 イセリア「え?あ、うん……」 不思議ハンターとやらがサクサクと草を踏み鳴らして走ってゆく。 何キロの重力に耐えてるのかは解らないけど、相当軽いのは確かなようだった。 イセリア「はふ……えっと、イメージイメージ……」 でもいつまでも気を取られてるわけにもいかない。 この世界は本当に凄い。 わたしに創造が出来ないっていうのなら、せめて『創造』というものを体感したい。 成功するだけじゃ足りない。 なにか、創ってみたかったものを創ってみたい。 イセリア「…………とはいえ」 どうにも『限定条件』は外されてるみたいだけど、 創造したらいけないものは指定されているらしい。 試しに花をイメージして弾かせてみたら簡単に出たけど、 イメージの中にあった新しい術とか式とかを創造しようとしても出やしない。 やっぱり破壊系はダメなんだろうか……ってそれはそうか。 ここに居るの、わたしだけじゃないもんね。 イセリア「よし……うん。少し考えてみよう」 迷惑かけずに平和的で創造してみたいもの……そんなものが無いかどうか、 わたしはしばらく考えてみることにした。 ……物凄い速さで自分の影と攻防を繰り広げる悠ちゃんを横目に見ながら。 Next Menu back