───ループホール(狭間)───
【ケース46:晦悠介/ループホール】 ───ザパァンッ!ゾフィィン!! 幻獣 『アギャァアアアアアッ!!!!』 井戸から出ると同時にラグを奔らせる。 狭界へと出る前から感じていた殺気に向けて刃を流せば、あっさりと真っ二つの幻獣。 悠介 「っ……気分が悪いな。これが“思念”か……」 狭界には既に禍々しい気配が立ち込めていた。 幻獣どもの数が見渡しただけでも10は居て、その全てが殺気立っている。 思念を“吸収している”幻獣、思念に“食われている”幻獣、様々だ。 だが解っていることはひとつ。 今の狭界に、彰利が言うような“良い思念”は存在しないということ。 彰利 「確かにこりゃ気分が悪い……。悠介、さっさと巨人の里に行こうぜ。     こんな禍々しい空気の中に居たんじゃ気分が悪くなる」 黒である彰利も、いくらなんでもこの空気は汚すぎるようだ。 顔をしかめ、鼻と口を手で覆っている。 悠介 「ああ、解ってる。……思念から俺達を遮断する膜が出ます───弾けろ!」 彰利に返事をするのと同時に理力を弾けさせ、眼には見えない膜を張った。 それと同時に頷くと、彰利が促す方向へと駆け出した。 ───が。当然、突然動き出した存在を殺気だった幻獣どもが見逃すわけがない。 彰利 「悠介!」 悠介 「走れ!いいから!ッ───ラグナロク!!」 ラグに理力を流し込み、形状を変えてゆく。 賢者の石で形状変化させるよりも、理力とイメージに反応するように造り替えた故だ。 俺のイメージを受け取ったラグは 獣王の鞭と屠竜剣を合わせたような剣鞭と化し、幻獣どもを薙ぎ払った。 だが剣鞭が届かなかった幻獣は勢いを殺すことも無く飛びついてきた。 悠介 「遅いッ!!」 即座にイメージを受け取ったラグは再び形状を変えた。 それは恐らく、粉にしか見えないであろう物体。 刀身は手にあるが、その粉はただの粉ではない。 ───故に。 俺が軽く刀身を振るっただけで、幻獣は粉微塵になって消え失せた。 彰利 「うわっ!ずっりぃ!壊塵刀まで読み込ませたのか!?」 悠介 「見た武器ならなんでも再現出来る!やろうと思えば冥月刀だって出来る!」 彰利 「くっは……!ホント羨ましさが結晶化したような能力者だなお前!!」 悠介 「言ってる場合か!急ぐぞ!!」 彰利 「解ってる!!」 とか言いつつ、塵と化す寸前の幻獣どもはしっかりと黒で吸収していく親友。 抜け目が無いっていうかガメツイっていうか。 ……いいや、今はそんなことを言ってる場合じゃない。 幻獣どもが他の世界に行こうとする原因が見えてきた。 こんな、思念が酸素みたいになっている場所に居たら、 強い幻獣以外はみんな思念に食われちまう。 元は思念とはいえ、幻獣だってちゃんと意思を持って生まれたんだ。 それなのに他の思念によって食い殺されてしまうなんて冗談じゃない。 生まれたからには生きたい───それはどんな生き物だって考える筈だ。 悠介 「彰利!転移で飛ぶことは出来ないのか!?」 彰利 「ダメだ!一度試したけどこの世界で転移するのは物凄く危ない!     下手すりゃ次元の狭間に流されて還ってこれなくなる!!」 悠介 「っ……くそっ!!次元に近すぎる所為か!?」 彰利 「多分そうだ!───悠介!!」 悠介 「解ってる!」 振り向きもせずにラグを奔らせた。 キヒィンという音とともに、軽い抵抗感ののちに響く絶叫。 気配はあっさりと消え、俺達はそのままの速度で走り続けた。 彰利 「……なぁ。妙じゃねぇか?     見渡す限りに幻獣が居るってのにみんな動こうとしない。     みんな馬鹿みたいに蹲って、けど殺気立ってる……」 悠介 「多分思念を逆に食うヤツ以外は思念から自分の意思を守るのに手一杯なんだ。     だから逆に、この状況で動けるヤツが近くを通るのなら食らい、     力を得て乗り越えようとする───そんなところだ」 彰利 「なるほど……面倒だなそりゃあ」 悠介 「けど今にみんな暴走するぞ。長くは持たないと思う。     抵抗し切れないと知れば、全ての幻獣が殺戮を始める。     自分だけでも生きようって思うのは、生き物なら全て同じだ」 彰利 「チッ……そんな現実、もう見たくもねぇよっ!!」 彰利の速度が上がる。 見れば体を黒い霧が覆ってゆき、やがて眼が赤く染まると他の部位の全てが黒に染まった。 彰利 『巨人達と竜族の様子が気になる。急ごう』 黒と化した彰利は八本足の馬───スレイプニルと化し、大地を蹴った。 俺もすぐさま神魔竜人を解放すると全力で駆け、その後を追った。 ───……。 ……。 そうして辿り着いた巨人の里。 彰利 『───!』 悠介 「これはっ……」 そこは既に、狂った幻獣どもによって破壊されている最中だった。 彰利 『俺が空界に戻る前から異変は確かにあったけど……ここまでかよ……!』 悠介 「ホウけるな馬鹿っ!!巨人達に加勢するぞ!」 彰利 『───!あ、ああっ!!』 悠介 「我が呼びかけに応えろ───ゼプシオン!!」 駆け出すとともにゼプシオンを召喚し、 今まさに巨人に襲いかかろうとしていた幻獣に向かわせた。 ゼプシオン『ここは任せろ!貴様らは中を!』 悠介   「解ってる!頼んだ!」 彰利が先に駆けてゆく中、俺はゼプシオンに思念を遮断する膜をかけてから後を追う。 だがすぐに幻獣たちが俺に眼をつけて襲い掛かってくる───が。 ゼプシオン『何処を見ている!!』  ザフィィイインッ!!!! 悠介 「おッ───……!?」 懇親とともに振るわれたオリハルコンの大剣が剣閃を放ち、 俺を囲んでいた幻獣を一発で滅ぼした。 っ……さすが、英雄……! ゼプシオン『何をしているたわけ者が!!さっさと進め!!』 悠介   「ああっ!!」 十分だ。 なんの心配も無く任せられる。 俺は胸を拳でトンとノックし、巨人の里の内部へと疾駆した。 【ケース47:弦月彰利/ループホール2】 彰利 『邪魔だ───!』 ザァッ───ゾボガガガガガァッ!!! 幻獣 『アギィアァアアアッ!!!!』 次々と襲い掛かってくる幻獣を、黒を幾多もの剣と変化させた剣雨で刺し殺す。 それでも怯むことなく駆けてくる他の幻獣の感覚を殺し、そのまま食らってやる。 彰利 『チッ───ほんとキリがねぇ……!!』 黒い剣をガトリングガンのように放ちながら通路を駆ける。 幻獣はそれこそ蟻のように蔓延っており、 その姿がブチブチと貫き殺される様は見ていて気分が悪い。 だが勢いは緩まないままに通路の奥へ奥へと突き進んでゆく。 彰利 『ガラハッドのおっさん!』 ───そしてやがて。景色が開いた先の広間に辿り着いた。 叫ぶ名前は巨人の里の王であり、知った仲でもあったおっさんの名。 だがその姿は傷つき、一体の幻獣を前に跪いている。 荒い息が聞こえ、危険なことくらい見て取れた。 彰利 『っ……てめぇ!!』 ガラハッドのおっさんの前に居るのは蛇のような尾と頭と、4本の足を持つ巨大な獣。 確かアレはベルーダって幻獣だったと思う。地界の本で読んだことがある。 ……実際に見ることになるとは、さすがに思わなかったけど。 あのガラハッドのおっさんの体の二倍はあろうかという馬鹿げた巨大さと、 ライオンのたてがみのような体毛が特徴の超獣が目の前に居る。 勝てないかもしれないとかそんなことは関係無い───やらなきゃなんねぇ!! 悠介 「一気に潰すぞ彰利!」 彰利 『───!ああっ!!』 心を固めた瞬間に隣に来てくれた親友の存在が心強い。 俺は同時に疾駆し、体をより強固な黒で覆い、唯一別色である赤い眼を真紅に染めあげた。 悠介は竜人状態で竜の力を引き出し、 ラグナロクを両手で持つと戦斧石の輝きで赤く染め上げた。 ああ、解ってる───やることはひとつだ!!一撃でキメてやる!! 狙うは脳天───そしてその下の喉!! 彰利&悠介『“吼竜穿壊牙”(アルティメットライン)!!!』 上下から放たれる全力の一撃。 それはまるで竜と獅子の牙の如く、ベルーダの巨大な顔へと落とされた。 悠介がベルーダの脳天を神速落下でのラグナロクの突きで貫き、 その下から俺が全力を込め、鋭く固めた黒の一撃で貫く───!! 結果としてベルーダの顔面は潰れ、その姿がその場で弾け飛んだ。 が───これくらいでは死んでくれないらしく、脳天と喉を貫かれながらも構えた。 ───だがそれもほんの少しの足掻き。 悠介の背の翼が黒紫色に変わり、 角までもが鋭く変化すると───それが終わりの合図だった。 悠介 『“雷神槍(ヴィジャヤ)”!!』 脳天を貫いたままのラグナロクがヴィジャヤに変化する。 悠介はそれをそのままさらに突き刺すと、───内側から炸裂させた。  ギゴゴガバッシャァアアアアンンッ!!!! 突然に炸裂する雷のような轟音を立て、光が爆発した。 ───そして。 気づいた時にベルーダの顔面は完全に吹き飛び、 体は司令塔を無くしたために倒れようとする。 俺はそれを黒の泉で受け止め、 首が無くなった穴から黒を侵入させて、内側からソイツを食らっていった。 彰利 『───っと!ガラハッドのおっさん!!』 咀嚼を黒に任せると俺は悠介とともに駆け、ガラハッドのおっさんの前に立った。 ……よし。傷は多いけど、そう深いものじゃない。 さすが現・巨人王。 ベルーダ相手でもそう簡単にやられやしない。 ガラハッド「……貴様か。何をしにここへ……?」 彰利   『幻獣どもを暴れさせてる原因の次元の歪みを直しに来た!       それとあと、他の世界へ行こうとしてる幻獣を食い止めに!』 ガラハッド「……たったふたりでか」 彰利   『そう、【たった】だ。だから巨人族に手を貸してほしい。       これから竜族と結託して、俺達と一緒に幻獣どもと全面戦争をしてほしい』 ガラハッド「なに───!?竜族と結託だと!?馬鹿な!そんなこと出来るものか!!」 彰利   『そんなこと言ってる場合じゃないって解ってるだろ!?       誇りがなんだよ!そんなもん、死んじまったらなんにもならねぇだろうが!       それでも誇りが大事ってんだったら、この瞬間だけ誇りのことなんて忘れろ!       力が必要なんだよ!幻獣どもを一掃させるために!』 ガラハッド「………」 彰利   『……早く!決断が遅れればそれだけ無用に傷つくだけだ!!       どうしても争いたいなら思念を黙らせたあと、       好きなだけ幻獣の居ない世界で戦ってろ!!だから今は力を貸してくれ!』 ガラハッド「………」 彰利   『〜〜っ……もういい!!悠介!竜族のところに行くぞ!』 悠介   『ああ!……おいあんた!ひとつだけ聞かせてくれ!       あんたらは誇りを以って戦ってるって聞いた!       じゃあ自分の生まれ育った世界も守ろうとしない“誇り”ってなんだ!?』 ガラハッド「───!!」 悠介   『あんたらの唱える誇りってのがそんなちっぽけなものなんだとしたら、       そんなもんは───今すぐ捨てちまえ!!』 悠介の怒声を皮切りに、俺と悠介は全力で駆け出した。 もちろん戻る時にも幻獣どもが居たが、それらを全て殺しながら。 悠介 『この世界の竜族は何処に居るんだ!?』 彰利 『南西の山だ!付いてきてくれ!』 再びスレイプニルへと形を変えた俺は、ザコ幻獣どもを踏み潰しながら強引に駆けた。 さらには里の住人の被害が及ばないように黒と影と闇を総動員させ、里全体に広げると、 里内部に居る全ての幻獣を包み、押し潰して飲み込んだ。 彰利 『出てる……ちゃんと修行の成果が出てる!よし!一気に行こうぜ親友!!』 悠介 『解ってる!』 幻獣を食い殺した黒と影と闇を体に戻し、咀嚼した。 吼え、未だ生きていた存在も押し潰すと、丸呑みしてやると黙った。 腹は満たされた……あとはまた全力を出して腹を空かせるだけだ! 悠介 「ゼプシオン!」 駆ける最中、悠介が幻獣どもを蹴散らしているゼプシオンに声をかけ、 巨人の協力は得られなかったということを伝えた。 するとゼプシオンは怒り顔になり、 “話をつけてくる”と言い残すと里の中へと姿を消した。 彰利 『………』 悠介 『……ん』 悠介を見ると、悠介も俺を見ていて───やがて頷くと、同時に駆け出した。 立ち止まる時間の余裕など存在しないのだ。 ……急がなければならない。 思念が、全ての存在を取り込んでしまう前に───!! ───……。 ……。 ───やがて辿り着いた竜族の縄張り。 そこでもやはり幻獣との戦いが始まっていて、そこかしこに弱った竜が転がっていた。 悠介 『ッ……』 それを見た悠介の目は、まるで同属の誇りを汚されたような殺意の目に変わり、 ここまで駆けてきた速度とは比べ物にならないほどの速さで飛翔し、 今もなお竜達を襲っている幻獣達にとびかかっていった。 悠介 『オォオオオオッ!!!』 幻獣 『ギッ!?』 気づいた時にはもう遅い。 悠介はまるで遠慮することなくヴィジャヤを振るうと、 一番大きかった幻獣をひと突きで粉砕させてみせた。 次の瞬間には突き出したヴィジャヤを緋色の槍へと変換。 やがて─── 悠介 『“緋竜槍(ゲイボルグ)”!!』 それを思念の渦巻く天空へと放った。 緋い槍は中空で炸裂したかのように眩い極光を放ったのちに無数の槍を放った。 槍の数は雨の如く。 正確に幻獣の芯のみを幾度も穿ち、その場に居た幻獣の全てを一瞬で滅ぼしてみせた。 彰利 『っ……つ、強……!?』 シャレになってない。 やっぱ悠介だけは怒らせちゃダメだわ。 などと思っている間にも悠介の手元には霧散した槍が収束し、 ラグナロクへと戻った───ってうわぁ……あの剣すげぇ欲しい。 悠介 『こぅら彰利っ!!ホウケるなって言ってるだろがっ!!』 彰利 『へ?っとと!!』 そうだった。 弱りきった竜たちを早く回復させねば。 そう思った俺は駆け出し、すぐに回復にかかった───が。 彰利 『……?な、なんだこりゃあ!おい悠介!回復が利かない!』 悠介 『っ……こっちもだ!!』 月生力でも理力でも魔法でも、竜の傷は治らなかった。 ……ああ、原因はもちろんあれだろう。 解ってる。 悠介 『思念の所為か……?』 彰利 『弱った存在じゃあ思念の影響に耐えられないんだろ……。     内側からどんどん侵蝕されてるみたいだ』 悠介 『くそっ……!思念を遮断する膜と傷を治す霧が───』 彰利 『待った。俺に任せてくれ』 悠介 『……彰利?』 こんな時こその能力だ。 俺は静かに影からディザスティングヴァニッシャーを抜き取ると、強く握って集中した。 ……聖。 俺はお前に許されようだなんて思っちゃいない。 勝手に親になって、勝手に裏切って、ずっと逃げてきた俺だけど……でも解ったんだ。 俺の意思は他の誰にも忘れられたっていい。 その覚悟が俺にはある。 でも───隣に立ってくれる親友に忘れられるのだけは、 どれだけ辛く悲しいことなのかってのが解った。 だから……我が儘だけど受け入れてくれ。……いいや、受け入れろ、俺自身。 力の解放とは『俺』が内包した力を鎌に転写すること。 つまり三段階までの鎌の解放とは即ち、自分の意思に打ち勝つこと。 今さらだけど、どうしてディザスティングヴァニッシャーだけが 三段階まで解放できなかったのかが今なら解る。 俺は結局勝手で、お前に負い目を感じていただけなんだろうな─── 彰利 『卍解───!』 構えた鎌が躍動する。 聖なる力とともに眩い黒い光で辺りを照らす鎌。 けれど俺の黒や闇や影が削られることもなく、 その黒い光はこの場から思念のみを完全に弾き飛ばした。 悠介 『……思念が消えていく……?』 彰利 『“───影黒にして聖なる闇の聖域(セイクリッドダークネス)”』 名が思考に刻まれるとともに、静かにその名を口にした。 すると鎌がキンと光り、俺の影へと消えてゆく。 ……ここに。全ての鎌の解放を完了する。 彰利 『…………よし』 覚悟は決まった。 やっぱり逃げるのってよくないよな。 地界に帰ることが出来たら、その時は───未来の地界の記憶を蘇らせよう。 あの頃より力を得た今の俺ならそれが可能な筈だ。 彰利 『謝って許されるものでもないかもしれないけど……     うん、まあその、許されるといいな』 結局のところ、俺はそんなに強くはないのだ。 誰かに覚えていてもらいたいって思うし、誰かに必要とされたい。 だから、もし許されるのなら─── 彰利 『って!あ、あれ!?悠介!?悠介ーーーーっ!!!』 ハッと気づくと悠介が居なかった。 その場には既に治療されている竜と、オロオロとする俺だけが残され…… 彰利 『ひっでぇええっ!!親友だからって遠慮が無いにもほどがあるぞぉっ!!?     でもそんなお前が大好きだぁああーーーっ!!……もちろん親友として』 叫びながら山の奥地を目指して駆けた。 まったく、我ながら面白いヤツを親友にしたもんだ。 でも自分の中に後悔の念が全く無いことに、俺は最上級の喜びを感じていた。 【ケース48:晦悠介/ループホール3】 ザザッ───荒地を踏み抜くように駆け、やがて辿り着いた山頂。 そこには…… 悠介 『……!?ヒュドラか───!?』 そう。 そこには幾頭にも及ぶ大蛇の頭を揺らす巨大な幻獣が居た。 その先に居るのは紫色の竜。 悠介 『───“戦闘、開始(セット)”』 そのボロボロの姿を見て、俺の口は自然と戦闘開始の合図を口ずさんでいた。 例えるなら、体に撃鉄が落ちた感触が言葉となったかのように。 ヒュドラ『ヂシャァアアアアアァアアア!!!!』 殺気を感じ取ったのだろう─── ヒュドラは目の前の紫竜から全ての視線を俺に移すと、全ての口で咆哮を放ってきた。 次に轟音を撒き散らしながら体をこちらに向けると、 まるで弾丸でも発射させるかのように幾つもの長い首が、俺へと向かってきた。 悠介 『───』  ───ゾッパァンッ!! ヒュドラ『ギ───!?』 それを。 神速にて振るう一太刀で薙ぎ払った。 宙に舞い、消滅してゆく首はいったい何本か。 だがすぐに首は再生し、俺を見て口を歪めると笑ったように見えた。 ……そういえば本で見たことがある。 ヒュドラってのは100本もの首を持ち、その全てが再生可能。 一本は不死身であり、まず殺すことは無理だろう、と。 けど、そんなものは本の知識だ。 この幻獣がどんな思念の先に生まれようが───知識の中のみに生き、 現存していないのなら……『不死身』なんかじゃない!! 悠介 『疾ッ───』 飛翔とともにラグに理力を込める。 ヒュドラは俺を見上げる形となり、その口が炎をため、一斉に俺を狙った。 だが俺は動ずることもなく理力を解放し、ラグを無数の剣に変えた。 悠介 『“無限を紡ぐ剣槍の瞬き(インフィニティ・バレット・アームズ)───モード大蛇屠る長柄の神剣(トツカノツルギ)”』 名を唱えると、無数の剣が一斉に轟音を掻き鳴らして百頭へと降り注いだ。 その顔が驚愕に染まったが、そんなものは一瞬の出来事。 刹那に百もの頭を貫き殺されたヒュドラはすぐに不死身の部分だけを回復させたが、 結局は何が起きたのかも解らないまま─── ただポカンと大口を開けて、急降下する俺を眺めていた。 俺はそんなヒュドラを見下ろしながら、 用を成し、俺の手に収束したラグを手にし、キィンと回転させて構えた。 ───やがて流星と化した俺と、俺を見上げるヒュドラが衝突する刹那。 悠介  『───“黄竜剣”!!』  ───ギシャゴバァアアアアォオオオンッ!!!! ヒュドラ『アギィイイアァアアアアアアアッ!!!!!』 剣に黄竜の力を込め、残った一頭を両断した。 それで終わり。 不死身であった筈のヒュドラの体は眩い金色の光に掻き消され、霧散した。 彰利 『悠───ってもう終わってるし』 悠介 『彰利、そっちの竜の回復を頼む。俺は紫竜に話をしてみる』 彰利 『オ……りょ、了解』 他の竜を彰利に任せ、俺は倒れている紫竜に駆け寄るとすぐに回復の霧を創造。 傷を癒し、恐らく現在の竜王であるそいつに語りかけた。 悠介 『……平気か?』 紫竜王『人間……いや、竜人か?ミルハザードは随分前に召喚されたと聞いたが……』 悠介 『ミルハザードじゃない。確かに同じ竜人ではあるけど違う。     そんなことより───     これから俺達は空界の竜族とともに狭界の思念を消滅させようとしている。     その戦いに協力してほしい』 紫竜王『協力……?危ういところを救ってもらった恩はあるが、     我らはそれに協力することは出来ない』 悠介 『……どうしてだ』 紫竜王『それは巨人族がやろうとしていることだからだ。     研究とやらをし、魔術で歪みを塞ぐとか言っていたらしい。     何故敵対する我らがそんなことをしなければならない』 悠介 『そんなの簡単だ。それがこの世界を救うことになるからだろ。     守りたくないのかよ、自分が生まれ育った世界を』 紫竜王『それとこれとは話が別だ。     それこそ生まれた時より続いている巨人族との禍根。     それが思念に滅ぼされるなら願ってもないことだ。勝手にやればいい。     巨人族がそれを成そうとする限り、我らが協力することなど有り得ない』 悠介 『………』 っ……誇りを持ってるヤツってのはどうしてこう……!! 悠介 『お前はっ……!     こうして眷属が幻獣にボロボロにやられてても平気だっていうのか!     歪みを正さない限り、ずっとこうしたことが続くんだぞ!?     誇りがなんだ!禍根がなんだ!     今考えなきゃいけないのはそんなことじゃないだろう!!』 紫竜王『ほざくな小僧!!貴様などに竜族の誇りが理解出来るものか!!     相手側───幻獣には皇竜王が居るのだぞ!!     全ての竜族の親である存在に、どうして牙が向けられる!!』 悠介 『───……知って、いたのか?』 紫竜王『あれほどの力強い波動など、皇竜王以外には有り得ん!     貴様も曲りなりにも竜族の血を持つのなら解るだろう!     あの波動は我ら竜族が束になったところでどうにかなるものではないわ!!』 悠介 『だからって何もしないのか?』 紫竜王『なに……?』 悠介 『それがお前の言う誇りか、って訊いてるんだよ。     ああそうだな、そんなの理解出来る筈も無い。     お前が誇りだって言ってるのはただの恐怖心じゃないか。     そんなのを誰が理解しようだなんて思うんだよ』 紫竜王『なんだと貴様……我を誰だと───』 悠介 『危機だってのに立ち上がろうともしない現竜王だろ?それがどうした』 紫竜王『ッ……貴様ァアアアアアアッ!!!!』 紫竜王が口をグパァと開け、俺を噛み砕こうとする。 だが俺は力を解放するとそれを足と手で受け止めた。 紫竜王『……!?馬鹿な……!』 悠介 『お前にはこうして牙を剥く力があるだろうが……。     こうして、戦う意思を出せるだろうが。     それをやれ巨人だの皇竜王だの……そんなのはただの臆病風の言い訳だ!!     お前が牙を剥く相手は俺なんかじゃないだろうが!どうしてそれに気づかない!』 紫竜王『黙れ小僧が!!竜人風情がこの我に説教を───!!』 紫竜王が口を再び開いて首を振り、俺を吹き飛ばす。 だが俺はすぐさま体勢を立て直すと飛翔し、紫竜王目掛けて拳を構えた。 悠介 『解らないヤツに物事を説いて何が悪い!     それでも理解しようとせず怒ってばっかりのお前が───!     “誇り”なんて言葉を口にするんじゃねぇっ!!』  ───ガゴドバァァアンッ!!!! 紫竜王『ガ───ッ!!?』 全力でその顔面を殴り、 その反動に体をごと持っていかれた紫竜王は山頂の大地に顔面から倒れた。 悠介 『っ……目、覚ませよ馬鹿野郎……!     自分が生まれた世界さえも見捨てるような誇りなんて、捨てちまえ……!』 紫竜王『………』 紫竜王は驚愕の顔のままに倒れ、返事もせずに動かなかった。 だが意識を失っているわけでもない。 だが……返事をしようともしなかったのは事実だった。 悠介 『……もういい。お前らの言う誇りに期待した俺が馬鹿だった。     こんな時だからこそ一緒に立ち上がってくれるって思い上がってた。     でもそれは全部間違いだったよ。     ……全てが終わるまでずっとそうやって寝てろ。あとは俺達がやる』 紫竜王『………』 紫竜王はやっぱり何も喋らなかった。 俺はやりきれない思いを振り払うように駆け出し、 竜族の回復を終えた彰利を促して竜族の縄張りをあとにした。 【ケース49:弦月彰利/ループホール4】 悠介 『くっそ……!誇り誇り誇り……そんなに誇りが大事かっ!!』 彰利 『落ち着け……って俺がお前に言う日が来るとは……』 悠介 『妙なところで感動するなっ!以前にだって言ってただろうが!』 そうだっけ? ともかく俺達は再び走り、今度は幻獣の里へと向かっていた。 ホントは狭界に降り立った時、すぐにでも行きたかったが─── それじゃあ他の世界を後回しにするような気がしたから行けなかった。 だからその分を取り返すように、俺は大地を蹴り続けた。 蹴って蹴って、駆けて駆けて─── そうして、ようやく辿り着いた時─── 彰利 『ノッカー!……あ……』 そこにはもう、良い心を持った幻獣など居なかった。 暴れ、吼え、狂い……全てにおいて理性を無くしたかのように暴走していた。 彰利 『悠介!手を───』 悠介 『手を出すな、だろ?解ってる』 彰利 『………』 察しのいい親友で良かったって……本気で思った。 悠介が攻撃を仕掛けてたとしたら、ここに居る幻獣なんて一瞬で消えていた。 そうなってしまったら、さすがの俺も冷静じゃあ居られなかったと思うから。 彰利 『“影黒にして聖なる闇の聖域(セイクリッドダークネス)”!!』 早速思念の排除にかかる───が。 既に完全に思念に囚われていたためか、幻獣たちの姿自体が浄化され、消えてゆく。 彰利 『───!?』 すぐに能力を解除したが、間に合いはしなかった。 体が完全に思念に食われていた幻獣は全て消え去り、ただ……ひとりの幻獣のみが残った。 そいつは……ノッカーだった。 彰利  『ノッカー!?』 ノッカー『あ……くっ……』 だがその半身は蝕まれたようにボロボロだ。 恐らくその分を思念に食われていた故だろう。 彰利  『ごっ───ごめんノッカー!俺……!』 ノッカー『あ、はは……礼を、言います……』 彰利  『え……?』 ノッカー『あのまま思念なんかに食われるより……浄化された方がまだマシでした……』 彰利  『あ……』 ノッカー『こんなこと、同じ幻獣として言うのはどうかと思うけど……      どうか、幻獣を滅ぼしてください……。      次元の歪みさえ正せば幻獣は元の状態に戻るでしょうけど、      凶暴な幻獣が居なくなるわけではないんです……』 彰利  『……なぁ。もし知ってたら教えてくれ。黒竜の目的はなんなんだ?      どうしてあいつは思念が渦巻く北の大地を縄張りに……』 ノッカー『………』 ノッカーは苦しそうに半身を庇うと咳き込み、けれどやがて……口を開いた。 ノッカー『黒竜の目的は……“他の世界”に行くことです。      でもそれは空界でも冥界でも天界でもない……“地界”です』 悠介  『なに……?』 彰利  『……なんで?』 ノッカー『解りません……。でも、なんらかの意思があるのは確かのようです……。      狭界に流れる思念は……時間軸に影響されません……。      未来からでも過去からでも流れ込み……それゆえに、      これほどまでに大量の思念が流れ込んでくるんです……』 悠介  『それは予想がついていた。この世界があるのは【空間の中】だ。      つまり、この世界自体が次元の狭間みたいなものだ。      それ故に少しの歪みからでも思念が流れてくる……そうだろ?』 ノッカー『はい……その通りです……。      ですから、黒竜を象る意思が何かの強い念なのだとしたら、      その思念の中に……地界に行こうとする意味があるのかもしれません……』 彰利  『………』 地界に行こうとする思い……? どんな思念の下に、そんなこと…… ノッカー『あぁ、っと……そろそろお別れみたいです。      目を開けているのが辛くなってきました』 彰利  『……逝くのか?』 ノッカー『……ええ。友達が待っているので』 彰利  『そっか。じゃ、止めない。じゃあな、ノッカー』 ノッカー『はい。なかなか楽しかったです。───それじゃ』 ニコリと笑い、ノッカーは塵と化してゆく。 塵となって、消滅して───やがて何も無くなる。 元が塵だったんだ、塵が死ぬことがあるのなら、それは消滅にイコールする。 彰利 『………』 空に流れてゆく塵。 それが消滅してゆくのを見送った。 手を振り、アディオスと唱えて。 彰利 『……これで、よかったんかね』 悠介 『あいつが浄化された方がいいって言ったのは事実だろ。     これで良かったんだよ、もっと胸張れ。だってさ、あいつ笑ってたじゃないか。     俺はあいつのこと知らないけど、それでもあの笑顔は本物だった。     ……答えは───それで十分なんじゃないかな』 彰利 『悠介……うん。そう、だよな、悠介』 ここで落ち込むのは簡単だ。 でも……それは今じゃなくても出来ること。 きっと全てが終わった時、その悲しみも薄れてしまっているんだろうけど─── ああ、それでいい。 彰利 『……よし。悠介、空界に戻ろう。協力は得られなかったけど、     こうなったら俺達だけででも思念を殺す』 悠介 『ああ。お前の言うとおりだよ。結局は俺達ふたりなんだ、最後は』 空を見上げる……濁った空を。 そうして目を合わせ、苦笑した。 悠介 『やってやろうか、親友』 彰利 『オウヨ。ただし、生き残ること前提で』 悠介 『当たり前だろ。───よし、戻るか』 彰利 『オウヨ?オウヨオウヨ〜……オウヨ!!』 気合は十分だ。 埃ならぬ誇りにまみれた馬鹿野郎どものことなどもう知らん。 だったら、俺達と空界のみなさまでやってやるしかないのだ。 覚悟など何度でも決めましょう。 そして─── 彰利 『絶対に生きて帰るぞぉっ!!』 悠介 『おうっ!!』 そう、必ず生きて帰ろう。相手が誰だろうと関係無い。 生きて帰るっていったら生きて帰るんだ───!! 【ケース50:晦悠介/ループホール5】 ───そうして空界に降り立った俺達はすぐさまに転移を実行。 空中庭園へと降り立ち、ノートの名を呼んだ。 悠介 「ノート!」 ノート『ここに居る。大声を上げるな』 彰利 「大声上げずにいられるか!狭界の歪みのこと、全部俺達がやることになったんだ!     狭界の巨人族も竜族もみんな意気地無しだ!」 ノート『ふむ……なるほど、協力は得られなかったか。まあそんなことは予測済みだ』 彰利 「───へぇっ!?」 悠介 「予測済みって……」 ノート『動じるな。……まず汝らの体力を回復させよう』 ノートが手を揺らすと光が散り、俺達に降りかかる。 それが終わると俺と、おそらく彰利の体から疲労が消える。 それを確認するとノートが頷き、問いかけてきた。 ノート『すぐ出られるな?』 悠介 「───ああっ!もちろんだ!」 彰利 「ぐずぐずしてらんねぇんだ!もう躊躇の気持ちなんて無ぇ!」 ノート『……いいツラ構えになったな、弦月彰利。     その様子だと全ての鎌の解放に成功したな?』 彰利 「ああ。不思議と体に力が溢れてる」 ノート『己の裡にある鎌の全てが最大に解放されたんだ、当然だ』 彰利 「……でもさ。なんかいつの間にか     “線路は続くよ(やまのてせん)”が使えなくなってるんだけど」 ノート『それは出ュ浮という骨死神の鎌だろう。     コピーしたとはいえ、汝はその本質まではコピー出来なかったということだ』 彰利 「なんと……あのカルボーンめ、本質隠してやがったのか……」 悠介 「そんなこと言ってる場合か。早くしよう」 ノート『解っている。ゲートは棒人間の集落に作る。     棒人間どもは泣き叫びながら止めてくれと願っていたが当然無視した。     出会った早々に【死ね】だの【クズ】だのと言われたんでな』 悠介 「………」 彰利 「………」 少し、同情した。 ほんの少しだけだが。 ノート『では行こう。竜族達は既に棒人間の集落に集まっている』 悠介 「……泣いてるだろうな」 彰利 「絶対にね」 ともあれ俺達はノートとともに棒人間の集落へ転移した。 ───……。 ……。 そうして棒人間の集落に辿り着いた。 予想通り棒人間達は隅の方でカタカタと震えながら泣いていたが─── 竜王 『来たか、王』 悠介 「シュバルドライン……マグナス、グルグリーズ……ドラグネイル」 そこにはノートが言った通り竜族が集っていて、準備万端といった感じに待ち構えていた。 当のノートは彰利と何かを話していて、 彰利が何度か頷いたあとにこちらを向くと、声を放った。 ノート『すぐにゲートを開く。覚悟はいいな?     開いた途端に別世界へ向かおうとしている幻獣どもが群がってくるぞ』 彰利 「OK、開いた瞬間俺がビッグバンかめはめ波撃つから、その後に続いてくれ。     今の俺の力なら、大体の幻獣は吹き飛ばせると思う」 悠介 「ああ───っと、竜王のみんなに竜王の珠を返しておく。     これがあった方が全力出せるだろ」 黄竜王『確かにそうだが……王はどうする』 悠介 「俺は最初からリミット外した状態でいきたい。だからこれは返しておく」 黄竜王『そうか。王がそう言うのなら納得しよう』 悠介 「ああ───……急な話で本当にすまない」 蒼竜王『構わん。平和すぎて正直飽きていた。     そんな時に訪れた刺激だ、むしろ喜ばしい』 緑竜王『治療は私に任せろ。存分に暴れろ』 赤竜王『ああ。存分に暴れるとしよう』 言って、それぞれの竜王は竜王の珠から側近の飛竜を呼び出した。 ……準備は整った。 あとはゲートを開いて狭界の次元の歪みを閉じるだけだ───!! ノート『ゲートは精霊と空界の魔術師、魔導術師で支える。     好きなだけ暴れてこい。だが目的を忘れたり、死亡したりしたら許さんぞ』 彰利 「死ぬ気で行くにしても死にに行くわけじゃないわい!!     とにかくゲート開門せい!!───“影鎌繰り殺ぐ闇黒の秩序(アンリミテッドブラックオーダー)”!!」 悠介 「こっちはもう覚悟は出来てる。やってくれノート。     神魔竜人解放───モード“竜”!!」 それぞれ力を解放し、ゲートを開いた途端に始まるであろう戦に構えた。 イセリア 「悠ちゃんファイトー」 リヴァ  「どうしてお前らはこう厄介ごとを回してくるんだ……」 悠介&彰利『確かにそうだけどお前に言われたくない』 リヴァ  「うぐ……すまん」 ベリー  「まあま、こっちの方は任せてよ。       もし幻獣が来たりしたら全力で消してくから。       イセリアが居るなら絶対負けないから」 悠介   『ああ。信頼してる。───悠黄奈、お前は庭園で待っててくれ』 悠黄奈  「……はい。でも、必ず帰ってきてくださいね」 悠介   『死ぬつもりはないって。安心して待ってろ。中井出、頼む』 中井出  「OK。紡げ、映像の軌跡───」 中井出が式を描き、俺と彰利に光を振り掛ける。 それで映像が繋がったのか、中井出は虚空に映像を広げた。 中井出「へへっ、どうだ?中々の腕前だろ。これでも頑張ったからな」 悠介 『ああ、独学でここまで出来るなんて驚いた』 彰利 『手、爆発せんかったのか?』 中井出『爆発?いや……お前らの記憶の中のリヴァイアの描き方、覚えてたからな。     映像系の基本は頭の中にあった。     そっからこう描くんじゃないかって、イチカバチカで研究していった』 危ないことするな、こいつも。 しかも動機がエロビデオのためって……エロビデオに腕の命を賭けるなよな。 ノート  『別れは済んだか?』 悠介&彰利『別れとか言うな!縁起でもないッ!!』 ノート  『どうでもいいがゲートを開くぞ。───刮目せよ!!』 悠介   『彰利!』 彰利   『ああ!解ってる!───終わりにしようぜ幻獣ども!       これであの世へ送ってやる!ビッグバン───』 キィイ───バジュゥンッ!! ノート『開いたぞ!行け!!』 彰利 『───かめはめ波ァアアーーーーーーーッ!!!!』  ヴン……バガァッ!!チュゥウウウウウンッ!!!! 景色が大きく歪み、巨大な穴が狭界の景色へと変わった刹那、幻獣が飛び出してきた。 だがその大半は彰利が放った巨大な黒い極光に飲まれ、灰と化した。 悠介 『行くぞみんな!思念を遮断する膜が出ます!弾けろ!』 ゲートに理力を働かせ、そこを通った者を思念から守る膜を張った。 そうしてから飛翼をはためかせ、俺はゲートへと飛び込んでいった─── Next Menu back