───OperationMarrige(オペレーションマリッジ)/心の命を賭けた準備───
【ケース79:弦月彰利/地獄の始業ベル!ルナっちを攫え!】 ドコントトコトコ♪ 彰利 「ルパンザサァ〜〜〜ッ♪」 デコンテンテンテ 彰利 「ワァーーーーーオ!!!」 でってげって〜ん♪デ〜ッテッテ〜ン♪ でってげって〜ん♪デッテゲッテ〜ン♪ みさお「あの……本気でやるんですか?」 彰利 「やる!」 月奏力を賑やかに鳴らしながら、僕とみさおさんは晦家の屋根裏部屋前に降り立ちました。 ミッション内容は───
デンテテケテデンテデンテデンテテケテデッテーン♪ デンテテケテデンテテンテデンテテケテテーン♪ デンテテケテデンテデンテデンテテケテデッテーン♪ デンテテケテデンテテケテデーンテテーン♪ 中井出「いいかヒヨッ子ども!これから任務を伝える!」 彰利 「サー・イェッサー!!」 みさお「さ、さーいぇっさー」 中井出「新入り!声が小さい!!」 みさお「サ、サー・イェッサー!!」 中井出「うむよし!!いいかヒヨッ子ども!     これから貴様らがやる任務は最重要任務である!!     現在は夜!そして今しがた調べたところ、地界も夜である!!     貴様らはこの闇に乗じて、     晦のお嫁さんとなるルナ=フラットゼファーを攫ってこなければならない!!」 みさお「えぇっ!?な、なんでわたしまで!?     わたし、ただ彰衛門さんに無理矢理担いで来られただけですよ!?」 中井出「黙れヒヨッ子が!!返事以外の発言は上官が良しと言うまでするな!!」 みさお「うぐっ……彰衛門さん……!覚えといてくださいよ……!?」 中井出「黙れヒヨッ子!!」 みさお「ああもう解りましたよ!!いちいち怒鳴らないでください!!」 中井出「馬鹿者ヒヨッ子この野郎!!返事はサー・イェッサーだ!!復唱!!」 みさお「うぅ……さ、さーいぇっさー……」 中井出「うむ!とにかく貴様らは晦屋敷に行き、     誰にも気づかれずにルナさんを攫ってくるのだ!!     イェア、ゲッドラァック、ライク・ファイクミー!!」 ザザッ!! 彰利&みさお『Sir(サー)YesSir(イェッサー)!!
というわけで第一ミッション『地獄の始業ベル!ルナっちを攫え!』が始まったわけです。 みさお「あの。ところで最後に中井出さんが───」 彰利 「中井出?誰だそれは。彼はテリー教官だぞ?」 みさお「……それでいいですから。     最後に言ったあのよく解らない英語、なんだったんですか?」 彰利 「ウォートラントルーパーズでミッションが始まる前に必ず言う言葉だ。     実際にはなんて言ってるのか解らんから、感覚だけで言ってるらしい」 みさお「そうなんですか……」 ともあれ僕とみさおさんは足音を極力殺し、 屋根裏部屋からの階段をゆっくりと下りていきます。 飛んだ方が早いのではとお思いでしょうが、 飛ぶには月空力使うか死神化するかしなければならないため、 そげなことをすれば気配で気づかれることを知っている僕らはそれをしません。 みさお「でも……これはこれでなんだか楽しいですね。     見つかっちゃいけないって結構わくわくします」 彰利 「うむ。いいかヒヨッ子、     敵というか動く物体を発見したら赤外線スコープでよく見て一撃で仕留めろ。     外したら人外なるもの全員に見つかると思え。そうなればミッションは失敗だ」 みさお「一撃って……この銃でですか?」 彰利 「そう。敵を強制的に眠らせるBB弾だ。当たれば一発で睡眠。     弾は銃口を下に向ければニ秒で全弾補充されるように創造されている。     だが、だからって撃ち損じて気づかれても     これを当てて眠らせればいいなんてのは邪道だ。     起こさずにルナっちを拉致する……これがテリー教官からの指令だからだ。     我らウォートラン兵にしてみればテリー教官はゴッドだ。エネルだ。魔軍指令だ」 みさお「わ、解りました。どうして魔軍指令があるのかは解りませんけど」 カシャリ、と銃を構えながら抜き足をします。 心を擽る程よい緊張感がたまりません。 彰利 (───!みさお、身を低くしろ!!) みさお(え……あ!) 僕とみさおさんは闇に紛れるように身を低くします。 影を行使して埋もれちまえばいいのだろうけど、それもやはり邪道というものです。 我らは与えられたこの武器のみでミッションをコンプリートしなければならないのです。 彰利 (……あれは───若葉ちゃんか。水を飲みに行こうとしてるのか?) 階下へ降りようとしている若葉ちゃん。 その足が一段、また一段と降りてゆきます。 その後姿は隙だらけですが、ここで撃てば階段を転げ落ちることになります。 そうなればその騒音で全員が起きますし、 悠介くんの言う『守りたいもの』の一角に怪我をさせることになるのです。 もしそうなったら、僕はきっと五体満足ではいられなくなるでしょう。 だからここで撃つのは大変危険ですので、手摺りや吊り革などにお掴まりください。 ……最近バスに乗らなくなったからこの名言も聞かなくなりました。 自動車教習所前に来るとよく車内放送で聞いたものです。本当です。 みさお(彰衛門さん、若葉さん降りきったみたいですよ?行きますか?) 彰利 (ヒヨッ子、それはまだ気が早い。     若葉ちゃんがそうしたというのなら、恐らく───) ス───トン。 景色の先で襖が開き、そこから木葉ちゃんが出てきます。 危なかったです。 もしあのまま若葉ちゃんを追おうものなら見つかっていたことでしょう。 彰利 (みさお、若葉ちゃんと木葉ちゃんは同時に眠らせるぞ。     いいか?絶対に外すなよ?外せばミッション失敗だ) みさお(えっ……そんなぁっ……!!     一度くらい試し撃ちしないと感覚掴めませんよぅ……!!) 彰利 (泣き言をぬかすなヒヨッ子!!やらねば殺られるだけだぞ!!) みさお(うぅ……不毛です……) 渋々とみさおさんがカシャと銃を構えます。 そして僕らはどちらがどちらを狙うかを決めるのです。 彰利 (大友くん、僕は西さんを狙う。だからキミは咲っぺを狙うのだ) みさお(誰ですか) 彰利 (木葉ちゃんが西さんだ。大人しそうで飄々とした人だから僕が狙う。     この場合、若葉ちゃんの方が難易度は少ない筈だからなんとか当ててくれ) みさお(うー……解りました。それじゃあ───) 僕らはコクリと頷いて、階段を降りきった木葉ちゃんを見ました。 すると、その場には既に水を飲み終えた咲っぺが居たのです。本当です。 彰利 (───!) みさお(!?───、───!?) こんな好機はありません。 僕は大友くんに合図を送りますが、大友くんは心の準備すら出来ない状況にドキドキです。 ……こうなったら仕方ありません、僕が連続してふたりを撃つしかないようです。 幸い、長銃の扱いは屋台の射的で慣れています。 彰利 (運命を司る黒衣の死神!!) カシャ、カシャン!! 彰利 (ピーカヴァヤ・ダーマ!!) トトッ!!ビビスッ!! 若葉 「はうっ───……?」 木葉 「あっ───」 サイレンサー内臓の長銃は見事に双子の姉妹を眠りにつかせました。 一方のみさおさんは……緊張のあまり息を荒くするだけです。 新入りなら誰だってそうでしょう、軍隊の世界は厳しいのです。 彰利 (……行きますよ、みさおさん) みさお(は、はい……) なんとか、といった感じにみさおさんは頷きます。 それから僕らは階段ではなく支柱にしがみつき、 ゆっくりと音を立てずに階下へと降りました。 ───ターゲットが居る場所は悠介くんの部屋です。 みさおさんが言うにはそうらしいのです。本当です。 なんでもここ最近は悠介くんがずっと留守だったため、 それを好機と見て悠介くんの部屋に住み着いたのだと聞きました。 彰利 (……?……《クイックイッ》) みさお(…………《……コクリ》) 部屋への通路を二度指差すと、みさおさんが頷きます。 ここまで来るとヘタな発音も許されません。 何故ならルナっちが妙なことをしないようにと、 セレスさんが悠介くんの部屋の正面の部屋に住み始めたのだそうなのです。 吸血鬼の並外れた聴力を以ってすれば、 たとえ睡眠中であろうが彼女は覚醒すると思います。 ですから音は極力出さないようにしなくてはならないのです。本当です。 彰利 (…………《コクリ》) みさお(……《コクリ》) そうして僕らは慎重に進み、やがて悠介くんの部屋の前の襖へと辿り着きました。 ここからが正念場です。 この襖を音もなく開けるのは至難の業です。 ですがやらなくてはテリー教官にどやされます。 訓練とはいえ命懸けなのです。本当です。 みさお(……《ゴ……ク……》) 彰利 (……!?……!!) みさお(……!?───!!) あまりの緊張からか、みさおさんが息というか唾を飲み込みました。 その音さえ、この神経が集中された世界では高い音にも聞こえるのです。 だからそれを視線で注意すると、 みさおさんは驚いたような顔をしてペコペコと頭を下げてきました。 そうした時の服が動く音さえ耳によく届きます。 ですから僕は彼女を制し、無駄な動きはするなヒヨッ子と目で語りました。 みさお(………) だったら連れて来ないでくださいよ……という顔をされました。 ですが仕方ありません、 出来るだけ置いてけぼりはしないでくださいと言ったのは彼女なのですから。 彰利 (……?) みさお(………) みさおさんを見たままに首だけを動かして、襖を開ける合図をします。 それに対してみさおさんはほんの少しだけ首を縦に動かします。 いい動きです。 それに対して頷くと、僕はとうとう襖に手をかけたのです。 そしてそれを、時間をかけてゆ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ…………くりと開けていきます。 僕のハートはもう大変です。 ドキドキと早鐘を鳴らすが如く高鳴っています。 ……やがて、 人ひとりが横を向いてなんとか通れるくらいの隙間を開けると、僕は体を通します。 それに続いてみさおさんも侵入し、ようやく僕らの戦いは……続いてますね。 これから悠介くんの布団で幸せそうに寝ているルナっちを攫わなければならないのです。 つまり僕らの本当の戦いはこれからなのです。本当です。 彰利 (………) みさお(……《……クイッ》) みさおさんをに確認を取ると、みさおさんはGOサインを出します。 緊張は無いようです。これならなんとかなるかもしれません。 ターゲットまで接近したら、あとは転移しても大丈夫だと思います。 眠っている彼女ごと転移をして屋根裏部屋のドアの前に行きましょう。 そのままとんずらすれば誰かが起き出しても関係ありません。 そうすればミッションコンプリートです。 彰利 (………) 悠介くんの布団で眠るその姿を見下ろします。 彼の香りに包まれたその顔は非常に幸せそうで、 起こそうとしてもまず起きそうにありませんでした。 でももし起きたとしたら、相当に機嫌が悪くなるのも簡単に予測できます。本当です。 これなら多少の物音は無視されることでしょう。 ですがそれは彼女のみに通用することであって、 向かいの部屋のセレスさんには通用しません。 もはやセレっちなどと気軽に呼べないくらいの緊張感を、彼女は僕らに与えているのです。 何故なら兵にとってミッションとはなによりも優先すべきことだからです。 彰利 (…………) 失礼、と心の中で唱えて、ルナっちを悠介くんの布団ごと持ち上げます。 これくらいの力なら人間の状態でも普通に出せるようになっています。 特訓の成果ですね。今ではGナスに感謝しています。 彰利 (………《クイッ》) みさお(……《コクリ》) こうなればもう僕らの勝ちです。 ですが念のため僕はみさおさんに向かいの部屋に注意するように顎で促しました。 そして日本で言う古き良き時代の大き目の布団の中で眠るルナっちを、 落ちないように何度か抱えなおしながらバランスを取ります。 言った通り、布団が少々大きいのです。 しかも中に人というか死神ひとりが眠っているのであれば、 力云々よりもまず『持ちづらい』のです。 そうして立ちながら膝と両腕を使って何度か抱え直した時─── 僕は大変なことを思い出すのです。  ───ミシリッ! 彰利 (───!!) みさお(!?) ビクゥとみさおさんが振り向きます。 そうです、僕は今ルナっちと布団分の重さを担っているのです。 当然今までのような差し足など出来る筈もなく、畳はミシリと音を立てました。 なんてことでしょう、ルナっちを抱え直すために上げた膝がまずかったのです。 それを畳に下ろした時、予想を超える勢いがついてしまったのです。本当です。 途端に僕とみさおさんの息を呑む音がこの空間に広がり─── 驚きのあまりバランスを崩した僕と、 振り向いたみさおさんの銃がガチリとぶつかってしまったのです。 彰利 (か゜っ───!) みさお(はうっ!!) ……でも大丈夫、ルナっちは起きません。 僕らは安堵の溜め息を吐いて……スゥ───トンッ!! 彰利 「ゲッ……」 みさお「あ……」 半開きだった襖を開けて現れたセレスさんに驚愕しました。 セレス「こんな夜中に……なにをやってるんですか?」 少し苛立った声質。 なにを怒っているのだろうと思ったけれど、そうです。 彼女は悠介くんとルナっちの結婚を反対していたのです。 そんなルナっちを僕が攫うのであれば、行き先は空界─── そんなこと、きっと彼女じゃなくても理解できた筈です。 そして反対者が取る行動は─── セレス「ごめんなさい、やっぱり納得がいかないので邪魔をさせてもらいますよ」 やっぱりです。 こうなれば戦うしかないのでしょう。 幸いセレスさん以外は誰も来ていないのです。 だからここで静かなる決着さえつければ普通に逃げられます。 彰利 (───!) みさお(───!《カシャッ!!》) 僕の視線に気づいたみさおさんが銃を構えます。 ですが、セレスさんは霧化して姿を消したのです。 いけません、彼女にはそれがありました。 でも逆を言えばこの時こそが好機なのです。 彰利 (みさおさん!!) みさお(え───あ、あわぁっ!?) 僕はみさおさんにルナっちを渡すと、銃を構えました。 そしてその小さな体に『先に行け!』と小声で叫びます。 みさお(そんなっ……!彰衛門さんを置いてなんて───) 彰利 (馬鹿野郎!これは戦いなんだぞ!なにを甘っちょろいこと言ってやがる新入り!) みさお(っ……!) 彰利 (なぁにっ……すぐに駆けつけるさ。俺には帰りを待つ女が三人も居るんだ……!     こんなところで死ねるかよっ……!) みさお(……必ず……必ず戻ってきてくださいね!?) 彰利 (お前こそ早く行け。ここは俺が───食い止める!!) 霧が一部分に集まっていきます。 そしてそこはみさおさんがの後ろ。 僕は構わず転移しろとみさおさんに訴えかけ、後ろの霧目掛けて銃を撃ちました。 彰利 「うおおおおおおお!!!!マリーーーーーーン!!!!!」 トトトトトトトトトトトトッ!!!! フルオート連射式サイレンサーガンが唸りを上げます。 乱戦時用のガトリングガンと一発式との切り替えが出来る銃です、 これくらいどうということはありません。 みさおさんは僕が撃ち出したのを確認するとすぐに転移を実行しました。 これで少なくともミッションは成功です。 あとは─── セレス「───!逃がしません!!」 人の姿になったセレスさんは転移した先の気配を追って駆け出します。 その速度はかなりのものでした。 でも僕は駆け出す彼女の足元に銃を撃つことで、その駆け足を止めました。 セレス「……邪魔をする気ですか?」 彰利 「ここから先は行かせはせん……!!」 僕は死神化を実行して黒で銃を食らうと、それを右腕にして構えました。 こうなったら形振りなど構っていられません。 モード切替によってガトリングガンのようになっていた銃をガシャリと構えます。 そうです、この部屋で死神化するのならなんの問題も無いのです。 何故ならこの部屋に死神がひとり居るという事実は、皆様が知っていることなのですから。 その死神というのは当然ルナっちのことですが。 ならば僕は、ルナっちの死神としての強さまで自分の力を抑えればいいだけのことです。 これならば他の誰にも気づかれないでしょう。 転移したみさおさんはすぐにでも空界に飛んだ筈ですから、 もう反応など残っていないでしょう。 だから事実上この部屋にある反応は、 ルナっちの強さまで力を抑えた僕という気配分しか無いでしょう。 セレス「……器用なことをしますね」 彰利 「それが故に、ここから一歩でも出られちゃ迷惑なんだ。追えないからね」 銃口が幾つもついた銃をセレスさんに向けます。 腕から先が銃なんて、まるでFF7のバレットです。 でも面白いので続行します。 彼女を眠らせてから人間に戻り、のんびりと脱出しましょう。 彰利 「というわけで───死ね!!」 セレス「死っ……!?いきなりなんて物騒なことを!!」 物騒で結構です。 僕は銃口を下に向けることでリロード完了した銃を再びセレスさんに向け、叫びます。 彰利 「うおおおーーーーーっ!!!マリーーーーーン!!!!」 キュィイイイイ───ガロトトトトトトトトトトトト!!!!! ガトリングガンが急速回転してBB弾を放ちまくります。 ですがさすがはセレスさんです、 BB弾ごときの速度など軽く躱し、どんどんと僕に近づいてきます。 これは危険です。やはりルナっち程度の力ではセレスさんには勝てないのでしょうか。 彰利 「マ、マリーーーーン!!!!」 でも諦めません。 バレットのように銃を乱射し、なんとか当てようと必死です。本当です。 彼女も僕との距離が近くなればなるほど避けるのに必死です。本当です。 これならなんとか行けそうです。 不可視の力は彼女がエドガー化しなければ使えない筈です。 それならば彼女に遠距離攻撃は出来ないのですから。 つまり、彼女がエドガー化するまえにカタをつければいいわけです。 彰利 「うおおおおーーーっ!!マ───」 ドタドタドタ─── 水穂 「どうしたんですかぁ……騒がしいですよ───あ」 彰利 「あ」 ゼノ 「騒がしい……何事だ」 彰利 「ア、アア……」 若葉 「いたた……どうしてわたし、あんなところで寝て……あ」 木葉 「姉さん、犯人が解りました」 彰利 「ア、アアーーーーッ!!!!」 あまりの騒がしさにみなさまが起きてらっしゃいました。 当然です、僕はあまりのバレットっぷりに叫びすぎたのですから。 でも既にミッションは完了しているのです、あとは意地でも帰還するのみです。 ……この人たちを眠らせたあとに。 彰利 「うおおおおおおおおおおおマリーーーーーーーーン!!!!!」 ガロトトトトトトトトト!!!!! フルオート連射式サイレンサーガンが唸りをあげます。 即座に人外さん以外は眠りにつきましたが、 ゼノ助くんとセレ子さんはあっさりと躱します。 ゼノ 「面白い───!そちらから戦いを挑んでくるとは!!」 彰利 「ち、違うんじゃーーーっ!!これは戦い!されどバトルではない!!     目撃者は眠らせなければならないのです!眠ってください!!」 セレス「───っ」 キィンッ!! 彰利 「ハッ!!し、しま───」 ゼノ助くんに気を取られていた僕は、 とうとうセレ子さんにエドガー化をする時間を与えてしまいました。 すぐに銃口を向けて構えますが、時既に遅しです。 エドガーさんが僕を睨むと同時に、僕に見えない圧力が掛かります。 彰利 「ほぎゃああああああああーーーーーーっ!!!!」 メゴシャア!!───不可視の力によって吹き飛ばされた僕は壁に減り込みます。 でもすぐに体を掘り起こして降り立つと、銃を構えて撃ちました。 彰利 「トルネードバス!!」 ボチュチュチュチュチュチュチュ!!!! もうこうなったらサイレンサーなど必要ありません。 威力を最大にしたフルオート連射式ガンが唸りをあげます。 しかし今さらハンターの一位と旧時代の吸血鬼にそんなものが通用する筈もなく─── 彰利 「キャッ……キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!」 ドカバキベキゴキャドゴゴシャベキゴキガンガンガン!!!! 彰利 「ぎょよわぇあよぉあおガァアアアアアアアーーーーーーーーッ!!!!!」 不可視の力で銃をあっさり捻じ曲げられた僕は、ふたりの人外にボコボコにされました。 【ケース80:弦月彰利(再)/始まった訓練!ビーンダイナスティへ侵入せよ!!】 中井出「うむ!いいツラになったな弦月一等兵!!」 彰利 「ほがががが……イ、イェッサー……」 あれから単純なことに気づいた僕は、ふたりの人外を月清力で眠らせて空界に戻りました。 散々ボコられたあとに思い出すなんて、僕も相当ヤバイようです。 中井出「では次の訓練だ!全ての訓練はミッションとして扱われているが、     油断をすれば弦月一等兵のようなことになる!     十分に気を付けろ新入りのヒヨッ子!!」 みさお「サー・イェッサー!!」 彰利 「うう、ちくしょう……」 なんてことでしょう、命辛々生き逃れてきた僕は悪い見本として扱われてしまいました。 ここはなんとしても次のミッションで挽回しなければなりません。 中井出   「では次のミッションだ!        次はビーンダイナスティに潜入し、日余の両親を攫ってくるのだ!!」 彰利    「な、なんだってぇええええーーーーーーーっ!!!!」 中井出   「ヒヨッ子!私語は慎め!!」 彰利    「サ、サー・イェッサー!!」 中井出   「今回のミッションは気配探知をする者が居ないため、        比較的楽なものと言える!だが油断するな!        ここでもターゲットを驚かすために、起こしてはならん!!        ここを空界だと感づかせないためである!解るな!?」 彰利&みさお『サー・イェッサー!!』 中井出   「さらに両親の着替えも持ってくる必要がある!        ご両人の正装をきちんと忘れずに持って来い!!        なお、今回から特別として篠瀬夜華氏が同行する!!」 夜華    「な、なにっ!?ちょっと待て!        わたしはそんなことをするなどと一言でも言った覚えはないぞ!!」 彰利    「黙れ新入り!!テリー教官の前だぞ!!」 夜華    「なっ……!」 僕の心のボルテージは燦燦と輝く太陽のようでした。 何故って、彼女が来れば僕が悪い見本に見られることもないかもしれないからです。 僕は黒い心を最大に膨らませ、彼女を迎えることにしました。 中井出「では開始だ!!イェア、ゲッドラァック!ライク・ファイクミー!!」 ザザッ!! 彰利&みさお『Sir(サー)YesSir(イェッサー)!!』 中井出   「ヒヨッ子!何を黙っている!貴様も返事をしろ!!」 夜華    「な、なんだと貴様!斬られたいのか!!」 彰利    「馬鹿野郎!テリー教官になんてことを言うんだヒヨッ子!!        私語は慎め!返事はサー・イェッサー!!ハイ復唱!!」 夜華    「あ、彰衛門……だが……」 彰利    「カスが……こんな簡単なミッションもこなせんのか……」 夜華    「な、ななななんだと!?そこまで言われて黙っていられるか!!        いいぞやってやる!!簡単だということさえ出来ないとあっては、        貴様の───……き、貴様、の……つつつ妻、として……その……」 中井出   「イェア、ゲッドラァック!ライク・ファイクミー!!」 ザザッ!! 彰利&みさお『Sir(サー)YesSir(イェッサー)!!』 中井出   「ヒヨッ子貴様!!何を顔を赤くしてブツブツ言っとるか!!返事は!」 夜華    「うううううるさい!!黙れ貴様!!」 こうして僕らは再び地界へ行き、寝ている人を連れ攫ってこなくてはならなくなりました。 でも確かに空界で結婚するから別世界へ飛びましょうなんて言っても、 相手を混乱させるだけなのです。 だから僕はなんの文句もなく行動を開始することにしました。 訓練とはいえ命懸けです。 ───……。 ……。 そして、ミッション内容 『始まった訓練!ビーンダイナスティへ侵入せよ!!』が開始されました。 ここに来て、僕の緊張はチャージレベル・マキシマムです。 でも進まないわけにはいきません。 彰利 「……よし。いいか?」 みさお「大丈夫です」 夜華 「……馬鹿かわたしは……。何故こんな盗人のような行為を……」 彰利 「キャアアこの馬鹿!馬鹿が!馬鹿め!馬鹿め!!」 夜華 「だ、黙れっ!!」 さて、人の気配は……あまりありません。 夜更かししてるお手伝いさんも居ないのか、屋敷は静まり返っていました。 僕は新たに加わった夜華さんを促し、 屋敷までの道のりの最大の難関である砂利道を慎重に歩きました。 古風な家にはどうして小さな石がたくさん敷き詰められているのでしょうか。 僕はそれが不思議でなりませんでした。  じゃりり、じゃり…… 彰利 「夜華さん……!もっと静かに……!」 夜華 「わ、解っている……!」 みさお「あの……空飛んだ方が早くないですか……?」 彰利 「みさお……貴様はまだこの訓練の素晴らしさが解らないのか……。     こうして己の五体と銃のみで進むから面白いんじゃないか。     能力はどうしようもなくなった時のみ使用する方向で。     じゃなければ簡単に終わってしまってつまらんから」 みさお「はぁ……」 じょりり、じょり、と石を静かに踏みしめながら歩きます。 普通、屋敷までの道のりに大きな石が点々と敷かれているものですが、 ビーンダイナスティにはそれが無いのです。 なんでもお義父さまが泥棒などの者が侵入した時に解りやすいよう、 取り払ってしまったと粉雪に聞いたことがあります。 彰利 「そうだ夜華さん、一応確認しとくけどさ。もう銃の使い方は理解した?」 夜華 「う……い、いや……わたしはどうもこういうものは苦手でな……。     敵が出てきたらこの『とりが』とかいうのを引けばいいんだったか?」 彰利 「はい。ちゃんと相手に照準を合わせてね。     夜でもこの頭の赤外線スコープがあれば見えるから」 夜華 「…………───うっ……目が疲れるな、これは……」 頭の赤外線スコープをカチリと下ろした夜華さんは、 普段見ている景色との違いに目を庇いました。 どうやらあまり戦力としては期待できそうにありません。 そうこう考えてるうちに夜華さんは赤外線スコープをカシャンと元に戻してしまいます。 夜華 「こんなものが無くても風を感じれば敵の居場所くらい解る」 彰利 「それはダメです。言ったばかりでしょう、能力行使は緊急時のみです。     あくまで銃とスコープを駆使して敵を眠らせてください。     あぁ、あとターゲットを見つけたらこのスイッチを押してください。     そしたら銃のこの部分がチカチカ点滅するから。     赤の点滅がみさおで蒼が夜華さん、黒が俺です」 みさお「解りました」 夜華 「〜〜〜……」 夜華さんは難しい顔をしながら銃と睨めっこを開始してしまいました。 とても不安です。 きっと漫画かなんかだったら、フキダシの中にモジャモジャを描いていることでしょう。 ですが時間は待ってはくれません。 空界では時間の流れが速いので、 こっちがちんたらやっていればテリー教官にどやされます。 彰利 (…………《クイッ》) みさお(……《コクッ》) 夜華 「?なんだ、言いたいことがあるなら言え」 ズビシッ!! 夜華 「ふくっ!?」 彰利 (お馬鹿夜華さん馬鹿この馬鹿!!“バッ”!この“バッ”!!) 夜華 「な、なにをする貴様!何故わたしが叩かれなければモガッ!?」 彰利 (夜華さん……!ここに何しに来たのか忘れたの……!?     誰にも気づかれずに侵入して、人を攫わなければならんのですよ……!?     あんたって人は楓付きの武士だったくせにそれくらいの隠密も出来んのか……!) 夜華 (───!貴様!!楓さまを掛け合いに使う気か!!それは楓さまへの侮辱だぞ!     彰衛門!いくら貴様でも楓さまへの侮辱は───!!) 彰利 (ギャアもう!なんかもうギャアよギャア!!そうじゃないでしょ!!     夜華さんが静かに隠密行動してりゃあ俺はなんの文句もありません!解るかね!?     これはキミが楓の武士としての技量を確かめることにも繋がるのです!!) 夜華 (───!) 彰利 (夜華さん、誓ってくれ。ここからは生半可な気持ちじゃやっていけない。     ここからは自分に誓うんじゃなく、楓にこそ誓ってくれ。     なにがあっても、なにをしてもミッションを完了させると!) 夜華 (……それは。わたしに楓さまの名誉を守るため、ということか?) 彰利 (名誉というか、これは夜華さんが楓の武士に相応しかったのかどうかです) 夜華 (……わたしは楓さまからわたしに対する不満など聞いたことがない。     だとすればこれは貴様の御託と慢心だ!いいだろう!その挑発に乗ってやる!) 彰利 (グッド!もしその覚悟が本物であり、     なにがあってもなにをしてでもこのミッションを成功に導いたのであれば、     夜華さんの頼みごとをなんでもひとつだけ叶えてあげます!!) 夜華 (───!!な、ほ、本気か!?なんでもか!?) 彰利 (なんでもです!ですが他の誰かをなんとかしちまえとかそういうのは無しです!     あくまで夜華さんのためにすることですので) 夜華 (…………) みさお(篠瀬さん、顔赤いですよ?しかもちょっと顔が笑っちゃってます) 夜華 (うぃっ!?な、ななななにを言っている!     わたっ、わたしはそんなだらしない顔などしないぞ!) そうは言いますが、夜華さんは僕が驚くほどにしどろもどろで真っ赤です。 ……一体なにを想像したんでしょうか。 まあいいです、先に進みましょう。 みさお(あの……篠瀬さん?ここでいかがわしいことを願ったら、     それこそ母う───楓さんに会わせる顔がありませんよ?) 夜華 (何度も言わせるな!わたしはそんなことは考えていない!!     いかがわしいことなんて無い!!だ、大体だな!     そんな浮ついた気持ちで楓さまの名誉のために覚悟を決めるものか!     それにそんな気持ちで挑んでいたら、その……     こ、ここここれから添い遂げる相手に、しっ……失礼というものだろう!) 彰利 (夜華さーん、なにやってんのー?置いてくよー?) 夜華 (………) みさお(……あの。悪気は無いと思いますから。     聞いてもらいたかったら大声で言わなきゃ届きませんよ、きっと) 夜華 (あの痴れ者に向けて『とりが』を引いていいか……!?) みさお(それやって屋敷の人に気づかれたら、お願い聞いてもらえませんよ?) 夜華 (ぐっ……!!) みさお(……行きましょうか) 夜華 (くっ……!あの馬鹿者め……!わたしがどんな気持ちで言ったと思って……!!) 彰利 (?) 何故か真っ赤な顔な夜華さんが僕を睨んできます。 不思議です、僕は何かをしてしまったんでしょうか。 ともあれ夜華さんは妙な殺気を放ちながら僕の隣まで歩いてきました。 さあ、ここからが正念場です。 なんかもう正念場だらけで頭が痛いですが、 残り越えなければいつまで経ってもヒヨッ子です。 頑張りましょう。 ───……。 ドコントトコトコ♪ 彰利 (ルパンザサ〜〜〜ッ♪) でこんてんてんてベキャア!! 彰利 (ワァアアアアアーーーーーーーーオ!!!!?) みさお(彰衛門さん!!なにやってるんですか!!) 夜華 (貴様人にあれだけ言っておいて!!) 彰利 (やっ……すんません!えろうすんません!     で、でもみんな起きてないみたいだよ!?ほら!明かりも点かなかったし!!) ……はい、現在僕らは豆村屋敷の横を取った先にある“離れ”に居ます。 粉雪に聞いた話では、お義父さまとお義母さまはこの離れで寝ているのだそうです。 だから僕たちは屋敷ではなく、この離れへと来ていたのです。 ですが来て早々、いざ侵入しようという時に小枝を踏み折ってしまったのです。 僕の緊張は臨界点に達しようとしています。 もしこんなことをしているのがバレてしまい、 しかもおなごと一緒に居ると知れたらお義父さまはなんと言うでしょう。 もしかしたら僕と粉雪との関係はボロボロになってしまうかもしれません。 だから僕はどんなことをしてでもこのミッションを成功させなくてはいけないのです。 ですが能力行使とそれとは話がべつです。 こんな訓練くらい乗り越えられなくては、 これから先もきっとやっていけないに違いありません。 だからこそこんなことをやっているのです。本当です。 彰利 (…………《コ、コクリ?》) みさお(……《……ホゥ》) 夜華 (……《スッ……》) 僕が首を傾げながら頷く(だ、大丈夫かな?の意)と、みさおさんは安堵の息を吐いて、 夜華さんは先を促すように引き戸を指差しました。 ですが考えてもみましょう。 夜、寝る場所の出入り口の鍵を閉めない馬鹿が何処に居るというのでしょう。 予想通り鍵は閉まっていて、どうやっても開きませんでした。 ですが甘いです。 こんなこともあろうかと、鬼塚先生ご用達のガムテープを持ってきてあります。 僕はそれを持って窓ガラスを探し、 そこに慎重に伸ばしたガムテープをベタベタと張ります。 そしてそれが済むと鬼塚先生のように『あたっ』と言って肘打ち。 窓ガラスはゴシャッと破壊され、 僕はその空いたスペースから手をくぐらせて窓の鍵を開けました。 彰利 (………《コクリ》) みさお(……《コクリ》) 夜華 (…………《〜〜〜……》) 窓をそっと開け、僕とみさおさんがが頷く中、夜華さんだけはやっぱり 『間違ったことをしているんだろうな』という思案に襲われていそうな顔をしていました。 でも言った筈です、どんなことをしてでもミッションを成功させる、と。 彰利 (夜華さん……楓を侮辱する気か!     楓は夜華さんのことをいつだって信じてたんだぞ!     だというのに側近ともいえる武士がこれでは……ああ嘆かわしや!!) 夜華 (!だ、誰が行かぬと言った!行くぞ!行ってやろうじゃないか!!) 彰利 (チョロイぜ) マキシマ風に呟きつつ、開けた窓の先へと行きます。 夜華さんもきちんと付いてきて、いよいよここからって状態です。本当です。 みさお(っ……暗いですね……) 彰利 (みさお、夜華さん、赤外線スコープを) みさお(ラジャです) 夜華 (うぅ……出来れば使いたくないんだが……) 渋々スコープを目元まで下ろす夜華さんと、場の空気にノリノリのみさおさんが構えます。 赤外線スコープで見る景色は妙に緑で、なんだか知らない世界に迷い込んだ気分です。 なるほど、夜華さんの気持ちも解らなくもありません。 僕はそうして構えると、ふたりにこれからは言葉は無しだということを伝えました。 みさお(……ここから先、ですか?) 彰利 (…………イエス、頑張って) さらに僕は、危険が迫ってきた時や瞬時の対応時にするべきことを 手話のような合図で知らせ合うようにと注意します。 彰利 (……いいですか?これが敵接近の合図。これが静かにのポーズ) みさお(なるほど……単純で解りやすいですね) 彰利 (で、これが───) みさお(……パン、ツー、丸、見え) 彰利 (イエスアイドゥ!!) ピシガシグッグッ…… 僕とみさおさんは瞳を影で覆いながら手を合わせて喜びを分かち合います。 この際、嬉しそうな顔をしてはいけません。ポルナレフと花京院に怒られてしまいます。 夜華 (……最後のはよく解らなかったが、     ともかく危険が近づいたらそうして教えろというわけだな?) 彰利 (そういうことです。では今から無言ですよ?) 夜華 (ああ) みさお(解りました) 彰利 (ではGO) 僕らは頷き合い、足音を殺しながら駆け出しました。 それぞれが散会し、中々に広い離れの中でビーングランデとビーンママを探します。 まず一番近い襖を音が鳴らないようにスッと開け、 戸の部分が壁に当たらないようにピタッと止めます。 こういうのはかえってゆっくりやるからダメなのだと第一訓練で悟っています。 彰利 (………) 残念ですがここには居ませんでした。 代わりに使用人というか、お手伝いさんのような人がすやすやと眠っています。 彰利 (………) 物凄く気持ち良さそうに熟睡しています。 彰利 (………) ちょっとやそっとじゃ起きなさそうです。 どうしたらいいのでしょう、僕は今、彼女にトキメいています。 これが若さというものなのでしょうか。 僕は溢れる欲求に耐えられず、 とうとう寝息を立てる彼女へと歩いていってしまったのでした。 ───……。 ……。 彰利 (ハア……ハア……!!) そうしてコトが済んでみれば、僕は罪悪感に押しつぶされそうになっていました。 いくら欲望が溢れたからといって、僕はなんてことをしてしまったのでしょう。 見下ろせば、既に目も当てられない姿になっている彼女。 僕は興奮と緊張のためか乱れている息を必死に整えようとします。 そして思うのです。一刻も早くこの場を離れなければと。 見つかったりしたら大変すぎます。 結婚の約束なんてお義父さまが絶対に許さないでしょう。 僕はそういったことをお手伝いさんにしてしまったのですから。 彰利 (……っ……なんてことを……!) 僕は若さを憎みました。 そして後悔の念を身に刻み込むように目をキュッと瞑りながら、 マジックのキャップ(・・・・・・・・・)を閉めたのでした。 彰利 (お手伝いさんの顔面という顔面に、     『肉』とか『中』とか書きまくってしまった……!     こんなの、バレたら一発で激怒だぞ……!!) それだけはあまりにもよろしくありません。 僕は急いで『悪戯心』という若さのために興奮し、緊張した心を落ち着かせます。 そしてすぐに逃げようとして─── お手伝いさん「う、うん……?」 彰利    (───!!) 僕は、ボ〜ッとした顔で天井を見つめる彼女から、物凄い勢いで逃げ出したのです。 とその時、僕の銃のグリップ部分がチカカッと赤く輝きました。 赤……どうやらみさおさんがターゲットを確認したようです。 ではそろそろ撤収を───っと、それではミッションコンプリートになりません。 ご両人の正装を持っていかなければならないのです。 危うく忘れるところでした。 彰利 (………) けれど考えてもみましょう。 正装とやらは普通、自分の部屋などには置かないものだと思います。 正装があるとすれば別の部屋とかの押入れあたりにあるものでしょう。 彰利 (……《ゴ、ゴクッ!!》) どうやらひとつひとつ調べる必要がありそうです。 でも僕はせめてと思い、 再び目を閉じてすぅすぅと寝息を立て始めた彼女の部屋の隅にある箪笥に目をつけました。 クロゼットなどの洋式のものは一切ありませんが、 あそこにはなんだか大変なものがある気がするのです。 だから僕はそっと近づき、ゆっくりと箪笥を引いて行きます。 僕の男としての本能が『下から二段目だ』と叫んでいたのでそこを開けたのです。 すると─── 彰利 (はっ!ひ、ひぇっ!?あ、あわわわぁああああああーーーーーーーーっ!!!!) そこには花園(ゾノ)が存在していました。 僕はあまりの光景に息を詰まらせ、同時にすぐに閉ざそうとして思いとどまったのです。 危なかったです。あのままの勢いで閉めていたら、ズパンと物凄い音が鳴っていました。 僕の心はドッキンコです。 だから僕はゆっくりと閉めようと手を動かし─── 赤外線スコープに映る大変なものに気づきました。 彰利 (はっ……はああ!!こ、これはっ!!) それを、つい摘んで広げてしまったのが僕の運の尽きというものでした。 彰利 (あわ、あわわわわ……) 黒です。 花園(ゾノ)から黒いお花が摘まれたのです。 大変です。あのお手伝いさん、あんなに若いのにこんなものを……! どうしましょう、大変です。 こんな衝撃状況は不意打ちです。 お陰で、夜華さんや春菜を押し倒してからずっと閉じ込めておいた“男”が目覚めました。 大変です、嫌です、あれだけは───あれだけは!! 助けてくださいもう悪いことしませんタスケテくださいタスケテ!! 手が!手が勝手に動くのです! 嫌です!“黒”だからってこれは身に着けていいものではありません!! しかもこれは下半身に装着するものであって、顔などには言語道断で───スボリ。 彰利 (───!!) 手遅れでした。 夜華さん、春菜、粉雪……原中のみんな、そして悠介……。 先立つ不幸をお許しください……。 彰利 (フ……フオオオオオオオ……!!!!エクスタシィイイーーーーッ!!!!) 僕の体の中にある異変が起こります。 鮮やかなシルクの肌触りが顔を覆うと同時に、 今まで押し込めていた“男”がなにやら覚醒してしまったようなのです。 しかもそれは是が非でもやってはならない、人としての最低行為です。 これを完全にやってしまっては、もう輝かしき校務仮面には戻れません。 そう……これは同じ正義であっても全く性質の違う正義─── 仮面は仮面でも、うら若き乙女の下着を顔に装着することで変貌する、 かつてでは変態、現在では変態と伝説を残したあの究極なる仮面の戦士───! ????「“脱衣”(クロスアウッ)!!」 とうとう僕は白目になると同時に衣服を脱ぎ捨て、 パンツ一丁になるとその場に降り立ちました。 その時、僕の姿を姿見が映し出しました。 その姿は……そう、かつてこの世に奇妙な伝説を残した存在。 その名も─── 変態仮面「究・極!変態仮面!!」 ……である。 もう、どうして今日に限ってトランクスではなく ブリーフパンツを穿いてきてしまったのかと後悔しても遅いのです。 僕はブリーフパンツの両端を力の限りに引っ張ると、 頭上で交差させて肩に引っ掛けました。 もう戻れないところにまで到達してしまったのです、仕方ありません。 僕の意思とは無関係に体は動き、 さらに箪笥の物色を始めた変態仮面は編みタイツを発掘すると、 いそいそと穿き始めました。 もう目も当てられません。 そして完全武装を整えると改めて足を開き、後頭部から回した右手を左頬に当てると、 残った左手で正面の姿見を指差して─── 変態仮面「究・極!変態仮面!!」 言わなくてもいいことを再度言いやがったのです。 僕はもう血の涙さえ流すことが出来そうな気がします。 変態仮面「フオオ……このシルクの手触りのなんと素晴らしい……。      お嬢さんありがとう。シルクを被るのは初めてだったがこれは実にいいものだ」 誤解が無いように言っておきますが、パンツ被るの自体が初めてです。 この変態には耳を傾けないでください。 などと叫んでも、声にはなりませんでした。 ですがそんな悲しみも吹き飛ぶくらいにヤバイ状況が訪れました。 銃に灯った点滅が消えたのはみさおさんが地界から消えた─── つまり空界に行ったことを示しますが、 それよりなによりお手伝いさんが変態仮面の自己紹介の所為で覚醒してしまったのです。 お手伝いさん「ん……なに……?」 変態仮面  「ややっ、これはこんばんはお嬢さん」 お手伝いさん「───……ぅわがっ!?あ、あわがぅわはくかっ……!!!?」 変態仮面  「む……なにを怯えて……?        あぁこれは失礼、レディの前でなんてはしたない」 変態仮面はそう言うと、肩に引っ掛けていたパンツを首の前で器用に結んでゆくと、 見事に綺麗な蝶々結びをしてみせたのです。 紳士が結ぶ蝶ネクタイとは天と奈落ほどの差があります。 もう勘弁してください、心の中が僕の涙で溢れます。 変態仮面  「ふうこれでよし。お嬢さん、なにも怖がることはない。        私は変態仮面。決して怪しい者ではない」 お手伝いさん「っ───、っ───、きっ───」 この二秒後。 とうとう絶叫はこの離れを劈きました。 ああ、誰かこの馬鹿を止めてください。 もう手段は選びませんから。 夜華  「どうした!何事───」 変態仮面「フオッ!?」 夜華  「なっ、あっ───う、わ……うわぁあああああああっ!!!!!」 変態仮面「どうしたお嬢さん、何をそんなに怯えている」 夜華  「は、破廉恥なヤツめ!何者だ貴様!!」 変態仮面「私は変態仮面。怪しい者ではない」 夜華  「あぁああ怪しさの塊が何をほざく!!───ち、近寄るな!近寄れば斬るぞ!」 変態仮面「む───お嬢さん!後ろだ!」 夜華  「ひっ!?」 変態仮面の突然の言葉に、咄嗟に夜華さんが後ろを向きます。 するとそこには───どうやら他にも居たらしいお手伝いさん(男)が居ました。 男  「お前たち!ここで何をやって───うわぁあああっ!!?」 当然男の方も変態仮面を見て絶叫しました。 もちろんその恐怖は悲鳴として発生されたのです。本当です。 しかし変態仮面には、 彼が夜華さんを後ろから襲おうと奇声を発した悪漢にしか見えなかったようです。 そうと決め付けてからは早急でした。 変態仮面は勢いをつけて跳躍すると、その勢いと共に男を蹴り飛ばしたのです。 当然男は奇妙な声をあげて吹き飛び倒れました。 男   「うっ、く……!      旦那様にここを任されている身でありながらなんという体たらく……!      こ、こうなったら武器でもなんでも使用して追い出して───!      あ、ちょ、丁度いいところにボーリングのピンが……      って、なんでこんなところに……?しかもなんだか暖かくて柔らかい……」 変態仮面「それは私のお稲荷(いなり)さんだ」 男   「へ───ほぎゃああああああーーーーーーーっ!!!!!」 心の中が血涙で溢れてゆく中、男が変態仮面のお稲荷さんに触れたことで絶叫します。 当然汚いものを触れたかのように手をブンブンと振りますが、 それが最大の隙となってしまったのです。 変態仮面「今だ───!」 変態仮面が再び跳躍します。 高く、天井スレスレの場所まで飛び───やがて落下してゆくと、 変態仮面の突然の行動に硬直している男の顔面へとお稲荷さんで突っ込み─── 変態仮面「変態秘奥義!地獄のジェットトレイン!!」 ───お稲荷さんを顔面に押し付けたまま、畳へと激突しました。 もう、この時の彼の心境など想像したくもありません。 きっと考えるまでもなく地獄だったでしょうから。 何故なら─── 変態仮面「お嬢さん、悪漢は退治した。もう安心していい」 立ち上がり、振り向く変態仮面の捻れたパンツの中には、 男の顔面が取り込まれているからです。 いえ、べつに生首があるとかではないのです。 ちゃんと全てが繋がった状態で、気絶している彼の頭をパンツに収納しているのです。 よ〜く目を凝らせば、 まるでパンストを被った犯罪者のような男の顔がパンツにうっすらと浮かんでいるのです。 変態仮面「さあお嬢さん、用件を聞こう」 夜華  「ひっ───うわっ……うわぁああああああっ!!!      来るなっ!!来るなぁあああああああっ!!!!」 夜華さんはもう半狂乱状態です。 そして心の僕は大号泣状態です。 お手伝いさん(女)は既に現実に耐えられなくなって気絶しています。 変態仮面「恐れることはない、私は正義の味方だ」 ズイ、と変態仮面が前に出ます。 それとともにズリリと引きずられる男の体と、 引きずられたために闇の中にくっきりと浮かぶパンツにおわす男の顔。 夜華さんはもう腰が抜けてしまい、 その場に尻餅をついたまま子供のように泣きじゃくっています。 それでも刀を弱々しく振り、 少しずつ後ろに下がってゆくその姿は素直にカワイイと思いました。 ……でも、その尻餅をついた状態は危険すぎました。 なぜかというと、ちょうど目線と同じ高さにパンツに浮かぶ男の顔があるのです。 変態仮面が夜華さんに近づけば近づくほど、 パンツに歪んだ男の顔が夜華さんの眼前に近づけされられるわけです。 夜華 「く、来るな……来るなぁあ……っ……あき、あきえもん……助けて……!     うわぁあああああっ!!彰衛門助けてくれぇええーーーーーっ!!!!」 夜華さんは涙を散らしながら僕の名前を叫びました。 けれどここに居る僕は僕じゃなく、変態仮面なのです。 ごめんなさい夜華さん、僕はあなたを救えません……。 夜華 「は───あ……!!」 やがて状況に耐えられなくなった夜華さんは、とうとう気絶してしまいました。 けれど弱々しく涙を散らしながら畳に倒れる夜華さんの姿を誰が責められましょう。 僕はこの時誓いました。 もう二度と、裡なる“男”には負けませんと。 というか───さんざん追い詰めて満足したのか、 僕の中から“男”の反応がなくなっていきます。 といっても完全に消えたわけではなく、ただ弱っていっているだけのようです。 僕は今こそ好機と思い、変態パーツを全て外すと、 元着ていた服を装着して夜華さんを抱き上げました。 彰利 「………」 そうして、お姫様抱っこをしたまま涙に濡れた怯えた顔を見下ろして…… その涙に小さく口付けをしたのです。 怯えさせてごめんという謝罪を込めて。 さあ帰りましょう、みさおさんとテリー教官が待ってます。 今回のことは夢だったと思わせておくしかないでしょう。 あまりにも辛すぎたでしょうから……。 というか今回の出来事は間違い無く一生ものの汚点になるでしょう。 そういった意味でも、 僕は今回のことを誰にも言わずに墓まで持っていくつもりです。それは絶対に絶対です。 というか……人生これからって時に、とんだ生き恥をさらしてしまいました……。 【ケース81:弦月彰利(再々)/休憩時間】 リアナ「はぁあああっ!!!」 パパパァンッ!!パシィン!パシィンッ!!! 夜華さんを連れて空界へ戻ると、そこではリアナさんが悠介と竹刀で稽古をしていた。 その速度は存分に速いものだが、どれもこれも完全に見切られて簡単に弾かれている。 その景色の隅では─── 中井出「え、えっと……本日も、お日柄が……ぐああ!     俺は予知能力者じゃねぇんだぞ!?当日のお日柄なんて知るかよ!!」 テリー教官ではなく、 中井出と化した彼が情けない顔で仲人の送言をブツブツと練習していた。 その横ではルナっちが未だに悠介の布団にくるまってぐーすかと寝ていて、 さらにその横では月清力にて強制的に寝かされているビーングランデとママが。 さらにさらにその横にはみさおが居て、リアナさんと悠介の鬩ぎ合いを眺めている。 そう、つまり───今は休憩中、ということらしい。 彰利 「………」 助かったのか助からなかったのか。 ともかく俺は夜華さんを柔らかい草原の上に寝かせると、 みさおのようにリアナさんと悠介の戦いを眺めた。 戦いと呼べるものじゃないが、リアナさんは必死なのだ。 リアナ「っ───せぁあっ!!」 ヒュォッ───ガッ!パパパパパパパパァアンッ!!!!! リアナ「うあぁああああっ!!!!」 リアナさんの一閃を柄で受け止め弾き、 リアナさんが竹刀を戻して構えを取ると同時に連撃豪雨。 リアナさんはあっという間に8発打たれ、思わずといった感じに後ろへ引いてしまった。 判断を誤ったな……悠介相手に引いたらお終いだ。 人外ならまだしも、悠介と戦うんだったら攻撃させないように全力で責め続けるしかない。 現に───ヒュパァンッ!! リアナ「つあっ───!?」 瞬時に絶好の間合いを取られ、脳天に一撃を食らってる。 悠介 「たわけ。相手が自分より速いなら責め続けるしかないだろう。     離れて体勢を立て直して、その次に相手を捉えられなかったら意味がない」 リアナ「は、はい師匠っ……!」 ……つーか、結婚式前になにやっとんのでしょうね、悠介は。 悠介 「んー……それじゃあ今度は俺から仕掛けるから。上手く捌いていけ」 リアナ「えっ───そ、それはちょっと───」 悠介 「あのなぁ、人がこれからのことを考えてる時に無理矢理誘ったのは誰だ?     修行の仕方は問いませんって言ったのは誰だ?」 リアナ「うぅ……わたしです……」 悠介 「だったら文句言わない。     余分な筋肉つけずに強くなりたいなら、反射速度と敏捷さを磨け。     ……大体だな、俺だってまだ自分の鍛え方に満足してないっていうのに、     なんだってお前は俺に訊きにくるんだ。自分で鍛えようとは思わないのか?」 リアナ「自分より強い人が居るなら、その人の方法を吸収した方が身に付きます!」 悠介 「……じゃあ、両手両足腰と胸と背中に千キロずつの重りを」 リアナ「人間じゃ耐えられません!!」 悠介 「冗談だ。けどな、俺は体に重しをつけて、それに慣れていくことを修行にしてた。     お前が言う俺の修行なんてこんなもんだぞ?あとは実戦経験だ」 リアナ「うぅ……な、なにか伝授できるような技とかありませんか!?」 悠介 「技ね……。人間が使えるっていったら、奥義くらいしかないが───」 リアナ「奥義!?」 リアナさんの目がキラリと輝いた。 師が教える奥義ほどわくわくするものはないって感じだね、ありゃ。 悠介 「……マテ、本気で覚える気か?」 リアナ「師匠さえ良ければ!!」 悠介 「…………じゃあ、まずカタチからだな。この脇差二刀と野太刀を持て。     脇差二刀は両手に、野太刀は背中だ」 リアナ「はい───っと、け、結構重いですね……」 悠介 「日本刀なんてそんなもんだ。剣に慣れてるならすぐ慣れる」 リアナ「でもわたし、三本も持つなんて初めてで……」 悠介 「じゃあ、まずは竹刀でやってみるか。リアナ、ほら」 悠介が長さの異なった竹刀を創造してリアナさんに渡す。 さらに自分も同じものを構えると、小さく息を整えてから言った。 悠介 「まずは俺がやってみせるから。……全部、受け止めろ。全力でだ」 リアナ「え?は、はあ……」 悠介の構えを真似るようにリアナさんが構える。 けど───それは、竹刀では怪我も負わなければ死んだりはしない筈と考えた構えだ。 真剣味がまるで感じられない。 あれでは恐らく─── 悠介 「───」 悠介もそれを感じ取ったのだろう。 一度目を瞑ってから開き、“人”の状態で竹刀を握る手に力を込めた。 ……人の状態で本気で叩きのめす気だろう。 恐らく、リアナさんが最初から本気で構えていればそんな風には思わなかった筈だ。 悠介 「なぁリアナ。修行は生易しいものだと思うか?」 リアナ「え……いえ。師匠の修行は竹刀でだってとても危ないですから───」 悠介 「そうか。だったら───一度手痛い目に合って目を覚ませたわけ者」 リアナ「え───?」 フォウッ!!───言葉とともに長い竹刀が投擲される。 リアナさんは驚いてそれを叩き落すが、その動作が既に命取りだった。 リアナ「あっ───!」 気づいてみてももう遅い。 既に間合いを詰め、振り下ろされる得物が交差すると、高い音がその場に高鳴った。 しかしそれでは終わらない。 振り上げる交差が再び彼女を襲い、なんとか防御しようとした腕が弾かれた次の瞬間。 トドメの一撃がすれ違いザマに叩き込まれると、彼女はあっさりと気絶してしまった。 そりゃそうだ、ズパァアアンって凄い音が鳴った。 それこそ痛みを叫ぶ暇も無かった。 悠介 「……“終空 是即チ歴戦ニテ敗北ヲ知ラズ(終技 我が生涯は刹那にして無限)”」 対人ではほぼ無敵の奥義。 それを悠介に叩きつけられて、無事で済むわけもなし。 意識そのものを刈り取られたように、リアナさんは動かない。 いやはやお見事。 悠介 「……っと、彰利。戻ってたのか?」 彰利 「ヘイYO」 どこぞの若者のようにズビシとヘンなポーズを取ってみた。 ……とても虚しかった。 悠介 「みさおが心配してたぞ?なかなか戻ってこないから」 彰利 「いえあの、ちょっといろいろありまして。で、提督ー?もうすること無いんかー」 思い当たるものはあるにはあるのだが、さすがに今ビーンダイナスティに行くのは辛い。 攫ってきたご両人の正装は悠介にでも創造してもらおう。 で、あとは─── 中井出「む───おお戻っていたかヒヨッ子!───って、新入りはどうしたんだ?     なんでそんなところで寝てんだ?」 彰利 「いろいろあったんです。悪夢を見たと思って忘れてもらいましょう。     それより次だ。夜華さんに気分転換をしてもらいたい。次に行こう」 中井出「そか。では───次のミッションは     未来の地界の知り合いどもを連れてくることだ!     ヒヨッ子!貴様で言う『小僧』と『椛』を連れて来い!!」 彰利 「……サ、サー!!発言を許可願います!」 中井出「なんだヒヨッ子!発言を許可する!!」 彰利 「イェッサー!また寝ているのを攫うのでありますか!?」 中井出「否である!!今回は訳を話してでも攫ってでもいいから     『とにかく連れてくること』が目的である!!それゆえに失敗は許されん!!」 彰利 「サー・イェッサー!!」 中井出「ヒヨッ子!貴様は二度の訓練で二回成功を収めているのでランクをアップさせる!     これからも励めよ簾翁一等兵!!」 みさお「え───は、はい!!」 中井出「返事が違う!!」 みさお「あっ……さ、サー・イェッサー!!」 彰利 「テ、テリー教官!自分には昇進はないのでありますか!?」 中井出「黙れ!帰還が遅れた上に新入りを気絶させてしまうとはなんてザマだ!!     新入りの面倒は一番の経験者が勤めるものだろう!!」 彰利 「ウ、ウムムム〜〜〜〜ッ!!!!」 なんてことだ……新入りのみさおにあっさりと追いつかれてしまった……。 これはいかん、さっさと追い抜いてやらねば……!! 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