───銀色の髪の少女───
食器を片付けてから適当なものを食った俺は、行く宛てもなかったので屋上に来ていた。 先ほどの考えの通り教室には行く気が無かったし、 別に日数がヤバイ教科なわけでもなかった。 ご丁寧に『立入禁止』と書かれた張り紙を無視して降り立った屋上は、 それはもうハッキリとした無人の場所だった。 まだ少し寒い風が体を打つ中、俺はベンチに寝転がって空を見た。 ……うん、いい天気であることに変わりは無い。 凍弥 「ただちょっと寒いかな……」 冬から春に変わって、そう長くない今の季節の風はやっぱり肌を打つ。 だけど元々寒い方が好きな自分には…… 丁度よい、とまでは行かないにしても、まだ穏やかな方だった。 凍弥 「……しかし、眠気はないんだよな」 そう呟く。 いや、ぼやきに近かった。 これで眠気があったら最高だったんだがな。 仕方ない、無理矢理にでも眠───ん? 凍弥 「……?」 良い体勢を探して寝返りを打った時、 校内へ続く扉の上───つまり、出入り口の屋根の上にある人影に気がついた。 あれは───あの銀髪は…… 1:噂の転校生か? 2:も、もしやワイルド○ーフの銀星!? 3:外国から来たエージェント!? 結論:……3、だったらオモシロそうだが、1だろう 凍弥 「あれは……転校生か」 そうだな。 少し離れた場所からでも解る、あのうっすらと赤い目と銀色の髪がその証拠だ。 凍弥 「よっ、転校生。なにやってるんだ?」 女の子「………」 ザ・シカト。 無視されちゃったっすよ俺。 ともなれば───意地でも話してやる。 俺は無視されるのが嫌いなのだ。 ああまあ、普通にふざけ合いとかで無視されて笑えるのはいい。 だが今はどう見たってふざけ合ってる場面じゃねぇザンス。 こうなったら彼女の近くに行って喋るまで話し掛けまくってやる。 凍弥 「よし」 平面の石屋根へ続く梯子を登る。 そして登りきると───タンッ。 凍弥 「ぬおっ!?」 ……女の子は屋根から飛び降りて、出入り口から去って行った。 凍弥 「こ、この───」 当然ムカっときた。 ここまであからさまに無視されるのは我慢がならない。 前方不注意でぶつかっただけでここまで無視するか普通! 凍弥 「ま、待てよおいっ!」 なんだか苛立ちを憶えた俺は彼女を追った。 出入り口のドアをくぐると、彼女は焦る風でもなく普通に階段を降りていた。 凍弥 「ちょっと待てよ、逃げることはないだろっ」 女の子「………」 女の子───確か朧月椛っていったか? そいつは気にする素振りも見せず、ただゆっくりと振り向いた。 その赤い両の目が、俺を捉える。 椛  「…………なんですか」 雰囲気に似合わず、なかなかカワイイ声に驚く。 が、今はそんなことを体感している場合じゃないぜトニー。 ……誰だトニーって。 凍弥 「あ、えと……」 椛  「……用が無いなら行きます」 凍弥 「っと、待てって。どうして無視したりしたんだよ」 椛  「……答えなければいけない義務はありますか……?」 凍弥 「ある」 根拠はないが。 椛  「………」 なんにせよ、ハキハキしない娘だな。 もしかしておっとり系!? ……でもないか。 目はキリっとしてるし、人を寄せ付けない雰囲気は健在だし。 椛  「……わたしに関わらないでください」 凍弥 「へ?」 関わらないで、って─── 凍弥 「なぜゆえ?」 椛  「……知りたがりは長生きしませんよ」 凍弥 「………」 伏見がちに言葉を放ち、彼女は階段を降りる。 しかし─── 凍弥 「あ、危ないっ!」 彼女が降ろす足の下の階段。 その部分は結構前に壊れていて、踏んだりしたら崩れるんだ。 俺は咄嗟に手を伸ばした。 その途端、彼女の足場がゴロリと揺れ、彼女は転倒しそうになる。 が、その前にその手を取り、こちらに引き寄せた。 凍弥 「大丈夫かっ?」 椛  「───っ!」 ばしっ! 凍弥 「たっ!?」 手に痛みを感じて呆然とする。 ……また叩かれた。 無意識でやったのか、ハッとした表情で俺を見て、だけど俯いてから呟く。 椛  「……すいません。でも……わたしには触れないでください」 その言葉に、俺は考えを巡らす。 そもそもどうして触らないでなんて言うのかが不思議だ。 ……もしかして、極度の潔癖症なのか? 椛  「……触れたら……不幸になります」 ……オウ? 凍弥 「えーと、訊いてもいいかな?なんだって不幸になるんだ?」 椛  「あの……知りたがりは……長生きできません」 凍弥 「それでもいいから」 椛  「………」 また俯く少女。 一年だそうだが、それよりも幼く見えるのは気の所為じゃないと思う。 椛  「わたしは……死神の子だから」 ……死神? 死神の子って……言ったよな。 もしかしてギャグですか? 凍弥 「………」 そこまで考えて、ふとサクラと与一の存在が脳裏によぎった。 ……まあ、天界人も居れば幽霊も居るこのご時世、死神の子が居ても不思議はないよな? 凍弥 「……ふむ。もしかしてその髪と目、元から?」 椛  「………」 ビクンッ、と肩を震わせて、だけどゆっくりと頷く少女。 凍弥 「そっか」 それなら納得できるかもしれない。 髪の色や目の色で苛められてきたんだろう。 悪ガキのよくやることだ。 呪いの子だとか悪魔の子だとか、思いつく限りの罵倒をぶつけるのがガキだ。 そんなことを続けられたらこうなってしまうのもしょうがない。 ……まあ、他人である俺には彼女の気持ちなんて解らないけど─── 凍弥 「あまり気にするなよ。俺の知り合いに天界人と幽霊が居るんだぞ?     死神の子だなんて些細なことじゃないか」 椛  「え───?」 少女が呆れ顔で俺を見る。 凍弥 「あ。その顔は疑ってるな?」 椛  「………」 こくり、と。 あっさりと頷かれる。 凍弥 「………」 何気にショックだった。 凍弥 「……解った、証拠を見せよう。     って、それにしても転校初日で授業をサボるだなんて、中々やるな」 椛  「……わたしが居ても……教室の空気を重くするだけですから」 凍弥 「……そっか。やさしいんだな」 椛  「え……?」 凍弥 「自分の所為でみんなの気分が悪くなるのが嫌だったんだろ?     それって気をつかってるってことじゃないか」 椛  「……そんなのじゃないです……。ただ、おじい様もそうしてたと聞いたから……」 凍弥 「まあなんにしてもよかったよ。ヒマならちょっと付き合ってくれないか?」 椛  「……わたしに構わないでください」 誘いの言葉をあっさりと切って、少女は歩いて 凍弥 「待った。証拠を見せたいんだよ。天界人と幽霊……ってゆうよりは桜の精か。     確かに死神の子ってゆうのとは重みが違うかもしれないけど───     自分だけ特別じゃないって思えるのって大切だと思うぞ」 椛  「………」 少女は考える。 だけど来る答えは予想済みだ。 椛  「……わたしに構わないでください」 うん、やっぱり。 凍弥 「断る」 椛  「………」 凍弥 「そんなに構えないでくれ。自分が死神の子だって話してくれただろ?     そうやって少しずつ慣れてくれればいいから」 椛  「…………信じているんですか?」 凍弥 「信じるって……なにを?」 椛  「………」 ……? 信じる……ああ、死神の子ってことか? 凍弥 「ああ、だってそれが地毛ってゆうなら十分だろ?     さっき言った天界人だって髪の色はピンクだし」 椛  「………」 凍弥 「な?あまり気にするなよ」 椛  「………」 少女は喋らない。 むう、何か気に障ることでもしただろうか。 ………………思い当たらん。 うん、俺は悪くない。 凍弥 「よし、そうと決まればレッツハバナーウ!」 俺は意気込んで少女の手を取って歩きばしぃっ! 凍弥 「おほうっ!?」 椛  「……触らないでください……」 凍弥 「あ……悪い。でも連れていかないと来てくれない気がしてな」 椛  「……もう一度言います……わたしに……構わないでください……」 ……ぬぅむ、どうしてこう頑ななのかねぇ。 まるっきり解らん。 ───仕方ないな。 凍弥 「おっさぁあああん!カムヒアーッ!!」 椛  「ッ!!」 突然叫びに少女が驚く。 だが、次の瞬間─── 遥一郎「おっさんと呼ぶなと言っているだろう!」 おっさんが降臨した。 椛  「───……」 それを見て呆然する少女。 遥一郎「ん───?」 おっさんも少女を見る。 その目は不思議そうな顔をしていたが、やがて笑みに変わった。 遥一郎「凍弥の友達か?ガールフレンドとは、お前も隅に置けないなぁ」 凍弥 「ガ、ガ───!?」 1:そんなんじゃない! 2:その通りだ。 3:除霊しますよ? 結論:2 凍弥 「その通りだ」 遥一郎「……冗談だ。強がりはよせ」 凍弥 「除霊するぞこの野郎」 遥一郎「そう怒るな。で?キミ……名前は?っと、礼節は守らんとな。     俺は穂岸遥一郎。ごらんの通り、桜の精だ」 凍弥 「騙されるな、こいつは幽霊だ」 遥一郎「だ、騙すってなんだコラ!俺は暦とした桜の具現で」 凍弥 「でも幽体だろ?瞬間的に現れることが出来るし」 遥一郎「やかましい、黙ってろ」 凍弥 「わー、桜の精が怒ったー」 遥一郎「やろっ……!」 べしっ。 凍弥 「いたっ」 サクラ「……喧嘩はいけません」 凍弥 「は、はい?どうしてサクラがここに居るんだ?」 1:ここは部外者は立入禁止なんだぞ 2:あ、もしかして……実はお前も幽霊だったのか!? 3:失せろ小娘 結論:3 凍弥 「失せろ小娘」 ぼごぉっ! 凍弥 「おごっ!」 魔器・ストレインが俺の旋毛(つむじ)の中心を的確に捉えた。 ああ、これで明日は下痢だ! 凍弥 「って、なにすんだよ!」 サクラ「どうしてここに居るんだ?の後に続かせるにはあまりにも失礼な言葉です。     悔い改めなさい」 凍弥 「悔い改める必要性はないだろ……」 そもそも答えが返ってきてない。 凍弥 「で?なんの用だよサイファーさん」 サクラ「こういう時だけサイファーと呼ぶのはやめてください。     そもそも失礼ですよ、あなたはもっと礼節を弁えるべきです」 キリッとした表情で俺を睨むサイファーさん。 ……ちっ、普段はおろおろしてて泣き虫のくせに。 なんだって道徳を唱える時だけ気丈になるんだか。 凍弥 「そんな御託はいいよ。どうしてお前がここに居るんだよ」 サクラ「……お弁当、届けに来ました」 スッ、とハンケチーフに包まれた弁当箱を渡してくるサクラ。 凍弥 「いらない。もう食べた」 サクラ「───!……そんな」 愕然とするサクラさん。 そもそもそんなの頼んでないし。 凍弥 「大体さ、味覚オンチなお前の料理なんて食べたら腹壊すよ」 遥一郎「言い方は悪いが正論だな。     天界人ってのはこと料理のこととなると不器用だからな」 サクラ「じゃあ……これ、どうしましょう……」 恐ろしいまでにがっくり顔で、項垂れながら呟くサクラさん。 凍弥 「近所のベスのエサにでもしたらどうだ?     あいつは雑食だからガバガバとなんでも食ってくれるぞぅ」 サクラ「凍弥さんヒドイです……」 ヒドイのはどっちだ。 サクラの料理でお花畑を見たのは一度や二度の話じゃないぞ。 ───と、そんなことを考えているのとは別に、 うじうじと何かを呟くサクラを見ている少女に気づく。 その視線を感じたのか、サクラも少女を見る。 サクラ「……?こちらの方は?」 凍弥 「え?ああ」 サクラが少女を見て俺に訊ねる。 凍弥 「えーと」 名前に間違いはないだろうけど、もしもってことがあるしな。 凍弥 「俺は霧波川凍弥。おまえは?」 椛  「……話す理由が見つかりません」 無視してどこかに行かなかったわりに、反応はとても冷たいものだった。 凍弥 「あ、あのなぁ」 椛  「……何度も言わせないでください……わたしに構わないでください」 凍弥 「ぬお……」 大人しそうな顔して、なんとヒドイ言いぐさ……! 椛  「……もう、いいでしょう。失礼します」 そう言って踵を返し、だけどゆっくりと歩いてゆく少女。 凍弥 「ま、待てって、おーい!?」 ……行ってしまった。 凍弥 「……むう。酒に酔って暴走したサクラだってあそこまでヒドくないぞ」 サクラ「飲みません」 凍弥 「なにぃ、一日一升二升は当然じゃないか」 サクラ「飲みません」 ズビシッ。 サクラ「あうっ!」 冷静に否定するサクラにデコピンを炸裂させた。 ……と、じぃわぁああああ〜……涙を滲ませてうるうると俺を見るサクラ。 額を両手で庇いながらウルルゥと涙するサクラを当然のように無視して、 俺は朧月椛本人であろう少女の去った廊下を眺めていた。 遥一郎「こらこら、女の子を涙させといて無視はないだろ」 凍弥 「やかましい、黙ってろ」 遥一郎「お、反抗的な態度。態度太いぞお前」 凍弥 「お前の真似しただけだよ。     ……はぁ、今更授業出る気にもならないしなぁ。どうするか」 サクラ「じゅ、授業は出なければいけませ」 凍弥 「やかましい」 サクラ「あう……」 遥一郎「へー、お前って不良だったんだ」 凍弥 「……まあ、自覚する程度には。     でも安心しろよ、父さん母さんに迷惑かけることはしてないから」 遥一郎「……中途半端な不良だな。なぁミニ?どうしてお前ってこいつ選んだんだ?」 サクラ「好きで選んだと思いますか……?」 遥一郎「まさか。どーせ上の命令だろ?」 サクラ「………」 ……オイ。 凍弥 「どうして黙る」 遥一郎「図星なんだろ」 サクラ「勝手に思考の決着をつけないでください」 遥一郎「違うんか?」 サクラ「……違いませんけど」 胸の前で両手の人差し指同士をついついしながら俯くサクラ。 凍弥 「……屋上行くわ。それじゃあな」 サクラ「あ、ちょっと待ってください!このお弁当───」 凍弥 「自分で食え。お前の料理なんて食えるか」 サクラ「う……、うぅう……」 遥一郎「あのなぁ凍弥」 凍弥 「うーるーさーい。食わされる身にもなってみろ。おっさんなら解るだろ?」 サクラ「そんなことないですよね遥一郎さんっ」 遥一郎「ぐあ……あ、え、と……」 ……くっくっく、困ってる困ってる。 ざまぁみろだ。 サクラ「遥一郎さんのばか……」 遥一郎「なにを言う、俺は馬鹿ってことはないぞ。馬鹿なのはせいぜい観咲くらいだ」 凍弥 「あーはいはい、言い合いは余所でやってくれよな。用済んだからとっとと帰れ」 遥一郎「おう、お前も不摂生が祟って地獄に落ちるなよ」 凍弥 「どういう罵倒だよまったく……」 サクラ「……おべんと……せっかく作ったのに……」 遥一郎「俺が食べてやる───って言いたいところだけどな。     実体が無いからどーとも出来ないな。自分で食いなさい。毒見の如く」 サクラ「!」 ……あ、いじけた。 うわー、漫画とかなら縦線を何本も引いてしまいそうなくらい落ち込んでるよ。 のの字書いてるし。 でも与一ってモノに触れるし、何かを食べることも出来たような気がするけど。 ……ああ、食いたくないだけか。 遥一郎「ホレ帰るぞミニ」 サクラ「もうミニはやめてください……」 遥一郎「俺がそう呼ぶのはひとりだけなんだよ。だからお前はミニだ」 サクラ「うう……」 与一とサクラがてこてこと歩いてゆく。 俺はそれを見届けながら……やっぱり屋上へ向かった。 ……やれやれだな、最近。 凍弥 「……てゆうか」 なんなんだろうな、あの娘。 凍弥 「朧月、椛か」 自分を死神の子だと言うその娘のことを考えた。 ……死神の子ってゆうのを信じないわけじゃないけど……なんか、アレだよな。 漠然とした何かな気分だ。 天界人が居れば幽霊も居る世界だ、死神の子が居ても不思議はないよな、うん。 ……なに遠慮してるんだろ。 別に驚いたりはしないのにな。 凍弥 「まあ確かに不幸になるってゆうのは気になるけど。     ……って、ひとりになるとひとりごと多くなるよな、俺って」 頭を乱暴に引っかいて屋上への扉を開ける。 その途端、穏やかな風が体を撫でて……見上げれば蒼空。 気紛れのお空はご機嫌のようだ。 ───さて。 こーゆうは寝るに限るよなー。 うんうん。 ……ということで、ゴロリと寝転がって目を閉じた。 屋上にあるベンチは寝るのに最適だ。 立入禁止だというのに誰が使うのか、用途の解らんベンチは俺の寝床になっていた。 ……では、いい夢が見れますように。 ぐー。 ───夢に引きずり込まれる瞬間、 屋上の入り口の屋根?で俺を見る視線を感じた気がした。 薄目を開けると、そこには背に逆光を浴びながら座る小柄な影。 光の所為で解り辛かったけれど、うっすらとした影の中で赤い瞳が見えた。 光に撫でられるようにして銀色の髪の毛が揺れていた。 その瞳が、俺が気づけるような悲しみ以上の闇を背負っているような気がした。 あそこは彼女の指定席なのかな、とか思いながら。 俺はその視線に見守られるようにして眠りについた。 だと言うのに、その瞼の裏に浮かんだのはさっきまで見ていた景色と同じだった。 その景色の中で、やっぱり屋上の上で少女が座っていた。 ちょこんとした感じなのに、入り口の上に座るその姿勢はどこか完璧を思わせた。 人形のように整った顔。 黒髪だったらきっと人形のようだと誉められていただろう。 ……だけど思う。 人形、と言われるのは本当に喜ばしいことなんだろうか。 作られた表情とか、そんな印象を受けるのは嫌だ。 俺は確かに彼女を見た時に『人形のようだ』と思った。 こんな俺でさえそんな印象を受けた。 だとすると───彼女はずっとそんなことを言われてきたのかもしれない。 人形のようだ。 お人形さんみたい。 そんなことを言われるのは人として喜んでいいのだろうか。 俺だったら嫌だ。 だから。 凍弥 「───あのさ」 夢の中だと言うのに、自分の意思を振り絞って言葉を出した。 凍弥 「死神の子だっていうこと、あまり気にするなよ。     そりゃあ適当な気分で意地悪く言うヤツ居るかもしれないけどさ。     俺とあいつらはそんな扱いしないからさ。     せっかく学生なんだから、     その内に楽しめることを共有できるヤツ探してみろよ。     ああ、俺は別に構わないからいつでも声かけてくれよ?」 ───俺の言葉を聞いて、夢の中の彼女は目を閉じて、お決まりの言葉を紡いだ。 俺は苦笑するしかなくて、そのまま惰眠を貪ることにした。 ず〜っと眠っている自分を見ている夢の中、いつまでも彼女の視線を受けて─── Next Menu back