───誰かが微笑むには条件ってゆうものがあるんだと思う。 それは人も死神も変わらない。 感情があれば……その条件は分け隔てもなく存在するんだと思う。 黒く染まってしまった自分の気配を感じ取っては、もっと暗くなる自分。 そんな弱さが心から微笑む時はいつなのか。 だけど考えることなんてひとつっきりで。 一体何を考えればいいのかなんて解らなかった。 だけどひとつの出来事が誰かを変えることだって十分にある。 実際、俺は彼女の死を知らなければ泣くこともなく生きていたかもしれない。 ───世界は妙なバランスで支えられている。 いつか笑える日が来たとしても、 それは彼女を忘れたからじゃないことくらい、今の俺にでも解る。 だけどきっかけはやっぱり必要だから。 だから俺は───今、周りに居てくれる存在に感謝するんだろう。 微笑みをありがとう、と─── ───陳腐な再会───
……美紀の葬儀は普通の日常の中で行われた。 街は普通に動いていたし、天気だっていつものような真っ青な蒼空を見せていた。 緩やかな風が動く中で俺はゆっくりと美紀に近づいて、そのやすらかな顔を眺めた。 残留する魂すら無い、本当の意味での死した体。 それなのに眠っている美紀は微笑んでいる気がして、どこか悲しかった。 霊体でもいいからお別れを言いたかったと思うのは贅沢だろうか。 ……いや、贅沢でも構わない。 俺はそうしたかったんだから。 ───あとから聞いたことだが、与一は全てを知っていたらしい。 今考えればそれも当然かもしれない。 美紀が病院で死んだのであればその事実が病院から両親に伝えられるのが普通だ。 そしてその事実は父さんや母さんにも届き……与一にも届いた。 本当は出掛けていた俺が帰ってきたら知らせてくれと言われていたらしい。 だけど俺が確かめに行くことを予測していた与一はそれをしなかった。 あとは……俺が見てきた通りの事実。 美紀は何者かに殺され、病院に漂っていた悪霊に獲り込まれ、消えていった。 与一が言っていたが、その殺そうとしたヤツが相当の特異体質ならば、 何かしらの危害を受けた時に何かが移ることもあるらしい。 俺にはそれがあの悪霊だったんじゃないかって思えた。 霊に霊が取り付くなんて考えられなかったからだ。 もしその誰かの所為で美紀の霊体がなにかを呼び寄せる体質になってしまったなら。 それも頷ける気がした。 ……やがて全てが終わろうとした頃、俺は……美紀の骨を骨壷へと入れていた。 ただ悔しかった。 まだ未来がある筈だった彼女が彼女のことを何もしらないような誰かに殺され、 その未来を閉ざされてしまったことが。 そいつを殺してやりたいとさえ思う。 憎くて憎くて仕方がない。 俺の横で血が出るほど唇を噛んでいる浩介も、 息を吐きながら何かに当たろうとしているがそれが出来ないでいる浩之も……。 きっと、同じ気持ちなんだろうと感じた。 美紀の両親は涙で目を真っ赤にして、 その傍らではシュウが訳も解らないままに呆然としていた。 そんな中で、業者の男は平然とした声で物事を進めて行く。 その声があまりにも平凡とした『仕事』のようで、それが現実じゃないように感じた。 悲しむ者を余所にテキパキと仕事をするそいつが場違いに感じて。 いっそ、殴り倒したいとさえ思った。 それでもそんなことが出来るわけがなく。 俺は霧がかかったように真っ白な思考のまま、とぼとぼと歩いた。 ───……彼女が居ない俺達の日常は変わらない筈だった。 彼女の死を知らなければ、俺は今でも笑っていたんだと思う。 高校で別れたまま、今まで生きてきたこの日までのように。 そしてあいつが高校を卒業した時にこの街で再会して、笑い合える筈だった。 ……それを今更望むのは馬鹿な考えなんだろうか。 自問自答も虚しく、自問は出来ても自答が出来ない自分が情けなかった。 ───……それでも日常は過ぎてゆく。 あいつの死を知らないやつらが変わるわけもなく。 俺達の周り……少なくとも近所で俺や志摩兄弟と親しいヤツ以外は変わりはしなかった。 俺達だって極力彼女の話題は避けて、 元気が無いとか言われたってその口を開こうとはしなかった。 そんな、どうしても暗くなってしまう日常の中、 志摩兄弟は無理に馬鹿をやっては教師に怒られていた。 俺もいっそのことそう出来たら……なんて思ってみたけど、 体が重く感じて……動いてはくれなかった。 それだけショックだったんだ。 悠介さんの時の比じゃない。 知り合いの死はこんなにも辛かった。 俺はそんなの……今まで知らなかったから。 彼女を救ってあげられなかった罪悪感に押しつぶされそうで、 美紀の両親をまともに見て居られなかった。 ……昼になると、以前のように屋上のベンチに寝転がって空を眺めた。 それには志摩兄弟も付き合って、ただ退屈な時間に身を委ねていた。 聞こえる筈の無い街の雑踏や、常であるように耳を掠める車の走る音。 そして変わらずに蒼いその空。 そういえば、美紀が最後を迎えたあの場所には雪が降ったそうだ。 こんな蒼空が続く最近では珍しいなんて、ニュースで話していたのを憶えている。 桜と雪が同時に見れる場所だとかで、それを見に来る人も多かったらしい。 だけどあれ以来、俺があそこに訪れたことはない。 行ったところで何もないんだから。 そんな思考を巡らせていた時、ふと浩之が空を見上げながら何かを呟いた。 その言葉はよく聞こえなかったけど、訊き返そうとはしなかった。 ───美紀が居なくなってから今日で何日になるのか。 ふと、こんなものは彼女の望んだものじゃないだなんて陳腐な言葉が頭に浮かんだ。 俺はその思考を自虐で埋めると、吐き捨てた。 美紀じゃない俺が、どうしてそんなことを言えるんだ、って。 それでもいずれ俺達は変わってゆくのだろう。 変わらないものなんてない。 散々と美紀に送った言葉が、現実という言葉にどんどんと埋め尽くされてゆく。 それでも俺はそう言いたかったんだ。 変わらないな、って。 変わってゆく彼女が悲しかったから、どうしても言いたかったんだ。 せめて、彼女が彼女である内に。 ある日、いつものように屋上で空を見上げていた時、浩介が言った。 『俺達の中に、美紀はいつまで居てくれるんだろうか』と。 『我』と言わなかったのは……彼が相当な暗闇に囚われているからだと感じた。 いっそいつも通りに喋ってくれたらよかったのに。 そしたら俺は苦笑して、いつもの日常に戻ろうとして……それで…………。 ……結局、俺は浩介の言葉になんの返事も出来なかった。 それは俺がずっと自問を繰り返していたものだったから。 ……こんな時に思う。 どんなに強がっていても、こんなにも人は悲しみに弱いものか、と。 やっぱり一度は吹っ切れたって、再び来た別れにはその悲しみがある。 そう思ってみて、俺はひとりの男の顔を思い出した。 あの場所で出会った、俺の荒んだ心を少しだけ持ち直させてくれた男の顔を。 ───……。 声  「よぅ、少年。こんなところで居眠りか?」 声が聞こえた。俺は濡れた目を拭うこともしないでその声の主を探した。 男  「……なんだ、泣いてるかお前」 声の主───男は、なんでもないように話してきた。 それなのに決して苛つきを感じさせるものではなく─── 凍弥 「あんた誰……」 俺は毒づくわけでもなく、普通に訊ねることにした。 目の上に乗せていた腕をどかして、その顔を見ようとする。 だが、視界は涙で滲みすぎていて、その顔は確認出来なかった。 男  「……俺か。俺は───」 男はコホンと咳払いをした。 男  「……ま、いいか。俺の名前は弦月彰利ってんだ。     縁があったら御見知り置きを」 凍弥 「………」 俺は名乗った相手に応えるために涙を拭って起き上がった。 そしてその相手を真っ直ぐに見て───愕然とした。 凍弥 「……あ、……あんた……」 彰利 「うん?どした?そんな鼻に煮豆が詰まったような顔して」 凍弥 「………」 目の前で冗談を言う男。 その男の顔はどう見たって…… 凍弥 「───!」 ポケットに収まっているサイフから写真を抜き取った。 色褪せた写真を。 そこで笑い合っているふたりの男の中のひとりが……今、目の前に居た。 凍弥 「あ……あんた!あんたに訊きたいことがある!」 彰利 「おいおいよしてくれよこの変態。     俺は男に『あなた♪』呼ばわりされる趣味はないぞ」 凍弥 「冗談聞いてる暇なんてないんだっ!答えろっ!」 彰利 「……きゃあ!な、なにをなさるの!?」 凍弥 「晦悠介って人、知ってるか!?」 彰利 「ほへ?なんで貴様のような男がダーリンのことを……」 凍弥 「……ダー……?」 彰利 「ダーリンだ。晦悠介は俺の親友だが……お前何者だ?     どうして俺を見てそんなことをほざける」 凍弥 「………」 俺は黙って写真を渡した。 それを見て、彰利という人物は納得したように頷いた。 彰利 「そか。ここが未来なら、悠介に知り合いが居てもおかしくはないな。     で?当の悠介はどうしてる?」 凍弥 「え……あ───」 彰利 「?」 俺は何も言えなくなってしまった。 だが、何かを察したのか、男は俯きながら言う。 彰利 「………そっか。この時代ではもう悠介は居ないんだな?」 凍弥 「………」 彰利 「この時代の悠介がどんな風に育ったのか見てみたかったんだが……そっか。     だったらこの時代にいつまでも居るわけにはいかんよな……。     さっさと月空力マスターして……悠介に会わなきゃな……」 男は目を閉じて何かを呟いた。 そして次の瞬間、彼の体が光に包まれて宙に浮き───バチィッ! 彰利 「ギャア!?」 その光が霧散すると、彼は地面に落ちた。 彰利 「っ〜〜〜……ってぇ〜……!やっぱまだ上手くいかんか……」 男は口惜しそうに唇を噛んだ。 彰利 「どっかを根城にして慣れるまで頑張るしか……お?     ここったら何処かと思えば弦月屋敷の傍じゃねぇの」 凍弥 「…………?」 彰利 「ってことは……貴様!人の領地で何をしている!」 唐突に牙を剥く獣のような咆哮を俺に浴びせる男。 俺は悲しみが段々と呆れに変わってゆくのを感じた。 凍弥 「人の……領地?」 彰利 「ここは弦月の領地。貴様は不法侵入者ぞ」 凍弥 「………」 彰利 「ま、事情がありそうだから気にしないでおくさね。……ちょっといいか?」 男が俺に近づいて、手を掲げた。 そしてその手がぼんやりと光ると……俺の心の重みが軽くなった気がした。 凍弥 「あ……れ……?」 彰利 「どうだ?ちったぁ落ち着いたかね」 凍弥 「………」 わけも解らず頷いた。 すると男は満足そうに微笑んでまた何かをブツブツと喋った。 彰利 「ふむ。月生力と月清力は十分だな、もうマスター出来たみたいだ。     ───ま、こんなもんでゼノを消せりゃあ……苦労はしないよな」 男は腕を振って手に宿る光を消すと、ゆっくりとした動作で俺を見た。 彰利 「で。お前は悠介とどんな関係なんだ?」 凍弥 「……孫の知人だ」 彰利 「孫?……悠介の?」 凍弥 「ああ」 彰利 「その孫は男か?女か?」 凍弥 「え?お、女だけど」 彰利 「っしゃあ!でかしたダーリン!で、では早速俺様がじっくりと可愛がって」 凍弥 「オイ」 彰利 「んあぁ!?なんじゃい小僧!     アタイの欲望の邪魔ァするんやったら死ぬ気でかかってこいや!     ただし、貞操の保証はせんぞ」 凍弥 「て、貞操!?」 彰利 「馬鹿野郎!アタイが身も心も捧げるのはダーリンだけだ!     勝手な妄想すんなボケ!このボケ!ボケ!」 凍弥 「な、なんなんだよアンタ!」 彰利 「あ〜ん?人の話をちゃんと聞いておらんのか貴様。     我が名はァ!笑顔がスケベなエロ男!弦月彰利ぞォーッ!!」 ……自分でエロ男とか言ってますけどこの人……。 凍弥 「……くっ……っははははっ……!」 彰利 「む?どうした小僧」 凍弥 「あ、いやっ……はははっ……!」 俺はとうとうおかしくなって笑い出した。 ここまで徹底して馬鹿なヤツを見るのは久しい。 まさか志摩兄弟以外にこんな馬鹿が居るなんて。 ……写真の中で悠介さんが彼の隣で純粋に笑えていた意味が解った気がした。 凍弥 「はははははっ…………───はぁ……」 彰利 「……なんかワケありみたいだな。是非聞かせろ」 凍弥 「………」 人に。 しかも会ったばかりのヤツに教えることじゃない。 だけどどうしてだろう。 誰かに聞いてもらいたいと思ってる。 自分で『俺らしくもない』とか思っていても、その気持ちは変わりはしなかった。 凍弥 「聞いてくれるのか」 彰利 「ああ構わんぞ、存分に披露されませい」 凍弥 「……真面目な話だよ。茶化さないでくれ」 彰利 「素だが」 凍弥 「………」 男の言葉に俺は半ば呆れながら、それでも言葉を紡いだ。 ───。 彰利 「ふむ……幼馴染を助けられなかったか……」 話し終えてしばらく。 彼はそう言って俯いた。 彰利 「それも事件に巻き込まれたってのがひどいな……。     それにそんなひどい殺し方が出来るっていったら……」 男は何かをブツブツと呟く。 彰利 「……OK、なぁお前。しばらくガッコをサボれるか?」 凍弥 「え───どうしてだ」 彰利 「犯人を探す。お前もこのままじゃ納得出来ないだろ?」 凍弥 「……お前」 彰利 「ま、お前がやらんでも俺だけでも解決出来るとは思うが」 凍弥 「む……い、いいぞ、俺もやる」 男の態度にムカッときて、俺はついそう言ってしまった。 そしてそれが誘いだったと気づくまでには─── 彰利 「───くくくはははは……!ガキだなぁ」 ……笑われてしまっていた。 彰利 「冗談だよ。普通の人間じゃあ事件ってのは対処しにくいだろうし……     それに、もし死に直面しても助けられるとは限らない。     このまま帰っちまえ。誰も責めたりしないから」 凍弥 「断る」 彰利 「…………強情なんだな」 凍弥 「そんな日もある」 彰利 「会ったばっかでそんなこと言われても解るか馬鹿者。     ……殺人事件だぞ。正気か?」 凍弥 「正気の人間だったら……こんな街、とっくに逃げ出してるだろうな」 彰利 「……変なヤツ」 男はそう呟いて立ち上がった。 彰利 「俺は俺で適当にやらせてもらうよ。まずは……その孫ってヤツに会ってみたい」 凍弥 「名前も知らないのにか?」 彰利 「ま、ルナっちにでも訊けばなんとかならぁな。     お前さんはお前さんの心配だけしてろいバァロォ。     ……で?さっきから気になってたんだが……その娘、なに?」 凍弥 「え?あ……」 今更気がついた。 俺の傍で涙目で漂っている浅美。 凍弥 「……友達だ」 彰利 「霊が友達か。やっぱヘンなヤツだなお前」 凍弥 「友達にカタチなんて関係ないんだよ。どうでもいいだろ、そんなこと」 彰利 「…………ま、幼馴染消されて冷静で居られる方がどうかしてると思うけど。     少しは落ち着けよ、その友達さんが怯えてるぞ」 凍弥 「………」 そんなこと……解ってるよ……。 彰利 「それより、おぜうさん。アタイと愛の逃避行を」 浅美 『イヤ』 彰利 「……どうしてみんな最後まで人の話聞いてくれないんデショ」 彼は悲しげに目を伏せた。 だが急に目をクワッ!と開くと俺を羽交い締めにした。 凍弥 「うわっ!?ちょ、ちょっと……おい!」 浅美 『凍弥さんっ!』 彰利 「クォックォックォッ……     さぁ、このボーイの貞操が大事なら俺を愛してると言ってみろ」 浅美 『イヤ』 彰利 「ぐさっ。……き、きさんこの状況を理解しておますの?     私は手荒なことはしたくないが、この少年の命運はキミが握っているのだよ。     キミが協力してくれるのなら、この少年を自由の身にしてやれるんだ」 浅美 『ムスカ!?』 彰利 「馬鹿者!ムスカくんと呼べ!     てゆうかこの時代でムスカくんを知っている者が居るとは……」 凍弥 「………」 なにやってんだろ、俺。 幼馴染が死んだってのにこんな馬鹿な行為に付き合わされて…… 彰利 「……あまり悲しむなよ。幸せを探すために天国に行ったんだろ?」 凍弥 「え───?」 ふと、男はそんなことを呟いた。 だけど次の瞬間には弾けるような笑顔で浅美をからかい続ける。 凍弥 「………」 こいつがいつから俺を見ていたのかなんてどうでもいい。 でも……俺が言った言葉は、俺が責任を持たなきゃ───な。 浅美 『凍弥さんを離してください!凍弥さんはわたしの意思とは関係ないでしょう!』 彰利 「なにぃそうなのか?……そういうことなら仕方あるめぇよ。     凍弥くん、キミを誤解していた。許してくれたまえ。     キミがこの方を海賊から守るために奮戦してくれたとは知らなかったんだ」 凍弥 「海賊って誰」 彰利 「ダーリンの調査は、     そこゆく娘ッコさんの協力で軍が極秘に行うことになったんだ。     キミの気持ちは解るが、どうか手を引いてほしい」 凍弥 「いや、だからさ」 彰利 「キミも男なら聞き分けたまえ。     これは僅かだが心ばかりのお礼だ、とっておきたまえ」 凍弥 「え?な───」 男がモシャリと何かを俺に握らせた。 それは洗いたてとも言わんばかりのレタスだった。 凍弥 「……人の話を聞け」 彰利 「キミのアホづらには心底うんざりさせられる」 凍弥 「アホづらぁっ!?」 彰利 「お静かに」 凍弥 「罵倒しといて静かに出来るか!」 彰利 「言葉を慎みたまえ!キミはラピュタ王の前に居ゲブボッ!!」 必死にムスカ大佐の真似事をする彼の鼻っ柱に肘を穿った。 彰利 「あぁ〜、あぁあ〜……!目がぁ〜……目がぁ〜……っ!」 ちなみに目に当たった感触は無かった。 ……ムスカくん、キミは英雄だ。 彰利 「グ、グウム……!せっかく慰めてやったのにいきなりこれか……!     アタイをあまり怒らせない方がいいぞ!!     当分ふたりきりでここに住むのだからな!───住むか馬鹿野郎!!」 凍弥 「なに自分の言葉に逆ギレしてんだよ!もう付き合ってられん!」 気が紛れたのは確かだが、逆に考える時間を潰された気分で苛立った。 しかし 彰利 「はっはっはっは……何処へ行こうというのかね」 ヤツは笑いながら俺のあとを尾行てきた。 ……どこまでムスカなヤツなんだ。 凍弥 「……なぁムスカさんよ。いい加減ひとりにしてくれないか?     考えたいことがあるんだよ……」 彰利 「誰がムスカだこの野郎。あだ名なんてもう勘弁ノリスケなんじゃい」 凍弥 「………」 彰利 「まあええわい。それよりお前……あまり気に病むなよ。     人の死ってのは辛いもんだけど、暗いままで人生終わらせるのは馬鹿だぞ」 凍弥 「……そこまで言うってことは、人の死を見たのか?」 彰利 「……母親を目の前で殺された」 凍弥 「───っ……」 彰利 「不幸なのは自分だけじゃないって感じられるだけでも気が紛れるだろ?     本人にとっちゃ自分の死を安らぎのタネにされるのは嫌な気分だろうけどさ。     ……ま、俺に言えるのはこんなことくらいか。     あとは時間かお前の意識が解決してくれるだろうさ。     腐るのも生きるのもお前次第だ、せいぜい頑張れ」 男は言いたいことを言って背を向けた。 ……なるほど、正しいことを言われすぎる人の気分ってのはこういうものなのか。 凍弥 「……なぁ」 俺はただ一言感謝の言葉を言おうと思って口を開いた。 彰利 「ふ〜じこちゃぁ〜ん!!」 浅美 『きゃーっ!!』 しかし、次の瞬間に視界に映ったのは服を脱いで浅美に飛びかかる男の姿だった。 凍弥 「なァにトチ狂ってんだこの変態がァアーーッ!!!」 彰利 「なにぃ!?ぎゃああああああああっ!!!」 ボグシャアァッ!! …………。 ───……そんなことを思い出していた俺は、ふと自分が笑っていることに気づいた。 凍弥 「………」 そして小さく溜め息を吐く。 ……このままじゃいけないよな。 凍弥 「うっし、メシでも食い行くか?」 浩介 「なに?……」 浩之 「………」 凍弥 「いかないのか?」 浩介 「……いや、それでこそ盟友!腐ったままでは我ららしくもない!」 浩之 「オッケーマイブラザー!貴様が立ち上がる時を我は待っていたぞ!」 浩介 「馬鹿言えブラザー!待っていたのは我の方ぞ!」 浩之 「なにをこの!久々にやるか勝負を!」 浩介 「望むところだこのヘタレが!」 ……いつもの調子を取り戻すように騒ぐ志摩兄弟。 やっぱり少し無理しているようには感じたけれど、俺はそれでも嬉しかった。 そして俺は少し考えてみた。 美紀が望む幸せの在り処や、あの男がどうしてこの時代にあの若さで居たのかを。 ───……。 彰利 「ある日ひとりでポクポクと〜♪道を歩くとヌシの声〜♪     (セリフ)おいどんはあぎゃんこつヘタレもん、御免被るでござるよ薫殿」 いやーんぁ、月空力の実験のために暦間移動したはいいけど、 座標確定して戻れるほどにマスター出来てねィェ〜。 彰利 「困ったのぅ、こんなとこで彷徨ってる場合じゃねぇのに」 こんなことしてる間にもダーリンてばアタイを思って枕を濡らしてるんだわ……! 嗚呼、ダーリンたらとってもウヴYO! ドンッ。 彰利 「オウ?」 男A 「……オイ、どこ見て歩いてんだぁ〜?あぁ〜ん?」 彰利 「………」 わぁ、不良さまだ。 この時代でも生息してたのね。 男B 「あ?なんとか言えよオラァ……」 彰利 「ヒ、ヒィイ、ぼぼぼくは何も……!」 とりあえず面白そうなので弱気に出ることにしました。 攻撃加えられたら毒霧吐いてゴールデンスマッシュして、 前屈みになったところを投げっ放しパワーボムだな。 よし。 男A 「あんだぁ?こいつ……。ビビってんのかぁ?あぁん?」 彰利 「ビビるかボケ」 男B 「あ……あぁ!?今なんつった!?」 彰利 「ヒィイ!ぼくは何も……!     てめぇの耳が腐ってんのをぼくの所為にしないでくださいこのハゲ!」 男A 「ハッ……!?こ、この野郎ーーッ!!」 彰利 「ヒィイ!」 ブンッ! ひょいっ。 ブンッ! ひょいっ。 男B 「避けんなてめぇ!!」 彰利 「勘弁してください勘弁してください!」 男A 「おい哲雄!殴るんじゃなくて掴め!」 男B 「うるっせぇなぁ!指図すんなよぉ兼田ぁっ!!」 男A 「『さん』をつけろよデコスケ野郎ォッ!!」 ……ああ、アタイの目の前でアキラが上映されてる。 しかも実写版だ。 さぞかしつまらんだろう。 彰利 「あー、でも確かにデコだな」 哲雄 「なんだとぉ……!?もういっぺん言ってみろぉっ!」 彰利 「デコ」 哲雄 「この野郎ぉーーっ!!」 彰利 「ヒィイ!悪かったですごめんなさい!」 兼田 「……馬鹿にしてんのかこいつ」 うーむ、いまいちノリが悪いのぅ。 こんな時には…… 声  「なにしてるんですか」 オウ?誰ぞ? 今の声からして、かなりのカワイコちゃんと判断する。 独断と偏見で。 女の子「………」 で、視線の先には女の子。 しかもグッド!かなりグッドYO!……これで髪の毛が黒だったらなぁ。 哲雄 「なんだぁ?お前ぇ。この哲雄さまになんか用かよぉ……」 女の子「苛めなんてミジメなだけですよ。今すぐやめてください」 哲雄 「なんだとぉっ!?     おい女ぁ、言っとくがなぁ、先に手ェ出してきたのはこいつだぜぇ?」 女の子「………」 女の子が俺を見る。 彰利 「んーん、ぼく手なんて出してないよ」 アタイはもちろん首を横に振った。 兼田 「てめっ……!話し合わせやがれっ!」 ぼかっ! 彰利 「ぎゃぁああ〜っ!た、た〜すけてぇ〜!みんながぼくを苛めるんだよママ〜ン!」 哲雄 「鬱陶しい、泣くんじゃねぇよ!」 女の子「もういいでしょう、その人を解放してください」 哲雄 「……あのなぁ女ぁ。代わりにお前が相手でもしてくれんのかぁ?」 女の子「しません。冗談じゃありません」 哲雄 「っ……んだとぉっ!?」 兼田 「おーおー、振られちゃってかわいそー!この兼田さまが慰めてやろうかー?」 哲雄 「兼田ぁっ!てめぇっ!」 ふたりの視線がぶつかり合う。 彰利 「やめてっ!わたしのために争わないで!」 哲雄 「状況見て喋りやがれ!馬鹿かてめぇは!」 彰利 「うるせぇデコ」 哲雄 「こ、こんの……!もういい、てめぇは死刑だ!」 デコが俺の胸倉を掴んだ。 その瞬間俺は 女の子「……その手を離してください」 おろ? 彰利 「……あの、ガール?」 俺はきょとんとして話し掛けた。 哲雄 「うるせぇなぁ。あとで可愛がってやるから黙ってろよ……」 が、デコに邪魔された。 このデコ……。 彰利 「………」 しっかし、お節介なお嬢サンだ。 ……やれやれ。 彰利 「おいデコ」 哲雄 「てめっ!」 ブシィッ!! 哲雄 「ぐあぁああっ!?」 デコに毒霧を吐いた。 デコの瞳に120のダメージ。 哲雄 「か、兼田ぁ……!助けてくれぇ……!」 兼田 「哲雄っ!?」 ……どこまで上映するつもりなんだろうかこいつらは。 彰利 「食い止める!キミは伏せていたまえ!」 女の子「え……?」 微妙にムスカくんの真似をして、兼田と向き合った。 兼田 「てめぇ……よくも哲雄を……!」 彰利 「彼なら安心したまえ、あの石頭は私のより頑丈だよ」 兼田 「頭の話はしてねぇだろ!」 彰利 「はっはっは、私と戦うつもりか。さっさと逃げればいいものを」 兼田 「うるせぇ!哲雄の仇ぃっ!」 ブンッ! 兼田の拳が振るわれる。 が、それをあっさりと避ける。 兼田 「てめぇ!」 彰利 「ま、いいだろう。出来ることなら穏便に済ませたかったのですが……やれやれ。     どうしてこう馬鹿なのだ?     せっかく俺様が下手に出て遣り過ごそうとしてやったというのに」 兼田 「な、なんだとぉっ!?」 アタイは兼田の罵倒を無視してひとつの武器を懐から出した。 彰利 「責任持てよ……最初に殴りかかってきたのはお前らだぜ」 太陽の光を受けて輝くそれを片手に、ジリ……と距離を狭める。 うっふっふ、怯えておる、怯えておるわ……! 兼田 「……あのよ。それでどうする気だ?」 彰利 「え?」 兼田がアタイの右手にある武器を指差して言う。 太陽の光を受けて微妙に輝いている『毛抜き』を。 彰利 「貴様なぞこれで十分だ。甘く見ると……泣くハメになる」 兼田 「ケッ、ふざけてんじゃあ───ねぇえっ!」 兼田が襲いかかってくる。 俺はそれを華麗に美麗に最強にヒラァリと避け、片腕でヘッドロックをした。 そして毛抜きを輝かせ─── 兼田 「なんだてめぇ離しやがれ!離……なっ!?ま、まさか!」 兼田が毛抜きを間近で見た途端に真っ青になる。 どうやら理解したらしい。 彰利 「覚悟はよいな?あ、そーれ」 ブチィッ!! 兼田 「ぎゃああああーーーーーーっ!!!!」 勢いよく彼の鼻毛を引き抜いた。 彰利 「おーお、もっさり採れたもっさり採れた」 兼田 「ぐ、ぐぐぐ……!」 彰利 「あそーれ」 ブチィッ!! 兼田 「ぎゃあああああああっ!!」 彰利 「あっはっはっはっは!次は左鼻だ!!     ひざまずけ!!命乞いをしろ!!小僧から石を取り戻せ!!」 兼田 「い、石ぃっ!?」 ぶちぃっ! 兼田 「ぎゃあああああっ!!!」 彰利 「誰が喋っていいと言った!」 兼田 「今お前命乞いをしろって」 ぶちぃっ! 兼田 「ぎゃああああああっ!!!」 彰利 「命乞いじゃないから、どぅぅぁんむぇええ〜〜♪」 兼田 「て、てめっ……」 兼田クンは既に鼻毛を抜かれたことにより涙目になっていた。 彰利 「おうおう、カワイソウに。こんなに泣いちゃって……」 兼田 「お前の所為だろが……!」 彰利 「安心おし、次はやさしくやってやるからのぅ。     じじいはやさしいから、そう怯えるでない……」 俺は年寄りの真似をして毛抜きを構えた。 そして手応えを感じると、ゆ〜〜〜〜〜っくりと引いた。 兼田 「うぁだイデデデデ!ひ、ヒト思いやってくれぇ〜っ!!」 彰利 「安心おし……じじいはやさしいけぇ……」 ミリミリミリ……! 兼田 「ぎゃ、ぎゃああああああああっ!!」 彰利 「ほーれほれほれ、痛いか?ん?痛いかぁ〜?」 ミリミリ……ばぶちぃっ!! 兼田 「ぎゃあぁああああああああああああああああっ!!!!!!」 俺が鼻毛とともに腕も離すと、兼田はゆっくりとうずくまった。 彰利 「フッ……正義に敗北は無いのだ」 ……自分で言ってみてとてつもなく説得力がなかった。 しかしそれがまた孤高っぽくてよし。 女の子「……あの」 彰利 「ん?おーおーおー、センキュウベリマーネー!     ワターシ、ニポン初メーテーデシタカラー、     右モ左モ解ラナカッタトデースヨコンチキショー!」 女の子「あの……」 彰利 「え?告白?いや、まいったな……まだ会ってから15分も経ってないのに」 女の子「あのっ!」 彰利 「ウヒョオ!?な、なんですの?」 ぬう、こげな大人しそうな娘ッコが怒鳴るなんて……! 女の子「あの、苛めはよくないと思います」 彰利 「オウ?苛め?……馬鹿な、苛められてたのはぼくだよママン」 女の子「戦意をなくしている人に追い討ちかけてもなんにもなりません」 彰利 「あ、そゆこと。でもねぇガール、アタイは戦闘を避けようとしたのよ?     それなのにこのハゲ達がアタイの頭を殴ったのさ、解ってぷりぃず」 女の子「……挑発したのは誰ですか」 彰利 「え?このデコだが」 女の子「……はぁ」 思いっきり呆れられたようだ。 仕方ない、ここはこの少女の心を和らげるために冗談を言って紛らわすか。 彰利 「ところでキミ」 女の子「なんですか」 彰利 「スリーサイズ教えて」 ボッ───ガァォオオオンッ!! 彰利 「ほぎゃああああっ!!」 瞬間的に突然アスファルトが見えたと思ったら、世界が暗転した。 それとともに自分の体がバウンドしたような感覚。 ……え?なに?殴られたの?今…… 彰利 「グ、グウム……!こりゃいかん……!」 俺は印を解放して月生力を発動させた。 シャキィン!と体が回復してゆく。 嗚呼、殴られた部分からどんどんと意識を刈り取られるような気分でしたよ? 彰利 「フフフ、残念だが致命傷には至らなかったな」 女の子「───!」 彰利 「ムヒョヒョヒョヒョ、で、ででででは次はアタイの番だねハニー……!」 女の子「……やっ……!」 自分の体を抱くようにして後退するベイベー。 ああもう、カワイイったらないね! というわけで 彰利 「抱き締めてモナムゥーッ!!」 グワァアア!と手を広げて抱擁を求めた。 が。 女の子「───っ!!」 アタイの可愛いベイベーちゃんは目を閉じてその場に屈んだ。 その途端に空中になんらかの物体が具現されバチィッ!バリバリバリバリィイイッ! 彰利 「キャーッ!?」 嗚呼……!今アタイ、絶対骨見えてるよ……! だってこんなにもブランカの気持ちが解るんですもの……! てゆうか─── 彰利 「月鳴力!?───ってことは家系の人間だったのか!?」 女の子「え……?」 女の子はきょとんとした顔で立ち上がって俺を見た。(それでも距離は取られてるが) 彰利 「……ダーリン、貴様の邪気を感じる……出て来いッ!!」 麟の真似をして地面に手を突き立てゴキィッ!! 彰利 「キャーッ!?うおっ、うおぉおおおおっ!!     指が曲がってはいけない方向にィイイッ!!」 悠介 「……相変わらず、みたいだな」 彰利 「おほー、おほー……!……ああ、お前もな……ってゆうかダーリン!?     ダーリンじゃねぇのーーっ!!会いたかったわダーリーン!」 悠介 「……裁き」 バチィッ!バリバリィッ!! 彰利 「キャーッ!?」 アタイの身体をダーリンの熱烈な裁きが襲う。 悠介 「───で。今更俺の前に現れてどういうつもりだ?」 彰利 「ああんもうダーリンたら……!     感動の対面でスパークさせることないじゃない……!」 悠介 「御託はいい」 彰利 「うう、ひどいや……。というのは置いといて。いやなに、実はあっし、     現在月空力の完全開花に向けて頑張っているところでして。     まずは普通に発動させるところまでは出来るようになったんだが、     歴史と場所の座標確定までは完璧ではないのだよ。     ……ってことで現在帰れない状態なんですよダーリン」 悠介 「寝言は寝て言え」 彰利 「……うわーあ、時代が募っても変わってねィェ〜……」 女の子「あの……おじいさま、なのですか?」 悠介 「え?ああ……椛。まあこんな姿じゃ無理もないか。     だが間違いなく俺は晦……いや、朧月悠介だよ」 椛  「でも……わたしの魂と融合して消えたって……」 彰利 「そ、そうYO……!この時代にはもう居ないと思ってたのに……!」 悠介 「彰利は無視するとして。俺が椛と融合したのは真実だよ」 椛  「……もしかして、怪我をしたあの人を治した力も……?」 悠介 「椛の体力を媒介に創造の理力でな。結構面白かった」 ダーリンはオナゴに話し掛けて笑っていた。 そんな時になってハッと気づく。 彰利 「───えーと。もしかしてキミが噂の孫の人?」 視界に入っている幼さの残るガールに言う。 しかし完璧に無視された。 ……なんてカワイソウな僕……。 椛  「それでは……?」 悠介 「んー……なんてゆうかさ、ホラ、椛も家系の子だろ?     俺はただ童心みたいってゆうか魂みたいってゆうか、     とにかくそういうややこしいモノだったわけだからさ。     俺は俺で自分の力が安定するまで椛の魂のサポートして、     魂の安定を確認してから椛の魂を上乗せするように創造したわけだ。     最初は魂のイメージが解らなかったけど、椛の中に入ってて解った」 彰利 「うわ……そんなのアリかよ……」 悠介 「まあまあ、そう腐るな。それよりぃ……!     お前には言っておきたいことが腐るほどあったんだ!付き合ってもらうぞ!」 彰利 「え……?そんな、付き合うだんて……アタイまだ心の準備が」 バチィッ!バリバリバリィッ!! 彰利 「キャーッ!」 ダーリンがアタイに目覚めスッキリ電流攻撃を流す。 そしてにっこりと極上の笑みを浮かべて 悠介 「付・き・合・え」 と、区切るように言った。 彰利 「イ、イエッサ……!」 悠介 「よし。それじゃあまずひとつ聞かせろ。     どうして俺の記憶から自分を消すようなことをしたんだ」 彰利 「……へ?なにそれ」 悠介 「ゼノとの戦いのあと、月日が経ってから俺の記憶からお前を消しただろ?」 彰利 「いや……だから、なにそれ」 悠介 「………」 彰利 「……?」 悠介 「ほんとに知らないのか?」 彰利 「ああ。だって俺、そげなことしてねぇもん」 悠介 「…………じゃあ、あいつは……?」 ダーリンが首を傾げて悩んでる。 なにが言いたいのやら……まあいいコテ。 彰利 「あ……それよりよ、ひとつ聞いてくれダーリン。     このあいだ、妙な男と会ったとですばい。     なんか泣いてるからつい声かけてもうて。     話聞いてみれば、幼馴染が死んでしまったらしいじゃないか。     だから気を紛らわせてやるために馬鹿やったんだが、     おもいっきりアッパーされてしまった」 悠介 「へぇ……どんなヤツだった?」 彰利 「キャワユイ霊を連れてる男だったぞ。     年齢は……そうだな、今のダーリンと同年代っぽかったな。     そんで名前は確か……ウム、凍弥くんだ」 椛  「───え?」 彰利 「ぬ?」 お孫さんが声を発した。 信じられない、といった感じでアタイに熱い視線を送っている。 ……まいったな、こんなところにも俺を慕う女性が 悠介 「なぁ彰利よ。なにやら異様にお前を殴りたくなったんだが」 彰利 「ゴメンナサイ、もうお孫さんを侮辱するような思考を働かせたりしません」 悠介 「よろしい」 ……うう、ダーリンが怖ェYO……。 いつから思考回路を読めるようになったのYO……。 ヒドイじゃないのYO……。 悠介 「それで……椛?その凍弥くんとやらに心当たりでもあるのか?」 椛  「……間違いでなければ。凍弥という名前なら憶えがあります」 彰利 「ほへ?そいつって月詠街に住んでるんかい?」 椛  「いえ」 彰利 「そいつと会ったの、弦月屋敷の近くの……俺と悠介が初めて会った場所だぞ?」 悠介 「へえ……」 椛  「多分間違いないと思います。あの街には来ていましたから」 悠介 「そうなのか」 椛  「おじいさまも知っている筈なのですが。わたしの死神と対立した男の人です」 悠介 「…………あーあーあー、あいつのことかっ!」 彰利 「誰?」 悠介 「……お前も会ってるんだろうが」 彰利 「あ〜ん?知らんなぁ〜……」 悠介 「そうか。それで椛」 ……ひでぇ、思いっきり軽く無視しやがった。 悠介 「そいつとは仲良くやってるか?」 椛  「………」 悠介 「椛?」 椛  「最近……彼の様子が変でした。     何があったのかは解らなかったけれど、話を聞いて解った気がしました。     知り合いを……亡くしてしまったんですね……」 悠介 「………」 ……ぬう、ダーリンとハニーが暗くなっちまった。 アタイのことは狂おしいほどに無視してくれちゃってるくせに。 くそ、こんなことならムスカチックにあの男を始末しておくべきだったわYO! そう、せめて閃光手榴弾でも手渡しして……! 彰利 「うっふっふ……」 悠介 「んー───……様子が変って、アレのことか?」 彰利 「え?」 椛  「……?」 Next Menu back