───人間失格?───
ドシュシュッ!バオバオッ!ビッ!ブバッ! でげででげででげでで〜ん♪ 彰衛門「小娘よ、これで貴様は種の育て方を知った」 神の子「ん……よく解らない」 ぬう、人がせっかく霊幻道士の音楽まで…… 隆正 「彰衛門」 彰衛門「なんじゃね童(わっぱ)」 隆正 「それって、埋めればすぐに生えてくるんじゃないのか?」 彰衛門「そんなものがあったら食文化は変わりますよ?」 隆正 「うーん……」 神の子「どうすればいいの?」 彰衛門「む……かなり難しいぞ?出来なくても泣くんじゃありませんよ?」 神の子「へーきだよ、あきえもんがおしえてくれるならできるもん」 彰衛門「む、むうう……」 なんと可愛らしい……! あ、いや……アタイは普通の女性が好きなのだ。 これじゃあ変態オカマホモコンがますます定着してしまう。 彰衛門「いいかね?まず種を埋めます」 神の子「うん」 彰衛門「次に、育ってほしいと念じるのです」 神の子「……ん……」 小娘は種の埋まった土に手を掲げ、目を閉じた。 念じる、といった言葉から、そういう風にするのがいいと思ったんだろう。 神の子「……のびた?」 彰衛門「いえ全然」 神の子「うー……」 わくわくとした風に俺を見上げた小娘は、また難しそうな顔をして手を掲げた。 隆正 「ほんとにそれで伸びるのか?」 彰衛門「貴様には見せたではないですか」 隆正 「それはそうだけど……それって」 彰衛門「カァアーーッ!」 隆正 「うわっ!?」 俺はうだうだと言う小僧を引っ掴んで口を寄せた。 彰衛門(なにを考えているのかね貴様は……!     ここで小娘の中に産まれ出た夢の芽をいきなり摘みとる気かね……!) 隆正 (で、でもさ) 彰衛門(でももヘチマもね!) 隆正 (う……ご、ごめん) 彰衛門(解ればよろしい) まったく、こういう輩がおるから夢を持つ者が少なくなるんじゃい。 神の子「……わぁ、あきえもん、あきえもんっ」 彰衛門「うん?どうかしたかね小娘」 神の子「みてみてっ!すこしのびたよっ!」 隆正 「え……」 彰衛門「な、なんと!」 見れば、梨の種からは芽が出ていて、少しだが空へ向けて伸びようとしていた。 神の子「えらい?ね、えらい?」 彰衛門「……うむ、よくやったの、小娘」 そう言って頭を撫でてやった。 こういう子供らにはなるべく人の暖かさを与えてやりたい。 俺や悠介みたいに、人の黒い部分ばっかり見るんじゃなくて……。 神の子「え、えへへへ……」 小娘は嬉しそうに、そしてくすぐったそうにして俺に撫でられていた。 それはまるで、親に誉めてもらった純粋な子供のようだった。 隆正 「すごいなー……あ、俺にも出来るかな」 彰衛門「出来るぞ」 隆正 「ほ、ほんとかっ!?」 彰衛門「ウソじゃ」 ぼごぉっ! 彰衛門「ギャア!な、なにをなさるの!?」 隆正 「どうしてウソばっかり言うんだよ!」 彰衛門「グウウムムウ……!小僧ったらシャレが利かないんだから……!」 隆正 「彰衛門が『夢を芽を摘み取るな』って言ったのに、     いきなり俺の夢を壊してどうするんだよ!」 彰衛門「すまんですタイ」 それにしても……むう。 この小娘、さすがは神の子よのぅ。 まさか種の時を操れるとは。 神の子「えへへ〜……ほめられちゃった〜……」 小娘はもうルンルンだ。 彰衛門「頭撫でられるの、好きか?」 神の子「うん、あきえもんのて、おっきくてあったかいからすき〜」 キャア!初めて人に好きって言われちゃった……! 彰衛門「………」 神の子「?」 これで小娘でなけりゃあねぇ。 でも勘違いをおしでないよ、この小娘には小娘なりのカワイイところが満載ですから。 彰衛門「あ、しかし小娘よ。ひとつだけ約束しなされ」 神の子「なに?あきえもん」 彰衛門「よいですか?その能力は特別なものです。     誰に言うにも『わたしは魔法使いです』と言うのを忘れないように努めなされ」 神の子「まほ……つか?」 彰衛門「魔法使いですじゃ。よいですな?じいやと約束できますかな?」 神の子「……うん、あきえもん、わるいひとじゃないってわかるもん」 彰衛門「そうですか、光栄ですな。では、指きりをしようなぁ」 神の子「ゆびきり?」 彰衛門「うむ、指きりじゃぁ。これは約束というカタチの無いものを結ぶ行為ですじゃ。     よいですな?さ、小指を……」 アタイが小指を出すと、小娘もおずおずと小指を出した。 彰衛門「こう小指を絡めて上下に揺らすのですじゃ。掛け声を忘れずに。     ゆーびきーりげーんまん、ウーソつーいたーらはーりせーんぼん、のーます。     ゆーびき〜った♪」 スッと指を離すと、よく解らない、といった感じに小娘は首を傾げた。 隆正 「……なぁ、彰衛門」 彰衛門「なんぞね?」 隆正 「さっきのやつのやりかた、教えてくれよ」 彰衛門「さっきの?……ロメロスペシャルか?」 隆正 「名前なんて知らないよ。さっき俺にやったやつだ」 うむ、ロメロだ。 彰衛門「よし!それではこれから貴様にロメロスペシャルのやり方を伝授する!」 隆正 「あ、ああ」 ドシュシュッ!バオバオッ!ビッ!ブバッ! でげででげででげでで〜ん♪ 彰衛門「うむ!これで貴様はロメロスペシャルを使えるようになったぞ!」 隆正 「う……いてて……教えるためだからって何度も仕掛けるなよ……」 彰衛門「馬鹿者!勉強以外は何事も経験なのだ!     よいな、このロメロ、末代まで……いや、来世まで伝えてゆくのですよ!?」 隆正 「……よく解らないけど、解った。俺も彰衛門は信用してるし」 彰衛門「うむうむ、素直な小僧じゃて。じいやは嬉しいぞえ」 うむ、現代でも俺の周りに居るやつらがこれほど純粋だったら最強なのにのぅ。 彰衛門「おおそうじゃ。小僧、小娘、貴様らどうやってここに来た?」 隆正 「どうやって……って?」 彰衛門「ホレ、小娘は神の子だとか言われておったでしょう。     それを勝手に連れ出せるほど、村の連中がやさしいとは思えんのじゃが?」 そうじゃよー?いきなりアタイをボコるようなヤツらがそれを許可するとは……。 神の子「わたしが、たかまさといっしょにいたいからついてこないで、っていったの」 彰衛門「……ふむ、なるほどの。     村の者としては、神の子の言葉を受け入れる他、なかったわけじゃな?     まああれじゃ、     自分を時空の覇者から救ってくれた人に懐いたと思っておるのじゃな」 神の子「そうなのかな」 彰衛門「そうじゃて」 力強く頷いてみた。 勝手な構想だが、かなり信憑性が高いからだ。 アタイ自身、こんな構想がピッタリとフィットするとは思わず、なんだか気分がいい。 彰衛門「おお、そうじゃ小娘。結局貴様の名前はなんなのじゃね?」 結局会ってから一度も答えてもらってねぇズラ。 神の子「……うー……わたし、なまえない」 だがあっさりと落とされた。 彰衛門「むう、産みの親があれじゃあ無理も無いかもしれんが」 隆正 「うーん……純之上の時は、産まれた子には名前があったらしいんだけど。     舞いをしていた人が何かの声を聞いて、     その神が産まれた時には最初からもう名前があったって」 彰衛門「グムウ……して、そやつの名は?」 隆正 「葉流……だったっけな」 彰衛門「はる?ぬう、そうなのか」 最初から名前が……のぅ。 彰衛門「ぬ?」 ふと小娘を見ると、どこか寂しそうに俯いていた。 彰衛門「どうしたんだ小娘この野郎。悩みがあるなら言いやがれ」 アタイは出来るだけやさしく声をかけた。 隆正 「そんな言いかた無いだろっ!?」 彰衛門「なにをおっしゃる!素晴らしいほどにやさしい声でしたよ!?」 隆正 「声がやさしくても言葉がひどすぎるって言ってるんだ!」 彰衛門「グ、グムーッ!!」 この小僧、言うようになったわ……! 彰衛門「して、どぎゃんしたのかねぇ〜?」 某・蛇使い限定ホンコン警察の真似をしてみた。 隆正 「………」 何故か小僧に冷めた目で見られてしまった。 隆正 「あのさ……おもってたんだけど、彰衛門って馬鹿なのか?」 彰衛門「馬鹿とはなんだコノヤロウ!」 隆正 「だってさぁ……」 彰衛門「さぁ小娘、こげな小僧は無視して、この彰衛門にそっと話してごらん」 隆正 「あっ、こらっ!」 彰衛門「しぇからしか!」 隆正 「う……く、くそう」 小僧を片手で軽くあしらい、小娘に語りかける。 神の子「あきえもん……」 彰衛門「ん?なんじゃね?」 神の子「…………わたし、できそこないなのかな」 ぬ……。 彰衛門「なぜ、そう思うのかね?」 神の子「だって……まえにうまれたこはなまえがあったのに、わたしにはないし……」 彰衛門「むうう……なんと、小僧の心無い一言がここまで小娘を傷つけていたとは」 隆正 「なっっ……俺の所為にする気かよっ!」 彰衛門「事実じゃ。受け入れよ、この外道」 隆正 「外道って言うなっ!」 彰衛門「おやめなさい!小娘が泣いている時に我らがいがみ合ってどうするのです!」 隆正 「ぐっ……!」 彰衛門「ふぁ〜……ったく、カスが。そんなことも解らんのかね」 隆正 「カッ……ぐぐ……覚えてろよ……!」 彰衛門「忘れましたじゃ」 心底俺を睨んでいる小僧を無視し、小娘に向き直る。 神の子「あきえもん……わたし、ずっと『かみのこ』っていわれていきていくの……?」 彰衛門「それは……」 ……不憫だ。 それは人として見られないだけで、相当に可哀相だ。 だって、この小娘自体が神として見られるのを嫌がっている。 それをそんな風に呼ぶのは間違ってるだろう。 彰衛門「……そうじゃ。じいやが名付け親になってあげましょう」 神の子「え……ほんとっ?」 彰衛門「ええほんとですとも。じいやはいつだって貴様らの味方じゃよ?」 神の子「ありがとう、あきえもんっ」 小娘は屈んでいたアタイに抱き着いてきて、小さく涙を散らした。 彰衛門「……産まれてから一日しか経っていない子が、     どうしてこんなにも辛い思いをしなければいけないのか……。     それもこれも小僧が心無いことを言うから……」 隆正 「だからっ!俺の所為にするなってば!」 彰衛門「あ〜ん?聞こえんなぁ〜」 隆正 「『俺たち』の味方じゃなかったのかよぅ!」 彰衛門「味方じゃよ。よいかね小僧。     人というのはですね、言葉ではいがみ合っていても、     心で分かり合えるものなのです。よいですか?     例えばひとりの友人が居たとしよう。     そしてその友人を心から信頼するとする。貴様はそれが出来るかね?」 隆正 「信頼って?」 彰衛門「例えばの話じゃ。その友達と、よく解らん言葉で言い争うとする。     だが、心の中で信頼していればどんな言葉を吐かれても平気なんじゃよ。     それを、『盟友』と云うのじゃ」 隆正 「盟友……」 彰衛門「いがみ合っても、常に笑い合え、信じ合える存在じゃ。     よいかね小僧。この言葉、しかと心に刻み込んでおきなされ。     心からの信頼とは、突然現れた輩が口にしていいものではござらん。     時には拳を交え、時には怒り合い、笑い合い……     そやつの隣がなんとも居心地がよいと思えた時、心が自然に決めることじゃ」 隆正 「………」 彰衛門「解ったらこの拳に貴様の拳を合わせなされ」 アタイは拳を虚空に掲げた。 隆正 「………」 彰衛門「どうしたのかね?さあ」 隆正 「……できない」 彰衛門「なぜかね!?」 隆正 「俺、まだちゃんと彰衛門のことを知ってないから。     そんな状態で『盟友』になろうなんて、なんか間違ってるよ」 彰衛門「〜〜〜……!!」 こ、こやつ……なんと男の目をする小僧か! 彰衛門「合格じゃ!」 隆正 「えっ!?」 彰衛門「小僧、よくぞアタイの試練に耐えたの!アタイは嬉しいぞえ!     これで拳を合わせてきたらポセイドンウェーブをキメておったところじゃ!」 隆正 「ぽせ……?」 彰衛門「ぬ?なんじゃ、ポセイドンウェーブを知らんのか?」 隆正 「うん。彰衛門の言うことって解らないことだらけだ」 彰衛門「そうかそうか!ならば貴様にポセイドンウェーブを伝授する!」 隆正 「えっ……もういいよ、俺、痛いの嫌だし……」 彰衛門「ダメじゃ!」 隆正 「ひぇえ……!」 ドシュシュッ!バオバオッ!ビッ!ブバッ! でげででげででげでで〜ん♪ 彰衛門「うむ!これで貴様はポセイドンウェーブを体得したぞ!掛け声を忘れるな!」 隆正 「………」 彰衛門「オヤ?小僧?どうした小僧!返事をせんか小僧!小僧!?小僧!」 小僧はアタイのポセイドンウェーブ(反動ラリアット)をくらいまくって、 大地に倒れてぐったりしていた。 彰衛門「むう、これはイカン」 神の子「たかまさ……?ねぇあきえもん、たかまさ、だいじょうぶ?」 彰衛門「なに、見ておきなされ。このような時はですね……む〜……ベホイミ♪」 パァア……! 神の子「わっ、ひかってるよあきえもん!」 彰衛門「うむうむ、じいやは魔法使いじゃからの。傷を治すのもお手のもじゃよ」 神の子「………」 彰衛門「うむ?どうしたね、小娘」 神の子「ん……あのね、あきえもん。なんか……このひかり、なつかしいきがするの」 彰衛門「懐かしいとな?」 神の子「うん。うまれるまえに、こんなあったかさにまもられてたきがして……」 彰衛門「……そりゃあ」 そうでしょう、と続けたい気分です。 アタイの髪が真っ白になるまで吸収しておったんですから。 彰衛門「……ぬ!そうじゃ小娘、貴様がやってみなされ」 神の子「わたしが?」 彰衛門「そうじゃ。小僧を助けたいと願い、手を翳(かざ)すのです」 神の子「……うー……むずかしい」 彰衛門「安心するんじゃ、じいやが付いておるでよ」 そう言って、その小さな体を抱き締め、頭を撫でてやる。 彰衛門「じいやは楓巫女は立派に育つことを信じておる。だから、やるのじゃ」 神の子「かえでのみこ?」 彰衛門「そうじゃ。小娘、貴様の名じゃ。     じいやは『紅葉』が好きでの、楓も秋の紅葉のひとつじゃ。     そして楓巫女、貴様は産まれながらにして巫女装束を纏っていた。     だから、楓巫女じゃ。『の』がついておるのは昔風にするためじゃ」 楓巫女「かえでのみこ……」 彰衛門「どうじゃな?気に入ってもらえるかのぅ」 楓巫女「……うんっ!あきえもん、ありがとうっ!」 彰衛門「うむうむ……」 大地に沈んでいる小僧を完璧に無視し、アタイと楓巫女は微笑み合った。 彰衛門「さ、小娘。小僧を癒してあげなされ」 楓巫女「あきえもん、あきえもん」 彰衛門「うん?なんじゃね?」 楓巫女「こむすめ、じゃなくて、かえでのみこ」 ぷくっ、と可愛く頬を膨らませる楓巫女。 その時になって初めて、名づけたというのに小娘呼ばわりしている自分に気づいた。 彰衛門「お……ほぉっほっほ、そうじゃったの、いやすまんすまん。     じいやとしたことが、ついうっかりの。すまんかったのぅ、楓巫女」 楓巫女「むー……」 そっぽ向いていじける楓巫女の頭を撫でてやる。 するとあっと言う間もなく、満面の笑みで振り向いた。 彰衛門「それでは、修行の続きをやりますぞ」 楓巫女「うん、あのね、あきえもん」 彰衛門「なんじゃね?」 楓巫女「……えへへ……」 楓巫女は、にこ〜と微笑み、小さく俺に抱き着いて言った。 楓巫女「あきえもん、だ〜いすき♪」 彰衛門「!!」 ズッギャァアーーーーンッ!!!!! 彰衛門「は、はぁあ……!」 だ〜いすき……だ〜いすき……だ〜いす……だ〜…… 彰衛門「はっ……ハワアアアア……!!!」 ヤ、ヤバイ……ヤバイですよ!?なんですかこの反則技!! 心が鷲掴みにされた気分ですよ!? 彰衛門「ぐっ……く、ゴォオオオッ……!!」 その小さな体に伸び始めている手を、全理性をもって押し留める。 このまま感情に流されるがままに楓巫女を抱き締めたら、 おそらく加減しらずに抱き締めることになり、 家系の腕力をもって楓巫女を苦しめることになる! そして更に変態オカマホモコンの『コン』の部分を自分で認めることになるっ!!! そ、それだけはならねぇ!! 彰衛門「ひ……ひぎゃああああああああっ!!!!」 コメカミの血管がミチミチと音を立て、耳からは謎の汁が出る。 その間にも、楓巫女は俺の厚い胸板に(和服だから胸部分は出てるの)頭を摺り寄せて 彰衛門「キャッ……キャーーーーーーーーッ!!!!!!!」 り、理性が!俺の理性がぁああああああっ!!!! かっ……カワイかぁーーーっ!!カワイかよこの娘ッコ!! やべぇよマジでやべぇよ!! どうするアイフル!?いやアイフルじゃねぇ! アイフルの犬がなんぼのもんじゃい! 楓巫女「……?あきえもん……?」 胸に抱きついている楓巫女が、俺を見上げる。 彰衛門「な、なななななんじゃ、ね、ねねねね……?」 こちらも悟られないように全月操力を理性へと変換させ、微笑んでみせる。 楓巫女「あたま……なでなでしてくれないの……?」 潤んだ瞳で俺を見上げ、そんなことを言ってく……ガ、ガガガ……。 彰衛門「………………ッ!!」 ヤ、ヤバかぁーーーっ!! り、理性が!ワシの理性がぁあ〜〜っ!! ここはアレだ!某格闘ゲームの錬金術師のように分割思考で乗り切ろう!! ──────分割思考開始 彰衛門「皆のもの!この状況を如何に思う」 思考1「犯っちめぇ!」 彰衛門「いきなりかよ!死ねボケ!1番停止!」 思考2「キスだキス!押し倒せ!」 彰衛門「馬鹿野郎!楓巫女は俺を信頼してくれてんだぞ!?2番停止!」 思考3「力いっぱい抱擁しろ!神の髪の臭いを嗅いで昇天ぞ!」 彰衛門「変態かてめぇ!てゆうか寒いギャグ使ってんじゃねぇ!3番停止!」 思考4「やさしく抱き締めて『愛してる』って言え!源氏物語知ってるだろ!?」 彰衛門「俺にはあんな変態嗜好はねぇやい!4番停止!!」 思考5「解らないか?こんな思考がある時点で貴様には変態嗜好が」 彰衛門「キャアアアッ!!5番停止!!」 思考6「犯っちめぇ!!」 彰衛門「またかよ!6番停止!!」 ───ブツッ…… 彰衛門「ややっ!?」 突然、世界が真っ暗になった。 彰衛門「アイヤー!?思考停止しすぎちゃったヨー!!」 ───……ドシャア。 真っ暗で何も見えんが、思考の中に居た俺は自分が倒れたことを悟った。 楓巫女「あきえもん!?あきえもんっ!どうしたのっ!?」 すまんのぅ楓巫女、ワシには辛過ぎた選択だったんじゃ……。 寝て目覚めれば煩悩も去っておることじゃろう……。 そして目覚める。 彰衛門「グウウ……ムムウ……!!」 と、そこには泣き顔の楓巫女。 楓巫女「あっ……あきえもん!あきえも〜ん……!!」 彰衛門「ややっ、どうされた!?」 『どうなされた』じゃないのがポイントである。 楓巫女「うっ……あぅう……とつぜんたおれたから、しんじゃったのかとおもった……」 彰衛門「むうう……アイアムソーリー、ヒゲソーリー」 ひとまず謝ることにした。 全然謝った気がしないのは気の所為だろう。 楓巫女「あいあむ……?」 彰衛門「アイアムソーリー、ヒゲソーリー。最強の謝罪の言葉ですじゃ」 楓巫女「わぁ……そうなんだ」 彰衛門「うむ」 かなり違うけど。 彰衛門「さて……小僧はどうなりましたかな?」 楓巫女「たかまさ?……あ、まだなおしてない」 彰衛門「なんと。それはいけませんぞ楓巫女。さ、治してあげましょう」 楓巫女「でも……わたし、できるかな……」 彰衛門「……もっと自分を信じるのです。     あなたには可能性がある。それを、忘れてはなりませぬ」 楓巫女「……うん」 未だに倒れたままの小僧に歩み寄り、その傍にどっかりと座る。 彰衛門「さあ小僧。今から治してしんぜよう」 不慣れな楓巫女を影でサポート。 むう、最強じゃないですか。 こうすることで少なからず、自分に自身が持てることでしょう。 彰衛門「さ、始めますぞ」 楓巫女「………」 彰衛門「楓巫女?」 楓巫女は俺の方をちらちらと見て、ふと、パタパタと軽く走り寄る。 そして俺の股の間にちょこんと座って俺を見上げてにっこりと笑った。 彰衛門「!!」 ズッギャァアアーーーンッ!!! 彰衛門「は、ああ……!!」 思わず摩利支天さまに念仏を捧げたい状況がここに!! 楓巫女サンたらアタイの股の間に座って、俺の真似して小僧に手を掲げてるんですよ! た、たぶんアタイの真似をしたら上手くなれるんじゃないか、とか…… そ、そげなことさ思考なさってるんじゃ……ア゙ァアアアアアアアアアアアッ!!!! 楓巫女「あきえもん、どうやればいいのかな」 彰衛門「ゴガギギググゲゲ……!!」(みちみちみちみち……) 楓巫女「んと……なおしたいっておもうんだよね?」 彰衛門「ギョッ……ギョゲガグゲゴ……!!」(ぶちっ!めちめちっ!) 楓巫女「あきえもん?」 途中、血管がみちみち鳴ること数回、何度か切れるような音が聞こえること数回。 アタイは多少産まれた免疫細胞を活性化させることでなんとか凌いでいた。 彰衛門(い、いかん……楓巫女は俺を信頼して教えを乞おうとしてるんだ……!     それをこんなフシダラな気持ちで接してみろ……!     この娘の将来が危ういじゃないか……!馬鹿か俺は……!     集中しろ集中……!集中……集中……集中……!) 楓巫女「あきえもんてば」 ことん、と。 楓巫女が俺の体にもたれかかって俺を見上げ───ぷちっ。 彰衛門「あ」 キャア!何かが切れた! 彰衛門「ギョッ……」 楓巫女「あきえもん?」 彰衛門「ギョギョキヒエェエエーーーーーーッ!!!!!」 俺は抱き締めようとした手を全ての力を持って押さえつけ、梨の木の幹まで走った。 その際、突然立ち上がった所為で楓巫女がころんと転がったことに関して、 俺はとてつもない罪悪感を覚える。 楓巫女「ふぐっ……あ、あきえもん……?」 彰衛門(ぐおっ……!) びっくりしたのか、少し涙目になって俺を見つめる楓巫女。 彰衛門(な、なんなんだこの罪悪感は……!     かつてこれほどまでにこんな思いを抱いただろうか……!     ま、まさかこれって俺の……俺の……) 俺の初恋!? 彰衛門「………」 …………。 彰衛門「イヤァアアアアアアアッ!!!!こんなの俺じゃねィェーーーッ!!!!」 ガスゴスガスゴスガンガンガンッ!! 彰衛門「素直になぁれ素直になぁれ!悪魂退散悪魂退散綺麗な魂戻ってこい!」 楓巫女「あきえもんっ!?」 梨の木に自分の頭を打ちつけまくる。 加減無しの頭突きはあっさりと血の雨をもたらし、俺を死に近づける。 彰衛門(ああ、天国の母さんごめんなさい!     俺はどうやら幼子に……しかも自分を信頼してくれる娘ッコに、     なんともしがたいが恋をしてしまったようです!!) 楓巫女「やめてよあきえもんっ!ちがでてるよっ!」 彰衛門「母さん!俺は……俺はっ……俺は汚れない自分が大好きでしたっ……!」 やがて自分の恐ろしい思考に畏怖を抱き、力なくその場に崩れ落ちる。 ……出血多量とも言うが。 楓巫女「あきえもん、けがれてなんてないよ……だって……」 彰衛門「ぬ……」 楓巫女が俺の正面に立ってにっこり笑う。 楓巫女「あきえもん、とってもすんだこころ、もってるもん」 彰衛門「楓巫女……」 なんということだろう。 こんな子供に救ってもらうことがあるなんて。 モヤのかかった心に朝日が差してゆくように、心が晴れ渡ってゆく。 本当になんということだろう。 俺は楓巫女の純粋な笑みに『女性のやさしさ』を感じてしまった。 そして無意識に楓巫女の手を取って 彰衛門「か、楓巫女……お、俺は楓巫女のことが……」 楓巫女「あきえもん?」 彰衛門「す、す……キャアアアアアーーーーーーーーーーッ!!!!!」 慌てて理性を総動員させ、次の行動への思考伝達を掻き消す そして払いのけるようなことはせず、なんとかやさしく楓巫女の手を離し 彰衛門「素直になぁれ素直になぁれ!悪魂退散悪魂退散綺麗な魂戻ってこい!」 再びガンゴンガンゴンと梨の木に頭突きをする。 なに考えてんだ俺ゃーーーッ!! 生後1日の幼女になにマジで告白しようとしてるんだ俺ゃーーーッ!! 彰衛門「イヤァアアーーーッ!!もうお天道様の下歩けねぇーーーーっ!!」 ああ母さん……ぼくは……ぼくは……! ぼくは『本気で変態オカマホモコンかもしれない』と、 そう思ってしまった自分が……なんとも情けない限りです……! そして恥ずかしくて死にそうです……! 楓巫女「やめてよあきえもん……わたしがなにかしちゃったならあやまるから……!     だからそれいじょうあたま、ぶつけないでよぅ……しんじゃうよぅ……!」 彰衛門「ぬ……!」 い、いかん!なにをやってるんだ俺は! 落ちつけ!これはいかんよ! 俺、傷つく⇒楓巫女が泣く⇒俺、良心がとてつもなく痛む⇒何かが切れる⇒暴走 エンドレスじゃん! 彰衛門「や、やめます故……もう泣き止みめされぃ楓巫女……」 楓巫女「……ほんとに?」 彰衛門「うむ、じいやもちょっとおかしかったようじゃの。     なんともないから大丈夫じゃ」 楓巫女「……よかった……」 心底安心した顔で、涙も拭わずに俺の服の裾を掴む楓巫女。 むう……悪いことをしてしまった。 ここは男として、涙くらいは拭ってあげませんと。 彰衛門「ほら、泣き止みめされい。かわいい顔が台無しですよ?」 楓巫女「うぐっ……でも、あきえもん血だらけ……」 彰衛門「お?おお、そうだった」 これはいかん。 彰衛門「すぐ治す故、少々お待ちなさい」 楓巫女「あ、まってあきえもん」 彰衛門「なんじゃね?」 楓巫女の制止に、俺は治療を止めた。 楓巫女「……わたし、なおしてあげたい」 彰衛門「治すって……あっしの頭の傷をですかい?」 楓巫女「うん」 彰衛門「それはありがたいですが……出来ますかね?」 楓巫女「うん……なにか、できるようなきがするの。だから」 彰衛門「……よろしい。任せましたぞ、楓巫女」 楓巫女「うんっ」 眩しい笑顔で頷く楓巫女に全てを任せ、俺は休憩をとることにした。 Next Menu back