───きのこのこのこげんきのこ───
楓巫女「うー……」 それから感覚的に10分。 楓巫女は『うー』とか『むー』とか言っていた。 時折癒しの力が流れてくるが、それもすぐに別の波動に変わってしまう。 癒しの波動がどういうものなのか、まだ把握できていないようだ。 楓巫女「んー……んっ」 ぽんっ! 楓巫女「わっ!」 彰衛門「む?どうされた?」 楓巫女「あ、う……なにかがでた……」 彰衛門「でた?どこに?」 楓巫女「あきえもんのあたま……」 彰衛門「なんと」 頭に触れてみると、確かになにやら触り心地の良い物体があった。 このカタチは……キノコ!? 彰衛門「ウヒョオ、人間冬虫夏草だー♪って、楓巫女さん」 楓巫女「ご、ごめんなさいっ」 彰衛門「いえいえ……これ、なんとかなりませんかね」 楓巫女「あ……」 彰衛門「抜けるかな」 楓巫女「うーん……」 ぐいっ……すぽんっ! 彰衛門「おお、軽く抜けた……って、なにぃ!?これは幻の松茸ではないか!」 楓巫女「まつ……?」 彰衛門「松茸ですよ楓巫女。これはキノコの中でもたいへん美味とされる食べ物です。     どれ、焼いてみましょうか。……ブラスト」 ちゅぼんっ! 楓巫女「わっ」 彰衛門「どれどれ……うむ、茎も縦に裂けるから毒キノコではないようですし。     こんなところで萌先輩の言葉が役に立つとは」 楓巫女「もえ?」 彰衛門「いえいえこちらの話です。えーと……まずはお毒見つかまつる」 モグリ。 モニュモニュ……。 彰衛門「はっ、こ、これは……」 楓巫女「あきえもん?」 彰衛門「うぅーーーーまぁーーーーーいぃーーーーぞぉーーーーーーっ!!!!」 ゴシャアアアアアアアアアアアアンッ!!!!! 楓巫女「ひゃっ……!」 つい、口から光を放ってしまうくらいに美味! ああ、そういや俺、松茸食ったの初めてだ! 彰衛門「うむ!毒物の反応も見られぬ!さ、楓巫女、食べてみなさい」 楓巫女「え……ひかり、でない?」 彰衛門「大丈夫じゃ。あれはじいやが自分で出した光じゃて」 楓巫女「う、うん。それじゃ……」 かしっ……。 本当に小さく、楓巫女はキノコを食べた。 そしてしばらく口を動かして…… 楓巫女「わっ……おいしい!おいしいよあきえもん!」 彰衛門「そうじゃろそうじゃろ!さ、どんどんおあがりなさい!」 楓巫女「あ……でも、たかまさのぶんは?」 彰衛門「なに、なんとなくコツを掴みました故。よく見ておきなされ」 楓巫女「?」 楓巫女がさっき俺に流した波動。 それは月然力に近いものだった。 とすれば…… 彰衛門「……むんっ!」 ぽんっ! 楓巫女「わっ」 彰衛門「どうです?出ましたでしょう」 楓巫女「う、うん。おなじのがでた」 ビンゴ!どうやら俺の頭には松茸菌があるらしい。 彰衛門「………」 てゆうことはアレですか? 俺の頭の中って松茸菌でいっぱいってことですか? 彰衛門「……素直に喜べねぇ……」 いや、美味いけどさ。 楓巫女「はふ……おなかいっぱい」 彰衛門「それはよかった。またいつでも言いなされ、じいやがご馳走してあげましょう」 楓巫女「うん、ありがとうあきえもん」 彰衛門「ほっほっほ、なんのなんの」 ……なんかいつの間にか老人語が定着してるよな、俺。 彰衛門「さ、治療を続けますか」 楓巫女「うん」 俺の言葉に素直に頷き、楓巫女は俺の頭に手を翳した。 彰衛門「あ、ちょいとお待ち、楓巫女」 楓巫女「え……どうしたの?あきえもん」 彰衛門「いえですね。ちょっとコツをお教えしましょう」 楓巫女「こつ?」 彰衛門「そうです。さ、じいやの手を握ってみなされ」 楓巫女「うんっ」 差し出した手をきゅっと掴んで、どこか幸せ全開顔の楓巫女。 俺はその手に月生力の波動を流してみる。 楓巫女「あ……」 彰衛門「よいですな、お嬢。これが癒しの波動でございます」 楓巫女「おじょうじゃなくて、かえでのみこ……」 彰衛門「ぬ……これは失態でしたな」 どうやら楓巫女という名前を気に入ってくれたらしく、他の呼ばれ方が嫌らしい。 楓巫女「ん……」 楓巫女は癒しの波動を感じ取っている。 やがて…… 彰衛門「お……」 その波動が、楓巫女の方からこちらに流れてきた。 それから間も無く、俺の頭の痛みも消えた。 彰衛門「おお……お見事ですぞ楓巫女!じいやは……じいやは嬉しい限りですじゃ!」 楓巫女「え、えへへ……」 成功したのが嬉しかったのか、楓巫女は顔を赤くして照れた。 彰衛門「さ、次はあの小僧を癒してあげてくだされ。     もはや一刻近く、ああやって倒れている気がします故」 楓巫女「………」 彰衛門「楓巫女?」 楓巫女「………………」 じぃ〜〜〜〜……っと、俺を見る目。 あれ……俺、なにかしましたっけ? 楓巫女「………」 彰衛門「どうされた?」 楓巫女「……ぁぅ」 小さな声で、落ち込んだような声を漏らした。 イカン、俺はなにやらやってしま……あれ? 楓巫女「………」 なにやら俺をちらちらと見て……いや、手?手を見てるのか? 彰衛門「……ああ、そっか」 つまり、上手く出来たご褒美が欲しかったんだ。 彰衛門「……おいで、楓巫女」 楓巫女「っ……うんっ」 その言葉を出した途端、楓巫女ははじける笑顔で俺に抱き付いてきた。 俺はそれをやさしく受けとめてやり、頭を撫でてやる。 そんな時に思う。 いくら学習能力が高くても、この子はまだ子供なのだと。 そして俺のこの心も、恋心じゃなくて親心に近いものなのだと。 彰衛門「楓巫女は本当に偉いな。じいやは鼻が高いですぞ」 楓巫女「え、えへへ……」 楓巫女はただ、照れくさそうに俺に頬を摺り寄せていた。 隆正 「……それで、俺をほっぽって美味しいもの食べてたってことなんだ」 しばらくして自力で復活を果たした小僧は、俺を思いっきり睨んでいた。 それはどちらかというと食べ物へのことではなく、 楓巫女が俺に抱き着いていたことに対しての方が大きそうだ。 ふ、青春よのう。 楓巫女「あ、あいあむそーりー、ひげそーりー……」 彰衛門「へ?」 隆正 「………」 楓巫女が突然、謎の言葉を放って頭を下げた。 彰衛門「あ、あの……楓巫女サン?そりゃいったい……」 楓巫女「だ、だってあきえもんが、これはさいこうのしゃざいのことばだって」 彰衛門「…………ゲェーッ!!」 そういやそんなこと言ったような! 隆正 「彰衛門……今度はなに教えたんだよ……」 彰衛門「えーと……ゴメンナサイ」 素直に謝るしかなかった。 隆正 「ん?そういえばかえでのみこってなんだ?」 彰衛門「なんじゃ小僧、そげなことも知らんのか」 隆正 「な、なんだよ……」 楓巫女「んと……わたしのなまえ」 隆正 「お前の?」 楓巫女「おまえ、じゃなくて、かえでのみこ」 隆正 「あ、ああ……楓巫女……ね」 彰衛門「……おんやぁ〜?なぁに顔赤くしてンすか〜旦那ァ〜」 隆正 「う、うるさいっ!」 ぬう。 この小僧ったらアレだな、楓巫女にホの字だな。 だが……こんな小僧にワシの娘を……? かわいいかわいい楓巫女を……? 彰衛門「ならぬ!」 隆正 「わっ!な、なんだよ……」 彰衛門「なんでもござらん」 隆正 「……?」 イカンイカン、色恋沙汰は小僧どもが決めることぞ。 所詮この歴史の人物ではないアタイがどう動こうがどうにもならんタイ。 彰衛門「……っと、そろそろ夜が明けるな。     これ、小僧。そろそろ楓巫女を連れて帰りなさい」 隆正 「え?ど、どこに?」 彰衛門「ぬ?楓巫女がどこに住むかという話は出なかったのか?」 隆正 「出たけど……こんな村じゃあ神の子を住ませる場所がないとか、     そんな話ばっかりだったよ」 彰衛門「そうか」 これは困りましたな。 彰衛門「小僧の家はどうなんだ?」 隆正 「あ……俺、家なんて無いから」 彰衛門「グウウ……ムムウ……!」 どうしたものか。 楓巫女「………」 ああっ、なんか楓巫女が俺を見てるっ!? 隆正 「あ……そっか。彰衛門の家はどうなんだ?そこに住ませてやれば……」 彰衛門「なにをたわけたことを……よいか小僧。じいやは旅の魔法使いなのだ。     それが、この村に寝止まりする家を持つわけがないでしょう」 隆正 「そ、そっか……」 彰衛門「しかし……」 かわいい楓巫女を野宿させるのは絶対に許さん。 というわけで……しゃあない、一肌脱ぎますか。 彰衛門「小僧、楓巫女、付いてきなさい」 隆正 「え……なにか宛てがあるのか?」 彰衛門「道は自分で切り開いてこそ道。さ、いいから来なさい」 隆正 「ああ……」 隆正 「祭壇?ここでなにするっていうんだ?」 彰衛門「まあ見ておきなされ。これは素直な楓巫女への、じいやからのプレゼントじゃ」 楓巫女「ぷれぜんと?」 彰衛門「贈り物、という意味ですじゃ。では、まいりますぞ」 体の中の月操力を月然力に集中させ、念じる。 彰衛門「今も尚生きる力強き生命の息吹よ。     我が呼びかけに応え、我が思いのままにその形を象れ。     月然力……大樹の鼓動!」 印を解放させ、祭壇に使われた木に力を流し込む。 すると、その自然は見事に応え、どんどんと形を変えてゆく。 隆正 「うわっ……す、すげぇーっ!」 楓巫女「わぁ……っ!」 足場の板から枝が伸び、やがて緑を生して、絡まり合い、大きな大樹へと姿を変えた。 そしてその大樹は更に形を変えると、それは大きな自然の家となっていた。 隆正 「す、すげーっ!すごいよ!」 楓巫女「すごいすごい!」 長ったらしい階段の上にある祭壇は、見事に自然の神に相応しい家に姿を変えていた。 隆正 「あ、あれ?でもこれ、入る場所がないぞ?」 彰衛門「ノープロブレム!さ、楓巫女……その草の前に立ってみなされ」 楓巫女「……ここ?」 楓巫女が草の前に立つ。 すると、楓巫女の能力に反応した草木が分かれ、そこが入り口となった。 彰衛門「素晴らしいでしょう。楓巫女かじいやじゃなければ開かない家ですぞ」 隆正 「えっ!?俺は!?」 彰衛門「グウム……そうじゃのう……ここまで来て小僧だけ仲間外れなのはイカン。     おお、そうじゃ、むーん……!!」 月然力を発動させて、大樹の樹液と月然力を圧縮してひとつの琥珀色の珠を作った。 彰衛門「小僧、これを受け取りなさい。これはこの大樹と同じ生命を宿しておる。     これをこの草木の前で掲げれば、中に入れるじゃろう」 隆正 「うわぁ……綺麗だなぁ」 彰衛門「……聞いとるのか小僧」 隆正 「聞いてる聞いてる!うっひゃー、ありがと彰衛門っ!」 彰衛門「いえいえなんのなんの」 楓巫女「………」 む。 楓巫女が琥珀珠を羨ましそうに見てますぞ? てゆうか俺の袖掴んで、俺を見上げてきたし。 こ、これはアレですか!? 『縁日とかでおねだりする娘の図』ですか!? 彰衛門「……う、うううううむ。どれ、楓巫女にも創ってあげようなぁ……」 ほとほと、俺は娘には弱くなりそうだと実感した。 ……結婚して娘が出来ればの話だが。 彰衛門「さ、これをどうぞ」 楓巫女「ありがと〜あきえもん」 少し細工して創った、翡翠色の珠を楓巫女に渡した。 うーむ、こんな時にダーリンみたいな創造の理力があれば、 細工せずとも創れるんだろうけど。 し、しかし……嗚呼!この楓巫女の喜びの顔といったら……嗚呼!!嗚呼!!!! ……俺、子供が出来るなら絶対に娘がいいな。 もう最強すぎますし。 彰衛門「ああそうそう。小僧」 隆正 「なんだ?」 彰衛門「お前さ、家が無いって言ったよな?     だったらホレ、この祭壇の上まで木が続いてて、     そこにひとつ部屋作っておいたからそこで寝泊まりしろ」 隆正 「え……いいのか?」 彰衛門「構わん。このじいやが許す」 楓巫女「じいやがゆるす〜」 彰衛門「うむ、楓巫女も賛成しておるぞ」 隆正 「あ、や、う、うん……わ、わかった」 彰衛門「ほっほっほ、一丁前に照れやがってこのマセガキが」 隆正 「う、うるせぇ!」 わぁ、うるせぇって言われた。 ひとがせっかくワッショイしてやったのに。 彰衛門「そしてもうひとつ」 隆正 「なんだよ」 彰衛門「小僧、貴様は楓巫女をちゃんと楓巫女と呼ぶこと。そして楓巫女」 楓巫女「なに?」 彰衛門「あなたはこれから勉強して丁寧語を使うようになさい」 楓巫女「え……」 隆正 「なんで俺が『貴様』で楓巫女が『あなた』なんだよ!」 彰衛門「黙れ小僧!」 隆正 「うぐっ……」 楓巫女「な、なんで……?わたし、たかまさやあきえもんみたいにしゃべりたい……」 彰衛門「いえいえ、じいやはですね、じいやの真似をしろと言っているのですよ」 楓巫女「あきえもんの?」 彰衛門「楓巫女は、じいやの喋り方は嫌いですかな?」 楓巫女「そんなことないよ、だいすきだもん!」 隆正 「………」 彰衛門「そこ、落ち込まないように」 隆正 「うるせぇ!」 ウヒョオ。 彰衛門「だからですね、まずは小僧のことを隆正さまと呼んでみなされ」 楓巫女「たかまささま……?」 隆正 「っ……!」 彰衛門「照れるな馬鹿。馬鹿かてめぇはこの馬鹿。調子こいてんじゃねぇ馬鹿」 隆正 「そ、そこまで言うことないだろっ……!」 彰衛門「ともかく、丁寧語を頑張ってみなさい。     そうすると、心やさしい人に育ちますよ」 楓巫女「でも……」 彰衛門「じいやは心やさしい楓巫女が大好きですじゃ。     だから、楓巫女にはそう育ってほしいのですよ」 楓巫女「……!う、うんっ!わたしがんばるっ!」 彰衛門「ほぉっほっほ、ありがとうの、楓巫女」 楓巫女「うんっ!えへへ……」 頑張るとまで言ってくれた楓巫女の頭を撫でてあげた。 楓巫女は気持ち良さそうに目を細め、俺に抱きついてきた。 隆正 「………」 そんな中、小僧が複雑そうな顔で楓巫女を見ていましたとさ。 彰衛門「さてと。そろそろじいやは行きますえ」 楓巫女「えっ……ど、どこに?」 彰衛門「眠りにですじゃ」 楓巫女「え……いっしょにねむってくれないの……?」 彰衛門「ぐっ……!!そ、それはちと無理ですじゃ……!     じいやは修行中の魔法使いゆえ、無頼に眠る方が落ちつくのですじゃ……」 というのはウソで、今日だけで月操力使いまくったから月光浴びねばやばいのです。 月明かりを浴びてた方が、 月操力の回復が早いのを発見したのはアタイがきっと初めてYO! 彰衛門「そんなわけで、じいやは外で寝ますじゃ」 隆正 「どんなわけなんだ?」 彰衛門「むう!」 がしっ! 隆正 「うわっ!?」 彰衛門(小僧……貴様、楓巫女のことが気になって仕方がないのじゃろ) 隆正 「ば、ばかっ!そんなこと」 彰衛門(馬鹿者!小声で話さぬか!) 隆正 (う、うぐぐぐ……) 彰衛門(よいか、麿は今日、魔法を使いすぎたのだ。     その魔法の力は月明かりを浴びていた方が早く回復する。     それをしたいから楓巫女の申し出を軽やかにかわすことに協力しろ!) 隆正 (そんなこと言ったって……) 彰衛門(あ〜ん?それじゃあなにか?     貴様は麿が楓巫女と一緒に寝所をともにしてもよいと申すのかね?) 隆正 「だ、だめだっ!」 彰衛門「静かにしろって言ってるでしょうが!!」 隆正 「う……ごめん」 彰衛門「解ればよろしい。それで……」 俺達はどうやって楓巫女をがっかりさせずにかわすかを考え合った。 やがて…… 隆正 「楓巫女、今日は俺と寝よう」 ボギャアッ! 隆正 「ぶはっ!?」 彰衛門「このエロボケ魔人が!!なに考えながら生命の息吹感じてやがる!」 隆正 「い、いやごめん!他に方法が思いつかなくて!!」 彰衛門「黙れこの助平!     人に助平だの妖怪だの言っておきながらお前が欲望に素直でどうすんじゃい!」 隆正 「ごめん!ほんとにごめん!」 楓巫女「……?」 突然どつき漫才を始めた俺達を見て、楓巫女は首を傾げるだけだった。 まったく最近の小僧はこれだから…… 彰衛門「すまんの、楓巫女。やはりじいやは外で眠ることにしたよ。     今日はちょっと魔法を使いすぎたからの。月明かりを浴びないといかんのじゃ」 楓巫女「そうなんだ……」 彰衛門「すまんの」 もう一度謝って、適当に大樹を登ってゆく。 朝になったら村人に見つかりました、なんてシャレにならん。 だからこそ、楓巫女と一緒に寝るのはその確立がアップするのでダメなのだ。 くいっ。 彰衛門「む?」 楓巫女「それじゃあわたしもいっしょにねむる」 彰衛門「なっ……!」 なんとまあ!こ、この娘ったら……! なんと無邪気で致死率の高い言葉を……! 彰衛門「いいえ、ダメですじゃ」 楓巫女「どうして……?あきえもんはわたしがきらいなの……?」 彰衛門「ぬはっ……!」 こ、これまたヤバイ質問を涙目で……! 彰衛門「だ、大好きですじゃ。ですじゃが……」 楓巫女「それじゃあいっしょにねむろ?」 彰衛門「い、いえ、それがですね……」 ……! 隆正 「え?あ……」 俺は小僧にアイコンタクトを飛ばした。 助けろと。 隆正 「あ、えと……ほら、あれだよ。     せっかく彰衛門が創ってくれた家をいきなり無駄にしたら可哀相じゃないか」 おお!ナイス言い訳ですよ小僧! 楓巫女「あ……」 しかも好感触!! 彰衛門「……ふむ。言い辛かったのですが、     じいやとしても最初の日くらいは楓巫女に使ってほしいのですよ」 楓巫女「そっか……ごめんねあきえもん……」 彰衛門「いえいえ、解ってくださればそれでいいのですよ」 楓巫女「それじゃああしたはいっしょにねむってくれる?」 彰衛門「ゲッ……!あ、ぐ、グウム……」 隆正 (……そういえばさ、どうしてそこまで嫌がるんだ?) 彰衛門(馬鹿者!一緒に寝たら、朝とかに村人が様子を見に来たら捕まるでしょう!     俺は一応死んだことになってんの!解る!?) 隆正 (あ……そ、そっか……) 俺だってなぁ!俺だって楓巫女と一緒ンなって寝たいんじゃい! それをなんだい!のほほんと訊いてきおってからに! 彰衛門「まあ、そうですな。明日は一緒に眠りましょうか」 楓巫女「わぁ……ほんと?」 彰衛門「ええ、本当ですとも」 楓巫女「やくそく、だよ?」 彰衛門「うむ、約束ですじゃ」 楓巫女「ゆびきり〜」 彰衛門「む、承知」 俺は差し出された小指を小指に絡め、おきまりの言葉を言って離した。 楓巫女「えへへ……それじゃあおやすみ〜」 彰衛門「おやすみござる」 楓巫女が草木を分け、その中に入っていく。 すると草木はもう一度閉じ、そこには誰も入れなくなった。 隆正 「布団とかはどうなんだ?」 彰衛門「自然の力が保温してくれますよ。自然のぬくもりを馬鹿にしちゃあいけません」 隆正 「そっか。それじゃあ俺ももう眠るよ」 彰衛門「おやすみござる」 小僧が『スキル:木登り』駆使して登ってゆくのを見届け、 俺も適当に登って寝ることにした。 Next Menu back