───時を経ても馬鹿な人───
───そしてまた、時空を彷徨う。 そして理解する。 俺は自分の力で過去に来たのではなく、誰かに呼ばれたのだと。 既に自分の意思では操れない月空力がそれを物語っている。 いったい、この過去を俺に見せているのは誰なんだろうか。 そんなことを思っていた時、視界が開けてきた。 ……なんにせよ、こんな『運命』って言葉を見せつけるような過去を見せるヤツじゃ。 手痛い目に遭わせねばならんじゃろ。 というわけで、次に転移したらその瞬間にフェイスフラッシュしてやろう。 うむ、決めた。 彰衛門「む!」 やがて景色は色を成して定着した。 彰衛門「フェイスフラァアアアアッシュッ!!!!!」 ギシャアアアア!! 声  『うわっ!うわぁあああああああっ!!!!』 ほははははは!ひとりやふたり程度の騒ぎではないわ! みんな驚いとうぜ!? ヒャッハァーッ!作戦成功ぞグシャア!! 彰衛門「ギャア!」 自分のフェイスフラッシュの所為で地面が見えなかった。 どうやらアタイは虚空に転移させられたらしく、無様に顔面からの着地を果たし─── 彰衛門「フフフ、ド、ドジこいちまったぜ……」 転移してわずか数秒で気絶してしまった。 ───……。 『さようなら……おとうさん』 彰衛門『楓巫女……!やめろ……やめるんじゃ……!』 『さようなら……おとうさん』 彰衛門『ぬおお……!なぜ体が動かぬ!』 『……おとうさん』 彰衛門『ああ……ああもう……!』 ガバァーッ!! 彰衛門「『パパ』って呼べって言ったのに!!」 ……ややっ!? 彰衛門「ここは何処ぞ!?」 勢い良く起きあがってみれば、吹っ飛んだ布団と、どっかの部屋。 彰衛門「グ……グムウ……?」 わけが解らん。 が、なんか俺、この場所を知ってる気がしないでもない。 そして─── おなご「………」 彰衛門「………」 なにやらアタイの額にあったらしい濡れタオルを手にしたおなご。 どうやら看病してくれていたらしいが……って! 彰衛門「か、楓巫女!?」 楓巫女「……うんっ!」 なんとまあ!起きた先には楓巫女が! 彰衛門「無事じゃったのか!じいやは!じいやは……!!」 アタイは楓巫女を抱き寄せ、涙を散らした。 やがて…… 彰衛門「俺は怒ったぞぉーーッ!!!フリィイイザァアアアアアアッ!!!!」 楓巫女「え?わ、きゃあっ!!」 楓巫女を抱え上げ、振りまわした。 楓巫女「あ、あうっ!わ、わぁあっ……!う、うわぁあああああああん!!!!」 そして泣き出した頃に止めてやった。 彰衛門「楓巫女。ちょっとそこに座りなさい」 楓巫女「うっ……うぐっ……えっく……」 彰衛門「お座りなさい!!」 楓巫女「ひゃうっ……は、はい……」 アタイにこんなことをされるとは思ってもみなかったのか、 楓巫女はしゅんとしながら涙を流していた。 彰衛門「思えばじいやは楓巫女を叱ったことがなかったの……。     じゃがそれはの、楓巫女が良い子だったからじゃ……。     じゃというのに……楓巫女、なぜ自分が怒られてるか、解るな?」 楓巫女「………」 彰衛門「なんと!解らぬと申すか!!」 楓巫女「ひゃうぅっ……!ご、ごめ……なさ……!」 彰衛門「楓巫女!貴様は隆正のためとはいえ、じいやの言葉を無視して自害!     自害をしたのじゃぞ!あの時どれだけじいやが悲しんだとお思いか!     残される者の気持ちを何故考えなかったのじゃ!」 楓巫女「ふぐぅ……う、うぁああ……ん」 彰衛門「もう知らぬ!そこでいつまでも泣いていなさい!     じいやはそんな悪い子なぞ知りません!」 楓巫女「───!や、やぁああああっ!!嫌いにならないで彰衛門!」 彰衛門「知りません!」 楓巫女「あ、あきえ……う、うわぁあああああああああん!!!!!」 乱暴に部屋の襖を開け、外に出た。 部屋の中からは未だに楓巫女の泣き声が聞こえ、正直相当に胸が痛んだ。 彰衛門「……教育って……痛いなぁ……」 チャキッ……。 彰衛門「ややっ!?」 また刀ですか!? おなご「貴様……楓さまになにをした」 彰衛門「あ〜ん?それが人にものを訊く態度かね?」 おなご「なにをした!あの凛々しい楓さまがあのように泣くなど!     貴様、いったい何を!!」 彰衛門「フフフ、その刀を引っ込めたら話さんでもないがの」 おなご「ぬ……その言葉に偽りはないな?」 彰衛門「偽りはありませんですじゃ」 おなご「……む。信じよう」 ツゥー……キチン。 刀が鞘に納められた。 おなご「さあ、話を聞かせてもらおうか」 彰衛門「いやですじゃ」 おなご「なっ……!貴様!刀を納めれば話すと言ったであろう!」 彰衛門「ウソですじゃ」 おなご「おのれっ!!」 キヒィンッ!! 刀が抜かれ、一気に一閃へと繋げられ、アタイの手が空を飛んだ。 おなご「はっ……!?」 彰衛門「ギャッ……ギャアーーーーッ!!!」 手首からぶしーーっ!と血が吹き出る。 おなご「は───……」 どさっ。 彰衛門「ゲェェーーーッ!!?こ、これ小娘!     人の手首を斬っといて気絶してんじゃねィェーッ!!」 むしろ気絶したいのはこっちの方ですよ!? 彰衛門「くそっ!とにかく手を回収せんと!」 俺は空手家独歩さんの真似をして脇に手を挟み、止血しながら移動。 彰衛門「おぼえとれよこの小娘!     手が復活したらゲンコツの一撃でもくらわせて、     『気ン持ちいい〜』って言ってやるからな!」 慌てて欄干を飛び越え、手が落ちている場所へ走った。 その時に気づいたが、どうやらここは大きな神社だったらしい。 彰衛門「フウ、さてと……パイルダー・オォーンッ!!」 ガッシィーン! 手と手首が再会を果たした。 彰衛門「そして月生力発動!」 手首に癒しの波動を流し、傷を完璧に塞いだ。 彰衛門「アリガテェもんだねェ〜……医学ってのは……」 故に最強。 ところで…… 彰衛門「あれに見えるは……大樹じゃありませんか?」 なんと……だがあのバカデカイ木は間違いない。 アタイが作った大樹だ。 彰衛門「まあそれはそれとして、だ」 アタイはもう一度神社の襖近くまで歩き、ごすんっ!! おなご「ぐはっ!?」 彰衛門「気ン持ちいい〜♪」 小娘を殴った。 おなご「いたたたた……い、いったいなにが……む!」 彰衛門「ヘロウ」 目覚めの場面を見届けたアタイはベンジャミンよろしくの挨拶で迎えてやった。 おなご「貴様!さっきはよくも!」 彰衛門「ええ!?アタイが貴様になにしたよ!アタイの方が大変だったんじゃぞ!?     よくもいきなり手を斬ってくれましたな!」 おなご「わ、わたしは貴様があんまりにも偉そうだから、     あれしきの斬撃はよけられると思っていたのだ!!」 彰衛門「自分に都合よく解釈するんじゃありません!」 おなご「うるさい!貴様に言われたくないわ!」 彰衛門「なんだとこの小娘ーーッ!!」 おなご「やるか貴様ーーッ!!」 彰衛門「やりませんよ」 おなご「なっ……あ、え?」 彰衛門「もともと貴様が斬ってこなければこんないざこざにはならなかったんですよ。     それに……今のアタイには争いが出来るほどの余裕が無いのじゃよ……」 おなご「………」 さすがに人と人との醜い争いを見たあとじゃあ、こっちも精神が疲れてしまう。 彰衛門「ハァ……」 おなご「……貴様、名をなんという」 彰衛門「名乗るときはまず自分からじゃろう。身のほどを弁えんかバカめが」 おなご「バッ……!?き、貴様本当に余裕が無いのであろうな……!!」 彰衛門「あ〜ん?知らんなぁ〜」 おなご「こ、このっ!!」 キヒィンッ!! 彰衛門「キャーッ!?お、おやめなさい!また斬ったらシャレにならんでしょう!」 おなご「黙れ!だいたい貴様、手がくっついているではな───な、なぁあっ!?」 彰衛門「む!?どうされた小娘!」 おなご「手……き、斬れた手がくっついて……!?」 彰衛門「むう……魔法を見るのは初めてか。     しょうがないのう、よいか小娘。一度しか言わぬからよくお聞きなさい」 おなご「な、なんだ……?」 彰衛門「わしは天狗じゃ!」 おなご「な、なに!?そうなのか!?」 彰衛門「ウソじゃ」 おなご「………」 ……それから約3分ほど、 アタイは小娘が息切れするまで刀を振り回されて追われるハメになった。 おなご「はっ……はーっ!はーっ!」 彰衛門「な、なに考えとんですかアータ!世が世なら銃刀法違反ですぞ!?」 おなご「そ、そんなものは知らん……!!」 小娘は肩で息をして、呼吸を整えようとしている。 そんな折、アタイは名乗ることにした。 彰衛門「申し遅れたの。拙者、弓彰衛門と申す者」 おなご「ゆみのあきえもん……なんと。     それでは貴様が楓さまが毎日のように語っていた彰衛門か」 彰衛門「人違いですじゃ」 おなご「なに?貴様は彰衛門ではないのか?」 彰衛門「なにを申されるかこのカスは!じいやは彰衛門ですぞ!?」 おなご「な、なに?では……む、むうう?いやそれよりも誰がカスだ!」 彰衛門「貴様じゃ!」 おなご「おのれぇええっ!!!」 キヒィンッ!!ジュカッ!! 彰衛門「ヒャアーッ!?か、髪!アタイの髪が飛びましたよ!?」 おなご「黙れ!わたしを愚弄した罰だ!」 彰衛門「ま、待てーっ!真面目に話そう!だからそれを仕舞いなさい!」 おなご「……今度こそ、本当であろうな……!」 彰衛門「ほんとですじゃ!じいやが貴様に一度としてウソをつきましたか!?」 おなご「ついさっきついたわ!」 彰衛門「ゲェエーーーッ!!!!」 どうやら小娘は冗談が通じないらしく、アタイは死なない程度に斬られまくった。 彰衛門「あいたたた……まったくなんて無茶なことを……。     アタイじゃなければ貴様、殺人者ですよ?」 おなご「だ、だまれ!貴様がウソをついたことをウソで固めようとしたからだ!」 彰衛門「……ったく、過ぎたことをグチグチと、このクソアマが」 おなご「……なんだ?」 彰衛門「なんでもないですじゃ」 まったく、危険な上に地獄耳ですか。 それにしても…… 彰衛門「えーと、貴様って凍弥とよく一緒に居た幽霊じゃよね?」 おなご「誰が幽霊だ!わたしはまだ生きている!」 彰衛門「うそおっしゃい!」 おなご「うそじゃない!なんなら触ってみろ!実体はあるぞ!」 彰衛門「では遠慮なく」 ふにょん。 おなご「なっ……ッッ!!」 彰衛門「……むう!なかなかのビッグボイン!」 おなご「ご、ごがぁあああああああああっ!!!!!」 彰衛門「キャーッ!?」 顔を真っ赤にした小娘が、 かつて無い殺気を込めてアタイにズバシュドシュズバザクドスズボッ!! 彰衛門「……あの。アタイ、貴様が触れって言ったから……」 おなご「だ、誰が胸に触れと言った!!」 彰衛門「じいやの独断と偏見と実力行使ですじゃ」 おなご「こ、このっ……!」 彰衛門「およしなさい!さっきから刺されまくってていい加減にしてもらいたい!」 おなご「貴様が妙なことばかりするからであろうが!!」 彰衛門「じいやは妙ではありませぬ!妙だと言うた者が妙なのですじゃ!」 おなご「おのれ!」 キヒィンッ!! 彰衛門「甘いわ!」 シュヒィンッ!と、紙一重で刀をかわす。 彰衛門「残念じゃが貴様の斬撃は見切りましたじゃ」 おなご「なに!?」 彰衛門「それよりいい加減に名を名乗られませい」 おなご「くっ……!」 彰衛門「じいやは弓彰衛門。貴様は?」 おなご「……篠瀬夜華(しのせ やか)だ」 彰衛門「そうかそうか、夜華さんか。じいやのことは彰衛門と呼ぶがよかろう」 夜華 「『貴様』で十分だ」 彰衛門「……口の減らねぇガキだぜ」 夜華 「なにっ!?」 夜華さんが刀に手を伸ばす。 彰衛門「ギャアもう!冗談くらい身につけなされ!     こっちの血液がいくらあっても足りんよ!」 夜華 「ならば貴様もわたしを愚弄するのはやめろ!」 彰衛門「いやですじゃ!」 夜華 「おのれぇえええええっ!!!!」 再び腰の刀に手を伸ばした夜華が、アタイの五臓六腑をザクシュ!ドシュッ!ズバッ! 彰衛門「……少しは懲りることを知るべきじゃよ、貴様」 夜華 「それはわたしのセリフだ!なんなのだ貴様!!」 彰衛門「じいやですかな?……フッ、じいやはな……魔法使いなのですじゃ」 夜華 「またウソだろう」 彰衛門「ほぉっほっほ!ならば傷がすぐに回復するのは何故じゃね?えぇ〜?」 夜華 「そ、それは……そうなのか?そうか!本当に魔法使いなのだな!?」 彰衛門「ウソじゃ」 夜華 「………」 本日何度目でしょう。 夜華さんの刀がスラリと抜かれ、やがてアタイ目掛けてドシュウッ!! 彰衛門「いたい〜……いたいよ〜……!とっておくれよ〜……!」 夜華 「黙れ!」 そう怒鳴る夜華さんの腰には刀が無い。 何故かって、アタイの背中に刺さってるから。 彰衛門「アタイ、背中固いんじゃよ〜……!     トニオの料理が無くちゃ届かないよ〜……!」 夜華 「ええい黙れ!!楓さまを泣かせ、わたしを愚弄した罰だ!」 彰衛門「ウェッヘッヘッヘ、そげなこと言って、     ほんとは後者しか考えてなかったんじゃろ。     えぇ〜?アタイにゃちゃ〜んと解るよ」 夜華 「黙れ!」 ズププ。 彰衛門「ギャオォオーーーーーッ!!痛い痛い!!やめて〜!!」 夜華さんがアタイの背に刺さってる刀を押す。 この人きっと、将来は有望な拷問家になれるでしょう。 夜華 「さあ、いい加減に答えてもらおうか。楓さまになにをした」 彰衛門「まぁ待てボケ。その前にじいやからの質問ですじゃ」 ズププッ! 彰衛門「ウギャアアーーッ!!」 夜華 「誰がボケだ!次に余計なことを言ったら、より深くまで刺すぞ!」 彰衛門「うう……この子ったらきっとSなのね……」 夜華 「えす?なんだ、それは」 彰衛門「知りませんですじゃ」 夜華 「……それならいい。さっさと吐け」 彰衛門「おえぇえええ……!!」 べちゃびちゃびちゃ…… 夜華 「へ?うわっ!な、なにをしているのだ!!」 彰衛門「え?だって吐けって」 夜華 「その吐けではないわ!!楓さまになにをしたのかを言えと言っているのだ!」 彰衛門「だったら最初からそうお言いなさい!」 夜華 「一番最初に言ったわ!!」 彰衛門「なんと!それは気づかなんだ!」 夜華 「……はぁ」 わぁ、思いっきり溜め息つかれた。 夜華 「もういい、先にお前の質問とやらを言え」 彰衛門「うむ!心して聞け!」 夜華 「……どうしてそこまで偉そうなんだ?」 彰衛門「知らん!自分で考えろ!」 ズププッ…… 彰衛門「ギャアアーーーーッ!!!!」 彰衛門「───……でさ、楓って誰?楓巫女の愛称?」 アタイは質問の旨を夜華に伝えた。 夜華 「楓さまは楓さまだ。簾翁楓さま以外に誰が居る」 彰衛門「すおう、かえで……ふむ、したら楓巫女は転生したとよ?」 夜華 「したとよ?なんだそれは」 彰衛門「転生したのか?と聞いている」 夜華 「てんせー?なんだそれは」 彰衛門「ふぁ〜ったくカスが……貴様では話にならん。     ぼうや、お父さんを連れてきなさい」 ズプッ! 彰衛門「ギャアアーーーッ!!!」 夜華 「誰がカスだ!ぼうやだ!貴様本当に死にたいらしいな!」 彰衛門「いえ全然。貴様の思い込みで人の死期を勝手に決め込まんでつかぁさい」 夜華 「ぐぅう……!!」 彰衛門「まあよかとよ。転生か改名したってことにするったい。     で?貴様の話ってなんどす?」 夜華 「貴様とぼける気か!忘れたとは言わせんぞ!」 彰衛門「忘れましたじゃ」 ドシュウッ!! 彰衛門「オギャアーーーッ!!貫通!貫通してますよ夜華さん!!」 夜華 「命があるうちに言え!」 彰衛門「だ、だからなにを!」 夜華 「貴様ぁあ……!そうまでしてしらばっくれるか!」 い、言えってなにを? マジでなにを言えと?グ、グウウムムウ……!! と、とにかく痛くてかなわん! 適当に言えば当たるだろう! 彰衛門「こ、この俺を……不老不死にしろーーーっ!!!」 ズバァッ!! 彰衛門「ギャーーーァアアアアアアアアアアッ!!!!」 貫通した部分から強引に斬られた。 彰衛門「あぁ〜!内臓がぁ〜!腸がぁ〜!アタイの腸が落ちる〜!!」 夜華 「こ、このっ!妖怪の類か貴様!」 彰衛門「違いますよ!魔法使いだって言ってんでしょ!?」 夜華 「それは先ほど貴様がウソだと言っただろう!」 彰衛門「なにを言っているのかね!じいやはそのようなことは言っていないがね!」 夜華 「しらばっくれる気か!」 彰衛門「やかましいわ!貴様これで10回は人殺してますよ!?     そんなヤツに説教されたくないですじゃ!」 夜華 「死んでないではないか!」 彰衛門「そりゃ俺が強ぇからよ!」 夜華 「とにかく!貴様が楓さまを泣かせたのは事実なのだろう!?」 彰衛門「いえ実はですね、楓巫女ったらですね、     夜怖くてトイレに行けないから付いてきてって言ってきましてね。     だから丁重にお断りしたら泣き出しまして」 夜華 「といれ?なんだそれは」 彰衛門「厠(かわや)ですじゃ」 夜華 「!!」 ややっ!?目の前の夜華さんから高エネルギー反応!! 夜華 「き、きっさま!わたしでさえそのようなことを言われたことがないのに!!     しかも貴様!それを無下に断ったのか!!     楓さまは人に甘えることなど一度としてなかったというのに!!」 彰衛門「なんと!なにをバカなことを!楓巫女は甘えんぼうですぞ!?」 夜華 「楓さまは『かえでのみこ』などという名前ではない!     それに、わたしは一度として甘えられたことがないわ!」 彰衛門「……そりゃアンタ、キミが頼りなかっただけでは?」 夜華 「むぐっ……ぐ、ぐおおおおおおおおおっ!!!!」 彰衛門「キャーッ!?」 夜華さんが刀を振りかざし、 やっぱりアタイに向かってきドシュドシュドシュドシュ!! 彰衛門「……キミのこと、コロスィーって呼んでいい?」 夜華 「なんだそれは」 彰衛門「人殺しの愛称。コロスィー」 夜華 「わたしは殺しなどせぬ!」 彰衛門「死にますってマジで!アンタ世界を知らなすぎるよ絶対!!」 それなのにどうしてこんなにも純粋な心の波動を持っておるかねぇ。 夜華 「それより貴様!楓さまに謝れ!」 彰衛門「何故ですじゃ?」 夜華 「貴様は楓さまを泣かせた!それだけで万死に値する!」 彰衛門「もう何度も殺されかけてますが。てゆうか普通死んでる」 夜華 「揚げ足をとるな!」 彰衛門「どっちがじゃね!!」 もうわけわからんよこの娘ッコ!! 夜華 「とにかく謝れ!そうしなければわたしが貴様を許さん!」 彰衛門「どう許さんというのかね!」 夜華 「───この神聖なる木刀で、貴様を打つ!!」 彰衛門「あ〜ん?……ゲ、ゲェーーッ!!」 なんと!夜華さんが背中に手を伸ばして手に取ったのは、彰利七つ道具の壱だった! 柄?の部分に彫ってある『彰利』の文字が最強です。 夜華 「驚いているようだな!この木刀には不思議な能力が備わっていて、     振るうだけで光が放たれるのだ!     しかも存在したのは大昔だというのに、腐りもしない!」 彰衛門「あの〜……」 夜華 「この神聖なる木刀こそ、貴様を屠るに相応しい」 彰衛門「あ、あの〜……?」 夜華 「さあ、この木刀の錆になりたくなくば、楓さまに謝れ!」 彰衛門「………」 ……ダメだ……。 いまさら京都の土産コーナーで買った土産品だなんて言えねぇ……。 しかも得意げに語る夜華さんを見てたら本気で申し訳なくなってきた。 夜華 「な、なんだ?なにを泣いている?」 彰衛門「あ、いや……なんか気の毒になってきて……マジでごめん」 夜華 「……?」 夜華さんが訝しげな顔でアタイを見た。 い、いかんいかん。 彰衛門「えーと、先に言っておきますが、     その木刀での攻撃はアタイには効きませんよ?」 夜華 「なに?なにを馬鹿な」 彰衛門「馬鹿とはなんだコノヤロウ!」 夜華 「ぬ……ならば試してみるか!?」 彰衛門「うんにゃ、めんどいから楓巫女に会ってくる。もう反省も済んだ頃だろ」 夜華 「反省……?あの方は人に感謝されることはあっても、     反省しなければならぬことなどないぞ!」 彰衛門「ほぉっほっほ!夜華さんは本当にうわべでしか楓巫女を知らぬのだのう!」 夜華 「なにっ!?」 彰衛門「そげなことでは楓巫女の護衛、任せてはおけませんぞ?」 夜華 「なにをこのっ!わたしを愚弄するか!」 夜華さんが木刀を構え、アタイに向けて振り下ろす。 その先からは光が飛び、だがアタイは冷静に片手を掲げ、それを吸収した。 夜華 「なに!?馬鹿な!!」 彰衛門「無駄ですじゃ。じいやは魔法使いじゃからの、その攻撃は効かぬ。     それに……そんな、能力のみに頼った心ではその木刀は扱えぬよ」 夜華 「なにを馬鹿な……!この木刀は……」 彰衛門「……それに、それはじいやの持ち物じゃ。返してもらいますぞ」 夜華 「なにっ!?」 アタイは手を掲げると、月然力を集中させて───木刀に呼びかけた。 すると木刀はあっさりと夜華さんの手から離れ、アタイの手に納まる。 夜華 「馬鹿な……!」 彰衛門「わかったかね?この木刀は相応しい持ち主の手に渡った時にのみ、     大いなる力をその者に貸してくれるのじゃ。     木刀のみに頼っていては、この木刀の真の力は扱えんよ。ほぅれ」 アタイは月壊力を同調させて、軽く振るった。 するとゴォオオオウウウンッ!!と、光とともに凄まじい突風が吹く。 夜華 「ぐ、ぐぅうううっ!?」 彰衛門「……理解したかの。それではじいやはもう行くでの」 夜華 「あ……待て貴様!」 彰衛門「ダメじゃ」 夜華 「なっ……くぅうううっ!!!」 彰衛門「ほぉっほっほっほっほ!!カスめ!カスめ!!」 後ろから夜華さんの悔しそうな声を聞き、満足しながら社の中に入ることにした。 Next Menu back