───娘を思う父は最強───
ギシャアアアア!!! 凍弥 「うわっ!?」 突然現れた光に、俺は驚いた。 てゆうかみんなも驚いてる。 彰利 「ヨゥメェーン!最強か!?」 その光から生まれたるは輝かしい笑顔の彰利。 うん、顔が光ってるし。 そう確認した途端ゴシャア!! 彰利 「ギャア!?」 彰利は客席のテーブルの角に脇腹から落ち、血ヘドを吐いた。 彰利 「ゲホッ……ゴホッ……!ここに来てまでこんなオチですか……!?」 遥一郎「……いきなり出てきてオチもないもんだ」 彰利 「おだまり!えーと……」 彰利はキョロキョロと周りを見て、やがて朧月を見るとクワッと目を見開いた。 彰利 「椛ちゃーん!愛裸舞優ーーーーッ!!」 がばぁーっ!!ぱぐしゃあっ!! 彰利 「ギャア!?」 いきなり朧月に襲いかかった彰利は、冷静に拳をくらってました。 椛  「なにをするんですかいきなり……!」 彰利 「なにって……ねぇ?」 凍弥 「いや、俺に同意を求められても」 彰利 「チッ……カスが」 ドスツ。 彰利 「おぐぅっ!?」 椛  「誰がカスですか誰が……!」 彰利 「なにをなさるの?アタイはこの小僧にカスと言ったんですよ?」 椛  「…………あれ?」 彰利 「あ〜ん?それでどうして貴様がアタイを攻撃するのかねぇ〜?」 椛  「知りません。知りませんけど頭に来たので忘れてください」 彰利 「………」 椛  「………」 彰利 「よろしい!」 え……? 彰利 「というわけで小僧、ちょっと付き合え」 がっし。 凍弥 「おわっ!?あ、ちょ、ちょっと待ってくれ!     こっちはようやく志摩兄弟が帰ったから話の続きを」 彰利 「貴様が月操力全部持ってて隆正の生まれ変わりって話なら聞かん!!」 凍弥 「……なんで知ってるんだ!?」 彰利 「クォックォックォッ……!アタイが本気になればそれくらい造作もないわ!     てなわけでリヴァイア、オヌシも来てくれ」 リヴァ「わたしもか?……まあいいが」 彰利は紅茶を飲みに来ていたリヴァイアまで誘い、俺を抱えたまま二階へ登ってゆく。 凍弥 「ちょ───ちょっと待ってくれって!なにをする気だよ!」 彰利 「おだまり!こちとら娘の幸せ願っとんのじゃ!抗うなら全力で叩き潰す!!」 凍弥 「娘?いったいなんのこと」 彰利 「うだうだ言わずに協力せんかぁーーっ!!」 凍弥 「うわっ!は、はいっ!!」 び、びっくりした。 でもなんでだろ。 驚くくらいの怒鳴り声だったのに、不思議と抵抗を感じなかった。 彰利 「む……ここだな?」 彰利は空き部屋……リヴァイアの部屋を開けて中へ入った。 俺は抱えられてるから一緒に入ったわけだが。 リヴァ「なにをする気だ?」 彰利 「まーまーリヴァちゃん。そこらへんに座ってくれたまえ」 リヴァ「…………?」 リヴァイアを促して座らせ、俺も降ろして座らせる。 やがて彰利は俺とリヴァイアの視線の先に座って、真剣な顔をした。 彰利 「よいか小僧!」 凍弥 「え?あ、ああ」 彰利 「あ、やっぱいい。先にリヴァイアだ」 凍弥 「へ?あ、おいっ!」 言いかけられて逸らされると物凄く変な気分ですよね。 でも完全に俺を無視してリヴァイアに話し掛ける彰利は、何か急いでいるようだった。 彰利 「リヴァイア、人の記憶を誰かに移すことは可能かね?」 リヴァ「なんなんだ、突然」 彰利 「答えてリヴァイアちゃん。ことは一刻を争うの。私的に」 リヴァ「………」 真剣なんだかふざけてるんだか微妙な状況だった。 リヴァ「可能だ。基本的にはなんだって移すことは出来る」 彰利 「それは月操力も同じかね?」 リヴァ「うん?ああ、記憶よりも楽だな」 彰利 「そかそか。小僧!」 凍弥 「うわっ!?だ、だからなん」 彰利 「貴様、体に異常はないか!?」 凍弥 「異常?」 彰利 「月操力がある所為で体がヘンだとか、そういうことじゃい!」 凍弥 「え?いや……それは本当はある筈なんだけど、     俺の中にある奇跡の魔法ってゆうのがそれを押さえてくれてるらしい」 彰利 「むう……そうかそうか。それが無けりゃあ移しても元の木阿弥か……」 彰利はなにやら考えてる。 やがてリヴァイアに向き直り、話を始めた。 彰利 「リヴァイア、奇跡の魔法の移植は出来るかね?」 リヴァ「凍弥の奇跡の魔法を移植するのか?やめておけ、凍弥が消えることに」 彰利 「チガウチッガァーウ!小僧の奇跡のなんたらはどうでもいいんじゃい!     もひとり居るでっしゃろ、天界の小娘が!!」 リヴァ「ああ、あいつか。だがあいつは」 彰利 「出来るのか出来ないのかぁーーっ!!」 ガァアア!!と咆哮する彰利。 リヴァ「あ、で、できる……!可能だぞ……?」 うわあ、あのリヴァイアが気圧されてる。 彰利 「うむ!よろしい!」 リヴァ「あ……だが検察官」 彰利 「なんぞね!!」 リヴァ「奇跡の魔法ほど大きいものを移植するのは簡単にはいかない。     わたしの力でも足りぬのだ」 彰利 「なんですと!?」 リヴァ「わざわざ叫ぶな、耳が痛い……」 彰利 「それでは出来ぬと申すのか?」 リヴァ「話は最後まで聞け……」 彰利 「なら話は最後まできっちり言いなさい!!」 リヴァ「え?あ、すまない───あれ?」 リヴァイアは首を傾げて現状に悩んでいる。 リヴァ「と、とにかく、バックアップをしてくれるものがあれば容易いことなんだ」 彰利 「その『もの』とは?」 リヴァ「空界の鉱石を使って造る、式を増幅させる錬金輝石だ。だが───」 彰利 「だが?なんなのかね!ハッキリ言いたまえ!」 リヴァ「あ、ああ……。     錬金輝石、つまりフォルムライトを造るための鉱石は手に入り辛いのだ」 彰利 「グウウムムウ……!して!?その鉱石とはどういう石なのかね!」 リヴァ「あ、ああだが待て。空界に居る素材屋と連絡をとって調べてみよう。     無かったらその素材屋に調達を依頼するまでだ」 彰利 「素材屋?」 リヴァ「ああ、ポリットイーターという。     つまりは錬金術や魔導のために必要な素材を手に入れる、     なんでも屋に近い素材屋だ」 ポリット? 凍弥 「ポリットってなんだ?」 リヴァ「しばし待て───……ああ該当があった。     この地界で言うレタスというものだ」 凍弥 「………」 リヴァ「素材屋は空界には腐るほど居るが、     ポリットイーターのフォード=ゼルブライトは優秀だ。     依頼すれば3時間でどうとでもなるだろう」 凍弥 「時間言われてもよく解らないけど……     普通の素材屋だとどのくらいかかるんだ?」 リヴァ「一日から三日……悪い時では素材屋が帰らない」 凍弥 「それって依頼料かっぱらい?」 リヴァ「いや、魔物に食われるか逃げたかだ。料金は素材と交換がルールだからな」 ギシャアア!! 凍弥&リヴァ『うわぁーっ!?』 彰利 「御託はええっつぅんじゃあーっ!!     いいから早く!迅速に!さっさと素材屋に連絡とれ!」 リヴァ「あ、ああしばし待て」 彰利 「待たん!早くしろ!」 リヴァ「いや、連絡をとるから待てと」 彰利 「はやくしろぉーーーっ!!!!」 リヴァ「解った!解ったから落ち着け!!」 彰利 「ガルルルルル……!!」 なにやらケモノと化している彰利。 普通に馬鹿者だった彼がここまで真面目になる意味とは……いったい? リヴァ「まったく、どうしたというのだ検察官。冷静なお前らしくも」 彰利 「はぁ〜やくしろと言っとるんだぁ〜……!!」 リヴァ「!?」 うわっ!?目が据わってる!! リヴァ「い、今すぐやる!」 リヴァイアは空間に歪みを作り、なにやら言葉を放った。 リヴァ「よ、よし。在庫が無いらしいから今から取りに行くそうだ」 彰利 「どれくらいかかるのかね!」 リヴァ「あ、ああ、だいた」 彰利 「なにかね!早く言いたまえ!」 リヴァ「だか」 彰利 「なにをもたついているのかね!!早く!早く言いたまえ!!     それともなにかね!?ワタシには言えないことなのかね!」 リヴァ「い」 彰利 「ハッキリしたまえ!!キミはなにかね!?ワタシをからかっているのかね!?」 リヴァ「………」 凍弥 「あのさ、一秒も待たずに」 彰利 「なんだねキミは!ワタシは今忙しいのだがね!」 凍弥 「いやさ、一秒」 彰利 「一秒!?一秒がなんなのかね!     一秒で用件を終わらせるからキミの話を聞けというのかね!?」 凍弥 「待」 彰利 「なにかね!既に一秒は経っているがね!     もう用はないだろう!黙っていたまえ!」 凍弥 「………」 だめだ、話すら届かん。 リヴァ「しかし検察官、天界の娘は天界に帰ったぞ?どうするというのだ?」 彰利 「なにかね、そのようなことを気にしていたのかね。     そんなことはワタシが紳士的に連れ戻せば済むことなのだよ」 リヴァ「………」 彰利 「リヴァイアくん。キミは移植がより確実になるように、     用意出来るものは用意しておきたまえ」 リヴァ「あ、ああ……しかし検察官?紳士的とはどういう」 彰利 「プレイスジャンプ」 キィンッ!! リヴァ「あ」 凍弥 「き、消えた……」 ───彰利暴走日記─── ドッゴォオオオオオオオン!!!!!! 天界人「ぐわああああああっ!!!!」 天界人「ニールーッ!く、くそっ!バケモノか貴様……!」 彰利 「……小娘を出しなさい……!用件はそれだけなのだよ……!」 天界人「小娘……!?誰のことだ!」 彰利 「そんなものは知らないな!名前聞いてこなかったのでね!」 天界人「な、なにぃ!?」 天界の庭園が燃える。 魔法学科の院生たちはことごとくひとりの敵に破れ、地面に横たわっていた。 その敵は自らを『弦月彰利』と名乗り、小娘を出せと言った。 だが誰のことかも解らない我らはとりあえず部外者を天界から追い出そうとするも…… 天界人「天界人が地界人に敗れるだと……!?」 彰利 「はっはっはっは、解るかね?これが敗北というものだ!」 天界人「おのれぇええええっ!!」 彰利 「ブラストォオオ……!!」 ドガァアアンッ!! ───ビーッ!ビーッ!! 天界人「だ、だめです!押さえきれません!!」 天界人「Bブロック、既に院生が向かいましたが……10人が五秒で沈黙……!」 アル 「何者だあいつは……!剣術学科の院生はどうした!?」 天界人「それが……全員が妙な音と音楽とともに空手の奥義を伝授されて……」 アル 「な、なんだそりゃ……」 彰利 「クォックォックォッ……!こぉおおむぅううすぅううめぇえ……!!     どぉおおこじゃぁあああああ……!!!」 ズシャッ。 ノルン「待てよ。こっから先は俺を倒してからにしてもら」 彰利 「ポセイドンウェーイ!!」 ドォッパァーンッ!! ノルン「ギャアアーッ!!」 バキベキゴロゴロズシャアアーーッ!! ─── 天界人「……ノ、ノルンさま……沈黙」 アル 「なにをやってるんだあの馬鹿……」 ─── 彰利 「お言いなさい!小娘はどこじゃね!」 ノルン「ぐっ……はっ……!つ、強いな貴様……」 彰利 「ンなこたぁ訊いてません!小娘はどこじゃ!     『幼児体型』にコンプレックス抱いてる小娘だ!知らんとは言わせんぞ!」 ノルン「知ら」 ドボォッ! ノルン「ふぐぅっ!?」 彰利 「クォックォックォッ……言わせんと言ったでしょう……?」 ノルン「だ、だが本当に知」 ドボォッ! ノルン「ぐうっは……!」 彰利 「おやおやしつこいですねぇ……いい加減にしてもらいたいものです。     さあ、お言いなさい。手加減している今がチャンスですよ?」 ノルン「し、知ら」 ゴシャアッ!! ノルン「ぐわぁ!!」 彰利 「いい加減にしなさい。     このフリーザさまにも怒りの限度というものがありますよ?」 声  「待てこらぁっ!」 ブンッ! 男  「───っ!?よけやがった!」 彰利 「おやおや、次から次へと懲りることを知りませんねぇ……。     まあいいでしょう。     あなたは本当に知らないようですからこの人に訊いてみますよ」 ───どしゃっ。 アタイは天界人を手放し、いきなり奇襲してきたお馬鹿さんを見据えた。 レイル「なっ!?て、てめぇ!」 彰利 「おやおや、これはお久しぶりです」 目の前に居たのは、確か天界人のレイルってやつだった。 丁度いい。 彰利 「あなたにお訊ねしたいことがあるんですよ。     この前まで地上に居た小娘がどこに居るか、わたしに教えなさい」 レイル「───……言うと思うのか?ここまで暴れてくれたヤツに」 彰利 「おやおや……それでは実力で喋っていただくしかないようです」 レイル「やってみろよ───出来るならな!」 レイル殿の片目が金色に染まる。 その途端に凄まじい威圧感が襲いかかる。 が。 彰利 「これは中々の戦闘力ですね。それではわたしも本気で参りましょうか」 レイル「なに……?」 彰利 「初めてですよ。わたし自らが変身を見せるのは……。     覚悟はいいですね?変身したわたしは少々荒っぽいですよ……」 レイル「地界の人間が変身……?なにを馬鹿な」 彰利 「───ぐっ、ごぉ……ぉ───ぉおおおおああああああああ……!!!!」 メキメキと体が躍動する。 月壊力を解放して、自分の中に眠る魔人を目覚めさせようとしてるんだ、当然だろう。 彰利 「だがね……!わたしは娘の笑顔を思えばなんでも出来るのだよ……!!」 レイル「チィッ!!眠ってもらうぞ!!」 レイル殿が襲いかかってくる。 だが、振るわれた腕を掴むとともに、魔人の覚醒は完了した。 彰利 「グゥウ……ォオオオオオァアアアアアアッ!!!!!!!」 レイル「っ……!くそったれ!どうなってやがる!!」 ドガァアアアンッ!!!! ─── 天界人「……レ、レイルさま……沈黙」 アル 「バケモンかあいつはっ!」 ─── 彰利 「ガ、ゲハッ……!!く、くはは……はは……!!残念だったな……!     俺の方が上だったようだ……!!」 レイル「くそが……!体が動かねぇ……!」 彰利 「フハハハハ!     そこで無力を噛み締めながら寝ているがよいわ!カスめ!カスめ!」 レイル「ぐっ……!」 彰利 「あ、それとさ。小娘の居場所、吐く気になった?」 レイル「誰が……!」 彰利 「潔くないわねぇ。まぁいいコテ、アタイはもう行くぜ?」 アタイは倒れて動かないレイル殿を放置して、次なる場所を目指して歩いていった。 レイル「ば……ばけものめ……」 ガチャッ……キィイ……。 彰利 「たのもー!」 教会の扉を開けたアタイは高らかに叫んだ。 が、特に人が居るようには見えない。 彰利 「誰も居ない……?」 ……む! 一番前の席で本を読んでる男発見! 彰利 「……アルフレド……!」 その景色があまりにもロミオの青い空に似ていたので、そう言ってみた。 男  「………」 わぁ、無視された。 彰利 「あのー、すんません。ここに幼児体型を気にしてる小娘居ません?」 男  「え?ああ、参拝の方ですか?」 男は立ち上がり、人の良さそうな顔で微笑んだ。 彰利 「違うザンス。幼児体型を気にしてるオナゴを探しているですよ」 男  「幼児体型……いえ、知りませんねぇ……」 彰利 「そうか、邪魔をした。読書を続けてくれたまえ」 男  「……お待ちください」 彰利 「なんだね?」 呼びとめられたから出来るだけ紳士的に声を返した。 男  「あなたから闇の気配がします。……何者ですか?」 彰利 「たわけ!名前を訊く時は自分からでしょう!」 男  「……そうですね、失礼しました」 ニッコリと微笑む、小さな眼鏡をかけた神父さん。 男  「わたしはレイン。レイン=ベルナードといいます」 彰利 「うむ。アタイの名は弦月彰利。     故あって、この天界に人を探しに来た武士(もののふ)である」 レイン「人探し……しかし、ここは魔を持った人が入れるような場所では」 彰利 「ホラ!アタイって心がとっても清らかだから!」 レイン「………」 何故か冷めた目で見られてしまった。 彰利 「あー……えーと」 どうしましょう。 アタイのハイセンス・ダジャーレが通用しなかったみたいだ。 ───ムウ! 彰利 「思い出したわ!サクラ!サクラって小娘を知りません!?」 レイン「サクラ……彼女にどのような用ですか?」 彰利 「ウェッヘッヘッヘ、そりゃもうアンタ、あの小娘の奇跡の魔法が欲しくて」 レイン「───……。奇跡の魔法はおいそれと利用していいものではありません。     それを私利私欲に使うというのなら、わたしが貴方を止めます」 彰利 「あ〜ん?俺の邪魔するっての?」 レイン「ええ。それに、貴方がレイル兄さんに捕まるのも時間の問題でしょう。     それならわたしが捕らえようが動きを止めようが同じことです」 彰利 「………」 レイン「……?どうしました?」 彰利 「レイル兄さんとな!ふわっはっはっは!馬鹿め!     貴様、レイルとかいうヤツの弟なのか!ふわぁっはっはっは!」 レイン「それがなんだというのです」 彰利 「馬鹿め!レイルというやつなら既に屠ってやったわ!」 レイン「な、なんだって!?あの兄さんを!?」 彰利 「クォックォックォッ……それでもこのアタイとやるかね?ンン〜?」 レイン「───……兄さんの仇です。覚悟してもらいましょう」 彰利 「どなたもお馬鹿さんたちですねぇ……。     ブチ殺してくれるわぁあああーーーーーーーっ!!!!」 ─── 天界人「なっ……!レ、レインさま……沈黙……!」 アル 「………」 ─── レイン「そんな……!カオスの力が及ばないなんて……!」 彰利 「キミ達とは味わった過去の次元が違うのだよ……。     天界でのんびり暮らしてきたボンボンに、我らの苦労が敗れるものか……」 レイン「く……う……!」 彰利 「これが最後の警告にしましょう。いい加減にサクラさんの居場所を言いなさい。     屠られることになりますよ!」 レイン「……くっ……くはは……」 彰利 「……?なにがおかしいのです」 レイン「残念でしたね……!あなたの企みは叶いません……!」 彰利 「え!?」 レイン「サクラなら天界と地界を行き来するための魔法を解除するために、     法院に居る頃でしょう……!     そこで魔法解除を完了すれば地界にはもう降りることは出来ません……!」 彰利 「なっ、なにっ!?お、おのれーーっ!!ただの時間稼ぎだったのか!!」 レイン「はははっ……!」 アタイは倒れているレイン殿を無視して教会の扉をブチ破って外に出た。 彰利 「おのれぇーーーーっ!!!!     楓巫女の記憶を戻すのはこの彰利さまだーーーっ!!!」 アタイは障害となるものを破壊しながら法院とやらを目指して走った。 ───……。 サクラ「この書類にサインをすればいいんですよね?」 院長 「はいそうですよ。それで、地界との行き来のための魔法解除が受理されます」 サクラ「…………」 遥一郎さん、凍弥さん、パパさん、ママさん……。 ……───さようなら。 サクラ「……はい、書きました」 院長 「はい、確かに。それでは」 どがぁあああああああん!!!! 院長 「ひっ!?」 サクラ「な、なにっ?」 ───。 彰利 「小娘ぇーっ!!ここに居るのは解っているぞーーっ!     殺されないうちに出て来ーーいっ!!」 サクラ「な、なに……!?」 む!煙の向こうに小娘発見! どうやら書類へのサインは……───!! 彰利 「───……やってくれましたねみなさん……。     よく楓巫女の想いの成就を打ち砕いてくれました……」 サクラ「あ、あなたは───!?どうして天界に!」 彰利 「これはちょっと意外でしたよ……。     あれだけ騒いだというのに、のうのうと書類にサインしているだなんて……」 サクラ「サイン?あ……」 彰利 「はじめてですよ……このわたしをここまでコケにしたおバカさん達は……」 サクラ「な、なにを言って……」 彰利 「まさかこんな結果になろうとは思いませんでした……」 小娘は書類にサインし終わっていた。 これでは地界に連れてゆくことは出来ない。 そう考えたら、楓巫女に申し訳無くて仕方が無い。 彰利 「ゆ……ゆるさん……!!絶対に許さんぞ虫ケラども!!     じわじわとなぶり殺してくれる!!ひとりたりとも逃がさんぞ!覚悟しろ!!」 サクラ「!」 小娘が壁にあったボタンを力いっぱい押す。 すると法院とやらの室内に警報ランプがともる。 サクラ「どういうつもりかは知りませんが、     あなたなんてレイルさまとレインさまが来ればどうにでもなります!     それにノルンさんだって……!」 彰利 「くっくっく……何を言い出すのかと思えば……!     どうやらわたしの恐ろしさを忘れてしまったようだな……!     その兄弟や妙な男なら既にボコボコにしてやったわ!!」 サクラ「───なっ!?そんな!警護班!?警護班!!───そんな……返事がない」 彰利 「あたりまえだ……たった3匹のアリが恐竜に勝てると思ったのか?」 サクラ「そんな……」 アタイは怒りを露にしながら小娘に近づいた。 彰利 「貴様が地界に行けなければ意味がなかったというのに……!     早まった真似をしたな、小娘。このわたしを完全に怒らせた……!」 院長 「ま、待ってください!     地界に行くための魔法解除はその書類を天大神に届けなければ受理は……」 彰利 「なんと!」 サクラ「あ、院長さん!ダメッ!」 彰利 「コケェーーッ!!」 アタイは物凄い速さで書類を噛み、それをモシャモシャと食らった。 サクラ「あ、ああああ……!!!」 彰利 「うぅうううううううまぁあああああいいいぃいいぞぉおおおおっ!!!!」 そして例の如く口から光を放つ。 サクラ「なんてことをするんですか!!     あ、ああああの書類は一枚しか貰えないんですよ!?     しかも期間内に提出しなければ正式に天界に戻れなくなるのに……!!」 彰利 「あ〜ん?知らんなぁ〜」 サクラ「こ、このっ!!」 がばぁっ!! サクラ「きゃあっ!?」 アタイは小娘を抱えあげると、プレイスジャンプで地上に飛んだ。 院長 「……な……な、なんだったの……?」 ───のちにその騒ぎは『魔人の爪痕』として恐れられ、 天界での彼の扱いは要注意人物になったとかならなかったとか……。 ───彰利暴走日記……完─── Next Menu back