───ラヴマイスターレッドチキン凍弥───
観衆 『おぉおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!』 凍弥 「うわっ!?」 椛  「ッ!!」 廊下で様子を見ていた馬鹿どもが騒ぎ出した。 生徒1「いいぞいいぞー!よくぞ告ったー!!」 生徒2「ショック……霧波川くん、恋人できちゃったんだ……」 生徒3「そこだ!いけ!キスだキス!!」 生徒4「キース!キース!!」 生徒5「ぶーっちゅ!ぶーっちゅ!!」 お、おのれら……!! 椛  「………」 わぁ、しかもなんだか潤んだ瞳で見上げられてますし。 ど、どうするアイフル!? いや、アイフルなんざどうでもいい。 この状況は……! 佐古田「ぶーっちゅ!ぶーっちゅ!!」 風間 「もういいッス!行くところまで行っちゃってください!     俺、センパイの味方ですから!     あ、これから起こること、今後の参考にさせてもらいますね?」 凍弥 「お前らなぁっ!!」 観衆 『キース!キース!!』 凍弥 「こ、この……!付き合ってられん!」 佐古田「うん?逃げるッス?このチキンが」 凍弥 「チキン言うな!!」 観衆 『チーキーン!チーキーン!!』 凍弥 「お前らうるせぇ!!」 くいっ……。 凍弥 「へ……?」 椛  「………」 軽く引かれる感触に振り向くと、俺の制服を軽く摘んで俯く朧月。 その顔は真っ赤だった。 観衆 『おおーーーー!!相手はやる気だーっ!!』 佐古田「観念するッス霧波川凍弥。     あんた、ここで逃げたらクラス公認のチキン野郎ッスよ?」 凍弥 「強制だろうが!」 風間 「あ、いいネーミング思いつきました。マイスター・チキンてのはどうッスか?」 凍弥 「血ヘド吐くまで殴りますよ?」 観衆 『御託はいいから早くしろーーっ!女に恥じかかすなよマイスター!!』 凍弥 「マイスター言うな!!」 観衆 『チーキーン!チーキーン!!』 凍弥 「チキンもやめんかぁっ!!」 クラスのみなさまが、かつてない統率力を見せています。 それが野次ってんですから……やるせなさ120%です。 佐古田「覚悟を決めるッス。相手の方、泣きそうッスよ?     ずっとこうやってさらしものにする気ッス?」 凍弥 「───!!」 その言葉を聞いてふと、産まれたばかりの楓巫女を思い出した。 人々のさらしもののように祭壇の上にぽつんと座っていた楓巫女を。 産みの親にまで神としてしか見られなくて、寂しそうにしていた彼女。 凍弥 「───……」 俺は朧月に向き直り、思わず抱き締めた。 椛  「あっ……!」 観衆 『おおおぉおーーーっ!!!』 クラスのやつらの声なんて聞こえない。 俺はただ、生涯をかけてでも彼女を守りたいという気持ちを胸に、 震える彼女の頭を撫で─── 凍弥 「怖くないから、もう泣くな……」 椛  「───っ……!はいっ……」 やがて向き合い、唇を重ねた。 観衆 『うわぉおおおおおおおおおおおっ!!!!!』 佐古田「やったッスーーッ!!風間、カメラ!カメラはないッス!?」 風間 「そんなの無用!俺の心のメモリーに焼き付けたッス!!」 佐古田「ええい役にたたねぇヤツッス!誰か───あ」 風間 「へ?あ、あーーっ!」 ……長いキスを終え、俺と朧月は離れた。 とても恥ずかしくて、お互いが照れ笑いをする。 だけど嬉しい。 どこか心が通じ合った気分で、 長かった過去からの呪縛から解放されたような気持ちだった。 佐古田「ムナミー……!ムナミィー……ッ!!」 風間 「セ、センパイ……!セーンーパーイー……ッ!!」 凍弥 「……なんだよ、いった……キャーッ!?」 振り向いてみれば、担任のセンセが。 センセ「……教室のど真ン中で不純異性交遊とはいい度胸だ霧波川……!」 凍弥 「あ、いえっ、こ、これはその……っ!!」 センセ「これは、なんだ?なにか私の目に間違いでもあるのか?」 凍弥 「えーとえーと……!」 センセ「言っておくが、女生徒に抱きつかれたまま何を言っても説得力は皆無だぞ」 凍弥 「え?ご、ごわっ!?」 見れば、朧月は俺に抱きついたままスリスリと頬を摺り寄せていた。 佐古田「うっひゃー、本気で激ラヴッス。こりゃ激苦労しそうッス」 風間 「センパイ……ああ、でも俺、センパイが幸せならいいっス。     職員室での尋問、頑張ってください」 凍弥 「風間……それって幸せとは言わないと思うぞ」 センセ「とにかく!まずは離れるんだ朧月」 センセがグッと朧月の腕を引く。 椛  「あっ……やーっ!」 しかし朧月は子供のように俺に抱きついたまま離れようとしない。 それを見たセンセは苛立ち、今度は強く引こうとしてメゴシャアッ!! センセ「ぐおッ!?」 バキベキゴロゴロゴワシャアアアアン!!と、吹き飛んだ。 彰利 「成敗!」 ……ようするに、突然現れた彰利がライダーキックをかましたんだ。 ちなみにゴワシャアアアアンはセンセが机に突っ込んだ音である。 椛  「おとうさん……」 彰利 「一部始終はしっかりとこのビデオに納めさせていただきましたじゃ……。     立派になりましたの、楓巫女……。じいやは嬉しいですぞ」 椛  「えへへ……」 彰利に撫でられて、くすぐったそうにする朧月。 その表情は俺が撫でた時とはまた違った嬉しさがあった。 彰利 「小僧!」 凍弥 「な、なんだよ」 彰利 「今度こそ……娘を頼むぞ?」 凍弥 「───当たり前だっ!」 彰利 「うむ!あ、そうそう椛チャンと小僧にいいモン見せてやろう」 椛  「いいもの?」 彰利 「イエース!アタイがもう一度行ってきた過去で撮ってきたものぞ!?」 彰利がビデオカメラを構え、それを見せてくれる。 その中の映像は─── 椛  「わっ、わたし!?」 凍弥 「俺か……!?」 ビデオカメラの中で婚儀の儀式をする楓巫女と隆正だった。 彰利 「アタイ……見届けてきたぜ……?もう泣いたね……」 凍弥 「え……?で、でも俺達って……」 彰利 「ひとつくらい最初から幸せな世界があってもいいだろ?     だから幸せを築いてきた。     楓巫女ったら『おとうさん、わたしとっても幸せだよ』って言うもんだから、     アタイもう泣き止めなくてねぇ……!!」 椛  「お、おとうさん……」 凍弥 「あれ?じゃあ今の彰利って……」 彰利 「ええ、相当な歳まで生きてきましたけど」 凍弥 「うわぁ……って、じゃあどうしてその格好のままなんだ!?」 彰利 「だってアタイ、時間操れるし。いつまでも若若しくいられるんですよ」 凍弥 「……人間?」 彰利 「しぇからしか!うだうだ言わずに次も見んしゃい!!」 彰利が次の映像を見せてくれる。 すると───そこでは楓と鮠鷹が婚儀をしていた。 椛  「っ……」 凍弥 「……なんか、嬉しいな。本来なら辿り着けない筈の俺があそこに……」 彰利 「あ、ここ注目ね?     宝玉を渡そうとする夜華さんが泣き出すステキな場面ですから」 椛  「あ、ほんとだ。もう、夜華ったら……」 朧月はその映像を見てクスクスと笑った。 篠瀬は篠瀬で鮠鷹に食ってかかり、『幸せにせねば斬るぞ!』と脅迫していた。 そして最後は─── 凍弥 「───!」 椛  「あ……!」 その場には俺と、間違いなく成長した飛鳥が居た。 凍弥 「そんな……どうやって……!?」 彰利 「簡単じゃよ。寝てるリヴァイアとシェイドとやらと一緒にこの時代に飛んで、     この時代でもサクラさんをかっさらって奇跡の魔法を移植。事無きを得ました」 凍弥 「んな無茶苦茶な……」 彰利 「不可能に挑戦するのがアタイの生き甲斐なのでね!     あ、ちなみに喜兵衛……てゆうか逝屠は、     月蝕使われる前にリヴァイアと協力して月空力を強化させて───」 凍弥 「まさか、消した……!?」 彰利 「うんにゃ、エロマンガ島に飛ばした」 凍弥 「え、えろまんがとう……?」 彰利 「その際、シェイドとやらに記憶を封印してもらった。     島から出られても、記憶が無いから狙われる心配もないって寸法よ」 凍弥 「うひゃー……」 やっぱりスケールのデカイ人だ。 この人にだけは敵う気がしない。 彰利 「楓巫女の時代では襲いかかってきた時点で返り討ちにしました。     罪人として役人に託し、あとはまあ……牢獄生活です。     楓の時代では婚儀の日に襲いかかってくるのは知ってたからね、     鮠鷹に襲いかかってきた瞬間にわざと斬られまして。     そしてそれを証拠として役所に突き出して牢獄生活。ステキでした」 凍弥 「……そんなにまで生きて、飽きたりしないのか?」 彰利 「お馬鹿ねぇ。     今まで100年近く生きてきてもなお、こんなステキなことがあったのよ?     飽きることなんてしたらもったいないじゃない」 凍弥 「………」 そうかもしれない。 今の彰利の顔は本当に嬉しそうだ。 彰利 「で、これが楓巫女と隆正の子供の揺葉(ゆらは)。女の子ですよ〜」 凍弥 「うわ……カワイイ……楓巫女によく似てる」 椛  「………あ、あう……」 彰利 「こっちが楓と鮠鷹の子供の紅葉(こうよう)。男の子です」 凍弥 「む……」 椛  「ふふっ、鮠鷹さまにそっくりですね」 彰利 「そしてこれが!飛鳥と小僧の子供の彰(あきら)と燕(つばめ)だ。双子です!」 凍弥 「彰って名前は絶対飛鳥がつけたんだろうなぁ」 彰利 「どういう意味じゃい」 椛  「燕って子は凍弥先輩ですかね」 凍弥 「そうかも。俺、燕って鳥の中じゃ一番好きだし」 彰利 「で、これが───」 凍弥 「へ?まだあるの?」 そう言って、俺はカメラに顔を近づけギャアア!! 凍弥 「消せっ!今すぐ消せっ!!」 彰利 「ほぉっほっほっほ!!見事なぶっちゅじゃ!見てるこっちが恥ずいわい!」 凍弥 「だったら見るな!」 彰利 「だめじゃ!」 カメラが映し出したのは俺と朧月が接吻を交わしているところの映像だった。 こうして客観的に見るとえらく恥ずかしい。 凍弥 「このっ!消せ!今すぐ!」 彰利 「ふははは!ダメだ!     これはアタイが自分の時代に持ち返って家宝にするんだい!     貴様なんぞに邪魔はさせんわ!さらばじゃーーっ!!」 凍弥 「あっ……待てこらぁーーーっ!!」 彰利は窓から飛び降り、見事に逃走を果たしてしまった。 凍弥 「くぅう……!相変わらず俺には厳しいヤツだな……!」 椛  「え、えと……あはは……」 朧月を見てみれば、驚くくらいに真っ赤だった。 そりゃそうだ、俺だって顔が熱い。 佐古田「ところで霧波川凍弥……担任センセがピクリとも動かないッス」 風間 「机と椅子の下でお眠りになってるッスよ?」 凍弥 「………」 どうしましょう。 生徒1「……よっし自習だ」 ───決断はあっさりと下された。 こうして、担任の授業から始まる筈だった今日の一発目は自習。 遅れてやってきた志摩兄弟とともに、騒ぐこととなった。 ───てゆうか。 凍弥 「風間、お前戻らなくていいのか?」 風間 「オッケイッス!なんてゆうか俺、志摩先輩達も嫌いじゃないッスから」 浩介 「いい心がけだ」 浩之 「まったくだ」 凍弥 「朧月は?」 椛  「普段もサボリが目立ってたみたいですし、今更です。それに───」 きゅっ。 凍弥 「うわっ!?」 椛  「凍弥先輩ともっと一緒に居たいですし」 志摩 『ッ!!』 ギャア! 今度は志摩兄弟から恐ろしいオーラが!! 浩介 「ど、同志……貴様……」 浩之 「貴様まさか……!」 佐古田「あー、そういえば遅れてきたから知らないッス?     霧波川凍弥、さっきここで激告白して、激接吻したッス」 浩介 「……───担任と同志がか!?」 佐古田「何を勘違いしてるッス、クソジャリが。     そこの、霧波川凍弥に抱きついてなおスリスリしている女とッス」 浩之 「ま゙っ……!!」 浩之が奇妙な声を出した。 志摩 『どぉ〜〜うしぃいいいいい……!!!』 凍弥 「あ、あー……えーと、落ち着いて話し合いをしよう。     平和的な解決ってやつを熱烈に歓迎したい気分だなぁ〜」 志摩 『だめだ』 凍弥 「お前らには情ってモンがねぇのか!」 浩介 「黙れ!貴様我らの愛の尊さを知りながら!」 浩之 「しかも告白!?しかも接吻!?おのぇええええっ!!」 志摩兄弟がジリジリと俺に近寄る。 だが 椛  「……わたしは凍弥先輩が好きなんです。     あなたたちの一方的な気持ちを押しつけないでください」 志摩 『!!』 大ダメージ!! 今確かに志摩兄弟の背景(?)に稲妻が落ちた! 志摩 『あ、や……も、椛?我らは……』 椛  「それと、もう名前で呼ぶのはやめてください。     わたしは凍弥先輩にしかそう呼ばせたくありません」 志摩 『!!』 ドッギャアアァアアアアンッ!! 痛恨の一撃!! 今確かに効果音まで聞こえた! 志摩 『ば、馬鹿な……馬鹿なぁああああああああああっ!!!!!も、椛!それは』 椛  「───」(ギンッ!!) 志摩 『ヒィ!?あ、ああ……お、ぼろづき……?』 椛  「なんですか?」 志摩 『………』 椛  「………」 志摩 『……友達で居てください』 椛  「構いませんよ」 志摩 『………………うぉおおわぁああああああああっ!!!!!』 凍弥 「あ、おいっ!!」 志摩兄弟が泣きながら教室から出ていった。 ……残酷だが、仕方ない。 志摩 『いま帰ったぞ〜』 凍弥 「立ち直り早ッ!!」 志摩 『うむ、我ら、今度はメルティアという人物に惚れたのだ。     あの憂いと闇を抱いたような表情がいい』 凍弥 「………」 風間 「メルティア?一年の?」 志摩 『そうだが?』 風間 「そいつ、俺の妹ッス」 凍弥&志摩『な、なにぃいっ!?』 そ、そういえば風間に妹と会ってくれって言われたらあそこにメルティアが……! 凍弥 「けどお前、お前が言ってた名前と違うじゃないか!」 風間 「あ、そうでしたね。学校じゃあ他人同士ってことにしてるんスよ。     あいつ気を使われるのって好きじゃないから、     鈍臭い自分の所為で俺がとやかく言われるんじゃないかって思ったそうで」 そんな裏が……。 浩介 「ということは……貴様が我の義兄に……?」 風間 「よしてくださいよ、メルはセンパイに……あ」 凍弥 「……えーと」 椛  「……モテモテなんですね」 ぎゅむっ! 凍弥 「あいーーーっ!?いてっ!痛い痛い!!」 腿を抓られた。 凍弥 「ま、ままま待て!俺はなにもしてないだろっ!」 椛  「……この際だから言っておきますけど。     わたしの初めてのキスだったんですから責任とってくださいよ?」 凍弥 「責任とかの問題以前に俺はお前が好きなんだよ!     それなのにどうして疑うことばっかりするんだ!」 椛  「っ!」 ボムッ! 凍弥 「あ゙」 不意打ちをくらったかのように、朧月の顔が真っ赤に染まる。 勢いに任せて言ってしまった言葉は、本日二度目の告白みたいなモンだった。 佐古田「あー、朝っぱらからクソ熱ィッスねぇ……     夏に暖房なんざ要らねぇから余所でやるッス」 風間 「な、なるほど……人を好きになるって、うっかりここまで言えてこそなんスね」 浩之 「……随分と大胆になりおったな同志……」 浩介 「スケコマシャーと呼んでやろう」 激しく自分勝手な感想を述べられてる。 凍弥 「お前ら絶対楽しんでるだろ……」 浩介 「なにを言うか同志、我らがそのように薄情な輩だと思うてか?」 凍弥 「……そういうこと言うならまず、うしろの浩之の爆笑をなんとかしろ」 浩介 「なに!?」 浩之 「うわははははは!スケコマシャーとは的確な……!うわははははは!!」 浩介が振り向くと、そこには腹を抱えて大爆笑の浩之。 そこまで笑えるような言葉とは思えないんですけど……? 浩介 「お、おのれブラザー!我とて笑いをこらえていたのだぞ!?     先に笑われては思いきり笑えないではないか!くそ、笑気を逃したわ!」 凍弥 「怒るところが違う気もするが」 佐古田「脳内に食パン置き忘れてカビを生えさせてるようなヤツッス、ほっとくッス」 凍弥 「喩えの意味がよく解らんぞ佐古田」 佐古田「ンなことぁどうでもいいッス。     それより霧波川凍弥、アンタほんとに何人にちょっかい出したッス?」 凍弥 「ちょっかいとかそういうんじゃない!」 佐古田「ン〜?ならなんでモテてるッス?」 凍弥 「俺はモテてなんかない。周りが勘違いしてるだけだ」 佐古田「そうッス?」 凍弥 「そうッス!」 佐古田「………」 佐古田は何やら考える仕草をとり、しばらくしてから 佐古田「よし、ムナミーの勇気に免じて、メルっちょをここに連れてくるッス」 凍弥 「免じてねぇ!意味が解らねぇ!どうしてそうなるんだ馬鹿!!」 佐古田「いきなりキレられたって激知ったこっちゃねぇッス。風間、手伝うッス」 風間 「お、俺?」 佐古田「こんな面白い修羅場……もとい、ムナミーの幸せを思えばこその行為ッス」 凍弥 「本音が見え隠れするどころか堂々とひとり歩きしてるぞ」 佐古田「知らねぇッス!面白いものは楽しんでナンボ!!     それこそわたしの生き甲斐ッス!せいぜい苦しむがいいッスムナミー!!」 凍弥 「ムナミー言うな!!って待て!待てって!」 人の気も知らずにゴシャアアアと、物凄い速さで教室から疾走する佐古田。 その手には風間が引かれ、ところどころに体をぶつけて悲鳴をあげていた。 ……もうちょっと考えて行動してやれ佐古田。 と、そこまで考えて殺気を感じました。 ギギ、ギギギギ……と振り向いてみれば、やっぱり嫉妬剥き出しの朧月。 椛  「………」 凍弥 「だ、大丈夫大丈夫、俺がモテたりするわけないって」 椛  「そうでしょうか。一年でも凍弥先輩の鈍感ぶりって有名でしたし」 凍弥 「もしそうだとしても、誓ってみせるよ。     俺は朧月だけをずっと好きで居るから」 椛  「あ……その……わ、わたしも凍弥先輩のことが好き、ですけど……」 朧月はゴニョゴニョと呟き、指先と指先をコネコネと動かしていた。 その顔はやっぱり真っ赤だ。 椛  「不安なんです。言葉だけじゃ足りないって言うんでしょうか……」 凍弥 「え?それって?」 椛  「……うー……」 顔を真っ赤にさせて俯く朧月。 俺はなんのことやらといった感じに首を傾げるだけだった。 生徒1「女にあそこまで言わせておいて首を傾げるだけとは……」 生徒2「なるほど、あそこまで鈍感じゃあ女にモテても気づかねぇわけだ」 生徒3「わたしも告白してたら成功したのかなぁ……」 生徒4「いや、絶対告白の意味も解らずに首を傾げるに決まってる」 生徒5「もしくははぐらかして逃げるとか?」 生徒6「なるほど、チキンか」 生徒7「チキンだ」 生徒8「マイスターだしな」 凍弥 「おのれら陰口ならもっと小声で言え!!」 生徒1「うわー、チキンが怒ったー」 生徒2「チーキーン!チーキーン!!」 浩介 「クックドゥードゥルドゥー!!」 浩之 「コケコッコー!!」 凍弥 「お前らまで好き勝手言ってんじゃねぇー!!」 志摩 『おお見ろ!同志の顔が真っ赤だ!!レッドチキンだ!』 生徒5「レッドマイスターだ!!」 凍弥 「うがぁあああああああああああああっ!!!!!!」 生徒8「うわっ!?マイスターがキレたぞ!」 生徒2「なんかマジだ!逃げろ!逃げ───おわっ!押すなって!!」 生徒4「馬鹿どけ!って、お、おわぁーーーーーーっ!!!!!」 ドンガラガッシャンドカバキゴワシャァアアアアアアアアアン!!!!!! 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