───超変態色男児一本道───
───……………………。 ……………………。 …………。 ドバァーン!! 声  「おったわーっ!!」 んぐ? 誰よ……。 声  「目覚めよ同志!同志!?同志!!起きろと言っているーーーーっ!!!」 凍弥 「うるせーーっ!!今何時だと思ってんだ!!」 浩介 「三時間目が始まった時刻ぞ!」 凍弥 「そうか。言ってみたかっただけだから気にするな」 浩介 「気持ちは解る」 解るのか。 凍弥 「で?なんなんだ?」 浩介 「うむ、少々困ったことが起こってな。     ホレ、ウチの高校の剣道部のことなんだが」 凍弥 「ああ。それが?」 浩介 「実はな、我の知人がそこの部員で、新しい竹刀が欲しいと謡っておってな。     今は丁度体育なんだが、ブレインマッチョが剣道を始めるとか言い出して。     で、こう言ったわけだ。     『ボロイ竹刀だなぁ……よし!      貴様らの中でひとりでも俺に勝てたら新調してやる!』と」 あのハゲ……面倒なことを……。 浩介 「今はとにかく人数が必要なのだ!     あのハゲ、多勢に無勢と踏んだら、ルール無用の撲殺劇場に発展させたのだ!     あのハゲを屠らなければ剣道部に明日はない!     何故か廃部にするとまで言ったのだ!」 凍弥 「あのハゲ……」 浩介 「さあ来い同志!ともにヤツを屠ろうぞ!     生徒が全員倒れた時点で廃部は決定なのだ!」 凍弥 「大丈夫なのか?」 浩介 「なに、今はブラザーがあいつを食い止めている。     ブラザーが踏ん張ればなんとかなる!」 凍弥 「そか」 俺は納得して走り出した。 ───で、体育館。 浩介 「ブラザー!無事かーっ!」 浩之 「おおブラザー!間に合ったかブホォッ!!」 振り向いた浩之の横っ面に竹刀がキマった。 うわ、防具つけてねぇじゃねぇか……! 浩介 「ブ、ブラザァーッ!!」 浩介が倒れゆく浩之に走り寄った。 だがそんな浩介さえも平然とブッ叩く佐藤。 佐藤 「……ん?なんだ、珍しく出席か?霧波川」 凍弥 「ああ……そうだよ」 腹が立った。 教師のやることじゃねぇ。 凍弥 「相手、してもらうぞ」 佐藤 「構わないが?」 佐藤が竹刀を構える。 俺も浩之が持っていた竹刀を手に、構えた。 凍弥 「竹刀を持ってなかった浩介を殴ったりしたんだ。覚悟、出来てるよな」 佐藤 「なんの覚悟かはしらんがな。いいから来い」 凍弥 「チッ……」 腹が立つ。 全力で叩きのめしてやる……! 声  「おやめなさい!」 凍弥 「なにっ!?」 佐藤 「誰だ!」 ???「ふぁ〜ったくカスどもが……。そげに殺気を撒き散らしてなにをするつもりだ」 凍弥 「………」 声のした方向には剣道の防具を身につけた謎の……彰衛門だろうなぁ。 ???「フフフ、そこのマッチョ、この俺と勝負しろ」 佐藤 「あ?なんなんだ貴様は」 ???「俺か?俺は剣道部の血と汗と涙と嘔吐の結晶から生まれでた存在!     その名も───空手家 一本道(からてか いっぽんみち)だ!」 凍弥 「……剣道じゃないのかよ!」 一本道「馬鹿野郎!馬鹿かねキミは!     剣道部の結晶なんだから剣道に決まってんだろが!     それともなにかね!?人の名前に文句でもあるのかね!?」 凍弥 「ありまくりだボケ!」 一本道「やかあしゃあ!とにかくそこのマッチョメン!この空手家一本道と勝負しろ!」 佐藤 「別に構わんが、防具は脱げ。それがルールだ」 一本道「なんと!それは失礼いたした。しばし待たれよ」 ゴソゴソ……。 一本道「あら?」 ゴソ…… 一本道「あれ?な、なにコレ!取れねぇ!」 男  「あぁーーっ!そ、それはーーっ!」 一本道「し、知っているのか雷電!」 男  「髑髏村髑髏掌(どくろむら どくろしょう)です」 一本道「……まだ雷電の方がいい名前だと思うが」 凍弥 「俺もそう思う」 男  「と、とにかくそれは……!剣道部名物、呪いの防具!」 一本道「なにソレ」 男  「は、早く言えば……     は、遥か昔……剣道部に所属していた男が病に倒れ、     その防具が呪われたのです」 一本道&凍弥『早く言いすぎだ馬鹿ッ!!』 男  「ヒィイごめんなさい!」 わけ解らん。 男  「とにかくその防具は一度身につけると外れなくなるというもっぱらの噂でして」 一本道「またまた、そんなわけが……」 ゴギギギ…… 一本道「フンッ!」 ゴギギギギ…… 一本道「………」 ゴギ…… 一本道「いやーん!」 外れないらしい。 一本道「また!?ねぇまたなの!?どうして何か装着するたびに外れなくなるの!?     変よおかしいよ絶対ヘンよぉっ!!」 一本道がヒステリックに叫び、どこかへ走っていってしまった。 大丈夫、おかしいのはきっとキミの脳内だけさ。 佐藤 「……あんなヤツどうでもいい。ほらどうした、来ないのか?」 凍弥 「……確かにどうでもいいか。じゃ、倒せばいいんだよな?」 佐藤 「そうだ」 凍弥 「───」 シュパァンッ!! 佐藤 「いっ……!?」 佐藤の頬に一撃を加える。 シュパァンッ!! 佐藤 「っ……!」 怯んだ隙を見逃さず、追撃を食らわせる。 彰衛門には負けるが、力馬鹿には負けない……いや、負けるわけがない。 パァン!シュパァン!バシィッ!パパァンッ!! 佐藤 「がっ!くあっ!うがっ……!」 凍弥 「ほらトドメだ」 ドパァンッ!! 佐藤 「がはっ……!」 振り抜いた竹刀が、佐藤の胴を捉え───佐藤は倒れた。 凍弥 「一応、倒れてる生徒の数だけ叩かせてもらったよ。一生そこで寝てろ馬鹿が」 一瞥をしてから志摩兄弟に歩み寄った。 凍弥 「大丈夫か?」 浩介 「ああ、なんとかな……しかし不意打ちだとはいえ不覚だった……」 浩之 「しかし、同志が『一生そこで寝てろ馬鹿が』とまで言うとはな」 凍弥 「ん?んー……なんかな、前世の怒りってゆうか。     お前らが倒れるの見たら自制が効かなくなった」 志摩 『………』 志摩兄弟がポカンとした表情で俺を見た。 ま、なにはともあれ─── 凍弥 「胸を張れ!俺達の勝利だぁあーーーーっ!!!!」 男衆 『おぉおおおおーーーーーーーーっ!!!!』 クラスの男子達とともに拳を天に突き上げた。 ノリはいいクラスだけに、こういう時は最高の気分だ。 浩介 「フフフ……これで剣道部も安泰だな」 浩之 「せっかくだ、     あの佐藤が手も足も出ないような強さなら剣道部に入ったらどうだ?」 凍弥 「やめとく。部活やるくらいなら寝るよ俺は」 浩介 「そうか。その方が同志らしいな」 志摩兄弟に苦笑を送られながら、俺は竹刀を放った。 間島 「いやー、まさか霧波川がやってくれるとは!」 加持 「いやいや!昨日のぶっちゅを見た時からこいつはヤる男だと思ってた!」 富樫 「よくやってくれた霧波川!」 古河 「さすがマイスター!」 間島 「さすがチキン!」 男衆 『チーキーン!チーキーン!!』 凍弥 「チキン関係ねぇだろうが!」 男衆 『マーイースター!マーイースター!!』 凍弥 「お前らいい加減しつこ」 ブチッ。 凍弥 「───……」 浩介 「ややっ!?殺気!?」 浩之 「逃げるぞブラザー!同志がキレた!」 凍弥 「ガァアアアアアアーーーーッ!!!!!」 志摩 『キャーッ!?』 ───のちに語られたことだが。 何故か俺はクラス中から『さっきのお前は修羅だった』という言葉を贈られた。 話途中で頭の中が真っ白になった俺はどうしてそう言われるのかも解らず。 心当たりがないままに今日を過ごしてゆく。 ……ズシャリ。 一本道「コーホー」 ……ズシャリ。 SO、アタイは困っていた。 これで困らなきゃ……ウソだぞ!? 一本道「いえね?なかなかステキな案が浮かんだからこのままでもいいんですが」 そう、この防具があればアタイが誰だかバレることもねぇのよ。 SO!堂々たる覗きや変態チックな行動に走れるのです! しかもなにか起こってもすべて剣道部の所為になる! 最強じゃないですか呪いの防具! ホラ、RPGとかでも呪い装備って無類の防御力とか破壊力を誇ってますし! 一本道「クォックォックォッ……     では不肖、この空手家一本道が覗きというものを……む!」 あれに見えるは運動をしているおなごではないですか。 ああ、男子が剣道なら女子は外で適当なものを? 一本道「ぬう、この高校はスパッツなのか。     個人的にはブルマを熱烈に推したいのだが」 ダメだな、ここの校長は解っちゃいねぇ。 一本道「まったく……体操服からチラリと見えるブルマの輝きこそが、     気だるい体育の時間の男子生徒の目と心を癒すというのに……。     俺は言うね!体操着をブルマの中に入れるのは人として……否!     女として間違っている!!アタイの脳内文部省認定!覆しません!」 女1 「……ちょっと、なにあいつ……」 女2 「ちょっとアタマいっちゃってんじゃない……?」 一本道「黙れメスブタども!この愛が解らねぇヤツぁ人間じゃねぇ!土へ帰れ!」 女3 「なにアレ!ムカツク!」 一本道「アレ呼ばわりかい!そんならこっちだって言わせてもらうがね!     アタイはスパッツなんぞに好意は抱かねぇのよ!     ブルマ廃止運動を撲滅しろ!ブルマ最高!ブルママンセー!     そしてスクール水着はスカート型!ゆ、譲れねぇ!!」 女4 「やだ変態よ!?」 一本道「やかぁしい!てめぇらの腐った良識で物事決めつけてんじゃねぇ!     これこそ心理これこそ愛これこそ神秘これこそ最強!!     一般常識に流され理想を失ったカスどもにはこの愛は解らねぇのよ!」 女5 「開き直ったわよ!?最低!」 一本道「やかましいわ!アタイが最低なら貴様らも最低だカスめ!     この愛が解らねぇカスどもは最低だ!カスめ!カスめ!」 女6 「もう怒った!石投げちゃお石!!」 女7 「うん!」 おなごども(スパッツ)が石を投げてくる。 だがそれを問題なくかわす。 一本道「馬鹿め!貴様らが着用しているのがブルマならば見惚れもするだろうが、     生憎このワシはスパッツにゃあ興味ねぇのよ!故に当たらぬ!     そしてこれよりスパッツ星人の貴様らに制裁を加える!歯ァ食い縛れ!」 アタイは力の限り駆け込み、 やがてそのスパッツを没収せんばかりにドゴボゴボゴベゴドスベキャゴンガン!! 一本道「ギャアアアアアーーーーーッ!!!」 石投げ集中射撃をくらった。 一本道「ぐ、ぐぐぐ……お、おのれスパッツめ……!!」 女8 「わっ、まだ喋るわ!」 一本道「喋るわ!貴様人をなんだと思ってやがる!」 女9 「まだよ!まだ生きてるわ!一気にいくわよ!」 一本道「ええ!?殺す気なの!?ってキャーッ!?」 ドゴボゴベキベシガンゴンガンゴン!! 一本道「いででいでいでいでででで!!お、おのれスパッツがぁーーーっ!!」 アタイは手近なおなごを人質に取ろうと手を伸ばしてズリャアッ! 女1 「あっ……!」 一本道「ゲゲェーーーッ!!!」 手元が狂い、女1のスパッツを……キャア! 女1 「いやぁああああああっ!!!!!」 ボゴシャア!! 一本道「ギャアーーッ!!」 石を握ったパンチをされてしまいました。 女2 「由梨!大丈夫!?」 女1 「ひっ……ひっく……雅美ちゃぁああん……」 女2 「このっ……変態野郎ォオオオオオッ!!」 キャア!なんだかとってもヤバイ状況! アタイを囲むおなごどもから殺意の波動がひしひしと! 一本道「小娘よ!スパッツはいただけなかったが、     純白ホワイティンなパンティェ〜は最強ですよ!?     アタイが保証します!文部省認定!     キミはいい娘だ!ブルマをやろう!だからブルマを穿きたまえ!     あ、上着はブルマの中に入れちゃダメですよ?減点どころかハッ倒します。     よいですかあなたたち、ブルマというのはですね」 女3 「この外道がぁあああっ!!」 一本道「キャアアアアアアアアア!!!!!」 ドガッ!ベキッ!ガスゴスベキャッ!! ゴガシュドガゴスベキボキベキガンゴンゴガァッ!! ───……。 凍弥 「はーあ、まったく面倒な」 浩介 「そう言うな同志。やつらも喜んでいたではないか」 浩之 「そうだとも盟友凍弥。さっきの貴様は修羅だったが、それでも構わん」 凍弥 「……だからさ。その修羅ってのはなんなんだよ」 志摩 『知らん』 凍弥 「………」 よく解らずに脱力の息を吐いた。 そしてそのままの足で体育館を出て─── 凍弥 「うん?」 ふと、視界を掠めたなにかに気づいた。 グラウンド方面にあるそれは……うわ。 浩介 「どうした同志。なにか……うお」 浩之 「な、なんなのだあれは……」 俺と志摩兄弟は上履きのままグラウンドへ向かい、それを見た。 どうやって作ったのかは解らない十字架に磔にされている空手家一本道を。 彼が項垂れているその下の地面には、『変態、ここに眠る』と書かれている。 ……いったい何が起きたのか。 凍弥 「……それにしても───この腹を貫いてる刀は……篠瀬の仕業か?」 一本道「い、いい質問だ……ブルマをやろう……」 凍弥 「いらん!」 一本道「グ、グウウ……そ、そうなのよ……夜華さんたら急に現れたと思ったら、     『この痴れ者がぁあーーーっ!!』って叫んドチュリと……。     う、うぐぐ……いたい〜……いたいよ〜……抜いておくれ〜……」 凍弥 「すまん、なんか感触が残りそうだからやめとく」 志摩 『同じく。というより生きている貴様は何者だ』 一本道「フッ……今はスパッツハンターとでも名乗っておこうか」 志摩 『そうか、変態か』 一本道「ステレオで変態って決めつけないでよ傷つくじゃない!」 浩介 「違うのか?」 一本道「断じて違う。これこそが男として生まれたが故の性(サガ)よ。     気だるい体育の中で煌くオアシス!     心と視線がついつい持っていかれてしまう魅惑の装備!     それがブルマとスクール水着というものではないかね!?     というわけで話を聞く姿勢にあるヤツにはブルマをやろう!」 浩介 「……すまん、ついていけん」 一本道「意気地なし!そんなアナタなんか嫌いよ!」 浩之 「ようするにブルマとスクール水着があればどうでもいい変態ではないか」 一本道「しゃらくさいわ青二才めが!これだから貴様らは未熟なのだ!     ブルマはブルマでも体操着からチラリと見えるものこそブルマ!     スク水はスク水でもスカート型で機能性に優れたものこそスク水!     その違いが何故解らん!貴様らそれでも現役高校生か!?」 凍弥 「……あのさ。『彰衛門』としての印象がボロボロと崩れてゆくんだが。     てゆうか彰衛門、消えたんじゃなかったの?」 一本道「黙れ!アタイは空手家一本道だ!彰衛門などというハンサムガイなど知らん!」 知ってるじゃないか。 ハンサムガイではないと思うけど。 浩介 「馬鹿か貴様は。オアシスがどうとかぬかすが、見れば変態扱いだぞ」 一本道「それこそが愚だというのだ馬鹿め!     よいか!ブルマやスク水はジロジロ見るものではない!     たとえばクラスの女子が後ろの女子に話し掛けるフリをして、     さりげなく様子を窺うくらいのさりげなさで見るのが常識なのだ!     ジロジロ見る奴ァ帰れ!礼儀ってものがなっちゃいない!     いいかね!?あれは神聖な着衣であって、冷やかすためのものではない!     プールサイドから覗き見て高い声上げるヤツは失せろ!俺が許す!失せろ!」 浩之 「……同志。なにやら説教されてるようだが……我らに関係のあることなのか?」 凍弥 「あるわけないだろこんなもの……」 一本道「言っておくが白い生地のスク水は消滅して構いません。     紺色だからこそ映えるのです、スクール水着というものは」 浩介 「…………」 一本道「聞いているのかね!!」 浩之 「……行くか」 凍弥 「そだな」 やがて俺と志摩兄弟は一本道を無視して学び舎へと歩いていった。 声  「これ貴様ら!まだ話は終わっておらんのだぞ!     貴様らにはスクール水着の機能性と裏地が白いところの魅惑について、     たっぷりと聞かせなければならないことが───こ、こりゃああああっ!!!」 浩介 「なにか言っているが」 凍弥 「無視だ無視」 浩之 「だな」 ───……。 Next Menu back