───夏の景色に叶った春色の未来───
アキト「がぼっ……がぼっ……」 ようやく解放されたアタイは、ぐったりと倒れながらスモーキーの真似をしていた。 皆様ったら死なない程度とはいえ、手加減してくれないんですもの……。 アル 「期待した俺が馬鹿だった……」 ポム。 アル 「うん?」 アキト「……馬鹿」 ボゴシャアアアアア!!!!! アキト「ほぎゃあああああああああ!!!!!!」 振り向きざまのチョッピングライトを贈られました。 これは痛いです。 アキト「な、なにすんねん!!ただ肩叩いて『馬鹿』って言っただけじゃない!!     てめぇは自分を馬鹿だと自覚したんでしょう!?     馬鹿を馬鹿と言って何が悪いこの馬鹿!馬鹿め!馬鹿め!!」 アル 「うるさい!冗談を言うのも大概にしろ!!」 アキト「なに〜っ!?このカプセルがウィルスの素だってことはウソじゃねぇぞ〜っ!」 アル 「フン……どうせウソだろう」 アキト「ウソじゃねぇっつってんじゃい!!ねぇゴッド!?」 ジェス「ウム。この魔法のコーティングからはマルドゥークの波動を感じる。     おそらく、千葉の中でこのカプセルにプロテクトをかけたんじゃろう。     そして、そこまでして守るカプセルというのであれば───」 レイル「ウィルスってわけか!」 レイン「やりましたね!」 遥一郎「……!そ、そうか……!そうかっ!!」 ほっほっほ、皆様両手を上げて喜びあっておるわ……。 アタイはそんな皆様ひとりひとりに声をかけることにした。 アキト「感謝せいよ?」 ジェス「うむ、天界を代表して礼を言う」 アキト「崇めたまえよ?」 レイル「くっ……喜びの場面に水差しやがって……!」 アキト「尊び敬いなさいよ?」 レイン「そうですね、感謝せずにはいられません」 アキト「よかったのぅ精霊この野郎」 遥一郎「どうしてわざわざ『この野郎』をつけるのかは解らんが……感謝する」 アキト「カスが」 アル 「どうして俺だけ侮辱のひとことなんだよ!!」 アキト「お?やるか?お?このアタイの娘シールドがある限り、貴様は手が出せんぞ?」 アタイは体に抱きついたままのリーフとミントを抱き締めつつそう言った。 すると───キャア!予想通りにカスは動きを止めおったわ!! アル 「お前さ……今人として最低な存在にしか見えないぞ?」 アキト「ゴメンナサイ」 自覚してました、ゴメンナサイ。 ───……天界のメディカルなんたらという場所。 アル 「よし、ウィルス破壊薬が完成したぞ」 あれからしばらくして、後ろ髪を束ねた『自称馬鹿』がそう謳った。 それはやはりカプセルのようなものに入っており、 見た目は地上の薬とまったく変わらなかった。 アキト「てめぇ、まさか市販の薬でアタイを騙そうって魂胆じゃあるめぇな」 アル 「どうしていきなりそうなる!!お前はもう少し人を信用しろ!!」 アキト「フッ……貴様が信用するだけの存在に至ったら、考えてやらんでもない」 アル 「こ、このクソガキャア……!!」 アキト「ガキャア!?ほっほっほ!このアタイをガキャアと呼ぶか!!     100年も生きてないクソガキがよくまあほざくわ!!」 アル 「なにっ!?」 アキト「とくと聞け!アタイは既に170を超える年齢ぞ!!     貴様とは格が違うのだよ!」 アル 「そんなすぐにバレるようなデタラメを───」 ジェス「いや、そやつの言っていることは事実のようじゃ」 アキト「オウ?」 アル 「親父!?」 今まで黙っておったジジイが、ヒゲをワサワサと揺らしながら歩いてきた。 アキト「これ!ここは関係者以外立入禁止ですよ!?」 ジェス「ムオ!?す、すまん……む?何故ワシが謝らねば?」 アキト「よっしゃあ神に謝らせたぁーーっ!!」 ふはははは!!今までどのような誰もが為し得なかった大業を今!! このアタイが達成したぞ!! アキト「………」 てゆうか、人が出来ないことを随分やってるよね、アタイって。 なんだか突然虚しくなっちゃった……。 アキト「あー……そんで?何の用ですか?」 ジェス「む……」 アル 「そうだ、こいつの年齢が真実だって話だったな。どういうことだ?」 ジェス「ウム。こやつは自分で時間を操ることが出来るんじゃ。     だからいつまでもその姿で、しかも何度も時間移動をしておる。     ───時の聖魔の加護を受けているワシが言うんじゃ、間違いはない」 アル 「……こんなヤツが……」 アキト「まあよ。いいからそのカプセル渡しなさい。     アタイが責任持って地界の悩める者達に」 アル 「これは穂岸に託す」 アキト「なんだとてめぇ!!アタイが信じられねぇってのかい!?」 アル 「そうだ。お前なんか嫌いだ」 アキト「子供ですかアンタ!!」 アル 「ん?俺をクソガキと言ったのはお前だろう?子供でなにが悪い」 アキト「ゴ、ゴゴギィイイーーーーーッ!!!!!このクソジャリがぁあああっ!!!」 思わず夜華さんチックな叫び声をあげ、アタイはカプセルを奪取しようと手を伸ばした。 アル 「おっと!」 しかしよけられる。 アキト「それをよこしなさい!」 アル 「断る」 アキト「何故かね!」 アル 「お前が嫌いだからだ」 アキト「その言葉!アタイへの挑戦状として受け取るぞ!?」 アル 「望むところだ!!」 アキト「後悔させてくれるわ!!発動せよ我が魔人の波動ォオオオッ!!!」 アル 「親父!カプセルを頼む!」 ジェス「解った」 自称馬鹿の投げたカプセルが弧を描く! キャア!これを待っていたのYO!! アキト「トタァーーッ!!」 パシィッ!! アル 「あ」 アキト「ムヒョヒョヒョヒョ!!!とんずらぁあーーーーっ!!!!」 アル 「あ、こ、こらっ!それには地界や天界の命運が」 ドシュゥウウウウウウウウウン!!!!!! アル 「速ェエーーーーーーッ!!!!!」 クォックォックォッ……さああとは精霊野郎を回収して地界に戻るだけぞ……! 別に無視してもいいんじゃが、なんとなく気になるし。 ───てなわけで、只今……天大神の神殿の頂上に立っております。 アキト「見ろォ!人がゴミのようだ!!」 ムスカくん発動。 さて、降りますか……。 なんかすっげぇ無意味なことした……。 ズズズ…… アキト「スパイダメェ〜ン」(訳:スパイダーマン) アタイはマーブルvsストリートファイターのスパイダーマンを選択した時の声を真似て、 天井から紐を下ろして、それを逆さになった状態でズズズと降りてゆく。 これぞスパイダーメン。 さて、アタイの遥か下の方には精霊と先ほどの桃色極道さんが居るわけですが…… 雰囲気からしてラヴ話っぽいのでこうして隠れて聞き耳立てようってわけですよ。 ウフフフフ……てゆうかこの建物無駄にデカすぎ!! なんだって天井と床がこんなに離れてんのさ! おかげでゆっくりとステキな体勢で聞き耳立てることすら叶わん!! 声  「与一……どうして教えてくれなかったんですか……?」 声  「サクラ……」 ───む! 弱音を吐いてる場合じゃねぇ! ここはじっくり聞かねぇと損ですよ!? アキト(スパイダメェーン!!) ズズズ……ズズズ……!! ゆっくりと紐を伝って、ギリギリのラインまで降りる。 し、しかし、いい加減手がシビレてきた……! 天井からここまでくるのに相当長いんですもの……! 声  「すまないサクラ……お前にはお前の暮らしがあると思って、     ミニには黙っておくように頼んでいたんだ……」 声  「そんな……そんなのひどいです……!」 ───! ムウウ!どうやらあの精霊野郎、あのおなごを泣かせておるようじゃ!! キャア!弱みを握るチャンスYO!! 声  「お前はもう結婚したんだろう……?そこに俺が出ていって、なにになる……」 声  「与一……わたしは結婚なんてしてませんよ……?」 声  「えっ……?」 ムウウ……!あと少し……!あと少しでふたりの様子が見えるゾーンに……!! 声もイマイチハッキリ聞こえんですタイ……!! アキト(グウウ……ピ、ピエロアイーーーン!!) アタイは根性で目を伸ばそうとゴニョリ。 アキト(ウィ?───ギャア!!) キャーッ!!眼球が落ちたァーーーーーッ!!!! 声  「わたしは天大神さまに頼んで、     この年齢、この状態のままを保たせてもらいました……。     それがどうしてだか、わかりますか……?」 声  「……いや……」 ええい戻れ戻れ!フン! パコン! アキト(グウム……一時はどうなることかと……) ビビッ!! アキト(ややっ!?紐に『ほつれ』が!!) ヤバイ!ヤバイよ!! 声  「わたしは……やっぱり与一以外を好きになることなんて出来なかったんです。     天界に来ても考えることは与一のことばっかりで……。     それから随分悩んで、     時を止めてもらう決心をしたのが……この体型の時でした」 声  「サクラ……でも、お前の孫のミニは……」 声  「あの子は正式にはわたしの孫じゃあありません。     知り合いの孫です。ただ……未熟児として産まれたあの子に、     わたしが血液を輸血しただけです」 声  「奇跡の魔法は……?」 声  「多分……輸血した際に流れたんでしょう……。     ランティスの奇跡の魔法は『血』自体に流れます。だから───」 ムウウ……そうじゃったのか……。 って、話されたか。 てゆうかヤバイです!!ヤバイ!! 声  「お前は、そのことをミニに……?」 声  「あの子はもう知っています。知っている上で……自分をわたしの孫だと……」 声  「そうか……」 うう、小娘……実は強い心の持ち主だったのね……? ただの暴力小娘だとばかり思ってたのに……。 声  「天大神さまに、あの子がイマンシペイトを操れるのは、     わたしの血が大きく脈打ってるからだと聞いて……わたしは驚愕しました。     もしかしたらあの子も消えてしまうんじゃないか、って……。     そう思ってみて解ったんです。わたしも……あの子のことを孫だと思ってる。     ううん、実の孫以上に大切に思っている、って……」 声  「………」 声  「与一……あれからもう随分経ってます。     だけどわたしの心は変わりません。与一は……あなたはどうですか?」 声  「サクラ……」 おお!!?ついにラヴの新展開!? アキト(いけっ!そこだ!チューだ!ぶっちゅ!!) ミリリ…… アキト(ギャア!?) しまった!興奮した所為で紐が揺れて───!! 声  「ははっ……随分と喋り方が変わったんだな」 声  「誤魔化さないでください」 声  「………」 声  「与一……」 声  「……ばか」 声  「え……?」 声  「俺だって……忘れるわけないだろうが……」 声  「あっ……」 お!おおおおおおお!!!抱き締めおった!!! ナイス!ナイスですよ精霊この野郎!!そこだ!ぶっちゅ! 声  「サクラ……」 声  「与一……」 お、おおおお……!! ブチィッ!! アキト「ややっ!?」 アタイの愛を支えきれなかった紐がとうとう千切れた瞬間です!! イヤァアア!!信じてたのにドグシャアッ!! アキト「ギャアッ!!」 遥一郎「っ!?」 サクラ「きゃっ───!?」 グ、グウウ……!しこたま背中打った……! アキト「あいいたたた……まったくなんとしたことじゃ……む!?」 倒れたアタイを見つめるふたりを確認!! アキト「あ、いや……やだなぁ、照れるじゃないか。そんなに見つめないでくれ」 とは言ったものの、なんか気まずい雰囲気だ。 もしかしてアタイ、せっかくのラヴシーンを邪魔しちまいました? アキト「あっと……ごめんよ、邪魔はしないから続けてくれ」 遥一郎「………」 アキト「あ、えっと……アレ?なんで拳をペキポキ鳴らしながら近寄るのかな……あれ?     ちょ、ちょっと待ってほしいな……あれ!?     な、なななんでキミまで近寄ってくるの!?アタイそんなにお邪魔だった!?     ごめんよ!謝るから続行してお」 次の瞬間、語り中だったアタイの顔を目掛けてふたつの拳が振るわれたのでした─── ───……。 アル 「それじゃあ、もういいのか?」 遥一郎「ああ。もうこの場所に居る理由もないし」 アル 「そっか。……ところで……」 ポム。 アキト「なんじゃい」 アル 「漢の顔になったな……」 自称馬鹿がアタイのボコボコの顔を見て言った。 アキト「惚れるなよ?」 アル 「……皮肉も通じないのか───てゆうかその顔に惚れるヤツなんて居るか?」 アキト「うるせぇ!余計なお世話じゃ!!」 遥一郎「的確な表現だと思うが」 アキト「うるせぇ!大体キミらがいつまで経っても殴るのやめないからでしょ!?     ゴッドが止めに入らなかったら死んでたわ!!」 サクラ「自業自得です」 アキト「なんだとこのハゲ!」 サクラ「ハッ───だ、誰がハゲですか!!」 アキト「お!?なんだこの!やるかコラ!!     なんなら貴様が神聖な天大神さまの神殿で何をしてたか、     事細かに説明してやってもいいんじゃぜ!?えぇーーっ!!?」 サクラ「───!!」(グボンッ!!) アキト「クォーックォックォックォッ!!!顔を真っ赤にしおってからに!!     その程度でアタイに歯向かうなど、100年早いわ!!」 サクラ「う、うぐぐぐぐぅうう……!!!」 アキト「まぁ〜ったく祖母と孫、そろってアタイに無礼を働きおって。     キミらはなんだね?私に恨みでもあるのかね」 遥一郎「……無いとでも思ってるのか?」 アキト「え?あるの?」 全員 『………はぁ』 うおう、その場に居た全員に溜め息つかれちまった。 アキト「ああもう、いいから我らの住まう場所に戻りますわよ?     アタイだって忙しいんザマスから」 遥一郎「解った解った。それじゃあ……サクラ、元気でな」 サクラ「あ、与一───」 遥一郎「うん?」 サクラ「……その、いつかお邪魔しても……いいでしょうか」 遥一郎「あー……なんかその口調って引っ掛かるな」 サクラ「時は人を変えるものです」 遥一郎「───……いつでも遊びにこい。待ってるから」 サクラ「っ……はいっ!」 ったく……隙あらばラヴろうって気ザマスか? やぁね〜、ラヴラヴバカップルは。 ミント「おとうさん……」 アキト「おや、ミントさん、リーフさん。お見送りしてくれるのかね?」 ミント「おとうさん……どこにいくの……?」 アキト「うむ……実はの、黙っていたが、じいやは天界の人間じゃないのじゃよ……。     だから、帰らなければならぬのじゃ……」 リーフ「!!」 リーフさんとミントさんの顔に、明らかな驚愕の色が浮かぶ。 リーフ「やだっ!やだやだやだ!!いかないで!」 アキト「む……」 リーフさんがアタイの胴に精一杯抱きつき、叫んだ。 だがアタイは冷静に心を静めると、リーフさんの頭を撫でて言う。 アキト「いつでも遊びにきなさい。     よいかな?じいやはどれだけ離れようと、どれだけ時が経とうとも、     リーフさんやミントさんの『おとうさん』じゃよ……」 リーフ「いぐっ……うぐっ……おと……さぁん……!!」 アキト「だから……な?泣くんじゃありません。可愛い顔が台無しですよ……」 ミント「おとうさぁん……!」 泣きつくふたりをやさしく抱き締めてやり、その頭をポンポンと撫でた。 遥一郎「……ロリコン?」 アキト「吊るしますよ?」 遥一郎「じょっ……冗談だって……」 アタイのマジな目を見て、精霊は後退った。 アキト「よいか?地界にはじいやの家があるわけじゃない……。     じゃがな、とある家にはよく出没するんじゃ。     じゃから……その家の場所はレイルというカスが知っている。     そやつに訊きなさい……」 レイル「カス言うな!」 アキト「だまらっしゃい!!この子たちの涙が見えぬのかね!?」 レイル「ぐ……」 アキト「まったく頭ごなしにどなることしか知らんのかね……。     感動の別れのシーンが台無しじゃよ……」 レイン「感動の別れのシーンに『カス』という言葉は出ないと思いますけどね」 アキト「グ、グムーーーッ!!!!言われてみればそうかもしれーーーん!!!     ちょっと反省。だが貴様がカスであることに変わりはない」 レイル「なんでじゃあ!理由聞かせろ!!」 アキト「独断と偏見と実力行使!!」 レイル「───」 あ、放心した。 呆れ果てたか……馬鹿め。 アキト「まあそんなわけじゃ。よいな?ふたりとも……よい子にして暮らすんじゃぞ?」 リーフ「……うん」 ミント「わかった……」 アキト「うむ……っ!おぬしらはじいやの、自慢の娘じゃ……っ!!」 再びふたりを抱き締め、その頭を撫でた。 ふたりもアタイの感触を覚えようとするかのように、必死に抱き着いてくる。 アキト「うむ、うむ……」 最後にもう一度、ふたりの頭を撫でて立ち上がった。 アキト「───いいか?」 遥一郎「ああ。やってくれ」 アタイは冥月刀を抜き、天に掲げて構えた。 アキト「時の刀よ!ボクらの住まうべき場所へ!」 そう唱えると、体を包み込むように光の粒が現れる。 サクラ「与一っ!!」 遥一郎「……そんな顔するな。またすぐに会えるさ」 リーフ「おと……さん……!」 ミント「おとうさんっ!!」 アキト「楽しい一日じゃった……リーフ、ミント……いろいろあったが、     じいやは幸せでしたぞ……」 ───やがて、景色が完全に真っ白になる。 その次の瞬間には既に地界の転移した場所に立っており、 目の前にリーフやミントさんは居なかった。 ……強く生きなさい、リーフ、ミント……。 ───……こうして、ひとつの長い一日は終わりを告げた。 小僧はアタイが薬を渡すとすぐさまに電話で『カザマ』を呼び出し、 ふたりして自転車に乗って疾走していった。 ボ〜ッとしながら帰りを待って、ふたりが戻ってきたのは夜の11時。 消灯なんてとっくに終わってるだろうに、何をやってたのかと訊ねると─── カザマの恋人の親御さんに捕まり、 薬を届けてくれたお礼がしたいと言われて、今までもてなされてたそうだ。 ……ようするに、薬はちゃんと効果を示した。 カザマの恋人は持ち直し、その次の日には退院。 発作が再発することもなく、普通に暮らしていると、カザマがでれでれしながら言った。 恋仲も順調のようで、あまりの所構わずのラヴラヴっぷりに、 小僧を誘って撲滅運動を企もうとしたが……臆した小僧がそれを止めやがった。 仕方なくアタイだけで実行することに至り───…… 彰利 「クォックォックォッ……幸せモンには理不尽な因果応報が待ってるものぞ……!     ってわけで、夜華さん、準備はいいかね?」 夜華 「何故わたしがこのようなことを……」 アタイは夜華さんを誘い、ステキなタッグチームを結成した。 その名も『貴公子とカス』。 キャア!ステキすぎ! ……ちなみにコンビ名を夜華さんに伝えたら、どういうわけか了承が得られなかった。 それどころか八ツ裂きにされる始末。 まったく短気なんですから。 彰利 「さっ!いきますよ夜華さん!     幸せモンには鉄槌を下すのがこの世の掟なのです!」 夜華 「そ、そうなのか!?」 彰利 「残酷だが、そうなのだ。というわけで異端者には『爆破でドン』の刑です」 夜華 「ばくはでどん?なんだそれは」 彰利 「ハイ、あそこに座っとるバカップルの傍にダンボールがあるでしょ?     実はあそこに爆弾が入ってまして。このスイッチでドッカーン♪」 夜華 「『ドッカーン♪』じゃないだろう!!そんなことをしたら死んでしまう!」 彰利 「大丈夫大丈夫!致死は避けてるから!!
たぶん」 夜華 「───待て。今何か聞き捨てならないことを口走らなかったか?」 彰利 「言ってませんよ?ってわけでスイッチらオーーーン!!!」 げしぃっ!! 彰利 「ややっ!?」 突如、背後から蹴られたアタイは空を舞った。 やがてドゴォと何かの上に落下しドガァアアアアアアアアアン!!!!!! 彰利 「ギャアアアアアアア!!!!!!!」 カザマ「うわっ!?」 おなご「きゃあっ!?」 アタイは再び空を舞った。 ああ……アタイ飛んでる……飛んでるよ……。 ドシャア!ガバァッ!! 彰利 「てめえコラダーリンこの野郎!!いきなりなにすんの!!」 アタイはアタイを蹴飛ばしたダーリンに向かって走り、抱き着こうとボゴォッ! 彰利 「へぶっ!!」 エルボークラッシュで撃沈された。 悠介 「凍弥から密告があってな。お前が馬鹿なことしそうだから止めてくれって」 彰利 「ゲェエーーッ!!あの野郎アタイを売りやがった!!」 なんてこった!計画が水の泡だ!! 悠介 「何か言い残すことはあるか?」 彰利 「え!?え、えーと……ア、アタイは夜華さんにそそのかされたんだ!!」 夜華 「なっ!?なにぃっ!?彰衛門、貴様!!」 彰利 「というわけでとんずらぁあーーーーーっ!!!!」 アタイは脱兎の如く逃ガシィッ!!イヤァいきなり捕まったァーーッ!!! 悠介 「人の幸せ妬んでんじゃねぇーーーっ!!!」 彰利 「キャーッ!?や、やめてぇー!!アタイがなにしたってゆうのーーっ!!     あ、タ、タスケテー!助けて夜華さん!!」 夜華 「……手助けするぞ」 彰利 「キャア!そうこなくっちゃブボッ!?ええっ!?な、なんでアタイを殴るの!?     アタイのことを助けてくれるんじゃなかったの!?     いやっ!やめて!やめっ!ぶべら!べべらぶべべらはべらべら!!     イヤァアア助けてぇええええええっ!!!!」 ……こうして、その日も終わった。 アタイは夜華さんとダーリンに殴られ続け、 足腰立たなくなってから土手の川に投げ捨てられ、その穏やかな流れに身を任せた。 そうした夏の気配の中、アタイはいつの間にか気絶して…… 気づけば雄大な大海原に漂い、目覚めた途端にシャークさんに襲われた。 そこでアタイの頭の中に浮かんだ言葉。 それは、『人の恋路を邪魔するヤツは、馬に蹴られて死んじまえ』だった。 その馬がサメであることにかなりの理不尽さを感じながら、 やがてアタイはシャークさんに丸呑みにされたのだった……。 Next Menu back