───魔王降臨祭?───
ビーッ!ビーーーッ!! 声  『緊急警報!緊急警報!侵入者が脱走しました!     使用人各員に告ぎます!侵入者を捕らえなさい!』 ドコントドコトコ♪ 彰利 「ルパンザサァ〜〜〜ド♪」 SO、アタイは疾走していた。 そもそもの原因は、メイさんに逃がしてもらったアタイが、 いきなり監視カメラに発見されたことにあるんだが。 彰利 「しかし、ほんにおなごしかおらん場所じゃの〜!     もしかして楽園ですか?全員メイド服だし───む!」 とんでもなく長い廊下の先に人影! 彰利 「ピエロアイーーーン!!」 グミミミ……!! アタイは根性で眼球を伸ばし、その姿を確認した! メイド服の娘ッ子ふたりと確認!! 女1 「侵入者確認!男です!」 女2 「オチット婦長、如何致しましょう!!」 おなごふたりは耳に通信機のようなものをつけていた。 そして放った言葉が『オチット』!! こりゃいかん!あの人強いからもう戦いたくない!! 彰利 「チョエエエエーーーーーッ!!!」 アタイはカタパルトダッシャーも真っ青なくらいの加速でふたりに急接近した。 女1 「なっ……速っ……」 ボロリ。 彰利 「おや?」 女2 「ッッッ───きゃああああああああああああっ!!!!!!!!」 加速して一気に止まった拍子に眼球がこぼれた。 彰利 「キャーーーーーーッ!!!!」 女1 「キャーッ!キャーッ!きゃああああっ!!!」 彰利 「キャーッ!イヤーッ!キャーッ!!」 女2 「いやっ!いやぁあああっ!!おばけーーっ!!!」 彰利 「きゃーっ!!きゃーっ!イヤーッ!!───ハッ!」 一緒になって叫んでる場合ではない! さっさと眼球を直さねば! 彰利 「焚ッ!」 パコンッ。 彰利 「ヨシ元通り♪ほ〜ら、怖くない怖くない」 女1 「いやー!バケモノー!」 女2 「いやー!いやー!!」 彰利 「………」 ひでぇ、ちゃんと直したのに。 そりゃあ入れる方向間違えたから、 白目になってるってこともちょっとは関係してるだろうけど。 女1 「やー!いやーっ!!」 女2 「こ、来ないでぇええっ!!」 近寄ってもいないのに来ないでって言われると、流石のアタイも傷つくぞこの女郎……。 こうなったら───! 彰利 「もう変態でもなんでも呼びやがれ!アタイは怒りましたよ!?     メイド服万歳ィイイイッ!!!」 女1 「きゃああああっ!!」 女2 「いやぁっ!ど、どこ触ってるのよ!!」 彰利 「おだまりゃあ!!好き勝手に罵倒しやがって!     くらえ!夜華さんを撃沈させた究極奥義・くすぐり地獄!!」 女ども『い、いやぁああああああっ!!!』 ───……。 彰利 「美しい……」 アタイはユダさまの真似をしてポーズを決めていた。 ……こんなことをしてる場合じゃねぇよね。 彰利 「そんじゃ、せいぜい寝転がっててくだされ。     それと貴様ら、着こなしがなっちゃいねぇ。さては新米どもだな?」 女ども『………』 おなご達はぐったりとして動かなかった。 うーむ、くすぐりとはいえ、誰かに見られたら激しく誤解されそうな状況ですな。 くすぐりから逃げようとした所為で、おなご達の着衣も乱れてるし。 ザザッ! 彰利 「むっ!?なにやつ!」 おなご「侵入者発け───きゃあああ!!」 彰利 「え?や!違いますよ!?そう見えるかもしれんけどこれ違うの!信じて!     アタイ襲ってない!襲ってないよ!?ね!?解るよね!?」 おなご「使用人各員に告ぐ!侵入者は最低の変態です!     襲われないように細心の注意を払った監視を願う!!」 彰利 「イヤアアアア!!違う!違うのよハニー!     アタイはそんなことはしてないってば!放送しちゃならねぇ!!」 ガバァッ!! おなご「きゃああっ!!や、やめて!やっと恋人が出来たのに汚さないでぇっ!」 彰利 「失礼なことぬかすな!何もせんよお馬鹿さん!!」 おなご「いやああああ!!う、うわぁああああん!!!」 彰利 「アイヤーッ!?泣いちゃならねぇえええ!!!」 どうしましょう!なんか大変なことになってきてる! ア、アタイどうしたら……!? とか思ってる時、後ろの方から足音が! 彰利 「ああもう!誰よ!!」 女子2「彩!大丈夫!?」 おなご「雅っ!助けて……!わ、わたし……汚れたくないぃ……」 なにやら険しい顔でアタイを睨む女子(おなご)が。 しかも捕まえてるおなご、完全に泣き出しちゃうし……。 ああもう……どうして次から次へと……! 彰利 「ま、待て!アタイは別にやましいことなんてしてませんよ!?」 雅  「うそ言わないで!果子(かこ)と実頼(みより)を襲ったのはあなたでしょう!」 彰利 「ある意味襲ったけど貴様の考えてるような『襲った』じゃねぇの!解って!?」 彩  「う、うそよ……!     わたし見たの……!この男がふたりをいいように舐るのを……!」 彰利 「ウギャア!?アータ一体なにを見たの!?イリュージョン!?別次元!?     どっちにしても眼科検診受けてからモノを言え馬鹿!」 雅  「彩は両目とも2.0よ!」 彰利 「ウソだぁ!それ絶対ウソだぁっ!!」 雅  「この変態!」 彩  「変態!!」 彰利 「う、うう……」 ロボメイドにまで変態行為をしちまった手前、言い返せねぇ……! く、くそう……!くそうくそう!! 彰利 「うわーーーん!!ボク変態じゃないやい!     助けておくれよママーン!みんながボクをいじめるんだーっ!!」 彩  「あっ……」 おなごを解放し、アタイは全速力で逃走した。 真正面から変態って言われ続けるのがこんなに辛いことだったなんて……! 雅  「各員!変態は西館に向かって逃走!気を付け」 彰利 「ショットブラスト!」 チュインッ───ボゴォンッ!! 雅  「きゃっ!?」 おなご2の通信機を破壊する。 だってあのおなご、 アタイのことを『侵入者』から『変態』にクラスチェンジしてたんですもの! 許せますか!?許せません!! まあ早急に破壊したから伝わっちゃいないでしょ…… おなご「変態を発見!これから捕獲に入ります!!」 彰利 「イヤアアア!!!しっかり伝わってるーーーっ!!」 ───その後、次から次へとあとを断たないおなごどもの変態コールに、 どんどんと精神がすり減らされていったアタイは……ついにキレて暴れたのでした。 彰利 「メイド服ーーーーッ!!!!」 女子共『きゃあああああ!!!??』 アタイは暴れた。 まるで日頃の鬱憤を晴らすかのごとく、変態行為に走ったのだ。 ……というのは冗談で、叫んだ途端にオチットさんに手刀落とされて気絶しました…… そして───ぼくはまた、ここに居る─── 彰利 「愛って……なんだったんだろうね……」 メイ 「理解出来ません」 牢獄の中でメイさんと向き合いながら正座して、語り合っていた。 どうしてメイさんまでもが牢獄の中に入ってきたのかは解らないけど、 誰かに話を聞いてもらいたかった俺としてはありがたかった。 彰利 「……憧れのメイドさまの真の姿が誤解集団だったなんてな……へへっ……。     そうさ……俺は夢を見すぎてたんですよメイさん……」 メイ 「夢、ですか?」 彰利 「ああ……自分の理想を押し付けて、     これがメイドさまだって思い込んでたのさ……。     その結果がこれさ……。ははっ、無様だなぁ……情けねぇ……」 そう呟いた時、座り込んだ俺の手の甲に、水滴が弾けた。 彰利 「あ、あれっ……?変だな……涙が出てきた……。     おかしいな……ははっ……止まらないや……」 涙は絶え間無く流れた。 そう、俺は理想を理想として美化しすぎていたのだ。 メイドさんが崇高な存在だとしても、その神聖な職業を担うのは現在のおなごなのだ。 冒険話でもあるだろう、 いくら装備が強くても、それを扱う者によっては最弱の装備の熟練者に負けるものだと。 つまり、俺の願いはこの時代では叶えられるわけがなかったのだ。 ……いや、恐らく俺の時代でもそれは変わらないだろう。 彰利 「俺……メイドさんが好きだったんだ……うん。     多分それはさ、俺の中で三大欲求にも勝るくらいの感情だったんだと思う。     ……おかしいだろ?ある筈もないものにそんな強い思いを抱いてたんだよ」 メイ 「………」 彰利 「でもさ、それはやっぱり……幻想でしかなかったんだ。     いや……違うか。幻想でも良かったんだと思う。     きっとさ、俺はそれでもよかったんだなぁって思うんだ。     幻想に逃げるってことになるのかもしれないけど……俺は幸せだったよ」 メイ 「………」 彰利 「誰にどう言われても関係なかった。     一番の親友に頷いてもらえなくても、俺はメイドさんが好きだったんだ。     でも……俺はきっと、幻想ってものは、     いつかは現実ってものに潰されるものなんだってことを知ってたんだと思う。     終わらないものなんてない。だけど終わらせないつもりだった。     だって好きなんだ、終わらせるのはもったいない。そう思って…頑張ってきた」 メイ 「………」 彰利 「でも……さ。本当は俺が一番解ってたのかもしれない。     その先に待ってる現実が厳しいものだったって。     頑張ってたものが壊れる瞬間ってゆうのは、     そんな現実にぶつかった時なんだって。それで……」 メイ 「………はい」 彰利 「それで……」 メイ 「………」 メイさんは何も言わず、俺の話に耳を傾けてくれていた。 時折頷いて、嫌な顔をするでもなく。 他の誰でも聞く前から馬鹿にするような話を、 彼女は文句のひとつも言わずに聞いてくれた。 俺には……ただそれだけのことが、とても嬉しかった…… メイ 「あなたは……ひとつのことを大切に思える方なのですね」 彰利 「……メイさん……」 メイ 「今の人というのは、どのようなことでも平気で切り捨てるものだと聞きました。     でも……例外があるのですね」 彰利 「………」 メイ 「申し訳ありません。このような時は笑みを贈るべきなのでしょうが……」 彰利 「〜っ……いいんだよ……そんなのいいんだ……!」 メイ 「彰利さま……」 彰利 「ありがとうメイさん……ありがとう……!」 俺は随分と久しぶりに、心からの感謝の言葉を吐き出した。 今までこんなことをしたのは悠介にだけだったけど、この未来にもそんな相手が居た。 そんな現実が、今はとても嬉しかった。 彰利 「なぁメイさん……俺の友達になってくれないか?」 メイ 「友達、ですか?それは人と人とがなるべきものだと聞き及んでおりますが」 彰利 「そんなこと関係ないよ。俺はメイさんのことを人間だって思ってる。     それに……俺が、メイさんの友達になりたいんだ」 メイ 「彰利さま……」 彰利 「だめかな」 メイさんは考え始めた。 でも機械音なんかは聞こえない。 本当に、人間みたいに考えている。 やがて─── メイ 「申し訳ありません」 メイさんは謝ってきた。 それは……つまり、ダメってことだろう。 彰利 「どうして……」 メイ 「わたしが機械だからです。     いつ壊れるかも解らず、いつまでも生きるかもしれないわたしにとって、     友達……いえ、大事な思い出を作るというのは重りになってしまうのです」 彰利 「そんなの人間だって同じだ。     いつ死ぬか解らないし、いつまで生きるのかも解らない。     ほら、俺だっていつまででも生きられるし……」 メイ 「……解りませんか?     わたしはわたしが停止する時が来て、誰かが悲しむのが嫌なのです。     あなたは機械人形であるわたしに、人として向き合ってくれた初めての方です。     その方に……それを味わわせたくはないのです」 メイさんは淡々と答えた。 そこには感情が無い。 だけど……本当にそうだろうか。 彰利 「メイさん……どうしてもダメ?」 メイ 「ダメです」 彰利 「何がなんでも?」 メイ 「はい」 彰利 「うう……」 メイさんとは友達になれると確信したんだけどなぁ。 何も隠さないし、遠慮無しに語り合えるし…… それになにより、俺が彼女のことを気に入っている。 粉雪と付き合ってなかったら、恋人にしちゃいたいくらいの素晴らしいおなごだ。 でも浮気はしません。 『ラヴに関しては清純に』、それが俺のモットーだ。 彰利 「そっか……じゃ、俺はもういっちょ探索を試みるよ。     縁があったらまた会いましょう」 メイ 「そうですね」 俺が立ち上がってから、彼女も立ちあがった。 そして俺に一礼。 俺は苦笑しながらそれを受け、軽く手を振って─── 彰利 「……そうだ。えっとね、メイさん」 メイ 「はい?」 彰利 「俺の理想のメイドさんって、きっとメイさんみたいなメイドだったよ」 やがて、その場を離れた。 メイさんの顔を直視するには恥ずかしくて、半ば逃げるような歩き方だった。 返事は返ってこなかったけど、 俺にもまだこんなにも『恥ずかしい』って気持ちがあるんだなって呆れた。 ───トンッ。 凍弥 「ふうっ……」 塀を飛び越えた俺は、木刀を片手にして屋敷へ向かって走った。 入れてくれないなら侵入するまでだ。 あいつらの親父がどういう気なのかなんてことは知らない。 俺はあいつら言葉以外じゃ納得するつもりはない。 だったらあいつらに会って確認するまでだろう。 凍弥 「警備兵でもなんでも来いってんだ」 ???「ではわたくしがお相手いたしましょう」 凍弥 「!!」 突然の声に、俺は大きく後ろに飛んだ。 そしてその目で声のした方向を見るが───誰も居ない!? ビスゥッ!! 凍弥 「かはっ───!!」 項部分への衝撃に気づいた時には全てが終わっていた。 しまった、と思ってももう遅い……─── ───……。 凍弥 「ん……?」 目を覚ますと、そこは牢獄のような───いや、牢獄だった。 一応内部への侵入が出来たことには変わりはないが、無様すぎる。 しかも木刀が無い。 取り上げられてしまったらしい。 メイ 「お目覚めですか?」 凍弥 「え?あ……キミは確か……」 振り向いた先にはメイド服を着た女の子。 門のところで液晶に映し出された娘だよな? ……どうでもいいけど、どうして一緒になって牢獄に入ってるんだ? メイ 「あなたは先ほど門に来た人ですね。何故、侵入などということをしましたか?」 凍弥 「浩介達に会いたいから。それ以外に理由なんてないよ。会わせてくれ」 メイ 「それは出来ません」 即答だった。 凍弥 「どうして」 メイ 「旦那さまが許可なさらないからです。     使用人は意思の無い人形というわけではありませんが、     個人問題以外の、この屋敷や家族に関わることは、     わたしの一存でどうこうなるものではありません」 凍弥 「上下関係ってヤツか?」 メイ 「影で陰口をささやくようなものとは違う、互いが信頼する上下関係です。     旦那さまは使用人を信頼してくださっていますし、     使用人も旦那さまを信頼しております。     あなたの仰る上下関係とは、     サラリーマンが上司とぶつかることが出来る喩えでしょう」 凍弥 「そうかも。どっちも完全には信頼しいちゃいない、って。そんな感じの方だ」 でも無意味に詳しいのは何故? 凍弥 「……ところでさ、この屋敷に浩介と浩之は居るんだよな?」 メイ 「はい、それは間違いありません」 凍弥 「んー……」 どうしいたもんかなぁ。 『会わせてくれ』って言っても、答えはさっきと変わらないだろうし。 ああ……なにやってんでしょうなぁ俺。 凍弥 「……あのさ。俺ってこれからどうなるの?」 メイ 「はい。侵入者には厳重な注意を説法し、釈放することが義務づけられています」 凍弥 「説法……つまりは説教か?いやだなぁ……」 メイ 「そのような状況を作ったご自分を恨むべきでしょう」 凍弥 「う……そうだけど。俺はどうしてもふたりに会いたかったんだよ」 メイ 「何故ですか?」 凍弥 「あいつらが『二度と会えないかもしれない』って言ったらしいんだ。     だけどそれが自分の意思かどうかは解らない。だから訊きに来た。     俺はあいつらの口から『帰れ』って言われるまでは何度でも侵入するつもりだ」 メイ 「そうですか。ですがその度に捕まりますよ?」 凍弥 「今度は気をつけるさ」 メイ 「……データによれば、あなたは気をつけていたにも関わらず、     オチット婦長の攻撃を避けられずに気絶した筈です。     それでも『気をつける』という言葉は有効なのですか?」 うぐ……っ! た、確かにそうだけど……。 凍弥 「……あのさ、俺に攻撃を加えた人……オチットっていったっけ?     その人って何者なんだ?気配も解らずに攻撃されたのって初めてだ」 メイ 「オチット婦長はわたしたち使用人の長です。     それ以上でもそれ以下でもありません」 凍弥 「いや、婦長だからってあんなに強いもんなのか?」 メイ 「オチット婦長は強いわけではありません。     ただ別の方に協力してもらい、侵入者を排除しているだけなのです」 凍弥 「別の人って?」 メイ 「『月の家系』と呼ばれる血筋の者です」 凍弥 「つ───えぇっ!?」 ウソでしょう!?ここでその名前を聞くなんて……! 凍弥 「……あの、さ。俺の知り合いにもその月の家系の人がいっぱい居るんだ……。     良かったら……その人の家系苗字を教えてくれないか……?」 メイ 「はい。その方の苗字は十三夜。時空に関与する能力者だと聞いております」 凍弥 「十三夜……確か、随分前に死滅したんじゃ……」 メイ 「いいえ。消滅する十数年前に、     その家に産まれた娘が孤児院に預けられたのです。     なんでも産まれた時から力が強すぎたとかで」 ……強すぎる力は霊的なものを呼ぶ。 だから、邪魔になった……ってか? メイ 「その娘は一組の夫婦に引き取られ、今までを生きてきました」 凍弥 「……その夫婦ってのは?」 メイ 「まだ存在しますが」 凍弥 「そ、そうじゃなくて。その家の苗字」 メイ 「失礼しました。その家の苗字は───」 メイさんが口を開く。 ゆっくりと、だけど淡々とした風に。 やがてその苗字───いや、フルネームが語られた時─── 凍弥 「え───えぇえええええっ!!!?」 俺は本気でパニックになるしか道が無かった。 ホント、マジで。 凍弥 「いや、だって……えぇ……!?でも……うおお、どう言ったらいいか解らん」 メイ 「オチット婦長はその方の実の祖母でもあります。     ただ、ひとりでこの屋敷を守るのは大変なので、     孫であるその方に手伝ってもらっているのです」 手伝うって……そういう意味だったのね? でも普通に考えて、オチットさんだけでも十分最強だと思いますよ? 凍弥 「しかし……オチットさんって何歳なんだ?」 メイ 「婦長自らは100歳だと言っていますが、恐らくは違うでしょう」 だよなぁ。 凍弥 「……体の成長は月空力で止めてるんだよな?」 メイ 「はい」 凍弥 「………」 ってことは、いつでも全盛期の状態で戦えるってわけか。 いいなぁ。 凍弥 「で、質問。お孫さんの方はこの屋敷に居るのか?」 メイ 「はい、いらっしゃるようです」 凍弥 「………」 ふと、昔に父さんが言ってた言葉が思い返された。 …………無理って言葉は好きじゃないけど、浩介と浩之に会うの、無理かもしれない。 ドチャーンチャチャッチャ、ドチャーンチャチャッチャ、 チャカチャカチャカチャカチャ〜ン♪ 彰利 「か〜ねもっち♪か〜めもっち♪も〜ちはっだっもっち♪     ポックンは歩くみ〜のしっろっきん♪」 なんか違うような気もするが、アタイは屋敷のクソ長い廊下を牛歩していた。 しかし誰じゃい、こんなバカデカい家を作りやがったのは。 疲れるじゃないの。 彰利 「しかしあれじゃね?こういう場所を歩いてるとリッチな気持ちになりますね?」 リッチって言っても、決して幽体骨顔モンスターじゃねぇわよ? ……誰に言ってんだ俺。 彰利 「なんかこう……葉巻でも欲しい気分ですな」 ま、それはそれとして……金目の物をいただきますか。 彰利 「おお!そんなことを思ってる先から!」 廊下の端に、大きな壷が発見された。 この大きさからいって、10万はくだるまい……! 彰利 「でも大きすぎるからいいや。もっと小さなモノで高いヤツを手に入れよう」 そうすりゃ一攫千金間違い無し! 彰利 「……ま、ホントはそげなことせんでも、     過去からかっぱらってきた千両箱があるんですけどね」 小判がギッシリですよ? もう最強です。 でもアレはあれで売るのがもったいない。 てゆうか楓巫女の時代の思い出を売るのが嫌なのです。 彰利 「……夜華さんの持ち物だったら戸惑いを見せずに売るだろうけど」 最近の夜華さんは本当に最強のおなご友達です。 見事なバイオレンスツッコミファクターとして活躍してくれてます。 告白された時はどうしましょうとか思ったもんじゃが…… 彰利 「……ま、気の迷いってやつデショ」 夜華さんも忘れたいに違いない。 大体ね〜、アタイを好きになれるってのがスゴイのよ。 自分で言うのもなんだが、 粉雪の場合は子供の頃の思い出が美化されてのことだと思うし。 そりゃあ俺も粉雪のことは好きだけど、 粉雪は本当にアタイのことが好きなんでしょうかねぇ。 時々不安になりマッスル。 ……もしフラレたらどうしよう。 アタイと小雪ったら付き合ってる段階だし、関係が壊れるってことも…… 彰利 「…………いやいやいや」 ソレは勘弁ノリスケだ。 でも……いや、グウウ……!! 彰利 「うう、アタイとしたことがこげなことで悩むとは……」 アタイもまだまだガキじゃのう……。 なんて思ったとき、アタイの体に言いようの無い衝撃が走った。 言いようがないから思っておきます。 楓巫女を抱きしめたい。 彰利 「うむ……うむむむむむ!!SO!     この時代に来てからなにか物足りなさを感じていたんだが、まさにそれ!     椛じゃなくて……あれじゃよ!楓巫女の小さな体を抱きしめたいのじゃよ!     てゆうかなに!?どうしたのアタイ!いきなりこんな気持ちになるなんて!」 いや、自覚してます。 アタイってば多分、欲求不満。 子供(おなご限定)を見つけたら抱きしめてしまいそうな自分が愛しい。 リーフさんでもミントさんでもいい、誰か……めんこいおなごを……! 彰利 「………」 そこまで考えて、自分が既に変態オカマホモコンだということを自覚した。 そうなっちまえばお終いでした。 彰利 「フフ……この清々しい気分はどうだ。     あれだけ拒んでいたあだ名が体に染み込んでくるわ……」 開き直りってヤツでしょう。 だが俺はそこらに居る開き直り野郎どもとは格が違うぜ? なんてったって、ひとつのあだ名に四つの言葉が混ざっている。 怖いものは何も……あるね。 粉雪が怒ったり泣いたりすると、手をつけられませんからね。 彰利 「ま、それはそれとして。さっさと金目のモノを奪いますか」 アタイは高そうな絵画を手に取り、シゲシゲと見つめた。 ……むう、これはいい金になりそうだがデカイ。 彰利 「てゆうかそんなもんばっかりだな。     もっとないかね、カラットの高いダイヤとか」 ま、それを手に入れるならもっと深部に潜り込まないとダメでしょうな。 さてさて───……ッ。 彰利 「なにやつ!?」 本当に小さな音だったが、アタイは聞き逃さなかった。 音からしておなごだ。 間違い無いね! 独断と偏見と実力行使でアタイがキメた! 彰利 「………」 で、振り向いた先にはおなご。 ビンゴ! って、思うのも束の間。 彰利 「こ、これ!おなごがタバコを吸うもんじゃありませんよ!?」 おなごはタバコを吸っていた。 一応メイド服を着ているところから仕事の合間の一服かと思いますが…… 彰利 「やめてくれ!これ以上アタイの中のメイド像を壊さないで!」 俺は本気でそう叫んでいた。 おなごは面倒そうに溜め息を吐くと、タバコを指に持ち、俺を睨んだ。 おなご「この家になんの用だ」 それはとっても淡々とした言葉でした。 色気も何もない。 彰利 「答えたらタバコを捨てますか?」 おなご「ダメだな」 即答。 その時に感じ取ったが、このおなごは俗に言うアレだ。 冗談の通じないタイプの人。 ならば冗談は控えた方がよさそうだ。 彰利 「拙者、金品強奪が目当てでこの屋敷に忍び込んだ武士にござる」 おなご「……そうか。だったら排除しなけりゃいけないな」 おなごは本当に面倒そうに言う。 彰利 「フフフ、出来るかな?おなごごときに」 おなご「出来るさ」 そう言ったおなごの目は赤く染まった。 ───家系の人!? 思考がそう叫んだ刹那、おなごは消えていた。 彰利 「アレーッ!?」 驚いた俺だが、すぐさまに空間の歪みを探った。 そしてそれは俺のすぐ後ろに───『出来ていた』。 おなご「後ろをとったぞ。どうする?」 おなごが俺の項に手を添えた。 こやつ……できる! 彰利 「フフフ、やりおるな。だがそれだけではアタイは倒せん!」 キヒィンッ! おなご「うん?」 転移を使っておなごの手から逃れる。 そして向き合うに至り─── おなご「……どうした?かかってこないのか?それとも逃げるのか?」 おなごはとっても余裕顔でした。 そして悟る。 おなごだと思って油断してたら絶対に負ける相手だと。 彰利 「フフフ……おなごの中では初めてじゃよ、アタイに本気を出させる者は……!」 おなご「御託はいい、来い」 おなごは構えることもせず、ゆっくりとした動作でタバコを吸っている。 おのれ……このアタイを甘くみたことを後悔させてくれるわーーーっ!!! 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