いつからか、自分は時に縛られていた。 時を操れるくせに縛られるだなんて、間抜けもいいところだと自分でも呆れる。 そして、自分が本当に死ぬ時が来るだなんて思いもしなかった。 ───いや、それはまだまだ先のことだと思っていた。 けれども自分の体には魂が足りなくて。 欠片で造りモノでしかない自分は、いつか死神と争って死ぬのだろう。 その『いつか』がいつなのか。 苦しんでいる自分でも解らない事実が、どうしようもなくもどかしかった。 ───強敵、フラットゼファー現る!───
チュンチュン、チ、チチッ……。 小鳥の囀りが聞こえた。 ふと目を開けてみれば、空に輝く朝日。 今日もいい天気です。 彰利 「ンンンォオオオオオオオ……!!」 大地をも揺るがす心構えで体を伸ばした。 すると程よく眠気が薄れてくれる。 彰利 「でもさ、伸びをすると眠くなる時ってあるよね?」 特に学校とか行かなきゃいけない時とか。 ホラ、起きなきゃいけない時に発生する布団のぬくもりこそが、 真実の眠気だって断言する人だって居るんだし。 ……いや、居ると思いますよ? そんな布団で時間ギリギリまで寝るととても気持ちいいし。 彰利 「さーて、昨日はせっかく夜華さん発見したのによそよそしかったからなぁ。     今日はもう治ってるでしょ。というわけで夜華さんをからかおう」 ああ夜華さん、あなたはアタイの癒し人。 ……でも、なんですかねぇ。 心が乗ってこないってゆうか、空虚ってゆうか。 やっぱアレかな。 必要無いって思ってても、『弦月彰利』は俺にとって必要な欠片だったんかな。 彰利 「そんなもん今更な上に、戻るとしても要らないからいいけど」 ヤツとの別離はアタイも望むところだったし。 彰利 「さてさて、まずは顔でも洗いましょう。夜華さんはそのあとということで」 冥月刀を構えて月然力を引き出す。 つまりは水を出して顔を洗うわけですが。 ほい、バシャバシャ……と。 彰利 「キャア!アタイってば美肌!」 アタイの肌で、朝日が見事に反射した。 ツルツルです!弱酸性です!メリットです! 彰利 「ビオレママにっなっろぉ〜う♪弱酸性ビ・オ・レ♪」 歌とともに顔をギシャアと輝かせ、アタイは気を取り直した。 うむ!やはり朝の空気は最強YO!! 彰利 「さぁ〜てラジオ体操第一用意〜!!     あそ〜れチャ〜ンチャ〜ンカチャ〜ンチャカチャ〜ンチャ、     チャ〜ンチャ〜ンチャチャ〜ン♪フンハァッ!!」 ビシバシィッ!! 気合とともにポージングを決める! フオオ、なんとも雄々しき音よ! 彰利 「でも寒いからさっさと家に入ろうね」 考えてみれば、アタイってば晦神社の屋根の上で寝てたんでした。 だって、母家の押し入れからは、以前追い出されちゃってるし。 はぁ〜、ホームレスってほんと大変だよね。 彰利 「さて、そげなことは今はどうでもよかギン。今は夜華さんだ」 まずは夜華さんを起こして……いや待てよ? それよりも先に悠介の寝顔でもそっと覗きましょうか? 彰利 「よしそうしよう。熟睡してたら顔面豆腐落下伝説でも」 アタイは懐で温めておいたパック入り豆腐をゴゾォと取り出した。 昨日の晩飯だったんです。 ふと見てみれば、昨日食ったパック豆腐の容器が屋根の上に転がっていた。 言うまでもなく、晦の母家からかっぱらったものです。 ……俺って物凄い勢いで堕ちていってますな。 でも生存競争とはそういうものだと頷いておきませう。 彰利 「よし!全ての準備は整った!まっとれ悠介!トタァーーーッ!!」 屋根の上を駆け、一気にジャンプ! その跳躍力は凄まじく、アタイは大空を舞うように───ゲェーーッ!! 彰利 「な、なにぃーーーっ!?能力の制御が出来ーーーん!!」 ジャンプしたはいいが、能力の暴走で凄まじいジャンプ力を発揮しております! こ、このままでは……このままではいかん! 彰利 「キャーッ!?どうなってんの一体!───ハッ!?」 魂が欠けたことで、力さえも不安定に……!? いや否!断じて否である! そう、これはきっと───昨日食った豆腐に何かが仕込まれていた!? 野郎ルナっち!アタイの来訪を見越しての仕打ちか!? それとも豆腐には赤マムシもびっくりのアレが入ってて、 ダーリンを夜伽のお供に───キャアアアアアアア!!!! 彰利 「ええい許さん!!なんとふしだらな!成敗してくれる!ニンニクで!」 ───って!今はそれよりも───このジャンプが何処まで飛ぶのかを研究せねば! てゆうかあっさりと神社が離れていきます! そしてこのままでは───ギャア!?母家に落ちる!? なんという跳躍力!やっぱアタイって最強!? 彰利 「なんて言ってる場合じゃねィェーーーッ!!ギャアアーーーッ!!!」 ───のちにアタイは語らない。 だって今語るから。 アタイは大空を舞う鳥のように、その風を切り刻みながら落下した。 景色は流れるように───っつーか、発射されたロケット花火のように吹き流れ、 全身打撲はまぬがれねぇなぁと覚悟したのでした。 ……加えて言えば、覚悟はしたけど痛いのはイヤです。 覚悟したのは『落ちる』という結果のみ! 彰利 「大門さん!アタイに力を貸してくれ!     ヌゥオオオオオオオ!超受身ィイイイッ!!」 KOFの大門さんの真似をして超受身を発動! キャア!アタイってば機転の利くナイスガイYO! これで納得安心の瞬間を迎えボゴシャアッ!! 彰利 「ゲブラッ!!」 ギャア失敗した! 大門さんの馬鹿ァーッ!! 彰利 「オゲ……オゲゲ……!」 思いっきり背中から落ちました。 母家への落下は免れたが、大地にしこたま背中を強打しました。 超受身をするつもりが、松平さんの全体重を仕掛ける体勢のまま落下してしまった。 しばらく呼吸困難が続くでしょうが、心配しないでください。 アタイは元気です。 かしこ、彰衛門。 彰利 「なんて手紙風味に構想してる場合じゃねィェーーーッ!!」 ガバァッ!と起き上がる。 気づかれてはならんのだ……! アタイがダーリンの顔面に豆腐を落としにきたことを……! 彰利 「事は隠密を優先するクエストぞ。     ダーリンはああ見えてアタイよりネボスケさんだから安心。     だが問題はルナっちぞ」 死神としての何かなのかは解らんが、凄まじい索敵能力を誇ってますからねぇ。 まるで卵を守る動物並ですよ。 彰利 「というわけで、ここは慎重にいきましょう」 プレイスジャンプをしようとは思ったものの、さっきみたいに暴走したらそれこそ大変。 身を屈め、まるでモンスターハンターのように慎重に。 ともなれば、アイテムボックスを調べるのは常識ということで。 アタイは茂みを漁り、ソレを取り出した。 過去、ダーリンに創造してもらった様々なものが収納されているものです。 過去のアタイがゼノとこの歴史から消えて以来、動かされてなかったようで。 さてさて内容は…… 地図×1 携帯砥石×2 携帯食料(サバ缶・賞味期限切れ)×2 ペイントボール×2 閃光手榴弾×1 変色した飲み物×1 カビパン×24 古びたガムテープ×1 毛抜き×1 特産キノコ(自生したらしいキノコ)×2 ……と。 ろくなモノがねぇなぁ……。 しかも大半がカビパンだし。 そういや昔、グリンピースパンってのがあって……それが大嫌いだったっけ、俺。 まあアレですわ、虫が発生してないのが救いですな。 彰利 「地図を持つのは基本ですな」 ここには改造した晦の全形が書かれてるし。 これが無いとトラップのある場所が解りません。 毛抜き……は、一応持っておこう。 そもそもどうして毛抜きなんぞ入れてたのか解らん。 昔の俺って何考えてたんだ? ───で、カビパンは要らんな。 ガムテープは必要だ。 変色した飲み物……これはエリクサーだな。 でも飲むのはやめたほうがよさそうだ。 ペイントボールは基本ですな。 閃光手榴弾……って、懐かしいの〜う! そういやこんなもんも創造してもらったっけ。 サバ缶は……よし、持っていこう。 錆びついてるけど構わんだろ。 あとは携帯砥石を持って、と。 よ〜しこんなもんだ、まずは玄関に───む! 彰利 「……締まっておるがね」 やるなルナっち。 まさかアタイの来訪に備えて戸締りをしておくとは。 ……なんて、どうせ几帳面なダーリンが閉めたんでしょうな。 あのルナっちが戸締りなんてするわけねぇズラ。 ま、なにはともあれ…… 彰利 「ここは毛抜きだな。これを曲げて……鍵穴に差して……と、フン!」 ベゴキュッ! 彰利 「ややっ!?毛抜きが折れて鍵穴にめり込んじまった!」 『毛抜きが壊れてしまった』(効果) 彰利 「アタイ知〜らないっと」 きっと泥棒がピッキングに失敗したのよ。 アタイじゃないわよ? 彰利 「しゃあない、窓から侵入するか」 アタイは中庭の方へ回り、石の海のような地面を音を立てずに歩き、 なんとか縁側の窓に辿り着いた。 あとはこのガムテープで窓を固定して、と。 はいはい、ビビッ、ビ〜〜ッと……ややっ!? 彰利 「む、ぬぐぐ……!古びてる所為で切れねぇ……!     なにか切れ味のいい刃物でもあれば……!」 冥月刀でいくか? いや、ここはアイテムボックスから手に入れたもので解決せねば! というわけで。 彰利 「携帯砥石〜♪」 アタイは先ほど折れてしまった毛抜きの半分を構え、それを砥いだ。 シャコッ、シャコッと。 やがてマキィン!と光り輝く毛抜き! 『毛抜きの斬れ味が最大になった!』 彰利 「……異様な光景だ」 だが気にしているわけにもまいりません。 磨いたステンレスの切れ味をとくと見よ。 ───シュパァンッ! 彰利 「ウヒョオ!?」 予想以上の切れ味の前に、ガムテープはあっさりと切れた。 ……毛抜き、恐ろしい武器……! 彰利 「なんて、白目向いてる場合じゃないよね」 早速、ガムテープで固めた部分を肘鉄でメゴシャアと砕く。 鬼塚先生ありがとう。 彰利 「クォックォックォッ……。     さあ、あとはルナっちに気づかれずにダーリンの顔面に豆腐を落とすだけだ」 落としさえすれば、あとはどうなっても構わん。 アタイが受けたクエストは『ダーリンの顔面に豆腐を落とす』だ。 彰利 「そんじゃあ、すんずれいします……」 静かに鍵を開け、窓を開けて中へ侵入! フオオ、この緊張感はどうだ……! まるで初めて戦うドスランポスに恐怖するハンターの気分だ! 詳しくはモンスターハンターをどうぞ! 彰利 「不思議なことに『強敵』って書かれてるのってドスランポスだけなんだよね」 まあそれはそれとして。 ダーリンの部屋は一階の奥だったよな? 早速向かうか───いや待て。 まずはアイテムを採集してからのほうがいいだろう。 そう……ルナっちへの最終兵器(リーサルウェポン)、ニンニクを。 ともなれば、冷蔵庫でしょう。 彰利 「…………」 極力気配を殺し、身を屈めて歩く。 手には『剛刃(ごうじん)毛抜きブレード』。 これでいつでも安心です。 彰利 「さ〜て、お台所へ……」 ミシッ! 彰利 「ギャア!?」 廊下の床が音を立てた! それとともに、母家に死神の気配が溢れる!! やべぇ!ルナっちが目覚めた!? しかも頭ン中でドスランポスのテーマが演奏されてる!(森と丘のボステーマ) とかなんとか思ってる内に、壁からズズズ……と出てくるルナっち! やがてキョロキョロしてアタイの姿を確認すると、 目をクワッと開いて殺気を撒き散らし咆哮する! 嗚呼!なんだか幸せな時間をブッ潰されてご機嫌斜めな、 アルティメットラブラブバカップル(片割れ)を見てるみたいだ! 彰利 「チョッ……チョエェエーーーッ!!!」 だがアタイは怯みながらもペイントボールを投げた! ルナっちは油断していたのかそれをくらい、その服にペイントがベチャアと広がった。 ルナ 「あ……」 彰利 「キャア!これで貴様の存在は地図にくっきりと!……映るわけねぇーーっ!!」 大墓穴!すっかりモンスターハンターな気分でした! それどころかルナっちからとてつもないほどの殺気が溢れてます! ルナ 「あ、あああ……!!ゆ、悠介が買ってくれた服が……!」 彰利 「ゲゲェエーーーーッ!!!」 殺気の理由判明!ヤバイッス!ブッ(コロ)です!ブッ殺されます! ルナ 「ホモっち……!!ホモっちのばかぁああああああああああああっ!!!!     殺してやるぅううううううううううううっ!!!!!」 彰利 「ひゃぁああああああああああっ!!!!」 防御も忘れて脱兎の如く走り出す! 逃げるンだッッ!走るンだッッ!! だって凄まじい殺気です!殺気だけで人が殺せそうな殺気です! これが……これがモンスターハンターの世界! キャア!まるで初めての飛竜の卵強奪でドキドキしてる新米ハンターの心境! って、それはもうどうでもいいんじゃぁーーーっ! 彰利 「すんません!えろうすんません!クリーニングするから許してぇえっ!!」 ルナ 「うるさい!死ね!」 彰利 「おわぁーーーっ!!!」 アタイのすぐ後ろの虚空をディファーシックルが疾走する!! 歩を緩めれば確実に斬られます! 容赦ありません!彼女は本気です! このままではいかぁーーーん!! 彰利 「───ハッ!そ、そうだ!こんな時こそアレだ!」 アタイは全力で走りながら、懐を探った! そして、手の中に確かな手応えを感じると、それを前に投げる! それ───閃光手榴弾は弧を描きながら、やがて廊下に落下して激しい光を! ……出さなかった。 彰利 「ギャア不発ーーーッ!!」 そりゃそうでした! これだけ時が経ってりゃダメになるものはダメになります! なんてこったい! ルナ 「ガァアアーーーッ!!!!」 彰利 「キャァアアーーーッ!!!!」 恐る恐る振り返ることも許されず、バッと振り向けば阿修羅が如き顔のルナっち。 視界の端から閃くディファーシックル。 アタイはそれを弾こうと、『剛刃毛抜きブレード』を構えたがシュカァンッ!! 彰利 「お、おわぁーーっ!!」 毛抜きブレードはあっさりと斬られてしまった。 斬られた断面図が平行に輝いていることからして、斬られたらただじゃあ済みません。 彰利 「話し合いをしましょ!?ねっ!?     ダーリンだってルナっちがねだればまた買ってくれるって!ねっ!?     だから暴力はやめましょ!?話し合えばきっと解り合えると思うんだ!」 ルナ 「ガァアーーーーッ!!!!」 彰利 「ギャーッ!既に言語中枢までもが怒りに支配されてるーーーっ!!!」 こうなったルナっちは手に負えん! 唯一の武器がニンニクなのに───アタイってば、お台所とは逆の方向に逃げちまった! どうすれば……はぁっ!! 彰利 「これがあった!くらえルナっち!     賞味期限切れ+少し穴が空いてたサバ缶ンンーーッ!!」 ルナ 「ッ!?」 手に持ったサバ缶を開放すると、その場に凄まじい異臭が放たれる! アタイはそれをルナっちに向けて投擲した! ルナ 「ひゃあっ!?」 予想通りルナっちはそれを避け、そこに生じた隙をアタイが見逃すわけがなかった! 彰利 「とんずらぁーーーっ!!!!」 ルナ 「あっ!待ちなさいっ!!」 彰利 「やぁ〜なこったぁ〜っ!あ〜ばよ〜っ!とっつぁ〜〜ん!!!」 アタイはルパァ〜ン三世の真似をしつつも全速力で逃走。 が。 ルナ 「とっ───」(ブチリ) 彰利 「ゲェーーッ!!?」 なにやら、もう何度も聞いたことのあるような破滅の音が聞こえた気がした。 ルナ 「誰がとっつぁんだぁーーーっ!!?」 彰利 「ギャアア失言でしたぁーーっ!!すんません!すんません!!すんま」 ドバァアンッ!! 彰利 「ベブボッ!!」 前方不注意全開! 思いっきり壁にブチかましを実行してしまいました!サー! 彰利 「うぐおお……!脳が揺れる……!」 衝撃の所為か、チカチカと光輝く視界の中で必死に逃げようとする。 が、そのすぐ背後に究極と言って差支えない殺気を感じた。 声  「……ホォオオモォオオオ〜〜〜っちぃいいい…………!!」 凄まじい殺気だ……! どんなツラしてアタイを睨んでるのかを是非見たいが、生憎と目が見えん! ルナ 「覚悟……出来てるわよね……!」 彰利 「出来るかボケ」 ザグシュッ! 彰利 「いたやぁーーっ!!」 腕! 腕の皮膚切られました! 痛いです! 見えないけど多分血が出てます! 声  「この服はねぇ……!     悠介が選んで、わたしに買ってくれた唯一無二の服だったのよ……!?」 彰利 「ぐごー!ふんごー!」 声  「寝るなぁああああああああっ!!!!!」 ザクドシュズバドシュ!! 彰利 「ウギャアアアーーーーッ!!!!!」 ア、アタイの美しいボデーが切り刻まれる! でも致命傷なものは皆無───野郎!ジワジワとなぶり殺しにするつもりだ! おのれ許せん!視覚も回復してきたアタイの怖さを思い知らせて─── 彰利 「てめぇナメとんのか!喧嘩売ってんなら───」 ルナ 「売ってるなら……!?」 ……ギャア!ルナっちから、更なる殺気が溢れた! こ、これは……死ねる!? 彰利 「……あ、あー……えーと……し、質屋に流しますよ!?」 不安定な今のアタイじゃあルナっちに敵うか危ういので。 ルナ 「それじゃあ、質屋に流す前ならホモっちが受け取ってくれるわけよね?」 彰利 「はっ……はうあ!」 ルナ 「大儀を抱いて死になさい」 ルナっちが鎌を振り上げて近寄る。 アタイはとうとう覚悟を───決めなかった。 彰利 (考えろ……!起死回生はいつだってアタイの傍に!) …………………………………………思いつかん!! ダメじゃん死ぬじゃんブッ殺じゃん!! とか思ってる間に鎌が!鎌がァーーーッ!! 彰利 「───はうあ!?」 その刹那! アタイの脳裏に流れるものがあった! それは───晦神社の地図だった! 彰利 「───うっしゃあここだ!」 アタイは力一杯に壁を殴った。 ガコォッという衝撃とともに、殴った部分が埋まってゆく。 その次の瞬間ドゴォッ!! ルナ 「うぶっ!?」 ルナっちの立っている場所の横から、壁の一部分が飛び出した。 それはルナっちの脇腹を打ちつけ、ルナっちは吹き飛ばされて壁に衝突した。 彰利 「ふ、ふっは……ふははははは!!やはり天はアタイの味方をした!     アディオスルナっち!貴様は天に見放された!!とんずらぁーーーっ!!」 ルナ 「けほっ……!こ、このっ……!」 ルナっちがふらつきながら歩く中、アタイは全速力で逃走してカチッ。 彰利 「ややっ!?」 輝ける逃走の第一歩が、妙な音を醸し出した。 そう、まるでスイッチが入ったような音を。 ルナ 「ホモっち……!そこを動くんじゃないわよ……!」 彰利 「動こうにも動けんのですじゃ!     ルナっち!ルナっちこそアタイに手を出すんじゃねぇわよ!?」 たしかこの位置のトラップは……ヒィイ!考えたくねぇ! ルナ 「よくも『手だしするな』なんて言えたものね!     切り刻んでも飽き足りないわ!大人しく屠られなさい!」 彰利 「冗談ではないわ!って来るな!来るんじゃありません!やめて!マジで!」 ルナ 「はぁっ!!」 シュヒィンッ!! 彰利 「ヒャーッ!?」 うおお!前髪カスった!! 避けなかったら顔が横に両断されてましたよ!? 彰利 「やめれーっ!死にてぇのかてめぇ!」 ルナ 「ここで死ぬのはホモっちだけよ!」 シュパァンッ!! 彰利 「キャーッ!?」 ああっ!ルナっちの鎌がアタイの衣服を切り刻む! 彰利 「イヤーッ!エッチーッ!!な、なにすんねん!!」 ルナ 「ホモっちが避けるからよ!このっ!」 シュパァンッ! 彰利 「キャアッ!?」 シュヒィンッ!! 彰利 「ウヒョオッ!!」 鎌の連ね斬りを必死に避ける───てゆうか危ない!危なッ!!危なァーーーッ!! ルナ 「もう───避けるなっ!!」 ドゲシッ!! 彰利 「あ───あぁあああああああああああっ!!!!!」 ルナっちの蹴りがアタイの脇腹を強襲───ってギャアアアアアアアア!!!! 彰利 「イヤッ!イヤァアアアアッ!!ならぬ!ならぬぞ!倒れるわけには!」 ルナ 「死になさい!」 彰利 「ヒィッ!?」 バランスを失ったアタイへの、ルナっちの鎌攻撃! 避けたいけど避けると───アアアアアアアアアアア!!!!! 彰利 「あ」 ルナ 「ああっ!また避けた!」 キャアア……!!よ、避けちゃったぁーーーっ!! 彰利 「とっ……とんずらぁぁああああーーーーっ!!!!!」 ズダダダダがしぃっ!! 彰利 「イヤァ捕まったァーーーッ!!」 逃げ出した途端にルナっちに襟首を掴まれた───刹那。 その場は眩い光にのまれ……!! 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