───気遣いの成れの果て───
───チョップする。 でしっ。 サクラ「わっ……」 サクラはあの頃のようにびっくりしていた。 でもそれも一瞬で、次の瞬間には安心したように笑っていた。 サクラ「……道をなぞってしまっても、いいんですね?」 凍弥 「ああ───……あの頃、     お前に幸せの手伝いしてもらったどうなってたのかは気になるけど……     でもそれは、この時代の俺がすることじゃない。     もしかしたらどこか別の時代の……そうだなぁ、     雰囲気に流された俺とかが頷くんじゃないか?」 サクラ「雰囲気に流されなきゃ、頷いてくれないんですか?」 凍弥 「……どうだろうな。でも、今だから言うけど……     俺はべつにお前のことが嫌いだったわけじゃなかったんだぞ?」 サクラ「え……?でも……」 凍弥 「……子供の頃の俺はさ、     自分に好意を向けてるやつのことがなんとなく解ったんだ。     だからその気持ちを受け取ったら、飛鳥を裏切っちまう気がしてさ……」 サクラ「だから……突き放した……?」 凍弥 「……ごめんな。お前はなにも悪くなかったのにな……」 サクラ「………」 サクラは俯いて黙ってしまった。 当然だろう、自分の気持ちを知っていてくれたのに、 それにも関わらず突き放されたってことなんだから。 ……だっていうのに…… サクラ「……よかったです」 サクラは、俺に笑みをくれた。 サクラ「嫌われてたわけじゃ……なかったんですね……」 目にいっぱい涙を溜めて、笑ってくれた。 ───人には、やさしくなれる時ってゆうのがある。 全てが儚げに見えたり、愛おしく見えたり…… そして俺は、目の前で笑顔を作りながら泣いている少女に手を差し伸べたかった。 その涙を拭ってやりたかった。 でも───      『凍弥先輩……』 頭のどこかで、その声が聞こえた気がした。 伸ばしかけたその手は止まり、ゆっくりと降りてゆく。 凍弥 「……ごめん」 だから、謝った。 慰めてやることも出来ない俺を、許してほしい、と。 サクラを泣いてしまうほど追い詰めたのは自分なんだから。 サクラ「ごめ……なさっ……!泣くつもりなんかっ……!」 凍弥 「………」 きゅっ……。 サクラ「っ……?」 サクラを引き寄せて、抱き締めた。 凍弥 「いいよ、泣いても。今日だけは胸、貸してやるからさ……」 サクラ「うっ……くっ……!うわぁああああああああああっ!!!!!」 ……返事もできないままに、サクラは泣いた。 俺と出会ってから数年間、ずっと我慢して笑顔を作っていた少女の顔が涙に濡れた。 それでも俺は、その想いに応えるわけにはいかなかった。 俺はまだ……きっと納得出来ていないんだろうから。 ───……。 凍弥 「……はぁ」 サクラ「……すー……すー……」 凍弥 「寝るか?普通……」 枯れた桜の木の下。 俺は俺の足を枕にして眠るサクラを見て呆れ果てた。 その姿はひどく無防備だ。 まるで、ずっと前……俺がまだ幼かった頃に見たサクラのようだった。 心から安心している、穏やかな寝顔だ。 美紀 『……もったいないの。フっちゃったんだ』 凍弥 「ああ。馬鹿な俺にはもったいなすぎる」 美紀 『でも、【わたしの気持ちを踏みにじった分を利子つけて返してください】、     って言われた時、驚いたでしょ?』 凍弥 「心臓止まるかと思ったよ……なにされるか解らないんだしな」 美紀 『わたし、キスでもさせて〜って言うかと思った』 凍弥 「膝枕でよかったよ、ほんと」 美紀 『だね。実はわたしも、ちょっとは複雑な心境でした』 凍弥 「そっか」 足の上にある心地良い重みに苦笑しながら、木に寄りかかる。 美紀 『えーと……ま、いいか。わたしはもうフラレちゃったしね』 凍弥 「お前までここで言ってきたら、さすがに俺が参る」 美紀 『悪霊さんと戦いながら告白したのにねー。あっさりフっちゃうんだもん』 凍弥 「それを言うなよ、悪いとは思ってるけど頷けない」 美紀 『……うん、いいけどね。     わたしももう幽霊だし、叶わない恋だけど一緒には居られるから』 凍弥 「ごめんな」 美紀 『いいってば。って、言い出したのはわたしだね。じゃあ、このお話はおしまい』 凍弥 「ああ、助かる」 息をひとつ、夕焼けの世界を眺めた。 そして自分に問い掛けてみると、もう『ここで消えよう』なんて思いは無くなっていた。 凍弥 「俺って悩み事に弱いなぁ」 美紀 『子供の頃からね』 凍弥 「……今に始まったことじゃないって言いたいんだろ?解ってるよ」 美紀 『うふふふふふ〜』 ……なんだよ、その妙な笑いは。 凍弥 「───あら?ちょっと待て。ひとつ訊きたいんだが」 美紀 『うん、なにかな』 凍弥 「えっと……あー……浅美はさ、ほら、朧月に生き返らせてもらっただろ?」 美紀 『───あれ?呼び方変わった?前までは【椛】って呼んでたよね?』 凍弥 「あー、えーと。それがな、この間、見事にフラレまして」 美紀 『え……』 凍弥 「『あなたとは婚約できません、別れてください』だそうだ。     で、浅美のことだけど」 美紀 『ちょ、ちょちょちょー!ちょーっと待ったぁっ!!     なに話進めてるの!フラレたってなに!?凍弥くんが!?』 凍弥 「……ああ、そうだけど」 美紀 『……な、なにそれっ……!     わたしが吹っ切れたのは、ちゃんとした恋人が出来たからだったのに……!     フッた……!?よりにもよって凍弥くんを……!?』 ……おお、なにやらご立腹? 凍弥 「でな、浅美のことなんだが……って、おーい、聞いてるかー?」 美紀 『今はそんなこと話してる場合じゃないでしょっ!』 凍弥 「……そうか?よう解らんが」 美紀 『ああもうっ……!どうしてそんなにのほほんとしてられるかなぁっ……!     悔しくないの!?リベンジしたくないの!?だめだよそんなんじゃぁっ!』 凍弥 「………」 まあ、あれだ。 こういう性格だからこそ、中学時代は志摩兄弟と無茶できたんだろうなぁ。 凍弥 「リベンジなんてしないし、俺には関係ない。応援するって決めたからな」 美紀 『……わたしは許せないけどね』 美紀は本当に悔しそうにしていた。 ……朧月との衝突は避けたほうがよろしいでしょう。 美紀 『でも驚いた。意外にあっさりしてるんだね、凍弥くん』 凍弥 「ああ、今日ここに来る前に散々怒鳴り散らしてきたぞ。     だからモヤモヤは結構晴れてたりする」 美紀 『わー、凍弥くんが怒鳴り散らすのってあんまり想像できないや』 凍弥 「そうでもないと思うけどな」 美紀 『そうだよ、絶対』 ま、いいけど。 凍弥 「ところで……のぅ、美紀さんや?」 美紀 『どうして老人語になるのかは訊かないでおくけど……なに?』 凍弥 「ワシはいつまで膝枕してればいいのかのぅ」 美紀 『…………えっと』 ……解答は訪れませんでした。 ───……ホーホー……ホッホー……ホーホー……ホッホー 凍弥 「……ごらん、オリオン座が輝いてる」 美紀 『……綺麗ですね……』 凍弥 「山鳥も鳴いておるしのぅ……」 美紀 『……いい加減寒くない?』 凍弥 「寒いわ!」 美紀 『……だよね』 …………サクラが起きねぇ。 ───……コォケコッコーーーッ!! 凍弥 「……ごらん、鶏が鳴いている……」 美紀 『…………風邪引かないでね』 凍弥 「今更だな……」 いつまで寝てるつもりなんだこのタコは……。 美紀 『凍弥くんも眠ったらどうかな』 凍弥 「足痺れてる所為で眠れねぇっての……」 美紀 『こんな時こそ根性だよ』 凍弥 「根性で眠れたらどれだけ楽だろうなぁ……」 既に陽は登っておりました。 畜生。 ───……む? 彰利 「なんじゃい、人が気持ち良く野宿してるところに……」 サワヤカに状況説明をしてから、木の上から下を見下ろす。   ───前回までのあらすじ─── オッスオラ彰利! ダーリンの家からまた追放されて以来、 アタイは転々と野宿スポットを放浪していたわけで、 ただいまは大木の上で惰眠を貪っていました! だというのにその木の下でボソボソと喋ってるバカヤロウが居るみてぇなんだ! そいつが強ぇヤツかどうか考えるとわくわくしてくんだ!   ───あらすじ……完─── 彰利 「というわけで」 アタイは下の野郎どもを驚かすことを決意した。 ……てゆうかアレ? 彰利 「……小僧じゃねぇの」 なにやっとんじゃ?こげなところで。 そういやあの作戦、上手くいったんかな。 よう解らんが、まあよいコテ。 彰利 「ハーイ、ここにひとつのゴム製の縄があります。     早い話が太くて長いゴムである」 それをアタイの足と大木に縛って、と。 彰利 「ウィ、これでオーケーです。いつでもバンジーできます」 説明せねばなるまい……! 作戦名『オペレーション・サンダーボルト』。 まずアタイが寝てた大木のてっぺんからバンジーします。 そしてスパイダーマンよろしくの肝っ玉バンジーで小僧を驚かすのです。 以上、作戦説明終了。 彰利 「……どこがサンダーボルトなんだ?」 自分で言ってて謎だった。 まあいいや。 彰利 「クォックォックォッ……ではいくぞ小僧……!度肝を抜かれるがよいわ〜っ!」 バッ───! 心地良い浮遊感を感じ、まずは跳躍! 彰利 「ノヘラーーーッ!!」 次いで、ただ飛んで落ちるだけではつまらんのでアクロバットにキメる!! 伸身大回転ゲイロード1/3捻り降り!! 見切れるものなら見切ってみろ!(───グイッ) 彰利 「ややっ!?」 自分でも惚れてしまいそうな大回転の最中、 アタイの両腕と両足、更には様々な場所にゴム縄が絡まった。 彰利 「ゲ、ゲゲェェーーーッ!!!!」 しかもゴムだから引っ張れば伸び、更には細まり、より一層に関節に沈んでゆく!! 関節に沈み込むようなゴム縄……!いやん、なにかに目覚めちゃいそう……! 彰利 「なんて言ってる場合じゃなくて!いやっ!やめてっ!     アタイにそげな趣味はないの!てゆうかこのまま落ちたらエライことに!!」 アタイは必死で暴れた! だが余計に食い込むだけでした! 彰利 「どうやら俺も年貢の納め時らしいぜ……。     ここは男らしく、死を受け入れるのもいいかもしれねぇ……。     フッ……どうしてかな。昔のことばっかり思い出しちまうぜ……。     夜華さんに斬られまくったこととか、     鑼衛門スーツ着て変態扱いされたこととか、     変態オカマホモコンを受け入れちまったこととか、     過去で見張りに男色扱いされたこととか……死にたくねぇーーーっ!!!!」 走馬灯で別の意味で泣けたのは俺だけだと思います。 その時!アタイの生への執着が一筋の希望の閃きをお与えくださった!! そう!いくら伸びるとはいえゴム! 炎で燃やしてしまえばいいのだ!! 彰利 「ィヤッハッハッハッハ!!ありがとう(ゴッド)・エネル!!     貴方のおかげで助かりそ」 グキィッ!!ゴキベキバキィッ!!! 彰利 「ウギャアアアァァァーーーーーーッ!!!!!!!」 高速思考をしている間にバンジー完了してました! 一気に伸びきって食い込んだゴムが、 アタイの関節を還付無きまでに破壊していきます!! 彰利 「いたやぁぁぁーーーっ!!いたっ……!いたやぁああーーーーっ!!!     ギャオオオォォォーーーーーッ!!!!いたやぁぁぁーーーーっ!!!!」 凍弥 「……あ、彰衛門?なにやってんだ?」 彰利 「いたやぁぁぁーーーーっ!!!!」 あまりの痛さに大絶叫! 痛い!痛いよムーミン!! 彰利 「フ、フフフ……ド、ドジこいちまったぜ……」 体のいたるところが、あらぬ方向に曲がっている自分を見つめてみて一言。 独眼鉄を思い出してしまった。 彰利 「お、男塾は俺の親も同然……親を馬鹿にされて黙ってられなかったんだ……」 凍弥 「……あのさ、随分余裕に見えるんだけど」 彰利 「お、男塾万歳……」 コト……。(指が力なく落ちる音) 彰利 「ってギャアアーーーッ!!!指まで折れてるーーーっ!!!     しかも関節が外れまくってて、     スタープラチナのスターフィンガー並に伸びてるーーーっ!!     いやぁぁああキモイィーーーーッ!!!」 凍弥 「あ、あのさぁ彰衛門。静かにしてくれないかな。     見ての通り、サクラが眠ってるんだ」 彰利 「だったら助けようとしてよ!     アンタ鬼よ!悪魔よ!人の皮を被ったヒューマンよ!!」 凍弥 「いや……それ人間だから」 エイィ!こんな小僧に頼ったアタイが馬鹿だった!! 彰利 「我がモードは風!嵐よ、我が戒めを切り刻みたまえ!神砂嵐!!」 月然力・風を発動させ、ゴム縄に向けて放つ! それは凄まじい切れ味の鎌鼬(かまいたち)の渦となり、ゴムを巻き込む! しかしゴム縄は風によって回転させられた。 彰利 「ゲェェェーーーッ!!!!」 当然、回転したゴムは捻れ、それとともにアタイの体をさらに締め付けた。 彰利 「ギゴガゴーーーッ!!!」 体が動かないアタイは精一杯の抵抗としてレゴックスの真似をしてみた。 ……当然、無意味に終わった。 ゴキボキメリメリベキベキベキ!! 彰利 「ギャアアァーーーーーーーーーーッ!!!!!!」 ………………。 …………。 凍弥 「えーと……」 今、目の前には全身の骨という骨を砕かれ、 絶命したタコのようにグニャリと倒れた彰衛門が居る。 鎌鼬によってゴム縄は切られ、おまけに彰衛門まで全身を切り刻まれてたりする。 彰利 「い、今のオラにはハナクソほじる力も残ってねぇ……」 美紀 『ねぇ凍弥くん……この人、随分余裕に見えるけど……』 俺もそう見える。 てゆうかなにやりたかったんだ? 凍弥 「あのさ、遊んでないで回復させた方がいいと思うけど」 彰利 「そ、それがね?     さっきのサイクロンゴム劇場で冥月刀がどっかに飛んじゃってね……?     回復しようにも出来ないのよ……。     アタイ自身の能力使って、また大激痛に襲われるのはイヤだし……」 凍弥 「冥月刀?って、あの刀だよな?」 指差す方向には、大地に落ちた刀。 彰利 「すまんねぼうや……取ってきてくれんかね……。     あ、あああ……アタイの意識が保たれてる内に……」 凍弥 「うえっ!?わ、解った!今持ってくるから!!」 サクラの頭をゆっくりと下ろし、瞼が閉じかけている彰衛門を残して俺は走った。 が、刀を拾って俺を見る存在がひとつ。 佐古田「天下の太平乱れるところに佐古田あり……」 凍弥 「佐古田!?」 佐古田「かなりの値打ちものと見たッス!     早速『質』に売るッス!!とんずらぁーーーーっ!!!」 佐古田が刀を手に持って逃走した。 俺はその様子をポカンと見送って───って! 凍弥 「───ハッ!?って待てぇっ!!     どうしてお前はこういう時だけ現れるんだぁっ!!     学校はどうしたんだよ学校はぁっ!!」 佐古田「昨日ムナミーが学校フケてからずっと尾行(つけ)てたッス!     恋人にフラレた男の無様さを観察するために!!」 凍弥 「ほんっっっっとにいい性格してんなお前はぁっ!!」 佐古田「誉めてもなにも出ねぇッス!!」 凍弥 「頼まれても欲しくないわぁーーーっ!!」 ───………… しゅ〜〜〜……。 凍弥 「はぁ……」 後頭部へのポセイドンウェーブにて行動不能になった佐古田を見下ろす。 ほんと何処にでも現れるよな、こいつ……。 凍弥 「ほら、返してもらうぞ」 倒れてる佐古田の手から、刀を奪い取る。 というよりは取り戻した。 その途端───刀がキィイイイ……ンと音を鳴らし始めた。 凍弥 「な、なんだっ!?壊れたのかっ!?」 って、オモチャじゃあるまいし……! とにかく彰衛門に返そう。 持ち主なら解るだろ。 ───…… 彰利 「空が近い……フフフ、どうやら俺もここまでのようだ……」 思えば長い旅だった……。 悠介と出会うことから始まった俺の時間は、とてもとても長い旅だったのだろう。 思えばいろいろあった……頭からキノコ生やされたり、 猿と演奏してボコられたり、車に撥ねられたり……死にたくねぇーーーーっ!!! 彰利 「どーしてこう恥ずかしい過去ばっかり思い出させるんだよ走馬灯!!     オメェあれか!?俺に喧嘩売ってんのか!?やンのかコラ!!」 ……おっと、走馬灯相手にマジギレしてしまった。 凍弥 「彰衛門っ!大丈夫か!?」 む。 小僧が刀を持ってきてくれたか……。 なにやら随分と長く感じてしまった……。 彰利 「てゆうか……あら?なんでキンキン鳴ってるん?」 小僧が持ってる刀に触れ、体を回復させる。 そして受け取ってみると─── 彰利 「…………?」 凍弥 「あれ……消えた」 音は無くなった。 彰利 「こ、これはもしやっ……!アタイのカラータイマー!?」 凍弥 「それは絶対に違う」 彰利 「なんで言い切れるんよ!!おまえさん、ウチをからかっとるん!?」 凍弥 「そういうわけじゃないけどさ。     その……さっきそれ持った時、その刀が泣いてる気がしてさ」 彰利 「刀が……泣く?」 どういうこったい。 ………………む? 彰利 「ああ……そういうことか……」 凍弥 「どういうことだか解るのか?」 彰利 「ああ……お前もとうとうココがイカレちまったんだな……」 自分の頭を指差して、苦笑いを送った。 凍弥 「そんなんじゃねぇっ!!」 彰利 「ではなんなのかね!馬鹿かねキミは!刀が泣くですと!?     そんなことが本当にあると思っているのかね!!     アタイが持ってもなにも起こらんよ!?     もし本当に泣くのだとしたら、泣かせたのはキミなのではないのかね!?」 凍弥 「え……?それって」 彰利 「なにかね!!」 凍弥 「いや、その」 彰利 「なにかね!ハッキリ言いたまえ!!」 凍弥 「それって」 彰利 「だからなにかね!!」 凍弥 「喋らせろよ!!」 彰利 「チッ……逆ギレかよカスが……みっともねぇ」 凍弥 「逆ギレ言われる筋合いないわぁっ!!」 うーむ、イマイチつまらん。 どうしましょ……ってそうだ。 彰利 「よし小僧、もういっちょ持ってみろ」 凍弥 「え?あ」 小僧に刀を手渡す。 するとまた、キィイイインと鳴り響く刀。 凍弥 「……やっぱり、泣いてる。そんな感じがする」 彰利 「そうかえ?まあそれならそれでいいコテ。原因は解るかね?」 凍弥 「んー……解らないな」 彰利 「……使えんヤツめ!」 凍弥 「しょうがないだろ!刀の気持ちなんて俺には解らないっての!」 彰利 「ぬうう……!まあいい!今日はこれくらいで勘弁してやる!     っつーわけでさ、結果教えれ?」 凍弥 「……結果?なんだそれ」 小僧はなにがなんだか解らないって顔で問い返す。 野郎、教えねぇつもりか? 彰利 「お?なんだ?シラ切るつもりか?お?」 凍弥 「いちいちダサイ言い方選ぶなってば……」 彰利 「や、やかましい!」 凍弥 「自覚はあったんだな……」 彰利 「お黙り!それでどうなのかね!貴様ンところに椛が行ったろ!?」 凍弥 「……朧月?」 彰利 「───あ〜ん?」 朧月? こやつ今、朧月って言いはりましたわな? 彰利 「おいちょっと待て小僧、なにお前、呼び方変えたんか?」 凍弥 「……ん。まあ。フラレちゃったんで」 彰利 「───……」 作戦失敗であります、ルナっち。 あんた相当にヒドイこと言いました。 凍弥 「ああ、そっか……彰衛門にも謝らないと。     俺と朧月のこと、ずっと昔から見ててくれたのに……俺……」 彰利 「待て、謝るのはまだ早い。お前多分、やっちまっただけだ」 凍弥 「へ?」 アタイは小僧の肩にポムと手を置き、まずは息を吸った。 彰利 「お前さ、椛にこう言われたろ。『あなたとは結婚できない、別れて』とか」 凍弥 「え───あ、うん……」 彰利 「んで?お前の反応は?」 凍弥 「……朧月が別の幸せを求めるために俺と別れたいのかなって思ったから、     朧月を応援するって言った」 彰利 「…………んじゃあ、完ッッ璧に別れた、と……」 凍弥 「ああ……」 ……ルナっち……あんたってヤツぁ……!! 彰利 「ちょっと待ってろ」 凍弥 「え?」 彰利 「今、謝らせてやる。絶対だ。動くな」 凍弥 「あ、ああ……」 珍しく、怒りを実感している。 『弦月彰利』が母親と消滅したことで、 俺の『感情』は少しずつ蓄えられてるのかもしれない。 にしたって……ああムカツク!! ───俺は月空力を発動させて、晦神社へ飛んだ。 Next Menu back