───菜苗さんの変調───
気づけば時計が一日経過を知らせていた。 現在の状況、1024戦0勝1024敗。 引き分けも無しで問答無用の惨敗記録更新中。 804回目となる囲碁に、命の限りを込めていた。 彰利 「………」 菜苗 「お顔がカイジになっていらっしゃいますよ〜」 彰利 「っ……!」(ざわ……) 惑わされるなっ……!今の言葉はあの女が油断させるために言った狂言っ……! なにやら忘れてる気もしたが、そげなものは無視だっ……! これは意地っ……!男のっ……! いわば誇りを賭けた─── ───聖戦なんだっ……!! 彰利 「………」(ざわ……) 読めっ……感じろっ……! 相手の一挙一動を見逃すなかれっ……!! ……パチン、パチン。 彰利 「っ……!?なっ……」(ざわ……) なんだ……これ。 こんなところに石を置くっ……!? 何故っ……!? 彰利 「………」 菜苗 「あなたの番ですよ〜」 彰利 「………」(ざわ……) いや───違う。 これは布石だが、崩せる布石っ……! いいぜ……その賭けを買ってやるっ……!だがっ……! ──敗けるのはお前だっ……!! ───パチン。 彰利 「ありません……」 普通に負けました。 カイジの真似をしても負ける時は負けるみたいです。 ちょっと考えれば余裕で解ることでした。 ん?待てよ……?カイジ……? 彰利 「っ……!!あ───!!」 盲点っ……!! そうかっ……!気づかなかったっ……!! 何故っ……今までっ……!! 彰利 「勝負変更っ……!!チンチロリンだっ……!!」 菜苗 「はい〜」 ───カチャ、カチカチ、ン…… 菜苗 「四五六(シゴロ)です〜」 彰利 「ギャアアァーーーッ!!!!」(ざわ……) ざわ……じゃねぇーーーっ!!! 勝てねぇっ!今更だけど逆立ちしたって勝てる気がしねえ! 何者ですかアータ!! 彰利 「あ、あのさー……1025回記念ってことで、     特別に鍵くれるってことにならない?」 菜苗 「それはまかりなりませんよ〜?ズルはいけないことなのです〜」 彰利 「グ、グウムッ……!!」 逃げられそうもないです。 プレイスジャンプすりゃいいんだろうけど、 上から落ちてきたのと同時に刀落としちまって、その上娘ッ子に没収された状態だ……。 どうすることもできん……。 菜苗 「それでは、次はなにで遊びましょう〜」 彰利 「グウウ……!ね、寝不足はお肌の敵ですよ!?寝なさい!」 菜苗 「だめですよ〜、わたしは目先の睡眠よりも娯楽を愛する人なのです〜」 彰利 「ゲゲッ……!!」 いやよもう……!アタイもう、この部屋にあるゲーム飽きちゃったわよ……!! 彰利 「あの……お願いですから他の罰を考えてくれません?     ゲームじゃ勝てる気がしないので……」 菜苗 「敗北を認めるのですね〜?」 敗北……? この俺が、敗北……? 彰利 「ギ、ギムム……!!」 今なら最強死刑囚達の気持ちが解る……! こりゃ辛いぜ……男として辛すぎる……! 彰利 「は、はははっ!なに言ってるんだ娘ッ子!     勝負はまだ始まったばっかりじゃん!」 菜苗 「ですよね〜」 彰利 「は、ははは……よーし!HIGH&LOWで勝負だ!」 菜苗 「はい〜」 ───……。 ざわ…… ってカイジはもういいんじゃあっ!! ……今目の前には、ひとつの山札と一枚の札がある。 札の示す数字は8。 微妙な数字だ。 これで、山札から引いたカードがHIGHかLOWかを唱えるわけだが…… 彰利 「………」 山札から一枚引く。 娘ッ子もそれに習うように一枚。 さて、判定は…… 菜苗 「わたしはHIGHです〜」 彰利 「ゲゲッ!?」 なんとまあ……! この娘ッ子に先に言われると、勝てる気がしねぇっ……!! 仕方なしに、俺はLOWに賭けることになった。 だってさ、同じモノに賭けるなんて男らしくないじゃん。 菜苗 「ではでは〜」 彰利 「む……」 一斉に、手持ちの札を裏返す。 するとそこには……『9』の文字。 彰利 「ぐっはぁーーーっ!!なんたる数字!神てめぇ!俺に喧嘩売ってんのか!?」 菜苗 「わたしは同じ『8』でしたね〜。この場合はどうなるのでしょう〜」 彰利 「……同じ数字ってのは『以上』に入っても『未満』には入らないから……。     『HIGH』ってことで、キミの勝ちってことザマス……」 菜苗 「………」 うう、なんてこった……! また脱出が遠ざかってしまった……! 菜苗 「あの〜」 彰利 「な、なんザマスか……?敗者に情けは無用ですぞ……?」 菜苗 「いえ〜、そうではありません〜。あなたは真っ直ぐなお方なのですね〜」 彰利 「誰がパスポートブルーだこの野郎!!」 菜苗 「それは『真上直進(まがみまっすぐ)』です〜……。     シンデレラが死んでれら、ロシアの殺し屋恐ろしやなのです〜……」 彰利 「………」 すげぇ、まさかLOVE2-最後の戦い-(パスポートブルー)のことまで知ってるとは…… 彰利 「で、真っ直ぐってなにが?」 菜苗 「さっきのことですよ〜。     わたしの札に謂れをつければ、いくらでも逃れ文句はつけられたと思います〜」 彰利 「ああ、なるホロ。そゆことね」 アタイは山札とスペードとダイヤの8の札を回収してシャッフルした。 彰利 「勝負ごとに関しては結構五月蝿いんだよ、俺は。     普通の拳同士の勝負なら、どんなことをしてでも勝とうとは思うけどね」 菜苗 「………」 彰利 「次、神経衰弱ね」 菜苗 「はい〜」 山札をバラバラに配置して、まずジャンケンで順番を決める。 ───俺が先攻だ。 彰利 「これとこれと……むはっ!いきなりダメだ!」 札を戻してムハァとブレス。 次いで、娘ッ子が発動。 菜苗 「……わたし、養女だったそうです〜」 パタ。 札が裏返される。 彰利 「ほへ?」 菜苗 「わたしを拾ってくださったふたりは、とてもよい人でした〜」 パタ。 札が裏返される。 じゃけんど……札は一致しなかった。 彰利 「…………手加減してはる?」 菜苗 「してませんよ〜」 彰利 「ふむ……」 手加減されるのは好きじゃなぎゃあも。 もしそうだとしたら、意地でも本気を出してもらってたところさね。 ……パタ、パタ。 彰利 「また違うか……まいったのぅ」 菜苗 「どうしてわたしがずっとこの屋敷に居るのか……解りますか〜?」 パタ、パタ。 ぬお、やはり取られたか…… 彰利 「んにゃ、貴様ってこの屋敷の娘ッ子じゃねぇの?」 菜苗 「違いますよ〜」 パタパタ……あ、ハズレ。 彰利 「ほ〜、んで?なぜにこの屋敷にずっとおるのかね?」 パタパタ……ぐあ、またハズレた。 菜苗 「……わたしにはもう、やさしかったそのふたりが居ないからですよ〜」 パタ…… 彰利 「……なんと」 ……パタ。 娘ッ子の裏返した札は、またハズレていた。 彰利 「死去かね?」 菜苗 「……はい。協調性がなかったおふたりでしたから〜……     どこかで反感をくっていたのでしょうね〜……」 彰利 「あんですと?するってぇと……」 菜苗 「……ええ、思ってる通りだと思いますよ〜」 彰利 「なんとまあ……娘ッ子の親御さんが『怪盗サブリメン』だったとは……」 菜苗 「違いますよ〜……」 彰利 「なんと!?思った通りと言ったではないか!あれはウソだったのかね!」 菜苗 「どんなことを思ったんですか〜……」 彰利 「どんなって……サブリメン」 菜苗 「両親はべつにパンツ(サブリガ)好きだったわけではありませんよ〜……」 彰利 「あ、あらそう……?」 早合点早合点。 てゆうかこの娘ッ子詳し過ぎ。 彰利 「するってぇとアレか、誰かに殺されたってわけか」 菜苗 「……そういうことになりますね〜」 パタ、パタ……パタパタパタパタパタパタパタパタパタパタパタ…… 菜苗 「終わりです〜」 彰利 「グ、グウムッ……!?」 それから、あっという間に決着。 やはりこの娘ッ子、強いわぁ……。 彰利 「いや、まいった……強いねキミ」 菜苗 「……不思議です〜」 彰利 「ほへ?なにが?」 菜苗 「あなたは悪い人には見えません〜。     なのにどうしてメイさんはあなたを落としたのでしょう〜」 彰利 「───む!よくぞ訊いてくれた!     丁度いいや、キミもおなごだし、訊きたいことがあるのよ!     アタイ、それをメイさんに訊いたら落とされたってわけなの!     聞いてくれる!?くれるよね!?」 菜苗 「はい〜、聞きますよ〜」 彰利 「よっしゃあ!じゃあ訊きますぞ!?」 菜苗 「はい〜」 ……ゴクリ。 次はどんな仕打ちが待っているやら……! だがこれも夜華さんのため!! 彰利 「あ、あのさっ!生理ってどんな感じ!?」 菜苗 「───」 彰利 「はぁっ!」 ババッ! 拳が飛んできてもいいように、アタイは伝説のピーカブーブロックをした。 ……が、攻撃は来ない。 彰利 「……おろ?」 菜苗 「メイさんも意地悪ですね〜、それくらい教えてあげればいいですのに〜」 彰利 「へ?……へ?」 今までのおなごの反応を考えるに、これは意外だった。 彰利 「お、怒らないんどすか?」 菜苗 「怒りまへんえ〜」 彰利 「………」 菜苗 「それどころか教えてしまいますよ〜?」 彰利 「なんと!マジすか!?」 菜苗 「はい〜、耳を拝借します〜」 彰利 「おうとも!」 菜苗 「女の子の〜、生理というものはですね〜」 ───……………… 彰利 「キャアアアーーーーーーーーーーーッ!!!!!」 バッバッバッバッ!! 菜苗 「あら〜、どうかしたのですか〜?」 娘ッ子に生理についてを聞いていた筈のアタイは、 独眼鉄もびっくりな凄まじい速さでバク転をし、娘ッ子から離れた。 彰利 「キ、キミねぇっ!!それ生理とかじゃないよ!?」 菜苗 「はぅ……?そんなことはありませんよ〜……?     だって、生理は男の人の○○(ピー)○○(ピー)されると」 彰利 「キャアアァァァァーーーーーッ!!!!!ダメーーッ!!ダメヨーーーッ!!     うら若き乙女がそげんこつことさ口に出すもんでねぇだ!!」 菜苗 「だって、乙子さんが教えてくださったんですよ〜……?」 彰利 「誰が教えてくれようが言っていいことと悪いことがあるのっ!!     とにかくダメッ!!ダメヨーーーッ!!!!」 菜苗 「はぁ……解りました〜……」 あぁ、心臓に悪ぃ……!! 誰さね、こんな純朴な娘ッ子にあげなことそげなこと教え込んだヤツは……! 乙子とやら、許すまじ……!! 菜苗 「それでは〜……続きを始めましょうか〜」 彰利 「へ?続きって?」 菜苗 「罰です〜」 彰利 「え……まだやんの?」 菜苗 「だって、まだ負けてませんから〜」 彰利 「……はいはい」 こうしてアタイはまた、何かを忘れたままの状態で戦いを続けるのでした。 ……なんだったっけ? …………。 菜苗 「はっ……はっ……」 彰利 「……?」 ふと気づくと、トランプを持っていた娘ッ子の状態に異常が見え始めた。 彰利 「小娘?……どぎゃんしたのかね?」 菜苗 「な、なんでもありませんよ〜……さあ〜……続けましょう〜……」 彰利 「でも、汗がすごいですよ?」 菜苗 「武者震いです〜……」 関係ないし。 彰利 「キミ、ちょいと失礼するよ?」 娘ッ子の額に手を当てる。 するとどうだろう…… 彰利 「ひょっ!?すごい熱じゃっ!!」 メキメキメキ……!! 菜苗 「はうっ……!!く、うぅう〜……!!力込めすぎですぅ〜……!!」 とさっ……。 彰利 「アイヤーッ!?シマターーーッ!!」 娘ッ子の体が、力無く倒れおった!! しもうたわ〜〜〜っ!! つい『サイボーグじいちゃんG』の真似して握力込めてしまったがよ!! うあ〜〜、どうしよどうしよ!! 彰利 「ハッ!ここでパニクるわけにはいかん!     まずは失礼ながら冥月刀を返してもらってと……月生力!!」 刀から月の印を解放し、娘ッ子に浴びせる。 ───が、一向に良くならない。 彰利 「なんとまあ……マジすか?」 月生力が効かない……ならば状態異常を穏やかにするために───月清力!! パァアア…… 彰利 「グ、グムーーーッ!!大して効いとらーーーん!!」 どうする!? もしや娘ッ子はアレか!?不治の病持ちなのかっ!? 不治の病は流石に治せんよ!? それともこの娘ッ子も夜華さんと同じ状況!? ぬおお、どうすることもできーーーーん!!! 彰利 「誰かこういうことに詳しいのは……あ、そうだ!童栄のじっちゃん!     あ……って……童栄のじっちゃんがこの時代に居るわけがなかった……     グ、グウム……!どうすれば……はうあ!?」 そうだ!うってつけの男がおったわ〜〜〜っ!! こういうことならきっと詳しいに違いねぇ〜〜〜っ!! 彰利 「娘ッ子、ちょいと失礼するぞ!」 アタイは娘ッ子を胸に抱くと、刀を煌かせた。 彰利 「月空力!!」 プレイスジャンプを発動させ、晦神社へ。 ───……。 彰利 「悠介!悠介ーーーっ!!」 辿り着いた俺は、あらん限りの声で悠介を呼んだ。 娘ッ子の状態が思わしくないからだ。 悠介 「どうしたっ!?」 悠介も俺の声になにかを感じたのか、すぐに駆けつけてくれた。 散々ふりまわしたりしてるってのに、俺の本気と冗談を解ってくれている。 ……ほんと、こいつが友達でよかった。 彰利 「急患だ!布団用意してくれ!」 悠介 「なにっ!?ったく!どうしてお前はそう厄介事を持ち込むんだ!」 彰利 「なんと!?アタイが厄介事を持ち込むとな!?記憶にございませんよ!?」 悠介 「シラ切るなバカッ!」 彰利 「な、なに〜〜〜っ!?証拠あンのかこの野郎〜〜〜っ!!!」 悠介 「いいからとっとと運べっ!!」 彰利 「ノォサーッ!!」 悠介 「遊んでる場合じゃないんだろうがっ!!さっさとしろっ!!」 彰利 「イエスサーーーッ!!」 ──────…………。 それから俺は、悠介に娘ッ子の状態などを教えた。 もちろん、月操力では治せないことも。 悠介 「まいったな……どうしたもんか……」 彰利 「創造の理力でなんとかならないか?この状態を治す薬が出ます〜、とか」 悠介 「そんな漠然としたものが出せるか、ばか」 彰利 「だってさ!エリクサーとか作れるじゃん!」 悠介 「あれはお前で言う『月生力』と『月清力』とかを混ぜたようなもんだ!!     大体、この娘の病気がどんなものかも解らないのに、     それの特効薬が創造できるわけないだろう!」 彰利 「グ、グウウ……!!」 万事休す……!? くそっ、どうなってんだ一体……! 菜苗 「はっ……はぁ、はぁ……」 彰利 「……っ」 ダメだ……! 娘ッ子の体から『生気』が失われているのを感じる……! 今までだってこういうことが何度もあったに違いない……心も体もボロボロだ……! 彰利 「な、なぁ悠介っ……!なんとかならないのかよっ……!」 悠介 「無茶言うな……この様子じゃあ、     今まで生きていられたのが奇跡だって思えるくらいだぞ……」 なんだってこんなことに……? さっきまでゲームをやってたってのに……! 彰利 「俺……こいつとまだゲームの途中だったんだよ……!     まだ一回も勝ってないんだ……!勝たれたまま終われるもんかっ……!!」 気ばかりが焦る。 だっていうのに、思いつくことはなにも───キキィンッ! 彰利 「え───?」 突然、冥月刀が音を鳴らした。 澄んだ、とても澄んだ音を。 彰利 「そうか……貴様も泣いてくれるんじゃね……?」 キキィン!キィン!キィン!! 冥月刀が激しく鳴り始めた。 ……なにやら思いっきり否定されてる気がした。 彰利 「そうかそうか……思いっきり鳴いておくれ……」 キィイイ───パキィイイイイイイイイイイイイイン!!!!!!! 彰利 「ウギャアアアァァァァーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!」 悠介 「あ、彰利っ!?」 突如、冥月刀が凄まじい音を弾き出した。 おかげで耳が……耳が…… 彰利 「おわぁーーーっ!!な、なにも聞こえーーーん!!」 しかも耳からはぬるりとした感触……! 彰利 「ひぎゃああああっ!!ち、血ィーーーッ!!!?」 悠介 「落ち着け彰利!!耳汁が出てるだけだ!!」 彰利 「え?なに!?あんだって!?聞こえねぇザマスよ!?」 悠介 「耳汁が出てるだけだっ!!」 彰利 「聞こえねぇっつーの!!なんの冗談なのかねそれは!まるで笑えんよ!?」 ボゴシャア!! 彰利 「ぶへぇーーーっ!!!」 思いっきりグーで殴られてしまった。 彰利 「な、殴ったわねーーっ!?ちくしょう夜華さんに言いつけてやるーーーっ!!」 悠介 「人が大変だって時にふざけるな馬鹿っ!!」 彰利 「あぁ〜〜ん!?だから、なんだってんじゃい!聞こえないっつっとろーが!!     まったくこれだから短気者は困るのだよ!     いい加減大人になったらどうなのかね!!」 ───刹那に拳が飛び、その後も何度も何度もボコボコにされた。 彰利 「がぼっ……がぼっ……」 悠介 「ったく……!!     いつでもどこでもふざける性格だけは直したほうがいいぞ、お前……!」 彰利 「そうかな」 悠介 「そうだよ……おい、ちょっと手ェ貸せ。     月清力をずっと出しておける物体を作る」 彰利 「お?するってーとアレか?     久々にアタイのイメージを創造してくれるってのかい?     いやん、ゼノの時ぶりじゃないの!」 悠介 「そーだな。ほら、さっさとしろ」 彰利 「御意」 伸ばされた悠介の手をに手を乗せる。 そして目を瞑り、イメージ開始。 悠介 「……イメージ、できたか?」 彰利 「オウヨ!」 ようは月清力のイメージと、それを出すカタチのイメージがあればいい。 ということで完成! 悠介 「彰利のイメージが出ますっ!!」 ───ポムッ! 創造されたモノは畳に落ち、『おわぁ〜〜っ!!』と言った。 彰利 「………」 悠介 「…………おい、なんだこれは」 彰利 「えーと……俺が発案した癒し系グッズ、『スグルくん』だ。     キン肉マンの頭を模したそのカタチと、     口から出る神谷明氏のキン肉マンボイスと、     その声とともに出る月清力とマイナスイオンが、     あなたの心と体をリラックスに導きます」 悠介 「……リラックス、ねぇ……」 スグル『おわぁ〜〜〜っ!!』 彰利 「………」 スグル『おわぁ〜〜〜〜〜〜っ!!』 悠介 「………」 スグル『おわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!』 ゴシャアッ!! 彰利 「アイヤァーーッ!?スグルくんがぁーーーっ!!!」 なんと!スグルくんは悠介の拳によって破壊されてしまった!! 悠介 「創り直すぞ……」 彰利 「ぎょ、御意……」 文句を言おうとしたものの、 目を紅く変異させた人には何を言っても無駄だと即座に判断しました……。 彰利 「見よ!今度はさっきの倍の量の月清力とマイナスイオンを出すミートくんだ!」 ミート『おわぁ〜〜〜〜っ!!』 メゴシャアッ!! 彰利 「キャーッ!!?ミートが踏み潰されたぁーーーっ!!」 悠介 「どうしてミートが『おわぁ〜〜っ』て言うんだよ!!」 彰利 「意外性を訴えてみようかと」 悠介 「余計な細工はいらんっ!!」 彰利 「えぇ〜〜っ?いいじゃんかよ〜〜〜っ」 悠介 「却下だ馬鹿者ッッ!」 彰利 「ぎょ、御意……」 …………。 彰利 「こ、今度はどうだ!断っておくが、これほど完成された作品は無いぞ!?     ミートくんの数倍の量の月清力とマイナスイオンを出すマッスィーン!     その名も、スグルくんハイパーだ!!」 スグル『おわぁ〜〜〜っ!!』 ガゴンッ!! 悠介 「いでっ!?」 悠介、早速壊そうとするも、破壊を失敗。 彰利 「ふははっ!無駄!無駄ぞっ!!このスグルくんハイパーはなぁっ!     そんじょそこらの素材で出来ているものじゃあねぇのよ!     なにせ、アタイが鮮明にイメージした最強金属、     『ラグナリウム』で出来てるからな!!想像はなによりも勝るのです!!     最高の堅さなど、人の想像に負けるものなのですよ!!     故に最硬!最強!ステキなのだ!!いかに悠介といえど、これは壊せまい!」 悠介 「……このたわけた創造物を吸い込むブラックホールが出ます」 彰利 「アイヤァーーーッ!!?」 スグル『おわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!』 ズゴゴゴゴゴゴゴ……きゅぽん。 ひでぇ……スグルくんが吸い込まれていっちまった……。 だがご安心あれ! ズゴゴゴゴ……!! 悠介 「なっ……なんだぁっ!?」 消え去ったブラックホールが再び開き、そこからスグルくんが這い出てきた! ……といっても、頭だけのカタチだからとても怖いが。 彰利 「ふははははは!!甘いな悠介!     こんなこともあろうかとスグルくんには、     ブラックホール無効のイメージを植え込んでいたのよ〜〜〜っ!!」 悠介 「いらん想像ばっかイメージしてんじゃねぇーーーっ!!!」 ボゴシャアア!! 彰利 「つぶつぶーーーーっ!!!!」 刹那、頬が三角形にヘコむほど強くなぐられ、その後もボコボコにされてしまった。 …………キィン、キィンキィン……!! 彰利 「いで、いででで……!!」 うおお、顔面がすげぇ痛ぇ……!! キィン、キキィン!! 彰利 「なにかね!さっきから五月蝿いとですよ!?     だが、貴様が何かを言いたいのはよ〜く解った。     というわけで、人生について語ってやろう」 アタイはさっきから鳴りまくってる冥月刀に人生について語りかけることにした。 ───……しかし意味がなかった。 キィン!キキィン!! 彰利 「だから!なんなのかね!!」 スグル『おわぁ〜〜〜っ!!おわぁ〜〜〜っ!!』 彰利 「うるせぇ!黙ってろ!」 スグル『おわぁ〜〜〜っ!!』 キィン!キィイイン!! 悠介 「……なぁ、その刀……なんなんだ?」 彰利 「知らん」 キィン!! 悠介 「……怒ってるように見えるんだが」 彰利 「気の所為だろ。それよりもスグルくんを娘ッ子の傍に……」 アタイはスグルくんを娘ッ子の耳元に置いた。 スグル『おわぁ〜〜〜っ!!』 菜苗 「う、ううう〜……」 スグル『おわ〜〜〜っ!!おわぁ〜〜〜〜〜っ!!!』 菜苗 「う、っく……あうぅう〜……!!」 スグル『おわぁ〜〜〜っ!!!!!』 菜苗 「うぐっ……うぇええん……!!」 ……うなされてる。 悠介 「おい……泣いてるぞ?」 彰利 「癒し効果は抜群な筈なんだが……」 スグル『おわぁ〜〜〜っ!!!』 悠介 「……これじゃないか?この声が……」 彰利 「なんで!?いい声じゃん!癒されるじゃん!!」 悠介 「………」 彰利 「あの……なんすかその『変人め……』って顔」 悠介 「顔の通りだ。お前って変人だろうし」 うわっ!素で言われたっ!! 彰利 「失礼な!ぼくは変人なんかじゃないっ!」 悠介 「すまん、変態だったな」 彰利 「そうだ!ひどい偏見だ!……って、え?」 悠介 「よろしく、変態」 彰利 「ゲ、ゲェーーーッ!!」 悠介 「ど、どうした変態!」 彰利 「やかましいっ!!」 ───…………。 キィン!キィイイン!! 彰利 「ああもう!なんぞね!!」 アタイは置いておいた冥月刀を手に取ってじっと見つめた! すると冥月刀が輝き出し───!! 彰利 「キャーッ!?」 いかん!これは月空力だ!しかも歴間移動!! 彰利 「させるかぁーーーっ!!ロビン流───友情の握手(シェークハンド)!!」 アタイは咄嗟に手を伸ばし、 娘ッ子の額の濡れタオルを換えていた悠介の手にシェークハンド!! 悠介 「……ん?───なぁっ!?」 彰利 「言っただろ……?俺はお前とともにあるって……」 悠介 「言われてねぇしわけ解ら───うぉわぁああああっ!!?」 ガカァッ───キィインッ!!!!!! ───……突然輝いた冥月刀は、俺と悠介を巻き込んで歴間移動を発動させた。 とはいうものの、悠介を巻き込んだのは紛れも無くアタイですけど。 そげなことはさて置き、ひとつ確信したことがある。 ……冥月刀の中の人格……冥月は、既に覚醒している、と。 そして冥月は、俺達を何処に連れていくつもりなのか─── それは着いてみなけりゃまるっきり解らなかった。 ──────……。 凍弥 「……ところでさ、いつまで俺はここで待ってりゃいいんだ?」 美紀 『知らないよぅ……』 凍弥 「はぁ……」 一日待っても、彰衛門は帰ってきやしなかった…… Next Menu back