───過去現在未来を駆ける想い───
ヒィイイン……ドグシャアッ!! 彰利 「もぎゃあっ!?」 空中から光とともに吐き出されたアタイは、顔面から着地してしまった。 しかもアスファルトじゃなくて、砂砂利混じる地面でゴワス。 彰利 「いででで……なんだってのよもう……」 悠介 「おわぁっっとととっ!?」 彰利 「へ?キャーッ!?」 ゾリャアッ!! 彰利 「いたやぁーーーっ!!!」 悠介 「うわっ!!わ、悪いっ!」 倒れたアタイに追い討ちをかけるような耳削ぎストンピング。 これは痛い!痛いよムーミン!! 彰利 「キミ!落下するにも場所ってもんがあるでしょっ!?     アタイの耳を削ぐつもりですかアータ!!」 悠介 「だ、だから悪いって言っただろ?」 彰利 「いーや!許されへん!     罰はちゃんと受けなきゃいけないって教えられた気分なのだよ!     というわけであそこの団子屋で団子をおごるのよ!……団子屋?」 ズビシと指差す場所には団子屋。 ……あら?何故にこげな場所に団子屋……アレェッ!? 彰利 「ば、馬鹿な……ば、馬鹿な……ここは……あの江戸時代!?」 アタイってば夢でも見てるの? なにごとなのこれは……トキメキファンタジー? ……トキメキファンタジーってなんだろう。 でもとりあえず『ば、馬鹿な……』は二回言わないとね? 彰利 「あ、あのさー悠介?これってやっぱり冥月刀の……うおっ!?」 うわっ!めっちゃ輝いてる!! 昔好きのダーリンの目がめっちゃ輝いてる!! 悠介 「………!」 てゆうかやたらとウズウズしてますな。 なにやらイヤな予感がするのでゴワスが…… 悠介 「よし彰利!食うぞ!」 彰利 「へ?食うったって何を……」 悠介 「馬鹿!お前にはあの団子屋が見えないのか!」 彰利 「見えるけどさっ!ちょい待て!落ち着け悠介!     あ、いやん!そんなに強く手を掴まないで!壊れちゃう!」 悠介 「いいから行くぞっ!」 彰利 「お、おわっとっと!!おわっ!おわぁーーーっ!!!!」 どしゃあっ!ざりざりざりぃーーーっ!!! 彰利 「アモゲェーーーッ!!顔がぁーーーっ!!!」 勢いよく引かれすぎて転倒。 なおも引っ張る悠介の愛によって、アタイは『北斗の拳』のザコの気持ちを知った。 彰利 「やめてとめてやめてとめてやめてーーーっ!!とめった!!」 悠介 「うん?───うおっ!?」 ドゴォン!ごしゃしゃしゃああああん!!! 彰利 「いたやぁーーーっ!!!」 止まってはくれたが、 あまりの勢いにアタイの体は前をゆき、団子屋につっこんでしまった! おなご「あぁーーっ!!なんてことするのあなた!弁償してもらうからね!?」 彰利 「なんと!?」 かつてこの時代で『神』とまで言われたアタイが弁償!? 冗談ではないわ!! てゆうかそもそも悠介の所為なのに!! 彰利 「ボ、ボクはあの人に放り投げられたんだっ!」 悠介を指差しての訴え。 一言でさえ偽りなどありません!受け取っておなごさん!アタイの正直!! おなご「うそつかないの!!」 彰利 「ゲェーーーッ!!!」 うわヒデェこの人! 最初(ハナ)からアタイの所為にしてやがる!! おなご「弁償しなさい!」 彰利 「いやでゴワス!」 おなご「しなさい!」 彰利 「しないでゴワス!!」 おなご「どうして罪を認めないの!!」 彰利 「やってねぇからでゴワス!おいどん悪くねぇでゴワス!!」 おなご「言い逃れする気!?男らしくないよ!」 彰利 「ウソじゃねぇでゴワス!!やったのはあそこの男でゴワス!!」 おなご「人の所為にする気!?ますます男らしくないよっ!!」 彰利 「う、うそじぇねぇでゴワス!ほんとなのでゴワス!!信じてくれでゴワス!!」 おなご「あなた……その服からするに、流れ者でしょ!?     どうせ路銀が尽きたからってどさくさに紛れて盗もうとしたんでしょ!!」 彰利 「そうじゃねぇでゴワス!ほんとに俺じゃねぇんでゴワス!!」 おなご「うそつきは嫌いだよ!!」 彰利 「ほんとに違うのでゴワス!!信じてくれでゴワス!!」 おなご「このうそつきっ!!盗人!!」 彰利 「ち、違うでゴワス!ほんに違うんでゴワスよ!!」 おなご「悪党!泥棒!!うそつき!!」 彰利 「ち、ちが───」 おなご「最低だね!ここまで言われて白状もしないなんて!男のすることじゃないよ!」 彰利 「な、なんと!……ひ、ひどいわ!     ひど……うわぁああああん!ママに言いつけてやるーーーっ!!」 がっし。 彰利 「キャーッ!?」 おなご「逃がさないよ、このうそつきっ!!」 彰利 「だ、だからウソなんてついてねぇでゴワス!信じてでゴワス!」 おなご「その手にはのらないよっ!このうそつき男!!」 うそつき男!!うそつき…!!うそ……!(エコー) 彰利 「………」 アタイは相当なショックを受けた。 確かにウソとか冗談とかは散々っぱら言ってきた。 だが、本当のことを言って真正面からウソつき男と言われることなどなかったのだ。 ショック……ショックだ……。 おなご「なにっ!?呆然としたって許さないんだからねっ!?」 悠介 「あー、ちょっと待ってやってくれないか?」 おなご「うん?なに?だめだよ、今この人と話してるんだから」 悠介 「いや、そうじゃなくてな……」 おなご「…………?」 ───……。 彰利 「ひっく……ひっく……ひどいよぉ〜……おなごがぼくをいじめるんだぁ〜……」 おなご「あー……えっと……」 真相を話すと、団子屋の女はきまりが悪そうな顔をしていた。 彰利 「珍しく本当のこと言ったのに……勇気を出して真実を言ったのに……。     おなごがぼくを信じてくれないんだぁ〜〜……」 おなご「ご、ごめんなさいっ!まさか本当にただ倒れただけだったなんて……!」 彰利 「いいよもう……どうせぼくはうそつきさ……。     そうは言っても心の中ではぼくをうそつき男って言ってるんだ……」 おなご「そ、そんなことないよっ!」 彰利 「いーんだ、い〜んだ……今なら狼少年の気持ちがよく解るよ……。     信じてもらいたい時に信じてもらえないのって、     なんて辛く悲しいことなんだろうなぁ……」 おなご「う、うー、うー……!ね、ねぇ、なんとかならない?     お店の前でこんな風に泣かれたら商売にならないよ……」 悠介 「あ、馬鹿───!」 おなご「え?」 こいつの前でそんなこと言ったら───! 彰利 「やっぱりだぁ〜〜〜っ!!     やっぱりこんなうそつき男よりお店の方が大事なんだぁ〜〜っ!!」 おなご「えぇっ!?い、いまのはその、そういう意味じゃ……」 やっぱりこうなったか……。 悠介 「まったく……いつまでめそめそしてるんだよ」 体育座りでイジケる彰利の腕を掴み、強引に立たせる。 彰利 「ふん……ふんふんふーん……どーせぼくはイジケ虫ですよ……。     うそつきなんだから暗くて当たり前じゃないか……」 悠介 「……重症だな、こりゃあ」 ここまでイジケる彰利も珍しい。 どうやら真実を口にしたのに頭ごなしに否定されたのが相当ショックだったようだ。 おなご「ごめんなさい……わたし、ひどいことを……」 悠介 「いや、いいって。たまにはいい薬だ」 彰利の腕を引っ張り、歩こうとする。 が、拗ねた子供のようにもう一度座ると、動こうとしなくなった。 悠介 「子供かお前は……」 彰利 「どーせぼくは子供ですよ……。     大人は子供の言うことなんかいちいち聞いてられないんでしょ……。     どーせぼくはうそつきですからねぇ〜……」 そう来たか……まいったなぁ。 悠介 「……しゃあない、無視しよう。団子もらえるか?」 おなご「え?あ、はいっ!ただいまっ!」 女が奥へと走ってゆく。 団子を用意しにいったんだろう。 彰利 「みろ……大人なんて結局、うそつき男よりも仕事を優先させるものなんだ……」 悠介 「そりゃそうだろ」 彰利 「………」 うお……絶対言い返してくると思ったのに余計に沈んじまった。 相当だな、こりゃ……。 おなご「お待たせしましたー」 奥から女が戻ってきた。 その手には、数本の串だんご。 おなご「どうぞ、味には自信があります!」 悠介 「ああ、いただくよ」 まず一口、おもむろに口に入れた。 すると……どうだろう。 自分の時代において、味わったことのないような味が口内に広がった。 これは美味い。 悠介 「……美味い」 おなご「ありがとうございます」 女は誉められて嬉しかったのか、胸を張る真似をして喜んでいた。 が……その反対側からは、凄まじい『鬱オーラ』。 悠介 「お前なぁ……いつまでイジケてるんだよ。もういいだろ?     ほら、団子食え。美味いぞ?」 彰利 「……いらない」 悠介 「いらないって……お前なぁ」 彰利 「……へっ……そうやって軽い口叩いてられるのも今だけなんだからな……。     後悔してもしらないんだからな……」 悠介 「……後悔?なんだそりゃ」 彰利 「オイラ、もう行くよ……。     あれから夜華さんと楓の子がどうなったのか気になるし……」 悠介 「んお!?ちょ、ちょっと待て!俺も行くって!」 彰利 「ごめんよ……ついてこないでくれ……。俺、共犯にされたくないから……」 悠介 「へ?共犯?」 彰利 「とんずらぁーーーっ!!!!」 言うや否や、彰利は物凄いスピードで走っていってしまった。 おなご「元気になってよかったですね」 悠介 「……ま、そうだな」 なんだかんだで最後の串を置いて、俺は息を吐いた。 悠介 「美味かった、ご馳走さま」 おなご「はい、ではお代金を」 悠介 「ああ。えーと……はっ!!」 ……やばい。 今更だが、彰利が団子屋に行くのを拒んだのと食おうとしなかった理由が解った。 悠介 (……俺、この時代の金なんてもってないじゃないか……!!) 『共犯にされたくないから……』 その言葉が頭の中を駆け巡った瞬間だった。 ───……。 彰利 「絶景!!」 そしてアタイは、階段を登って神社を目の前にしていた。 駆け上るのは着かれたが、一刻も早く見たかったのだ。 冥月刀から放たれた波動からして、ここは間違い無くアタイが消えてからの時代ッ!! ならば、アタイを睨んだ夜華さんと、楓が作り出した子供が居る筈ッッ!! ───ドコントドコトコ♪ 彰利 「ルパンザサァ〜ド♪」 ことは隠密を要する!! アタイは今この時より弓彰衛門と化すのだっ!! 幸い、この時代の記憶からは『彰衛門』の記憶はなくなっている! ならば堂々と名乗れるというもの! 彰衛門「ま、そもそも人と会うつもりなどさらさら無いがね!!」 小娘 「………」 彰衛門「………」 いきなり見つかってるし……。 しかも子供です、おなごです。 小娘 「おにいちゃん、だれ……?」 彰衛門「我輩か!?我輩は───いや待て。小娘こそ誰ぞね?     人に名前を訊く時は自分から名乗るものぞ?」 小娘 「わたし……すおうかのは……」 彰衛門「すおうかのは?凄まじい名前だな……」 小娘 「………」(ふるふるふる) 彰衛門「なに?違うとな?」 小娘 「……すおう、かのは……」 彰衛門「すおう、かのは……か。すおう?……ああ、簾翁ね」 俺ひとりで納得してると、小娘は地面に文字を書いていた。 『簾翁 嗄葉』と。 彰衛門「そうか。拙者は弓彰衛門と申す者。以後、よろしく」 嗄葉 「………」(ふるふるふる) 彰衛門「なんと!?拙者とはよろしくしたくないと!?」 嗄葉 「………」(こくり) うわっ!ショックッ!! ひでぇよこの人!! ……てゆうか、会った時から微妙に怯えてたしなぁ。 彰衛門「もしかして、怖がりか?」 嗄葉 「…………!!」(ふるるるるるる!!) 凄まじい勢いで首を横にふる小娘。 彰衛門「……わっ!!」 嗄葉 「!!」(びくぅっ!!) 地面を勢いよく踏み、声を張り上げてみた。 すると……その威力は俺が想像するよりも強大すぎた。 小娘は頭を庇うようにして蹲り、震えながら泣いてしまった。 彰衛門「うあ……すっげぇ罪悪感……」 強がっちゃいるけど、すっげぇ弱虫だぞこの小娘……。 てゆうか───キャア!イカン!! 今更になって、小娘抱き締めたい症候群が───!! だめだ、押さえろ……!! 彰衛門「はっ……は、は───はー!はー!」 嗄葉 「……!?」(びくびくっ!?) 彰衛門「あ、いや!違いますぞ!?     これはただ耐えてるだけですよ!?欲情じゃないっすよ!?     だからそんな珍獣でも見るような顔はヤメテ!!」 嗄葉 「…………!」 小娘は逃げようとした。 だが足が竦んでしまったのか、ちっとも逃げられないらしい。 ……ここまで素直に怖がられると、結構ショックです。 だが、ここはその心に応えてやらねば! 彰衛門「ウェッヘッヘッヘ……たまんねぇだ、いだだぎまぁず」 嗄葉 「ひっ……!?」 秘技、妖怪腐れ外道発動。 予想通り、小娘はとても怯えています! クハァ抱き締めたい!愛してる! 彰衛門「もぉ我慢できねぇなぁ〜〜〜っ!!!!」 アタイは限界を迎え、やさしく抱擁しようと小娘に手を伸ばした! 嗄葉 「う───うわぁあああああああああああん!!!!!!」 彰衛門「アイヤーーーッ!!?」 なんと!小娘が泣いてしまったがよ!! 嗄葉 「たすけておねえさまっ……!!おねぇさまぁああああああっ!!!」 彰衛門「なんと!姉が居るのかね!?」 いかん!それはいかんぞ! こんなところで泣かれては、その姉とやらが襲いかかってくるやもしれんではないか!! 彰衛門「な、泣き止んどくれ!?別にアタイはなにもしやしませんから!!     ほんとですよ!?マジですよ!?だから泣き止んどくれ!?」 嗄葉 「うわぁあああああん!!あぁああああん!!!」 彰衛門「ギャアア!!耳痛ェエーーーッ!!」 なんつぅ馬鹿デカイ泣き声か!! 耳塞いでも響きおるでよ!! 彰衛門「オレの負けだッ〜〜!!許してくれェェッ〜〜!!」 妙な叫び方で敗北を認めた! シコルスキーの気持ち、今なら解るッ!! でも泣き止んでくれませんでした。 嗄葉 「わぁあああああああん!!!!」 彰衛門「ギャアアァァーーーッ!!!!」 こ、鼓膜が!鼓膜が痛い!! ここは戦術的撤退を───がしっ!! 彰衛門「ややっ!?」 嗄葉 「うわぁああああああん!!!」 彰衛門「アイヤーーッ!!?泣いてんのになんでアタイの服掴むの!?     てゆうか耳痛ッ!!!やめてっ!!イヤァアアアアアアア!!!!」 ───……小娘が泣き止んでくれたのは、それからしばらく経った頃だった。 今でもぐずってるから油断は出来ません。 彰衛門「だからの?じいやはキミを驚かせたかっただけなのじゃよ……」 嗄葉 「………」(えぐえぐ……) 久しぶりの『じいや語』。 よもやまた使うことになろうとは……。 でも仕方ないんじゃよ? アタイって普通に話してると絶対にからかいに発展しちまうから。 彰衛門「だからの?キミの言う『おねえさま』を呼ばれたらとっても困るのじゃよ。     解るじゃろ?のぅ?」 嗄葉 「………」(えぐえぐ……) ムウウ……どうしたもんか……。 さっきから涙目でアタイを見るだけじゃよ? 彰衛門「………」 でも、妙だよな。 あれだけデカイ声で泣いたのに、噂のおねえさまが来る様子がまったくない。 どっかに出かけてるのか? 嗄葉 「……おねえさま……いないの……」 彰衛門「む?」 嗄葉 「おねえさま……わたしを置いて……」 彰衛門「───!」 その瞬間、アタイは全てを悟り、小娘の口を塞いだ。 彰衛門「……悪かったの。その先は……言わんでええよ……」 この小娘の言う『おねえさま』は、もう死去しているのだろう。 だって……見ず知らずの俺の服を掴んでまで泣いたんだ。 よっぽど辛かったってことになる。 そして、恐らくそのおねえさまってのは…… 彰衛門「……のう、嗄葉や。     そのおねえさまに焼香をあげたいのじゃが……よいじゃろうか……」 嗄葉 「…………?」 嗄葉はアタイを不思議そうな顔で見上げた。 アタイはその頭をやさしく撫で、穏やかに微笑んだ。 彰衛門「……その人はさ、きっと俺の知人だから……」 嗄葉 「………」 嗄葉はどこか悲しそうな顔をしたのち、俺の服の袖を掴み、こくりと小さく頷いた。 そしてそのまま歩きだす。 彰衛門「………」 俺は覚悟を決めながら、案内されるままに社に入っていった。 ───……。 彰衛門「……夜華さん」 案内された場所には、夜華さんの遺影があるだけだった。 なんの飾りも無い、陳腐な遺影だけがそこにあった。 彰衛門「……そういや……」 一度だけ、夜華さんに聞いたことがあった。 自分は病に倒れたって……。 それを思い出せなかった分だけ、夜華さんに申し訳無い気がした。 嗄葉 「っ……おねえさま……」 彰衛門「………」 捧げる焼香もなく、ただ存在するだけの遺影。 せめて拝むだけでもしようと、俺は手を合わせて目を閉じた。 彰衛門「……………」 夜華さん、全部任せっきりになっちまってごめん。 でも……来世ではきっと、楽しく─── 彰衛門「………」 楽しくなる、と言おうと思い…… 『浅美』が若くして死んでしまったことを思い出した。 彰衛門「くそ……」 気の利いた祈りの言葉も見つからなかった。 ただ……申し訳無かった。 だからせめて、また未来に戻ったら…… 彰衛門「うん、さんざんっぱら、からかってやろう」 それでいい。 俺はきっと、態度を改める必要なんかないから。 もし夜華さんが俺を痛めつけることで、少しでも気分が晴れるなら……。 彰衛門「……ありがとう、夜華さん」 嗄葉を見れば、どれだけ夜華さんを慕ってたのかが解る。 よほどいい姉であったんだ。 そう思うことにして、俺は合掌を続けた。 ───……。 彰衛門「………」 嗄葉 「…………あきえもん」 いやん。 彰衛門「………」 嗄葉 「……あきえ、もん?」 いやん。 彰衛門「………」 嗄葉 「………」 困りましたよこれは。 どうしませう? ───現在、嗄葉はアタイの腕にしがみついております。 あれだけ怯えられたつていふのに、今では懐かれているといふ感じに。 どうしてこうなつたかといゝますと……されは30分前に遡りまする。 Next Menu back