歴の上で冬が訪れる。 闇は近く、光は遠く。 ふと気づけば厚手の服を着て、自分達はその世界に立っていた。 見上げる空に蒼はなく。 ただ日々、どこか白く濁った空だけが見えた。 時折に降る雪は冷たく。 いつか誰かが話してくれたような、『暖かい雪』が降ることはないのかなと思う。 それでも……いつか。 そんな暖かい雪が降った時、誰かは何かを願うのだろうか。 そんなことを思いながら……自分はまだ、この世界を歩いていた。 ───三刀合成作戦───
───……。 柾樹 「……来てみた途端にこれか……」 とんだ挨拶だと思った。 その気持ちに偽りはない。 フェイ「はは、すまないマサキ」 仕事のオフ日、俺はレイヴナスカンパニー日本支部を訪れた。 呼び鈴を鳴らし、メイって女に取次ぎを頼んで……で、何故か葉香さんに襲われた。 柾樹 「葉香さん……まさかホントにここで仕事してるとは……」 葉香 「おかしいか?よく見てみろ、わたしもまだまだイケるだろう」 使用人姿でキリッとした表情を見せる葉香さん。 似合っているんだが、似合ってないというか…… ああつまり、服は似合ってるが『この人に使用人は似合わない』。 柾樹 「そりゃね、それだけ若けりゃ」 呆れる。 ほんと世の中って油断ならないことばっかりだ。 まさか身近に居た筈の葉香さんが、普通の人じゃなかったとは。 最初、あまり驚いたために質問責めにした俺は宙を舞った。 ああ、葉香さんはてんで衰えてないなと思ったのはその時だった。 フェイ「それで、今日はどうしたんだ?     事前に言ってくれたら持て成しの用意くらいしたのに」 柾樹 「殴られて大空を飛んだんだ、これ以上のもてなしは贅沢だ」 というか本気で願い下げだ。 葉香 「言い掛かりだな。屋敷の中で『大空』があるわけないだろ」 柾樹 「……葉香さん、それ屁理屈」 葉香 「屁理屈ならお前の方が得意だっただろ。前の勢いはどうした?」 柾樹 「葉香さんに屁理屈贈った覚えなんてないんだけど……」 葉香 「当たり前だ」 どう当たり前なのか気になるところだ。 しっかし……この人、ほんと変わらないよなぁ。 凍弥から話を聞いた時はまさかと思ったけど、本気であの頃のままとは。 柾樹 「俺さ、葉香さんのことバケモノだバケモノだって思ってたけど……     本当にバケモノチックだったとは」 葉香 「……柾樹。喧嘩売ってるなら買うぞ」 柾樹 「フフフ……特別価格で売りたいところだが、残念ながら非売品なもので」 葉香 「そうか。ならわたしが売ってやる。買え」 柾樹 「いや、まだ死にたくないんで勘弁してください」 フェイ「よく解らないが、仲がいいんだな」 視界の隅でフェイが笑った。 と、その時。 ビーー!!ビーーーッ!!!! 声  『侵入者あり!侵入者あり!!葉香さま、至急司令室までお越しください!』 葉香 「なんだ、折角旧知のヤツに会えたっていうのに」 柾樹 「旧知言わんでください」 まるで老人みたいじゃないか。 葉香 「柾樹、さっさと済ませるからここに居ろ。凍弥のことで訊きたいことがある」 柾樹 「凍弥って……叔父さん?それともウチの?」 葉香 「お前の息子のことだ。まあ……わたしの愚弟のことでもあるだろうけど」 柾樹 「へ?なんですかそりゃ」 言うや否や、葉香さんは走り去ってしまった。 ……元気だ。 フェイ「マサキ、せっかくだし私の部屋で話そう。お茶くらいは出すよ」 柾樹 「あ、ああ。悪いな」 そうして、ふたりで歩いてゆく。 トンデモナイ広さのその屋敷に呆れながらも、 フェイに対する考えは変わったりはしない。 金持ちだからって偏見するのは俺のガラじゃないしな。 ……てゆうか司令室まである屋敷ってなんだよ。 ───……。 バコォオオオオン!!ボッコォオオオオオン!!! 声  『うおおおおおおおお!!!     どんどんきやがれイワンめ!!地獄への道連れだ!!』 バコオオオオオオン!!! 声  『うぎゃあああああっ!!!!』 ……さて。 柾樹 「賑やかでいいなぁここは」 フェイ「賑やかとは少し違う気もするが……」 フェイの部屋に来ると、 その直後に紅茶を持った使用人が俺とフェイの前にそれを置いていった。 今は紅茶を飲みながら談話してるわけだが、屋敷周りでは騒音が絶えない。 時折、窓から見える景色に人とかが飛ぶが……まあ。 人が飛ぶなんてよくあることだ。(常識麻痺) 弦月彰利っていったっけ? あいつは来る度に空飛んでるからなぁ。 フェイ「けど、驚いたよ。マサキにももうあんな大きな子供が居るなんて」 柾樹 「そうだな。よく先に結婚したお前の子供達と同い年に産まれたもんだ」 フェイ「ははは、私の妻は男が苦手でね。まあ、そういうことだ」 柾樹 「男嫌いって……あ〜ぁ、なるほど」 フェイ「そこのところはツッコまないでくれ。失恋は思い返すと辛いものだ」 柾樹 「そうだな」 互いに苦笑。 しっかし、かつての知り合いと、 時間が経っても変わらずに話し合えるってのはいいものだ。 もし叔父さんが居たら、俺もまだまだガキっぽかったのかもしれない。 なんだかんだで子供っぽい人だったから、それに付き合ってれば、いつまでも─── 柾樹 「………」 マテ。 今、恐ろしいものが見えなかったか? フェイ「マサキ?」 柾樹 「………」 目を凝らして見てみる。 すると……のたのたのたのたのた…… 柾樹 「ぬおお!?」 フェイ「うわっ!?ど、どうしたんだマサ───うわっ!?」 窓の外側に貼りついた存在───弦月彰利っていったか?───がのたのた動いてる。 下から上へ、のたのたと。 柾樹 「………」 フェイ「………」 そりゃあ、奇跡があって、人が空飛ぶ世界だ。 何が起こったってそうそう不思議じゃないのかもしれないが……あれはどうかと。 あはは、なんだか夢見てるみたいさトニー……とか思ってた時。 柾樹 「あ、叩き落とされた」 フェイ「葉香さんかな」 弦月が落ちていったのち、ドスンという音とともにギャアという叫びが聞こえた。 叫ぶくらいならやるべきじゃないと思う。 柾樹 「んじゃ、適当な話でも続けるか」 フェイ「そうだね」 ───…………。 それは戦慄というものだった。 時は30分前に遡り、俺はかつてない戦慄を感じている。 その原因が─── 葉香 「───凍弥か。それと……いつかの侵入者だな?」 姉さんが目の前に。 かつての、あの姿のままで。 凍弥 「おい弦月。俺はお前が一緒に来いとか言うから来たが……」 彰利 「さあ行け!ヤツを倒すんだッ!!」 凍弥 「無茶言うな!さっきも説明した通り、俺は霧波川凍弥じゃないっ!!」 彰利 「そげなことはどうでもよか!ようは囮になれと言っとるんだ!」 凍弥 「お前がなれよ!」 彰利 「な、なにぃ!?」 ───ふと気づいたら、俺は大きな木の幹で眠りこけていた。 傍には女ひとりと幽霊ひとり。 しばらくボ〜ッとしていると、この弦月彰利と名乗る男が来て、 『刀がレイヴナスカンパニーにあるという情報を得た!』とか言って無理矢理ここへ。 なにがなんだか解らん内に連れてこられて……現在に至る。 ようするに俺は閏璃凍弥だ。 そしてこの弦月彰利という男……学生時代に会った時から性格が変わってない。 しかも聞けば、つい最近百年近く旅をしてきたそうじゃないか。 合計で300年くらいは生きてるらしいが……性格がちっとも変わりやしない。 ある意味才能だと思った瞬間だった。 葉香 「……?お前、さっきから何言ってるんだ、霧波川じゃないとかどうとか」 凍弥 「ぬおっ!?」 姉さんが歩み寄ってくる! ぬおお……かつてない戦慄! これを如何に回避すれば─── 凍弥 「クロノスチェェーーーンジ!!!」 三十六計逃げるが勝ち! 俺は自分の頭を両手で掴み、一気に捻った!! それとともにメゴキィッ!という音が鳴り、俺は気絶…… 彰利 「面白そうなことしてんじゃん!ホレ!クロノスチェンジリバース!!」 メゴゴキィッ!! 凍弥 「ギャーーーッ!!!」 一瞬交代した意識が、あっと言う間に気絶した。 凍弥 「な、なんてことすんだよお前は!!」 彰利 「え?クロノスチェンジごっこじゃなかったの?」 凍弥 「自分の頭を使ってごっこ遊びするヤツが何処に居るんだよっ!!」 葉香 「柾樹なら前方回転ミサイルキックごっことかやってたが」 凍弥 「ごめん、教えたの俺」 アア、アタマイタイヤ…… 葉香 「教えたのがお前?おい凍弥。お前まさか───」 ギクリ。 葉香 「凍弥、なのか?前は凍弥であって凍弥じゃないとか言ってたが……」 凍弥 「は、はは……久しぶり、姉さん」 軽く手を挙げて言う。 葉香 「凍、弥……」 姉さんがよろよろと近寄ってくる。 ───もちろん、かねてからの恨みがある俺がその隙を見逃すわけがなかった。 凍弥 「人間ロケットォーーーッ!!」 ドボォッ!! 葉香 「ふぐっ!?」 俺の飛び込み頭突きが、姉さんの腹に埋まる! 俺はすかさず体勢を立て直して、円の動きで姉さんを翻弄!! 葉香 「お、お前な……!!人がせっかく感傷に浸ってるところに……!!」 凍弥 「ふはははは!!甘いな姉さん!!     戦いとは日々常に!そう言ったのは姉さんだ!!」 俺は爆ぜた! 円の動きを止め、姉さんの背中目掛けて跳躍!! そして懐に手を回し───!! 凍弥 「体感せよスリッパの戦慄!!ドナルドマジック!!」 携帯スリッパを手に、姉さんにダイレクトアタック!! ───……が、スリッパなどなかった。 凍弥 「な、なにぃ!?ぎゃあああああぁぁぁっ!!!!!!」 めごしゃあっ!! ……結局俺は、体勢を立て直した姉さんの振り向き様のチョップブローで大地に沈んだ。 当然気絶。
フェイ「今日はヤケに騒がしいな」 柾樹 「侵入者って言ってたし、葉香さんが早めに終わらせようと躍起になってるとか」 確かに外は騒がしい。 時折、凍弥の声みたいなものも聞こえてきたが、気の所為だろう。
彰利 「おお凍弥よ!死んでしまうとはなにごとじゃ!!」 凍弥 「う、ううう……いってぇ……!な、なにがどうなって……あ、彰衛門……?」 彰利 「今復活の呪文を唱えてやろう!クロノスチェーーンジ!!!」 メゴキャア!! 凍弥 「ギョアーーーッ!!」 ドウッ……。 問答無用で首を捻ってやると、とっても奇妙な声を出して閏璃とやらが沈んだ。 ギョアーなんて、なんという奇声をあげるんだこいつは。 ……決して、妙なところを捻ったからじゃないよね? ───…… 凍弥 「いで、いででで……!!くそ!なんだってんだ……」 首にとんでもない激痛を感じながら目を覚ますと、視線の先に姉さん。 あ、あら?俺確か気絶して……? 凍弥 「ま、まあ今はそんなことより姉さんだ!正々堂々と出し抜く!!」 もとより正攻法で勝てるなどと思ってないし。 俺は姉さんとの距離を縮め、その後ろを指差して叫んだ! 凍弥 「あ!アントニオ猪木!!」 葉香 「なにっ!?」 彰利 「えぇっ!?どこどこ!?」 凍弥 「ほぉうりゃぁっ!!」 ドパァンッ!! 葉香 「ごふっ!?」 あっさりと引っ掛かった姉さんの脇腹に、バネの利いたドロップキックが炸裂!! すぐさまに体勢を立て直して、今度は前方回転ミサイルキック!! メゴォッ!! 葉香 「ごぉっはぁっ!!」 これも見事にヒット! 凍弥 「か、勝てる……!!姉さんに勝てる!!」 その時勝利を確信した! 俺は更に前へ駆け、よろめく姉さんへと───ガッシ。 凍弥 「ぬおっ!?」 葉香 「いい加減にしろ……」 ……あっさりと頭を鷲掴みにされ、そのままの状態で持ち上げられた。 凍弥 「うぉおおお!!ちょっと姉さんストップ!     首もげるってこれ!!いででででで!!」 葉香 「いつからお前は女の腹に攻撃するような男になった……」 凍弥 「姉さん以外の誰にもするかっ!!姉さんにだけだ!見縊るな!」 葉香 「……い〜い返事だ。容赦の『よ』の字も消え失せた」 姉さんが指をゴキゴキンと鳴らす。 ヤバイ、シャレにならん。 ここはひとまず─── 凍弥 「クロノスチェーーンジ!!」 ゴキンッ!! 凍弥 「ぐはっ……」 姉さんに捕まれてる部分を軸に、首を捻った! そのお蔭で俺は、この絶対なる恐怖から逃れ 彰利 「おお凍弥よ!死んでしまうとはなにごとじゃ!今復活の呪文をかけてやろう!」 ぐあっ!? 彰利 「クロノスチェーーンジ!!」 凍弥 「バカやめっ───」 メゴキャアッ!! 凍弥 「ギャーーーーッ!!!!」 あまりの激痛に、意識が覚醒してしまった。 凍弥 「いでででで……!!あ、あの野郎……!!」 首を捻った途端に音速を超える早さで逃げた弦月。 何故か妙な踊りをしながらかめはめ波を撃っている。 葉香 「……覚悟はいいな、凍弥」 凍弥 「よくないぞ。よくないから離してくれ」 葉香 「だめだ」 凍弥 「うわ……今もっとも聞きたくなかった言葉だ……」 どこか諦めた思考の中、俺は眼前に迫る拳をどうしてくれようかと考えメゴシャア!! ───……。 彰利 「おお凍弥よ!死んでしまうとはなにごとじゃ!     今復活の呪文をかけてやろう!クロノスチェーーンジ!!」 ゴキィッ!! 凍弥 「いでぇーーーっ!!」 葉香 「起きたか。さあ続きだ」 凍弥 「な、なにぃ!?ぎゃあああああああ!!!!」 めごっ!ボゴッ!ぐちゃっ……─── 彰利 「おお凍弥よ!死んでしまうとはなにごとじゃ!     今復活の呪文をかけてやろう!クロノスチェーーンジ!!」 ゴキィッ!! 凍弥 「ギャーーーッ!!!」 葉香 「頑張るな」 凍弥 「うわっ!?ちょ、ちょっと待て本気で死んじま」 ごちゃっ!ぐちゃっ!どすがす……─── 彰利 「おお凍弥よ!死んでしまうとはなにごとじゃ!     今復活の呪文をかけてやろう!クロノスチェーーンジ!!」 ゴキィッ!! 凍弥 「ギャアアアアーーーッ!!!」 ……ガクリ。 彰利 「あれっ!?」 凍弥 「グビグビ……」 彰利 「ゲゲェーーーッ!!なんてことだーーっ!!あれだけやかましかった男がまるでロ     ビンスペシャル返しをやられたロビンのように泡を吹いているーーっ!!」 凍弥 「げっほ!い、いい加減にしろてめぇ!!」 彰利 「あ、生き返った。……いい男の顔になったな。     泣き止みそうな子供も泣き出しちまいそうだ……」 凍弥 「誰の所為だっ!」 彰利 「あいつの所為だァーーーッ!!」 弦月、ひとりの警備使用人を指差す! 女  「………」 凍弥 「……で、あいつがなんなんだ?」 彰利 「なにって……」 俺と女を見比べるようにする弦月。 彰利 「……犯人?」 なんのだよ……。 そう言おうと思った瞬間。 女  「バレちゃあしょうがないわね……」 突如、女が顔に手をかけて、その顔型のマスクを破り去ったのだ!! 凍弥&彰利『うそっ!?なにこの展開っ!!』 ふたりして驚愕。 女  「わたしは特殊潜伏系特別スパイ型(一分にも渡る名前なので以下略)よ!!」 ……ちなみに破り去った先の顔はてんで変わらなかった。 凍弥&彰利『意味ねぇ!!しかも名前長ったらしい!!』 俺と弦月、更に驚愕。 そしてあまりも名前が長いので、あいつの名前は『以下略』に決定。 以下略「この屋敷で極秘裏に作られたというレプリキュートヒューマンの調査をしに」 メゴシャア!! 以下略「あぁああああーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」 ドゴォッ!! 以下略「きゃんっ!」 ……以下略、姉さんに殴られて地面と平行に吹き飛び壁にぶつかって気絶。 凍弥&彰利『あらら……』 なにかが起こる予感がしてた俺と弦月は、それはもう落胆した。 まったくもうちょっとねばってみせろよ……。 葉香 「時々来るんだ、こういう頭の暖かいヤツが」 姉さんはそれを持ち上げて、塀の外へ投げ捨てた。 ひでぇ、ゴミ扱いだ。 彰利 (……おい、今の内だ。屋敷内に逃げるぞ……) 凍弥 (同感だ。こういった意味ではお前とは気が合いそうだ) 俺と弦月は姉さんが以下略に気を取られていた内に逃走! しかし見つかった。 凍弥&彰利『死んでくれ兄さん!!なにぃ!?』 俺と弦月は、姉さんに見つかったと同時に互いに足を引っ掛け合った!! バランスを崩す俺達だが、どうにか相手を囮にして自分だけ逃げようと必死である。 凍弥&彰利『ブルドッキングヘッドロ───なにぃ!?』 お互いに首根っこを引っ掴もうとする。 そして仲良く転倒。 凍弥&彰利『なにしやがる!お前俺を囮にしようと───真似すんな!!』 恐ろしいことに、やることも言動も一緒にだった。 勘弁してくれ、俺は人様の家に潜り込んで『絶景!!』とか言うような男じゃないぞ。 葉香 「逃がすと、思ってるか?」 凍弥 「凄絶に!だから見逃せ姉さん!!」 彰利 「超絶に!だから見逃せこの野郎!!」 さてまいった。 姉さんが腕を組んで溜め息を吐いた。 これは姉さんが苛立っている時のクセだ。 こうなってしまっては……意地でも逃げるしかない。 そう思った瞬間、弦月が姉さんの後ろを指差して叫んだ。 彰利 「アァーーーッ!!あんなところに『グレート司馬』が!!」 葉香 「………」 凍弥 「………」 彰利 「あれぇっ!?」 本気で引っ掛かると思っていたのか、弦月は大層驚いていた。 凍弥 「……姉さんな、ゲームなんてやらないんだよ」 彰利 「うそっ!?ファイヤープロレスリングやったことないの!?     ファイプロですよ!?ファイプロ!!」 凍弥 「だから……ゲームなんてやらないんだよ……。     グレート司馬なんて知ってるわけないだろが……」 彰利 「な、なんだと……!あの名作を……!     あ、じゃあ俺が『桃太郎』を聞かせてやろう!」 ズンズンと姉さんが歩み寄る。 相当に苛立ってる。 俺は逃げる体勢を取りながらも、いつでも攻撃出来る体勢でもある体勢を取る。 彰利 「む、昔々あるところにお爺さんとオヴァアアアさんが住んでいました!     しかし話の展開上なにを思ったのかいきなり、     オヴァヴァヴァアアアさんは川へ洗濯をしに、     お爺さんはリングへとグレート司馬狩りに」 ジョパァアアン!!!! 彰利 「ぶべぇーーーーっ!!!!!」 大急ぎで桃太郎(?)を話していた弦月の頬に姉さんの蹴りが炸裂する頃、 俺は屋敷内へと逃走していた。 後ろから『裏切り者ォオオ!!』とかゆう言葉と、のちに断末魔が聞こえてきたが…… 俺は一切振り返ることなく走ったのだった。 Next Menu back