───自己解釈無鉄砲馬鹿───
───…………。 彰利 「な、何故だ……!冷や汗が止まらねぇYO!!」 なに……?なんなの?この旋律する嫌な予感は……! そう……これは公園のベンチで寝てた時から感じていたものYO……! なんだっていうの……!? 遥一郎「あ、そうそう弦月」 彰利 「ヒギャアォウッ!?な、ななななんだーーっ!?やンのかコラァッ!!」 遥一郎「……いや、振り向き様に喧嘩売られてもな……」 結婚式が終わり、ブーケ大戦も終わった頃。 精霊野郎がアタイに語りかけてきた。 彰利 「野郎……なにが狙いだ!金か!?言っておくが現ナマはねぇぞ!?」 遥一郎「いきなり金の話に持っていくなよ……。     あのな、お前に会いに来たヤツらが居るんだ」 彰利 「へ?……(タレ)?」 遥一郎「お前も知ってるヤツだ。帰る前に鈴訊庵に寄ってくれ」 彰利 「……罠?」 遥一郎「いきなり疑うなよ……。どうして俺がお前を罠にハメなけりゃならん」 確かにそうかも。 彰利 「で?誰なん?」 遥一郎「会ってみれば解るよ。黙ってててくれって言われたから話せない」 彰利 「チッ……足下見やがって。ホレ、この冥月刀一本あげるから話しなさい」 ギキィイイイイン!!!! 彰利 「ウギャア耳痛ェエーーーーーッ!!!!!!」 冗談で冥月刀を捧げようとしたら、凄まじい耳鳴りがアタイを襲った。 冥月……恐ろしい娘……! 遥一郎「……へえ、刀の中に人の人格が入ってるのか」 彰利 「いでででで……鼓膜破れてないでしょうね」 遥一郎「妙な汁は出てるけど、血は出てないから大丈夫だろ」 彰利 「むう……そうかえ?」 遥一郎「それより弦月、俺としてはその耳汁自体が気になるんだが」 彰利 「ウォッカに匹敵するアルコール度数の謎の液体、彰利汁です。飲む?」 遥一郎「全力で遠慮する」 全力で遠慮されてしまった。 俺ってこんなんばっかですな。 遥一郎「その刀ってどうなってるんだ?考えてみればみるほど不思議だ」 彰利 「ウィ?何故かね?」 遥一郎「考えてもみてくれ。     天界のやつらが苦戦してたアンスウェルってやつの腕を切り落としたんだぞ?     天界人でもない俺がだ」 彰利 「そうなん?」 遥一郎「って、あー……そっか、弦月ってその時死んでたもんな」 彰利 「失礼な!スタンドを使って心臓を止めてただけだ!」 遥一郎「スタンドなんて使えないだろ……」 彰利 「グムッ……!正論ばっかり言いやがってこの政治家がぁっ……!」 遥一郎「政治家関係ないだろ」 関係ないな。 うむ、確かに関係無い。 彰利 「この刀はな、冥月刀という最強武器でござる」 遥一郎「冥月刀、ね。中に入ってる人格は?」 彰利 「冥月ってゆうおなごザマス。悠介のことが好きらしい」 キイイイイン!!! 彰利 「ウギャ痛ェーーーーッ!!!!!     な、なにするのアータ!実際そうだったじゃない!     ここで耳鳴りはおかしくありません!?」 キィン!キィイイン!! 彰利 「キンキンやかましいですよ!?     なにかね!言いたいことがあるなら言ってごらんなさい!」 ………… 彰利 「おや?治まりおった」 遥一郎「……あのさ、その刀が───     『現代で未来のわたしが悠介さまを守ったのは、      おふたりの友情に亀裂を入れないためでしょう』、って言ってたけど」 彰利 「ウィ!?……腹話術!?」 遥一郎「関係ないっ!!……俺はこれでも精霊だ、真摯(しんし)な心の声くらい聞こえる」 彰利 「なんと……では通訳を頼んます!」 遥一郎「なんのだよ……」 彰利 「えーとだね……『アタイと悠介の友情はあれしきで崩れたりはしない』と」 遥一郎「声に出すだけで十分だって。俺達の言葉はそのまま刀に聞こえてる。     ただ、刀の言葉が俺達に届かないだけだから」 彰利 「あ、あら?そうなん?」 むう……とんだ恥じだぜ。 まあようするに、 今のとこルナっちと精霊野郎しかこの刀の声を聞くことが出来ない、と。 でもアタイたちが普通に話す言葉は冥月には届く。 つまりはそういうこっちゃね? 彰利 「で、ホレ冥月。なにか言うことはないかね?」 冥月刀『………』 遥一郎「拗ねてるぞ?」 彰利 「なんで!?」 遥一郎「好きでもない人を勝手に好きってことにされたからじゃないか?」 彰利 「いや……それはないと思うんじゃがねぇ」 現に、あの時代では相当お熱なように見えたし。 ……気の所為?いや馬鹿な。 彰利 「するってーとアレですか?     あの冥月は悠介にお熱だったけど、貴様はそうではないと?」 キィンッ! 彰利 「なんぞね!キィンじゃ解らんよ!」 遥一郎「どちらにしても『好き』ではありませんでした、だそうだ」 彰利 「うそくせ〜〜。なぁーんかウソくせぇ〜〜〜〜」 ギキィイイイイイイイイン!!!! ボチュンッ!! 彰利 「オギャワァアアアアーーーーッ!!!!鼓膜がァーーーーッ!!!」 あまりに強烈な耳鳴りのためか、鼓膜が自殺を選びました! 大激痛!これは痛い! ええい治れ治れ!! 彰利 「グ、グウウ……!まさかアタイの鼓膜を破壊するとは……!     やりおるではないか貴様……!!」 冥月刀『………』(キィン) 彰利 「なんじゃね!キィンでは解らんと言っておるでしょう!」 遥一郎「……埒が開かないな。出来るかどうかは解らないけど、俺が同調してみるよ」 彰利 「同調?なんじゃいそりゃあ」 遥一郎「いーからその刀貸してくれ。だめだったらダメな方がいいだろ。     俺はやれることはなんでもやっておかないと気が済まないんだ」 彰利 「フッ……まあせいぜいいいだろう」 遥一郎「……どうしてそこまで偉そうにされなきゃいけないんだ?」 彰利 「知らんよ?」 まあそれはそれとして、アタイは精霊野郎に刀を渡した。 精霊野郎は冥月刀を受け取ると、スッと目を閉じる。 彰利 「もう一本使うかね?」 遥一郎「一本でいい」 彰利 「そうかえ?残念じゃったのぅ冥月や。貴様、捨てられたぜ?」 ギキィイイイイイイン!!!!! ボチュンッ!! 彰利 「ウギャアアアーーーーッ!!!」 せっかく直した鼓膜がまた自殺! 痛い!こりゃ痛い!! 遥一郎「……少しは静かにしてられないのかよお前……気が散るだろ」 で、耳を治した刹那に言われたのが今の言葉。 無慈悲だ。 遥一郎「───……あー、ダメだ。この刀、聖と魔が混ざってる所為で同調出来ない」 彰利 「弱音吐いてんじゃねーっ!それでも精霊か貴様この野郎!」 遥一郎「仕方ないだろ、精霊だって万能じゃない。     それに俺は人間が精霊化したものだ。普通の精霊より力は弱いんだよ」 彰利 「そこをなんとかするのが男塾魂ってもんだろ!?」 遥一郎「知らん」 一蹴されてしまった。 遥一郎「とにかく、あとで鈴訊庵に来ること。いいな?」 精霊野郎は誤魔化すようにそう言って、冥月刀を返してきた。 そんでもってさっさと消えちまったい。 ……なんだったんデショ、あいつ。 彰利 「……で、結局キミはなにが言いたいのかね」 冥月刀『………』 やっぱなにも聞こえやしませんでした。 まあ、ここでこうしてても始まらんし。 アタイは冥月刀を二本輝かせ、省エネモードで鈴訊庵に転移したのでした。 キィンッ!! 彰利 「ぷふぅ〜〜〜」 ポルポの真似をしつつ着地。 目の前には鈴訊庵。 うむ、転移は順調だぜ? 彰利 「……わけ解らん」 でもまぁ、二本ともから月操力を引き出せば、一本に負担をかけすぎなくてもいいかも。 ……この刀に本当に『負担』なんて言葉があればどうかだけど。 さて気を取り直して、アタイは鈴訊庵の玄関前に立った。 そしてそこを叩く! 彰利 「ド〜ロ〜ロ〜く〜ん!あ〜そぼ!」 ……何気に軍曹さんの真似をして。 しかし返事がなかった。 彰利 「……ウィ?」 なんじゃいあの精霊野郎。 人に『寄れ』とか言ってたくせに。 彰利 「おー!?なんじゃこらー!居留守かーっ!?」 がっしゃがっしゃ!ごっしゃ! ガラス張りのような出入り口だから、まるでガラスが割れたような音が出る。 うーむ、近所に聞こえたら誤解されそうじゃわい。 彰利 「……ま、いいコテ。開けてみるザンス」 ───ガラッ。 彰利 「おやっ!?」 てっきり閉まってるかと思ってた玄関はあっさり開いた。 無用心じゃのぅォ〜〜ッ!! ガラガラガラ……ぴしゃん。 玄関から内部へ侵入!ソレを後ろ手に閉め、ミッション開始だ! サー!イェッサーッ!! でんででげで・でんででんで・でんででげででってーん♪ でんででげで・でんででんで・でんででげででーん♪ 月奏力でウォートラン・トルーパーズの音楽を奏でながら、慎重に歩を進める! って意味ねぇ! こんな音楽出してたら見つけてくださいって言ってるようなもんじゃねぇですか!! 彰利 「月奏力、停止……」 音楽をピタッと止める。 FUUUM……どうやら気づかれちゃあいねぇようだぜ? だって物音ひとつしねぇもの。 てゆうか、純粋に鍵閉め忘れの留守なのでは? みんなしてアタイを置いてけぼりにして、どっかでお祝いパーチーやってるとか。 彰利 「……うわ、想像したらすっげぇ切なくなってきた」 ないよね?いくらなんでも。 そりゃないよねぇ? …………ない、よね? 彰利 「……日頃の行いがモノを言うこの現在……     アタイは自分自身が呼ばれない理由に心当たりがありまくるのでした……」 そう……きっとみんな、照れくさくて誘えなかったのよ。 だってアタイ、なんだかんだで善行ばっかりしてるし! ……してるよね? 彰利 「なんか……考えれば考えるほど、     呼ばれない心当たりが出てくるのはなんででしょう……」 ああ、解らんね。 いやそもそも、純粋にパーチーやってるかどうかも解らんのに。 早合点はいかんよな、早合点は。 彰利 「よし、まずはこの家の探索サ!銃───は、無いな。     無ければ月然力の水鉄砲ぞ!」 高圧縮して放てば、広辞苑くらい突き抜ける威力ぞ!? まあ、最小出力でいきますが。 では、ミッションスタート!!   {地獄の始業ベル!!そこに居る影の巻} 彰利 「遅れるなっ!テリー教官に続けっ!」 指で鉄砲の形を作りつつダッシュ! しかし足を引っ掛け、盛大にズッコケた。 彰利 「ギョワァアーーーッ!!!!」 ドグシャガシャアアアアン!! 彰利 「いで、いでで……」 グ、グウ……ムウウ……! このアタイとしたことが……って 彰利 「なにヤツ!?」 人影が動くのを見たわ! 居る……この家、誰か居るぜ!? 彰利 「我が名は弦月彰利!この家に誰かが潜伏しているのは解っておる!出て来い!」 …………しーーーーん。 彰利 「ほっほっほ、出てこないと申すか!ならばこの家ごと吹き飛ばすまでよ!」 ───む!息を飲む声が聞こえたわ! それに次いで、ドタバタと駆ける音までもが! おなご「待って!」 彰利 「待たぬ!」 即答で答えてみた。 おなご「そんな───え?」 彰利 「む?……むむっ!?」 驚愕したおなご。 しかし、その顔には見覚えがあった! 彰利 「ミントではないですか!何故に地界に!?」 ミント「おとうさん……え?でも、さっき名前が……」 彰利 「む?おーおー、そういや天界では偽名使っとったんじゃったわ。     よいかねミントさんや。     じいやの地界での名前はの、『弦月彰利』というんじゃよ」 ミント「ゆみはり……」 彰利 「んむ」 ミント「……でも……名前は違っても、おとうさんはおとうさん、だよね……?」 彰利 「そうじゃよ?なにを当然のことを」 ミント「〜〜っ……!おとうさぁん!!」 ガバァッ!! 彰利 「おわっ!?っとと、なにをなさる!」 なんと!ミントがアタイの胴に抱きついてきた! なんとまあ……!まさかミントに相撲の趣味があるとは……! ここは遊びではなく真剣に組み合ってやらねば、武士として失礼ぞ!? 彰利 「いぞり投げどすこーーーい!!!」 ミント「ひゃっ!?」 アタイはミントをいぞり投げで投げた! ……真剣にやるつもりが、いきなりウルフマンの真似をしてしまった。 どごしゃーーーーん!!!がらがらがら…… しかもミントさん、受身も取れずに客席に突っ込んだ。 彰利 「アイヤーッ!?」 しもうたわ!投げる方向がマズかった! 彰利 「大丈夫かね!?ミントさんや!?」 ミント「う、うぅ……」 彰利 「おお、無事じゃったか……よかったよかった」 ミント「おとうさんが……おとうさんが……」 彰利 「ゲゲッ!?」 ミント「おとうさんが……わたしのこと投げ捨てた……!!」 彰利 「ゲェーーーッ!!!」 なんてこと! 見れば、ミントさんが頭を押さえながら、うるるぅと涙を溜めているではないですか! き、危険だ……危険すぎる! 来るぞ……あれが来てしまう! ミント「う、うぐぐ……うぅう……っ……」 彰利 「ま、待て!落ち着くんだ!ここで泣いたらお前……ウソだぞ!?」 なにがウソなんだかまるで解らかったが、一応言ってみました。 でも爆発を抑えることは出来そうにありませんでした。 ミント「うわぁあああああああああん!!!!!」 彰利 「キャアアアアーーーーーッ!!!!!!」 耳にも心にもズシリと来るアレがやっぱり来てしまいました!! グムムーー!!こんな本気泣きを聞いたのは、 ミントさんとリーフに親代わりになってやるって言った時以来だぜーーーっ!! ミント「おとうさんがっ……おとうさんがぁあああああああっ!!!!!」 彰利 「ウギャア耳痛ぇええーーーーっ!!!!!     も、もしやこれは冥月刀の耳鳴りに匹敵する大音量かもしれーーーん!!!」 ギキイイイイイイン!!!! 彰利 「ギョエェェェェーーーーーッ!!!対抗すんな馬鹿ァアーーーーッ!!!!」 嗚呼どうしましょう!アタイって泣きおなごって苦手です! いや、得意なヤツなど存在するのか!? 否!断じて否!!どうする彰利ヤバイぞ彰利!! え!?いやいや違うって! 俺の人間性がヤバイんじゃなくってさ!今の状況がヤバイんだって!! ああもう何考えてんだ俺!! 遥一郎「……なにやっとんのだお前は」 彰利 「死ねぇええーーーっ!!!」 遥一郎「なっ───」 ぼごしゃあああああああああああん!!!!! ───…………。 彰利 「グビグビ……」 遥一郎「……あのさ、どうしていきなり俺が殴られなきゃならなかったんだ?」 アタイのスーパー彰利パンチが決まったまではよかった。 だが、そのあとがいけねぇ。 精霊パンチを散々放たれたアタイは、早くもノックダウンしてしもうた。 一対一ならまず負けねぇんじゃねぇの?コイツ。 彰利 「ひ、卑怯だぞてめぇ……何故、何故に精神干渉攻撃なんぞを……!」 遥一郎「お前が殴ってきたからだろ。俺はな、俺の敵になるヤツには容赦しないんだ」 彰利 「……あーあーあ、なぁんか誰かとダブると思ったら。     あんさん、性格面が悠介に似とんのね」 遥一郎「悠介って……さっき教会に来てたヤツか?」 彰利 「そ。『よく』は似てないけど、少々程度なら似てる」 遥一郎「……そっか。まあ、誰に似てようが俺は俺だけどな」 彰利 「まあそりゃそうだ。ただ似てるかもーって言っただけだし。     悠介が誰に似てようが悠介だってのと同じだ。     お前さん、友好的なヤツとか家族にはやさしいけど、     敵に回ると容赦なく嫌うタイプだろ」 遥一郎「当たり前だ。そういうのがハッキリしないのが嫌いなんだよ」 彰利 「そかそか。ところで───」 遥一郎「───ああ」 どうしましょうか、ミントさん。 さっきから泣きっぱなし。 しかも放っておいたのが利いたのか、隅の方でイジケ泣きしとるし。 彰利 「あー、ところで。俺への用ってこれだったわけだよな?」 遥一郎「『コレ』扱いは頂けないけど、まあそういうこと」 彰利 「……リーフさんは?」 遥一郎「リーフ?……ああ、あっちの娘か。俺も解らないな」 彰利 「むう……ならばさ、貴様は子供の扱いとかは?」 遥一郎「得意なわけないだろ……。お前は?」 彰利 「絶望的ザマス」 遥一郎「………」 彰利 「………」 はぁ。 でる溜め息は同時でした。 どうしたもんでしょう。 彰利 「ミントさんや?さっきのはじいやが悪かった。     再会の喜びのあまりにいぞり投げをしてしもうたんじゃ……許しておくれ」 ミント「………」(ぷいっ) 彰利 「ム」 そっぽを向かれてしもうたわ。 こうなった子供はちょいと……厄介だぜ? 彰利 「どうしたら許してくれるんかいのぅ」 ミント「………」(ぷいっ) 彰利 「ヌグ……」 またそっぽ向かれた。 グウウ〜〜〜、どうしたものか〜〜〜っ!! 彰利 「……よし!なにひとつ解らない!」 だから諦めましょう! そもそもアタイ、ここ最近は他のやつらのアレコレに巻き込まれて疲れておるんよ! たまにはゆっくり休みたいじゃない!そんな日があってもいいじゃない! というわけで帰還!そしてホームレスの皆様と、ささやかだけど楽しい食卓を囲むんだ! そう、山岡さんの如く! 彰利 「解ったよ、ミントさんや。     じいやは許してもらえぬらしいから、退散することにしたよ」 ミント「………」(ぷいっ) 彰利 「では、さらばじゃーーーっ!!!」 月空力発動! さあ行きますよ冥月刀×2!! ギキィンッ!! 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