───深淵の求罪者───
───さて。 リヴァ「悪いが言えない」 即答でした。 リヴァ「すまない、言おうとすると首の骨を折るって言われてるんだ」 悠介 「あー……あの骨に?」 リヴァ「ああ……そら、そこで監視してる」 悠介 「っ!?」 ゴゴゴゴゴゴゴゴ…………!! 悠介 「うぉっ……!!」 ゴゴゴゴゴゴ……!! 南無 『………』 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!! ドアの影に隠れながら、ねちっこくこちらを睨んでいる骨を発見。 それもジョジョ第五部のローリング・ストーン(ズ)のように。 悠介 「ブラスト」 ドチュンッ! 南無 『ほねっ!?ほねぇえええーーーーーーっ!!!!』 ドゴォオオオオオオオオオオオン!!!!! リヴァ「あー……」 悠介 「よし、これで静かになった」 椛  「別に騒いでたわけじゃないんですけどね……」 悠介 「存在だけでうるさい」 リヴァ「お前なぁ……まったく、あいつはお前の」 シュババッ!バゴキュッ!!! リヴァ「へぎゅっ!?」 南無 『狼髏館回頭閃骨殺(ろうろうかんかいとうせんこつさつ)!!』 悠介 「おわっ!?」 椛  「ひえっ!?」 やりやがった!! 一瞬にして身体を再生させて、一瞬にしてリヴァイアの首の骨を───!!   ◆狼髏館 回頭閃骨殺   狼髏館に伝わる技。奥義には至らないものだが、その殺傷能力は本物。   素早く跳躍し、相手の頭上へと飛び、頭を掴んで回すことで首の骨を捻り折る技。   *神冥書房刊『狼髏館伝承・狼の巻』 悠介 「も、椛!」 椛  「はいっ!」 慌てて月生力を流し込む椛を横目に、俺は骨のマントを引っ掴んで引き寄せた。 南無 『ほねっ!?』 悠介 「てめぇっ!いい加減にしろ!お前がなに隠してるのか知らないけどな!     物事への関わり合いを拒否してるくせに、お前が突っかかってきてるんだろ!?     それで首を折る!?どういう了見なんだよ!!」 南無 『俺は自由に振舞ってるだけほね。そこに【了見】なんてものは存在しねぇほねよ』 悠介 「っ……!見損なった!!てめぇはクズだ!!てめぇは───……あ……?」 見損なう……って……? 俺は─── 南無 『……それで、いいと思うほね。貴様は俺のことなど気にもすることもない。     いや、なにも気にするな。他の者も気にするな。     孤独こそ【先】を創造する力ほね。お前はそれを知るべきほね』 悠介 「…………訳が解らない。何者なんだよお前……。     お前を見てるとどうしてこんなに悔しいんだよ……」 南無 『簡単ほね。それはな、俺が未来を諦めた存在だからほね』 悠介 「未来を……?」 南無 『いいか。貴様が誰かを守ろうとすればするほど、お前の死ぬ可能性は増える。     死を望むなら虫唾が走る仲良しごっこでもしてればいいほね。     けどな、俺は貴様には死んでほしくないほね。     ───貴様は生きろ。弦月彰利のことなど捨ててでも。     あいつはもう何度も死んでるんだ。     いまさら死んだところでどうなるわけでもないだろう?ほね』 悠介 「っ……おい!俺の親友を物みたいに言うんじゃ───」 ガッ!! 悠介 「なっ!?」 襟首を掴んでやろうと思ったが───逆に捕まれ、物凄い殺気を向けられた。 南無 『───いつまでも青臭いこと言ってんじゃねぇ!!     他人気遣って死んでどうするんだ!?そんなヤツは馬鹿なんだよ!!     生き残るならてめぇが生き残れ!!』 悠介 「な……んだとてめぇ!!親友を気遣わねぇ馬鹿が何処に居るんだよ!!     あいつは今まで俺のためにいろいろなことをしてくれた!     そいつを馬鹿だとか死んでもいいみたいに言うんじゃねぇ!!」 南無 『馬鹿だから馬鹿だって言ったんだよ!!     てめぇは自分のために行動しろ!あんなヤツのためにだなんて考えるな!!     てめぇこのままじゃ無駄死にすることになるんだぞ!!』 悠介 「だとしても構うか!それがあいつのためになるんなら───!!」 南無 『───!』 ビジュンッ─── 悠介 「っ!?」 バガァンッ!! 振るわれた鎌が工房の壁を破壊した。 南無 『……───死んでも構わない……?     ああそうかよ。だったらせめて……俺が殺してやる』 悠介 「な……」 椛  「───!?」 鎌が黒く蠢く。 死を連想させる闇だ……。 南無 『“冥府誘う深淵の災い(ハデスディザスター)”……』 ビジュンッ───バガァアアアアアアアアンッ!!! 悠介 「くあぁああっ!!?」 椛  「きゃあっ!!」 たった一振りで部屋を破壊する鎌。 あまりの絶対的破壊力……信じられない力だ。 悠介 「バケモノかこいつ!こんなに強いなんて!」 南無 『……バケモノ?く……ふはははは……バケモノ、バケモノか!!     あはははははははは!!!いいぞ、もっと言え!!     お前からそんな言葉が聞けるなんてなぁ!!はっはっはっはっは!!     愉快だよシェイド!こんな最高の罰はない!     そして───そんな臭い友情を俺が砕く……!最ッ高だぁっ……!!』 悠介 「……?お前……」 南無 『───死ね』 ビジュンッ───! 悠介 「くあっ!」 バガァアアアアアアンッ!!!!! 床が砕かれる。 なんとか避けられたが─── 南無 『……どうした?殺されるだけか?抗えよ、じゃなきゃ死ぬぜ?』 悠介 「ちっ……上等だよ、骨野郎……!」 唾を吐き捨てる。 ああほんと反吐が出る。 消してやる、こんなヤツ───!! 悠介 「───“創造の理力(フォースオブクリエイション)”」 南無 『───“冥府誘う深淵の災い(ハデスディザスター)”』 むかつく……! 彰利を使い捨てみたいに言いやがって!! 染まれ……!!染まれ染まれ染まれ染まれ!! 赤く紅く朱く緋く!! 南無 『黄昏か。嬉しいよ、本気で戦ってくれるのか』 悠介 「消してやるよ、バケモノ……!!」 創造しろ、あいつを破壊する光を……!! リヴァ「……っ……あ……やめ、させろ……!」 椛  「え……?でも……」 リヴァ「ばかっ……!あいつらを戦わせるな……!!あいつは……あの骨死神は……!!」 椛  「……?───えぇっ!?そんな───」 光を創造する。 さあ……覚悟しやがれ……!! 椛  「だめぇっ!!おじいさま!!その人は!その人は───」 悠介 「弾けろ───“五肢輝く光の戦槍(ブリューナク)”!!」 南無 『……───』 虚空より放たれる光。 触れれば全てを破壊するであろう五つに分かれる眩い光。 椛  「だめぇっ!!避けてぇえっ!!」 悠介 「椛……!?」 なんだ───? 椛はリヴァイアになにかを聞いたのか……!? だが、光は止まらない。 骨をケシズミにしようと、消えることなく───! なにを話されたかは知らないが、止めなきゃマズイことなのか……? だが……もう遅い!いまさら消すことなんざ出来やしない!! 南無 『……絶望を与えてくれ、光よ……。     こいつに殺される気分はどんなものだろうかな……』 骨は光を迎えるように手を広げた。 甘んじて受け入れようと。 椛  「逸らして!アンリミテッドストリーム!!」 椛が月醒力を発動させる。 ためらうことなく放たれた光はブリューナクへと向かっている。 が───! 南無 『ハデスディザスター。邪魔な光を食ってしまえ』 椛  「え───!?どうして!!」 バジュンッ!! 椛  「あぁっ……!!」 なんてヤツだ───椛のアンリミテッドストリームを消しやがった……! なに考えてんだよ!人の厚意を! 南無 『親切を押し売りして満足か?     俺はいまさら人の暖かみなんて必要としちゃいないんだよ……。     闇があればいい……絶望があればいい……。     言っただろう、俺は孤独を望んでるんだ。そして───』 今から避けても間に合わない! どうすることも出来ない───! 南無 『この光がその絶望を広げてくれる』 バジュンッ!!ガオンッ!! 骨が甘んじてその光に体を差し出す。 南無 『消せ……この醜い姿を。壊すがいい……絶えることのないこの体を!!』 バガッ!ゴガァッ!!───ジュガァアアアアアアアンッ!!! 削がれ、破壊され、抗えば光を消せただろうに─── 椛  「はっ……う……!!いやぁああああああああっ!!!!」 骨は……光の中で消えていった。 悠介 「づっ───!?」 突然の頭痛。 その景色を見ていた俺は突然意識が遠退くのを感じ、そのまま意識を失った。 ───……声が……聞こえた。 ルヒド「不死身の骨死神か……見るのは久しぶりだね。     しかもキミは彼なのかい?……そっか、そういうことか」 南無 『そうほね。体を壊されようが何度でも復活できる超肉体。それが究極の死神。     しっかしいやいや、貴様に記憶操作能力があってよかったほね。     俺に関すること、リヴァイアの記憶からも椛の記憶からも消したんだよなほね?』 ルヒド「うん、僕だって知らなくていいことと悪いことの差ぐらい知ってる。     彼女たちの記憶は消しておいた方がいい」 記憶……消した……?なんのことだ……。 っ……頭が軋む……。 痛ぇ……。 南無 『───俺達の想いは、今日まで……多くの友人に支えられ。     過去、現在、そしてさまざまな未来の先で、     友人達それぞれの想いを込めて……実を結んでゆく』 ルヒド「………」 南無 『俺達の蒔いた種はやがて木となり林となり、多くの人々を潤す森となる。     自然を育み慈しむ心さえあれば、自然は数多くのことを教えてくれるだろう。     シェイド……今一度思い出して欲しい。     先の未来───馬鹿者同然だった俺を罵り、ただひとり憐れんでくれたキミを。     あの時のキミが居たからこそ……今、こんなにも俺が充実していることを。     全ての物事は……矛盾から始まるということを……』 ルヒド「……キミのそれは、充実と言えるものなのかい?」 南無 『もちろんだほね。無限復活者、結構じゃないかほね。     命などとうに捨てた。人であることも捨てた。     弦月彰利の愚行のために死んだあの日など過去と唱える。     俺にはもう、無くすものも手に入れられるものもないほね。     けど───もし許されるのなら、絶望の無い未来を見たいほね。     それが見れるのなら……俺はきっと満足出来るほね』 ルヒド「見れたとしたらどうする気だい?」 南無 『……消えるほねさ。俺にはもったいないくらいの未来だほね。     そんな世界を見れたなら……この時代に未練なんて無くなるほね』 ルヒド「……そうか」 なんの話をしているのかも解らない。 ただ……あの骨がどんな心の重さの上でこの時代を生きているのか。 それが少しだけ解った気がした。 南無 『あいつらの記憶、消してくれてありがとうほねな?     ……そろそろ行くほね。俺の正体なんて、誰も知らない方がいいほね』 ルヒド「僕もそう思うよ。     キミの言ったことが確かなら、キミの言う未来は弦月彰利の所為で壊れたものだ。     だというのなら、確かに悠介は自分のために生きるべきだ」 ……なんのことだ。 頭がガンガンして聞き取れねぇ……。 ルヒド「でも……案外本気だったろう?悠介と対立した時」 南無 『レオなんてゆう死神に殺されるくらいなら俺が消すほね。     あいつには恩があるほね。だからせめてそうすることが、     恩を仇で返すということになってくれるほね……』 ルヒド「それ、合ってるけど間違ってると思うよ?恩返しがしたいんじゃないの?」 南無 『…………そうほねよ?何が間違っていると言うほね?』 ルヒド「……あのね、恩返しと恩を仇で返すってゆうのはね……」 頭がグワングワンしてる……気持ち悪ぃ……。 ……だめだ……意識が遠のく……。 ───……。 悠介 「………」 ふと目を覚ますと、そこはさっきまでの部屋。 起き上がってみれば、特に変わった様子もなくその場に居るリヴァイアと椛。 そういえば凍弥は何処に行ったのかな、とか考えながら───俺は椛に話し掛けた。 悠介 「椛……さっきリヴァイアから何を聞いたんだ?」 椛  「はい?なにって……なにがですか?」 悠介 「へ?あ、いや……お前さっき叫ぶ前、リヴァイアになにか聞かされてたろ?     骨のことだったんじゃないのか?」 椛  「…………?あの、言っていることの意味が解りませんが……」 悠介 「……おいおいおいおい、隠し事か?     知ってることをなんでも話せとは言わないけどな、     誰かが知りたがってることくらい素直に教えてくれてもだなぁ」 椛  「……すいません。あの、本当に解らなくて」 悠介 「………」 ウソ……ついてる顔じゃないよなぁ。 目も逸らさないし、本当に解らない所為で戸惑ってる感じだ。 悠介 「……そか、悪い。時間取らせたな」 椛  「あ、いえ……」 俺は椛から離れ、式を操作して彰利の様子を調べているリヴァイアに近寄った。 悠介 「なぁ、結局あの骨の正体ってなんだったんだ?」 リヴァ「骨?なんのことだ」 悠介 「───お前もかよ……」 一言で理解した。 こいつら記憶飛んでる。 シェイドか……?ったく……。 悠介 「悪い、邪魔した。なんでもないから続けてくれ」 リヴァ「……?おかしなヤツだな」 再び式を描いてゆくリヴァイアを横目に、俺はリヴァイアの部屋を出ることにした。 あの骨野郎……今度見つけたら絶対に引っ捕まえて、正体暴いてやる……! コトコトコトコト…… 悠介 「………」 開いた口が塞がらないって事態、ほんとにあるんだなぁ……。 南無 『ほねほねほねほねほね!!お湯を煮詰めてスープ入れ〜♪……続き忘れたほね』 鈴訊庵の厨房で骨がインスタントラーメン作っとる……。 南無 『う〜む、出ュ浮め……難しい歌を考えおってからにほね……』 大き目の鍋に水を張った骨はそれが沸いてから麺を投下。 それとは別に沸かしているお湯が気になったが、骨は器用に麺をほぐしてゆく。 南無 『今ほね!』 それを(ざる)に取ってから水で洗い、乾物特有のぬめりを取ってゆく。 南無 『ぬめり……完全に払拭!』 ぬめりを排除した骨は沸かしておいたたっぷりのお湯に麺を投げ入れ、 麺に熱が通るまで泳がせた。 南無 『知る人ぞ知る……!この手間こそ通ぞ……』 それを軽くグルグルと回し、今度はどんぶりのスープの中に麺を入れた。 南無 『完成ほねーーーーっ!!!』 ジャジャーーーン!! どっからか音楽が鳴った。 いや……なんつーか…… 骨が料理してる状況を黙って見つめる俺って……結構そっち側の人間なのか? 南無 『発売日から生産中止日が訪れるまでかっぱらい続け、     固有時空で時間凍結しておいた幻のラーメン……!     知る人ぞ知るインスタントラーメン醤油味系の王様【東京ラーメンこれだね】!     ほねほねほねほねほね!!やっぱ醤油ラーメンっていったらこれだねほね!!     なんで生産中止扱いにしたんだか今でも謎ほねよ!     これだね以上に美味いインスタント醤油ラーメンがあるかねほね!?』 よく解らん薀蓄(うんちく)(?)を言いながら、客席へとラーメンを運ぼうとしている骨。 俺はそんな骨に掴みかかった!! 悠介 「おいっ!」 南無 『ほねっ!?ほっ───ほねぇっ!!?』 悠介 「へ?あ───」 ズルッ……ゴワシャッ。 南無 『ほ…………ね…………?』 掴みかかった瞬間、骨の手からラーメンどんぶりが滑り落ちた。 骨はああ見えてスベスベなものだ。 きっと持っているだけでも大変だったんだろう……。 南無 『ほね……ほねえぇええええ……!!』 砕けたどんぶりと、床にだらしなく散らばり伸びるラーメンを見て、 その場で膝を折った骨が、ゆっくりと首を左右に振る。 今の事態が信じられないといった様子だ。 悠介 「あー……すまん。まさか落ちるとは……」 南無 『……あんま調子に乗ってんじゃねぇぞ……ガキども』 悠介 「え?」 ゆらり……。 骨が滑らかに立ち上がった。 ……というか『ガキども』ってなんだ? 南無 『おめぇは今、触れちゃなんねぇことに触れた……。     覚悟は出来てんのかぁあああっ!!』 悠介 「うおっ!?」 骨の眼球の無い目がギシャアと光る! 顔自体に迫力がないのに殺気や気迫ばかりが 悠介 「お、落ち着け!落ち着けって!な!?弁償するから!」 南無 『この東京ラーメンこれだねは既に製造中止されている……。     東京ラーメンこれだねを侮辱した償い……     存分に───味わえぇえええええぃっ!!』 ドシュゥウウン───ズシャアッ!! その場でジャンプし、俺の少し前あたりに着地する骨。 ……歩けば3歩程度の距離だったんだが……ジャンプする意味あったのか? ───い、いやっ!何かがヤバイ!! すげぇ殺気だ……逃げなきゃ殺される!! ルヒド「僕からのワンポイントアドバイス♪」 悠介 「うおわっ!?い、いきなり出てくんなよ!!」 ルヒド「骨死神ってね、モノが食べられない分、何かを作って食べた気になるんだよ。     ほら、お供え物とかあるだろう?     それと似たようなもので、そうしないと満足出来ないんだ」 悠介 「……するってぇと……」 ルヒド「うん。今のキミの行為は墓に置いたばかりのお供え物をぶちまけたのと同じ状況」 悠介 「───……」 頭の中の血がサ〜〜っと引いてゆくのを感じた気がした。 ルヒド「骨死神はこういうこと邪魔されるとキレるから。     ……あ、言い忘れてた。その骨死神、鎌の力だけなら僕より上だから。     身体がモロイ分、他の全てが攻撃に回ってるみたいなんだ。     だから……うん。命があったらまた会おうね〜」 シェイドが虚空の穴へと消えて─── 悠介 「させるかぁああああああああっ!!!!」 がばしっ!! ルヒド   「うわっ!?い、いきなりなにをするんだいっ!?」 悠介    「飄々とお前だけ逃げようったってそうは行くかっ!!俺も連れてけ!!」 ルヒド   「僕関係ないし。死ぬならひとりで死んでくれ」 悠介    「当たり障りの無い笑顔でそんなこと言うなよぉっ!!」 南無    『───冥府巡りの片道切符……その命で買ってもらうほねよ……』 悠介&ルヒド『あ』 すぐ横まで来て、骨が眼球の無い目を光らせた。 ルヒド「あはは……いやだなぁ、その冥府の長が僕の体の中に居るの、忘れたのかい?」 南無 『殺す殺すルル……スリリリリ……』 ルヒド「……あちゃー、眼球無いけど目がイッちゃってるね……」 悠介 「神社へと続くブラックホールが出ます!」 ルヒド「あ、ずるい」 ブラックホールを創造してそれに飛び込む! 冗談じゃない……こんな殺気を浴び続けてたら頭がイカレちまう!! 南無 『逃がすか!』 ビジュンッ───ゾバァッ!! 悠介 「げはぁっ!?」 ルヒド「うわっ!?」 ん……な……馬鹿な……!! 空間の歪み……ブラックホールごと俺を斬りやがった……!! 南無 『……誰にでも大切なものってあるほねよな……。     素晴らしいものだったりくだらねぇものだったり……ほね。     だがどれだけくだらなくても、その持ち主にとっては唯一無二……。     それを貴様が壊したのだ……晦悠介……!』 悠介 「うーわー……」 恐ろしいくらいの殺気。 シェイドを超越するってゆう鎌が、鈍い闇の光を放っている。 ルヒド「あはは……まいったね。このままじゃ本当に殺されるよ?」 悠介 「のんきなこと言ってないでなんとかしろよぉっ!」 ルヒド「キミを生贄に捧げるってゆうのはどうかな」 悠介 「無茶言うなぁああああああっ!!!」 南無 『てめぇらには死んだことを後悔する時間すら与えねぇほね……!!』 ルヒド「てめぇ……『ら』?」 ポム。 ルヒド「うん?」 シェイドの肩に手を置き、親指を立てて極上のスマイルを贈る。 悠介 「……俺達はいつでも一心同体だぜ?」 ルヒド「うわー、人の迷惑考えない言い草」 南無 『邪怪禁呪!悪行を為す精魅、天地万物を以って微塵とせむ!!     開け黄泉の門───固有時空を此処に!!』 骨が高らかに吼え、鎌を振り回してその石突きで床を突いた。 途端、空間が歪み───その景色を変えてゆく!! ルヒド「固有時空だって!?」 悠介 「知ってるのか!?」 ルヒド「冥界の中でも溟界に住まう骨死神しか使えない、     その存在が持つ異空間のことだよ」 悠介 「いっ……!?」 異空間……!? それって黄昏の創造みたいなやつか……!? ルヒド「……それで、だけど……。僕、キミのこと嫌いになるかもしれない」 悠介 「な、なんだよいきなり」 ルヒド「骨死神の中でも、ハッキリとした固有時空を持ってるのはふたりだけ。     それは出ュ浮って骨死神と……」 悠介 「あのボーン=ナムとかゆうヤツか……」 それじゃあよっぽどの実力者ってことか……ったく!ついてない! ルヒド「そのふたりの骨死神は一般的に『究極の死神』と呼ばれる部類にある。     けど問題は鎌の強さよりむしろ……この空間にあるんだ……」 それって……この象られていってる空間がそれほどヤバイってことか? ルヒド「……恨むよ、ほんと。キミの軽率な行動があの骨をこうさせた」 悠介 「巻き込んで悪いとは思うけどさ。お前がそれほど嫌がるのって……」 正直珍しい。 新鮮って言えば新鮮だ。 ルヒド「珍しい、とか思ってるんだろうけどね。今にそんな余裕無くなるよ」 悠介 「………」 死神の長よりも実力が上って言われたシェイドを怯ませる空間…… これは確かに気をしっかり持たなきゃな……!! 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