───カルボンボールZ〜たったひとりの最終決戦もどき〜───
ビジュンッ!! 南無 『ほねぃっ!』 ケショッ。 なんとも情けない音ともに着地。 河原だから足場が岩とか石なんだよねほね。 結構響くよこれほね。 南無 『さて夜華は……お、居たほね居たほね!』 小川の浅瀬に立って、刀の切っ先を川の流れに降ろしていた。 秘剣ナイアガラスマッシュの練習ほね?   ◆秘剣ナイアガラスマッシュ   剣先を水につけ、勢いよく振り上げることで水の壁を発生させ、   相手の視界を数瞬だけ覆った隙に多段突きをかます妙技。   絶対条件として『水』が必要な分、使いどころが難しい。   しかも相手の視界はもちろん、自分の視界も多少塞いでしまうので、   相手の微妙な動きが解らないという欠点も。   どこらへんが秘剣なのかは世界三大珍味の素性の確かさよりも謎である。   あばれ花組ってなんかよかったね、特に8巻。誰かに見せるのがよかったんだけど。   *神冥書房刊『世界の剣技、刀技、闘技』より 夜華 「───つっ!!」 バシャッ─── 夜華 「紅葉刀閃流刀技───飛燕龍-散葉(さんよう)-」 シュパパパパパパァンッ!!! 南無 『ほ……ほねぇええ……』 すげぇ。 川の水を刀で振り上げて、その水飛沫が落ちる前に一粒一粒を斬りやがったほね……。 夜華 「〜〜っ……くそっ!!だめだ!」 南無 『ほねっ!?』 ダメ!?ダメってなにが!? あれだけの刀捌きが出来れば十分ほねだろう!? 夜華 「集中しろ……!彰衛門などのことで集中力を乱されてどうする……!     わたしはもう諦めたのだ……!それを、なんという女々しい……!! 南無 『………』 まったくほね。 なんと女々しい……。 あんなヤツのことなんて忘れた方が夜華のためだというのにほね……ゴリッ。 南無 『……ほね?ゴリッて……』 熊  「グルルル……!!」 南無 『ほぉおおおおおおおっ!!!!?ほねぇええええええええええっ!!!!!』 熊ほね!!熊が俺の腕をカミカミしてるほね!! 南無 『馬鹿野郎ほね!!俺の腕はエサじゃねぇほねよ!?     熊なら熊らしくサーモンを食えほね!頭から丸ごとな!ほね!』 熊  「ぐごふっ!!!」 ゴリゴリ───バリッ! 南無 『ゲーーーーーーッ!!!』 腕骨が砕けたほね!! なんという激痛……!! 神経ねぇのにどうして痛みを感じなきゃいけねぇほね!? 納得できねぇほね!! 南無 『ま、負けんほね!噛み付き返してやるほねぇーーーっ!!』 ガブッ!! 熊  「グオッ!?」 南無 『必殺!入れ歯カミカミ!!』 熊  「グオオオッ!!」 ベゴキャッ!! 南無 『ほねぇええーーーっ!!』 腕骨から血が吹き出る! 骨だけどどうしてか血が出るのはそこに愛があるからほね!? 訳解らねぇほね! そんなことより腕骨が噛み砕かれて、もがれてしまった!! 熊  「グオゴゴーーーッ!!」 ドタタッドタタッ!! 熊───逃走。 南無 『ほねっ!?ま、待つほね!お、俺の腕ぇーーーっ!!』 などと、腕骨を銜えたままとんずらをこく熊を慌てて追った時だった。 熊が森へと消えようとすると、その前に立ち塞がる影があったのだほね。 その影はゆっくりと何かを振り上げると、ヒュンッとそれを回転させた。 声  「───飛燕龍」 ヒュオッ───ゴコォンッ!! 熊  「グオオオーーーッ!!」 夜華 「……-凪-」 ……ドサッ。 南無 『ほね?』 影の正体は夜華だった。 刀の鞘で熊の額に一撃を見舞い、一撃で撃破したのだ。 強いな……地界人でここまで強くなれるとは。 夜華 「なにを奪ったのかは知らないが、人からものを奪うものではない。     さあ、返すん───うあっ!?」 夜華、熊が銜えた腕骨を見て驚愕の声。 おろおろしつつ俺をバッと見ると───さらに驚愕。 夜華 「なわぅ……がぐが……!?ほ、ほほほ……!?」 南無 『パンナコッタナタデココナッツタピオカ!!』 ビカァーーッ!! 夜華 「うわぁーーーっ!!」 両手を頭の上で合掌しながら腰をクネクネと振り、 さらに眼球の無い目を輝かせ、口から味皇さまばりの光を吐き出す! これぞ究極の挨拶! 夜華 「───っ!?き、貴様は精神の中に現れた───!?」 南無 『ウムス!我が名はナム!ボーン=ナム!!アイアムナム!アイアムナム!!』 夜華 「な、ななな何故この世界に!?精神の世界の物の怪ではなかったのか!?」 南無 『解っちゃいねぇな……。     あの世界は精神の中であろうが過去であることに変わりないほね。     だからドサクサに紛れて貴様の精神に取り憑いてこの時代に来たのだほね!     究極の死神といえど次元移動は出来ないのだ……悲しい限りだほね』 夜華 「……この世界にどんな用なんだ。何故わたしに取り憑いた……」 南無 『………』 ふ、と……自分を振り返ってみた。 なにをしてるのかもわからない。 なにがしたかったのか───それは。 何故、夜華に取り憑いたのか───それは。 南無 『あいつを除けば、貴様に一番気を許してたからだろうな』 夜華 「……?なんのことだ。答えになっていないぞ!」 南無 『この世界への用はただひとつのみ。     俺はこの時代に居る人に幸せをもたらしたい。     この世界にある自分の大切なものだったもの……いや。     既に自分ではなくなったあいつの大切なものを、今度こそ守りたい。     ……ああ、そうだな。それだけだ。俺は……この時代に未来をもたらしたいんだ』 夜華 「…………わけが解らない。なにを言ってるんだ?」 南無 『なぁ夜華。貴様には大事なものはあるか?』 夜華 「ある。わたしは───……」 南無 『ああ〜〜ん?』 淤凜葡繻十六闘士・アキレスのごとく見下した顔でそう言った。 が…………そうすることがまるで当然のように無視された。 いくらなんでもあんまりほね……。 夜華 「わたし、は……」 夜華が言葉を詰まらせる。 その先が出てこないのだ。 何故と思ったが心当たりはある。 南無 『おめぇええ〜〜〜、     まさか大事なものを知り合いに奪われたんじゃねぇええかぁあ〜〜〜?』 夜華 「───っ」 図星。 やっぱりか。 南無 『夜華よ。楓を鮠鷹に奪われた貴様に、どんな大事なものがあるというほね?』 夜華 「……言うな」 南無 『貴様は椛によってこの時代に呼び込まれたようなものほね。     貴様はそれをどう思ってる?感じるぞ、椛への拭いきれないくらいの怒り。     どうして自分をここに呼んだ、どうして呼んでおいて誰かのものになってしまう。     守るものが無くなった自分はなにをすればいい、     弦月彰利に告白しようとした時もそうだ、どうして邪魔をする。など』 夜華 「───言うな!!」 シャアッ!! 抜刀された刃物が俺の喉元に突きつけられゴベキュッ! 南無 『ほねぇええええええっ!!!!』 夜華 「うわっ!?」 寸止めしようとしたんだろうが、涙に濡れた視界の所為で手元が狂ったらしい。 見事俺の喉元を破壊する夜華の刀が物凄く悲しかった。 夜華 「す、すまん!手元が───って、何故わたしが貴様に謝らなければならない!」 南無 『てめぇ何様ほね!?骨の喉突き刺しといてなんだその態度はほね!!』 夜華 「貴様が人を泣かせるようなことを言うからだ!なんなんだ貴様はいつもいつも!     わたしを泣かせて楽しいのか!?答えろ!答え───……?」 南無 『む───!』 夜華 「……いつも……?わたしは……なにを……?いや、違う……。     貴様……まさか、───いや!貴様は」 南無 『狼髏館回頭閃骨殺!!』 ババッ!! 口封じのため、飛翔して頭上から襲い掛かる!! 夜華 「───!食らうものか!飛燕龍-昇-!! なんと!見切られてた!? まさかこの一瞬で見切るとは! 空から奇襲する俺をギンッ!と睨んだ夜華が対空技で俺を落としにかかる! やべぇ避けられん! ヒィン───ズバシュッ!! 南無 『ほねぇえええーーーーーっ!!!!!』 ごしゃしゃっ!! さっき刺された首が破壊された。 それとともに体がバラバラになり、無様に地面に落ちた。 夜華 「貴様は……」 南無 『ち、ちくしょーーーっ!!     言うな!言うんじゃねぇ!!いくら貴様でも許さんぞ!』 夜華 「……彰衛門」 南無 『グ、グウウーーーッ!!!俺をあの男と一緒にすんじゃねぇほねぇーーっ!!』 夜華 「誤魔化すな!貴様から感じるものの全てが彰衛門のものだ!     何故そんな格好をしているのかは知らないが、何故自分を否定する!!」 南無 『俺はナムだから知らねぇほね!!』 夜華 「しらばっくれるな!!貴様は間違いなく弓彰衛門だ!」 南無 『違うっつっとろーが!オォ!!?てめぇアレか!?俺を馬鹿にしとんのか!?』 夜華 「その話方が彰衛門だと言っているんだ!!」 南無 『グッ……!!おのれおのれおのれ……!!俺をあいつと唱えるな……!!     俺は南無……ボーン=ナムだ!!親友を消滅に追いやったあんなヤツとは違う!』 夜華 「なに───?貴様は……」 南無 『蘇れ骨ボディ!!───ええい復活しろ!動け!動け動け動け!動いてよ!!     今動かなきゃ───今動けなきゃなんの意味もないんだ!!     言われっぱなしのままでいいのか!?いいわけがない!動けぇええええっ!!!』 夜華 「………」 死力を振り絞る。 だが体は復活しそうにない。 精神が違うとはいえ、微量ではあるが月清力でも流されたか───!? 無意識に浅美の力が……いや。 南無 『その刀の力か……!ソウカ……その刀ハ椛が作っタ……!!     神ノ子の刀か……!!おのれおのれおのれ……!邪魔ヲスルな……!!     未来ヲ……未来を開くンだ……誰ニも邪魔はサセぬ……!!』 夜華 「な───邪気……?彰衛門、貴様……」 南無 『URYYYYYYYYY!!!!!!』 バラバラになった体を無理矢理浮かし、さらに無理矢理合体させにかかる。 誰にも邪魔はさせん……!されてたまるか……! ポロロロン、ポロロン♪ 南無 『青い〜空に〜♪キミの白い骨〜♪』 ガシャンゴシャンガッシィイイインゴッシィイイイイン!! 夜華 「な、なんだ……!?宙で骨がくっついてゆく!」 南無 『光に〜輝〜く〜♪キミのド〜ク〜ロ〜がぁ〜〜〜♪』 ガシィンガシィン!!がしゃがしゃがしゃ!! 南無 『……かぁ〜ぜぇ〜にぃ〜消えてゆく〜♪肉も血潮も〜♪』 ガッショガッショガッショッ!! 足から大腿骨、肋骨、腕骨と、どんどんと合体させてゆく。 あとはフィニッシュ! 南無 『白さと〜カルボ〜ンの〜♪ボォ〜〜ン=ナァ〜〜ァム〜〜〜♪』 ギュイィイイイイイイイイイイイイン!!!!! ギャルルルルルルルルルル!!!!! 夜華 「くぅあっ!?あ、あぁあ……!?」 フィニッシュ───頭の合体に全力を尽くす。 首の骨目掛けて頭骨を横に究極回転させながらゆっくりと降りる! 合体ロボは男のロマン!故に合体も男のロマン! まあ……究極の高速回転のあまりにサイクロンが生じて、 夜華がその風圧に吹き飛ばされそうになってるほねが。 ───だがここでミスするわけにはいかぬのだ! 南無 『パイルダァーーーーッ!!!オウイェーーーーーイ!!!!』 ゲェッ!びちゃびちゃびちゃっ!! 夜華 「なぁっ!?うわっ!うわぁああああああっ!!」 南無 『ま、回しすぎ───オエェエエエエエエッ!!!!!     気持ち悪ィほねぇええええっ!!!と、止めてくれほねぇえええええええっ!!』 夜華 「こ、こら彰衛門!回転しながら嘔吐するとはなにごとだ!!」 南無 『お、俺を【彰衛門】と呼ぶなぁあああっ!!!!』 ガッシィイイイイン!!!! 首への合体を果たした俺は、夜華目掛けて猛然ダッシュをガリガリガリガリ!!!! 南無 『……ほね?ほねぇええええええ!!!!!』 まさに、ダッシュしようと思った矢先─── 合体したはいいが、頭骨の凄まじい回転が体をも回転させた!! もちろんダッシュは失敗。 俺はまるで淤凜葡繻スピニング・サンド・ストームを使ったアキレスのように、 凄まじい土煙を出しながら地面に埋まっていった! 南無 『ちょ、ちょっと待てーーーっ!!まだ話が終わってねぇほねぇーーっ!!     って痛ッ!?なにほね───ってゲェーーッ!!     埋まってるんじゃなくてまた体が削れていってるほねぇーーーっ!!     土煙じゃなくて俺の骨が削れて飛んだ粉塵だったのかーーーっ!!     ギャア助けてほねぇーーーーっ!!!!』 夜華 「助け……?───ッ!解った!今助ける!」 南無 『ほね!?……夜華……さん』 夜華が回転する俺目掛けて走ってくる。 俺を助けようと。 ……馬鹿だなぁ夜華。 俺なんぞを助けるために……馬鹿だぜアンタ。 楊海王並みの馬鹿さ加減だぜ……。 南無 『───……』 不意に、自分の中に暖かさが流れた気がした。 暖かみなど感じられなくなった、この骨のボディに。 ……気の所為、だろうな。 俺はもう、暖かみなど…… 夜華 「待っていろ彰衛門!今───」 南無 『……もういいよ、夜華さん』 夜華 「───!『夜華さん』、と言ったな貴様……やはり!」 南無 『俺は何度死んでも死ねない体なんだ。     だから粉微塵になっても平気なんだ。だから』 夜華 「馬鹿者!貴様は『痛い』と言っただろう!     痛みを感じながら削れていっている者を見捨てられるわけがないだろう!!」 南無 『夜華さん……それ、生前に俺を斬り刻みまくった人の言うことじゃないよ……』 夜華 「だゎっ……だだだ黙れ!」 ───ガッ!! 夜華さんが俺の体を押さえつける。 だが───勢いよく回転する俺の体を押さえることは自殺行為に近い。 案の定、押さえつけた腕が擦り切れ、血が出る。 南無 『なっ───馬鹿やめろ夜華さん!     俺のことはいいんだよ!死なないって言っただろ!?』 夜華 「ぐ……あ……!!くっ……だ、黙れ、と言っている……!!     貴様がどういう理由でこんな格好なのかは知らない……!     だが……今の貴様は間違いなく悲しんでいる!     わたしはそんな貴様が放っておけないだけだ!!」 南無 『夜華さん……』 ───ドクンッ。 南無 『……?』 まただ。 また、自分の中に暖かさが……気の所為じゃない───? 夜華 「くそっ……止まれ!止まれ止まれぇっ!!     わたしはもう───なにも守れなくなるのは嫌なんだぁっ!!!」 ブチッ……ブシュッ……! 南無 『やめろ夜華さん!腕がもうズタズタだ!!     俺のことなんていいって言ってるだろ!?俺はもう誰の暖かみも要らないんだ!     ひとりで生きることなんて慣れてる!俺のことはもうほっといてくれ!』 夜華 「黙れ……!何度も言わせるんじゃない!!     このっ───止まれぇええええっ!!!!」 ガキィッ!! 南無 『夜華さ───ほね?』 ベキョキョキョキョ!!!! 南無 『ほねィェエエエーーーーッ!!!』 削れゆく骨の肋骨に刺し込まれた刀の鞘が、俺の肋骨無残に砕いてゆく!! なんて止め方を考え付くんだ夜華さんてば!! 肋骨に鞘を刺し込んでつっかえ棒みたいにしようと思ったんでしょうが─── こっちの体ってゆうか骨がもたねぇほねーーーっ!! 南無 『イヤァ止まってぇえええーーーっ!!!痛い痛いマジで痛い!!     さっきよりマジで痛いって!夜華さんちょっと待って!!痛いってマジで!!』 夜華 「止……ま……れぇーーーーっ!!!」 南無 『ヒ、ヒィ!ちょちょっと待てーーーっ!!お、俺はボーン=ナム!!     き、貴様ごときに負けてたまるかーーーっ!!!』 ベキョキョッ!! 南無 『ぐげっ!』 肋骨が死国(サバオリ)の如く折られ、俺の体が大地に倒れた。 それで回転は止まったが……もともと倒してもらえばよかっただけではなかろうか? 夜華 「……っ……無事、か……?彰衛門……」 南無 『下半身ズタズタですが、まあなんとか』 夜華 「そう……か……」 ───ドサッ。 南無 『ほね?夜華さん!?夜華さん!!』 夜華さんが倒れた。 腕を見れば、信じられないくらいに血塗れの腕がそこにあった。 ヤバイ───このままじゃ出血多量で死んじまう! 南無 『くっそ!下半身が塵になっちまった所為で───』 駆け寄れやしない。 助け起こすことも出来ない。 回復させるにはまた数日かかっちまうのか───!? 南無 『そ……んなにっ……!待ってられるわけねぇだろうがぁああーーーっ!!!』 無理矢理融合させようとするが、塵になった体はそうそう集まりはしない。 南無 『くそがっ!だたら体浮かせてでも助けてやる!!』 体を浮遊させて、血を流している夜華さんを抱えあげる。 向かう先は───悠介か椛の居る場所! 南無 『広域ッ───スッキャァアーーーーン!!』 己の心のマップで広域スキャンを発動! 該当は───………………居た! 南無 『転移!』 ビジュンッ!! ───……ビジュンッ!! 南無 『悠介!椛!居るか!?出て来い!』 鈴訊庵、リヴァイアの部屋の前に転移した。 腕の中で気を失っている夜華さんの腕からは今でも血が流れ、 その顔から赤みが消えてゆく。 南無 『くそっ!だめだ───死ぬなよ夜華さん!     あんなコントみたいなことで死んだら末代までの恥だろうが!     くそ……くそくそくそぉっ!!俺にまだ月操力があれば!!』 くそ……望んで骨の体になったってのに……。 どうして俺……また後悔してんだよ……。 わかんねぇ……わかんねぇよ……! リヴァ「騒がしいな……誰だ。こっちは部屋の片付けが忙しいっていうのに……───?     おいそこの骨。その腕に抱えてる女、篠瀬夜華だな?───そいつをよこせ!     わたしはそいつを許さん!それ相応の償いを」 南無 『リヴァっち!悠介は!?椛は居るか!?』 リヴァ「っと……な、なんだいきなり」 南無 『答えろ!一刻を争うんだよ!!早く!!』 リヴァ「……───」 夜華さんの体から暖かさが薄れてゆく。 確かにこの手にあったぬくもりが、ゆっくりと絶望に変わってゆく。 ───寒気を感じる。 助けたい。 誰に理解されなくてもいい。 孤独ばかりに固執していた俺の中に、確かに流れ込んできたあのぬくもりを消したくない。 ───けど。 そのぬくもりが今、確かにこの腕から消えてゆくのを感じる。 ……だめだ。 死なせたくない。 こんな馬鹿な話があるかよ……ブルーダイヤのCMのために死ぬなんて! 冗談抜きで末代まで……いや、世界を股にかけられるほどに馬鹿な死に方じゃねぇか! これで死んだらおめぇ……アレだ。 俺ゃア抱腹絶倒しますぜ!? 南無 『何処だ!早く言え!早く教えねぇとこの女の命はないわよーーーっ!!?』 夜華さんの体を片手で支えながら、片手で夜華さんの喉に骨指先を当てる。 これぞ脅迫! リヴァ「助けたいのか殺したいのかどっちなんだ……」 南無 『助けたくなきゃ誰かの命を駆け引きにするわけねぇだろうがオォ!?』 リヴァ「……はぁ。───中だ。小娘の方は居ないが悠介が居る。     今は壊れた中の方を修復してもらっている」 南無 『そうか!じゃ───』 リヴァ「待て。中は黄昏の創造で治してもらっているんだ。     そんな中に貴様が入ってみろ、悠介に消されるぞ」 南無 『だからどうした!俺は消されることに恐怖なんて感じねぇんだよ!』 言って、そのまま部屋の中へ飛び込んだ。 リヴァ「なっ───こら!」 静止の声も聞こえない。 消されるのがなんだ!俺は───!! ───……。 ザアッ───…… 黄昏の草原が波立った。 部屋の中だというのに、風の吹く世界を作り出したその場で。 悠介 「……───」 悠介が立っていた。 悠介 「……またくだらねぇこと言いにきたのか」 南無 『違う。頼みがあるんだ』 悠介 「聞くと思ってるのか?」 南無 『思うさ。お前は敵には容赦ないが、味方にはやさしい。     ……こいつを見てどう思う?』 腕の中で動かなくなってしまった夜華さんを見せて、ニヤリと笑った。 それを見た途端、悠介から殺気が溢れた。 悠介 「篠瀬……」 南無 『───俺がやった<>b(・・・・・)』 悠介 「!!……てめぇ」 悠介の目が変異する。 赤く、紅く、朱く、緋く。 俺は夜華さんを悠介に向かって放り投げ、間合いを取った。 そうすれば───悠介は間違いなく夜華さんの傷を治すと知っていたから。 南無 『治さないのか?死ぬぞ』 悠介 「覚悟しろよてめぇ……!」 悠介が回復の霧を創造して、夜華さんに浴びせる。 俺はそんな悠介を傍観して、そのまま待った。 ───俺は殺されるだろう。 消滅することのない体だ、それでお前の怒りが晴れるなら俺はそれでいい。 なんとでも罵ってくれていい。 バケモノだろうとなんだろうと。 悠介 「───……」 南無 『回復は終わったみたいほねな。……来いよ、殺してみろほね』 悠介 「ああ。何度だって消してやる。死んだ方がマシって思えるくらいにな……!」 南無 『───死んだ方がマシ?……馬鹿言うなよ、俺に限ってはそんなものは無い。     死ねないから地獄なんだよ。そんなことも解らなくなったのか?     平和ボケでもしたのか、昔のお前はどっちかっていえば俺寄りだったぜ?』 悠介 「一緒にすんじゃねぇ……!無駄口叩いてる暇があったらかかってこい!」 南無 『かかってこい……?お前こそ来いよ。俺が怖いのか?』 悠介 「チッ!ほざくな!」 光が宙に創造される。 それがカタチを変えると槍となり、俺に向けて放たれる。 ああ、こりゃ一撃で死ぬな。 威力が高すぎる。 まーそれもいいか。 夜華 「っ……う……!い、いけません悠介殿!そいつは」 南無 『ロケットパンチ!!』 ガコッ───ドシューーン!! 間接?を外し、夜華さんに向けて放つ! その瞬間に俺の体は光の槍に貫かれたが─── 南無 『こ、根性ォーーーーッ!!───必!殺!狼髏館回頭閃骨殺!!』 ガッシ! 夜華 「そいつはあき───え?」 ベゴキュッ!! 夜華 「うきゅっ!?」 ガクッ。 ロケットパンチで飛ばしたボーンハンドで夜華さんの口封じを完了させる! 回頭閃骨殺で首の骨を折るという加減なしの口封じだが、悠介が居るなら平気だろう。 俺も……もう意識が保ってられない。 体が消滅してゆく。 悠介 「トドメだ───微塵も残るな!!」 さらに放たれる巨大な光。 俺に向かってくる、破壊のイメージ。 南無 『うああぁあぁぁぁーーーーっ!!!!!』 俺はそれを受け止めるように身に受けた。 その先から、消滅しかけていた俺の体がさらに消えてゆく。 南無 『あ……あぁ……あ……───』 紅蓮色の光が俺を溶かすように破壊してゆく。 景色が真っ赤に染まり……ふと。 俺の頭の中に懐かしい景色が浮かんだ気がした。 南無 『……カ……カ……ロッ……───ト……ッ……』 光に飲まれる。 全てが焼け、滅び、消される中で─── 南無 『へへっ……───カぁカロットよォーーーーーーッ!!!!!』 フリーザに消された孫悟空の父、バーダックの真似をしつつ、俺はその光の中で消滅した。 だが、消えゆく瞬間に我が意思を夜華さんへと届けた。 『───夜華さん……この俺の意思を継げ!骨死神の仇を───おめぇが討つんだ!!』 ……もちろん気絶してるからこの熱き意思が届くわけもなかった……。 ───……。 悠介 「はあ……」 篠瀬の首を治し、部屋を直し───黄昏を消す。 やがて息を吐くと、鋭い頭痛に耐えながら篠瀬を起こす。 悠介 「篠瀬……無事か?」 夜華 「ぐ……あ、つ……」 体を起こし、頭を軽く振った篠瀬があたりを見渡す。 夜華 「あ……あいつは!?あの骨はどうなったのです!?」 悠介 「骨……骨なら消した。復活するようなら何度でも」 夜華 「なっ───なんてことを!あいつは」 ベゴキュッ!!! 夜華 「ふぎゅうっ!?」 悠介 「っ!?」 バッと動いた骨の手が、篠瀬を頭を掴んでゴキュリと首を捻ったのだ。 折れてはいないようだが───俺はカッとなってその骨の手にブラストを放った。 悠介 「こ───のっ!!なにしやがる!消えろ!」 放たれた光が骨の手を砕き、消滅させる。 それとともに篠瀬は首を押さえ、痛そうにして蹲った。 悠介 「大丈夫か篠瀬!」 夜華 「あ……はい、わたしは平気ですが……」 悠介 「……なんなんだあの骨は。俺達に恨みでも……」 夜華 「恨み……?その逆です。あいつは───」 悠介 「……?篠瀬?」 夜華 「あいつは……───いえ。なんでもありません」 悠介 「………」 何を言いたかったのか。 篠瀬は何かを考えた末に俯いて口を噤んだ。 夜華 「治療をしていただいたこと、感謝します───それでは……失礼します」 立ち上がり、篠瀬が部屋を出て行った。 悠介 「………」 部屋も元通りになり、あとは黄昏の創造を煮詰めるだけ、か。 悠介 「なんだろな……釈然としないってゆうか」 篠瀬は……あの骨の正体を知ってるのか? 『そいつは』、の次になにを言おうとしたのだろうか。 『あき───え?』って……彰衛門、って言おうとしたのか? そんな馬鹿な話があるか。 彰利はここに居るし───って居ねぇんだった!! 悠介 「しまった!いろいろあって忘れてた!彰利が消えたって───」 そうリヴァイアに言われてたんだった! 部屋の修繕と骨退治と篠瀬のことの所為で忘れてた!! けど探しようがないし─── 悠介 「あ、シェイド!?シェイド!     どうせ見てるんだろ!?彰利が何処に行ったか知らないか!?」 ───……し〜〜ん…… 悠介 「くはっ……見てなかったのかそれとも純粋に無視してんのか……!!     とにかくここを直したんだ、あとは」 リヴァ「あとは、お前が黄昏を操れるようになるだけだ」 悠介 「って……リヴァイア?」 リヴァ「ああわたしだ。検察官のことは気になるが仕方ないだろう。     シェイドとは連絡がつかないうえに、わたし達じゃそういう探索は出来ない」 悠介 「彰利は……目を覚ましたのか?それとも……」 リヴァ「起き上がって何処かに行ったか、それともレオが覚醒したか。     どちらにせよ、今のところはどこかが壊れただとか死んだとかは聞かない。     それならまだ焦ることはないだろう?集中しろ、集中」 悠介 「あ、ああ……───そうするよ」 確かに焦ってたかもしれない。 ガキじゃないんだし……大丈夫だよな?彰利……。 …………って、あいつって思考回路がガキ以下だからなぁ……。 ああいかんいかん……せっかく治まった不安が渦潮のごとく巻き起こって……!! まあ正直……不安っていえば不安だよな、彰利だし。 ───……。 Next Menu back