それは昔の物語。

子供の頃に夢見た未来を思い浮かべる。

小さい頃、自分は立っていることより床に伏せている時間の方が長かった。

元気に走っている人達が羨ましくて、よく泣いていたことを憶えている。

悔しくて、寂しくて。

だけど走ることも出来なくて。

その人達を追うことすら出来なかった。

……そう。

子供の頃の思い出に、いいことなんてひとつもなかった。

でも……おじいちゃんは好きだった。

とてもやさしくて、元気で、面白くて。

寂しいことがあると、よく頭を撫でて昔話をしてくれた。

その昔話の内容はよく憶えてないけど……。

ただ、どこか普通の話じゃなかったのを憶えている。

それは変わったお話だった。

空の上から来た女の子が、誰かの幸せの為に自分が犠牲になるというお話。

どうしてそんなことを知ってるの?

そう訊いたら、おじいちゃんは困ったような顔をして微笑むだけだった。

…………。

いつのことだっただろう。

自分が自由に立ちあがれるようになったのは。

遠くに見える景色を目指して、歩けるようになったのは。

確かに他の人より息切れは早かったけど、それでも自分は走れていた。

でも、それと同時に……

おじいちゃんと話す機会も、少なくなっていった。

それは……結果としてそうなってしまっていたことだ。

もともと、寝ていることしか出来なかった自分と一緒に居てくれた人。

歩けるようになってしまったら、自然にそうなるのは当たり前だった。

時々気になって、おじいちゃんに会いに行く。

けれど、おじいちゃんはただ、

『歩けるようになって良かったねぇ』と、微笑んでくれるだけだった。

とてもやさしいおじいちゃん。

友達が来ると、話の最中でも背中を軽く押してくれたおじいちゃん。

やさしくて、元気で、面白くて……。

それなのに、どうしてだろう。

時々、おじいちゃんが小さく見える。

あんなに眩しかった笑顔も陰りを含み、時々苦しそうで……。

だけど、それでも……頭を撫でてくれるおじいちゃんは、いつだってそこに居た。

もう、それだけで十分だった。

他になにもいらないとさえ思った。

だって、そこに居てくれてさえいれば、ボクは幸せだったから。

それなのに……。

どうして、涙が止まらないんだろう。

一日会うごとにおじいちゃんが小さくなっているように思えた。

自分の中で、何かが解りかけていて、それでも頷きたくなくて……。

ボクはおじいちゃんと会う度に泣いていた。

困った顔をしながらも、やっぱり頭を撫でてくれるおじいちゃん。

やさしくて、面白くて……。

だけど、もう……元気だとは言えない事実に、やっぱりボクは泣いていた。

止めたいなんて思わなかった。

ただ、頭を撫でてくれる手を握りながら、ボクはずっと泣いていた……。

───大好きな。

……大好きだった……おじいちゃん。

さよならも言えず、ありがとうも言えなくて。

ごめんなさいも言わないで……。

ボクは、幸せそうに眠るおじいちゃんを、滲む世界で見下ろしていた。

どうすることも出来なくて……

込み上げてくる訳の解らない苛立ちが悔しくて……

叫びたかったのに叫べなくて……

ただ、もう頭を撫でてくれることのない手を握りながら、涙を流した。

───大好きだった、おじいちゃん。

思い出せる想い出の全てが過去形になっていくのが辛かった。

人は変わってゆくものだと、おじいちゃんが口癖のように言っていた。

けれどもそれは、あまりに悲しいことじゃないだろうか。

確かに何かに捕らわれて、うじうじと考え続けるのは良くないかもしれないけど。

でも、そうしたら誰がその人の為に泣いてくれるのだろう。

過ぎてしまえば、その人のことなんてどうでもいいというのだろうか。

……そんなのは嫌だ。

そう首を振れる。

人が変わるのは仕方ないことだけど、この気持ちだけは変わらずに持っていたい。

そう思うのは贅沢だろうか。

贅沢ならそれでいい。

過去に捕らわれすぎていると言われるのならそれでもいい。

想い出は、確かにボクの中にあるのだから。

───だから、今はまだ……。

静かな暮らしの中で、前を向いて歩いてゆこう。

この想い出の中に残る、あの大きな掌の暖かさを胸に……───













───愚日(ぐじつ)───
……スズメが鳴いていた。 覚醒してゆく意識の中、ゆっくりと目を開けてゆく。 悠介 「……時間」 ふと思い立ち、時計を見る。 ……まあまあの時間だった。 停学を食らっている俺にとってはどうでもいいことだが。 悠介 「……ふむ、熱はもう下がったみたいだな。     我ながら感心……というより、ルナがバックアップしてくれたんだろうな。     流石に普通の人間じゃこんな回復力はないだろ」 心の中で感謝しながら、部屋をあとにした。 ……ところで、廊下に倒れている人影に気付いた。 悠介 「………」 水穂ちゃんだった。 一日がかりでステレオトークを食らったのだろう。 うなされながら必死に逃げようとしている。 夢遊病より根性ありそうな気がする。 よく寝てはいるが、流石にこのままは可哀相だ。 ……ま、いいか。 俺は水穂ちゃんをそっと抱え、俺の布団に寝かせた。 悠介 「よし、じゃあ朝食作るかな」 今度こそ部屋を出て、台所へ向かう。 ……が、その前に気になることがあった。 『まさかな……』とか思うものの、やたらと気になる。 と、いうわけで…… …………。 ……。 ───屋根の上である。 そこに立ちながら、俺は呆れていた。 悠介 「なにやっとんですか彰利サン……」 彰利はぐったりしていた。 そういや昨日……天気予報で、 この季節では珍しいほどに日光ギンギンで暑くなるとか言ってたな。 そしてこいつの干からび様。 確かに屋根で寝てるから、ってなこと言ってた気がするが……。 ……あれからずっと屋根に居たんか……。 悠介 「とりあえず水だな」 家の中に戻り、水を持ってくる。 その水をまず彰利の口の中にドバドバと 彰利 「ゴボバアアアアッ!!おぼっ!     溺れるゥ……!こ、この俺様……がぁ……!」 うなされてる。 これだけ元気なら大丈夫だろう。 悠介 「月鳴の裁き、レベル1」 パリッ。 彰利 「ほぼべぼばぁああああああっ!!」 彰利の体がビクンビクンと跳ねる。 しまった。 水が口の中に溜まってるんだから伝導率も高いわな。 レベル1とはいえ、これはキツかったか。 彰利 「殺す気かっ!」 悠介 「いや悪い」 彰利 「三途の川が見えたどころか、いきなり川の中に落ちたぞ!     死を覚悟したよ本気で!っていうか死んでたよ!     臨死状態ってヤツ!?キャア!貴重な体験YO!」 話がズレていってる。 賑やかな思考回路だ。 彰利 「いやぁ、賽の河原で石を積んでみたかったんだけど、     『親より先に死んだわけじゃねェだろうが!失せろボケ!』って、     鬼に説教くらっちゃってさ、喜作な鬼だった。     サインでも貰っときゃ良かったよ」 悠介 「そこまでチャレンジするな馬鹿」 彰利 「まあまあ、それよかさ、体調はもういいのか?」 悠介 「ああ、問題無いと言える。     ところでさ、なんだってルナに追われてたんだ?」 彰利 「ああアレ?なんか更待先輩殿がルナっちにバラしちゃったみたいで。     ダーリンがセレっちに運ばれてきたとき、     俺が目を覚ましてね、その瞬間、鎌を出現させてキェエって」 悠介 「……えっとさ、何故にルナには話せて俺には話せないんだろなぁ」 彰利 「信用無いからさ」 ドスゥッ! 彰利 「ほひゃぁっ!あっ……あひょーっ!あひょーっ!」 脇腹を押さえて体を折ったり立て直したりする彰利。 悠介 「看板でも作るか」 彰利 「うう……イエッサ……」 やっぱり訊くだけ無駄だと思った。 それならもう気にするのはやめよう。 どのみち、文化祭終わるまでは話す気が無いそうだし。 ぶつくさ言いながら、俺達は庭?に降りた。 悠介 「しかしなぁ、喫茶店の看板ってどんなのがいいかな」 彰利 「そりゃお前、アニメ画風の童顔カワイ子ちゃんがメイド服着て、     ねこミミオプションつけて『いらっしゃいませ♪』ってイヤァア!     解った!涙を極飲して諦めるから去っていかないでーっ!」 悠介 「いい加減メイド喫茶から離れろよ……」 彰利 「譲れぬ!かつて拳王が天を目指したように、     俺もまた無い知恵とおぞましい勇気と絶え始めた希望を手に、     メイド喫茶を愛してイヤァアアアアッ!!     だから無言で去っていかないでってばーっ!」 悠介 「えーと、適当に『いらっさい、マッスへようこそ』でいいか?」 彰利 「マッス!?なに!?」 悠介 「気にするな。とりあえずアレだ。     一応女子……女の子とかの方が詳しいと感じるから、     家に居る方々に訊いてみるとして。     で……お前、なにやってんの?」 彰利 「いやいや、絵とか文字とか描くには骨組みだけじゃどうにもならんでしょ。     だからこうしてコレを……」 彰利が長い紙(?)を骨組みに貼り付ける。 彰利 「えーと?ま、こんなもんかな。     んじゃあ徒然(つれづれ)
なるままに意見を訊ねに行きますか」 悠介 「よく解らんが解った」 彰利 「ていうかさ、俺、訊き終わるまでに命あるかな」 悠介 「んー……まあいい加減、俺もキレそうだからさ。     なにか言ったら……実力行使で黙らせるよ。それとも、お前やる?」 彰利 「いや……俺の力は使っちゃならないものだから、いいさ」 悠介 「そういや俺も、具体的にお前の力って知らないよな」 彰利 「使ったら死ねるって」 悠介 「そうなのか?」 彰利 「ああ、俺が死ねる」 悠介 「お前がかよ!」 彰利 「はっはっは、ダーリン、ここは笑うところだって。     ってわけでさ。行こう」 悠介 「なにぃ!?あ、こら待て!」 話も半端加減に、奴は駆けだし、そして砂利に足を掬われ、見事にコケた。 彰利 「キャア!カッコ悪い!」 悠介 「キャアじゃないだろ愚者。     やっぱりお前、ここで待ってろよ」 彰利 「断る!命を賭してでもアイディアを得てやるァ!     というわけでゴー!激しくゴー!」 彰利、激走。 悠介 「あの馬鹿……」 どうしてこう、考えも無しに突っ込めるかね。 しゃ〜のない。 声  「ごめんくださ〜い」 悠介 「……っと、誰だ?」 走り出そうとした際に聞こえた声。 その主を確認するために振り向く。 と…… 悠介 「あぁっ!?」 そこに立っていたのは最近ご無沙汰してたあの人だった。 悠介 「あ、麻野さん……」 そう、雪子さんだ。 珍しいな、ここに来るなんて。 まあ、折角だ。 彰利でも呼ぶか。 奴のことだ、麻野さんのこととなれば何よりも早く現れるに違いない。 彰利 「今日は一体どうしてここに?」 悠介 「うおっ!?」 彰利 「おわっ!?な、なんだよ悠介、いきなり叫んで」 悠介 「お前……いつの間に……」 彰利 「科学では平明に答えられんことだから解らん」 悠介 「それ以前にお前は科学と無縁だろうが」 彰利 「そんなことはないぞ多分きっと。     昔、習字で『科学』と書いて、誉められたことがあるんだ。     『書けって言ったのは運動って字だ』って」 悠介 「………」 誉められたもんじゃない……。 雪子 「久しぶり、元気してた?」 悠介 「あ、は」 彰利 「はいええそりゃもう元気リンリンパワー全開ですぞ!     有り余ってて仕方ないくらいですわ!ふぅゎーっはっはっは!」 悠介 「干からびてたけどな」 彰利 「おだまり!」 雪子 「若葉ちゃんや木葉ちゃんは?元気?」 悠介 「え」 彰利 「そりゃもう元気です!」 悠介 「………」 愛と尊敬と憧れの麻野さんの前だから、舞いあがってるなぁ、彰利。 見事に人の声を遮ってくれてるわ。 雪子 「それで……停学はまだ解けないの?」 悠介 「………」 彰利 「………」 雪子 「……?」 悠介 「……………」 彰利 「……………」 悠介 「は」 彰利 「ええそうなん」 ボゴシャア!! 彰利 「ゲネファーッ!!」 悠介 「どうしてわざわざ人の声遮るように喋るんだよ!     っていうか『ゲネファー』ってなんだ!?」 彰利 「喋ってるときに脇腹殴るなってば!     『ゲネファー』って叫んでしまったじゃないの!」 雪子 「あ、相変わらずね……」 彰利 「いやあお褒めに預かり光栄どころかトキメキマックスですぞ!     ところでここに来たのはズバリどんなご用で!?     もも、もしかして俺を探して」 メゴシャア!!! 彰利 「ぶべら!!」 悠介 「すいません麻野さん、騒がしくて。それで……どうしてここに?」 雪子 「んー……うん。     特にこれといった訳があったわけじゃないんだけどね。     しばらく会ってなかったから、どうかな〜、ってね」 悠介 「そうですか、すいません」 雪子 「ところで悠ちゃん?     あたしのことは雪子でいいって言っておいたでしょ?」 悠介 「勘弁してくださいよ、呼び捨てなんかしたらこいつに殺されます」 雪子 「ああ、彰利?」 彰利 「そ、そうだ……!お、俺でさえ、まだ呼び捨てなんて……」 雪子 「彰利なら無視しちゃっていいから」 彰利 「はわぁあっ!な、ななな、なんですとぉおおおおおっ!?」 雪子 「それよりさ、悠ちゃん。いま暇?」 悠介 「いや……文化祭の看板作りを任されたから暇では……」 雪子 「文化祭?あ、そっかそっか。そういえばもうそんな時期か」 悠介 「……麻野さん……アナタそれでも教師ですか……」 雪子 「あ、あっははは……誰でもド忘れする時はあるわよ」 ド忘れというか、もともと忘れやすいだけなんじゃないだろうか。 雪子 「それじゃ、あたし、それ手伝ってあげよっか?」 彰利 「ゲェーッ!ま、マジですかっ!?」 雪子 「出来る範囲で、よ?」 彰利 「そりゃもう!それじゃ早速メイド服着てモデルになってくだ」 ベスッ! 彰利 「はうっ!」 ───ドサッ…………。 悠介 「それじゃあ、ちょっと訊きたいことがあったんで、それを」 雪子 「それはいいけど……大丈夫?今の頚動脈思いっきりチョップでしょ?」 悠介 「これくらいで死んだら彰利じゃない」 雪子 「……ま、確かにそうね。     しぶとさはゴキブリとムカデを足した以上だし。     それよりなに?メイド服って……」 悠介 「あ……ぇぇと……。     彰利の奴が、文化祭でメイド喫茶をやるって言い出したんですよ」 雪子 「……本気?」 悠介 「まさか。採用もされませんでしたよ。     でも、出し物が喫茶店に決まってしまって、     それで『喫茶店にするのにどうしてメイド喫茶じゃないのよ!』って」 雪子 「……お馬鹿……」 麻野さんは思いきり呆れてる。 悠介 「そんなわけで、喫茶店に決まった今でも諦めきれず、     メイド服まで作っちまって、看板すらそれにしようってね……」 雪子 「え……メイド服って……彰利が作ったの?」 悠介 「……誉めたくはないけど、完璧……」 雪子 「………」 悠介 「どうして喉を鳴らすんですか」 雪子 「えっ?あ、やだ……っ!な、なんでもないからね?気のせいよ、きっと」 ……それから、なにやらソワソワし始める麻野さん。 考えたくはないが……もしかして着てみたいのだろうか……。 あ、そういや最後にここに来た時、巫女服を着させてもらってたな。 ……………………まさか、な。 悠介 「もしかして」 雪子 「ちっ……違うわよっ!!べ、べべべつに着てみたいとかそんなことっ!」 悠介 「……まだ何も言ってないけど」 雪子 「くあ……っ!」 彰利 「まあまあ、いいじゃないか悠介。     見てみたいだけなんだよね?雪子さん」 悠介 「出たなノスフェラトゥ」 彰利 「人をモンスターみたいに言うな!     それよりもさ、ほら、メイド服。メイド・イィ〜ン!俺様!」 悠介 「なんだ、持ってきてたのか」 彰利 「いや、いま取ってきた」 悠介 「……お前、何者?」 彰利 「弦月彰利……人間ですよ。ちょっと普通じゃないんですがね」 悠介 「まあ思考回路が変態なのは認める」 彰利 「ギャアア!そういう意味じゃないって!」 雪子 「………」 悠介 「考え事ですかい?」 雪子 「あ、えーと……うー……。     あ、そうだ!え、えーと……彰利?     あたし、これ着てメイド喫茶に出てあげよっか?」 彰利 「え?ホントですか?いやぁ、嬉し……     なぁんだってぇえええええええええええええええっ!!!???」 悠介 「だぁあっ!な、なに考えてんですか!     落ち着いてください!ほ、ほら深呼吸を!」 雪子 「至って冷静。別に気がふれた訳でもなんでもないわよ」 彰利 「な、なんだ……?どうしたというんだ……!     嬉しい筈なのに……何故かとても悲しい気分なのは……!」 うおう、彼にも理性やプライドがあったようだ。 彰利 「ゆ、雪子さん!」 雪子 「ん?なーに?」 彰利 「ぐっ……!ぐ、ぐぐ……ぐぅぉおおおおおおおおおっ!!」 が、頑張れ彰利!彼女を止めてくれ! こんなものは間違っていると! 彰利 (も、もったいねぇ……!     一度だ……!これが生涯でただ一度のチャンスだろう……!     念願のねこミミメイド様を拝めるなら、俺は……俺は……!) 彰利がなにやら苦しみながら頭を抱えてブツブツと囁いている。 彰利 (だが!それは客が雪子さんをやらしい目で見ることと同じ!     恩人であり憧れの対象である雪子さんに……!雪子さんにそげなことを……!?) 悠介 「彰利?」 彰利 「ぐぁあああああああああっ!!!!     どうすりゃいいんだ俺はぁあああああああああああっ!!!」 咆哮。 なにやら絶叫しながら辺りを駆け巡り、 地面の端の方で、眺める景色に『太陽のお馬鹿さーん!』と叫び、 反復横跳びをした後、こっちに戻ってきた。 彰利 「ゆ、雪子さん!」 雪子 「だから、なに?」 彰利 「お、おおおお……!!お願いがあります……!」 うわぁ、かなり無理してる。 声震えてるし、手なんてメキメキと強く握り拳。 雪子 「なに?改まって」 彰利 「ぐ……!そ、それを着るのは……!!     それ……それを……うゎあああああああああああああっ!!」 あ、泣いた。 彰利 「あ、憧れが!俺の夢が!野望が!崩れる!?壊れるの!?     ど、どうすりゃ……!どうすりゃいいんだ!!     俺は……俺はぁあっ!!」 うーむ、メイド服でここまで苦しむ人が居るとは。 世の中ってわからないや。 彰利 「そ、そうだ!ゆゆ、雪子さん!」 雪子 「……何度目?」 悠介 「三度目……ですかね」 彰利 「俺と結婚してくださいっ!」 雪子 「え?」 悠介 「え?」 彰利 「憧れの雪子さんと共に歩むヴァージンロード……!     俺は胸を張りながら、けれども少し緊張してゆっくりと歩む……。     その隣には……嗚呼、その隣には……!!     純白のドレスではなく、メイド服とねこミミを装着した雪子さんが……!     う……ウォーッ!ウォオオオオオオオオオオッ!!!!」 彰利が暴走してる。 友達の縁を切りたくなったのは紛れも無い事実。 嗚呼、まいったな畜生。 メイド服姿で結婚式なんか挙げた日にゃあ、 皆様から色々な意味で熱い視線を集めること請け合い……。 悠介 「とりあえず麻野さん、着てもいいけど出ないでください。     メイド喫茶なんて学生がやるもんじゃないでしょう」 彰利 「なにぃ!?あれはロマンぞ!?」 悠介 「黙れ馬鹿。そんなのやったら停学どころか退学になるわ。     大体、麻野さんはウチの高校じゃないだろうが」 彰利 「な、なによ!否定論ばっかり出して!     そんなもの……!そんなものなんぞねぇ!     愛と野望と志と憎悪と努力と悲恋心とレタスがあれば乗り切れるわよ!」 悠介 「ようするに多くのバックがなければ乗り切れないんだろ?     そもそもレタスは関係ないだろう。     まあそんなわけで。麻野さん、諦めてください」 彰利 「ギャア!なななんてこと言いよらすばい!     折角着てくれると言ってくれてるのに!」 ガシィと彰利に羽交い締めされる。 悠介 「ぐあっ!こ、こら離せ!」 彰利 「ヤ」 悠介 「静かに言うな!くそっ!」 雪子 「んー……悠ちゃん?     あたしのこと呼び捨てにしてくれたら考えてあげてもいいけど」 彰利 「却下!よし止めよう!すぐ止めよう!この企画は無し!     いやー雪子さん、無理させてしまって申し訳」 ドブッ! 彰利 「オブゥウム!」 鋭いボディーブローが決まる。 彰利 「ゲハッ……!雪子さんが……!雪子……さんがぁ……!!」 最愛の人からのボディーブローは彼をセンチメンタルさせた。 雪子 「どうかな?」 悠介 「悪いけど却下。     俺はこれでも、嫌いじゃない年上には礼儀を持ってるつもりだ。     だからこれで完全無欠」 彰利 「いや、完全無欠は関係」 ドフッ! 彰利 「オブゥム!!」 再びボディーブロー。 彰利がうずくまる。 雪子 「やっぱり、悠ちゃんて否定論多いわね」 彰利 「まったくだわダーリン」 悠介 「単にツッコミどころが満載なだけだろ……?」 復活が早すぎるっての。 大体メイド服でどこまで伸ばす気じゃい。 悠介 「じゃあ、百歩譲って雪子さんで」 雪子 「えー……」 彰利 「なにぃい!アタイでさえ『雪子さん♪』って呼ぶのにどれだけボパァッ!!」 三度目のボディで、またうずくまる彰利。 懲りない奴だ……。 雪子 「悠ちゃぁん……折角だから全歩譲ってよー」 悠介 「彰利に譲るよ、その権利」 彰利 「え……えぇえええええええええっ!!??     マ、マジかい!?キャアア!!キミと友達でいれて僕ァ至福サ!」 雪子 「却下」 彰利 「悠介の馬鹿ーッ!!」 悠介 「なんで俺!?」 彰利 「なんでだろ」 ギュッ! 彰利 「ギャアッ!」 やかましい彰利スリーパーで押さえる。 悠介 「おのれはもう喋るなっ!!」 彰利 「ゴブボォオオ……!ギ、ギブ……ギブゥウ……!!」 雪子 「こちょこちょ〜」 彰利 「ぶはっ!うひゃはははっ!ちょ……っ!     雪子さっ……!やめっ……!!」 キュッ。 彰利 「はうっ!」 ガクリ。 彰利をやっつけた。 経験値マイナス2を手に入れた。 *スリーパー時に人をくすぐるのは危険です。  絶対にやめましょう。 ───……。 悠介 「それで、雪子さん。やめてもらえますね?」 雪子 「呼び捨てじゃなきゃヤ」 くはっ……!彰利の性格って多分、雪子さんの影響だろうなぁ……。 悠介 「あー、はいはい、わかりましたよぅ。     どーぞ勝手に出ちゃってください。俺はもう知らんですから」 雪子 「むー……呼び捨てくらい、いいじゃないのさー」 悠介 「年上の女性に対してそのような行為、俺は断固反対です。     ───……亜種は別ですが」 雪子 「アシュ?なに?」 悠介 「なんでもないですよ。じゃあ俺、看板作りがあるから」 雪子 「待った。ホントに、出ていいのね?」 悠介 「なんですか、いきなり」 雪子 「あたしがミセモノになってもいいのね?」 悠介 「そんな目したってダメですよ。     そういうの俺、慣れちまってますから」 雪子 「……悠ちゃん、変わったねぇ……。     前はこういうことにノッてきてくれたのに」 悠介 「……いろいろあるんですよ……。いろいろと……ね……」 現在進行形なのがとても悲しい。 雪子 「うぅわっ……。高校生のする顔じゃないわよそれ……」 悠介 「えーと、家系の所為だとでも思っててください。それじゃ」 雪子 「ちょっと待った」 悠介 「……なんですか」 雪子 「一度でいいからさ、見せてよ能力」 また始まった。 この人はどうしてこう、好奇心旺盛なんだ……。 悠介 「ダメ」 雪子 「どーしてぇ」 悠介 「どうしても」 雪子 「いいじゃない、一回くらい」 彰利 「そーよそーよぅ」 ゴバンッ! 彰利 「いぎゃっ!?」 ドカッ!ごすごすっ! 彰利 「ギャッ!ギャウッ!!」 彰利、沈黙。 悠介 「とにかくダメなものはダメ!」 雪子 「おねーさんの言うことが聞けないの?」 悠介 「こんな時だけおねーさんぶらないでください。     確かに俺はあなたを尊敬してるよ。     自分と彰利の人生を背負いながら生きて、この状況があることは凄いと思う。     でも、それとこれとは別なんだよ。俺はあなたに恩があるわけでもなんでもない。     それが理由じゃダメですか?」 雪子 「ダメ。納得してあげない」 悠介 「どうしてですか」 雪子 「彰利に見せて、あたしに見せてくれないのが気に入らない」 彰利 「グフフ……この女、俺に嫉妬してやがる」 ズパァーーーン!!! 彰利 「ぶべぇーーーっ!!!?」 凄まじい音とともに彰利がビンタをくらった。 彰利 「な、殴ったわねぇーーっ!?ちくしょ〜〜!ママに言いつけてやる〜〜〜っ!!」 ガコォッ!! 彰利 「タバサ!!」 ドサッ。 彰利、顎に痛烈な一撃をくらって沈黙。 雪子 「えーぇそうよ?あたしは彰利に嫉妬してるわ。     羨ましいじゃない、自分の知らない悠ちゃんを知ってるなんて」 悠介 「この力は孤独になるための力なんですよ。     見せれば嫌われる。見る目が変わるんだ……。     それは自分が一番解ってるんだよ!ほっといてくれ!」 雪子 「いいから見せてってば!」 悠介 「あぁもう!どうして解らないんだよ馬鹿っ!     俺はお前に嫌われたくないから見せたくないって言ってるんだよ!!」 雪子 「え?」 悠介 「……え?」 な、なに言ってんだ?俺……。 目上の人に対して『馬鹿』だの『お前』だのって……。 しかも何?今のセリフ……。 本音?あれが俺の本音なのか? 雪子 「ゆ、悠ちゃん、ね、もう一回言って?」 顔が赤くなるのを感じた。 耳がピリピリとして、恐らく顔全体が真っ赤になってるんじゃないかという錯覚。 恥ずかしくて、俺は押し黙った。 何を言えっていうんだ。 さっきの言葉は自分の中で疑問に埋もれて、もう思い出せないのに。 悠介 「……帰る」 既に家の前なのに、俺はそう言って踵を返した。 なんだかよく解らなくて。 雪子さんがどうして俺に執拗に話し掛けるのか解らなくて。 自分のことですら解らないことばっかりで。 俺は、玄関を閉めた。 ───……。 …………。 ……。 昼の屋根の上。 気は落ちたままだった。 隣には彰利。 屋根の下の縁側では、雪子さんがお茶をすすっている。 詳しく確認できないが、お茶好きのあの人のことだ。 恐らく間違いない。 彰利 「はぁ〜あ……、いいよなぁ、悠介は。     雪子さんによく声かけてもらえてさぁ……。     さっきの俺なんてさぁ……まともに話してもらえず、     攻撃されてただけじゃんか……。     いっそ、体とか交換してあの人とランデヴーしたいよ、まったく」 悠介 「……それもいいかもなぁ……」 彰利 「……元気ないじゃん。どしたの?」 悠介 「んー……?……あー……。     己の愚かさに呆れてるんだよー……。     お前の言うとおり、体でも交換したい気分だよ……」 彰利 「ふーん……んじゃさ、やってみるか?」 悠介 「はい?」 彰利 「じゃあ、そこ立って」 悠介 「おい……彰利?」 彰利 「いくぞー。さー、おーきく腕を回してー。     オンラブラトルドアンベルト・オンラブラトルドアンベルト……。     ラブリーどころかキリングハートでボディーチェーンジ!!」 彰利の体がギシャアと光った。 悠介 「ぎゃああああ!怖ェー!!」 あまりの眩しさに目を瞑る。 そして薄目で開けた時、もう光は消えていた。 彰利 「なぁんてね、そんなの出来たら苦労しないっての」 悠介 「………」 なんだ、冗談か。 まあそりゃそうだわなぁ。 ……って待て。 悠介 「どうやって光ったんだ?」 彰利 「こんなこともあろうかとカピラリア光線を撃てるように、     体をプリズムコーティング加工に」 悠介 「うそつけっ!」 ドンガラガッシャンドカバキゴワシャアアアン!!!! 悠介 「うおっ!?」 俺が叫んだ途端、下の方から騒音が響いた。 悠介 「………」 彰利 「……なにごと?」 悠介 「俺に訊くな。こっちが知りたい」 こうなると、自然に聴力が集中するのは身体として至極当然。 彰利 (あ、俺も俺も……) 彰利が小声でのりだす。 どうしてこういう時って小声になるんだろうなぁ。 声  「───!?……!!」 何を言ってるのか聞こえん。 どうやら声を押し殺して、お怒りのようですじゃ。 彰利 (……な、なぁ、なんだ?なんて言ってる?) 悠介 (いや、どうにも聞きとれん……) 彰利 (もうちょっとこう、乗り出して……) ズルッ! 彰利 (ギャア!) 悠介 (馬鹿っ!) 彰利が滑った。 屋根の先端で身を乗り出しすぎれば、普通はこうなる。 悠介 (おあっ……!) 彰利に向かって思いきり腕を伸ばし、腕を取る。 悠介 (───くぅぁああっ……!!     お前いつも何食ってんだよ……!重いってばさ馬鹿……!!) 彰利 (OHレ〜スキュ〜♪どんな危険も♪     レ〜スキュ〜♪怯まない〜で〜♪増える〜キ〜ズ痕が〜♪俺達の勲章〜♪) 悠介 (歌ってる場合かぁっ!!) 彰利 (いや、気が紛れるかな〜って) 悠介 (馬鹿やってないでさっさと上がれぇ……!!) 彰利 (お、おう。っと、ここに足を掛けて……!!     よっ……こい……せいぃいっ……!) ベキュッ。 悠介 「うおう?」 彰利 「キャア!」 瓦がズレた。 流石にふたり分の体重は支えきれなかったのか。 まあ古い家だしなぁ。 悠介 「なぁんて感心してる場合かぁっ!!     超強靭なマジックハンドが出ます!!」 イメージを膨らませて弾かせて、伸ばして掴んでホット一息。 悠介 「は、はぁ……焦った……」 ベキュッ。 悠介 「キャーッ!」 マジックハンドが掴んでいた部分があっさりと崩れた。 やがて足場としていた瓦もガラガラと崩れ、俺と彰利は 悠介 「おぉわぁああっ!」 彰利 「ファ、ファイトーッ!」 悠介 「この状況でどうしろって」 ザガシャァッ!! 悠介 「おあはっ……!」 彰利 「ギャア!」 見事に落ちた。 しかし痛がる暇も無い。 視界に映るはギャースカと言い争ってるルナと雪子さん。 若葉や木葉、セレスも居れば、水穂ちゃんや高崎さんまで居る。 それはそれとして、だ。 なにやら若葉と木葉の視線に殺気を感じた。 いや、まあ理由は解ってる。 俺の布団で水穂ちゃんが寝ていたのを発見したのだろう。 俺の布団+自分以外のオナゴ=兄様の死。 キャア、どんな方程式より簡単に導き出される答えが、死ねるってどうよ。 悠介 「あ、彰利!逃げるぞ!」 彰利 「え?あ、ギャア!!」 言うや否や、若葉と木葉が襲いかかってきた。 悠介 「トマトと赤飯がミックスジュース風味で出ます!」 若葉 「ええっ!?」 木葉 「お兄様!やめてぇえええええっ!!」 問答無用で放った。 若葉 「きゃああああああああああああああっ!!」 木葉 「いぃやあああああああああああああっ!!」 何故にミックスにしたのかは、恐怖を二乗するためだ。 まあアレだ。 ひとりが恐怖すればもう一方が恐怖するんだから、 その両方にそれぞれ嫌いなものを近づければ、恐怖倍増。 案の定、ふたりは一目散に逃走。 彰利 「オッケン!って、それより何処に逃げるんだ!?」 悠介 「安心しろ!俺に考えが───無い!」 彰利 「ええっ!?無いの!?」 悠介 「来たら撃退すりゃいいんだから、やっぱり屋根だな」 彰利 「いやさ……キミの部屋でやればいいんでないのかい……?」 悠介 「……これ以上、穴を増やしたくないんだけどな」 彰利 「……そうね」 悠介 「まあいいか。じゃあ骨組み持って俺の部屋に」 ガラガラ……ごしゃぁっ!! 悠介&彰利『え?』 屋根から何かが落ちてきた。 というか、看板の骨組みが。 ギャア。 悠介 「………」 彰利 「部屋……行こか……」 悠介 「だな……」 骨組み、破損。 悲しみの瞬間だった。 ………………。 …………。 ……。 俺達は焦っていた。 もともと学校行事には興味が無い俺だったので、訊いてみて仰天した。 それというのも、彰利との会話で咲いた絶叫だったのだが。 ───再現VTR─── 悠介 「そういやさ、文化祭っていつあるんだ?」 彰利 「え?知らんの?もうすぐだぞ」 悠介 「……マジですか?」 彰利 「だってさ、これの提出が明日までだし」 悠介 「そっか……って待てぇっ!」 彰利 「な、なにっ?ダメよそんな、俺様心の準備が」 ボゴシャア!! 彰利 「つぶつぶーーーっ!!!」 おぞましいことを語りだした彰利の顎を思いっきり殴りつけた。 彰利 「うきっうきっうきぃいいーーーーーっ!!!!1」 するともんどりを打って転がり回る彰利。 悠介 「お、お、お前っ!どうしてそんな大事なことをさっさと言わないんだ!」 彰利 「ゲフッ……!い、いや……。     俺様と悠介とのラヴパワーがあれば造作も無いことかと思って」 悠介 「こんなデカイ看板!     これをふたりだけで仕上げられると思ってたのか!?」 彰利 「……だってさ、間に合わせるために描いたメイド喫茶、     悠介に破られちゃったし……」 悠介 「当たり前だろがっ!無茶言うな!     あんなもん校長とかに知られたら退学コース一直線だよ!」 彰利 「いや、不本意だが鶴本が居る。ヤツはハゲでエロだからな。     案外全面サポートして賑わったかもしれん」 ……有り得そうで怖い。 悠介 「しかし……ああもう!間に合うのか!?」 彰利 「悠介、それは違うぞ。     間に合わせるんだ。俺達の力で!」 悠介 「彰利…………なぁに偉そうなこと言っとるんだボケ!!     元はと言えばお前がこんな無茶な注文を承ってきたからだろが!」 彰利 「いやん、それは言わないお約束」 悠介 「と、とにかく作ろう!作るしかない!……のかぁ……くそう」 彰利 「うおう、それなら事情を知らない、いたいけな少女を誘おう」 悠介 「誰?」 彰利 「ほら、水穂ちゃんとか恵ちゃんとか」 悠介 「あ、いいかもな」 ……って待て。 こいつ、水穂ちゃんとかと会ったことあったっけ……。 悠介 「彰利」 彰利 「ウィ?なんザマス?」 悠介 「お前に水穂ちゃんとかのこと、話したっけ」 彰利 「ああ、それならノープロブレム。     こんな時のためにこの家を盗聴してい」 悠介 「盗聴!?」 彰利 「え?あ、いやハハハ、ち、違った!     えーと、そ、そう!偶然、皆が寝ている間に会ったのYO!」 悠介 「遺言はそれでいいんだな?小僧……」 彰利 「い、いやっ!落ち着こう!俺様、アナタと会話したいなぁっ!」 悠介 「却下」 彰利 「ギャア!即答!」 悠介 「月鳴の裁き、レベル───」 彰利 「アイヤーッ待ってミーが何をしたとー!?     は、話を聞いてくれ落ち着ぎゃあああああああああああっ!!!」 早口で叫んでいた彰利がスパークした。 その姿は、漫画などなら骨が見えてしまいそうな風貌だった。 劇終。 ───再現VTR・終了─── それから現在に至るに、俺はやはりこいつの生命力に疑いを持つ。 どうせ単細胞独自が持つ脅威の回復力を誇っているのだろう。 そんなことは、こいつを見ていると納得できる。 彰利 「それで結局どんな看板にするんだ?」 悠介 「『いらっさい』で十分」 彰利 「クラスメイトに反感食うぞ」 悠介 「まあそうだわ。     しかしだな、これからどうしろと言うのだ」 彰利 「そうだなぁ。やっぱりアレだろ。     水穂ちゃんとかに訊くのが一番じゃないか?     案外客にも成り得る訳だしさ」 悠介 「おお、まともなこと言うな」 彰利 「……俺、悠介の中でそんなにランク低いの……?」 悠介 「うむ」 彰利 「うわっ、あっさり肯定しちゃってくれちゃってまあまあまあ!!」 悠介 「日本語を喋れ」 彰利 「なにおう、俺の言語は日本語バリバリですぞ?」 意味わからん。 悠介 「じゃあちょっと呼んでくる」 彰利 「あ、俺も」 悠介 「ややこしくなるから来るな」 彰利 「ぐあっ……!痛いゼその言葉……!」 悠介 「あーあハイハイ、いいから黙ってそこで待ってろ」 彰利 「悠介さんよぅ、キミ、随分と性格変わったのゥ」 悠介 「いろいろあるんだ、人生って。俺はかなり疲れてる」 そりゃさ、確かに人には出来ないことが出来るようになったのは、 『面白い』って感情も混ざってるけどさ。 毎度毎度ギャースカ騒がれて、尚且つ友人嫌いが増えるんじゃあ……。 悠介 「疲れもするよな、まったく……」 小さく呟き、俺は部屋を出た。 Next Menu back