───ひとつの分岐。その笑顔のために出来ること───
【ケース26:閏璃凍弥/コッカトライス】 ───……翌日。 凍弥 「………」 意識は覚醒していた。 制服に着替えて学校へ。 途中、パンを買って食う。 程無く学校に着く。 凍弥 「………」 鷹志 「よ、凍弥」 凍弥 「………」 鷹志 「……起きてるか?」 凍弥 「金返せ」 鷹志 「……いい天気だ……」 遠い目をして外を眺める鷹志。 凍弥 「コラ、無視するな」 鷹志 「重い冗談だ」 凍弥 「重くても構わん、返せ」 鷹志 「すまん、来週まで待ってくれ」 凍弥 「まあ、最初から期待してなかったけどな」 鷹志 「………」 複雑な表情をする鷹志を無視して席に着く。 ………その約10分後、来流美と由未絵が到着する。 由未絵「あ……凍弥くん」 凍弥 「………」 由未絵「ヒドイよ、先に行っちゃうなんて……」 凍弥 「ちょっと用事があってな……」 由未絵「あ、そうだったんだ」 鷹志 「んあ?何言ってんだ、お前、用なんて……」 ゴキィイン! 鷹志 「AAAAAAOOOOOOHHHH(ア゙ァアアアォオオゥウウウウ)
!!!!」 凍弥 「解ったら席に着け、先生来るぞ」 由未絵「う、うん……」 俺から離れ、席に着く由未絵。 鷹志 「て、てめ……!!なにを……!!」 凍弥 「いらんこと言おうとするからだ」 鷹志 「だからって……ハウウ!これは……ッ!!」 凍弥 「すまん、ボディ・ブローのつもりが、手元が狂った」 鷹志 「勘弁してくれぇ……ッ!!」 悲痛の叫びだった。 鷹志 「し、しかし意外だな。お前が支左見谷にあんな言い方するなんて……」 凍弥 「……ああ、面と向かって話せそうにないんだ」 鷹志 「ん?何かあったのか?」 凍弥 「……間接的に貴様が悪い」 鷹志 「そうなのか!?」 凍弥 「ああ、間違いだけは絶対無い」 鷹志 「………」 ───……。 ……。 昼。 いつもの様に由未絵が俺の席へ来る。 由未絵「ねね、凍弥くん!今日はなに食べる?」 恐らく、昨日の事など覚えていないのだろう。 しかし俺は別だ。 どんな反応すればいいのか解らない。 いつも通りに振る舞えない。 由未絵「もしよかったらさ、これ……」 凍弥 「……悪い、先約があるから」 由未絵「えっ……?あ……」 戸惑う由未絵を置いて、席を立つ。 凍弥 「行くか、鷹志」 鷹志 「ぬ?何処に……?」 ドムッ!! 鷹志 「うぼっ!?」 凍弥 「なに食う?」 鷹志 「レ、レタス盛りかな……」 凍弥 「じゃあ行くか」 鷹志 「お、俺の購買人気度No.1の絶!焼きそばパンがぁ!!」 凍弥 「いつかおごってやるから」 鷹志 「謝謝(シェイシェイ)」 立ち直りの早い奴だ。 由未絵「学食ならわたしも……」 凍弥 「お前、弁当持ってるじゃないか」 由未絵が抱えてるハンカチに包まれた弁当を指す。 由未絵「あっ……これは……」 凍弥 「じゃあな」 由未絵「凍弥……くん……」 ───……。 ……。 鷹志 「お前さ、いくら事情があってもあれじゃ支左見谷が可哀相だぞ?」 凍弥 「解ってるよっ!!」 鷹志 「おわぁっ!?」 いきなり張り上げられる俺の声に驚く鷹志。 凍弥 「くそっ……何やってんだよ俺は……!!」 鷹志 「……あの弁当さ、多分お前のために支左見谷が作ってきた物だぞ?」 それも解ってる。 あいつが弁当を持ってきた時は必ず俺に渡しにきた。 中学の頃。 初めて由未絵が弁当を作ってきたくれた。 何故?と訊くと『恩返しの一歩』と言って微笑んだ。 由未絵にとっては過去は大事な物だったんだろう。 何の恩返しかを問うと、一緒に居てくれてありがとうと。 そして、笑っていられるのは俺のおかげなんだ、と。 凍弥 「………」 何やってんだろうな、俺……。 鷹志 「おい、おい……凍弥……」 凍弥 「ん?あ……」 振り向いた視界に由未絵が居た。 由未絵「………」 凍弥 「由未絵……」 脅えた様な顔だった。 まるで初めて会った頃のように。 由未絵「凍弥くん……」 そして泣き出しそうな声で話す。 由未絵「何か……嫌われるようなことしちゃったなら……謝るから……だから……」 なんでだよ……。 もう俺なんかが一緒にいなくても笑ってられる筈だろ? あの頃とはもう違うじゃないか。 お前は強くなったよ。 テスト事件の時の怒ったお前見た時、そう思ったんだよ……。 それなのに……なんでそんな悲しい顔するんだよ……。 由未絵「わたしのこと……嫌いにならないでぇ……」 ついには涙がこぼれる。 鷹志 「おい……凍弥……」 解ってる。 俺が謝ればいいんだ。 勝手に壁を作ったのは俺だから……。 由未絵「わたしっ……謝るからぁ……」 由未絵が謝る必要なんてない。 だから…… 由未絵「……ぁ……」 俺は由未絵の頭を撫でた。 凍弥 「ごめんな……」 そして心からの謝罪。 由未絵「……う……ぇっ……」 俺の謝罪に応えようと、必死で笑顔を作る由未絵。 でも、溢れる涙は止まらなかった。 凍弥 「……無理しなくていいんだ。     俺と一緒の時は好きなだけ泣いていい。そう……約束しただろ?」 由未絵「ふ……うぅ……!うわぁああああああぁぁぁぁぁぁぁ……!!」 その日。 由未絵があの日以来、初めて大声で泣いた。 俺はそんな由未絵を抱き締めながら、涙が微笑みに変わるまで頭を撫でた。 ただ……他の生徒に見守られながらというのは、非常に恥ずかしかったりする。 ……… 屋上。 由未絵と一緒に段差に座り、弁当をつつく。 由未絵「美味しい?」 凍弥 「ああ、美味だ」 由未絵「よかったぁ……」 凍弥 「このリンゴなんて最高」 由未絵「凍弥くん……それ市販……」 凍弥 「冗談だ」 由未絵「うぅ〜……」 凍弥 「お前なら、いい嫁さんになれるよ」 由未絵「ふぇ……!?」 凍弥 「まあ、寝坊するんじゃ致命的奥方だが」 由未絵「凍弥くん……」 凍弥 「冗談だ」 由未絵「うぅ〜……」 凍弥 「確か、そろそろ誕生日だよな?」 由未絵「あ、うんっ!」 鷹志 「阿ーッ!!」 来流美「云ーッ!!」 凍弥 「おわぁっ!?」 由未絵「来流美ちゃん!?」 鷹志 「ハッ!?し、しまった!」 凍弥 「鷹志!お前……!!」 来流美「ああもぅ!橘くんが押すから!!」 鷹志 「なにぃっ!?霧波川が見せてくれんから!!」 凍弥 「オマエラッ!のぞき見に入って来たというわけデスカァーッ!!」 来流美「いやっ!違うのよ!ただ様子見に!!」 鷹志 「そう!どんなラヴが展開されてるかと……!」 凍弥 「ほう……」 鷹志 「……ハッ!?」 凍弥 「ただじゃあおきませンッ!覚悟してもらいマスッ!!」 由未絵「やっちゃえトラサルディーッ♪」 凍弥 「キィエエエエエ!!」 来流美「キィエエじゃないっての!!」 鷹志 「落ち着け馬鹿!」 凍弥 「問答無用!!」 あの少年の頃以来。 由未絵には色々な本を見せたが、料理人ということからトニオだけは覚えている。 憧れの人は味皇様らしい。 やっぱりどこか変な少女だった。 凍弥 「よし、帰るか由未絵」 由未絵「うんっ!」 こうして今日という一騒動は過ぎ去った。 鷹志 「お、俺って殴られ損!?」 そうでしょう。 ───……。 ……。 ───翌日の朝。 俺は目を覚ますといつもとはちょっと違った感覚に襲われた。 凍弥 「……ん〜……?」 何やら冷え込む。 凍弥 「寒いぞ」 体温を気にしながらもベッドから起き上がり、現在の時刻を確認する。 凍弥 「7時18分……」 イヤな時間帯だった。 本来ならばもっと眠れただろうが寒さに身を打たれた結果、 眠気など微塵にも残っていなかった。 凍弥 「なんだってんだ、この寒さは……」 カシャァッ!! 苛立ちながらカーテンを荒々しく開く。 すると窓が白く染まっていた。 凍弥 「………」 その窓を開けると、そこには白い世界が存在していた。 凍弥 「あ……」 雪。 一面に広がる白く輝く地面。 凍弥 「ハハ……道理で寒い訳だ……」 ガラァッ!! 不意に向かいの家の窓が開く。 由未絵「………」 由未絵だ。 凍弥 「よお、由未絵!」 俺は声高らかに朝の挨拶をした。 由未絵「……うや?」 うやじゃないっての。 凍弥 「寝ぼけてないで顔でも洗ってこい!!」 由未絵「……うん……」 窓も閉めずに歩いてゆく由未絵。 凍弥 「……大丈夫かよアイツ」 由未絵の将来について、不安を覚えた。 凍弥 「しかし……雪かぁ……」 俺の顔が自然と綻ぶ。やはり雪が好きみたいだ。 見るだけで幸せ気分だ。 凍弥 「ハハハ……」 自然と笑いがこぼれた。 しかし、綻ぶのも束の間。 由未絵「きゃぅううううううううーーーーッ!!!」 ドタバタドタバタ!! 階段を荒々しく駆け上がる音が向かいの家から聴こえた。 凍弥 「………?」 やがて開きっぱなしの窓から姿を見せる人影。 由未絵「ととと凍弥くん!雪だよ雪!雪が積もってるよーっ!!」 で、俺の顔を見るなり、いきなり叫んだ。 凍弥 「静かにしろ!こんな朝っぱらから叫ぶな!」 由未絵「だって雪降ると凍弥くんが笑うんだもん。     雪降らないと滅多に見れないから貴重だよ」 凍弥 「俺の笑い顔見て何が楽しい」 由未絵「あぁ、冬だな〜。って思えるのが嬉しいよ」 凍弥 「アホか……」 由未絵「わたしアホじゃないよぅ……」 そんなこんなでいつも通りな会話を由未絵と話していたら、 突然隣の家の窓がガラァッ!と開いた。 来流美「凍弥!雪よ雪!」 凍弥 「アホ2nd発見」 目が合うと同時に言ってやった。 来流美「何がよ!!」 凍弥 「ははははっ」 由未絵「あ……」 来流美「あ……」 由未絵「凍弥くんが笑ったぁ……」 まるで珍獣を見るような目だった。 来流美「やっぱり年に一度は見ないとね。雪見た時の凍弥ってホント、子供みたいだもの」 子供がオモチャを見るような目だった。 凍弥 「お前らなぁ……」 当の俺は呆れていた。 凍弥 「まあ立ち話もナンだ。ここはひとつ、雪遊びでもしながら……」 由未絵「うん、解ったよ」 来流美「オーライ」 凍弥 「じゃ、下に集合な」 由未絵「うん」 俺の言葉に由未絵が大きく頷いていた。 ……そう、次は雪の上で会う筈だった。 だけど───悲鳴が聴こえた。 それと重なるように……何かが階段を転げ落ちるような音が聴こえた。 凍弥 「……え……?」 向かいの家から叫び声が聴こえた。 凍弥 「………」 やがて救急車が呼ばれた。 話によると、由未絵が階段を踏み外して落ちたらしい。 ……現れるのは胸騒ぎばかりだった。 【ケース27:閏璃凍弥/そして分岐点へ】 ───…… 凍弥 「馬鹿」 由未絵「うぅ〜」 凍弥 「馬鹿」 由未絵「あぅぅ〜……」 凍弥 「馬鹿」 由未絵「はうぅ……」 俺は病院に居た。 さらに『馬鹿』と連呼していた。 由未絵「だ、だって……」 凍弥 「馬鹿」 由未絵「ふぇえ……」 凍弥 「お前、何やってんだよ……。     元々フラフラしてるような奴が急に張り切るからこんな事になるんだ」 由未絵「と、凍弥くんが遊ぼうって……」 凍弥 「俺は階段を転げ落ちろとは言ってない」 由未絵「はうぅ……」 凍弥 「……ま、軽傷で良かったよ。ただ体打っただけのような物だしな」 由未絵「腰がズキズキするよ……」 凍弥 「自業自得だ馬鹿」 由未絵「うぅー……」 凍弥 「……じゃ、俺は学校あるから。     養生しろよ、ボケ者。ただでさえ白い顔してるんだから」 由未絵「……ボケ者は言い過ぎだよ……」 凍弥 「気にするな。後で来流美も来るらしいから。それまで退屈してろって」 由未絵「……わたし、そんなに白くないもん。ちゃんと鉄分取ってるもん」 凍弥 「へ?……プハハハハハハ!!!」 由未絵「ど、どうして笑うんだよぅ!」 凍弥 「お前が真顔で冗談言うからだっ!」 由未絵「……嘘じゃないもん……」 凍弥 「ま、お前が冗談みたいなこと言うと笑えるって事だよ」 由未絵「それって誉め言葉……?」 凍弥 「そう聞こえるか?」 由未絵「全然」 凍弥 「そりゃそうだ。じゃあな、そろそろ帰るよ」 由未絵「えぇっ?凍弥くん看病してくれないの?」 凍弥 「当たり前だ、ここを何処だと思っている」 由未絵「……病院」 凍弥 「そういう事だ。俺がやらんでも病院側が面倒見てくれる。     大体すぐにでも退院出来るような奴をなんで俺が看病しなきゃならんのだ。     2〜3日、様子を見るだけなんだろ?」 由未絵「その場の勢いだよ」 凍弥 「却下する。当然のごとく却下する。どうしようもない程に却下する」 由未絵「ふぇえ……」 凍弥 「嘘泣きは止めろ」 由未絵「………」 凍弥 「まあいいか。じゃあな、ボケ者」 由未絵「あっ……」 凍弥 「ん?どうかしたか?」 由未絵「……えっと……さ。本当に駄目かな……」 凍弥 「何がだ?」 由未絵「……看病」 凍弥 「あのなぁ、子供じゃないんだから……」 由未絵「……そうだね……」 凍弥 「今度こそ、じゃあな」 由未絵「……うん」 そして俺は病院を後にした。 ───……。 ……。 ───そして約8時間後。 来流美    「雪の景色を眺〜めて〜」 由未絵    「そっと歌う私の勇気〜」 来流美&由未絵『あ〜んな〜にも楽しかった日々は今、静かに、雪に埋もれた〜♪』 凍弥     「やかましい!!」 由未絵    「だって退屈なんだもん」 凍弥     「だからって病院で歌うな!」 個室だから構わんだろうが、どちらにしたって迷惑だろ。 来流美「歌詞知らないからって愚痴らないの」 凍弥 「お前なぁっ!!」 由未絵「『雪景(せっけい)の歌』って言うんだよ」 凍弥 「そこ!真面目に答ない!」 由未絵「う〜……」 来流美「前にやってたドラマの主題歌なのよ。結構悲しい歌……」 凍弥 「んなことはどうでもいい。由未絵、コレ食わないなら貰うぞ」 由未絵「あっ、わたしのバナナ〜!」 凍弥 「俺が毒味してやる」 由未絵「か、返してよ〜!!」 凍弥 「病人が何を言う」 由未絵「看病してくれなかったくせに〜……」 凍弥 「あれはあれだ」 由未絵「うぅ〜……」 来流美「まあまあ、とりあえず寝てなさいって。     お見舞いの品は頂いておいてあげるから」 由未絵「嬉しくないよ……」 凍弥 「よし、何故かギンナンがある。割ってやるから食え」 由未絵「欲しくないよ〜」 来流美「あっはははははは!」 由未絵「二人して、いじめないでよ……」 凍弥 「いや、俺は安否を気遣ってだな……」 由未絵「うぅ〜、嘘だぁ……」 凍弥 「何を言う。アルティメット・マジモードだぞ」 由未絵「ふぇえ……」 来流美「凍弥……と〜ぅや……」 突如、来流美が俺に小声で語りかけてくる。 凍弥 「……どうした」 来流美「とりあえず、私はこれで帰るわね。     それと、一応病人なんだから。こんな時くらい甘えさせてあげなさいよ。     心配で心配で仕方ないけど恥ずかしかったからわたしを誘ったんでしょ?」 凍弥 「うぇっ!?なっ……バカ!!お、お前何言って……!!」 来流美「お〜お〜、慌ててる慌ててる」 凍弥 「お、俺は別に由未絵なんて……!!」 来流美「隠しても駄目よ。     昔、雪の降る中でアンタが由未絵に見とれてたの知ってるんだから」 凍弥 「ゲッ……!!お、お前……あれ見て……!?」 来流美「見てたわよぉ?大好きな雪と戯れる一人の少女に恋する少年!     思い出すだけでも腹がよじれるわよぉ」 凍弥 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」 来流美「あ、考えてみれば……あの頃あたりからだったっけ?     凍弥が雪を見ると笑うようになったの」 凍弥 「今すぐ立ち去れ!」 来流美「それでね、実はその時、記念写真を……」 凍弥 「撮るな!!」 来流美「冗談よ。じゃあね、凍弥」 来流美が笑いながら病室を後にした。 凍弥 「……ったく……」 由未絵「……あれ、帰っちゃったの?」 凍弥 「ああ」 由未絵「そっかぁ……」 『こんな時くらい甘えさせてあげなさいよ』 凍弥 「んなコト言われたってなぁっ……!」 由未絵「え?なに?」 凍弥 「気にするな」 由未絵「ん……変なの」 いや、俺は正常だ。 でも……そうだな。 たまにはいいか。 凍弥 「いいから寝てろ。リンゴ剥いてやるから」 由未絵「え……?」 凍弥 「なんだ、俺が看病するのは不服か?」 由未絵「えっ、そんなことないよっ!」 凍弥 「そうか、なら大人しく寝てろ」 由未絵「……うん!」 ───さてと。 このリンゴさまをどう料理……って、皮剥くだけだが。 ショリショリショリ…… 凍弥 「………」 ショリショリショリ…… 凍弥 「ムムム……」 ショリ…… 凍弥 「ぃよっしゃーっ!できたぞぉおおおおっ!」 リンゴの皮剥きの長さへの熱き挑戦。 出来た結果が、この長い皮だ。 美しい……!あまりの美しさに惚れ惚れしちまう。 凍弥 「うーん……既に世界記録かもしれん」 由未絵「凍弥くん、リンゴ……」 凍弥 「今度調べてみるか」 由未絵「リンゴ〜……」 凍弥 「お、そうだったな。後は半分に切って更に半分に……」 由未絵「………」 凍弥 「よし、ホラ食え」 由未絵「うん」 シャリ…… 由未絵「ぬるいよぉ〜……」 凍弥 「我が儘を言うな!」 由未絵「世界記録になんか挑戦するからだよぉ〜……」 凍弥 「漢の浪漫だ」 由未絵「うぅ〜……」 凍弥 「俺のぬくもりを味わうがよい」 由未絵「美味しくないよ〜……」 凍弥 「ま、それはそれとして、だ。他に何かして欲しい事はあるか?」 由未絵「たくさんあるよ……」 凍弥 「え?」 由未絵「え!?あっ、ううん!何でもないよ!ウン!何でもない!!」 凍弥 「………?」 由未絵「それよりもさ、来流美ちゃんと何を話してたの?」 凍弥 「……気にするな」 由未絵「秘密なの?」 凍弥 「秘密だ」 由未絵「うぅ〜……」 凍弥 「さてと……そろそろ消灯だな。俺も帰るかな」 由未絵「え?も、もうそんな時間なの?」 凍弥 「ああ、んじゃな、ボケ者」 由未絵「……あ……待って凍弥くん!」 凍弥 「ん?なんだ?」 由未絵「明日も……来てくれる?」 凍弥 「明日は学校終わったら即バイトだボケ者」 由未絵「そっ……かぁ……」 凍弥 「それだけか?」 由未絵「え……う、うん……」 凍弥 「そうか、ゆっくり寝ろよ」 由未絵「や、やっぱり待って!」 凍弥 「なンじゃいさっきから!!」 由未絵「えっと……仕事終わったら自由なんだよね?」 凍弥 「とっくに消灯だボケ者!!」 由未絵「ふぇえ……そうじゃなくて……。学校の教室で待っててくれないかな……」 凍弥 「何故(なにゆえ)!?」 由未絵「もっともっと、お話したいんだよ凍弥くんと。話せないのはヤダよ……」 凍弥 「そうか……って、お前は入院中だろうが」 由未絵「抜け出すよ」 凍弥 「やめとけ馬鹿、途中で見つかるのがオチだ」 由未絵「大丈夫だよ。本気出すから」 どういう理屈だ。 由未絵「何があっても必ず行くから、ね?」 凍弥 「却下」 由未絵「凍弥くんが来なくても抜け出すよ?それでもいいの?」 ぐはっ、これは脅迫だぞ……。 どうする……!? 1:素直に納得し、由未絵の要求を受ける(本編) 2:いや、抜け出す以前に眠りそうだし……ここは俺が───(if) Menu back