───準備中の戯言/キンコンカーンのススメ───
【ケース13:晦悠介/アズマシンボリ】 エネル「……あのな、ルナ。俺は壬無月斬紅郎だった筈だが……」 ルナ 「だって悠介のシンボルって雷なんでしょ?雷っていったらエネルじゃない」 エネル「………」 頭が痛かった。 とまあそんなわけで、早朝に連絡があったことに頷いた俺は用意を万端に整えていた。 電話というのは原中の丘野から。 休みが取れたから猛者ども全員で遊びに行くと連絡があったため、 かつて結婚式で着ていた斬紅郎の衣装に変身しようと思ったんだが、 ルナに止められてエネルになってしまった。 ……いや、べつに嫌なわけじゃない。 むしろ雷がシンボルの俺にしてみれば、普通に雷を使用していい姿はありがたい。 けど上半身裸というのは流石に恥ずかしいわけで。 耳も無意味に長くしたし。 髪は金色だが───断っておくが染めたわけではない。 状態を神側に傾けて、髪の毛の色を金色にしているだけだ。 エネル「……ふむ」 一応背中から太鼓が生えてるし、頭には白いバンダナのようなものも巻いてある。 ズボンは黒と黄色を混ぜた虎ガラのようなダボズボン。 足はもちろん素足で、手には黄金の棍。 この棍、実はラグである。 エネル「まあ……変身願望があるのはどうやら昔かららしいし」 時折、自分の中にヘンなスイッチが入る時があるのはよく知っている。 そのどれもが校務仮面の時だのなんだので、ともかくなにかの真似をしている時だ。 だからまあ……こうしてエネルになったのも何かの縁。 ここはひとつ、思い切りハメを外してみよう。 エネル「……コホン。ィヤッハッハッハッハァッ!!!」 ルナ 「うひゃっ!?」 突如としてエネル笑いをしてみた。 効果は……ルナが驚いた。それだけだ。 エネル「……なぁルナよ。やっぱり俺にエネルは無理だ」 ルナ 「わ、いきなり諦めた。どしたの?不満でもあった?」 エネル「相性の問題だ。これはどちらかというと彰利の方が似合う」 ルナ 「相性で言うなら悠介だって雷属性だし……」 エネル「言葉が足りなかった。性格面での問題だ。エネルみたいな性格は彰利が丁度いい」 ルナ 「むー……うん、確かに」 少し悩まれたものの、あっさり納得された。 さすがだ彰利。 ルナ 「じゃあ悠介どうするの?やっぱり斬紅郎?」 エネル「いや、ここは校務仮面でいこう。あっちの方がもう慣れた」 ルナ 「……わたしにはあっちのノリの方が未だ解らないけど……」 エネル「じきに慣れる。というわけで、校務仮面が出ます」 イメージを解放して仮面を創造。 エネルの着衣にイメージを流して瞬時に書き換えると普段着にし、校務仮面を被れば完成。 校務仮面「……ふう、やはり校務仮面は落ち着く」 ルナ  「ねーねー悠介ー?夏にそれは熱いと思うよー?」 校務仮面「冷房完備だ」 ルナ  「うわ……本当になんでもありだー……」 ガササ、と校務仮面を揺らしながら受け答えをする。 この感覚も十数年ぶりだ……おお懐かしい。 校務仮面「で、お前はなににするんだ?」 ルナ  「わたしはべつにこのままで───」 校務仮面「だめだ」 ルナ  「早ッ!うー……じゃあなにを着ればいいのかな、解らないよわたし」 校務仮面「深冬が気に入ってるゲッペタンあたりがいいんじゃないか?      等身大着ぐるみとして創造するぞ」 ルナ  「絶対にヤ」 当然の返事だな。 深冬も、どうしてあんなものを気に入ってしまったのやら。 彰利の手作りで、 憲さんの真似してあからさまな偽腹話術を実演されて以来気に入ってしまったんだが、 何度考えても感性が理解出来なかった。 あの奇妙な物体の何処に惹かれる要素があったのやら……。 ……深冬の好物がその日以来焼肉(カルビ)になったのは偶然だと信じたい。 校務仮面「よしルナ、まったくの思いつきだがキンコンカーンになれ」 ルナ  「どうしていきなりそんな方面になるの?」 校務仮面「まったくの思いつきだからだが」 他に理由が無い。 ルナ  「本当、悠介って校務仮面になると性格変わるよね。      普段はあまり自分から人に干渉しようとしないのに」 校務仮面「校務仮面だからな」 ルナ  「答えになってないってば」 校務仮面「というわけでほら、これ付けて変身って叫べ。      猛者どものことだ、そろそろ来るぞ」 ルナ  「あ、う、うん。えっと……っと。それじゃ、変───ってちょっと待った」 校務仮面「チッ……」 ルナ  「悠介!?な、なにかな今のチッて!!なんで目を逸らすの!?悠介!?      気になったんだけどこれなんの変身腕時計!?ねぇ!!」 校務仮面「キンコンカーン」 ルナ  「危なッ!!ゆーすけ自分の妻になんてもの渡すの!?」 校務仮面「キンコンカーン変身時計」 ルナ  「こんなのじゃなくてもっとステキなのがいい!こんなのはヤー!」 こんなの呼ばわりか……悲しいなキンコンカーン。 校務仮面「解ったよ……じゃあなにがいいんだ?      妻の頼みを聞いてやるのは夫の務めらしいからな……言ってみろ」 ルナ  「え?え、えっと……」 校務仮面「そうか、魔法少女メガロンか。お前も趣味が彰利みたいになってきたなぁ」 ルナ  「誰もそんなこと言ってない!ていうかメガロンってなに!?」 校務仮面「ふたりの死神に裏拳で破壊された伝説の人形だ」 ルナ  「縁起悪いから他のがいい……」 死神に縁起の良し悪しもないものだが……。 校務仮面「じゃあこれなんかどうだろうか。ちょっと腕に嵌めて変身って言ってみてくれ」 ルナ  「?なにに変身するの?」 校務仮面「そりゃ変身してからのお楽しみ」 ルナ  「………」 校務仮面「………」 ルナ  「………………悠介?なんで目を合わせようとしないの?」 校務仮面「校務仮面だからだ」 ルナ  「理由になってないわよぅー!どうせまたキンコンカーンでしょ!」 校務仮面「エ、エスパーか貴様!!何故解った!!」 ルナ  「……普段、悠介がどういう目でわたしを見てたのかが解ったよ……」 校務仮面「お前は能天気死神だからな、      どういう目で見られてたのかを今さら気づく分、馬鹿でたわけアンポンタンだ」 ルナ  「うぅうう……そりゃ、死神のこと以外は詳しくなかったのは確かだけど……」 校務仮面「ったく……解ったよ。結婚式と同じでいいか?」 ルナ  「結婚し終わったのにウェディングドレス着てたら変人さんじゃないかな」 校務仮面「じゃあキンコンカーンで」 ルナ  「……思ったんだけどさ、ゆーすけ?      なんでそんなにキンコンカーンにしたがるのかな」 校務仮面「?知らん」 ただそんな気分だったからとしか言いようがないが。 校務仮面「じゃあそうだな……無難なところでキンコンカーンでいいか?」 ルナ  「ゆ〜すけ〜……」 校務仮面「だぁもう……解った、解ったからそんな情けない顔するな……」 溜め息とともに変換した腕時計をルナの手にポムと乗せる。 まったくいつまで立っても子供っぽいところは直らない死神だ。 ルナ 「悠介が悪いんだよ……ヘンなことばっかり言うから」 言いながら腕に時計を嵌めるルナ。 そしてついに時計を構えて変身という言葉を─── ルナ  「……待った。これ、なんの変身時計?」 校務仮面「………」 ルナ  「ゆーすけぇえっ!!!」 校務仮面「うわ馬鹿っ!怒るな!暴れるなっ!!      キンコンカーンのなにが気に入らないんだお前はっ!!」 ルナ  「悠介こそキンコンカーンのなにが気に入ってるのよぅ!!」 校務仮面「馬鹿お前、俺はべつに気に入ってるんじゃない。ただ楽しんでるだけだ」 ルナ  「悠介?それってわたしにとってはとてつもなく迷惑な話だって解ってる?」 校務仮面「解ってなけりゃ言わないが……はぁ、解ったよ。何がいいんだ?      大体お前がなににしたいかをさっさと言わないからキンコンカーンがだな……」 ルナ  「むー……じゃあ山本元柳斎重國」 校務仮面「……どうしてそこで思い切り渋いキャラが出てくるんだ……ああ解った、ほれ」 イメージを弾かせ、ルナの腕についている腕時計を変換させる。 ルナ  「ん、それじゃあ───」 校務仮面「……!!」 ルナ  「…………」 校務仮面「ど、どうした?変身しろ」 ルナ  「いや……どうしてそんなに期待を込めた視線を送ってくるのかなー、って」 校務仮面「そりゃお前、キン───なんでもないぞ?      俺に構わず変身しろ。キン───山本総隊長に」 ルナ  「その『キン』ってなんなの……?」 もちろんキンコンカーンだが。 ルナ  「あー……えっと、悠介?自分の妻をキンコンカーンにしてどうするつもり?」 校務仮面「盛大に笑う、というのはどうだろうか」 ルナ  「……想像出来ないんだけど」 校務仮面「まったくだ」 自分が思い切り笑うのを想像出来ないのも珍しいものだが…… これでも大笑いしたことは何度かある。 何度か。ほんとに数えられる程度だが。 校務仮面「んー……」 ルナ  「悠介?」 校務仮面「よし、じゃあ俺は精霊の法衣を装着しよう。      精霊状態になると自然に出現するやつを分析したものだ」 言うや否や校務仮面を外した俺は、すぐにイメージを解放。 精霊の法衣に身を包んで一息ついた。 ルナ 「ほえ……すごいねー、力が溢れ出してるのが解る。服だけの力なの?それ」 悠介 「ああ。そしてお前はキンコンカーンに」 ルナ 「やー!のーもあキンコン!!そんなの要らないわよぅー!!」 物凄い嫌われ様だった。 ルナ 「と、とにかく。どうせみんな衣装着てギャアギャア騒ぐのよねー?     だったらさぁゆーすけー?     竜人の角とか翼とかも出した状態でいいんじゃないかなー」 悠介 「……じゃあ魔竜人状態で」(死神+竜人) 力を解放するとともに、髪が銀色になり目が紅蓮に染まる。 もちろん角と翼は出てる。 ルナ 「えと、べつにただの竜でもいいと思うんだけど」 悠介 「なんだったら神竜人状態でも」(神+竜人) 力を変換すると髪が金、目が蒼になる。 ルナ 「そうじゃなくて……」 悠介 「神魔竜人の方がいいか?」(神+死神+竜人) ルナ 「じゃなくて……」 悠介 「霊竜人か?」(精霊+竜人) ルナ 「……あのね、悠介?聞いてる?」 悠介 「神魔霊竜人か?」(神+死神+精霊+竜人) ブワァッ!! ルナ 「ほわっきゃぁあっ!!!?ちょ、悠介!?     ちかっ……力の波動だけで吹き飛ばされそうになるから!引っ込めて!早く!!」 悠介 「ふむ……」 解放した力を納めた。 どちらにしろこの十八年の間、深冬の相手をしている時以外はとことん修行した。 それゆえに持っている力も引き出すだけ引き出せたし、 守りたいと思っているものも今までは守れているつもりだ。 あと完了していない修行といえば…… 悠介 「………」 ルナ 「悠介?」 ひとつだけある。 死神王状態の彰利に一言言われたあの言葉の先のものが。 けど───それは恐らく、俺自身が苦手とするものだと思う。 それゆえに至れない。 未だ至れていないのだ。 ルナ 「……あれ?」 悠介 「ルナ?───?」 ふと、小さくだけどなにか違和感というか……妙な気配を感じた。 ずっと遠くだ。 少なくとも月詠街じゃない。 けどすぐに小さくなって、気配は消えた。 いや、消したのか……? 悠介 「…………」 ルナ 「なんだったんだろ、今の」 悠介 「さあ。すぐ消えたし、まあなんでもないだろ。それよりお前はどうするんだ?     いい加減どんな格好するか決まったか?」 ルナ 「…………えっと」 悠介 「よしキンコンカーンだ」 ルナ 「それだけは絶対にヤー!!」 なんにせよ、数年ぶりの猛者どもとの再会には俺も心が躍っているのかもしれない。 素直に心の高揚を感じられるのが、なんだか気持ち良かった。 ……まあ、どんなことになるかは別として。  チリンチリーン♪ 声  「竜ちゃーーん!居るーーーっ!!?」 とかなんとか考えているうちに聞こえる親友の声。 それに次いで、中井出……というか提督の声と綾瀬の声が聞こえた。 さらに篠瀬の声も。どうやら空界の方の人物は既に招いていたようだ。 悠介 「ホレ、さっさと決めろ。どんなのにするんだ?」 ルナ 「ま、待ってよ悠介ー、よく考えてみよ?     これで変身していったとして、みんなが変身してなかったら恥だよー……?」 悠介 「安心しろ。原中の猛者どもに限って、     変身出来るものがあるというのに変身しないなどという愚行はしない」 ルナ 「うあ……物凄い奇妙な信頼」 原中だし。 悠介 「ほら、どんなのがいいんだ?キンコンカーンか?それともキンコンカーンか?     ……ああ、キンコンカーンってのもいいな。意外性でキンコンカーンとか。     いやまてよ?キンコンカーン……いや、キンコンカーンにしよう!うむ!」 ルナ 「全部同じだわよぅー!!」 悠介 「文句があるならとっとと決めろたわけっ!!」 ルナ 「ぶーぶー!ゆーすけおーぼー!!これは立派な脅迫なのよぅー!!」 悠介 「お前の意見を優先するつもりだから強制変身させないんだろうが!」 ルナ 「うぐ……だ、だっていきなり言われてもー……」 悠介 「なんかもう面倒だから“鉄壁タロス”あたりでいいか?」 ルナ 「露出高い服はヤー……」 悠介 「まったくだ。じゃあ消去法でキンコンカーンに」 ルナ 「……ちょっと待って悠介。キンコンカーンも相当に露出度高いよ?     確か上半身が裸だったでしょ。プロレスだし」 悠介 「妙な勘違いをするなたわけ。顔にキンコンマスクを創造するだけだ」 ルナ 「……それはそれで物凄く嫌そうだね」 嫌そうだね、じゃなくて嫌だろう。絶対。 悠介 「…………ふむ。“時操反転(プリーヴィアス)
”」 ふと思い立ち、額に手を当てて言を唱えると猫に変化。 久しぶりの猫視点になったところでいろいろと創造し、 未だ棍のままだったラグを小さなレイピアに変えた。 身体には黒マント、足には黒いブーツ、頭には黒いノビリティーハット…… ようするに死神の黒衣を纏った状態の猫となり、ニヤリと笑った。 ルナ 「悠介?それって……」 世界猫「長靴を───履いた猫だ!!」 俺はあたかもシュレック2に出てくる長靴を履いた猫のように レイピアをピピンと振って構えると、声高らかに名乗った。 丁度毛並みも色も同じだし、文句は無い。 世界猫「というわけで貴様もさっさと決めろ」 ルナ 「うー……じゃあ……」 ───……。 ……。 世界猫「というわけで、こいつの変身が遅い所為で遅れた」 シスカ「悠介がキンコンカーンに拘った所為だと思うなー、わたし……」 ロビン「………」 蒼空院邸から出ると、そこにロビンとカルガラとノーランド、そしてペンギンが居た。 で、ロビンはシスカとなったルナを見るに至り、小首を傾げている。 ロビン  「ルナっち、なんの真似?」 シスカ  「エレメンタルジェレイドのシスカ」 ロビン  「……シスカにしちゃあ身長あるねぇ」 世界猫  「俺もそう思ったんだけどな」 カルガラ 「で、晦のそれは……」 ノーランド「シュレック2の長靴を履いた猫?」 世界猫  「おお、話が解るな綾瀬。いやむしろノーランド」 ノーランド「……綾瀬でいいから」 ノーランド……綾瀬が俺の頭にあるステキハットを触りながら言う。 ステキハットと言っても、テンガロンハット……とはまた違った、 FFの赤魔道士あたりが被っている帽子を黒くしたような帽子だ。 尖がってはいないが。 貴族帽子と言えばいいのか?難しいところだ。 カルガラ「もちろん爪攻撃も至高の一品か?」 世界猫 「長靴を履いた猫だからな」 正直、中井出に見せてもらったシュレック2の長靴を履いた猫は素晴らしかった。 特に剣捌きと、爪攻撃。 こう……シャキン!と爪を出したと思ったら『ニャア!』と叫んで足に爪を突き立てる。 あの場面はかなりお気に入りだ。 猫モードの時の声が思いっきり猫だから最高だ。 世界猫「じゃあ最後に確認だ。お前らその格好でいいか?」 ロビン「えーと……出来ればピエロになりたい」 世界猫「お前は十分ピエロだよ……」 ロビン「そういう意味じゃねィェーーーッ!!ピエロよピエロ!解るでしょ!?     世界レベールのピエロになりたいのさー!!」 世界猫「よし、じゃあロビンはドナルドに決定ってことで」 ロビン「むごっ!?いやいやちょっと待って!     確かにドナルドも世界レベルのピエロだよ!?でもそれって物凄い差だよ!?」 世界猫「ええいやかましい、だったらこの腕時計つけて変身しろ」 ロビン「なんの変身時計?」 世界猫「………」 シスカ「………」 ロビン「あの……なんで黙るのさ。まあ、変身してみりゃ解ることか。変し───!!」 世界猫「キンコンカーンじゃないぞ?」 ロビン「うおお危ねぇ!!     つーか俺『キンコンカーンか?』だなんて一言も訊いてねぇ!!」 叫んでゴシャアと腕時計を地面に捨てるロビン。 ロビン「なんてモン渡すんだ親友てめぇ!!」 世界猫「お前なら似合うと思ったんだが」 ロビン「嬉しくねぇ!!久しぶりに訪れた遊園地で肩叩かれて振り向いたら     相手が遊園地のマスコットキャラだったことに驚くくらいに嬉しくねぇ!!」 世界猫「ああ……俺も相手がアッキーマウスだったらとても嫌だ」 ロビン「それは忘れなさい!!つーかそれ夜華の記憶のことでしょ!?」 世界猫「卍解修めたあとに意識調査してたら記憶の中にあってな……。     どうにも強烈に覚えていたらしくて、見たくもなかったのに見せられたぞ……?」 ロビン「え……あ、いやその……ゴメンナサイ」 それももう随分前のことだ。 卍解を修めた篠瀬が、 死神状態の自分はどのような特徴と短所と長所があるのかを教えてほしいと言われた俺は、 篠瀬の意識調査をした。 俺や彰利がリヴァイアにしてもらっていたのと同じものだ。 その時に目についてしまったのがアッキィーマウスの出来事だが…… 苦笑するしかなかったな、あれは。 ペンギン「……あれは出来れば封印したい記憶ではありますが」 ペンギンがゴソゴソと動きながら呟く。 やはり中身は篠瀬らしい。 などと思っていた時、視界の外から声を掛ける人物が居た。 櫻子 「あらあら、みんなでお出かけ?」 ニコリと微笑みその人はご存知、蒼空院櫻子さんだ。 俺達の事情を知っている分、こんな姿でもなにも疑問を抱かないのが流石だ。 世界猫 「ちょっと友の里まで。まあ……二度目の同窓会みたいなものか?これ」 カルガラ「言いえて妙……確かにそんなところかも。      とりあえず俺への認識は今まで通り中井出でいいからな?」 世界猫 「そうか?残念だ」 中井出 「残念がらんでいい」 カルガラ改め中井出がハフゥと息を吐く。 そんな中、櫻子さんはペンギンを見て微笑む。 ペンギン「うわゃ……え、えぇとその……あまり見てほしくないのですが……」 櫻子  「まあまあ、篠瀬さんたら可愛くなっちゃって……。似合っているわよ?」 ペンギン「うう……素直に喜べない……」 世界猫 「ペンギンになってみたいって言ったのはお前じゃないか」 ペンギン「悠介殿……後生ですから他のものに変えていただけませんか……」 世界猫 「そんな篠瀬にキンコンカーン」 ペンギン「……何故だが物凄く嫌な予感がするのでやめておきます」 スキル:危険感知が発動。 篠瀬は危機を回避した。 ロビン「夜華はペィングィン様で十分だって。それより俺をピエロに」 中井出「なんで言い方がティンズィン様風なのかは知らんが」 ロビン「気にすんな。つーわけで俺をピエロ=ボルネーゼにしてくれ。     ロビンって実は珍妙なことは平気でするけど、得意なことって特に無いんだわ」 麻衣香「やると言ったら蟹股フルチン回転とかガラスをベルに変える力とかだしね……」 中井出「麻衣香……あまり女がフルチンとか言うな……」 麻衣香「心配してくれてるんだ」 中井出「〜〜……当たり前だ、ったく……」 頭の上にフキダシ描いてモジャモジャを描けばきっと似合いそうな表情で言う中井出。 やっぱりいろいろあるらしい。 まあ、無ければおかしいくらいだが。 世界猫「あー……じゃあ適当に変換していこう。篠瀬は───そうだな」 イメージを篠瀬のペンギンスーツにぶつける。 するとすぐさまに変換され、ペンギンスーツが剣士のものへと変化する。 ロビン「オオッ!風来のシレン外伝、女剣士アスカ見参!のアスカだ!」 夜華 「……これは……ペンギンなどよりよっぽど動きやすい……」 世界猫「で、ロビンは……そのままでいいだろ」 ロビン「なんで!?」 世界猫「中井出はどうする?」 中井出「俺はカルガラのままでいい」 世界猫「綾瀬は?」 麻衣香「わたしもノーランドでいいや。望むものも特に無いし」 世界猫「そか。ルナはどうする?」 シスカ「えーと……」 ロビン「アークエイルって感じじゃないよね、ルナっちって。死神だし」 世界猫「そう、俺もそう思ってた。     だからキンコンカーンを奨めたんだが、こいつ嫌がるんだ」 シスカ「誰だって嫌がるってば!!」 世界猫「おかしなもんだよなぁ。閏璃なんてテウーチ・ソバットだぞ?     あんな誰も覚えてないようなものに変身するヤツまで居るのに、     どうしてキンコンカーンを拒むヤツが居るのか」 麻衣香「感性の違いでしょ……」 まったくだった。 ロビン「ちなみにテウーチ・ソバットっつーのはOH!Myコンブに出てきたマッスルだ。     手打ちそばというか……うどんだったっけ?     ともかく箸で持ち上げると箸が折れるほど重たく太いうどんかそばを作ってた」 世界猫「説明は要らん」 ロビン「俺も言って後悔した」 世界猫「まあそれは忘れるとして。じゃあルナは羅将神ミヅキでいいか?」 ロビン「オオッ、そういえば黒髪で長髪だから似合うかもしれん!     巫女服は超絶似合わんけどね。     うん、死ぬほど似合わん。死神のくせに巫女服とは。     巫女服に憧れしか抱いてなかったおなごが巫女服着て騒ぐくらい似合わん。     さらに言えば黒髪以外のおなごが巫女服着るくらい似合わん。     メイドさん独立愛好者の俺に言わせてもらえば、     和服に割烹着つけてる人を女中と呼ばずにメイドさんと呼ぶくらいたわけてる」 シスカ「ほっといてよ」 ともあれ変換を実行。 ラグを握って賢者の石の効果を発動させ、イメージをぶつけて文字の羅列を書き換える。 するとシスカ服だったルナの格好が羅将神ミヅキのものへと変わった。 しっかりと玉串も持っている。 ロビン    「オオッ、これは見事な〜〜〜っ!!」 中井出    「『アンブロジャッさンま〜〜っ!!』って言ってみてくれ!」 ミヅキ    「ヤ」 ロビン&中井出『グ、グウムッ……!!』 一言で打ち捨てられたロビンと中井出は、どこぞのチンピラのように唸った。 世界猫「じゃ、準備はいいな?」 ロビン「はいはいはーい!俺まだロビンのままなんですけどー……」 世界猫「キンコンカーンならそこに落ちてるぞ?ロビン以外になりたいなら是非使え」 ロビン「要らんよそんなもん!俺はピエロ=ボルネーゼになりたいの!!」 “そんなもん”扱いだった。 所詮キンコンカーンか。 世界猫「ロビンよ……お前は十分ピエロだよ……」 ロビン「だからそういう意味でのピエロじゃねぇって!!     いいから俺をボルネーゼにせい!!世界レベールのピエロに!!」 世界猫「じゃ、行こうか」 総員 『おーっ!』 ロビン「いや『おーっ』じゃなくて!ピエロ!俺をピエロに───待て!待つんだ親友!」 中井出「ここらでステキな乱入者でも居ないもんかね。ホラ、えーと……乱闘殿様とか」 世界猫「無理だな。今はまだ神界に居るらしい。     神獣王の話じゃあ今年の冬に地界に降ろす予定らしいけど」 中井出「今年の冬か。そりゃ会えんな」 麻衣香「一度、ナマ殿様見てみたかったんだけどね」 世界猫「ナマ殿様って……」 ロビン「聞けてめぇ!無視!?また無視なの!?貴方っていつもそう……!     結局アタイの身体だけが目当てだったのね!?」 中井出「ロビンが変態オカマホモコン状態になってるが?」 世界猫「無視だ」 ロビン「ひでっ!?」 ギャアギャア騒ぐロビンを無視し、俺達は一路、友の里へと歩み出したのだった。 Next Menu back