───モーニングスター/猫とカモノハ、ジャックとシコルス───
【ケース14:霧波川柾樹/くすぶるハートを打っ潰せ五形頭(げげつぶり)
】 柾樹 「ご馳走さまでしたっと」 自分で作り、一晩寝かせたカレーを食し終えた俺は食器を流しに置いて一息。 起きた刹那も食事を終え、ゲフゥとゲップを吐いている。 刹那 「いやはや、初めて作ったけどルーがあればなんとかなるもんだな」 柾樹 「ルーといえば……刹那は知ってるか?     インドにはカレーのルーなんて無いんだってさ」 刹那 「へ?なんだそれ。カレーの本場ってインドだろ?」 柾樹 「カレーっていうのは元々スパイス料理なんだってさ。     だからルーなんていう固形物は存在しないんだって」 刹那 「あ、あの味をスパイス配合だけで生み出してるってのか!?」 柾樹 「そうらしいよ。     ルーから作ってる俺達にしてみればちょっと信じられないことだけどさ」 刹那 「馬鹿な……」 刹那はカレーが入っている鍋を見ながら唖然とした表情をしている。 よっぽどショックだったらしい。 柾樹 「と、それはそれとしてさ。なんなんだろうね、外の方が騒がしいけど」 刹那 「友の里方面だろ?心当たりはあるか?」 柾樹 「えっと」 ある、といえばある。 さっき来たロビンマスクだ。 あの人が言っていたことが真実なら、友の里は超人軍団とやらに占拠されることになる。 改めて考えてみたら、すごいことなんじゃないだろうか。 でもあんなヘンな人が友の里を占拠……?信じられないけど、軍団って言ってたしなぁ。 ああもう考えるのヤメ。 柾樹 「友の里に行ってみよう。まずはそれからだ」 刹那 「だな。ところで豆村は?」 柾樹 「朝起きたらもう居なかったよ。深冬ちゃんのところに戻ったんじゃないかな」 刹那 「そか」 腰を持ち上げた刹那と一緒に家を出て、真っ直ぐに友の里へと向かった。 さて……どんなことが待ち受けているのやら……。
【Side───穂岸遥一郎】 コンコン。 サクラ「カムイン」 遥一郎「こらサクラッ!ヘンな応対するなっ!」 サクラ「みぅ……」 それは、朝八時ニ十三分に訪れた。 突然のノックと、何故か身に降りる緊張。 精霊だったかつての自分の感覚で思うに、ドアを開けた先にはなにかがある。 夏休みというか、八月一杯は友の里の部屋に泊めてもらえることになった俺達が、 広い部屋に案内されたのが八月一日。 それ以来、こんな緊張は初めてだった。 澄音 「ん……三人くらいかな」 遥一郎「解るのか?」 澄音 「はは、足音でなんとなくね。憶測だからきっと当たらない」 苦笑気味に言ってみせるが、俺も多分三人だと思う。 レイラ「澄音さん、どうするんですか?」 澄音 「どうもしないかな。言ってみれば開けてみるしかないと思う。     もう返事しちゃったから居留守なんて使えないしね」 ノア 「えぇそうでしょうとも。     どこぞの能天気馬鹿があっさりと返事してしまうからこんなことになるのです」 サクラ「与一のことになると周りが見えなくなる     『恋は盲目ヘタレメイド』に言われたくないです……」 ノア 「言うようになりましたねサクラァアッ……!!     あなたこそ天界人なのに     地界の極道なんかに惚れ込んでいるポケポケのくせに……!!」 サクラ「いつまでも子供じゃないです」 ノア 「……だったらまず、その口調を治すことを奨めますよ。     いつまでも子供っぽいったらありません」 遥一郎「あーこらこら、喧嘩はしないように……」 いきなり喧嘩を始めるサクラとノアを宥め、どうするか、と蒼木に向き直る。 澄音 「やっぱり開けてみるしかないと思うよ?」 遥一郎「そっか……。まあ危ない橋だとしても、     こっちにはガッデムが居るからなんとかなるか」 雪音 「ふかー……すみすみすみ……」 澄音 「あはは……寝てるみたいだけど」 遥一郎「………」 割り当てられた部屋は地域ごとに一緒くただった。 だから俺、サクラ、ノア、蒼木、レイチェルの姐さん、観咲は同じ部屋。 とはいえ……全員起きているっていうのに どうしてこいつはこうも穏やかに寝ていられるのか。 しかも滅茶苦茶寝相が悪い。 遥一郎「………」 とりあえずティッシュでコヨリを作り、幸せな顔で寝ているガッデムの鼻を擽った。 すると─── 雪音 「ひっくちっ!!」 ガッデムとは思えない可愛らしいくしゃみとともに、その瞳は景色を視界に留めた。 雪音 「ふにゃ……?あ、あれ?アントニオ=ホドリゴ=ノゲイラは……?」 どんな夢を見ていたんだろうか。 雪音 「あ、ホギッちゃん聞いて?     今ね、アントニオ=ホドリゴ=ノゲイラがアントニオ猪木の真似して……」 そして訳が解らない話題を俺に振らないでくれ。 遥一郎「観咲……お前にお客人だ」 雪音 「え?あ、あれ?ここ何処?なんでホギッちゃんがわたしの部屋に……」 遥一郎「お前、それ言うの何度目だ……?いいから出ろ、客人だ」 雪音 「むむ……?」 頭を捻りながらも、てほてほと襖の方へ歩いてゆく観咲。 こういうところは非常に素直だ。 やがて───スゥ……トンッ。と、観咲の手によって襖が開けられた。 途端───スパパパパァンッ!!! 雪音 「ふきゃああっ!!?」 炸裂するクラッカー。 観咲は完全に不意打ちをくらい、またもや奇妙な絶叫を放つ。 しかもその場にへなへなとへたり込んでしまった。 ……腰、抜けたか? アナカリス「我、降臨セリ」 その先から現れたのは───何故かアナカリスだった。 奥にはドン・観音寺と望月双角が居る。 真実三人だったわけだが、そのどれもが予想を遥かに超越した軍団だった。 観音寺「スピリッツアァーーーッ!!オォーールウェーーイズウィズッ!!     イィイイイイユゥウウウーーーーーーーーーッ!!!!!」 双角 「えーと……大丈夫?観咲さん」 ゾロゾロと入ってくる三人は何処かで見た出で立ち……というか、雰囲気を持っていた。 というかこの無理矢理にでもノらせようというノリは間違いない……。 遥一郎  「えぇと?原沢南中学校の卒業生と見受けるが……」 アナカリス「我ハハハハハ丘野ナリナリナリナリ……」 観音寺  「田辺だ」 双角   「桐生真穂です」 遥一郎  「………」 そういえば最初の集まりの時に見かけなかったな……。 しかしだからって仮装して来襲するのはどうかと思うが。 遥一郎「一応、もう年齢は戻してもらったのか」 真穂 「あははー、若いっていいねー」 丘野 「まだまだ現役じゃ」 田辺 「タン・フー・ルーの真似はいいってシャチョー」 丘野 「シャチョーはやめてくれ田辺よ……なんにせよ、久しぶり。     結婚式以来だから十八年ぶりくらいか」 澄音 「うん、久しぶり。その格好はあの時のままのものなのかな」 遥一郎「いや待て蒼木……まずツッコムところが他にいろいろあるだろ……」 澄音 「……?なにかあるかな」 遥一郎「……いや、いい……」 本気でキョトンとされてしまったなら、もうなにも言うまい……。 丘野 「ああほら、十八年前、晦に記念だって言われて変身時計貰っただろ?それだよ」 雪音 「あ……そういえば。これだよね?」 スチャリと腕時計を見せる観咲。 この時計、他のどんな時計よりも機能が優れているため、普通に使うのもアリなのだ。 もちろん『この時計』と喩えるからには俺の腕にもついている。 どんな場所でも狂わないコンパスと血圧計と変身機能搭載。 さらに電池交換要らずで永久使用が可能で、竜が踏んでも壊れない耐久性を持っている。 もうひとつオマケを言うならば、健康管理&促進効果もあり…… 病気になった場合はそのウィルスを分析し、抗体をあっさり精製して身体に流してくれる。 血圧が乱れれば血液をサラサラにしてくれるわ、血圧を安定させてくれるわ、 番号を合わせれば、同じ時計を持っている人と交信も出来るという優れもの。 しかも交信の際、相手の顔さえ映像が現れて見れるということで…… つまり、これを一度でも使ってしまえば他の時計など使っていられないわけだ。 本当に、とんでもないヤツと知り合いになったものだ。 ああ、後悔はまるでないが。 丘野 「今さ、広間の方で仮装パーティーしてるから。     もし来るんだったら変身してきてくれ」 遥一郎「ああ……それは、下の方が大変なことになってるだろうな……」 俺達が泊まっているこの部屋は二階にある。 この友の里自体、豪邸みたいに相当に広い場所だが、 それ故にひとつの部屋の広さも凄まじい。 こんな広さを少人数で捌いているんだから尋常じゃない。 レイラ「それで……ここに貴方がたが来る、ということは……他の部屋にも?」 丘野 「ああそれはもちろん」 遥一郎「それは……なんというか大変だな」 真穂 「まあとにかく、楽しくやろうがこの集まりの唯一の決まりだからね。     みんなで楽しくやろ?って、ところで弦月くん何処に居るか知ってる?」 雪音 「ゆみはり……あのロビンマスクだった人?ヒョオオ〜〜〜って」 遥一郎「どうしてまず思い出すのがそこなんだよ……」 知り合いとして、こいつの脳が本気で心配になった。 確かにインパクトがあったのは認めるが。 ノア 「とりあえずここには来ていませんね。他の場所に居るのでは?」 田辺 「そっか。だったら蒼空院邸かね」 真穂 「あ、そうかも。晦くんを迎えに行ってるとか」 サクラ「なぜ探してるです?」 真穂 「うん?……うふふ〜、重大発表があるからです」 サクラ「発表です?」 真穂 「発表です」 丘野 「多分そろそろ桐生センセに見つかってる頃じゃないかな。     あの人、弦月を見つけるのだけは上手いから」 真穂 「探知機みたいな母でごめんね……」 田辺 「まあそんなわけだから、混ざる時は変身必須!これでOKね?」 遥一郎「了解だ」 真穂 「うん、それじゃあね〜」 アナカリス、観音寺、双角が去ってゆく。 俺達はそれを、少し呆然としながらも見送った。 【Side───End】
【Side2───閏璃凍弥】 凍弥 「……っと。仕込みは大体こんなもんか」 鷹志 「凍弥〜、そっち終わったか〜?」 凍弥 「おお友よ。そっちはもう終わったのか?こっちは終わった」 鷹志 「ああ終わった。毎度毎度助かるよ、晦のお陰で金がかからないったらない」 凍弥 「……罪悪感は募るけどな」 鷹志 「まったくだ」 友の里、鈴訊庵。 そこで今日の分の仕込みを終えた俺は、 同じく料亭の仕込みを終えてこちらへ来た鷹志と良心について語り合った。 どうもこうも、材料は全て晦が一級品を創造してくれるし、 残飯やゴミなども晦がブラックホールで消滅に導く。 電気や水道、ガスなども金が掛からずに取り替えの必要もない代物なため、 事実上俺達の手元から仕事関連で金が無くなることはない。 あるとすれば、食材の費用の中のほんの少しを晦に支払う程度。 来る客はいつも『友の里の料理はどれも最高だ』と謳うが、 その度にこちらの良心が少しえぐられていると誰が知ろう。 いや、喜んでくれるのは純粋に嬉しいんだが、 金のかからないもので金を取っていると考えると、十八年経った今でも良心は削られる。 だから最近では『真心を売っている』と考えることにしたのだ。 手間と真心。それでOKと。 鷹志 「……正直、金のかからない生活がこうも儲けるものだとは思いもしなかった。     俺のところ、もうシャレにならないくらいに金が溜まってるぞ……?」 凍弥 「あーあ……こっちもだよ……。     お前の奥さんのところの喫茶店と合わせるといくらになることやら……」 鷹志 「真由美だったら儲けた金の大半をシズノさんの孤児院とか、     外国の恵まれない人々に寄付してるぞ?」 凍弥 「あ……そか、その方法があった」 鷹志 「とりあえずお前に募金とか寄付は似合わんけどな」 凍弥 「言う前から言わないでもらいたいんだが。ところで訊いていいか?     広間の方がヤケに騒がしいんだが……なにかったか?」 鷹志 「ああ。原中の猛者どもが晦たちの結婚式の時に来てた仮装をして来襲してきてる。     思ったんだが……子供たちには目の毒じゃないか?あれ」 凍弥 「なに言ってんだ。あれくらいの時には俺達はもうその領域に至ってただろ」 鷹志 「領域言うな。虚しくなる」 カエルの子はフロッグとはよく言ったもんだ。 まあ紗弥香の場合、騒ぎがどうとかより柾樹の世話が出来てれば幸せみたいだが。 どちらかというと由未絵の血を濃く引いてるよな、うん。 鷹志 「で、どうする?なんか参加するなら変身必須らしいが」 凍弥 「俺はべつにそれで構わんが」 鷹志 「おいおい……仕事があるだろが。     お前、テウーチ・ソバットの状態でそば茹でる気か?」 凍弥 「望むところだ」 鷹志 「望むなよ!少しは恥じらいというものをだな……!!」 凍弥 「『手打ち』で『そば』ならむしろOKだろ。というわけで“変身”ッ!!」 マカァーーーン!!! 凍弥 「……完……了……」 常時付けている腕時計に向かって叫ぶと、俺の姿がテウーチ・ソバットに。 ……言っておくが、全てが変わったわけじゃないぞ? しっかりと顔は俺だ。 変わったのは衣装程度だ。 さすがに下がパンツ一丁ってわけじゃないが。 鷹志 「こうして見ると、筋肉が発達しただけに見えるな」 凍弥 「顔までソバットになったら大変だろ……」 鷹志 「そりゃそうだ」 凍弥 「まあそんなわけでお前もトーテムポールになれ」 鷹志 「……今さらだけど、     なんで俺トーテムポールになんか変身させてもらったんだろうな……」 そりゃあお前のロマンスだからだろう。 なんてことを考えながら、仕込みの片付けに取り掛かった。 鷹志 「晦に言って、なんとか変えてもらうかな……」 オリバ「オイオイ、ソレハルール違反ッテモンダゼ」 鷹志 「はぁ、そうかおわぁあーーーーーっ!!!!」 凍弥 「ビ、ビスケット・オリバッッ!!!?」 鷹志の絶叫に振り向いてみればビスケット・オリバ。 相変わらずの筋肉ゴリモリ状態で、何故か着衣はパンツ一丁だった。 オリバ「邪魔スルゼ、坊ヤ……」 鷹志 「邪魔するぜ、じゃねぇ!!いつの間に背後に来てたんだよ!!」 オリバ「ソンナコトハドウデモイイ、サッサト変身シネェトパーティーニ乗リ遅レルゼ?」 鷹志 「いやパーティーがどうとかよりも、こっちにゃ仕事が……」 オリバ「……ン〜〜……」 鷹志 「わ、解った!解ったからこれ見よがしの逆三角形やりながら近づいてくんな!!     つーかなんで店ン中でパンツ一丁なんだお前は!!」 オリバ「訊クマデモナイダロウ」 凍弥 「オリバだからだ」 鷹志 「訳解らんのに物凄い説得力だ……はぁ、変身!」 マカァーーーンッ!! 鷹志 「……完……了……」 腕時計に向かって叫ぶと、鷹志の服がトーテムポールへと変わる。 といっても動作に支障が出るような衣装ではないため、案外根性さえあれば乗り切れる。 そこのところも合わせて、さすがだ晦。 本当に、無駄なことが特に見当たらないヤツだよな。 ここ十数年、なんだかんだで付き合いが長くなった分、そういうところも見えてきた。 周りを便利にはしてくれるが、人がやらなきゃいけないことは絶対に楽をさせてくれない。 たとえば……そばを練り、 切った状態で創造とか茹でた状態で創造とかは絶対にしてくれない。 そういう場所を修正してしまったら堕落するだけだと知っているのだ。 だからこそどこでもドアのような物置のタンスから蒼空院邸への近道も、 今では俺くらいしか使っていない。 あいつ、歩いてくるし。 健康にいいぞー、なんてのほほんと言いやがるが、 そもそもあいつが健康を害すことなんてあるんだろうかとツッコミたい。 凍弥 「で。お前はいつまで目の前でムキムキポージングとってんだ」 オリバ「オマエサンガ移動スルマデダ。ユウジンハモウ行ッチマッタゼ?」 凍弥 「ぬ?あ、ほんとだ」 見れば既に鷹志は居なかった。 思考に暮れてるうちにとっとと行ってしまったらしい。 まいったな、ボケたか。 凍弥 「解った、じゃあ行くから」 オリバ「CertainlySir,謝謝楊海王」 凍弥 「感謝される謂れも無いし、そもそも楊海王じゃないんだが……」 言っても無駄な気がしたので、さっさと歩くことにした。 さもありなん。 【Side───End】
───ややあって、心の準備を整えた俺と刹那は友の里前へ到着。 俺達の前に、ロビンマスクと猫を含めた奇妙な人々が中へ入っていくのを見たが…… 刹那 「な、なあ……さっきの猫……二足……」 柾樹 「え?」 刹那 「い、いや……見間違いだな、うん……」 柾樹 「………」 見間違いなんかじゃない。 俺も猫が二足歩行して入ってゆくのを見た。 柾樹 「じゃあ入るけど───刹那。心の準備は十分か?」 刹那 「それ、なにかの真似か?」 柾樹 「時々彰利さんが言ってた。武器の貯蔵は十分か、って」 なんの真似かは知らないけど。 しかも意味がよく解らない。 けど……ここで心の準備が必要なのは確かだった。 柾樹 「はぁ……すぅ。じゃあ、行こうか」 刹那 「ああ。この先にどんなカオスがあるのかは知らんが、     異様な気配を感じるのは確かだ」 恐らく中に居るであろう悠季美はどうなっているのかとかそんなことを考えた。 ……で、考えるうちに悠季美が哀れに思えた。 何故だかはよく解らないけど。 なんて思いながら、巨大な入り口を『おいでませ』って感じでガラっと開けてみれば 声   「ジャァスト・リィッステントゥザスィーッ!!リッステントゥザスィーッ!!」 声   「魅惑的なパラダァイス!!」 声×数十『海は素晴らしィーーーーーーッ!!!!』 声   「ポォ〜ルト・パ〜ラディーゾ!!ゆ〜めがっ溢〜れる〜〜っ!!」 声   「ジャストクローズユゥアァイズアンリッスゥウウンッ!!      リィッステントゥザスィイイーーーーーッ!!!!」 聞こえた声に唖然とした。 さらに視界にも。 出入り口を通ってロビーをの先の横…… 早く言えば案内カウンターを正面に横を向いてみれば、 そこに仮装パーティー会場があったのだ。 まるでみんなが若返った瞬間の蒸し返し。 けど決定的に違うのは、全員が全員、奇妙な衣装を着ていることだった。 そのどれもは決定的理解に至る格好じゃあなかったが───刹那は知っていそうだった。 刹那 「アナカリスにロビンマスク……ていうかなんでオリバが?」 柾樹 「俺にはよく解らないんだけど……知ってるのか?」 刹那 「あー口で言うより目で教えた方が解りやすいな。     今日中にマンガとゲーム持ってくるから覚えてくれ。     共通の話題があった方が面白い」 柾樹 「ん……ごめん」 刹那 「謝るのはいいって。お前の環境、娯楽が無くても楽しいってのはよく解るし」 俺は、マンガやゲームをやる時間よりも叔父さんや紗弥香さん、 悠季美や深冬ちゃんと一緒に居る時間の方が長かった。 それ故に友達が知っていて当然のことを知らない、なんてこともしょっちゅうだ。 刹那はこう言ってくれてるけど、 みんなが知っていて当然のことを自分が知らないという状況はこれで結構辛い。 べつに生きてきた軌道に文句をつけるつもりなんてないけど、 思ってしまうのだから仕方の無いことだった。 刹那 「さて、ここで確認したいんだが。我が心の友、霧波川柾樹」 柾樹 「うん、なにかな」 刹那 「……俺達、あの渦中へ入るべきか?」 柾樹 「……刹那。仮装パーティーに混ざるための必須条件ってなんだと思う?」 刹那 「愚問か。じゃ、仮装してない俺達はここらへんで」 オリバ「今晩は、(グドゥーイブニン)
Mr,ドイル」 柾樹 「ほぎゃああああーーーーーーっ!!!!!」 刹那 「わぎゃああああーーーーーーっ!!!!!」 さっさと逃げ───もとい帰ろうと振り返った俺達の前にオリバ、だっけ?その人が居た。 ところでドイルとは誰のことだろうか。 柾樹 「なななななななんで!?さ、さっきあっちの広間に───!!」 オリバ「無理ダ……オマエサンガソノ立派ナ逃走技術ヲ身ニ着ケルタメ     ドレホド鍛錬ヲ積ンダノカハ知ランガ───     俺ガ本気(リアル)で腹筋ヲ固メタトキニハアキラメタ方ガイイ……」 刹那 「いや腹筋関係ねぇだろ!!あんたなにか!?     腹筋が凄けりゃ瞬間移動出来るのか!?」 オリバ「オマエサンガ逃ゲルタメノ技術ヲ身ニ着ケルタメニ     想像ヲ絶スルトレーニングヲシタヨウニ───     俺ハ俺デ色々ヤッテイルノサ……幾度モ、幾度モ、幾度モ……」 刹那 「……なぁ柾樹?俺達って逃げる努力や練習なんてしてたっけ」 柾樹 「少なくとも彰利さんの無茶に付き合わされそうって時には全力で……。     でも、想像を絶するかといえば平凡を脱するどころか     下回る程度なんじゃないかな……」 刹那 「……だよな」 オリバ「………」 オリバさんに悲しい目で見られてしまった。 でもだからって俺達にどうしろと? 柾樹 「どうやらここは俺達が入っていいような場所じゃなかった、     いや、鬼門だったようなので帰ります」 オリバ「ソウハイカネェ、コレカラコノ格好デ授業ガアルンダ、逃ゲタラ大問題(シリアスプロブレム)ダゼ」 柾樹 「い、いやっ!俺達自習でもしてますからっ!どどどどうぞおかまいなく!!」 刹那 「つーかパンツの他になにか着るもんとかあるだろオイッ!!いやそうじゃない!     これ見よがしの逆三角形を見せろだなんて言ってるわけじゃ───聞け!!     頼むから聞助けてぇえーーーーーーっ!!!!」 ポージングしたまま迫るオリバに刹那が絶叫。 恥ずかしがるな刹那クン。それは当然の行為だ刹那クン。きっと俺も絶叫するぞ刹那クン。 柾樹 「ところで刹那。人は危機に直面した時───     たとえば海に投げ出された時、海に浮いた一枚の板を取り合おうとした際。     相手を蹴落としてでも板を入手し、     その末に相手が死んでしまっても正当化されるんだって知ってるか?」 刹那 「お前ここで逃げたらマスターオブ薄情者だぞ!?」 柾樹 「む。その言い方はずるい。     べつに何を言われるでもなく見捨てるつもりなんてないぞ」 刹那 「おおそれでこそ友!我が友!というわけで早急に助けて!!     なんか抱きつかれてる!ていうかこれぞ世に言う“死国”(ベアハッグ)!?     解らん人はホラービデオコーナー行って『死国』ってビデオ見ろ!!」 柾樹 「刹那。今まさにキミの言動こそが解らない」 刹那 「それだけ恐怖してるってことだよ!     こんな胸がまるでケツみたいで腕が頭よりデカいヤツの死国(ベアハッグ)だぞ!?     普通に考えて頭の中が真っ白になるわ!!」 その割には口達者なのは仕様なのかな、なんてことを考えてしまった。 いやいやそうじゃなくて。 柾樹 「えぇと、オリバさん?     なにをする気かは知りませんがそいつを放してやってくれませんかね。     一応親友なんで、ここでほうっておくと夢見が悪い」 刹那 「それって俺がお星様になるってことか!?」 柾樹 「……刹那、その理解は正しくない。星は空を見上げれば存在する。     けど、死に絶えた星は流れるしかないんだ。     死んだらお星様になるんじゃなくて、流星になるんだ。     ほら、死んでるのに存在するって、まるで幽霊だ。そんなの安定がない」 刹那 「どの道死ぬって意味ね……」 柾樹 「べつに幽霊を否定するわけじゃないけど。     死んだらお星様になるっていうのはどうかと思う。     真実を具現したら、俺達は毎日人の魂を見上げていることになる。     ほら、それってなんだか危うい」 刹那 「理屈は解ったから助けてくれない?     筋肉のほどよい弾力と目の前のオリバフェイスに俺もう吐きそう」 柾樹 「ごめん、俺じゃあ多分力になれない。見捨てることはしない。せめて見守るよ」 刹那 「『見捨てる』の意味履き違えてるだろお前!!     黙視が救いになる状況くらい見極めろーーっ!!うあーん!助けてパーマーン!」 愉快なヤツだった。 柾樹 「刹那、キミさ。     小学生がヘルメットと空飛ぶマントつけただけの存在に助けられたい?」 刹那 「まっぴらゴメン!つーかなんてロビンマスクとか知らないのにパーマンだけ!?」 柾樹 「ん……豆村に見せてもらった覚えがある。     あれが刹那の言うパーマンなら、俺は助けられたくない」 刹那 「でも、人間境地に陥ると恥や外聞より生にしがみつくぞ?     そして発達しすぎた筋肉の熱と     ゴリモリマッスルに抱きつかれた状況はまさに生き地獄!!     た、たすけてぇ!!なんか徐々に力が込められつつある!     ていうか耳に息吹きかけんな!ナマ暖かくて気持ち悪い!!」 ロビン「なにをやっているのだオリバッッ!!     まだ開幕直後のパラディーゾが終わってないぞ!!」 オリバ「ン〜〜……オットスマネェ、ソレジャア早速向カウトスルカ……」 ……で、特に俺達がなにをするでもなく刹那を解放して広間に消えるふたり。 なんだったんだろう。 声  「さぁはじ〜めよぅポルトパ〜ラディ〜ゾォ〜♪」 声  「みんな祝おう!」 声  「心開いて!」 声  「思い出そう!海のリズム、マジック!」 声  「遠〜い昔〜の冒険船〜のも〜のがったり〜♪」 そしてなにやら歌い始める皆様。 どうしよう。 声  「きらびやかな船!」 声  「嵐!航海!魔法の守り!」 声  「陽気なひととき!レインボー!」 声  「大好きなお姫様!そして芸術家!」 声  「探検家!発明家!王国の勇士!」 声  「歴史あ〜る話♪」 声  「海〜の不〜思議〜な伝え〜♪」 声  「Just!listen to the sea!listen to the sea!」 声  「魅惑的なパラダイス♪」 声  『海は素晴らしィーーーーッ!!!!』 声  「ポルトパ〜ラディーゾ♪ゆ〜めがっあふ〜れる♪」 声  「Just! close your eyes and liste-----n! listen to the sea-------!!」 そしてなんの歌なのか。 俺にはまるで解らなかった。 刹那 「ポルト・パラディーゾウォーターカーニヴァル……よもや聞く時が来ようとは」 柾樹 「………」 いや、俺の隣の時代がかかったような口調の友人は、歌の正体を知っているらしい。 そもそもなにさ、その口調。 刹那 「ちょっと覗いてみるか。オリバは怖いが、中身は面白そうだ」 柾樹 「やめといた方がいいと思う。だって仮装が必須条件だって言ってだだろ」 刹那 「全ての悪行をこの神父と書いてファーザーと読むが許しましょう。だからGO」 うわー滅茶苦茶だー。 いつから神父になったんだ、友人の裕希刹那クン。 柾樹 「えっと、そうじゃなくてさ、刹那」 刹那 「だまらっしゃい!神父はなにやったって許されるんだよ!!」 なにせバックにはゴッドがついてる、と胸を張る刹那。 ……だから。いつからキミは神父になったのかと訊きたいんだけど。 刹那 「全てが許されるなら神の犬にすらなろう……!!     だからゴッドよ、今こそ全ての悪行を俺限定で許したまえ……!!」 柾樹 「今こそ、って。今が終わったら?」 刹那 「そりゃお前、チェーンソーで惨殺だろ?」 決まってんじゃんと胸を張る彼。 利用したら神とて惨殺…… 俺はそんな彼とどうして親友やっているのかと疑問に思ってしまった。 だんだん豆村に似てきたなー、刹那のやつ。 男  「ヒヨッ子ども!本日はよくぞ集まった!!心の巴里は今も燃えているか!?」 総員 『サー・イェッサー!!』 男  「うむいい返事だ!どうやらナマっていなかったようだな!!」 総員 『サー・イェッサー!!』 男  「十八年来の顔合わせであるが、     この原沢南中学校猛者団隊提督及び生徒会長中井出博光は未だ健在である!!     そして貴様らも変わることなく壮健であることを喜ばしく思うぞヒヨッ子ども!」 総員 『サー・イェッサー!!』 中井出「ではヒヨッ子ども!!     本日はお日柄もよく、ようこそ集まりやがったパーティを開催する!!     司会進行はご存知、大戦士カルガラの中井出博光がお送りする!!     総員存分に楽しんでいくといい!     イェア・ゲッドラァック!!ライク・ファイクミー!!」 ザザッ!! 総員 『Sir(サー・)!!YesSir(イェッサー)!!!!』 なにかの儀式らしい。 中井出、と名乗った人が壇上の上で皆様に叫んで、それを受け取った皆様も叫ぶ。 軍隊みたいな遣り取りなのに笑ってしまいそうになるのは─── 皆様の格好からくるものと、その雰囲気自体を皆様が楽しんでいるからだと、そう感じた。 アナカリス  「おお……やはり提督のこの声があってこそだ……。         遊び心が擽られるこの感じ……まさに国宝級である……」 オリバ    「オ〜〜……ブルーマウンテン」 トーテムポール「ブルーマウンテン関係無いだろ。         でも原中に居たわけじゃない俺でも解るわ。         こういうのってなんかいいな」 ロビン    「フフフ、原中のステキさは原中の猛者どもにしか解らん……。         原中の猛者、即ち原沢南中学校迷惑部のメンバーこそが原中オブ原中」 トーテムポール「訳が解らんが」 猫      「迷惑部に入部しなかったヤツは、         俺達ほど原中を謳歌できなかったってことだ」 トーテムポール「……まあ、そうだろうなぁ。それなら想像つくわ。         つーかさ、普通に猫の状態で話し掛けないでもらいたいんだが。         壬無月斬紅郎はどうしたんだ?やめたのか?」 猫      「いろいろあったんだ」 ………………ポク、ポク、ポク、チーーーン♪ 柾樹&刹那『ねねね猫が喋ったぁああーーーーーっ!!!!?』 絶叫。 もはや隠密機動部隊だったことさえ忘れ、ボクラは盛大に叫んだ。 まるで性質の悪い合唱団のように声高らかに。 するとご来場されていた皆様の顔が一斉にこう……ぐりんっ!と─── ロビン『私私私』 ロビン『そして私』 ……ぐりん、と向いたのだが。 襲い掛かってきたのはロビンマスクだけだった。 ……何故だか、どういう原理だか知らないけど分裂して。 銀色の鎧以外のロビンはどういうわけか真っ黒なロビンだったけれど、 それがどうして床から発生してきたのかはこの際無視しよう。すぐにでも逃げたいし。 なんて考えをしたのがそもそもの間違いだったことに気づいたのが今この瞬間だった。 だって、周りもう囲まれてるし。 黒ロビン『私私私私私私……』 黒ロビン『私私……』 なんでわたしわたし言ってるのかは解らないが気持ち悪いことこの上無い。 白銀ロビン「貴様ら何用だッッ!!今この場は我らの聖地ッッ!!       変身もしとらんヤツに用は無いッッ!!去ねッッッッ!!!!」 あの。去ろうとしたら捕まったっていう言い訳は通用しますか? 言い訳というよりは正当で正直な正論なわけですが。 無理ですか?無理なんでしょうねぇ。 白銀ロビン&黒ロビン『タワァーーーーブリッヂ!!!!』 ゴギギギィイッ!!! 柾樹&刹那『おわぁああーーーーーーーーーーっ!!!!!』 ……こうして。 よく解らないうちにバックブリーカーをされた俺と刹那は呆気なく気絶。 目が覚めた時には何故か鴨川(カモノハ)シーワールドの往来で警備員に介抱されていた。
【Side───豆村みずき】 じゃりりりりりりりりりんっ!!じゃりりりりりりりんっ!!!! がちゃりこっ。 水穂 「はい晦ですが───あれ?柾樹くん?……うん、うん……え?     な、なんでカモノハシーワールドに?     あ、うん、みずきくんならこっちに居るけど……え?     うん……うん……あぁ……そうなんだぁ……」 豆村 「?」 ゼノさんにビシバシとしごかれる中、静かな晦の母屋に水穂さんの声が響いた。 これだけ高いところだと本当に静かで、離れた場所の声も案外徹るものだ。 ───晦神社の裏の森は至って静か。 この季節、蝉は五月蝿かろうが、 ことここに至りというか……晦神社を担うこの山々に蝉は寄り付かない。 それは何故かというと……ゼノさんが静かな世界が好きだからだとか。 虫どもが寄り付かないように、虫くらいしか怯えない程度の殺気を振り撒いてるそうだ。 で、なんで他のみんなは友の里に泊まってるってのに 水穂さんとゼノさんがここに居るのかというと─── やっぱりゼノさんが静かな世界が好きだからだ。 それ以上にゼノさんはこの場所に愛着があるらしい。 ……もちろん、盆栽の手入れにも。 水穂 「みずきくん、柾樹くんから電話。それからゼノさん、お茶です」 ゼノ 「……いつもすまないな、水穂。     だが何故我が茶を欲しているといつも気づくのだ?」 水穂 「ゼノさんのことですから」 ゼノ 「む、むぅ……」 ゼノさんが少し目を逸らして照れる。 ほんと、水穂さんはゼノさんのことならなんでも知ってる。 タイミングがバッチリというか。 喉が渇けばお茶を淹れ、そのお茶でさえどれくらいの温度、濃さが好きかも知っている。 茶菓子は必要無しで、ゆっくりとくつろぐ場合は羊羹に限る。 そんな物事を誰に言われるまでもなく完璧にこなす。 尻に敷くわけでもなく、かいがいしく世話をする……そう、まるでメイドさん。 頭の両脇に結ったふたつのポニーテールがゆらりと揺れる、なんとも心やさしき人。 メイド服が似合いそうな気もしないでもないけど、俺は巫女さんの方が好きである。 や、べつに水穂さんに巫女服着てくれなんて言いたいわけじゃないけど。 そんなこと頼んだらゼノさんに八つ裂きにされる。 ゼノさん、あれでかなり水穂さんのこと大切にしてるし。 豆村 「と、はいはいもしもし?」 声  『うわらぎゃああああああああああっ!!!!』 《ドゴシャッ!メゴシャゴゴシャッ!!ガンガンガン!!ガゴッ!ゴド……───》 豆村 「……オワ?」 驚く暇も無く、突如として響いた絶叫は途絶えて、何も聞こえなくなった。 豆村 「………なんだったんだ?」 柾樹からの電話って聞いたけど、なんだか刹那の絶叫まで聞こえたし。 水穂さん、カモノハ・シーワールドって言ってたっけ。 鴨川と書いてカモノハと読む、というか読ませる凄まじいパークだ。 べつに鴨川には無いよ?ただの名前だから。 まあとりあえず行ってみようか─── 【Side───End】
───状況報告……公衆電話が崩壊。 崩壊させたのは俺達ではない。 今時なんで電話ボックスがあるんだとか、そんなツッコミもどうでもいい。 だってここはカモノハなんだから、そんな古の遺産くらい残ってる。電気通ったままで。 けど電話したのは良かったんだけど、 突然ムキムキのお兄さんふたりが入ってきて喧嘩を始めた。 刹那はジャック・ハンマーとシコルスキーがどうのとか言ってたけど訳が解らなかった。 ……もうちょっと、そういうことに詳しくなろう、うん。 と、それはソレとして。 ジャック  「………」 シコルスキー「………」 人が電話ボックスに入るのを今か今かと待っている ムキムキゴリモリマッチョの彼らはなんとかならないだろうか。 多分、悠介さんたちの知り合いなんだろうけど。 刹那 「電話ボックスは使えないな……また壊されるだろうし。     しゃあない、携帯使うか……」 ゴワシャッ!! 刹那 「オワッ!!?」 オリバ「遠路はるばるようこそ訪ねて下さった、園田警視正。オリバだ」 取り出したばかりのケータイとかいうものが握手で粉砕された。 いや、そもそもあんたなんでここに? 刹那 「たっ……たたたた訪ねてないし俺のケータイィイイーーーーッ!!!!」 ……連絡はさせないらしい。 オリバ「キミたちにわたし以上の自由は許さん」 刹那 「む、無茶苦茶言うなぁあーーーーーっ!!!!     うおおお袋になんて言やいいんだぁあっ!!」 男  「………」 ガシャ。 刹那 「ややっ!?うおっ!?は、花山さん!?」 柾樹 「……誰?」 オリバの後ろからヌウッと現れ、壊れたケータイとかいうものを手に取る花山さんとやら。 それをギュッと両手で握ると───あら不思議、ケータイとかいうものが元通りに。 刹那 「おっ……おおおおお!!すげぇ!直ってる!直って───オワッ!!?     あれちょっ……なんか縮んでません!?俺のケータイ!!」 花山 「………」 顔が傷だらけの大男はそれだけが仕事だったかのように去ってしまった。 刹那 「しかも直ったのは外見だけで、電話出来ねぇし……」 オリバ「解ってるじゃないかソノダ〜〜〜」 刹那 「誰がソノダだこの野郎!元はと言えばお前がっ!!つーか服着ろ!     ああもうなんだってこんな場所でまでパンツ一丁なんだ!!     そもそも散眼しながら微笑むな気持ち悪ぃ!!     ああもう柾樹!こいつら見張っておいてくれ!電話してくる!!」 柾樹 「えっ、いや───」 恐る恐る後ろを見る。と─── ジャック  「………」(チラッ……) シコルスキー「………」(チラリ……) あの。思いっきり見られてますけど? けど、状況に耐えられなくなった彼の行動は凄かった。 電話ボックスに入り、コイン投下とともに小さな鍵を閉め、神速で番号をプッシュ。 カモノハから元の町まで戻る金が無い俺達は、 豆村に転移を頼もうと晦神社に願いをかける───!! ……ああちなみに、豆村宅には電話したけど出なかったのでこっちだろうと。 俺はそんな親友の奮闘を眺め───バゴチャッ!ガギギガアッ!! 刹那 「オワッ!!?」 電話ボックスの小さな鍵が強引に破壊されて開かれる様を見て、静かに十字を切った。 ジャック  「………」 シコルスキー「………」 刹那    「ちょッ……アンタら……」 シコルスキー「ここならサイズの差はハンデにならない。        むしろ……ハンデがあるのはそちら……」 刹那    「やめ……おわッッ!!」 そして始まる、狭苦しい場所での乱闘。 親友は逃げ場を無くし、身を屈め、恐怖している。 電話ボックスはあまりに強い拳の反動に倒れ、さらに吹き飛んだ。 ……中に、筋肉さんと刹那を入れたまま。 刹那 「助けッッ───ごめ……ごめんなさいッッッ!!!!     ごめんなさいッ!ごめんなさいッ!!カンベンしてくれェェッ!!!     カンベンしてくれェッッ!!俺が悪かったァアッ!!!」 そうしてやがて絶叫が聞こえなくなる頃、彼は気絶してました。 俺は……所在無げに呆然とするしかなかった。
【Side───豆村みずき】 パッパーラパパパーン♪パパパパラパパパパパッパーン♪ 豆村 「……んで。着いたはいいけど」 転移してきた場所には、数えられそうなほどの人数しか居なかった。 妙だな、なんだかんだで人気があるのがカモノハなのに。 猫  「………」 豆村 「───?」 ふと視線を感じて見てみると、二足で立つ猫が。 豆村 「……たべっこ動物食べますか?」 猫  「要らん」 豆村 「そっか。言ってはみたけど持ってなかったからどうしようかと───マテ」 今喋らなかったかこの猫。 豆村 「……テーマパークのマスコット猫?二足歩行とは痛み入る。どこの長靴だてめぇ」 猫  「アイム悟り猫。悟りを開いたのだから喋れて当然。     黒猫で喋るからって無機物でもぬいぐるみでもアルキメデスでもない猫である」 猫  「そして貴様が語りかけた俺こそが世界猫。     誰しも胸に世界を秘めているが、     それを具現出来る猫は俺だけだとどこぞの無の精霊に太鼓判を押されたがゆえに     未だに世界猫を名乗っている猫である。     断っておくが、模様が同じでも某ホワッツなマイケルとは違う。     もちろん、“(ちゃ)
”と“(ラン)”が混ざったものでもないぞ」 豆村 「OK、長靴を履いた猫か」 世界猫「略して世界猫で構わない」 豆村 「OK了解だ。そしてその妖怪猫たちはカモノハでなにやっとんだ?」 世界猫「友人の集まりだ。     とんでもない乱入者が居たからこのテーマパークを貸切にして遊んでいる」 悟り猫「もちろん乱入者をからかうという意味で。     今は田辺ジャックと蒲田シコルスがヒヨッ子どもをからかっているところだ。     もちろんその変貌にはタネが必要であり、     特性ドリンクを世界の猫たる()のキャットが出現させた。     あとは嫌がる田辺と蒲田を捕まえて流し込んだのだ。     “これでもかこれでもか胃袋原人めギギギーーーーッ!!!”と。     なにせ特別に極上マズく作ったシコルスドリンクとジャックドリンクだからね。     泣いて嫌がる彼らに“悔い改めろ悔い改めろギギギーーーッ!!!”と強引に」 豆村 「?」 よく解らん言葉だが、それは置いておこう。 ……それにしても妙な名前の猫だ。 田辺家で飼われているジャックという名の喋る猫と、 蒲田家で飼われているシコルスという名の喋る猫なんだろうか。 豆村 「お前ら飼い猫?」 世界猫「───ほう?お前、俺を飼ってみたいとでもほざくか小僧。     構わないが、俺と契約するということは世界を担うことだぞ」 豆村 「……なんか物凄く生意気な猫だな。もしこれで俺が頷いたらどうなるってんだ」 悟り猫「惑星ベジータになる。キミが」 豆村 「?よく解らん。惑星ベジータってあれだろ?     フリーザさまのデスボールで木っ端……微塵……に……」 マテ。それじゃあなにか?契約したら粉微塵ってことか……? 世界猫「………」 豆村 「うわわ寄るなぁっ!!つーかなんで真顔なんだよ!いや猫で真顔ってなんだ!?     じゃなくてとにかく寄るな!!ウソじゃないのはキサマの迫力見りゃ解る!!」 世界猫「む……まあいい。それよりこの猫の楽園に何の用だ。     ここは用を為す者以外は猫になる夢の楽園。     人間サマが入っていい場所ではないのだが」 どんな楽園だ。というかどうやってそんな原理を作った。 世界を有する猫……ああわけ解らん。どこの貴族猫だキサマ。今すぐ種族を言え。 そして血統証を見せたのちに毛玉吐いて去れチクショウ。 豆村 「柾樹と刹那を迎えに来た。だから通らせてもらうぞ」 世界猫「そうか。せいぜい迷うなよ」 豆村 「猫にそんな心配される筋合いはない」 なんだってんだまったく。 最近よく解らないことが起こる。 ともあれ俺はカモノハの中に入っていき、親友を探して回ったのだった。 【Side───End】
───そうして、豆村に会ってからは早かった。 豆村はサクサクっと転移を実行してくれて、 俺たちはようやくあの異常空間から抜け出すことが出来た。  と───それは良かったんだけど。  その着地点というか、転移先が悪かった。 刹那&豆村『ほぅわぁあああああーーーーーーーっ!!!!!』 ああくそ、なんだってなんの躊躇もなく俺の部屋に転移したんだろうこの親友は。 大体土足だということくらい思考の片隅にでもとどめておいてほしかった。 そうすれば、俺の布団に幸せそうにくるまって眠っている 紗弥香さんを目撃されることなんてなかったのに。 刹那 「ほぐらりがらふどぐごろほびげらぁああああああああっ!!!!?」 柾樹 「いやゴメン刹那、怒ってるのは解るけどなんて言ってのかがまず解らない」 豆村 「ヤッたんか?」 パゴォッ!! 豆村 「おほぅっ!!」 柾樹 「女性をそういう眼で見るなっ!!」 いかがわしい方向へ話を捻じ曲げた豆村に拳を進呈した。 豆村 「はっはっは、いや失敬。     高校男児たるもの、これくらいは口にせねばと思ったもんで」 柾樹 「……あのさ。なんでそういう方向にばっかり思考が傾くのさ。     ただ一緒に寝ただけって考えられないのか?」 豆村 「年頃の男と女が同じベッドで一夜だぞ?エロイ族の他になにがある」 柾樹 「俺は寝る以外になにかがあるなんて考えもしないけど。     そういうのって夫婦でやることじゃないか」 豆村 「あー……いや、ごもっともかな。     なんつーか柾樹って天然記念物だよな。今時の若人にしちゃあさ。     是非そのまま成長してくれ。俺、お前みたいな性格のヤツが     女にいろいろ詰め寄られて慌てふためく姿って嫌いじゃない」 柾樹 「そりゃ都合がいい。     俺も豆村が失礼なことを女性軍に言って殴られる様は好きだよ」 刹那 「よっ!マゾ男!」 豆村 「やかあしい!!ったく、これで親友だっていうんだからどこかがウソだ」 柾樹 「俺もそう思うよ。どこかが間違ってる」 それでもこういう関係があることを、俺はそこまで嫌いじゃない。 バランスがいいわけでもないのに落ち着ける状況ってのは、 きっと自分たちを形成するネジがどこかで曲がってるか折れてるんだろう。 そんなの自分じゃ気づけない。 機械はメンテナンス無しでは在り続けられないのと同義だ。 動けはするかもしれないけれど、それは正常な動きじゃない。 ほら、そうなればこんな状況はネジが外れた状態で延々と動き続ける機械と変わらない。 豆村 「人は同じ行動を取る機械ね。お前って冷めてるなぁ」 柾樹 「人の心を読まないでくれ豆村。それとこれは俺からしての喩えであって、     全ての人間がそうだって言ってるんじゃないよ」 刹那 「話が見えんが。なにお前ら、テレパシーでもしてたのか?」 柾樹 「まあまあ、とりあえずは部屋を出よう。     女性の寝顔なんて、男がそう見ていいものじゃない」 豆村 「はぁ、義理堅いっつーかお堅いっつーか。まあな、こうじゃなきゃ柾樹じゃない。     俺としてはもっとハジケてほしいけど、それじゃあバランスが取れない」 刹那 「なにお前、これでバランス取れてるつもりだったのか?」 豆村 「いや全然。けど暴走してしすぎるってことはないだろ。     受身ってわけでもないし、俺ゃ困らん」 刹那 「そりゃ同感。怒る時は怒るし、笑う時は笑うし、騒ぐ時は騒ぐし。     なんだ、考えてみてもべつに困る要素なんざ無いじゃないか」 柾樹 「人の性格をバランス計にしないでほしいけど。紗弥香さん見てないで出ろったら」 刹那 「お前ってシスコン?いや他意はない、拳を握り締めて笑むのはやめろ」 柾樹 「世話になった人を敬ってなにが悪いのさ。いいから出ろって」 豆村 「へいへい」 ぐいぐいと豆村と刹那を押して部屋の外へ。 で、後ろ手にドアを閉めてまずは一息。 豆村 「ところで男の中には裸で寝るヤツが居るらしいが……女の場合はどうなんだろう」 刹那 「すまん、俺そういうの想像したくない。ここばっかりは柾樹に賛成」 豆村 「なにぃ、男たるもの堂々とエロイ族だろ」 柾樹 「へえ、じゃあ豆村は深冬ちゃんをそういう眼で見てるのか」 豆村 「うぐっ……柾樹、お前その言い方ずるい」 刹那 「いいや正当だな。お前さ、深冬ちゃんの前ではいい子ぶってるけど、     なんでこう男同士で集まるとエロパワー全快になるんだよ」 豆村 「いや、その方がノリがいいかなぁと。知ってるか?     近代の男子高校生の会話、およそ八割が女に関する話だって」 刹那 「だからってそれを受け入れて女の話するのって、     カッコイイからってタバコ吸ったり髪染めたりするのと同じだろ。     お前はなにか?八割が髪を染めれば自分も染めるのか?」 豆村 「いや断じて。いくら俺でも髪染めたりタバコ吸ったりはしない。     でもなぁ、俺べつに喩えとして挙げただけで、     八割がエロ話するから俺もってわけじゃないし」 刹那 「当たり前だ。そんなヤツと友達になんかなるか」 豆村 「うお、すげぇ偏見。でも賛同。少なくとも周りが髪染めたから、     周りがタバコ吸ってるからそれらを実行することは無いから安心してくれ。     俺、黒髪も好きだしタバコ大嫌いだし。     でも女体に興味が無いって言ったら大嘘だ。だからエロイ族からは脱しない」 柾樹 「それでいいよ。喩えをエロイ族として挙げるのはやめてくれって言ってるんだ。     それから周りの女性と友人をかけてエロイ族の喩えを挙げるのも無し」 刹那 「同感。俺も郭鷺と自分を喩えられてヤッたがどうたら言われたら殴ってたわ」 豆村 「お、俺だけが悪いのか!?男として当然の反応だろアレ!!」 刹那 「や、正直昨日紗弥香さん泣かせちまったとき、本気の本気で反省した。     でもそれとは別に、昨日の夜から朝にかけて、     柾樹と紗弥香さんが一緒に寝ていた事実に怒ったのも確かだ」 柾樹 「なんで怒るのさ」 刹那 「それはまあ……アレだ。好きな女の気持ちを知ってるからってやつ?     まあ気にすんなって。俺はお前の気持ちを無視するような行為はしないから。     お前が誰を好きになろうと受け入れる。     たとえお前が郭鷺と恋人になろうが、俺はお前を祝福するさ」 豆村 「おお男だねぇ。まあ俺も眼から鱗は飛んだからいいんだけど。     俺もさ、深冬がお前と恋人になろうが祝福する。一時的に恨むけど」 ん……。 柾樹 「あのさ。結局のところなんて言いたいんだ?」 豆村 「ああつまり、だからさ、お前も紗弥香さんが誰と結ばれようが祝福しろって話。     俺、深冬のことは好きだけど、よくよく考えたらなんか違ったんだよな。     俺にとって深冬は『守るべき存在』で、恋人になりたいかとか結婚したいかとか、     そんなことをあの一件以来じっくり考えたけど……なんか違うわけだ。     そんでな、解っちまった。俺の意思による頑張りは出来るけど、     結局恋愛面においては男なんて後手なんだ、って。深冬のことは好きだ。     けど、俺と一緒になってくれるかを決めるのは深冬であって俺じゃない。     俺がどれだけ守っていたいって思っても、     守ってほしいと思うか邪魔だって思うかは深冬次第ってことだ。     俺の中の恋愛って、そんなもんだと思う」 刹那 「同じく、かな。どれだけ思っても相手が頷いてくれなけりゃ恋愛にゃあ程遠い。     俺も郭鷺が好きだけど、だからって郭鷺が俺に振り向いてくれるわけじゃない。     努力は止めないけどさ、結局決めるのは郭鷺だよ。俺じゃない。     だって俺はもう決めてるわけだ。あとはあっちが頷いてくれるのを待つしかない。     ……くだらない駆け引きだし、     好きになってくれないって解ってるのに求めるのって辛いさ。     でも、真っ直ぐに見ていたいって思えるし、他の人なんて考えられなかった。     だから今も好きでいる。フラレちまってるけど、その思いは変わらないよ」 まあ、前みたいな焦りはなくなったわけだけど、と続ける刹那。 その顔は、なんだかとても可笑しそうに笑っていた。 柾樹 「……べつに俺は、紗弥香さんの感情を我が物顔で否定する気なんてない。     よっぽどの事情が無い限りは祝福するし、     そもそも人を好きになるって感情が俺には無いみたいだから。     回るとしたら祝福する方だよ」 祝福される自分なんて、全然想像に至らない。 そんな俺を希少生命体だと言いながら、頭をポンポンと叩くこのふたりもどうかと思う。 豆村 「なにお前、まだ自分の心掴めてないわけ?」 柾樹 「一目惚れの経験無し、惚れの経験ももちろん無し。憧れはあっても好きは無し。     可愛いや綺麗はあっても恋愛感情全く無し。変わってないよ、なにひとつ」 刹那 「うーん希少価値。絶滅種族か?     18にもなりゃあ恋のひとつくらいしてそうなもんだけどな」 柾樹 「そんなの人それぞれだ。それより頭をペチペチ叩くの、やめてくれないかな」 豆村 「はっはっは、お子様お子様」 柾樹 「……欲望に正直すぎるのもお子様だと思うけど」 豆村 「ぐ」 刹那 「ぐぅの音まで一歩ってとこか。気にすんなよ柾樹。どうせ俺たちゃまだ子供だ。     鳥の話ってあるだろ?巣を立つ鳥の話だ。     アレのすごいところは、自由に飛べれば成人ってところだ。     ところが人間ってのは繋がりを求めるあまりに恐怖に屈して、     巣立てるのに巣立たない。ああ、もちろん俺のこの言葉も戯言だ。     だって俺自身巣立てない。家に居ることが辛くなる時だってあるのに、     人間ってのはいつだって人の存在に安心しちまうんだ。     散々嫌われてたのに、その嫌っていた人が死んだ時に気づいちまうのと同じだ。     結局誰からも嫌われてたソイツは、     嫌っていたソイツしか自分を構ってくれなかったことに泣き出す。     先に立つ後悔なんて無いんだよ。だから、いいんじゃないか?お子様でも。     甘えられるうちに甘えて、孝行できるうちに孝行しとけよ。     ほら、それって子供にしか出来ないことだろ?」 豆村 「………」 柾樹 「………」 彼に感謝を。 一発で、飛びかけていた思考が戻った。 豆村 「OK、俺達は子供。受け入れよう」 柾樹 「だね」 なにを急いでいたのか。 思考ばかりが駆けていた己を、その言葉で埋め尽くした。 豆村 「ま、あれだ。男なら女の行動は黙って見守る。それが男だ任侠だ。     ようするに落っこちたら死ぬ状況で、     敵に『死にたくねぇ』だとか『ヒィ』とか言うヤツに     『男とはなんぞや』とか説かれたくねぇっつーかお前がなんぞやって感じだ」 柾樹 「ようするにもなにも、意味が解らないけど」 豆村 「いかんな、勉強不足だ友よ。     なんつーかもうこのあとのご予定とか全て返上して     俺と刹那がそのヘン壱から教えてやっからとりあえず俺の家集合な」 刹那 「OK。んじゃあ俺も適当に本とかビデオ持っていくから。     どーせ予定も無いし、あ、柾樹勉強道具持参な?     ついでだから宿題終わらせちまおう」 柾樹 「それはいいけど。なんで名指しで俺に勉強道具を求めるのさ」 刹那 「ちまちまやっても埒も無し!!     和訳済みで『俺個人でやっても永劫終わらんから教えれ』」 柾樹 「いいけど。丸写しは却下するぞ」 刹那 「OK兄弟、だったらこうしよう。俺はキサマに勉強を教わる。     キサマは俺達に世界のアニメと愉快な漫画と男児堂々スケベたれを教そわる。     これぞ世に言う“豆村の乱”」 豆村 「なんで俺?」 刹那 「うむ。この“乱”はエロ話で悶える豆村を意味している。故に豆村の乱」 豆村 「なるほど。地獄に落ちろ情報屋」 刹那 「まあまあ、ほら、この提案で一応俺達の夏は安泰するわけだし。いいじゃん。     それともお前、宿題終わらずにガッコ行きたいか?     叱られたいか?廊下に立ちたいか?バリューセットで水入りバケツを持ちたいか?     平均値段500円で手を打たれたいか?熱い夏を笑顔で乗り切りたくないのか?」 豆村 「シェッ……謝々、謝々ヨ情報屋さん!!」 柾樹 「………」 父さん、母さん、昂風街は今日も平和です。 Next Menu back