───大会社潜入作戦/残されたコゲ付き目玉焼き───
【ケース233:中井出博光(再)/鬼之(キノ)
の旅】 ───世界ってのはこれで案外広い。 猫の足(二本足)ではそりゃあ速度も歩幅も微々たるものであり─── ああまあ、昂風街から月詠街までは人として電車とかを律儀に使って行ったもんだが、 猫となった今では少々事情が違ってくる。 いつかの猫の旅が迷惑だと思われたのか、 駅に『猫の乗車お断り』とデカデカと書いてあったのだ。 差別だと言いたいところだが、 まあべつに用があるのは月詠街内なのでどうでもいい。見かけたから愚痴っただけである。 で、今現在だが───我らは猫の姿のままにAGIをマックスにし、 アイルーのようにゴニャア〜〜〜ォオと鳴きながら大激走していた。 次の目的は丘野と殊戸瀬の子供への激励。 我らは一心不乱の加速を示しドゴォンッ!!! 永田猫『ギョエーーーーーーッ!!!!』 佐野猫『な、永田ァーーーーーーッ!!!』 田辺猫『永田がトラックに跳ね飛ばされたァーーーーーッ!!!』 時折こういったハプニングもあるが、 それでも瞬時にVITにステータスを振り分ける根性は流石の一言。 永田は平然と起き上がり、驚くトラックの運転手を余所に駆け出した。 ───月詠街を駆ける。 昔ッからよくない噂や殺人事件、ともかく不吉なことがよく起こった場所。 その裏ッ側には大体死神や月の家系の存在があって、 でもそれらの大半は巻き込まれてたものにすぎなかった。 当然、彰利や晦も。 けど不思議なもので、そんな異常的な日常も慣れてしまえばどうということもなくなる。 そりゃ殺人事件は冗談じゃないが、よくない噂とかはカモンって感じではある。 しかし今ではそんな噂も陰を潜め、ただ平和な日常が続いている。 だからこそ、テレビ局も愉快な情報などを手に入れたくて、 こうして我らを付け回しているんだろう。 声  『今日は月詠街からお伝えします。     なんでも町の中を猫達が縦横無尽に駆け回っているとか。     では画面を現場に移しましょう。現場の欠野さ〜ん?欠野アナ〜?』 欠野 「ハイ、現場の欠野です。見てください、あのたくさんの猫を。     何処か目的地があるのか、一心不乱に走っています」 ケツノアナ?すげぇアナウンサーだなオイ。 丘野猫『……鬱陶しいでござるな』 藍田猫『撒くか?』 欠野 「あっ!ごらんください!猫の中に一匹だけ、光り輝く猫が居ます!!」 永田猫『う、うるせー!!』 ちなみに永田はまだ輝いていた。 欠野 「もしや新種の猫でしょうか!?え───捕まえろ?     このテレビを見てた保護協会から届出が?……あ、は、はいっ!!     カメラさん!音声さん!運転手さん!準備はいい!?」 うお……なにやら物騒なことになり始めてきたような。 道路を走ってたテレビ局の車が物凄い速さで我らの後をつけてくる。 蒲田猫『い、いかん!永田が狙われているぞ!』 沢村猫『そうはさせるもんですかっ!!』 神楽猫『なにか秘策でもあるの?』 沢村猫『自作のまきびしでもと。えいやっ』 ジャラララララ……バスンッ!!ギョキャキャキャキャアアアアアア!!!!! 欠野 「きゃあああっ!!?なになになにぃいいいっ!!?」 撒いたまきびしは見事にテレビ局の車をパンクに導いた!! しかし車が路肩に止まると、 欠野アナたちがまるでオーガストリートのスピードワゴンのように駆けてくるではないか! 丘野猫『フッ……愚かでござるな。足の速さで拙者たちに勝つつもりでいるでござるよ。     他の皆、それにこの忍者猫に足で勝てるつもりでござるか?』 提督猫『ああ、そういえば丘野くん。キミは忍者猫だったな』 丘野猫『どういう認識してたんでござるか?』 提督猫『や、普通に丘野猫』 これは訂正しなければ。 忍者猫 『それでどうするでござる?やはり全力で撒くでござるか?』 宇佐見猫『───!待って!アレを見て!』 佐東猫 『なにぃ!?』 吾妻猫 『人がぞろぞろと集まって来てる!?』 提督猫 『これはいかんぞヒヨッ子ども!!      恐らくテレビを見た人々が野次馬根性を丸出しにしてやって来たのだ!!』 麻衣香猫『そりゃ、普通に二本足で走る猫が居たら見に来たくもなるよね』 提督猫 『チィ!ではこれより我らは分散して敵を撹乱するものとする!!      それぞれ夫婦同士でペアを組み、目的地まで逃げよ!』 総員猫 『サーイェッサー!!』 提督猫 『藍田と木村夏子、飯田と柴野、島田と桜、岡田と宇佐見、蒲田と神楽、      永田と沢村、下田と津嶋、田辺と水島の田圃ファミリーはそこの路地裏から!      清水と春日、佐野と二階堂、中村と内海、灯村と吾妻、三島と野中、      皆川と綴理、藤堂と瀬戸、佐東と七尾は道路を越えて右側から!      丘野と殊戸瀬は正面を突破してそのままエレクトに向かえ!!』 総員猫 『サーイェッサー!!』 麻衣香猫『ヒロちゃん、わたしたちは?』 提督猫 『当然!ここで人間どもを引き付ける!!』 藍田猫 『なっ……正気でありますか提督!      我らは提督を置いて行くことなど出来ません!』 提督猫 『なにを甘っちょろいことをぬかしている藍田二等!!行くのだ!!      行って、この戦いを終わらせるのだ!!ここは俺が食い止める!!』 藍田猫 『くっ……て、提督殿に敬礼!!』 ザザッ!! 総員猫『提督殿に敬礼ッッ!!』 藍田猫『ではご武運をッ……!!』 提督猫『フフフ……生き残るんだぜ、ヒヨッ子ども……』 ドタタタタ……!! 欠野   「ああっ!光る猫が逃げる!!」 カメラマン「させっかぁああああっ!!」 提督猫  『ローテツ!!ドッパァアアアアアンッ!!!!! カメラマン「ギャアアアアーーーーーーーッ!!!!!」 ブワァッ───ドグシャア!! 欠野 「え……え?い、今猫が蹴って……人が回転して吹き飛んだ……?」 提督猫『状況説明痛み入る。我が名は提督猫。永田猫を追いたくば、我の屍を越えてゆけ』 欠野 「ひきっ……!?ね、ねねね猫が喋ったぁあああーーーーーーーーっ!!!!!」 野次馬「おい!今の聞いたか!?あっちの猫が喋ったぞ!」 野次馬「マジで!?どれどれ!?どいつ!?」 おお、いい感じに野次馬たちもこっちに集まってきた。 これならばいける。 麻衣香猫『わたしたちだけで大丈夫かな』 提督猫 『こんなもん、巨人の一人にも満たんだろ』 脆弱なり人間!!……俺も人間だけどさ。 ともあれバサァッ!! 提督猫 『ゴニャッ!?』 麻衣香猫『わっ!?なにこれっ!捕獲用の網!?』 欠野  「獲ぉったぁ〜〜っ!!ウフフフフ!!      これでどれくらいボーナスもらえるかしら!」 提督猫 『エィイ!!貧弱貧弱ゥ!!ヒノカグツチ!!』 ジャキィン!ザゴォンッ!! 背中に背負っていた猫の大きさに合わせ、 小さくなってたジークフリードを地面に突き立てる。 すると俺の周りを炎が囲み、瞬時に網を焼き滅ぼした!! 欠野  「えっ……えぇええっ!!?」 提督猫 『ふはははははは!!こんな網程度でこの猫が捕らえられるものか!!      今こそ声を高くして謳ってやろう!猫ナメんなよてめぇら!!』 欠野  「こ、これは───もしかして猫又!?驚きです!本当に火を操るようです!」 提督猫 『……あの。それって狐火かなんかと勘違いしてません?』 欠野  「《カァア……!!》〜〜〜〜っ……ええいやかましい猫風情が!!」 麻衣香猫『わ、いきなりキレた。しかも男らしい』 提督猫 『すげぇぜ欠野アナ……伊達に名前が下品じゃねぇ』 欠野  「気にしてるんだからほっときなさい!!」 やっぱり気にしてたらしい。 麻衣香猫『ヒロちゃん、そろそろ』 提督猫 『うむ。猛者どもも既に遠く離れたことだろうし、我らも離脱しよう』 欠野  「離脱?甘いわね、既に周りは包囲済みよ!」 提督猫 『甘い甘い……麻衣香、しっかり捕まってろよ』 麻衣香猫『うん』 提督猫 『じゃ───“解放”(レリーズ)!アーンド武器はしっかり二刀流!!』 ジャギィンッ!!ゴコォッファァンッ!! 欠野 「きゃっ……!?な、なに……!?」 提督猫『それでは我らはこれで失礼するよ?     倍化されたステータスの全てをAGIに注ぎ込む───“剃”(ソル)』 ドシュンッ───!! 欠野 「え───!?消え」 バゴシャァアアアアアアンッ!!!!! 野次馬×12『ぎええええええええええええええっ!!!!!』 欠野    「ひぇえっ!!?」 通常のAGIマックスの倍の超速度移動が可能になった!……まではよかったんだが。 考えてみれば包囲されてるから、 逃げるとなるとビッグバンタックルしながらってことになる。 しかも吹き飛ぶ者全てがヒノカグツチの効果で燃やされながら吹き飛んでゆく。 こりゃマズイ、敵意を出さない限りは燃えないんだが、 周りの人々は無意味に敵意を出していたようで燃えまくってる。 提督猫『しゃーのない!成功しろよ!?───雪月花ってなぁっ!!“氷月翔閃”(ひょうげつしょうせん)!!』 ジークリンデを高速で振り回し、氷の加護+自然の加護で巨大な氷の華を虚空に咲かせる。 それをジークリンデで破壊し、上手く出た鎌鼬とともに燃えてる野次馬どもに振り掛ける。 すると炎は沈下し、そこらの騒ぎも少しだけ収まった。 麻衣香猫『おー、ちゃんと加護も使えるようになってきたねー』 提督猫 『いや、今のは思いっきりまぐれだ。      大体火属性の宝玉持ってる俺に氷の加護は難しい』 ジークリンデを振り回して風を回せ、 その場の空気の温度を低下させてからじゃなきゃ成功しないのだ。 正直疲れる。 だが今は考えるよりダッシュだ。 こんなところで道草を食うわけにはタァンッ!! 提督猫 『ゲハッ───!?』 麻衣香猫『ヒロちゃん!?』 突然だ。 俺の脇腹に何かが射ち込まれ、 俺は意識が急速に遠退くのを感じながらも倒れないように踏ん張った。 提督猫 『うっ……く……!?な、なんだ……!?すげぇ眠……い……!!』 麻衣香猫『ヒロちゃん!?ヒロちゃん!!しっかりして!』 男   「オーウ、ハハハ、ワタシノ麻酔銃ヲ受ケテ起キテラレルナンテ、      サースガジャパニーズ“ネコゥマータァ”デース」 麻衣香猫『誰!?』 男   「オーウ、アイアム“テンブジン=ランブ”デース。      ジャパニーズノオエライサンニ雇ワレタアメリカ人デース。      テメーラ、大人シクワァタシニ捕マリナッサーイ」 麻衣香猫『………』 あ、ヤバイ。 この雰囲気は……麻衣香のヤツ、かなり怒ってる。 提督猫  『……MNDは……極力少なくな……』 麻衣香猫 『うん……解ってる』 テンブジン「オーウナニ言ッテヤガリマースカテメェラ!!       イーカラトットト歩クノデース!!」 麻衣香猫 『無なる光を82塊。集い来たりて敵を討て。コメッティックミサイル!!』 麻衣香の足元に魔法陣が現れ、高速回転をして弾ける。 とともに麻衣香の周囲に幾多もの光が現れ、やがてそれが小さな光の隕石を象ると─── 容赦無く、一斉にテンブジンとやらに襲い掛かった!!  キュィイイドガガガガガガガガガァアアッ!!!! テンブジン「ノォオーーーーーーーーーーーッ!!!!」 テンブジンが吹き飛ぶ。 だが魔法の高速ミサイルは浮いたテンブジンを執拗に追い、空へ空へと飛ばしてゆく。 やがて大体浮いたあたりでミサイルがテンブジンに命中せずに空へと舞い上がり……いや。 舞い上がったミサイルはミスしたのではなく、 浮いたテンブジンを地面に叩き落すために宙に舞った光りだった。 ああエイメン。 猫を狙撃したりするからこんなことになる。 キレた麻衣香は俺なんかじゃどうにも出来ん。 ……カカア天下ってやつ? 別に尻に敷かれてるってわけでもないんだが。  ドゴォオオンッ!! テンブジン「OOOOOHHH!!!」 浮いていたテンブジンが急速に地面へと落下する! が、その刹那! 麻衣香猫『唸れ烈風。大気の刃よ。切り刻め───ターヴュランス』 落下地点に小さな竜巻が放たれ、テンブジンは身を刻まれはしたものの、 地面との激突は避けられた。 麻衣香猫『はぁ……。さすがにあのまま落としたら大変だからね』 提督猫 『いや……お見事……』 ヤバイ。 かなり眠くなってきた。 これはいかんな……既に2分経過で鬼人化も消えてしまっている。 走ろうにも走れないし、どうしたものか─── 提督猫『あ……そう……だ……。一度……アレ……ため……ウググ……』 一度アレを試してみたかった、くらいがどうしても言えない。 無理に言う必要もないんだが、いきなりやると麻衣香が驚きそうなので。 でもまあいいか。 俺は覚悟を決めて、ジークムントとジークリンデを合体させてジークフリードに戻すと、 それを左足にザクッ!!とゾガゴシャォオン!! 提督猫『ギィイイヤァアアーーーーーーーーッ!!!!』 絶叫。 よくある漫画のように痛みで眠気を吹き飛ばすという行為をしてみたんだが、 こんな時に限って舞い降りた“会心”スキルによって左足に超ダメージが炸裂。 眠気は吹き飛んだが大激痛に襲われ、しかもまるで狙ったかのように襲い掛かる毒と麻痺。 勘弁してください。 提督猫 『うおぉヤバイ……目は覚めたけど毒が回って、      しかも体がシビレて動けねぇ……』 麻衣香猫『ここって呆れるところ?』 提督猫 『おもいっきり……』 もう泣きたかった。 ───……。 ……。 ややあって。 解毒と麻痺解除をしてもらった俺は根性で殊戸瀬エレクトロニクスまで辿り着いた。 いつ見ても大きな会社であり、この最上階が殊戸瀬と丘野くんの住居でもある。 もちろん一般人も重役員も通行不可能。 家族以外が立ち入ることを殊戸瀬が禁じた秘密空間である。 麻衣香猫『眠気はもう大丈夫?』 提督猫 『おお。会心の一撃とともに塵と砕けた』 ヒロラインで受けるダメージより痛みがリアルだから本気で痛かった。 刃物なんて自分に突き立てるもんじゃない。 しかも一生懸命に育てた信頼の置ける武器なら余計だ。 危うく三途の川を渡るところだった。 信頼の置ける武器が持ち主に会心の一撃と毒と麻痺をプレゼントするなんて、 素晴らしい信頼のされ方だ。 あそこまでスキルを引き出してくれるなんて、俺って愛されてる。(ヤケクソ) 提督猫 『さて』 麻衣香猫『最上階って睦月がプライベートを守るために、      厳重にガードマンを何人もつけてた場所だよね?』 提督猫 『うむ、その通りである』 麻衣香猫『どうやって入るの?』 提督猫 『ああやって』 ヒョイ、と外観の最上階近くを指差して見せる。 麻衣香は疑問符を頭の上に浮かべつつ目を凝らす───と、心底驚いた。 麻衣香猫『あっ、あ、あああ……あの壁にいっぱいくっついてる豆粒みたいなの、      もしかして原中のみんな……!?』 提督猫 『考えることは同じということだな』 実に嬉しい限りである。 麻衣香猫『危なくないかな……別の方法考えない?』 提督猫 『む。解った、その覚悟───確かに受け取った』 麻衣香猫『え?』 僕は。 きっとその時の妻の顔を忘れないと思います。 ───……。 ……。 ビーーーッ!!ビーーーッ!! 声  『緊急警報緊急警報!!立入禁止領域に二匹の猫が侵入!!     どんな生き物であっても侵入を許すなとの奥方様の命により、     即刻摘み出せ!!手段は問わん!!』 ラタタタタタタタ!!!チュチュンチュンチュゥウウン!!! 麻衣香猫『うひゃわぁああーーーーーーっ!!!!』 提督猫 『うおぉわあああぁああーーーーーーーっ!!!!』 薬莢と弾丸が飛び交う! 跳弾する弾丸を速度で躱し、前へ前へと進みゆく!! 黒服1「オォットココカラハ通行止メダァ!止マレェ!!」 提督猫『オォット何処が通行止めだろうが止まりません!!     ばぁーーーーくれェーーーーつ肉球マイトショット!!』 黒服の顔に飛びつき、その額にヒタリと肉球を押し付ける!! と同時に“徹し”とマイトグローブの爆裂効果が発動!!  バァッガァンッ!!! 黒服1「ぐっはぁあっ!!?」 吹き飛ぶ黒服。 倒れた彼はまるで動く様子がなかったが、 ここで心配して燻るくらいならそのハートに火を付ける! 黒服2「OHシット!ボブガヤラレタ!!」 黒服3「仕方ネェ!シャッターヲ閉ジテ迎エ撃テ!コイツラタダノ猫ジャアネェ!!     ニュースニヨル情報デハ、コイツラハ“ネコマータァ”トユウモノラシイ!!」 黒服4「オゥケェィ!!シャッター落下!オォーーン!!」 カチッ───ガンシャンシャンシャンシャンシャァアン!!! 黒服4が近くのスイッチを押すとともにシャッターが遠くから順に下りてゆく!! だが構わん!! 提督猫『マグニファイ!!“一発剣閃”と“衝撃波”を合わせて放つ!!』 シャッター前でまずジークムントを渾身を込めて一振り!! ヒノカグツチの炎を最大まで巻き起こし、それを唸らせるようにさらに二振り!! 剣を振るう度に黄竜斬光剣(小)が出てるが、今ンところはそれをも利用する! 床から天井にかけて、中心を通ると物質が加速するように高速回転する炎の円を作り、 そこ目掛けて重ね合わせて戻したジークフリードを限界まで引き絞り、 身体を全力で回転させるとともに“一発剣閃”と“衝撃波”を合わせて放つ!! 提督猫『“熱衝ォッ───蒼刃塵”!!』 稀紅蒼剣から放たれる衝撃剣閃が、 シャッター前に作られた炎の輪をくぐると同時に爆発的に加速する。  ドガシャシャシャシャシャシャシャシャシャォオオンッ!!! 炎と風で象られたそれはシャッターを無遠慮に穿ち、吹き飛ばし、 奥のさらに奥のまたその奥のシャッターまでを次々と破壊してゆく。 それはやがて奥にあった壁をも破壊し 声  『ギャアーーーーーーーーッ!!!!』 声  『な、永田ァーーーーーーッ!!!』 声  『永田が謎の衝撃波に吹き飛ばされたァーーーーーーッ!!!!』 声  『永田!?永田ァーーーーッ!!!』 声  『永田が輝きながら落下して───アァーーーーッ!!     道路を走ってたトラックに跳ねられたァーーーーッ!!』 ……えーと。 やべぇどうしよう。 あー……あ、えっと……ま、まあ……いい。 今は上を目指すことを優先させよう。 提督猫 『よしいくぞ麻衣香!』 麻衣香猫『う、うん!』 車に轢かれた永田くんの安否を気遣いつつ、俺たちはさらなる高みを目指すのだった。 もちろん、余波をくらって気絶中の黒服などは無視の方向で。 ───……。 ダタタタッ!! 提督猫 『ここか!《ヂャココッ!!》おお!扉に鍵が!!つーか掴みづらい!!』 麻衣香猫『ヒロちゃん、壁に暗証番号入力する“電卓みたいなアレ”が……!!』 提督猫 『なにぃ!?───おおマジだ!!一度は見てみたいと思っていたが……!!』 まさかこんなところで見ることになろうとは。 さて、これを解かねば中には入れないわけだが─── 提督猫『ケタは4つ……さて。やはりここは───フンッ!《ピッ》     ハッ!《ピッ》トイヤッ!《ピッ》トリャサ!《ピッ》』 3、5、6、4───“見殺し”、と。どうだ? ブブー! 提督猫『む───』 4ケタの名物といったらこれなんだが。 4ケタ……4ケタねぇ。 位置が高いから一回打つのも大変なんだが。 でもここまで来たら猫のままで入りたいし。 よしなんとかしよう。 ……………………。 ブブー!! 機械 『3回ノミスヲ確認。三十分後マデ入力出来マセン』 提督猫『ゲェエーーーーーーーッ!!!!』 健闘虚しく、我らは妙な締め出されを味わわされたように呆然とした。 どうしよう……。 つーかなんでここまで徹底してプライベートを守ってんだ殊戸瀬よ。 提督猫 『仕方ない……外から回り込んで入ろう。さすがに窓にロックは無いだろ』 麻衣香猫『相当高いけど、大丈夫?』 それが問題だ。 永田のように落下したら、いくらVITを上げてもただでは済まない。 どちらかといえば車に轢かれてから落下したほうが、 VITマックス方向ではダメージは少ない。 自分から向かう威力より、相手から来る威力のほうがVITの力が発揮されるからである。 いや待てよ? 提督猫 『……天井ならどうだ?』 麻衣香猫『物凄く硬そうな天井だけど。ここ破壊して昇るくらいなら、      普通にこの扉破壊した方がよくない?』 神様、妻がいつの間にか破壊行動を黙認するような人になってました。 や、もちろん俺が言えた義理じゃあなさすぎるんだけどさ。 などと思っていた時、ふとすぐ横にある大きな窓にヒョコッと出てくる灰色の毛の猫。 忍者猫である。 その脇には輝く猫、永田くん。 麻衣香猫『あ……よかった、無事だったんだ』 どうやら丘野が下に下りて、ここまで一気に連れてきたようだった。 つーか普通に壁を登ってくるのも如何なものか。 ここはキミの家ではないのか、丘野くん。 忍者猫『───、……』 で、その忍者猫───口を動かしたと思ったら右前足の人差し指(?)をピンと立て、 シャキンと爪を出すと……それで窓に円をキュキキキと描き、その中心を掌底で押した。 するとガコォと外れる円状のブ厚い窓。 ……既に人間も猫もやめてるなぁ俺達。 でもそれが、やがて空界へと移り住むための儀式を受け入れているようで楽しかった。 ───ややあって、円からゾルゾルと滑り込んできた忍者猫。 それに続いて他の猫たちもゾルゾルと奇妙な音を立てつつ入ってくる。 忍者猫『ゴニャッ。提督殿、中央突破とはやるでござるなぁ』 永田猫『ああまったくだ。あの高さから落とされた時は本気でチビるかと思ったさ』 藍田猫『チビるじゃ済まねぇだろ普通』 それこそまったくだと同意してやりたいんだが。 責任の一端があるためになんとも言えなかった。 忍者猫『このコードなら任せておくでござるよ。この忍者猫にかかればこの程度……』 ゴソ、ゴソソソ……ガチャ、ピー。 機械 『再度確認キー、認証キーヲ確認。ドアガ開キマス』 提督猫『ありゃっ?30分後からじゃなきゃ出来ないんじゃあ……』 忍者猫『実はでござるな。これはミスった時用に時間短縮キーもあるんでござるよ。     時間待ち中じゃなきゃ通用しないから、誰かに暴かれることもないでござる』 おお……それは便利な。 殊戸瀬猫『案内するから付いてきて』 提督猫 『お?お、おお』 忍者猫 『睦月も随分と積極的に話すようになってきたでござるな。      やはり一度ふっきれるためのきっかけを得れば、案外後は楽なものでござる』 提督猫 『そんなもんか?』 忍者猫 『元々みんなと一緒に騒ぎたい気持ちがあったでござるよ。      しかしそれは恥ずかしさと妙なプライドに守られてたんでござるな。      喩えるならば今はそれが爆発した状態でござる』 提督猫 『なるほど』 殊戸瀬猫『なにやってるの眞人、ほら、早く早く』 総員猫 『ざわ……』 提督猫 『うーわー……あの殊戸瀬が笑顔を』 永田猫 『こりゃ驚きだ』 それでも我らは道をゆく。 開いたドアの先は振り向いた後ろの景色とは一変、実に家っぽい風景が広がっていた。 ここから急に天井が高くなり、それこそ広い家のリビングにでも居るかのようだ。 提督猫『うぉわっ!豪邸!!すげぇ豪邸!!ナニコレ!!』 蒲田猫『すげぇ豪邸だ……!オラの十倍はありそうだ!!     あ……いや、ものの喩えだよ?     俺の家も人に自慢できるくらいにはしっかりしてるから』 皆川猫『や、べつにここで自慢せんでもお前の家の大きさ、俺も知ってるし』 神楽猫『ローン残ってたけど、まあ保険金でおつりが来るでしょ』 蒲田猫『だな。ちとあの馬鹿息子がどうなってるか心配だけど』 吾妻猫『睦月の子供、名前なんていったっけ?』 忍者猫『(かなえ)(いこい)でござるな。ちなみに鼎が長男で憩が長女でござる。     それなのに鼎のほうが女の子顔で困り者でござる。     憩は名前と反して気性が荒いというか。     男言葉こそ言わないものの、少々気が強いのでござるよ』 蒲田猫『あー、そういえば少し前に仕事しながら、     “俺の家、最近吉永さん化してきてさぁ”ってぼやいてたな』 そりゃ哀れな。 でも元気があるのはいいことだろ。 蒲田猫 『あ、でも殊戸瀬が目玉焼きでも焼いてるのか?      って訊いたらあっさり否定したな』 忍者猫 『ヒィ!?それは秘密だって言ったでござ《ベゴチャア!》ヘゴォッ!!』 殊戸瀬猫『眞人のばかぁーーーーっ!!わ、わわたしだって目玉焼きくらいつくれるよ!』 忍者猫 『う、うそでござるーーーっ!!一度も作ってもらったことないでござるよ!!』 柴野猫 『食べたいの?』 忍者猫 『いや、特には《ベチーーン!!》ウベルリ!!』 殊戸瀬猫『そこはウソでも食べたいって言って!!』 忍者猫 『絶望的にウソでござるが食べたいでござる!もうホントウソでござるが!!』 ───その日、丘野くんは高い窓から外に投げ捨てられたという。 ───……。 ……。 忍者猫『ただいまでござる』 藍田猫『どうして普通に戻ってこれるかね……』 投げ捨てられた丘野くんは至って壮健なままに戻ってきた。 で、何気なく丘野くんが投げ捨てられ、 そして昇ってきた場所でもある窓から外を見下ろしてみれば─── 落下してゆく無数の丘野くんの分身が。 なるほど、分身を踏み台にして戻ったわけか。 よくあの性悪分身どもに道連れにされなかったもんだ。  キキィーーーッ!!ドゴシャメゴシャドゴゴシャバキベキョ!! 声×24『ギャアーーーーーーーーッ!!!!』 ああ……丘野くんの分身が車に撥ねられまくってる。 分身にも意思がある分、性質悪いよな。 つーか……ああまで見事に叫ばれると…… 忍者猫『?』 こっちが本物かどうか怪しくなってくる。 藍田猫『ん〜〜〜……』 忍者猫『む?なんでござるか藍田ど《バゴシャア!!》のぶぉおおっ!!!』 ドゴシャメゴシャドッシャァアアアアアアンッ!!!……スゥウウ…… 提督猫『あっ!消えやがった!!』 藍田猫『もしやとも思って蹴りブチ込んでみたが───やっぱニセモノか!!』 蒲田猫『じゃあ本物の丘野は!?』 ババッ!と再び窓から下界を見下ろす。 と、乗りあがってみた窓の淵に何かがひっかかっていた。 提督猫『?なんだコレ』 それをヒョイと持ち上げ、パッと離してみる。 すると─── 声  『あんまりでござるぅううーーーーーー………《ドグシャア!!うわらばっ!!』 どうやらさっきの何かにぶら下がっていたらしい丘野くんが落下し、 たまたま通りかかった法廷速度無視のフェラーリに撥ねられていた。 すげぇ、あのフェラーリブレーキをまるで踏まずに丘野くんを撥ねて、 そのままの速度で無視して行っちまった。 蒲田猫『鉤爪付きの鎖分銅だな今のは。取られればそりゃ落ちるわなぁ……』 提督猫『………』 すまん丘野くん……悪気はまるで無かった。 ───……。 ……。 そんなわけで猫達の散策は始まった。 どうやら殊戸瀬ファミリーは何処かへ行っているらしく、室内には居なかった。 だがその部屋の環境は俺の自室なんかとは一線を画す世界であり、 その場に居た全員が口を開けたまましばらく動けなかったほどである。 俺が竹之内くんだったら彼女らをコロがすリストに載っけとくところだろう。 それだけの差があったのだ。 何処の(ライト)くんが通い詰めてた捜査本部ですかあそこは。 ワタリさんとかがお茶持ってきそうで怖かったわ。 提督猫 『しかし、あれだけハデに侵入してきたのに静かだねぇ』 藍田猫 『だよな。てっきり突入くらいしてくると思った』 忍者猫 『如何なる理由があろうと、      ここには家族以外の立入が禁じられているのでござる』 藍田猫 『………』 提督猫 『………』 忍者猫 『せ、拙者は本物でござるよ?念のため』 提督猫 『ははっ、しかしお前と殊戸瀬が喧嘩ねぇ。初めてなんじゃないか?』 藍田猫 『なんだかんだで殊戸瀬はお前には黙ってついていくって感があったのに』 忍者猫 『どうやら目玉焼きも作れないという印象を持たれたことが、      思いのほかショックだったらしいでござる。      ただそれだけで、べつに喧嘩はしてないでござるよ?』 提督猫 『そうなのか』 麻衣香猫『で、キッチンで一心不乱に卵を割って、      目玉焼きに挑戦してる睦月、どうしよっか』 総員猫 『面白そうだし見届けよう』 結局我らは原中だった。 ブスブスブスブス……!! 蒲田猫『あれ?なにやらコゲ臭くねー?』 吾妻猫『うわわっ!ちょっと睦月っ!!コゲてるコゲてる!!』 殊戸瀬「卵にはサルモネラ菌が存在してるっていう。     殺菌のための長時間の過熱は必要不可欠であり───」 佐野猫『しゃあけどそれはもう目玉焼きやのうて炭や!!ンなもん食えるかい!!』 殊戸瀬「大丈夫!愛があれば!!」 藍田猫『なんで俺見ながら愛を説くんだよ!!』 提督猫(オリバ……) 忍者猫(オリバ……) 総員猫(この世の果てで愛を謳う怪力無双、ORIBA……) 藍田猫『つーか殊戸瀬さ。かつての用意周到っぷりはどうしたんだ?     つい数時間前までのお前、感情をぶつけることこそなかったものの、     物事への失敗なんて無かったろ』 殊戸瀬「子供の頃から英才教育はこれでもかってくらい覚えたわ。     でもそれは決められたレール上のもの。     でもそれで眞人を幸せにするのは果たして、わたしの力と言える?───否!     だったらわたしは知識の一切を捨てて、我流で腕を磨いて眞人を幸せにする!!     アディオス数時間前までのわたし!     そしてようこそ!波乱に満ちたこれからのわたし!!』 提督猫『おっ……大きく出たな……』 藍田猫『まるでこれからの丘野との関係を祝福するかのようだぜ……!』 蒲田猫『おーい、こっちで丘野がクロマティ高校の前田くんみたいに頭抱えてるんだが』 彼女はどうやら、己の感情を受け入れると同時に厳しく躾けられることで覚えた、 “器用さ”というものを置き去りにしてきてしまったらしい。 しかももう、それを取り戻す気は皆無らしい。 恐らく戦いになればキリリと冷静な彼女に戻ると思うが……調子が狂う。 や、べつにエロマニアと呼ばれたいわけではない。断じて。 などと思っていたら廊下の方から聞こえる物音。 そして声。 これは─── 声  「あれ……?開いてる……」 声  「侵入者ですの?まったく、何処の無礼者ですの?」 声  「まあまあ憩。お客さんなんて珍しいじゃないか。歓迎してあげよう」 声  「かっ……これだからお兄様は!!いいですこと!?     これは普通に考えて盗人が入ったと見るべきですわ!!     階下のガードマンも言っていましたでしょう!!賊が入ったのですわ!!」 声  「そうなんだ。じゃあ歓迎してあげないとね」 声  「人の話をお聞きなさいお兄様!!どうしてあなたはいつもいつもそう……!!」 ……ふむ。 提督猫『賑やかだなぁ、お前の子供』 丘野 「いやいや、恥ずかしいでござるな」 サブタイ:振り向けばそこに。 いつの間にか丘野くんが猫から人に戻っておりましたとさ。 恐らく子供を迎えるためだろうけど。 ザザァッ!! 憩? 「さぁっ!覚悟なさい!?     わたくしのフルオートガトリングカノンが火を吹く前に降参するのですわー!!」 鼎? 「やあ、ようこそ。わぁ、猫がいっぱいだね。かわいいや」 提督猫『………』 ヒタヒタヒタ…… 憩? 「二本足で歩く猫……ガードマンが幻でも見たのかと思いましたが、     そういうわけでもないようですのね」 提督猫『我輩はァ、猫で〜あるゥ。名を提督猫。貴様、名はぁ〜……なんと言う?』 憩? 「……わたくし、疲れていますわ。ね、ねね猫が喋ったような……」 提督猫『こら貴様ァ、名乗った者に〜名乗り返さないのはァ。無礼とゆ〜ンものだろうゥ』 憩? 「……喋ってますわ」 鼎? 「僕は殊戸瀬鼎。よろしく」 提督猫『そうかぁ。い〜い名だぁ。となると貴様が憩かぁ』 憩  「な、なぜわたくしの名を!?」 提督猫『全てはそこの二人に聞くがぁ〜いい〜』 サム、と促す。 その先には殊戸瀬と丘野くんが。 憩  「?どなたですの?」 鼎  「やあ、父さんと母さんじゃないか」 総員猫『そんなあっさりと!?』 憩  「お、お父様に……お母様……!?     そんなまさか!お二方は確かに死んでしまった筈!!」 提督猫『そうだ。確かに死んだ。だが我輩がここまで連れてきたのだ。     知っているか?猫は実は霊魂の案内人なのだ』 鼎  「それはすごいね」 憩  「で、でででではこのお父様とお母様は本物の……!?」 提督猫『殊戸瀬睦月と丘野眞人であるぅ。ま、少々若いが気にするなぁ』 それよりも猫が霊魂案内人って事実にまるで驚かないのはどういったカッパーフィールド? 鼎  「それで父さん、ここにはなにをしに戻ったの?」 丘野 「お別れを言いに来たのだ」 殊戸瀬「この後、もう会えなくなるから」 憩  「そんな!せっかくこうして戻ってこられましたのに!     ちょっとそこの猫畜生!?なんとかならないんですの!?」 提督猫『猫畜生とは心外な!!猫ナメんなよてめぇ!!』 変身したからには我が身は既に猫! その猫を馬鹿にされるのは猫として我慢出来ん!! 不思議だね、かなり。 人の時は猫が馬鹿にされてもそう嫌な気持ちにはならんのだが。 丘野 「まあそんな悲しんでなさそうなんで安心したかな」 殊戸瀬「元々肝の据わった二人だから」 憩  「そんなことっ!そんなことありませんわ!     お二人が亡くなった時、どれだけ泣いたか───!!」 丘野 「我らは天に召され、猫となった。     そしてお前達も元気にやってるみたいだし、それが解っただけでも最高さ?     早い内に会社の経営の仕方を仕込んでおいてよかった」 殊戸瀬「これからも魔法論理の発展のための弛まぬ努力を期待する」 憩  「魔法論理!?」 殊戸瀬の謎の言葉を皮切りに、二人が猫に戻る。 そして己の子供ふたりにアイルー式お辞儀をすると、こちらへ戻ってきた。 提督猫 『ありゃ。もういいのか?』 忍者猫 『後がつかえてるでござるしね』 殊戸瀬猫『二人とも。なんとか上手に出来たのがそこに二つあるから、食べて。      母親として作ってあげられる、最後の目玉焼き』 憩   「お母様っ!!そんな───!!」 鼎   「……憩。母さんと父さんはこうして会いに来てくれたじゃないか。      これ以上の贅沢は、きっと願っちゃいけないことなんだよ」 憩   「っ〜〜……卑怯ですわお兄様……!      こんな時ばっかり返答が出来ないことを……!」 提督猫 『そんなわけである。我らはこれからそれぞれの家へ向かい、最後の挨拶をする。      故にここだけで道草を食うわけにはいかんのだ』 憩   「それぞれ、って……もしやお父様やお母様の言う“原中”という集いの人々、      その総勢が……全てこの猫だと!?」 提督猫 『なかなか察しが良くて助かる。      そんなわけなんで我らはこれで。さあ行くぞヒヨッ子ども!!』 総員猫 『サーイェッサー!!』 憩   「───!お待ちなさい!!逃がしませんことよ!!」 ザシャアと憩が出口を塞いだ!! しかし我らは迷うことなく窓に駆けると、そこから一斉に下界へと飛び降りた!! 声  「なっ───!!」 驚愕の声が耳に届いた。 だがもう遅い───我らは誰にも掌握出来ん奔放な猫たち。 そもそもこの程度の高さ、光の塔に比べれば低い低い!! 提督猫 『よし綾瀬二等兵!フォローは頼んだぞ!』 麻衣香猫『イェッサー!!』 夕陽が眩しい景色を飛ぶ。 風を一身に受けて、やがて迫る地面への恐怖を楽しさで吹き飛ばしながら、 我らは麻衣香が放ったサイクロンの渦に上手く乗って無事着地した。 提督猫『よーしそれでは休むことなく次行くぞー!!     全てを回るまで休むことは許さーーーん!!』 総員猫『サーイェッサー!!』 やがて再び駆けてゆく。 人々の目が鋭く突き刺さろうが、止まることなく我らは走ったのだった。 Next Menu back