───退屈/毎度毎度の魔繰羅那解(まくらなげ)───
【ケース238:弦月彰利/ハーネマン教官】 彰利 「ヌゥリヌゥリィ〜♪カンターン♪《ズキーーン!!》いたやぁーーーーっ!!!」 さてはてハイハイ、ナックルカーニバルが終わった今、 僕は蒼空院邸に戻ってどれくらいぶりかになる消毒薬なるものを傷口につけておりました。 力を使い果たしちまったんだからしゃあないんだけどね、イテーんですわこれが。 悠介 「おーい……そっち治療終わったかー……?」 彰利 「おお悠すブファーーーッ!!?」 聞こえた声に振り向いてみれば、そこにおわすのはミッキーロジャース。 彰利 「ブハハハハハ!!!ど、何処の海坊主だテメーーーッ!!ウハハハハハハ!!!」 悠介 「お前さ、一度鏡見てからもう一回言ってみろその言葉」 彰利 「ウヒャ?鏡?ホッホ鏡ねブフゥ!!     そりゃ痛むところに適当に消毒液塗ってた俺だけど、     いくらなんでもそこまでボコボコじゃキャーーーッ!!?」 ドエラいボッコボコでした。 ある意味で悠介よりもロジャースだ。 彰利 「ア、アゥワワワ……!!どど道理で視界が狭いと……!!」 悠介 「こっちはマナと癒しの樹の下に居れば勝手に回復するからいいけど。     お前はどうする?ロジャースのまま黒が回復するまで待つか?」 彰利 「グ、グウウ〜〜〜……冥界に行って回復待つかなぁ。     つーかさ、あんだけ殴りあったのにこうして普通に話し合ってるのって変な気分」 悠介 「そか?べつに憎しみがあって殴りあったわけじゃないんだからいいんじゃないか?     俺はお前と、自分で出せる本気で戦いたかってみたかっただけだし」 彰利 「ヘヘン、次はぜってー俺が勝つから、     せいぜい首と手首と足首と乳首洗って待って《ベゴシャア!》ダップス!!     な、ななな殴ったァーーーッ!!貴様今すぐリターンマッチかコノヤロー!!」 悠介 「うるせぇこのヘモグロビンが!!真顔で乳首とか言うな!!」 彰利 「ななななんだとーーーっ!!?俺がどう言おうが俺の勝手だー!コノヤロー!     大体乳首って言葉くらいで顔赤くして!どこまでウヴなんだテメーワ!!」 悠介 「顔が赤いのは殴られて腫れてるからだボケ!!それくらい解れコノヤロー!!」 彰利 「おーーっ!?なんだテメやンのかコラ!!」 悠介 「おお上等だ!!こっち来ォ!!」 こうして我らは再び外に出て─── イセリア「ノーちゃん、またあの二人がバトろうとしてるけど」 ノート 『しっかり休めと言っただろう汝らぁーーーーーーっ!!!!』 ヂガガゴバシャアアン!!!! 彰利&悠介『ギョアァアーーーーーーッ!!!!!』 ……スッピーに無属性攻撃を喰らわされて見事に気絶しました。 ───……。 ……。 彰利 「あぁ痛い……体痛い……」 悠介 「あぁもうなんだってこんな目に……」 気絶から早くも目覚めた僕らはマナの樹と癒しの樹、 その二つの中から敢えて癒しの樹を選んで、その幹で寝転がっておりました。 黒は回復せんでも、傷は回復するだろうという魂胆です。 しっかし殴られたなぁ、ここまでボコられたのってどれくらいぶりかね。 彰利 「おぉおお……!!傷がみるみる癒えてゆく……!!     これもあの少年の……!セ○ンの力なのか……!!」 悠介 「……なに言ってんだ?お前」 彰利 「いや、光の質量についてちと勉強してました」 意味はもちろんございません。 彰利 「悠介、創造出来るか?」 悠介 「無理」 即答だった。 悠介 「力がスッカラカンだ。ハトくらいしか創造出来ない」 彰利 「あらら。なにか暇潰しでも欲しかったんだが」 悠介 「力の大元もまたノートに戻したし、     今の俺はせいぜいで精霊としての身体能力があるだけの存在だ」 彰利 「俺も今はただの死神だぁヨ」 思い切り暴れるのってスカッとするけどとても痛いですゴッド。 や、でも気持ちいいもんだ。 この場所はかなりのお休みスポットですよ? もう身も心もアフターケアさ。 ……アフターケアってどんな意味だっけ? いかんなぁ、死神としての専門知識だけじゃなくてちゃんと勉強もせんと。 でも今さらだしね。 勉強ねぇ……ガッコ行くのも今さらって感じだけど、 そこが楽しければ状況はどうでもいい気がする。 そう、なによりも面白いことが重要。 それが原中クオリティ。常識だけでは語れない。 彰利 「や〜……それにしても……《ぐきゅるるるいぃい……》ハラヘタヨー……」 悠介 「メシ食わずにぶっ続けでナックルだからな。櫻子さんはまだ戻らないのか?」 彰利 「キミが知らんことを俺が知るわけねーべよ。まだけぇってきてねぇんでねーの?」 悠介 「そか。動くのもダルイし……このまま無視して寝るか」 彰利 「せやね。で……ゼットは?」 悠介 「あいつの場合純粋な力だから、ここで傷癒してとっとと部屋に戻ったぞ」 彰利 「おー……傷の回復力ならヤツが一番かい。ちと悔しいな。     こっちだって黒さえ完璧なら傷を負ってもとっとと埋め尽くすんだけど───     お、俺はヤツに負けたわけじゃねぇからなー!?」 悠介 「わぁってるわぁってる。     大体お前は実力はあるのにふざけすぎてるから力を完全に出せないんだ。     むしろ晦神社でのゼットとの戦い、     お前が最初っから全力で潰す気だったらすぐに潰せたんじゃないか?     卍解されてからは手に負えなかったけどさ」 彰利 「あいつの卍解反則だって。齎される力が尋常じゃねぇ。     しかも今やその力にも慣れてるみたいだし、     神魔竜人状態までプラスされてる所為で手に負えねぇし」 悠介 「あいつもヒロラインでは真面目に力のコントロールしてるみたいだし、     今もきっとそうだろ。お前はどうなんだ?」 彰利 「俺?俺も結構安定はしてきてるぜ?なんせ既に七翼。     力のコントロールも……少々回路にダメージがあるものの、出来るし。     そんで?そういうお前はどうなん?」 悠介 「こっちも順調だ。創造の理、超越の理、凌駕の理……大体掴めてきた。     つまらないポリシーだとかプライドだとか、     そんなものを捨ててしまえばどれだけでも強くなれると思う」 彰利 「へえ……」 悠介のポリシーやプライドね。 それって守るものを守らなくなるとかそういうこったかね。 確かに悠介の場合、守るもののために強くなれるけど、逆にそれが弱点にもなる。 だから力を引き出した状態でなにもかもを見捨てるくらいの勢いがあれば、 こやつは恐ろしく強くなれるのではないかと考えたこともある。 自分の力を引き出しといて、 倒すべき相手を気遣ってたらいつまでたっても勝てないっつの。ねぇ? 彰利 「悠介さ、いっそ非情になってみたらどうだ?     戦う時だけ奇跡の残虐ファイターになるんだ」 悠介 「……それって俺か?」 彰利 「そういう風にこだわってるからダメなんでないのかい?     もっとこう、そうだな。むしろ逝屠くらいまで残虐になってみるとか」 悠介 「逝屠ね……。確かに、人形の俺ならそれが出来るかもな」 彰利 「へ?あ、いや、俺はべつにそういう意味で言ったんじゃ───」 悠介 「一応、頭ン中に入れとくよ。     トドメに躊躇した時は“第二の俺”でも創ってそいつに殺させるか」 あいやぁ……妙なトラウマスイッチが入っちまったか? でも可笑しそうに笑ってら。 よぅ解んね。 悠介 「ま、冗談だ。気にすんなよ。     人の家族殺しておいて、しかも人を人形よばわりしたヤツに誰がなるか。     俺は俺だ。もう朧月でも晦でもない、ただの“悠介”だよ」 彰利 「むしろ“ユースケ=フラットゼファー”?」 悠介 「凄まじくヘンな名前だな」 彰利 「すまん、言ってて俺も虚しくなった。あ、なんだったら俺も改名しようか?」 悠介 「シミーズとか?」 彰利 「それは素直に勘弁を」 悠介 「はは、いいって。お前にゃちゃんと“弦月”っていう苗字があるんだ。     俺みたいに一家惨殺に遭って名前を無理矢理捨てさせられたわけじゃないんだ、     その苗字、大事にしろよ」 彰利 「悠介……」 悠介 「俺はいいんだ、ただの“悠介”で。     そりゃ晦って呼ばれりゃ振り向きもするし返事もする。     逆に朧月なんて呼ばれても振り向けないけど……それでいいさ。     苗字なんかに未練は無い。あるのは思い出せないものと、     その時に持っていたであろう感情だけだよ。     今の自分に満足してる。でも、欲を張ればもっと自分を知っていきたい。     どのあたりまでが俺の運命なのか知らんけどな、     その運命にブチ当たるまでは、俺は偶然を生きるよ」 彰利 「………そか」 偶然を生きる。 それは、道が決まっている運命の中で、それに逆らって生きるってことを意味する。 どんな行動が逆らいの行動になるのかなんて解らない。 それでも、目指す未来はとても綺麗な道だと信じてる。 ……そうさ、今までとても辛く、汚れた道を歩いてきた。 だったらせめて、大人になってから歩く道くらいは綺麗なものだと信じたい。 彰利 「……俺達さ、子供の頃は最悪なくらいの人生だったけど───     出会えた友人は、きっとどんなやつらより最高だったよな」 悠介 「……ああ、胸張って言えるよ。あいつらに出会えて本当に良かった。     それから、お前に会えたことも───感謝してる」 彰利 「出会いがしらの語らいが拳でもか?」 悠介 「よく言うだろ?拳で語る仁義もあるって」 彰利 「キミは外道高校の番長か?」 悠介 「お望みなら無双正拳突きくらいは見せるが」 彰利 「や、べつに望まんからいいや。それよかさ、干将・莫耶見せてくれへん?     つーか何処でどうやって創造するに至ったん?」 悠介 「ヒロラインでどこぞの傭兵が持ってた剣を分析、超越複製しただけだよ。     干将はシグマが持ってた。     莫耶は“莫耶の宝剣”としてこれまたどこぞの傭兵が持ってた。     無断分析したから相手の名前も知らんが、     いちいち手段を選ぶよりはいろんな属性の武器を集めといた方がいいしな」 彰利 「ふーん。で、中井出の武器とかはコピーすんの?」 悠介 「俺ゃ誰かが苦労して作ったものまでコピーするほど無粋じゃないぞ。     ラグが使えりゃ一番なんだけど……ハハ、     まあゲームの中でそういうのを出すのは無粋か」 俺は自分の鎌を好き勝手に出してますが……それも無粋なんでしょうか悠介クン。 などと思いつつ横を見ると、悠介は穏やかな顔で首飾り状態のラグに触れていた。 まるで自分の子供を愛でるように。 そんな悠介をなんの気無しには眺めながら、俺は空を見上げながら息を吐いた。 空には夏の名物の真っ青な空。 樹の下でこいつと一緒なのに黄昏空じゃないことに妙な違和感を持ちながら─── 俺はそうしてしばらく動かないでいた。 ───……。 ……。 ───で、そんなこんなで晩である。 中井出「ショラショラショラショラショラショラショラァアアーーーーッ!!!     STRとAGIにステータスを振り分けてなお、     やはり貴様らには引けをとらん我が猛攻を受けてみよ!!     この二分間、俺は鬼人と化す!!レッツマグニファイ!!」 清水 「うおお汚ぇ!!誰か!誰か提督を止めろォーーーーッ!!!」 ここに、再び原中名物“魔繰羅那解(まくらなげ)”の火蓋が落とされていた。 相変わらずの暴走を見せ付けているのはやはり、中井出チームである。 平均的に考えると150レベルというのは伊達ではない。 彼ら彼女らは鬼のような形相で枕を投げまくり、人々を次々と撃墜していた。 彰利 「受けてみろ正義の力!正義装甲ジャスティス鉢巻、装着!───じゃなくて!!     くらえ我が枕!“烈蹴紅球波”(れっしゅうこうきゅうは)!!」 軽く放った枕を足にて弾き飛ばす!! 上手く目標が定まらんがその時は諦めよう!! 藍田 「甘いわァーーーッ!!烈蹴紅球波返し!!」 バスゥンッ!! 彰利 「ゲエエ!!蹴った枕を蹴り返したぁーーーーーっ!!」 永田 「《ドバァン!!》ゲファーーリ!!」 皆川 「ああっ!流れ玉が永田の顔面に!!」 佐野 「永田!?永田ァーーーーーッ!!!」 ちなみにこの枕、そろそろ腕力が上がりすぎてきた我らを思って、 そう簡単には壊れないイメージが通されております。 だから思い切り蹴っても炸裂したりはしないものの───当たればその分とっても痛い。 まして、サタンを蹴りコロがすような藍田の蹴りだ……ありゃ痛いぞ絶対。 中井出「つーかさ、なんだってお前ら全員、彰利と晦方面に付いてんだ?」 佐東 「何故ってそりゃあ同じ勢力でありますから」 皆川 「そうなのです!サー!!」 中井出「どういう勢力なのか知らんが……多勢に無勢にも程が無いか?」 彰利 「我がバッドカンパニーは無敵!!打ち崩せるもんならやってみぃ!!」 皆川 「そういうことだから提督!悪く思わんでください!!」 佐東 「お、俺達だって提督殿と争いたくなど……!!     出来ることなら避けたいであります!!とても悲しいでありますが……!!」 中井出「とか言いつつ嬉々として全員、枕二刀流してんじゃねぇかぁーーーーっ!!!」 佐東 「我らはソルジャー!戦場に悲しみは持ち込みません!!」 中井出「お前今すぐさっき自分で言った言葉思い出せコノヤロー!!」 藍田 「提督!こうなったらやるだけのことをするだけだぜ!!」 丘野 「その通りでござる!!自らの力を信じるでござるよ!!」 麻衣香「わたしたちなら大丈夫!むしろかかってこいってくらいの勢いだから!!」 殊戸瀬「提督!指示を!」 夏子 「人員ならいくらでも増やせるから!パパトスカーニ!出ませい!!」 中井出「むう……!!では!これよりルール変更をする!!     総員、ダメージ5を無視して倒れるまで戦いたまえよ!!     倒れた者は脱落!隅に行ってジャガー目潰し!!     怖い者は降参するのもアリである!いいかヒヨッ子ども!     これは枕投げという名の死闘である!!     どういう行動でもいい、とにかく相手を転ばしたり倒したりすること!!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「では戦を開始する!最後まで立っていられた者が勝利!     立っていられた上位3名までに冷蔵庫で発掘した櫻子さん特製タルトを進呈!!」 悠介 「勝手に人ン家のお菓子を商品にすんなぁっ!!」 中井出「ええいやかましい晦一等兵!!ここは戦場!文句があるなら枕で語れ!!     枕ごしならばどんな攻撃も許可しよう!     ただし枕を通したからといって、武器で突き刺すなどの行為は反則とする!!     枕ごしに殴る蹴る、武器の柄や鞘で攻撃くらいなら許可しよう!!     ただし刺す、斬るなどといった行為は反則!!     その場合、棍棒やハンマーが武器の者はかなり怖いので気をつけるよう!!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「うむ!それでは各自、枕を手に吼え猛ろ!!     イェア・ゲッドラァック!ライク・ファイクミー!!」 ザザァッ!! 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 全員が踵を揃えて絶叫する!! おお戦いの神よ!今こそ我らに力を与えたまえ!! 彰利 「今こそ好機!全軍打って出よ!!」 遥一郎「好機もなにも始まったばっかだろ!」 彰利 「黙ップ元精霊野郎!!     我らにとってはピンチだって好機になるんだコノヤロー!!     だから今好機!ピンチというよりむしろ優勢!ならば好機!     さすがの貴様らもこの大人数には叶うまいよ!」 藍田 「フフフ、そう思うか?」 彰利 「なにっ!?」 中井出「ストック解除!マグニファイ!!」 モンシャァアアン……!! 中井出のステータスが二倍に膨れ上がった!! 中井出「ふはははは!!ではいくぞ猛者どもよ!     我が屍───越えられるものなら越えてみよ!!」 そう叫びながら中井出が我らに飛び掛ってきた!! キョホホホホ!!飛んで火に入る夏の虫とはこのことよ!! 彰利 「一斉射撃ィーーーッ!!!やっちめぇーーーっ!!」 皆川 「おりゃーーーっ!!」 佐野 「セィヤーーーッ!!」 猛者どもが次々と枕を投げる! フホホ、猛者どものこの一斉攻撃をくらって耐えられるものなど───ゲゲエ!! 投げられる枕を全て掴んで自軍に置いていってやがる!! 彰利 「い、いかーーん!!投げ型ヤメーー!!」 佐野 「うるせーーっ!!一等兵だからって俺に指図すんなーーーっ!!」 皆川 「そうだそうだコノヤロー!!」 佐東 「ひとつ上だからってナメんなよコノヤロー!!」 彰利 「ゲエ!猛者が言うこと聞いてくれねー!!     つーかこんなところでノリの良さを示してんじゃねー!!     言うこと聞いてーーーっ!!お願いヨーーーッ!!」 佐野 「いや、大変言いにくいんだが……既に枕が尽きてる」 皆川 「なにっ!?お前もか!?」 佐東 「おお!俺もだ!!」 佐野 「俺は……俺はひとりじゃなかったんだな!?」 総員 『友情だ……』 彰利 「友情確かめ合ってる暇があったらこっちの方なんとかしようと思ってぇえ!!」 中井出「これで貴様らは枕を奪わんかぎり誰にも攻撃できん!!     さあみんな!今こそ好機!全軍打って出る!!」 総員 『サーイェッサー!!』 彰利 「ああっ!言葉盗まれた!ちくしょー!     俺の時はそんな威勢のいい返事してくれなかったくせに!!」 こうなりゃヤケです! つーか俺って追い詰められるとすぐヤケになってる気がする。 まあいいか、原中大原則にも “追い詰められたらウダウダ悩むより、ヤケになってでも突っ込むべし”ってあるし。 彰利 「そィやぁーーーーーっ!!!受けてみよ!我が必殺の───」 中井出「枕!」 彰利 「はうあ!!」 し、しまった俺には枕がズバァーーーーム!!! 彰利 「しぎゃぴぃーーーーーーーっ!!!」 躊躇したところを思い切り殴られました。 枕で。 彰利 「てめぇには情ってもんがねぇのかぁーーーーっ!!!     武器を持たないヤツ相手になんてことを!!」 中井出「ジョー!?何処のパンツだその東は!!これは戦法というものだ!     兵糧攻めならぬ武器攻め!!     武器をなくした者をいたぶるのはさぞ楽しいことでしょう!!」 彰利 「ナ、ナメんなぁーーーっ!!武器が無いなら無刀取りで奪うまで!!」 中井出「よっしゃ出来るもんならやってみろぉ!!」 彰利 「よっしゃァーーーッ!!!《ズバァン!!》ギョェエーーーッ!!!」 僕は構えた!しかし中井出の攻撃の早さは想像を遙かに超えていた!! 彰利 「い、いてぇーーーーーっ!!!」 中井出「ふはは馬鹿め!!武器を持たぬ者相手にVITなど不要!     ならば選ぶ道はSTRとAGIのみ!     力と速度のみを極限まで高めた我がステータスを見よ!!     ショラショラショラショラァアーーーーーーーッ!!!」 スピィンスパァンスポォン!! 彰利 「アイヤァーーーーーーッ!!!」 僕はおよそ枕で殴られたとは思えない効果音とともに、枕で往復ビンタをされました。 く、くそう!こうなったらこちらもAGIのみをあげて、素早く中井出の枕を───!! 彰利 「トテァーーーーッ!!!」 中井出「そうくることは───読めていた!」 彰利 「なにぃ!?ぎゃああああーーーーーーっ!!!」 素早く伸ばした手が空振りする! なんと中井出めがフェイントを使ったのだ!! しかも隙だらけの僕目掛けて───なんと枕を軽くパスしたのだ!! 彰利 「え?わっ!っとっと!?」 しかしそれこそが罠ッッ!! ヤツはうっかりキャッチした僕に、枕ごしに崩拳を当てたのだ!! 中井出「STRマックス!!“爆裂!徹し崩拳”!!」 ドゴォッ!!……ホォオオオン……!! 彰利 「ひっ……響く……!!」 枕ごしに衝撃が徹る。 衝撃は的確に我が心の臓を穿ち、背中から虚空へと突き抜けていった。 彰利 「おががちょっと待て……!!これっ……!!」 体の内部に爆裂した衝撃のようなものが徹った。 もちろん本当に爆発したりはしてないが、それと同等の衝撃が突き抜けたのだ。 彰利 「げっほごほがへはっ!!げっほ!!〜〜っ……だ、だが!僕は今枕を手に入れ」 中井出「バッスー・ピンコオ拳!!」 ドボォッ!! 彰利 「ゲファーーーリ!!《ホォオオン……!!》」 攻撃されると感じたらつい咄嗟に枕でガードしちまいました。 すると徹ってくる衝撃。 ば、馬鹿な……ば、馬鹿な……!! 何故こんなにまで衝撃が徹るのかネ……!?こんなもの知らんヨ……!こんなもの……!! もしや中井出の野郎、拳法にでも目覚めたとか……!? 彰利 「な……内臓はヤメレ……!!響いて上手く動けねぇ……!!」 中井出「バカモーーン!!それが狙いなんだからやめるわけがなかろうがーーーーっ!!」 彰利 「ゲゲエ!!言われてみればそうだった〜〜〜っ!!     た、助けてぇええ!!猛者のみんな助けて!たすけ───ゲエエーーーッ!!!」 助けを求めて振り向いてみれば、いつの間にやら死屍累々の猛者たち!! その中心には───まあその、大方の予想通りとしてビスケット=オリバの姿が……!! しかもその後方では、 ゲイボルグの石突きに枕をくっつけて人々を突きまくるどっかで見た英霊と─── バーサーカー『ルグゥォオオオオオオッ!!!!』 夏子    「突撃(ロース)突撃(ロース)突撃(ロース)!」 肩に木村夏子さんを乗っけた筋肉ゴリモリのヘラクレスさんが!! 清水 「ヒ、ヒィイイーーーーーーーーッ!!!!《バゴチャア!!》ウベルリ!!」 振るう一撃はまるで台風を圧縮したそれが如し!! 斧剣ではなく枕を装備したバーサーカーは、 口から蒸気めいた息を吐きながら突撃のみをする!! つーか清水が吹き飛ばされて泡吹いてる。 殊戸瀬「エル!ゴー!!」 エル 『クオォオオオーーーーーーゥウッ!!!!』 ルオバゴチャアァアアーーーンッ!!! 田辺&岡田『ギャアーーーーーーーーッ!!!』 彰利   「ゲェーーーーーーーッ!!!!」 次弾!殊戸瀬がその場に出した飛竜が尻尾に枕をつけ、 近くに居た田辺と岡田を吹き飛ばした!! 彰利 「こ、こりゃたまらん!!これ皆の者!(ちん)を守るでおじゃる!!」 藤堂 「ノー!!貴様だ!貴様が盾になれ!!」 彰利 「なにを無礼な!陳を愚弄する気でおじゃるかてめぇ!!」 灯村 「一等兵である貴様が突撃命令を出したからこんなことになったんだぞ!!     貴様が責任を取るのは当たり前じゃないか!!」 彰利 「ち、陳は陳だからいいのでおじゃる!!それ、ゆくでおじゃる!!     麻衣香ネーサンあたりが狙い目でおじゃるよ!?」 内海 「ハッ!そういえば!!」 綴理 「麻衣香には特にこれといった守り手や強力なものがないわ!!     魔法といっても枕ごしに撃てるものなんてない筈!!」 七尾 「そうと決まれば突貫ーーーーッ!!!覚悟!麻衣香ぁーーーーっ!!!」 麻衣香「───!!」 おお!七尾チャンが俺が奪取した枕を持って麻衣香ネーサンに襲い掛かった!! んだけど……ポスンッ。 七尾 「わっと!?」 ヒョイと投げられた枕を顔に喰らって驚き、 麻衣香「大気の震動。汝蠢き惑う者を鎮めよ。“ショックブラスト”」 その隙を見事に狙われたのでした。 七尾 「えぇっ!?ちょ、ちょっとまったぁーーーーっ!!」 彰利 「いかん!狙いは腹だ!!七尾チャン!!枕を腹から退かすんだ!!     そうすれば肉体への攻撃により麻衣香ネーサンは失格だ!!」 七尾 「むむむ無茶言わないでぇええーーーーーーっ!!!!」 ああやはり人の本能。 七尾チャンは枕で腹をガードしてしまい、 その上から手の平に凝縮された魔法を枕ごしに放たれてしまう。 するとドゴォン!という轟音とともに七尾チャンの腹を突き抜ける衝撃。 ……七尾チャンは特に何を語るでもなく気絶してしまった。 彰利 「ア、アワワーーーッ!!」 悠介 「アワワーじゃなくて、お前も向かったらどうだ?」 彰利 「オオ!そういや中井出を他の猛者が抑えている今が好機!!でも枕が無いや」 悠介 「…………実は俺もだ」 …………どうしよう。 バーサーカー『グォオオオーーーーウゥウウム!!!!』 彰利    「とか言ってる傍からぁああーーーーーーーっ!!!?」 チィイこのバカデカ図体め! そっちがこっちを潰す気ならば、俺は貴様を速さで翻弄する!! 一生かかっても追いつけバゴシャア!!! 彰利 「ギャアーーーーーーッ!!!」 どがしゃぁあああああああんっ!!! ───ドグシャッ!!───ゴシャッ!ごしゃっ……!!……ザムゥ〜〜…… AGIに全てを託したまま動き回ろうとした時だった。 バーサーカーさんの枕が物凄い速度で僕の顔面を捉え、 僕は空を飛び───窓をブチ破り、やがて大地に背中から着地。 その衝撃が身体をどうしようもなく痛めつけると─── 僕はあっさりと気を失ったのでした。 ───……。 ……。 サァア……チチ、チュンチュン…… 彰利 「グ……グム?」 やがて僕が目を覚ますと、そこには朝という名の眩しい世界が存在していた。 彰利 「ひでぇ!!朝まで放置かよ俺!!お、おのれぇーーーーっ!!!     戦いの行方がどうとかより、誰一人として救いにこないのが許せねー!!」 俺の存在はそんなちっぽけじゃねィェーーーーッ!!! み、見せたるオイラの十万馬力!! オイラは怒りを露にしたまま大地を駆け、玄関を通って、 ワヤワヤと賑やかな大食堂へと足を運んだ!! すると─── 櫻子 「あらあら彰利ちゃん、おはよう」 彰利 「りゃっ───さ、櫻子さん!?何故なにどうしてホワイ!?     もう集会だかなんだか忘れたけどそれって終わったん!?」 櫻子 「ええ、夜中に帰ってきたのよ。その時に一応声をかけたんだけど……     彰利ちゃん気持ち良さそうに眠ってたからそのまま寝かせておいてあげたの」 彰利 「エエッ!?そこって普通無理にでも起こすとこでしょ!?     “風邪引くわYO!”とか言って起こすところだよ!そうに違いねー!!     そ、そんな状況で放置されるなんて初体験……じゃない気もする……。     大体それ気持ちよく寝てたんじゃなくてオチてたんだよ絶対!!」 櫻子 「まあまあ、朝から叫ぶと疲れるでしょう?     ご飯が出来てるから、ゆっくり食べなさい」 彰利 「え?あ、グ、グムーーー」 メシと言われちゃこの彰利、黙って食うしかない。 メシは大事ですよメシは。 宗次は何も教えてくれはせんかったが、憎悪とメシの在り難さだけはヤツのお蔭で学べた。 メシ食える、トテモ幸せなコト。 つーわけで俺は妻たちが手招きしていることを無視して悠介の隣に座った。 悠介 「ん……なんだ、あいつらのところに行かないのか?」 彰利 「これは僕の勇者としての決定だ。今だけは誰にも文句は言わせん」 悠介 「つまりあとでボコボコにされる覚悟は出来てるわけか」 彰利 「まあそんなトコ」 否定など出来るものか。 彰利 「で、結局昨夜の枕投げって誰が勝ったん?」 悠介 「ノート」 彰利 「なんで!?」 悠介 「櫻子さん特性タルトと聞けば精霊連中が黙ってるわけないだろ。     ましてそれがイチゴタルトならば。途中から乱入してきて圧勝してたぞ」 彰利 「ひゃあ、それは堪忍どすなぁ」 上位三名とも、精霊だったんでしょうな。 訊くだけヤヴォだ。 と思いつつ、用意されている食事に手をつける。 ノート『さて汝ら。食事中にすまんが聞いてくれ』 彰利 「ぃやだぁ」 ノート『では弦月彰利には聴覚障害魔法をかけて話を進めよう』 彰利 「イヤァア!!ウソ!ウソです!俺だけ独りなんてやだぁーーーーーっ!!!」 ノート『ならばわざわざ話の腰を折るような発言をするな。     さて、話というのは他でもない、“博光の野望オンライン”のことだが。     汝らの思考や囁きを受け取った上で、いろいろと設定変更をしていきたいと思う。     それにあたり、なにか願うことはあるか?』 中井出「コレ!と決めた基本ジョブを突き進む者だけにもう1ランク上のジョブを!!」 藍田 「時の回廊の外なら、死んでもガーディアンが変わらんようにしてくれ!!     あとガーディアンを召喚できるようにしてくれ!バトル中一回だけでいいから!」 丘野 「ヒロラインとは関係ないでござるが、     セットを唱えて武器を出さなくても力を引き出せるようにしてほしいでござる!」 ノート『ふむ……ほかには?』 閏璃 「闘技場が欲しい!巨人族とだけ戦える場所じゃなくて普通に!!     モンスターとか人間とかと戦える場所が!」 ノート『それならば既に存在している。汝らの中の誰も辿り着いていないだけだ』 閏璃 「あれ?そうなのか?じゃあ他には……」 彰利 「魔人冥黒結界の解放を求む!!」 ノート『だめだ』 彰利 「ひでぇ即答だ!!」 ノート『それだから汝はダメなのだ。大きな力を得るとそれに頼りきりになる。     汝は今現在の汝での限界を目指してみろ。     レベルを上げるよりもまずそれが重要だ』 彰利 「グ、グムーーー」 それってやっぱレヴァルグリードのことだよな……。 トホホイ、言われてすぐ出来りゃあやってるってのに。 ノート『他にはないのか?』 悠介 「他に要望があれば随時募集ってことで落ち着かないか?     急に言われてもどうしたもんかって思うだろ」 ノート『ふむ。一理あるな、了解した。では汝ら、食事を取ったらマスターの部屋へ集え。     すぐに博光の野望オンラインを再開する』 彰利 「ありゃ!?もうメンテ終わったの!?」 ノート『既に三日だ。当然だろう』 あ……そういやそうでした。 ノート『精霊も既に回復済みだ。     イセリアが寝足りないとかで眠っているが、それもそろそろ起きる頃合だ』 彰利 「へー……スッピーったら随分と手回しがいいじゃねぇの。     なにぞ嬉しいことでもあった?」 ノート『なにもない』 彰利 「………」 ノート『………』 彰利 「ははぁ〜〜〜ん?解ったぞ〜、お前を動かした動力が〜〜〜っ。     タルト食えて嬉かったから張り切ったんだろ〜〜〜っ。     えぇ〜〜〜っ?《ベゴチャア!!》ダップス!!!」 ノート『さて、伝えることはそれだけだ。ゆっくりと食し、精神を落ち着けてから来い』 彰利 「な、殴った上にさらりと流そうとしてる!!痛ぇじゃねぇかコノヤロー!!」 ノート『黙れ。張り切ってなどいない《ギロリ》』 彰利 「ア……ハ、ハイ、ソウデスネ」 ま、まさに蛇に睨まれたフロッグ!! ああジョジョ、恐ろしいッッ……!! 彼はまるで精霊という名のノートだわ……!! 彰利 「イマネェゥ、トテェモゥ、コワァイカァンジガシタァゥ」 悠介 「思わず外国人口調になるくらい怖かったか……」 彰利 「怖いよマジで!フカヒレが受けた恐怖とは雲泥の差だよきっと!!」 悠介 「捌かれる鮫でも想像したのかお前は」 カチャッ…… 中井出  「ゴチソウサマデシタ」 猛者   『ゴチソウサマデシタ』 彰利&悠介『速ァアアーーーーーッ!!!?』 ば、馬鹿なッッ!! まだメシ食い始めてそう経ってないよ!?(俺は) 中井出「では失礼するよ?私にはめくるめく冒険の旅が待っているのでね……」 猛者 『フフフ、失礼……』 などと言いつつッ……!! この時、ニコリと余裕の笑みを残して去る彼らに、 なぜか僕は敗北感を味わったのだッッ……!! 彰利 「み、認めん!常にナンバーワンはこのディアヴォロだ!!」 そんなわけでメシを早食い!! やがて口周りをソッとナプキンで拭うと、中井出達を追って冒険の旅へと出たのだった!! つーても悠介の部屋行って寝るだけなんだが。 まあいい! さあ!ともに叫ぼう声高らかに!レッツヒロライン!! 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