───冒険の書68/バスターサイクロン───
【ケース238:中井出博光/五連邪チームの鬼連邪選手の岩鉄斬剣の巻】 ───ビジュンッ!! 中井出「っとと……!!おお、これに見えるは低い天井」 つーことはここはヒロラインの時の回廊? ビジュビジュビジュビジュンッ!ビジュンッ!! 藍田 「ん───お?おお」 丘野 「目の前のドア……これは確かゼクンドゥスが居る場所のドアだったでござるな?」 麻衣香「あ……よかった、ちゃんとルシファー居ないね」 夏子 「これでまた居たらどうしようとか思ってたんだよね」 殊戸瀬「ひとまずこれで安心、と。というわけで───」 ピタリ、と。 なぜか皆様が俺を見る。 中井出「な、なにかな?ヒヨッ子どもよ」 藍田 「提督!武器見せてくれ武器!」 丘野 「考えてみりゃ完成したのは知ってるけど、     それがどういうものなのかは知らないでござるよ我らは!!」 麻衣香「そうなれば武器の詳細が気になるのは仕方ないこと!」 殊戸瀬「というわけで見せるのです提督!!」 夏子 「今すぐ!!」 中井出「や……がっつかなくても見たいなら見せるが……」 頭の後ろをコリコリと掻きながらジークフリードを鞘から抜く。 で、ナビを利用して武器の詳細を虚空に出す、と。 中井出「これでいい筈だが……っと、出てきた出てきた」  ◆稀紅蒼剣ジークフリード+147───きこうそうけんじーくふりーど  レアウェポンの中でも大変貴重な武器。  “+”が百を越えた双剣系レアウェポンと棒剣ジークスフィアを合成すると完成する。  “稀紅蒼剣”の名が付くのは稀黄剣シュバルドラインをベースにした時のみである。  ジークスフィアと合成させる武器が双剣化の潜在スキルを有する武器か、  双剣のレアウェポンを合成させるとジークフリードとなり、  双剣化させるとジークムントとジークリンデの名を持つ双剣に変異する。  それ以外のレアウェポンを合成させると完成する武器はジークハルトになり、  そうなるとジークムントとジークリンデの名の双剣は得られない。  ちなみにジークムント、ジークリンデはジークフリードの両親の名とされている。  *潜在能力───固有必殺技:斬鉄剣  ◆マグニファイ  鬼人化────────ステータス二倍。  黄竜剣────────黄竜の力を込めた一撃。一度のみの破壊攻撃。長剣時のみ。  ミニ黄竜斬光剣────10秒間、小さな黄竜斬光剣を放てる。双剣時のみ。  守護炎陣───────ヒノカグツチの火円の守護を高める(火円は“かえん”と読む)  猛毒─────────毒効果倍化。  一発剣閃───────マグニファイ中、一発だけ無消費で剣閃を放てる。  衝撃波────────小さな衝撃波を出せる。  アーマーキラー────防御力無視の攻撃が放てる。しかし効果は小さい。  オーガインパクト───次の攻撃が通常攻撃4倍。  ガンランス──────突き攻撃時、爆発ダメージ追加。  ストライクブラスト──次の攻撃が確実にクリティカル+ボーナスダメージ。  ◆剣士スキル  鬼靭モード───────斬りつけるたびにTPが小回復。              MAX状態で斬りつけると鬼靭モード発動。              TPが少しずつ減ってゆく代わりに攻撃力が上がる。  ◆潜在スキル  鬼人化+1分──────鬼人化状態が1分だけ追加される。  双剣化─────────長剣を双剣に変える特種能力。使えるスキルも変化する。  六閃化─────────双剣状態時のみ、振るう一閃が六閃になる。              が、使用中はTPが減ってゆく。  羅生門─────────厳しい条件が揃うと発動可能な二刀流居合いの秘奥義。              武器がひとつの状態では獅子歌々に変わる。  獅子歌々────────厳しい条件が揃うと発動可能な一刀流居合いの秘奥義。              武器がふたつの状態では羅生門に変わる。  極光吼竜閃───────レイジングロア。HPとTPを1残して全て使用する、              黄竜のレーザーを模した一刀流秘奥義              HPTPともにMAXの状態でなければ放てない。  双牙旋空衝───────六閃化させた双剣から剣閃を放ちまくる二刀流秘奥義。              一振り20TP消費。  斬鉄剣─────────バルムンク。自分より明らかな三下を蹴散らし屠る一閃。              長剣時のみ発動可能の必殺技。戦闘中一度きり。              これで敵をコロがしても、きちんと経験値は貰えるらしい。  ◆我流技能  黄竜爆砕刃─(こうりゅうばくさいじん)
──────エクスプロードブレードに黄竜剣の力を上乗せした剣閃。  斬光烈空刃─(ざんこうれっくうじん)──────黄竜斬光剣と鎌鼬を巧みに操り、敵を切り刻む技。  緋凰絶炎衝─(ひおうぜつえんしょう)──────ジークリンデで突風を吹き荒ばせ、              ジークムントで空中からの突き攻撃。              その後、再び風を吹き荒ばせ、              ターンとともに地面より火柱を波立たせ、焼き尽くす。  熱衝蒼刃塵─(ねっしょうそうはじん)──────高速回転する火と風の輪状の渦を虚空に作り、              そこに衝撃波を通すことで火炎剣風を巻き起こす。              輪状の渦がカタパルトの役割を担うため、              高速の衝撃爆風を放つことが可能。  翔破裂紅閃─(しょうはれっこうせん)──────切り上げた対象を双剣にて突きまくる技。              マグニファイ時に使用するため、“ガンランス”が発動。              それに連れ添うようにボマーも発動するため、              喰らった者は空中で幾度も爆発させられることとなる。  氷月翔閃─(ひょうげつしょうせん)───────精霊の加護を使った技。              加護により剣から迸る冷気で相手を凍らせる。              その際発生する巨大な氷が華の形であり、              それを砕くことで敵を傷つける。              “雪月花ってな!氷月翔閃!”の言葉がステキ。  ◆技術スキル  毒   :★★★─────攻撃HIT時、敵を毒状態にすることが出来る。  麻痺  :★★★─────攻撃HIT時、敵を麻痺状態にすることが出来る。  回復  :★★──────攻撃HIT時、自分のHPを小回復することが出来る。  銭   :★───────敵をコロがした際、$を多く手に入れることが可能。  金   :★★★★★───サビつかなくなる。べつに本当に金メッキは付かない。  背水  :★★──────HPが一定以上下がると、その戦闘中攻撃力が上昇。  会心  :☆───────クリティカルヒットが発生しやすくなる。  ボマー :★★──────火属性などの攻撃の際、爆発してダメージが追加される。  火   :★★★★★───火属性ダメージが上昇。ボマースキルと合わせると強力。  鎌鼬  :★★──────武器から風の刃が発生することがある。  蟹キラー:★★★★★───甲殻類の敵に対して優位に戦える。  麦茶  :★★★★★───麦茶の真の味と美味しい作り方が解る。  リネーム:★★★★★───様々なものの名前を変えられる。 ───……。 中井出「と、こんなもんだが」 藍田 「うおう……相変わらず武器だけは凶暴なぐらいの出来栄え……!!」 中井出「武器だけとか言うな。俺だって頑張ってんだぞー、コノヤロー」 丘野 「この緋凰絶炎衝と翔破裂紅閃とかってなんでござるか?」 中井出「あ、それいつかやろうと思ってた技。     まさか予定中のものが書かれてるとは思わんかった」 藍田 「予定ブツだったのか……道理で。     見た覚えないし、自由行使出来るほど鎌鼬スキル高くないし」 そうなのだ。 翔波烈紅閃は出来るだろうが、緋凰絶炎衝は鎌鼬スキルが少ないから無理である。 偶然に二回発動してくれりゃあ出来なくもないんだが。 藍田 「ただ……この斬鉄剣とは?」 中井出「ん……俺も気になってたんだけどさ。ジークフリードの潜在能力みたいだな」 丘野 「三下をコロがす便利必殺技でござるか……すぐ使えるんでござるか?」 中井出「どうだろな。使用条件とか書いてないし……そうすりゃいいんだこれ」 麻衣香「えっとそれ考えるのはあとにして、まずこの回廊から出ない?     じゃないとまた、歩きもしないのにチュゴォオオンって」 チュゴォオオンッ!!!《外道ジャック・リパーが現れた!!》 麻衣香「出たァーーーーッ!!!」 殊戸瀬「しかもジャック・リパー……!!」 中井出「よし木村夏子二等!アサシン召喚して会話させるんだ!反応を見てみたい!」 夏子 「イェッサー!!サモンザ・アサシン!!」 キィンッ!!───トン。 アサシン『あ〜ぁ……出会っちまったか』 リパー 『ギギ……!刻みてぇ……!!』 召喚とともに静かに着地、目を細めて静かに笑うソイツは、 元同族を見て静かに口の端を歪めた。 リパー 『なんだ……同族か……』 アサシン『同族か。ああ、確かにアンタとは生きた歴史が似通っている。      しかし残念だ、俺はもうアンタとは乖離に近しいほど離れた存在だ。      故に消えろ。元の俺がこんなところに居るのは幻の類だろう?      “俺”は一人でいい。だったら───これしかないよな?』 スカッ───。 リパー 『ギ……?』 アサシン『闇夜に這う鬼は一人でいい。芥と消えろ、夜の幻想。      鬼が複数居たらゲームにならないだろう?そして、鬼は俺一人でいい』 バサァッ!!───ジャック・リパーが塵と化す。 擦れ違い様に首を一閃……それだけで全ては終わっていた。 中井出「お……おおお……!!」 藍田 「相手が弱いにしても一撃か……もしかしてレベルアップしてる?」 夏子 「うん、地味に」 アサシンが七夜の短刀を仕舞うと、木村夏子二等がアサシンをCOMPに戻そうとする。 だが俺はそれに待ったをかけた!ああかけたね!! 夏子 「提督さん?」 中井出「待て、待つんだ木村夏子よ。我に名案あり!!」 そう、いつまでもアサシンがリパーの名を引きずらんように!! 俺は軽くアサシンの手の甲にジークフリードを刺すと、“リネーム”を発動。 名前をジャック・リパーから“七夜志貴”へと変更した。 アサシン『……へえ』 中井出 「おお……リネーム成功!!き、木村夏子よ!バーサーカーも出すのだ!」 夏子  「イェッサー!!サモンザ・バーサーカー!!」 キィンッ───ドゴォンッ!! バーサーカー『グォオオーーーーゥウウム!!!』 中井出   「待ってました!そりゃっ!!」 出てきたバーサーカーに早速サクシュッ!と剣を刺し、リネーム実行!! “デモノイドヘラクレス”という名前から普通に“ヘラクレス”に変更!! 中井出「よし終了!引っ込めてもいいぞ!     そして誰ぞ!なにかの名前を変更した者はおるか!?」 藍田 「俺の“外道スライム”をヘドロゲルガーに改名してくれ」 中井出「よし来た!」 サクゴバシャォンッ!! スライム『ゲルガァーーーーーーーッ!!!!』 総員  『あ……』 突如発動した会心スキルにより、外道スライムが粉微塵と化した……。 チクリと刺したつもりが……おおなんてこった。 藍田 「あー……いいや、どうでも。俺、バトルやってても悪魔使いそうにないし」 丘野 「実を言うと俺も」 麻衣香「わたしも……」 殊戸瀬「わたしも」 夏子 「え?じゃあ悪魔行使する気があるのってわたしだけ?」 中井出「みたいだな」 考えてみりゃあ大体が合成に使っちまったもんだから、ろくな悪魔残ってねぇし。 藍田 「ちなみに俺のデッキはきんたん10枚とメシアンブッチャーだけ」 丘野 「なんの!拙者などきんたんと如来像と…………メシアンブッチャー……」 麻衣香「わたしなんて───うあ、メシアンブッチャーだけだ」 殊戸瀬「こっちはえっと……メシアンブッチャーとケライノーだけ」 中井出「……あぁ……えっと。ここは、     何故全員メシアンブッチャーを仲魔にしてるんだ?とツッコムところか?」 藍田 「や、この名前がなんとなく気に入ったもんで」 でも名前だけだから、と。 とっととメシアンブッチャーを捨てる猛者たち。 ひでぇ。 丘野 「ほいじゃあそろそろ出るでござるか?」 中井出「だな。なんだかんだでナギー達も随分と待たせてる」 藍田 「イジケてたら全ては頼んだぜ提督!」 夏子 「提督さんならきっとなんとか出来るって信じてるわ!」 殊戸瀬「大丈夫!提督ならきっと出来る!」 中井出「ただ単に押し付けてぇだけだろてめぇら!!」 麻衣香「まあまあ。それじゃあ───開門〜♪」 ガチャッ……ゴガガガガガゴォオオンッ……!! 総員 『ゴ、ゴクッ!!』 そうして、ようやくその扉は開かれた。 この場所だけでどれだけ居たのかは数えちゃいないが、それでもようやくって感じがする。 いや……ほんと、もう来たくないかもしれない。 いくらなんでも敵が好き勝手に出すぎだここは。 などと思いつつも、扉の先の広間に立つ少年を確認。 こやつがゼクンドゥスだろう。 ダオス様の面影を残したまま小さくなった存在って感じだ、思いっきり。 ゼクンドゥス『時の回廊攻略、おめでとうございます。ここにはどういった用で?』 中井出   「時の加護と外への脱出が目的!つーかそれ以外になにかがあるとでも?」 ゼクンドゥス『手に入れたガーディアンの力をより引き出せるようにできますが』 総員    『是非に』 満場一致だった。 それを確認するとゼクンドゥスはニコリと笑い、 両手に光を込めるとそれを我らひとりひとりの額に埋め込んでいった。 すると我らに宿ったガーディアンが、さらに身近に感じられる妙な感覚が。 ゼクンドゥス『……、───はい、これにて加護と力の引き出しを終了します。        お疲れ様でした。あなた方を時の回廊から出します』 総員    『よっしゃこーーーい!!』 辺りが輝きだす。 すると我らの体もそれに誘われるように輝き、 一気に時の回廊の外へと飛ばされたのだった。 ───……。 ……。 そうして青い空の下に降り立った───!! ……と思ったら、真っ暗だった。 丘野 「神殿の中じゃないのはサービスだったんだろうが……こうも暗いとなぁ」 藍田 「せめて光とともに降り立ったら、蒼空の下だった!だったらこう……グムー」 中井出「おーい!ナギー!?シードー!!」 丘野 「おお、早速中井出が子供探しを」 藍田 「家族思いのいいヤツだった……」 中井出「死んだみたいに言うなよ!いきなり訳解らん!!」 だが───これはどういうことだ!?ナギーが……シードが居ない!? 中井出「ナギー!シードォッ!!」 藍田 「おいおい中井出?どした?」 中井出「ナギーとシードが居ないんだ!もしや誘拐!?」 丘野 「誘拐したヤツがコロがされるだけだと思うんだが?     ほら、暗いからって別の場所に行ってるとか」 殊戸瀬「こっちもロドが───、ちょっと待って。そこ、紙が置いてある」 麻衣香「紙?あ、ほんとだ」 殊戸瀬が指差した場所を見ると、 暗い中でちと見づらいが───確かに石の重しの下に紙があった。 麻衣香「えっと……?“二人と一匹は預からせてもらう。謎の勢力より”……だって」 中井出「謎の勢力!?な、謎の…………───誰!?」 藍田 「連れ去ったって……おいおいおい、いくらなんでもそりゃ難しいんじゃないか?     ナギ助はあれでも自然の精霊で、シードは魔王の子だぞ?そんな簡単には───」 中井出「謎すぎて解んねぇよ!ヒントが無いにも程がある!!」 麻衣香「だから謎の勢力なんだろうし」 丘野 「どちらにしろここでぐずぐずなどしていられないでござるな。     まずは定期便の船長殿にでも情報を訊くでござるよ」 中井出「あ……そ、そうだな、そうだそう……」 夏子 「ていうかまず落ち着こうよ、提督さん」 中井出「そそそそうだ落ち着くンだ……えぇとまず警察にtellを……!!」 藍田 「うーわー、かつてないほど混乱してるな」 丘野 「喝ッ!!」 ドズゥ!! 中井出「ゲブゥ!!」 突然の衝撃! 俺の脇腹に丘野くんの貫手がめりこんだ!!! 中井出「うげっほげっほごほ!!な、なにをするだァーーーーッ!!」 丘野 「一目で解る、貫手でござる!提督殿がそんなことでどうするでござる!?     これをよく見るでござる!“預からせてもらう”でござるよ!?     きっと手荒なことはしないでござる!     ……もしや謎の勢力とは名ばかりの、託児所かもしれんでござる」 藍田 「近頃の託児所は勝手に子供を攫っていくのか……そりゃハイテクだ」 丘野 「まあそんなところでござるよきっと。     だから我らはナギー殿とシード殿が居る場所を探さなければならないでござる。     しかしやぶからぼうに急いで探しても、見逃してしまう可能性が増えるだけ。     ではどうするか。───普通に旅をするでござるよ」 中井出「旅を?」 丘野 「ただし、まだ見ぬ場所を目指しての冒険でござる。     同じところに行くのは全てを回った後でも遅くないでござるよ」 藍田 「そだな。大体、今まで行ったことのある場所で、     怪しそうな集団が居る場所なんて無かった」 麻衣香「そうだね。つまり謎の勢力っていうのは、     今まで訪れたことのある場所じゃないところに居る可能性が高い勢力。     それを突き止めれば、きっとそこに二人とも居ると思うよ」 中井出「……なるほど」 だったらこんなところで油は売ってられない。 行こう!まだ見ぬ世界へと!! 中井出「諸君らに礼を!お蔭で元気を取り戻せた!!     ではこれよりこの島よりノースノーランドへと戻るものとする!     その際、船長に二人と一匹のことを訊くのを忘れぬように!!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「では出陣ンンンンーーーーーーッ!!!!」 我らは走った!森を抜け、砂浜を駆け、 丁度泊まっていた船へと駆け乗り、船長に話をもちかけた!! すると───空飛ぶルルカに乗って、 ナギーとシードが何者かに連れられてゆくのを見たという。 それで確信した。 ナギーやシードは時の大地にはおらず、 事実───謎の勢力の手によって何処かへ連れていかれたのだと! 中井出「船長!ノースノーランドへ急いでくれ!我らには重大な目的が舞い降りたー!!」 船長 「……?よく解らんが出せっていうなら出すさ。野郎ども!碇をあげろーーーっ!」 船員 『オォオーーーーーーッ!!!』 さあゆこう!新たなる旅路へ! だが目的ばかりに意思を囚われてはこの世界は楽しめない。 だから俺達はなるべく焦らず、自然に進むことにした。 二人のことは気がかりだが、それでも。 藍田 「よし中井出、あいつらと再会した時のことを想定して、     再会したらまずなにをしてやる?」 中井出「え?はは、そうだなー───     やつらが居なかった時に体験した面白話を散々と誇張して聞かせてやる」 藍田 「……鬼だなお前」 中井出「簡単についていく方が悪い!!なにやってんだ精霊と魔王!!」 麻衣香「……うん、気持ちは解るかも」 そんなわけで俺達の新たなる旅路は始まったのだった。 目指せ新天地。 そしていつの日か謎の勢力を発見して二人を救う! その時になって、二人がどんな風に成長しているのかが今の俺には楽しみです。 【ケース239:中井出博光(再)/サファリパークのサファリってどんな意味なんだろ】 ───ザザァ……ゴパシャッ…… 船長 「ノースノーランドに停泊ー!降りるヤツぁ忘れモンが無いようになー!」 中井出「うむサンクス。ではこれが代金だ」 船長 「おう。気を付けてな」 後払いの太っ腹な船長さんに金を渡し、早速雪を踏みしめながら歩いて───あ。 アイルー『ゴニャッ?』 豆村  「ありゃ?」 刹那  「おろ?」 歩き出したと思ったら再会。 大事そうにデケェ卵を抱えた猫と、その弟子たちがそこに居た。 中井出 「船に乗るのか?」 豆村  「うす。時の大地の気候が怪盗ペリカンの卵の孵化に丁度いいっつーんで」 麻衣香 「ペリカンって……それ?」 刹那  「ええまあ。とんだ生き恥、心の傷を代償に手に入れた大事な卵っす」 藍田  「言ってる意味がよく解らんが。      でも丁度よかった、ちと鍛えてほしいものがあるんだが」 アイルー『毎度ありニャッ!!と言いたいところだけど、      このままここに居たら卵がダメになっちゃうニャ。      出来れば宿のあったかい暖炉の前で用件を聞きたいニャ』 藍田  「ちゃっかりしてんなぁ……解ったよ、宿代出すから宿に行こう。      提督たちもそれでいいか?」 中井出 「よく解らんが、そう言うならそうしよう」 丘野  「焦りは禁物でござるしな」 夏子  「それじゃあ宿屋にゴー」 総員  『おうさー!』 内心いきなり出鼻を挫かれた感じではあったが、 これはこれでいい気分転換になるかもしれないと思った。 大丈夫だ、ナギーやシードは危害を加えられそうになっても抗えない存在じゃない。 などと思いながら、我らは宿親へと向かった。 ───……。 ……。 ガチャア…… 中井出 「おお……一流スウィ〜トゥ・ルーム……!!」 藍田  「よっしゃ、奮発して一番高い部屋取ったんだ、遠慮なくくつろいでくれよな」 アイルー『受付に告ぐニャ!今すぐマタタビをあるだけ持ってくるニャ!!』 藍田  「くつろぎすぎだクソ猫!!いきなりなんてもの頼んでやがる!!」 アイルー『大丈夫ニャ。マタタビは置いてないって断られたニャ。      まあ冗談はさておいて、鍛えてほしいものってなにニャ?』 卵とともに暖炉の近くでヌクヌクと目を細める猫が言う。 さて……そこんとこだが俺も知らない。 恐らく他のやつらもだ。 藍田  「これなんだけどな。なんだか解るか?」 藍田がバックパックから妙な塊を取り出し、それを猫に見せる。 すると─── アイルー『ゴニャッ?これは……レアウェポンの臭いがプンプンするニャッ!!』 猫がワタワタしながらジャンプした。 一緒に飛んだ卵は───間一髪のところで、弟子ふたりがキャッチした。 豆村  「猫てめぇーーーっ!!      俺達の生き恥と心の傷の末にある卵を放り投げるとは何事かぁーーーっ!!!」 アイルー『手が滑ったニャ。それよりこれ、どうやって入手したニャ?』 藍田  「知り合いに貰った」 アイルー『そうなのニャ?だとしたらその知り合いはよっぽどのお人よしか馬鹿ニャ』 総員  『ああ馬鹿だな』 躊躇せずに満場一致だった。 アイルー『どうするニャ?鍛えるならちょっと値が張るニャ。      それに力を引き出すために、ひとつ重要なアイテムが必要ニャ。      それが無くても鍛えられるけど、真の力は眠ったままになるニャ』 藍田  「金ならたーんとある。執事ジョブって金使わないからな。      で、その重要アイテムってのはなんだ?」 アイルー『九頭竜の勾玉ってものニャ。      シャレにならないくらいにレアリティの高いアイテムニャ。      無くて当然だから気を落とすことは───』 藍田  「これだな。ホレ」 アイルー『…………毎度思うんだけど、キミたち何者ニャ?      必要なレアアイテムをこうポンポン出されると旅する猫として立場が無いニャ』 藍田  「まあまあ、手に入れたアイテムに罪はないだろ?      でさ、早速作ってくれるとありがたいんだが」 アイルー『任せるニャー!!弟子たち、準備にかかるニャ!!』 豆村  「あいよー。ったく、人使いの荒い猫だぜ」 刹那  「こっちがジャングルボディーで生き恥さらしてた時、      のんびりミルク飲んでたらしいじゃないかこの猫め……」 アイルー『そんな昔のことは忘れたニャ』 中々にいい性格のようだった。 ともあれ“錆びた塊”なるものと“九頭竜の勾玉”を猫に渡すと、 藍田は伸びをしたのちにベッドに腰かけた。 夏子 「じゃあ、これからのことでも少し話し合おうか」 同じベッドに木村夏子も。 俺達はその言葉に頷くと、六つあるベッドにバラバラに腰かけて話し始めた。 ……そうして夜は更けてゆく。 ───……。 ……。 ガカァンカァンカァンココゴニャアア〜〜〜オオ!! ガチャバタム!! アイルー『出来たニャーーーーーッ!!!』 中井出 「ん……んぐ……?」 藍田  「くぁあああ……ふぁひゅひゅ……なんだよ猫ォ……まだ朝じゃねぇか……」 アイルー『朝に起きなかったらいつまで寝るつもりニャ?      とにかく頼まれてたものが完成したから渡すニャ。代金は50000$ニャ』 藍田  「ん……サンクス……えっと金は……っと。ほれ……」 ガシャガシャチンッ♪《金を支払い、ブツを受け取った!!》 でってーけ・てーてーててーん♪《稀黒装レヴァルグリードを手に入れた!!》 藍田 「!!」 中井出「フオッ!?」 一発で目が覚めた。 出来上がってみれば……なんと六つの宝具の中の1つじゃないか。 篭手と具足とでひとつの武器として数えられるソレは、 煌く漆黒を露にしたかのように輝いている。 藍田 「こ……りゃ……!!フ───フオオオオオオッ!!!!」 中井出「喜びに水を差すようで悪いが、お前って篭手装備出来ないんじゃなかったか?」 藍田 「構いやしねぇって!白手袋の上に装備すりゃいい!!」 中井出「うおうそう来たか」 ゴソゴソ、ゴソソ……ガシャンッ。 早速藍田が稀黒装レヴァルグリードを身につける。 やがて装着が終わると手と足が黒に染まり、執事服と相まってまさに黒な人と化した。 藍田 「うぅわ軽ぃっ!!まるで重み感じねぇぞこれ!!」 中井出「おおお……」 言葉通り、見るからに重そうな造型のソレを軽く振り回すように拳を振るい蹴りを振るう。 そんなものを見せられてはこの博光、辛抱たまらん。 中井出「藍田藍田!ステータス見せてくれステータス!」 藍田 「お、おお!そうだったそうだった!ナビシステム、オォーーーーン!!」 カチリッ───ヴヴンッ!! 藍田がナビを操作すると虚空に文字列と装備の画像が現れ、 その詳細を詳しく我らに教えてくれた……!!  ◆稀黒装レヴァルグリード───きこくそうれゔぁるぐりーど  世界に存在するとされる六つの宝具の1。  漆黒の体術武具であり、拳までを覆う篭手と関節駆動に優れた具足とで構成されている。  九つの首を持つとされる伝説の黒竜の名を冠するだけのことはあり、  その強さは他の宝具よりも群を抜いて強力とされている。  常に力が蓄積されていっており、“ためる”を上手く活用するとより強力になる。  蓄積されている力は攻撃すると使われ、しかしすぐにまた蓄積が開始される。  また、TP半分消費することにより、身体に竜属性を付加させることが可能。  その状態の時だけ使用できる技などが存在する。  *潜在能力───固有技能:九頭竜闘気  ◆九頭竜闘気───くずりゅうとうき  稀黒装レヴァルグリードの潜在能力。  発動中九回攻撃分のみ竜属性を身に纏える。(竜属性:攻撃力のみ二倍)  その際、背に黒い光が九つ現れ、それを攻撃に上乗せすることが可能。  一撃に九つ全部を上乗せして使うことも可能である。  光が一個消えるごとに攻撃力の倍率は少しずつ落ちてゆく。  九回攻撃を終えると消滅。TPがあれば、一度の戦闘中何度でも使用可能。  *九頭竜闘気発動中の派生技───竜撃砲、弧竜閃  ◆派生技  竜撃砲───竜属性の黒い光の球を飛び道具として放てる。        威力は数が多ければ多いほど派手に、爆発的に高威力になる。  弧竜閃───具足から竜の闘気を剣閃のように放つ。        黒の光0.5個分を消費して一閃放てる。放つかどうかは任意に。 ───……。 中井出「ほほぉおお〜〜……」 藍田 「おおお……いいなこれ……!つーかタダでくれた弦月に申し訳ねぇなこれ……」 中井出「あれ?なんだ?彰利に貰ったのかこれ」 藍田 「ああ。よく解らんがくれるって」 恐らく猫の存在を知らんで、適当な鍛冶屋に見せてガラクタだって言われたんだろうな。 可哀相に……先に立つ後悔なんてないってこったな。 中井出 「よっしゃあ藍田よ!早速外に出て敵をブチコロがしてみるのだ!!」 藍田  「や、ちょっと待った。なぁ猫よ、この稀黒装、強化してほしいんだが」 アイルー『オーケーニャ。武器強化と防具強化って分けられるから、      料金バラバラになるけどいいニャ?』 藍田  「オーケーやってくれ。金ならここに置いておく。      これで出来るだけやっといてくれ」 アイルー『お任せニャー』 中井出 「おお……ついに藍田が武器の素晴らしさに目覚めてくれた……!!」 藍田  「それもあるけどちと眠い。もうちょっと寝るわ」 中井出 「あ……なるほど」 じゃあ俺も寝るか───とその前に。 中井出 「俺もこれ、出来るだけ鍛えといてくれ。金はここに置いておく」 アイルー『お任せニャ!!……っと、そうだニャ。      お客さん、前に風切りの刃のことでひと悶着あったニャ?』 中井出 「む……よく覚えてたな」 アイルー『印象強かったニャ。      それでニャ、以前買っていった人が同じものを売りに来たニャ。      なんでも、武器が支給されるらしくてこの装備が要らなくなったって』 中井出 「……つまり?」 アイルー『見たところ、鎌鼬属性が中途半端のようニャ。      いっそここで風切りの刃を買って、合成させてみないかニャ?』 中井出 「そりゃいい提案だが……ペリカンまだ産まれてないだろ?」 アイルー『暖炉の暖かさに包まれていたら、      なんだか夜中のうちから卵が動き出してるニャ。      そろそろ生まれそうだし、鍛冶をやってるうちにきっと産まれるニャ。      情報によればペリカンは産まれてすぐに合成が可能だというニャ』 中井出 「そうなのか……じゃあ、それで頼むわ」 アイルー『毎度ありニャー』 商売上手だよな……いや、俺がカモすぎるのか? まあいいや、武器が強くなるならなんの文句もない。 俺はそんなことを思いつつ、 既に寝転がっている藍田を確認したのちに自分のベッドで目を閉じたのだった。 ───……。 ……。 ガコンコンコンココゴニャァアア〜〜〜オ!!! で───時刻はとっくに昼。 聞こえた奇声に目を覚ましてみると、そこには─── ジャギィンッ!!《稀黒装レヴァルグリード+67を装備した!!》 藍田 「ハァッ!!」 宿の中でキメポーズを取る藍田の姿が。 アイルー『お……おはようニャ……。目、覚めたニャ……?』 そんで一方ではヨレヨレになった猫の姿が。 頑張りすぎて枯れてしまっている。 早急に水を用意───ああ、豆ボーヤが慌てて持ってきて飲ませてる。 アイルー『復活ニャーーーッ!!』《シャッキィイイイイン!!》 すると急に毛ヅヤが良くなり、シャキっとする猫。 水でスッキリする猫も珍しい。 アイルー『頼まれていた武器鍛えも今終わったとこニャ。はいコレニャ』 ガシャンッ!《稀紅蒼剣ジークフリード+160を手に入れた!》 中井出「ウヒャア……」 13しか上がらんかったか。 そりゃそうか、それ以前に無茶な買い物した所為で金少なかったし。 だがそのお蔭でマグニファイも増えたわけだし、文句はそう無い。 で、プラス要素は─── 中井出 「おおっ!?ボマーが5になってる!───鎌鼬もか!おおなんてステキ空間!!      こりゃ攻撃力上がるよりある意味嬉しいぞ!?」 アイルー『弟子が作ったマイトエッジの出来損ないが何個かあったから、      せっかくだから合成させたニャ』 中井出 「へえ……ということは?」 アイルー『そうニャ!紹介するニャ!      僕たちの新たな仲間、怪盗ペリカンの“ペリーコロ”ニャ!!』 総員  (……チームのために無意味な自殺しそうな名前だ……) アイルー『ニャニャ?不服そうニャ?呼びづらかったらペリーでいいニャ』 総員  (ねちっこく開国を勧めてきそうな名前だ……) けどまあそれはそれでいい。 それよりも─── アイルー『そうだったニャ。そっちの人のも終わってるニャ』 丘野  「ややっ、これは痛み入るでござる」 中井出 「ありゃ?丘野も頼んでたのか?」 丘野  「せっかくでござるしね。防具も時の回廊で出来るだけ揃えたから、      金に使い道がなかったでござるよ」 なるほど。 ペリー 『グワァッ』 アイルー『あ、合成が終了したニャ』 夏子  「ほんと?見せて見せて」 ……慌ただしいな。 今度は合成か? などと興味そそられるままに視線を動かしてみれば─── がしゃがしゃちんっ♪《闇慟哭の錫杖を手に入れた!!》 なんとも形容しがたい凶々しい杖を受け取っている木村夏子二等の姿が。 中井出「き……ききき木村夏子二等……?それはいったい……?」 夏子 「え?あ、うん。時の回廊で手に入れた呪いアイテムを全てを、     黄泉路孵りの杖に合成させてみたの。そしたら……」 それが出来たと。 おお……見ただけで呪われそうだ。 夏子 「うわっ、錫杖の輪が物凄く鋭利だ……これって妖刀村正効果?     わわっ!こっちの輪は物凄い勢いで回転してる!これってチェーンソー!?」 いろいろ取り扱いには注意が必要そうだった。 で……結局のところ、みんな一通り武器強化を行ったらしく─── みんなの武器の名前の最後には“+○○”の文字が追加されていた。 中井出 「ちなみに藍田よ。お前の武器には何が追加された?      猫の店名物のランダムプラス要素の中で、何が付加されたのかが特に気になる」 藍田  「えっと……“帯熱”?なにコレ」 アイルー『それは“熱”を溜めておけるスキルニャ。もちろん本人には無害ニャ』 藍田  「……?えーとつまり?摩擦とかして出した熱を、      “ためる”みたいに蓄積させることが出来る……と?」 アイルー『そうニャ』 藍田  「………」 あまり嬉しそうじゃなかった。 藍田 「あ、でも……そっか。そう考えりゃあこのスキルは……おお。うむ」 そしてなにやらしきりに頷いている。 ★は既に五ツ星らしく、それが満足なのかニマーと笑うと早速外へと飛び出していった。 もちろん我らもそれに続く。 中井出 「チェックアウトよろしくなー!俺達ちょいと外で試し斬りしてくるわー!!」 アイルー『了解ニャー』 武器とは時に人をどうしようもない開放感と暴走感に導いてゆく。 この場合の俺達はそれはもう、完成した武器に心を奪われて駆け出したわけなんだが─── 宿の外に出ると同時に頬を撫でる冷たすぎる風に身を縮めるが、 それでも俺達は止まらなかった。 何故我らは走るのか?我が手に武器があるからだ。 ───……。 ややあってフィールド。 そこでは既に闘る気満々の藍田が戦闘モードになっており─── 藍田 「こうでこうでこうでこうで……こう、と。オーケーイメージトレーニング終了!」 トントン、と地面を蹴っていた藍田。 そんな彼が頷いた途端に巨大な白熊が地面からボゴォンと現れた!! ホワイトベア『グォオオオオッ!!!』 藍田    「おっ───よし!いいところに出てきた!!いくぜ潜在!九頭龍闘気!!」 ゴォッ───ブファァアアアアンッ!!!! 藍田の体が竜の属性に包まれる!! その背には黒い光の球が九つ浮いていて、冷気に当てられながら輝いていた。 藍田 「……こう、こう……こう、と。よし!!覚悟は出来たか(Are You Ok)!?」 バゴォッ!! ギリィ、と雪原を踏みしめると、突如として藍田が“疾風の如く”を行使。 物凄いスピードで白熊へと横跳躍し─── 稀黒装レヴァルグリードに包まれた拳を前に突き出し白熊を殴りつける!!  ドォッッゴォンッ!! 藍田 「バァァアアアスタァアッ───ウルフゥッ!!!」 さらにその状態のまま着地をし、 それと同時に九つの黒い光を殴りつけた拳から一気に放つ!!  キシャバゴォオンッ!!! ホワイトベア『………………!!!!』 ……哀れ。 放たれた巨大な黒い光を前に、ホワイトベアは肉片一つ残らず消えていった。 藍田 「おお……なるほど。頭から突っ込むから自爆しちまうんだな」 そう言う藍田のHPは、自爆しなかったためかせいぜいで半分の半分減った程度だった。 なんだい、疾風の如くって頭から突っ込むから自爆ダメージがヒドイのか? 藍田 「うーん、やっぱ我流奥義っていいよなぁ」 中井出「……頷いてるところを済まんが……藍田よ」 藍田 「え?あれ?提督じゃんか、どうしたんだ?」 中井出「や、どうしたって……」 どうしたんだろ。 と、ともかく……それが恐ろしい武器だということはよーく解った。 藍田 「ああすまん、もうひとつ試したい技があるんだ。もうちょっと待っててくれ」 中井出「そ、そか?じゃあ俺も───」 スボォンッ!スボスボスボォオオンッ!! ホワイトベア×4『ベアベアーーーッ!!』 お……お誂え向きに敵が複数出てきた。 こりゃあやるしかないでしょう。 やり方はよく解らんが、強く意識すれば発動してくれる筈。 発動さえすれば、やり方は剣が羅生門の時みたいに教えてくれるだろう。 ということで集中!!  コォオオオ…………ン……!!ジャギィンッ!! ───うおう。 集中した途端に成功したらしい。 景色の色が反転して、外部の音が小さく聞こえる、いわば“殺界”が展開された。 ならば遠慮は無用!容赦無くコロがしましょう! 中井出「蠢く雑兵、我が一刃にて斬り滅ぼす」 ダンッ!───巨大な青竜刀に近い形になったジークフリードを振るい、一気に駆ける! やがて擦れ違い様、渾身を以って武器を振るう!! 斬!!ゾゴォッフィィンッ!! 鉄!!ゾバァッフィィンッ!! 剣!!ゴコォッフィィンッ!! ───……ズル、ズ、ズズズ……バッシャァアッ!! 斬りかかり、三閃を振るっただけで…… 敵の全てが輪切りになったように切り裂け、塵と化してしまった。 ……おお、強ぇ。 ───などと余韻に浸っている場合じゃない。 中井出「よし、どんどん試そう!“解除”(レリーズ)!!」 藍田 「大地の宝玉の力を借り、大地より力を吸収、蓄積する。     さらに稀黒装の潜在能力“常に溜める”により“溜め”速度を向上」 ギュゥウウウイイイイイィィィン……!!! 丘野 「おお……!藍田殿がまるでKOFのキャラのように力を溜めているでござるよ!」 藍田 「あ、提督、ちょっとフレイムサークル借りるぞ?」 中井出「ん?あ、ああ」 ヒノカグツチの火円に踏み込み、なにをするかと思えば─── 篭手と具足に熱を溜めてゆく藍田。 藍田 「ん。よし、と。や、帯熱ってどんな感じなんかなって思ってさ。     ……けどさ、これってほんとに熱こもってんのか?」 中井出「色が変わったわけでもないな。もっとマグマっぽく真っ赤になるかと思いきや」 藍田 「だよな。えーと……《ゴキィン!》お?」 夏子 「あれ?武具が急に朱くならなかった?」 藍田 「“闘う”って意識した途端に熱がこもった。     これって普段でも触ったものを燃やしたりしないための配慮?」 麻衣香「そうでしょ。さすがに熱こもったままじゃ危ないし」 火円で溶けてゆく雪を見ながら、麻衣香がコリコリと頭を掻く。 やあ、どんどんと溶けた場所に俺の体が沈んでゆく。 雪ってこんなに積もってたんだなぁここ。 まあ普通に考えて、あのバカデカいホワイトベアが隠れてられるくらいの厚さだしな。 藍田 「おーい提督ー、敵が出たぞー」 中井出「そうなのかー?まるで見えーん」 みるみる内に沈んだな、ホント。 だがこれしきの高さ、なにするものぞ!! 中井出「さあジークリンデ!自由行使出来るようになった風の力を見せてやれ!!     鎌鼬スキルを鎌鼬として出すのではなく、瞬時の突風として放つ!     チェーーストォッ!!!」 ヴオッゴッファァアアアンッ!!!! 鎌鼬スキルだけでは心許ないので、 火円を波立たせ巻き起こし、そこに鎌鼬を通すと───上昇気流が完成!! 俺の体は瞬時に雪穴から上空へと飛ばされた! 中井出「ほぅわぁああああああああっ!!!」 う、うむ!鎌鼬の圧縮で確かに風はちゃんと出せるようだ! でもちと風が強いぞこれ!! だがこれはこれで……面白い!! 中井出「よし!目標、ホワイトベアを捕捉!!」 えーとまずは? 目標へ突っ込むためにカタパルトを用意!! 風と炎で、殊戸瀬エレクトロニクスカンパニーで作った 前方へと高速回転する輪を数個作ってゆく! そんでもって俺自身が輪をくぐって───自身をドゴォンと発射!! 中井出「鳳凰天駆!!」 ゴゥン!ゴゥン!ゴゥン!ゴォゥン!!ゴォオゥウゥン!!! 輪をくぐる度に速度が加速し、 やがて俺が構えるジークムントが驚愕しているホワイトベアの脇腹を貫き、 擦れ違ったところで振り返り、大地を滑りながら後方に、今度は押し戻す輪を作る! その輪により急速的に押し出され、 大地を滑りながらヒノカグツチの炎を存分に波立たせて相手を燃やし尽くす!! これぞ地を這う業火!! 中井出「我流奥義!“緋凰ッ───絶炎衝”!!」 ゾプシィンッ!!───ボガガガガガォオオンッ!!!! ホワイトベア『ベァアーーーーーッ!!!』 雪原を溶かす炎と、 それに触れたものを爆発させるボマースキルがホワイトベアを焼き屠る。 だが─── 中井出「うーん……思ったより強くねぇなぁこの技」 技的には好きなんだが、こりゃどうにもいかん。 大変な割りにダメージが少ないのはマイナスである。 や、それよりも戦いに集中を───オウ? 藍田 「ん〜じゃあ、俺の番だな《ジュワァアッ……!!》」 ズボンポケットに両手を突っ込んだまま、 藍田が戦闘意欲を高めて具足をマグマのように緋白く変色させる。 ロンリーウルフ『グルォオオオオッ!!!』 藍田     「……“悪魔風脚”(ディアブルジャンブ)───“狼牙(ロウガ)”!!」 ドゴジュバァンッ!!! ロンリーウルフ『ギャィイイイインッ!!?』 その脚で、突っ込んできた狼を空へと蹴り飛ばす。 ヒノカグツチの火円の中で十分に熱したソレは最早熱した鉄板どころではなく、 蹴り飛ばした一瞬でさえ肉が焼けるような音が耳に届いた。 藍田 「高熱を帯びた脚は攻撃の速度で酸素を受け、爆発的に温度を上げる。     その上がった熱さえ“帯熱”するこのスキルに今はただ感謝を。───セィッ!」 ドンッ!!───吹き飛んだ狼を藍田が追う。 その跳躍は疾風の如くによる勢いのついた跳躍だ。 あっという間に空中の狼の傍に辿り着く。 藍田 「そんじゃあ彩りに仕上げを飾るかァ!!“九頭竜闘気”!!」 ゴコォッファァアアアアアンッ!!! ポケットから出した両拳をガヅゥンと打ち鳴らすと同時に、 藍田の身体を竜属性が包んでゆく。 やがて狼を凝視すると笑い、身を捻るように回転させる。 ロンリーウルフ『グルル……!!?』 藍田     「“悪魔風脚─(ディアブルジャンブ)──画竜点睛(フランバージュ)”!!!!」 捻った状態から高速にて放たれるは───なんとオーバーヘッドキック!! 高熱を帯びた右足に九つの竜気が一気に奔り、 それがあたかもカタパルトにでもなったかのように、  ドンッ───バゴキャアッ!! ロンリーウルフ『《ジュワァッ!!》ギャィインッ!!?』 空気に弾かれたような速度の蹴りが狼の顔面を捉えた!! そこからさらに身体に反動をこめるようにして、渾身を以って脚を振り抜く!! 藍田     「〜〜〜ッ───“ショォットォッ”!!」  ゴォッ!!ギシャァアアアォオオオンッ!!!!  バゴシャドッパァアアアアアアンッ!!!!! 中井出「うおゎああああああああっ!!!?」 総員 『キャーーーーッ!!?』 藍田 「おぅわっ……!!」 オーバーヘッドキックで蹴り弾かれたロンリーウルフは、 螺旋を描く竜の形をした黒い闘気に飲み込まれながら雪原に激突。 周囲数メートルの雪を全て溶かして蒸発した。 その場には巨大なクレーターができ……いやっ……強ぇええ〜〜……。  ヒョ〜〜〜〜……スボォンッ!!! 藍田 「いでぇっ!!」 あ、でも着地は格好つかんかった。 藍田 「いぢぢぢぢ……!!はは、でもこれすげぇ面白ぇや」 総員 『………』 見てるこっちはハラハラもんでした。 いや……強ぇ強ぇ。 オーバーヘッドキックした脚から神龍型の竜が闘気になって出てたわ。 いいもん見れた気分ではあったが、逆にとんでもないもんを見た気分でもあった。 ……複雑だ。 いや、今はただ、熱と衝撃とともに粉微塵になったロンリーウルフに黙祷を送ろう。 キミの相手はちと悪すぎた。 Next Menu back