───冒険の書69/昼は二重丸、全力生電話───
【ケース240:弦月彰利/サルタバルタの贈り物】 ザムゥ〜…… 彰利 『FUUUUM』 眠りから覚めてみれば、宴はとっくに終了してた。 そりゃまあ宴が終わってから寝たんだから当然なんだけどね? なんにせよ今ではこのウォズトロヤ城は普通の活気に溢れていた。 時は既に昼。 昨日までの祭り騒ぎをバネにして、獣人たちは今日も自己鍛錬を行っていた。 ……実は俺よりレベル高い獣人なんてゴロゴロ居ます、マジで。 それが悔しいので、俺は己を高める旅に出ようかと思っています。 猛者どもと一緒に。 何故ってそりゃあ、集団剣閃の加護を得るためです。 相手が多少強くてもゴリ押しでなんとか出来そうだし───ピピンッ♪ 彰利 『オ?』 皆川 『なんだべ!ナビメールが届いてるだべ!!』 佐野 『こりゃ見るっきゃねぇだべ!!そうするだべ!!』 彰利 『なんでナマっとるん?』 総員 『なんとなくである』 彰利 『そ、そうすか』 べつにいいんだけどね? んじゃあメール見てみますか。 えーとなになに?  ◆ヒロラインのバージョンアップにおける内容の追加についての報せ  今回のバージョンアップにおいて、  それぞれのジョブにさらなるクラスチェンジが追加されました。  ただしラストクラスチェンジを実行すると、  他のジョブのアビリティは一切使用出来なくなります。  もちろんそれぞれ違う武器での攻撃などは出来ますが、アビリティは使えなくなります。  今までは二つのジョブの秘奥義などを使用可能だった、  執事、女中、創造者、黒操者、竜王などのジョブも例外とされません。  ラストクラスチェンジをする場合はよく考えてから行動してください。  ただし、奥義書で得た技や独自に閃いた技などは使用可能です。存分に暴れてください。  なお、ラストクラスチェンジが実行可能になるのは150レベルからです。  ラストクラス一覧は以下。  ◆ラストクラス  剣士─────グラディエーター───ソードマスター──────ペシュメルガ  モンク────拳闘士────────バトルマスター──────ゴッドハンド  アコライト──マジシャン──────ワイズマン────────アークメイジ  忍者─────アサシン───────忍者マスター───────シノワビート  アーチャー──スナイパー──────ハンティングマスター───シューター  刀士─────侍──────────刀神倭道人────────エヴェンクルガ  女中─────メイドサーヴァント──メイドさん────────キラーメイド  執事─────スチュワード─────バトラーさん───────セバスチャン  ネクロマンサー────カオティックロード───ネクロード  ルルックナイト────竜騎士─────────槍竜士  創造者────────超越者─────────凌駕者  黒操者────────ブラックオーダー────魔人  竜王─────────黒竜王─────────魔竜王  ◆追加アビリティ一覧  ペシュメルガ───ハイパーアーマー (技術アビリティ)  ゴッドハンド───千歩氣攻拳    (アタックアビリティ)  アークメイジ───テトラスペル   (技術アビリティ)  シノワビート───杓死       (アタックアビリティ)  シューター────イーグルアイ   (アタックアビリティ)  エヴェンクルガ──精刀氣      (アタックアビリティ)  キラーメイド───パンツァーメイド (技術アビリティ)  セバスチャン───独立執事     (技術アビリティ)  ネクロード────従者の杯     (技術アビリティ)  槍竜士──────竜騎槍      (技術アビリティ)  凌駕者──────凌駕       (技術アビリティ)  魔人───────サウザンドアームズ(技術アビリティ)  魔竜王──────エナジードレイン (技術アビリティ)  ◆追加アビリティ詳細  ハイパーアーマー :攻撃されても衝撃が徹らない特種アビリティ。            強撃を受けても仰け反ることが無い。            だが当然ながらダメージはきちんと受ける。            効果時間30秒、再チャージ1分。  千歩氣攻拳    :巨大な闘気の塊を飛ばすアビリティ。            闘気は人によって違うので、            案外使い手の気分次第でコロコロと飛ばす気のカタチが変わる。            特にイメージしない場合は巨大な拳のカタチの闘気が飛ぶ。            効果時間一発分、再チャージ1分。  テトラスペル   :TPの続く限り、初級、中級魔法を連発出来る。            発動すればその戦闘中はずっと効果が続く。            ただし初級、中級魔法の消費TPが倍になる。            再チャージ、次の戦闘に移った時。            杓死       :閃速移動と攻撃を合わせたアビリティ。            ただの移動技としても役立つ。            移動だけならノーペナルティアビリティ。            しかし相手から逃げる際に使用すると疲れる速度は五倍となる。            効果時間30秒、再チャージ1分。  イーグルアイ   :弱点を見極め、的確に射抜くアビリティ。            遠くからでも確実に弱点を見抜いて射抜く妙技。            当たれば確実にクリティカルだが、            相手に気づかれていると躱されやすい。            効果時間は一撃を放つまで。再チャージ1分。  精刀氣      :得た加護、宝玉の属性に関係なく好きな属性奥義が使用可能。            といっても地、水、火、風の四大元素のみの行使となる。            効果時間一発使用まで。再チャージ30秒。  パンツァーメイド :発動中、重火器を行使可能なアビリティ。            火器、重火器は発動とともに手元に出現。            効果時間は弾薬が尽きるまで。再チャージは次の戦闘突入。  独立執事     :主人の傍でなくても存分に戦える一流執事アビリティ。            自動永続アビリティ。            ただし主人から離れていると一定時間に一定量、TPを消費する。  従者の杯     :召喚できる存在に齎される経験値が自動で上昇。            自動永続アビリティ。  竜騎槍      :槍に竜属性を込められる。            この状態でのみ槍投擲奥義“飛竜槍”が発動可能。            飛竜槍を使うと効果は切れるが、            通常攻撃でいけば竜属性は持続する。            効果時間1分。再チャージ2分。  凌駕       :既存凌駕。創造ランクが上昇。            武器の威力、特種能力を高めることが可能。            ただしHP消費量も上昇。  サウザンドアームズ:闇より武器を生み出すアビリティ。            制限無く黒で武器を製作出来る。            だがあくまで“武器として”であり、            特種能力の類は付加されていない。            ただし本人のレベルにより武器の強さも上昇。            武器作成に黒(体の一部)を消費するため、HPが削られる。            使用制限は特に無く、HPの続く限り何本でも作成可能。  エナジードレイン :大気より力を吸収、TPに変換するアビリティ。            戦闘中でもTP回復が可能である。            TPを消費する行動をほぼ使いたい放題になれる。            効果時間は30秒。再チャージは3分。 ───……。 彰利 『……ふむ。こりゃあ……』 総員 『テクマクマヤコンテクマクマヤコン!!ペシュメルガになぁ〜〜れ!!』 し〜〜〜ん…… 総員 『やっぱダメか……』 彰利 『キミらまだ150になんてなってないっしょ』 永田 『ええい黙れ、104レベルめ』 彰利 『キミらだってまだ平均109デショ』 蒲田 『サタンコロがすまで100にもなってなかったなんて、     今までなにをしていたんだ一等兵殿よぅ』 彰利 『え?自由気侭に旅してたけど』 佐野 『敵からは?』 彰利 『楽な相手か丁度いい相手以外だったら大体逃げてたねぇ』 蒲田 『……なんつーかそれでも104もレベルがあるのが異常に思える』 そらルシファー、九頭竜、サタンと───レオンのお蔭だろうねぇ。 あいつを追い払ったら一気にレベル上がったし。 あやつ、恐らく実力はあんなもんじゃねぇぜ? 書状の抹消、もしくは奪還を第一に考えてたから逃げ腰っぽかったんだろうけど、 今思えばヤツは本気じゃあなかった気がするのだ。 彰利 『まあよいさ!これからバシバシ上げれば良し!!行こう!みんな!』 皆川 『レベル上げに行くのか?そりゃ結構だが───』 彰利 『きっと近い内、     中井出提督閣下がここを突き止めて子供たちとルルカさんを助けにくる。     だが悲しいかな、今の俺じゃあヤツにゃあ勝てる気がせん』 吾妻 『50といくつもレベルに差があれば、誰だって勝てないと思うわよ?』 彰利 『否!そこで諦めたら負けだ!我らはこれから強くなり、     いつか来る提督軍との戦いに備えなければならん!!』 蒲田 『提督軍って、語呂が帝国軍みたいでいいな』 彰利 『ええ俺もそう思ってたところです。そんなわけで!     我らはこれより強者と戦って、レベルを稼ぎたいと思うのです!どうでしょう!』 柴野 『それ自体には賛成。でも強者に心当たりでもある?』 彰利 『さもありなん!!───伝説の雄牛、ミノタウロスなどどうでしょう』 ざわ……!! 柴野 『え……マジ?マジで言ってるの?弦月くん』 神楽 『ミノタウロスといったら、あの伝説のファイティングモーモーだよ?』 彰利 『大丈夫!みんなで剣閃乱舞すりゃ勝てるって!!     そんでもって手っ取り早く両腕切断して“斧”かっぱらうの!!』 水島 『ミノタウロスの斧かぁ……。     確かにあれがあるだけで相当に戦況は違ってくるだろうけど』 佐野 『けど間違うなや弦月ぃ。わいらの中には斧使いなんておらんねや』 ア。 ソウイエバ……。 しかし即戦力になる武器っつーたらアレくらいしか思い浮かばんし……あ。 彰利 『魔王サコタヨーシェは斧使いだったよな』 皆川 『うわ……マジか?ヤツにミノアクスを渡すと?』 ミノアクス=ミノタウロスの斧ね? 彰利 『そうである。キミらは剣で突き進んでる身だし、俺は拳だし。     そうなると斧装備のヤツなぞサコタヨーシェしかおらんのだ』 皆川 『むう』 蒲田 『や、正直ミノアクスをヤツにくれてやること自体は構わんのだ。     実物を見たいだけで、べつに装備したいわけでもない。     しかし肝心のサコタヨーシェが居ないぞ?』 彰利 『じゃーじょーぶ。今小僧とアクセスしてみたけど、     丁度バルガパレス地方に居るらしいから』 藤堂 『バルガパレスって……思いっきりミノ地方じゃん』 彰利 『だから丁度いいんだって。んじゃ行きますか!』 総員 『熱烈に不安だ……』 意味は解らないが、我らはこうして不安のままの旅を始めたのでした。 ───いや、始める前に。 彰利 『移動を開始する前に、我らが魔王に挨拶でもするかね』 皆川 『あのちっこい魔王様に?名前なんつったっけ』 彰利 『シードバルカン』 神楽 『ただのシードでしょ』 彰利 『ソウスネ。ともかくヤツに挨拶でもしてくるよ。     ちゃんと己の責務を果たしてるか気になるし』 総員 『そういうことなら我らも同行しよう』 彰利 『ウィ?いや、べつにイイスヨ?つーかなんでそんな行く気満々なの?』 総員 『面白そうだからだ』 彰利 『………』 それが原ソウル。常識だけでは語れない。 でも正直、あんま面白そうでもないと思うんだけどねぇ。 まあいいけど。 ───……。 ……。 そんなわけで、ウォズトロヤ城のとある一室に僕らは来ていました。 目の前にある部屋の中にはドリちゃんとシーちゃんがおります。 いっそのことドリィとグラァに改名しないかね?とかくだらんことを思いつつ、 僕は僕らに気づかずに───あるいは、 知っていながら無視して自己鍛錬に励む魔王様に声をかけた。 彰利 『ち〜っす』 シード『………』 ムッキー流挨拶はものの見事に無視された。 何故だ!“わっせ、わっせ”って言わなかったからか!?ホワーイ!! 彰利 『やい魔王この野郎!!俺達これからちっと腕を磨きに行ってくっからよォ!!     そこんとこォ、夜露死苦ゥ!!』 シード『勝手にすればいい。僕は僕で自分に出来ることをする』 彰利 『あら冷たい!!』 柴野 『それよりなんでいきすぎた不良口調だったの?』 彰利 『夜露死苦ってあるじゃない?これこれこう書く……不良文字のアレ。     アレを“ヨロシク”って読んでる人は少ないってことを知らしめたかったの』 皆川 『おお、あの“よるろしく”な?』 佐野 『“よるろしく”だな』 蒲田 『書くなら、漢字でも一文字でしか読めないやつにしなきゃなぁ』 永田 『こうこうこう、で、世露死区とか』 柴野 『読み仮名の頭文字が同じだと無理矢理読みたくなるしね。“よるろしくる”とか』 我らがヒネクレてるだけだろうけど。 不良文字にヒネクレ云々唱えても仕方ないと思ってます。 彰利 『ところで坊ォ、なにやってんの?』 シード『話す必要がない』 彰利 『グム……ではそっちのドリちゃん、なにやってんの?』 ナギー『黙れ、用が無いなら出てゆくのじゃ』 取り付く島がございません。 でも大丈夫、ボク泳ぎには自身があるから。 彰利 『キミたちに朗報があるのだがネ。聞いてみないかネ?』 シード『聞く必要がない』 彰利 『そんなことを言っていいのかネ?中井出博光に関連する情報なんだがネ』 シード『───!!父上の!?』 ナギー『な、なんじゃ!?どんな情報なのじゃ!早く言うのじゃ!』 わあ、すごい食いつきです。 だがまあそんな情報は元から無いんだがネ? 悲しいじゃない、冷たくされっぱなしってのも。 彰利 『中井出博光ら一行を妙に恨んでいる輩たちが居てネ。     その仲間であったキミ達を攫い、人質にして中井出らをおびき出し、     無抵抗なままに殺そうと考える輩たちがこちらに向かっているそうなんだヨ』 シード『父上を……殺す?』 ナギー『……誰じゃ、その者たちは。今すぐこらしめてくれる、名を教えるのじゃ』 彰利 『まア落ち着きたまヨ。その者たちはいつかここへと辿り着く。     気を付けるんだヨ?やつらは声を真似るのがとっても上手なんだヨ。     うっかり中井出らに呼ばれてると思って出て行ったら、そいつらかもしれんヨ?』 シード『……忠告は受け取っておく』 ナギー『それでじゃ。ヒロミツの情報は無いのかの?』 彰利 『え?えっとデスネェイ、エート』 シード『……?まさか貴様、父上を恨んでいる輩の情報だけで、     父上自身の情報はなにもないんじゃないだろうな』 彰利 『ソンナコト、ナイデスヨ?』 総員 『………』 彰利 『や……ほら、みんなもなにか言おうよ。     どうしてさっきからボクを暖かい目で見守ってるの?』 総員 『先に言っただろう?面白いからだ』 彰利 『なにぃ!?き、貴様らもしや最初から俺の反応が目的で!?     馬鹿な!この俺の裏を掻くなどっ……!!』 ナギー『用が無いなら出てゆくのじゃ。わしらは強くならねばならぬ。     強くなって……いつか、胸を張ってヒロミツたちを探しにいくのじゃ。     いや、もしや頑張っていればヒロミツたちが迎えに来てくれるかもしれんのじゃ。     だから、こんなところで手を拱いているわけにはいかんのじゃ』 シード『その通りだ。だから出て行け、邪魔をするな』 彰利 『ホッ……ホッホッホ、ず、随分仲がいいじゃねぇか〜、えぇ〜〜っ?     もしや夫婦ですか?ホッホ、夫婦!ぶっちゅぶっちゅ!!』 ナギー『目的が同じならば、たとえ仲が悪くとも時には手を取り合う』 シード『それを茶化すことしか出来ぬなど。恥を知れ、獣人』 彰利 『か゜ッ……!!』 恥を知れ……恥を知れ……恥を知れ……恥を……(エコー) ば……馬鹿な……ば、馬鹿な……!! お、俺が恥知らずだとでも……いうのだろうか……。 ポム。 彰利 『ウィ?』 ショックを受けている僕の肩に、やさしく乗せられた手に振り向く。 すると猛者どもがとてもやさしい笑顔で、振り向く僕を迎えてくれました。 佐野 『気にするんやないでぇ?お前が恥知らずなのは前から知っとる』 皆川 『結婚式に裸で歩き回ってたお前だ、今さらなにを恥じることがある』 柴野 『その他にもあれやこれやと恥じ知らずな行為をしてきたでしょう?』 彰利 『笑顔はやさしいのに言葉が全然やさしくねぇええーーーーーーーっ!!!!     お、俺だって好きで生き恥さらしたんじゃねぇやい!!     恥知らずなんじゃない!恥なら腐るほど知ってるよ俺!!     もはや恥のエキスパート───否!俺自身が恥と言ってもいいくらいだ!!』 中村 『人間って案外自分のことが一番見えてなかったりするよな……』 蒲田 『よっ、恥知らず!!』 彰利 『やかましい!!……とまあとにかく。我らちと出かけてくるから。     キミたちはそのまま修行を続けておりなされ』 シード『言われるまでもない』 ナギー『わしらにはあまり干渉するでない。集中の邪魔じゃ』 彰利 『邪ッ……うわぁあああん邪魔じゃないやぁああああい!!』 皆川 『ああっ!“恥”が駆け出したぞ!!』 中村 『“恥”がおもむろに部屋を出て行こうとしている!!』 蒲田 『何処に行くんだ!“恥”ィーーーーーーッ!!!!』 彰利 『恥って呼ぶなぁーーーーーーっ!!!!』 永田 『何をいう!貴様が“俺自身が恥と言ってもいいくらいだ”と言ったんだろう!』 彰利 『言葉のアヤくらい見逃せー!コノヤロー!!』 総員 『ダメね!断るね!!』 彰利 『てめぇらぁああーーーーーーーっ!!!』 なんつーかもう完璧に面白いものを見る目で見られておりました。 これがいつ誰に襲い掛かるか解らんから原中怖い上に面白い。 些細なことから状況変化するもんなぁ。 たとえば───ゴコッ……!ガゴォンッ!! 蒲田 『オワッ!?』 永田 『フオッ!?ど、どうしたんだ蒲田!急に飛び転がったりして!!』 蒲田 『と、扉が勝手に閉まったんだ!!』 総員 『───』 彰利 『……それはね?これがゲームの扉だからさ』 皆川 『この世界に生きていれば、それくらい解りそうなものを……』 佐野 『不思議ハンター……』 永田 『不思議ハンター……』 蒲田 『ゲゲエ!妙なことから標的が変わりやがった!───ち、違う!     俺は自動ドアが自動で閉まることを知らない不思議ハンターじゃない!!     大体アレ、バケモンの不可思議な力が働いた所為で閉まってきたんだろ!?     あの不思議ハンターの言葉は正しいよ!理解されてないだけだよ!!』 佐野 『気にするんやない、不思議ハンター。わいらは不思議ハンターの味方やで』 皆川 『孤独な少女は元気やでっ』 永田 『元気やで……』 柴野 『元気やで……』 佐野 『なっ……わいはただ“味方やで”って言っただけやろぉ!!』 彰利 『いや……違うな。語呂が似てた』 佐野 『それだけ!?』 皆川 『そうだ。それは元気やで2の作者も認めるところであろう……』 佐野 『訳解んねーよ!!』 総員 『まったくだ!!』 ……と、このように。 いつ、何処でどんな発言が裏目に出て、どのように総員が敵に回るかが解らないのが原中。 それが解らん上に、その状況が案外楽しいから罵倒されても気にせずに居られるんだけど。 そもそも、元々“互いに遠慮をせずになんでも言い合える仲”を夢見て誓いを立てた我ら。 罵倒された程度ではとてもとても仲違いまでは。 むしろ楽しんで罵倒したりされたりしてるし。 ……さすがに“笑いものにしていいとも”ほど酷いことはしてないが。 そもそも同意でハシャイでるし。 原中の誓い・第三条。 “我ら互いに一切の遠慮をせず、常識に囚われずに日々我を貫き、  しかし時には手を取り合ってその瞬間その瞬間を全力で楽しむものとする” 即ち、楽しむためならば多少の犠牲はつきものっつーか。 犠牲になった時は案外辛いが、これがまたのちのいい思い出になったりするのだ。 むしろ立場が逆転した時には全力で陥れることが出来るから、 その喜びも手伝って日々を楽しく過ごせるんだけどさ。 どちらにしろ中学の時に学校を乗っ取ろうとした時点で普通ではないのだ、我らは。 まあ似たような誓いが幾つもあるあたり、俺達は案外適当に状況を楽しんでいる。 大原則っつーても、それらは楽しむためのスパイスでしかないわけだし。 アレだ、友情は象った時点で友情じゃなくなるというが、 我らはその象りすらも利用して楽しむ猛者であるというわけだ。 彰利 『ちなみにここで言う“友情の象り”とは、     “これが友情のカタチYO!”とか言って貴重品を交換しあって所持するとか、     つまりはそういうことを差します。     そんなものはネ、友情じゃないのだヨ。     むしろそれを利用して遊べる度胸があってこそ真の友情。     無くしたら友達じゃないとか壊したら友情が壊れるだとか……困るんだヨ。     友情をそんな安っぽいものとして認識されるのはネ』 佐野 『おお、弦月が妙なピピピ電波を受信したようだぞ』 皆川 『これからチャネリングと呼んでいいか?』 彰利 『勘弁してください』 そもそもこげな場所で思考に耽ってる場合じゃないね。 先を急ぎましょうか。 彰利 『したらな、坊ォ。それから黒ルルカさん』 ルルカ『ゴエ』 バサリと羽根を持ち上げて返すルルカさん。 ……もしかして知能高い?まあいいや。 彰利 『したらバルガパレス地方にレッツゴー!』 皆川 『一等兵だからって仕切んなコノヤロ−!!』 佐野 『せやせやぁ!!』 彰利 『なんでこういう時だけノリ悪いのキミ達!!     だったら昇進を申し出ればいいじゃないか!』 総員 『………《フオォ〜〜〜ゥウウ》』 彰利 『なにその“解ってねぇなこいつ”って顔と溜め息!!』 柴野 『解る?弦月くん。問題があるのはわたしたちじゃないの』 沢村 『そう。問題があるとしたらそれは───』 彰利 『あっはっはっはっは、勝手に一等兵になった俺だー、とか言うんだろ、こいつぅ』 総員 『その通りだこのクズが!!』 彰利 『否定してくれぇえーーーーっ!!!!』 軽口が不幸を的中させることってよくあることだと思います。 そして軽口こそ民に与えられた不幸の予言。 その的中確率は驚くことに7割近くだと、人間心理学の島梨重次氏も言っている。 ちなみに重次氏の存在はフィクションであり、 “原中名物辞書”にのみ登場する架空の人物である。 つまり的中確率7割などとんだデマ。 でもあながち間違ってもいない気もする。 軽く言った言葉が的中することってよくあるしさ。ねぇ? シード『Die Gotter und die Gottinnen des mochtigen Kampfes.     Die Reihenfolge wird dem Boden vom Namen des Teufels gegeben.     Verteilen Sie die stolze Macht an unseren Verfolger.』 などと再び思考に耽っていると、ふと我らを妙な力が包み込む。 それは別に我らに害をなすものではなく、むしろ─── 彰利 『ち、力が……沸いてくる!?』 皆川 『こ、これはいったい……!?』 ナギー『……ふむ。どうやら成功のようじゃな』 彰利 『ドリ子……?』 ナギー『誰がドリ子かっ!わしに無礼な口を利いていいのはヒロミツらだけなのじゃ!!』 彰利 『わあ、すげぇ慕われ方。で、種よ。これって何事?』 シード『貴様……父上がつけてくれた僕の名を侮辱する気か』 彰利 『ギャアもう!なんでキミらそこまでピリピリしてんのよ!!     もっとフレンドリャーにいこうよフレンドリャーに!!』 シード『僕と親しくしていいのは父上たちだけだ』 彰利 『……キミら相当捻くれてるね』 シード『まあいい、教えてやる。今のは僕とアレイシアスが共同で作りだした強化魔術だ。     僕の力で戦闘能力を向上させ、アレイシアスが癒しの力で癒してゆく。     戦闘になれば嫌でも欲しくなる力を圧縮させ、振りまいたものだ。     あとは持続力を安定させれば問題なんて無い』 彰利 『ほへー……頑張ってんのねぇ。ところでアレイシアスって誰?』 ナギー『おぬしが知る必要は無いことじゃ。ほれ、とっとと失せろ、目障りじゃ』 彰利 『お?なんだコラチビスケ、なに睨んでんだアァ〜〜〜ン?』 ナギー『失せろと言っておるのじゃ!!《ギンッ!!》』 彰利 『ヒィッ!!?』 も、物凄い眼力だ!!オラの10倍はありそうだ!! つーか忘れてました……!ちっこいけど相手は高位精霊……!! 我らとは明らかに歴然の差が存在する精霊……!! 皆川 『やっ……びっくりしたなぁ……!睨まれた時、体が竦み上がったぞ……?』 彰利 『イマネェゥ、トテェモゥ、コワァイカ〜ンジガシタゥ』 中村 『ああ……目の前であの眼力使われちゃあ怖いよな』 蒲田 『なんで外人風なのかは訊かないでおくよ、ヘタレエリート』 彰利 『ヘタレとか言うな!!つーかもうマジでバルガパレス行こうよ!     話しながらでもいいからさ!ね!?』 柴野 『まあまあ、話引き伸ばしたお蔭で力がアップしたじゃない』 彰利 『そのアップした力も時間が経てば消えるってこと知らん筈がなかろうに!!』 皆川 『な、なんだって〜〜〜っ!?』 佐野 『そ、そうなのか〜〜〜っ!!』 蒲田 『は、初めて知ったぜ〜〜〜っ!!』 彰利 『うおお白々しいにも程がある!!もういい僕はゆく!!     そんでもってミノアクスを手に入れて自慢したらぁコノヤロー!!』 蒲田 『まあまあ。そう言うな。一緒に行こうぜ?』 皆川 『俺達……仲間だろ?水臭いこと言うなよ』 彰利 『お……おお……!き、貴様ら……!!』 総員 『というわけで転移ヨロシク。あそこ結構遠いし』 彰利 『そんなこったろうと思ったよチクショーーッ!!』 サブタイトル:人間なんてラララ。“あいつは……ラララ”でも良。        “俺は……やるのか”ならさらに良。 そんなことはこの際どうでもいいんだが、 ともかく俺はバルガパレス地方の上空へと転移した。 あそこなら飛び回ってた時に通ったしね。 時折ミノタウロスが物凄ェジャンプ力発揮して襲いかかってきたりもしたけど。 や、ヒロラインの中のミノさんはマジで強いよ、うん。 ───……。 ……。 ビジュンッ!! 彰利 『あい、到着───あ』 総員 『あっ───ああああああああああっ!!!!!』 マズった。 考えてみりゃ上空しか通ったことないからその場にしか転移出来なかった。 しかもこの人数だ、支えられるわけもなく─── 猛者どもが次々と大地に向かって自然落下してゆく。 ここは─── 彰利 『ほぉ!?はは、見ろォ!!人がゴミのようだァ!!はっはっはっはっは!!』 中村 『アクセスナンバー・フォーティ!!セットイン!!』 皆川 『ラジャービュー!!』 ガッシィッ!! 彰利 『ややっ!?なにをいたす!!』 中村 『フッ……原中大原則ひとぉーーーつ!!     自身が危機に陥った際、傍に猛者が居るのなら、     藁にもすがる思いで道連れにすべし!!     それで助かれば良し!助からぬなら───へへっ、死ぬ時ゃ一緒だぜ?』 彰利 『ヒ、ヒィ!!悪魔かテメーワ!!     とか言ってる間にも落下してゆく猛者が次々と握手(アクセス)
を!!』 総員 『ハイハイハイハイハイハイハイハイハイハァーーーーーイ!!!!』 ガシガシガシガシガシガシドグシャアッ!! 永田 『うわらば!!』 吾妻 『ああっ!一番下の永田くんが地面に激突を!!』 蒲田 『永田!?永田ァーーーーーッ!!!』 一番先に落下した永田くんが地面に激突した。 思いっきり顔面からだったが……あ、塵になって消えた。 そら死ぬか。 蒲田 『永田……三度のメシよりゴマが好きな男だった……』 灯村 『確かゴマ食いすぎて腹壊したんだっけ?』 島田 『いや、主食をゴマにしてしばらく暮らしてたら、     盲腸になって病院に担ぎ込まれたんだよ』 中村 『………』 総員 『惜しい男を亡くした……』 無意味に恥を暴露されただけのような気もするんだが。 ともあれ俺はゆっくりと大地に降りようと高度を下げ、 その下で猛者どもが次々と手を離して地面に降りゆく。 それが全て終わるとウォズトロヤに転移をして───永田くんを連れてきた。 したっけ─── ミノタウロス『ルググォオオオオオッ!!!!』 猛者ども  『ほぎゃああああああああああああっ!!!!』 ちぃと離れてただけで、その場は修羅場と化していた。 彰利 『お、小僧じゃねぇの。いつの間に合流してたんだ?』 皆川 『この若武士がミノタウロス連れて大激走してきたんだよっ!!』 凍弥 『俺じゃなくて佐古田の馬鹿が     寝てるミノタウロスから斧をかっぱらおうとして逆鱗に触れたんだよっ!!』 佐古田『アチキじゃねぇッス!!双子どもがアチキをそそのかしたッス!!』 志摩 『オチットさんのシワの数に誓って、そんなことは言っていないが』 凍弥 『なんでオチットさんのシワに誓いを立ててんだよお前ら!!     大体あの人、コロコロ若返ったりしてるからシワの数なんか解ったもんじゃ───     ってそういうことか!!』 浩介 『はっはっは、やあ、バレてしまったぞブラザー』 浩之 『元々隠すつもりなどなかったがなぁ、ブラザー』 志摩 『そうとも!全ては───佐古田がやったことだ。我らは無関係』 佐古田『テメェラなに世迷言言ってるッス!?     “斧使いならばあの斧を持たずしてどうする”って言ったのを忘れたとは───』 志摩 『忘れた!!』 佐古田『言いやがったッスーーーーッ!!!』 皆川 『見下げたものだなサコーゥトゥァ……     よもや口裏を合わせるように脅迫してたとは』 佐野 『なんやとぉ!?おのれそれでも男かぁ!!』 佐古田『何処に目ェつけてやがるッス!アチキは女ッス!!』 佐野 『フッ……男はみんなそう言うんだよ』 凍弥 『あー……失礼。それって泥棒が“俺はやってない”って言う法則の間違いでは?     明らかに使いどころを間違っている気がするんだが……』 佐野 『あれ?』 皆川 『そうか……中学時代、隠れて体操服に着替えたりしてたのは……』 飯田 『プールの時間、絶対に休んでた理由がそれか……佐野清一……貴様は───』 総員 『女、だったのか……』 佐野 『誰が女だ!!第一隠れて着替えしたこともないし!     プールの時間は全て皆勤だったよ!!』 三月 『ううん、佐野くんインフルエンザで学校休んで、     二日くらいプールに出られなかった時があったよ』 佐野 『ぐあっ……!!』 皆川 『佐野てめぇ!このクズが!!』 飯田 『ウソをついてまで事実の払拭を狙うなど!!』 佐野 『登校した時はプールに出て、休んだりなんかしてないからウソじゃないだろ!?』 水島 『よく覚えてたね、三月』 三月 『伊達に見てません』 凍弥 『な、なあっ!!今どういう状況か解っててそういう話してるのかぁっ!!?』 総員 『さっぱり解らん!!』 凍弥 『ウソつけぇええええええっ!!!!』 ゴォドッゴォオオオオンッ!!!! 総員 『ほぎゃあああああああああっ!!!!!』 おおマーヴェエラス!! ミノさんの一撃で地面に見事に巨大な切れ目が!! 彰利 『ナ、ナイス痛恨の一撃!!この威力───人間じゃねぇ!!』 凍弥 『一目瞭然だろそんなのっ!!』 彰利 『ああ間違えた!!えーとえーと、……この威力───人間技じゃねぇ!!』 凍弥 『だから!!人間じゃないんだから当たり前だろ!?』 彰利 『なんだと小僧この野郎!!では問うが貴様!!     ミノタウロスがもし“胴回し回転蹴り”をしても、人間技じゃないというのか!?     ありゃ空手技だぞ小僧この野郎!!』 凍弥 『そんな無駄知識と豆知識を混ぜたようなトリビアを言ってる場合か今が!!』 彰利 『おーお場合だね!俺ゃ細かいことには拘らんが、     気になることは理解しなけりゃ治まらん性質なんだ!!』 凍弥 『そういうのを細かいって言うんだろ!?』 ベゴシャア!! 永田 『ゴーーーギャーーーーン!!!!』 飯田 『ああっ!せっかく弦月が迎えにいった永田が!!』 蒲田 『永田ーーーっ!!』 中村 『永田ーーーーーっ!!』 永田くんが拳で横殴りにされて空を飛んだ。 だが今度は敵からの攻撃だ、上手くガードポイントを強化したらしく、彼は消えなかった。 永田 『ええい逃げ続けても埒も無し!!みんな!やってやろうぜ!!』 飯田 『おお!永田がやる気だ!!』 蒲田 『よっしゃ!そうと決まれば我らの剣閃乱舞で……ぶった斬ってやる〜〜〜っ!!』 島田 『おお!やる気だな!?俺達もいくぜ!田圃ファミリーの力、見せてやる!!』 下田 『剣閃用意!!』 藤堂 『剣を構えろーーーっ!!』 佐東 『うおおやっちめぇーーーっ!!』 灯村 『囲んで一気にケリを《バゴチャア!!》ズフェーーール!!!』 ゴォゥンッ!!! 吾妻 『───え?』 一歩前に出た灯村くんが、ミノタウロスの助走つきの蹴りで空を飛んだ。 吾妻さんの髪を撫でつつ飛翔した彼は───遠くの平原に着地すると、 バキベキゴロゴロズシャーーーアーーーーッ!!と転がり滑って動かなくなった。 あ、いや、起き上がった。 灯村 『ぐおお……!!脇腹に致命的なダメージを……!!』 島田 『絶えろ!絶えるんだ灯村!!』 灯村 『おうっ!ってなんか“たえろ”って部分に絶滅的なものを感じたんだが!?』 島田 『気の所為だ!つーわけでみんないくぞ!!』 総員 『おう!!集団私刑流秘奥義!!剣閃乱舞!!ゴギギギギギギィイイン!!! 彰利 『ヒャーーーッ!!?』 辺りが暗転しまくる!! なんですかこの異常空間! こやつらずっとこんな、お目々の健康によろしくない状況で剣閃放ちまくってたのか!? 総員 『そりゃそりゃそりゃそりゃそりゃああーーーーっ!!!!シュキィンキィンキィンキゾガシャシャシャアッ!!!! ミノタウロス『グォオオオオオオッ!!!!』 皆川    『ふはは!効いてる!効いてるぞ!!ルシファーにはちと驚かされたが、        フィールドに普通に存在するヤツ相手になら負けるわけが───』 ドォン!ドォン!ドォン!ドォン! 皆川    『なっ……そ、そのまま走って……!?は、はああ……!!』 ミノタウロス『ルグォオオオオゥウウ!!!!』 ボリュゴバシャォオゥンッッ!!!! 皆川 『げぁああああああっ!!!?』 吾妻 『けはぁっ!?』 水島 『きゃああっ!!』 内海 『かふぅっ!!!』 佐野 『なっ───!?なんやとぉ!?』 剣閃を受けつつ、それでも走り、巨大な斧を振り切ったミノタウロスは─── その先に居た皆川、吾妻、水島、内海を一撃のもとに蹴散らした。 佐野 『〜〜っ……怯むんやない!!     このままTPとアイテムの続く限り、撃ちまくるんやぁっ!!!』 総員 『おっ───おぉおおおおっ!!!』 彰利 『っ……こりゃヤバイ!!俺もボーっとしてる場合じゃねぇ!!』 神よ、ミノタウロスは強かった。 普通のミノさんでこれじゃあ、ミル・ミノタウロスはいったいどれほど……!? ……でも待ってトニー。 こいつの大きさ、空界で悠介が戦ったミノさんに大きさも色も似てるような─── 彰利 『サ、サーチライト・オォーーーン!!』 ───ピピンッ♪《ミル・ミノタウロスはとてもとても強そうだ!!》 彰利 『ホゲェエーーーーーーーーッ!!!?』 ト、トトトトニー!こいつミルだよ! なにかおかしいと思ってたよ! いくらミノさんでも剣閃がてんで効かないわけがねィェーーーッ!! しかしこれなら合点がいきすぎる! 道理で強いわけだ! あ、ああいや今はとにかく状況や戦力の分析を───!! Next Menu back