───冒険の書77/そして戦いは決着へ───
【ケース259:佐野清一/悪鬼羅漢の具現ブツ】 パパァアアア……!! 獣人 『大丈夫カ?今度ハモット注意シテイケ』 佐野 『くそっ、またコロがされてしもうたで!』 中村 『よもや綾瀬までああも強くなっているとは……!』 佐東 『いや、それはルシファー、九頭竜、サタン戦で解ってたことだろ?』 藤堂 『ともかく、提督軍が十二分に強いってこたぁよーく解った。     だから今度は雑魚兵士どもをコロがそう!それか提督軍以外!』 飯田 『同感だ、提督軍はちと強すぎ───』 ドゴォオオオオンッ!!!! 凍弥&志摩『ほぎゃああああああーーーーーっ!!!!』 中井出  「ナギー!シード!何処だぁああああああっ!!!!」 総員   『き、ききき来たぁあああああーーーーーっ!!!!』 獣人   『デハサラバダ!!!』 ガコォッ!バタム!! 中村 「あれぇっ!?ちょっと!?」 なんと!蘇生獣人が立っていた場所の後ろの壁が回転! 蘇生獣人は壁の裏にあったらしい通路に隠れてしまった!! やっ……そりゃキミが生きてなけりゃ俺達全員死んだままだけどさっ……!! 佐古田『ここはアチキに任せるッス!!そぉおおい!!!』 ヴオ───バガァッシャァアアアアッ!!!! 中井出「〜〜っ……!!くあぁあああっ!!?」 総員 『おおっ!!』 信じられん! サコゥトゥァの一撃があの提督を見事に吹き飛ばした! その滞空時間たるや、通路の先の先まで人一人を吹っ飛ばすほど!! あ、でも提督まるでビビってねぇや。 ナギーとシードっつったっけ?あの二人のことしか頭にないらしい。 佐古田『ぜ、全然効かないッス!?アチキの会心の一撃が!!き、貴様何者ッス……!?』 中井出「転校生!!(嘘)」 佐古田『転校……?なにッスそれ』 総員 『ギャアキレてるーーーーっ!!!』 佐古田『キレがなにッス!アチキのこの斧があれば───』 中井出「おぉらぁああああっ!!!!」 佐古田『打ち負けることなど有り得ねぇッス!!』 ヒュゴバッギィイイイイインッ!!!! ギシッ……ギギギギギ……!!! 佐古田『───!?う、打ち勝てないッス!?どういう腕力ッス!?     会心スキルマックスのこの斧の一撃を耐え切るなんて───』 佐野 『アホゥ!気ィ抜くんやない!提督は───』 中井出「オーレのパンチーはー!ダイナマイトォーーーーーッ!!!」 バンガァッ!! 佐古田『ぷぎゅうっ!!?』 佐野 『ああ馬鹿っ……!まともにくらいおったで……!!』 提督の戦い方に、それこそ戦法だの流派だのは無い。 彼のは我流すぎるのだ。 どんなことをしてでも相手の裏をかいて、その上で勝てばそれこそ勝利。 そういう人なのだ。 武器と武器が対峙し合ったからって、ずっと武器での攻防が続くと思ったらアレだ。 威力は一回転した佐古田を見れば十分だろう。 中井出「……コーホー《ギラリ》」 島田 『ヒィッ!!こっち見た!!』 中村 『冗談じゃねぇぞ!?ここでコロがされたら無限にコロがされまくる!!』 佐古田『ま……まだッス……!まだ終わって……』 佐野 『せや、佐古田、囮にして逃げよ。場所変えな、蘇生獣人までコロがされてまう』 総員 『グッドゥ・アイディア』 中井出「なにをごちゃごちゃ言っとるかぁ!!おい貴様ら!ナギーとシードは何処だ!!」 総員 『ふはははは知らん!!     知りたかったらそいつを倒して訊いてみろ!』 佐古田『な、なにぃいいッスーーーーーッ!!?』 中井出「そうかそうか貴様が知ってるのか……言え」 佐古田『言わねッス《バゴシャォンッ!!》ウベルリ!!』 中井出「貴様……どうやら性別は女性らしいな……だが俺は男女差別などせん!!     さあ言え!言わんとヒドイぞ!!」 佐古田『フッ……なにを天秤にかけられようとも、我が口は開かねぇッス……』 中井出「じゃあこの斧没収《ヒョイ》」 佐古田『ゲエッ!!だめッス!返すッス!!』 中井出「ダメね!断るね!!」 ───今や! 佐野 『逃げんでみんなぁ!!』 総員 『応ッ!!』 ドシュゥウンッ!!シュゴォッ───バゴシャアッ!! 永田 『ギャアーーーーーーッ!!!』 佐野 『ああっ!先頭きって逃げだしたナゴウリアスに佐古田が投擲された!!』 蒲田 『ナゴウリアス!?ナゴウリアスーーーーッ!!』 飯田 『ってちょっと待った!提督が物凄い形相でこっち向かってきてるぞ!?』 下田 『とにかく獣人たちが集まってる場所に誘いこむぞ!ここは場所がマズイ!』 総員 『応!!』 ともかく逃げる! 誰を犠牲にしてでも、ひとりでもいいからあの場所へ───!! ゾブシャゴブシャア!バゴォン!ドゴォン!ゴシャアッ!! 声  『ギャアーーーーーーッ!!!!』 下田 『ヒィイイ!!悲鳴がどんどん近づいてくるぅうう!!』 飯田 『提督が後方のやつらを順々に吹き飛ばしながら追ってきてるんだ!』 蒲田 『ヒィイ!怖ェエ!超怖ェエ!!』 だがあそこに───あのお方の袂にさえ辿り着ければ───!! 弦月や獣人王でさえ一目を置くあのお方の袂に───!! 声  「うおぉおおおおあぁあああっ!!!!」 ゾガァン!ゾバシャア!ドゴォン!!バゴォン!!ザグシャア!!ドッパァアンッ!!! 佐野 『だぁあダメだぁあ!!そもそもレベルや速度が違いすぎるーーーっ!!』 後方のやつらがどんどんやられていっている。 当然だ、AGIマックスで全速力で走っている状態なんだから、防御なんてたったの1。 振られた攻撃に耐えることもできず、みんな一撃で屠られているのだ。 佐野 『〜〜〜……もう辛抱たまらん!     あの場所からは大分離れた!ここで迎え撃つでぇ!!』 ザシャア!! 立ち止まり、一気に振り向いて剣を構える! ───と、その場に居たのは俺だけだった。 佐野 『おっ……おうわぁあーーーーーーっ!!!!』 声  『退ケ、ノゥサ!!』 佐野 『へっ!?おわっ───《シャフィィンッ!!》ヒィ!今かすった!髪かすった!』 振るわれた剣が紙一重ではなく髪一重で俺の命を救ってくれた。 というより後ろから引っ張られたお蔭で助かったんだが。 しかし今の声は─── クトロカトロ『下ガッテイロ、ノゥサ』 佐野    「お、おお!クトロカトロさん!!」 思った通り、クトロカトロさんだった!! 佐野 『ふはははは!提───弱いニンゲン!ここが貴様の墓場だ!』 中井出「なに……!?」 佐野 『ここにおわすお方はこの獣人社会に“諸刃カウンター”を伝えた一人者、     ヤグードの中でも1、2を争う実力者よ!     貴様がどれだけ強かろうが、クトロカトロさんの前では───』 中井出「知ったことかこの野郎ォオオッ!!!ナギーとシードは何処だぁああっ!!!」 佐野 『警告無視して突っ込んで来たぁーーーーっ!!!』 クトロ『……若イ』 グッとクトロカトロさんが重心を下ろす! 全力の諸刃……渾身諸刃カウンターを決めるつもりだ!! 中井出   「おぉおおおあぁあああっ!!!!」 クトロカトロ『若者ヨ、散ルガイイ───!!“渾身諸刃カウンター”!!』 提督は突っ込んでゆく! それも考えもなしに! ───もらった!あれを喰らえば誰もが吹き飛びピヨるか絶命するかで─── 中井出「───!!速い───!?」 避けようなんて行動も無理だ。 どれだけ足掻いても、あんなに速い拳は避けられないだろう。 まして、既に攻撃のモーションに入った提督では───……あ、れ……? 攻撃のモーションなんてとってない。 ただタックルみたいにして肩を突き出してるだけで─── い、いいや!どっちみちいい的だ! これを喰らえば提督だって吹き飛ぶさ!  ヒュゴォドォッゴォオンッ!!!! ───!決まった! これ以上ないってくらいの完璧なインパク─── 中井出「渾身諸刃カウンター返しぃいいいいいっ!!!」 クトロ『ナッ───』  バガッッ───ホォオオオオオンッ!!!! クトロ『ゲハァアアアアアッ!!!!!』 クトロカトロさんの体が吹き飛ぶ。 振り切られたのは、提督のあの爆裂する拳だ。 ……なんて悪夢だ、あのクトロカトロさんが……!! カウンターが決まれば誰が相手だろうと吹き飛ばしていたクトロカトロさんが……!! 中井出「どうだ、カウンターの味はよ。     一度、隙だらけの顔面を思い切り殴られる相手の気持ちを知ってみやがれ」 佐野 『……、───!?』 そう言う提督の体が、一瞬だが橙色の光に包まれているように見えた。 加えて、提督は既に150レベルを超えている。 つまり、あれは……! 佐野 (っ……ハイパーアーマー……!!) その手があった。 どれだけカウンターを狙おうが、その行動の全てが無になってしまう凶悪なアビリティ。 俺は獣人の中の老戦士の散りざまに敬礼をし、 一人だけ生き残ることを嫌い、襲い掛かった!! 中井出「せいやぁっ!!」  ヴオゾガフィィンッ!!! 佐野 『っ……!!』 だがやはり、ニ閃のもとに切り殺されてしまう。 二閃、といってもニ振りが十二閃となった攻撃だったが─── くそ、このままじゃマジで獣人勢力が滅ぼされちまう……!なんとかしねぇと……!! 【ケース260:中井出博光/それぞれの葛藤。そして───】 ドゴォンッ……!!ガコォッ……!! あちらこちらから地響きのようなものが聞こえる。 いや、事実地面は揺れていた。 前へ前へと走る俺の足を掬うように、それは治まらない。 いや、治まらないと思っていた。 けれど───それが突然止まる。 中井出「……?」 いや、考えてる暇なんか無い。 走って走って、そして───……!?ドア!? 中井出「今まで向き出しの入り口はあっても、ドアなんて───     ふっ!くっ……!カギがかかってる……!?こぉのっ!!」 ガギィンッ!! 中井出「いづっ……!武器でブッ叩いても破壊できないか……!それなら───!」 発想の転換! すぐ横にある壁をあらん限りの力で破壊する!! ヒィンッ───ドッゴォオオオオオンッ!!! 中井出「ナギー!シード!!」 破壊が済むと、砂煙が巻き起こる。 その砂埃が消えるまで待つのさえもどかしく、 俺は躊躇することなくその部屋へと脚を踏み入れた。 そこで待っていたものは─── 獣人 『騒々シイ登場ダナ、マッタク……』 他の獣人とは明らかに格好も大きさも違う獣人だった。 中井出「……ナギーとシードは何処だ」 獣人 『ナギー?シード。ドリアードト魔王ノコトカ。     ソレナラバソレ、ソノ扉ノ奥ニ───』 中井出「そうか……返してもらうぞ!“マグニファイ”!!」 そこに居る。 居るのなら───強引に押し通ってでも取り戻す!! 獣人 『クルカ!我ハ獣人王イーヴィルバーグ!     コノ先ヘ行キタイノナラバ、我ヲ倒シテユクガヨイ!!』 そんなことは言われるまでもない。 全力でぶつかり、全力で押し通る! 中井出「ッ───」 疾駆し、敵の目の前で体勢を屈ませ─── 立ち上がりと同時に一気に下から弧を描くように長剣を振るう!! 中井出「“黄竜剣”!!」 ギシャゴバァォオオオンッ!!!! 獣人王『ヌグッ!?』 ガードされた───が、相手は宙に浮いた! だったら次はこれだ!! 中井出「“解除(レリーズ)
”!」 体勢を立て直すのももどかしくレリーズを唱え、 長剣を双剣に変えて残りの数秒で弧を描く!! 中井出「“斬光烈空刃”!!」 フィザシャシャシャシャシャシャシャァアアッ!!!! 獣人王『ヌゥウウウウ……!!!』 これも耐えてる!? だったら───!! ドンッ、と地面を蹴り弾いて一気に間合いを詰める! そして、未だ浮いたままの相手に向かって構えた双剣で速度重視の連続突きを繰り出す!! 中井出「見切れるか!くらえ!!“翔破烈紅閃”!!」 マグニファイスキル・ガンランスを利用した爆発する突きの高速連突!! 防御しきれるもんならしてみろ!! 獣人王『ヌウ……!!』 ボガガガガガガガガガガガォオオオンッ!!!! 一突きする度に爆裂し、その一突きが下がる間隙を片方の一突きが突く。 その連続を、ガンランスの効果が切れるまで、前が爆煙でみえなくなろうとも突き続けた。 やがてガンランスの効果が切れるとバックステップし、 虚空に鎌鼬で円の発射口を描いて熱衝蒼刃塵。 放てる秘奥義、我流秘奥義はひとつを残して全て使い切り、 これでどうだと思った頃、グミを噛んでTPを回復させた。 そして───爆煙が晴れる頃。 獣人王『……終ワリカ。中々モッタホウダロウ』 中井出「───!」 相手は無傷───いや、傷がもの凄い速さで癒えていっていた。 さらに言えば緋黒い光に包まれていて、攻撃力も防御力も増加しているような…… 獣人王『コノ“力”、素晴ラシイゾ。ヤハリドリアードト魔王ノ力ハ絶大ダ』 中井出「なに……!?」 獣人王『ワカラヌカ、弱イニンゲン。返スモナニモナイ。     ドリアードモ魔王モ、コノ場ニ居タクテココニ居ル。     ソウデナケレバ我ノ傷ヲ癒ス筈ガナカロウ?』 中井出「うるせーコノヤロー!!そんなものは自分の目で見て判断する!     いいからそこどけコノヤロー!!」 獣人王『ハハハハハ!断ル、ト言ッタラ?』 中井出「跡形も無く消し飛ばす!!」 獣人王『フハァッハッハッハッハ!!     今貴様ガドレダケ頑張ッテ我ニ攻撃シタカ忘レタカ!?     無駄ダ!我ニハ最早、ドノヨウナ攻撃モ───』 中井出「ナギー!シード!そこに居るならとっとと出てこい!!迎えに来たから帰るぞ!」 ───……。 中井出「ナギー!シード!!」 声  『だ、黙れ偽物めが!!シミーズから聞いたのじゃ!     ここに攻めてきているのはヒロミツの真似をする残虐非道の悪漢じゃと!     他の誰もを騙せてもこのわしは騙せんのじゃー!!』 中井出「なっ……騙すもなにもあるかバカモーーーン!!     助けに来て追い返される相手の気持ち、誰が知る!!     こんな局面で原ソウル見せてんじゃねーーーっ!!」 声  『だだ黙れ黙れ!いくらヒロミツを真似ようが無駄なのじゃー!!』 中井出「………」 神様……あいつの物事に対する信用度はどうしてくれちまえばいいのでしょう。 獣人王『無駄足ダッタナ。サア、消エテイッタ同胞タチノ恨ミ、ココデ───』 中井出「ああもういい!この解らず屋がぁああああっ!!!     いっぺん頭冷やしやがれ!!ザ・おしおきの時間!!」 双剣を回転させてから合体!! 長剣に戻し、ひと振るいしてからヒノカグツチの炎を巻き上げる!! そして、その火円の中で右手で剣を持ち、右腕に左手を添える!! さあ吹き飛べコノヤロー!! 中井出『極光吼竜閃(レイジング・ロア)ァーーーーッ”!!ギガァッッチュゥウウウウウンッ!!!!! 獣人王『ナッ───グ、グオァアアアアアアアアッ!!!!!』 剣の刀身全体から放たれる極光は、それこそ竜の咆哮。 余裕顔で俺を見ていた獣人王は、 突然そんなものが放たれるとは思っていなかったんだろう。 まともに極光を喰らい、壁という壁を破壊してなお景色の先へと吹き飛んでいった。 そして─── 中井出「はぁっ……!はぁっ……!ったく……!!あ、ぐぅ……!!」 HPTPともにスッカラカンになった俺はグミを食いまくり、 HPTPを回復させてから歩きだした。 壁には既に穴が空いている。 そこには、突如壁を破壊した極光のあまりの破壊力に震えるナギーと、 俺を見るなりペコリと頭を下げるシードの姿があった。 中井出「くぉらナギー!!」 ナギー『っ!!《ビビクゥッ!!》な、なななんじゃおぬしは!     わしは騙されぬぞ!おぬしはヒロミツではないのじゃー!!』 中井出「昔々あるところに一人の高位精霊が居ました。     その高位精霊はとある宿で俺に話して聞かされた怪談話が怖くなり、     ひとりで厠に行くことも出来ずにとうとう───」 ナギー『あわぁーーっ!!わーーっ!!わぁあっ!!     やややめよヒロミツ!それ以上言うでないぃっ!!』 証人は確立されたらしかった。 ただし、とても嫌な方向で。 ナギー『…………うぐっ……うううう……!!     ヒロミツ……本当に……ヒロミツなのじゃな……?』 中井出「よぅシード、壮健か?」 ナギー『聞くのじゃあっ!!無視するでないぃっ!!』 中井出「感動の場面に水を差すのは基本だろ、うん。     そんなわけで文句でもなんでもあとで聞く!今はここから脱出するぞ!!」 ナギー『え……よ、よいのか?わしはまた、ヒロミツと一緒に行っても……。     わ、わしは……成長することができたのか……?』 中井出「……?なーに訳の解らんこと言っとるかー、コノヤロー。     我らは仲間だろう。一緒に居るのは当然だー、コノヤロー」 ナギー『う……う、ぅうううっ……ヒロミツーーーッ!!!!』 中井出「《がばしーーーーっ!!!!》おぉわっ!?ば、ばかっ!     こんな地面がえぐれた場所でいきなり抱きつオワァーーーッ!!」 落ちた!レイジング・ロアによって崩れてた場所から、ものの見事に!! そんでもってえぐれた部分が程好く斜面になってたもんだから、 壁の外側目掛けて滑って───二階から見事に虚空へダイヴ!! (注:ウォズトロヤ城は一階の天井がとても高いです。    つまり二階から飛び降りるだけで、五階分のスリルを味わえます) 中井出&ナギー『ほぎゃああーーーーーーっ!!!!』 二階なのにこの高さ!まさに国宝級!? つーか死ぬ!いくらレベルが高くても、落下の衝撃には勝てん!! そ、そうだ!ジークリンデで風を巻き起こして─── ナギー『こっ……怖いのじゃー!ヒロミツー!!!』 ガッシィ!! 中井出「なわっ!?こ、こらナギー!剣を離せ!妙なところを掴むな!!     これじゃ双剣化が出来ないじゃオワァーーーーッ!!!」 危機迫る!地面も迫る!! このままではプリンスオブペルシャの若者やデブニシさんのようにミンチに───!!  ゴォッ!! 中井出「オッ───と……ホワイ!?」 ナギー『……!?い、生きておるのかの……?』 ふと感じた浮遊感。 気づけば俺たちは───エルに助けられていた。 中井出「オ……おお……!よもや貴様が我らを助けてくれるとは……!」 エル 『コルルルル……』 ナギー『おお、ほんによくできた飛竜よの。殊戸瀬にはもったいないのじゃ』 中井出「いやいや、それよかシードを連れて、とっととここを離れよう。     あとの制圧はレオンたちに任せていいだろ」 ナギー『レオン?おお、あの騎士団長も来ておるのか』 そんな会話をしつつ、エルに頼んで二階の破壊した壁近くまで飛翔してもらう。 つーか落下した時、ナギーなら空に浮くことができたのでは? ……まあいいや、気が動転していいたのだろう。 ともかくシードを救出し、やがて逃走を─── 声  『おぉっと動くなてめぇらぁっ!!』 中井出「───ヌ!?」 突如として聞こえた声に顔を上げる。 崩れた壁の向こう側……獣人王が居たその部屋に、二人の獣人が立っていた。 そして……その手が掴んでいたものは……丘野と藍田だ。 獣人   『我はモンスター大幹部4位、ゴルベーザ!!』 獣人   『我はモンスター大幹部12位、ゴルダーク!』 ゴルベーザ『貴様らの快進撃もここまでだ!さあ……魔王と精霊を返してもらおうか!!』 中井出  「断る」 獣人×2 『ホゲェーーーーーッ!!?』 ゴルベーザ『て、てめぇーーーっ!!この二人の姿が目に───』 声    「コメッティックミサイル!!!」 ドチュチュチュチュチュチュゥウウウンッ!!! ゴルベーザ『ヌオッ!!?』 ゴルダーク『フゥッ!!』 ガギギギギギギギィインッ!!! 突如、通路の先から飛んできた光の球。 それを、ゴルダークが全て、双剣で弾き飛ばした。 この魔法が使えるのは─── 麻衣香「やっほ、ヒロちゃん。待った?」 やっぱり、麻衣香だった。 にぱー、と笑みを浮かべて手を小さく振っている。 その横には殊戸瀬の姿もあり、───あれ?誰か足りないような…… 中井出  「しかしどういうことだ?藍田や丘野が獣人に遅れをとるなぞ……」 ゴルベーザ『そう……確かにこのニンゲン、手強かった。       変身までして襲いかかってきた。だが1対3ならば負けんのだよ』 中井出  「1対3……?」 ゴルダーク『その忍者との戦いの中、その忍者は我だけに気を取られすぎていた。       だから後ろから迫るもう一人に気づかずに脱落。       あとは我ともう一人とともにゴルベーザのもとへ駆けつけ、       三人で倒せばそれで済んだ。そのもう一人には、もう避難してもらってるが』 中井出  「おっ……おのれ卑怯な!!」 ゴルベーザ『卑怯?結構だ。我ら獣人、手段など選ばない』 カタ、カタカタカタ…… ゴルベーザ『ヌ───!?キサマ、何をしている!!』 中井出  「緊急事態のメールかな。まあともかく───そこに居ると危ないかもしれん」 ゴルベーザ『なに……?』 ゴルダーク『───!ゴルベーザ!後ろに飛べ!!』 ゴルベーザ『なんと!?』  バァッガァアアアアアアンッ!!!! ゴルベーザ『おわぁあああああっ!!?』 ゴルダーク『……!リビングアーマー!?これは───!!』 そう……今呼んだばっかりなのに、 既にもう来た旦那ラブおなご───その名も木村夏子二等!! そういえばこの場に居ないなと思い、連絡したまでのこと!! “藍田がとってもデンジャーです!”という言葉と位置ポイントを知らせて。 しかしリビングアーマーの肩に乗っかっての登場なんて、ニクイ演出しやがる!! 夏子 「亮!亮!?大丈夫!?」 リビングアーマーが壁ごと獣人たちを殴り飛ばそうとする中、 寸止めさせた木村夏子二等は肩から腕を伝って藍田と丘野───いや違うな。 藍田の袂だけに駆けつけた。 丘野くんはしっかりと殊戸瀬に介抱されてるからいいのかもしれんが。 ゴルベーザ『チッ……だがそれがどうしたネ!?       なんなら貴様らともう一戦、全力バトルをしても───』 声    「……いいや、そこまでだ」 ゴルベーザ『ヌッ!?その声は!!』 聞こえた声に、視線を動かす。 その先に居た者は……セントール王国騎士団長、レオン=アルバレートその人だった。 レオン  「獣人勢力は壊滅した。大人しくこの場で絶滅するもよし、       悪行をせず何処かでひっそりと暮らすもよし」 ゴルベーザ『ひっそり?絶滅?ハ、それもいいかもしれんなぁ……』 ゴルダーク『だが断る。獣人勢力はまだまだ費えない』 ゴルベーザ『そうだ、あのお方が生きている限り、何度でも復活を遂げるだろう……』 レオン  「あのお方……?」 ゴルベーザ『シャラッ!!』  ボゴシャアッ!! レオン  「くあっ!?貴様!!」 ゴルベーザ『今日のところはこれくらいにしておいてやる!!』 ゴルダーク『だが次に会った時───否!いつまでも我らは諦めない!!』 ゴルベーザ『さらばだぁーーーっ!!!』 …………。 言うだけ言って、獣人どもは去っていった。 けど……これって……あれか? 中井出「……なあ。戦い、終わったのか?」 レオン「ああ、我らの完全勝利だ。───礼を言う」 中井出「おお……」 藍田 「あぁ……!いっつぅうう……!!はぁ、ようやくHPが回復しだしたぜ……」 丘野 「難儀なものでござるなぁ……」 ……ふむ。 中井出「ところでさ。俺達、なにかを忘れてないか?」 丘野 「なにか?なにかってなにでござる?」 中井出「え?いやその……」 殊戸瀬「……ロド」 総員 『……ああ!!』 それだ!さっきから全然見てないと思ったんだ!! ナギー『なにを言っておる?ロドリゲスならばさっきからそこにおるのじゃ』 中井出「え?どこ?」 シード『そこです、父上』 中井出「……?」 シードがスッ、と黒い物体を指差す。 ……え?これがそうなの? 殊戸瀬「……ロド?」 物体A『ゴエェッ!?』 殊戸瀬「間違い無い、この驚きようはロド……」 総員 (驚き様で認識されてる……) 恐らく気にしちゃいけないことなんだろう。 ともあれ───俺は下方で俺達を見上げている兵士たちや、 その中に紛れている閏璃たちを見て高らかに叫んだ。 拳を天に突き上げて。 中井出『俺達の勝利だぁーーーーーーっ!!!』 総員 『Yah(ヤー)ーーーーーッ!!!!!』 ……ひとつの戦いが終わった。 破顔する皆様の笑顔や、響き続ける喜びの声を、我らはきっと忘れることはないだろう。 ……そして、何故勝利の勝鬨に対する返事がYahだったのかという謎も。 なんにせよ、もう休みたい。 精神的にとにかく疲れた……。 Next Menu back