───冒険の書78/戦い終わって……───
【ケース261:弦月彰利/大人しく閻魔大王さまの袂に帰るでゴンス】 ───ザッ……ザッ…… 彰利 『ちくしょ〜……』 素敵に無敵な俺達の聖戦(ジハード)
…… それは我ら獣人勢力の敗北によって幕を閉じてしまった。 悲しいかな、実力が足りなかった故に敗北を知ってしまった。 シコルスキーたちはこんなものを知りたかったのだろうか神よ。 彰利 『これからどうする?根城を奪われちゃどうすることも出来ん』 佐野 『盗賊時代のアジトを第二の獣人勢力国家にするってのはどうや?』 吾妻 『あ、それいいかも』 綴理 『どうせあのままだとただの洞窟に成り下がるだけだし』 佐野 『せやろ?』 中村 『どうあれ、獣人神父のカムタマムタ氏が生きてる限りは俺達に死は無い』 彰利 『おお。颯爽と逃げてくれたお蔭で助かったよ』 カムタマムタ氏は獣人神父。 格好はヤグードの、なかなかに喜作なお方だ。 それにしても…… 彰利 『獣人王が居なくなっちゃったねぇ。どうしよ』 吹き飛んだ方向はこっちでいい筈なんだけど。 お亡くなりになったのなら、せめて埋葬くらいはしたいと思ってこっちに歩いてるんだが。 ……お? 彰利 『じゅ、獣人王はっけぇーーーーん!!』 佐野 『なんやと!?』 中村 『……!?おおマジだ!しかもピクピク痙攣してる!生きてるぞ!』 僕らは駆け出した! 駆け出して、倒れている獣人王の口の中にポーションを流し込みまくった!! するとゲホガホと咽て苦しむ獣人王!どうやらストレートに気管に入ったらしい!! しかししばらくすると復活する獣人王を見て、僕らは安堵の溜め息を吐いた!! 彰利 『無事だったか獣人王!死んだかと思ったぞコノヤロー!!』 獣人王『アア……我モ死ヌトバカリ思ッテイタガ……我ハ同志ニ恵マレタヨウダ。     シカシ、コノ様子カラ見ルニ……負ケタノダナ?』 彰利 『おお負けた!それはもう見事に負けた!     新築のウォズトロヤが奪われちゃった!僕は悲しい!!』 獣人王『ヌウ……、……?ゴルダークハドウシタ?』 彰利 『ゴルダーク?ああ、ゴルダークだったらルナっちと既に離脱してる。     用は済んだからアディオースって』 獣人王『ソウカ……奔放ナ奴ダ』 まったくだ。 俺ともなんにもなかったかのように振舞って、 じゃけんどあの話をしようとすると“これ以上話せることはない”だもんね。 取り付く島が無いよ。 や、べつに気にせんようにすりゃよかったんだけどさ。 獣人王『コレカラスルコトハ決マッテイルノカ?』 彰利 『イエス。とりあえずとある洞窟に行って、そこを我らの新・本拠地にします。     獣人の中で生き残ったのが、     獣人王と獣人神父と鍛冶屋さんだけってのもどうかと思うけど』 それ以外は原中と小僧パーティーと聖と椛で構成されております。 うおう、無駄に人数が居てヘンな感じだ。 悠介も普通にこっちに居りゃいいのに……って、聖が嫌いだから離れてんだっけ? 違うか、誰からも嫌われたいとか言ってたし。 でもルナっちはどうなんだろね?不思議さ。 俺でさえ突き放されたのにルナっちだけOKって……ムオオ、嫉妬の炎がメラメラと。 皆川 『なぁ弦月?』 彰利 『うるせー!俺があいつのこと一番理解してるんだいっ!!     ルナっちがなんだコノヤロー!!』 皆川 『ウヒョオ!?な、なんだよいきなり!』 彰利 『え?……おや?』 おやおやこれはまたなんとも……暴走してしもうたよ。 でも寂しいじゃない? かつては親友として、前世からここまでをずっと共に生きてきたダーリンがさ、 急にオイラを突き放すんですよ?誰だって寂しくなるって、うん。 一緒に苦汁を飲んだり涙を呑んだり笑い合ったりした時間は僕らの方が圧倒的に上さ! 男の嫉妬はみっともない?フハハハハ!我ら原中は男女差別なぞせんのだ!! だから男の嫉妬も正当化されます!だってそれって他人の感性だもん! 万人がみっともないって思ってても、俺がそう思ってなけりゃいいのさコノヤロー!! 彰利 『この世は……先入観に支配されすぎているのだ!!』 皆川 『おーい、なにやら弦月が謎の電波受信しちまったみたいなんだが……』 中村 『ほっとけ、いつもの発作だ』 彰利 『発作!?そうなの!?』 驚きの瞬間だった。 まあいい、ともかく僕らは道をゆく。 これが終わりじゃねぇぞ提督軍め……! いつか貴様らブッ潰して、奪われた金を奪い返して……って、 俺べつにコロがされてないからいいや。 ただ、他の皆様は大変だったのでしょうね。 佐東 『あーあー……金が随分と減っちゃってまあ……』 藤堂 『しゃあねぇだろ、提督がちと強すぎた』 中村 『いや、提督というよりはむしろあの剣が強すぎたのだ。そういうことにしとこー』 彰利 『しかし……ねぇイーちゃん?』 獣人王『ヌ?ナンダ?』 彰利 『あのさ、偵察騎兵のノイさんは?』 獣人王『争イノ中、敵兵士ニ扮装シテ逃ゲテイッタ。今ドウシテイルカハ知ラナイ』 彰利 『そか』 結局セントール王の秘密ってなんだったんだろね。 気になるよ、うん。 彰利 『つーか……イーちゃんも見つかったことだし、とっとと転移で行こうか』 佐野 『せやな。しっかし関西弁使うてると河内思い出して嫌やな……。     関西弁自体は嫌いやないんやけど、河内は嫌いや。     ああ、あと漫才師とかが何故か無理矢理使う関西弁も嫌いや。     なんでお笑いやからて関西弁なんや。よし決めたでぇ!ワイは関西弁をやめる!』 彰利 『なんで!?』 佐野 『せやから、エセ関西弁使いがワイは嫌いなんや!     そしてそれは佐野清一郎の真似をしているワイにも当てはまる!     ワイがエセ関西弁を嫌うてるように、     他のヤツらもワイに嫌悪感を抱くかもしれんやろ!     ワイは他人がやって自分が嫌なことを自分だけ続けるのは嫌なんや!!     せやからやめるんや!!』 佐東 『そうか……決断の時が来たんだな……』 藤堂 『お前男だぜ……。意思を貫くために、     ようやく自然に言えるようになってきた関西弁を捨てるなんて……』 佐野 『我輩は佐野である。故に迷わない』 なんのことだか知らんけど、妙なところで物語が落着したらしい。 それをきっかけにするかのように俺は転移を実行。 エコナ平原近くの山に辿り着き、新たな獣人社会を作るために手を取り合ったのでした。 【ケース262:清水国明/そういや彼もシミーズと呼べなくもないことに気づいた】 ゴコォンッ……!! 清水   「ふ〜、ただいまー」 岡田   「水くれー、疲れたぜ〜〜〜っ」 田辺   「ソナっち、茶がねぇぞ茶が」 ソナナニス「もっ……!戻って早々なんたる無礼!!」 さて、戦いを終えた僕らはこうしてエトノワールに戻っておりました。 何故って、一応王様には勝ったことを報告しなけりゃならんからである。 もちろん報酬があるかもしれないという事実に惹かれたのが大半なんだが。 ともかく僕らはちまちまと兵士たちと一緒に戦い、そこそこの戦績を収めたのだ。 突貫していった提督軍ほどではないにしろ、 少しは期待してしまうのは仕方ないことだと思わないか? レイナート「よく戻った。それで、結果はどうなった?」 清水   「勝ったぞー。獣人王を吹き飛ばして、他の獣人どもも退けて、       今やウォズトロヤ城はエトノワールとセントールの手に落ちたのだ」 レイナート「そうか、よくやってくれた。礼を言う」 岡田   「それで大変言いにくいんだが報酬をくれ」 ソナナニス「言いにくいどころかストレートに言ったではないか!!」 田辺   「うるせー!!こちとら死に物狂いで戦ってきたんだぞコノヤロー!!       オセロの腕ばっか上げてた貴様にこの苦労が解るか!?えぇーーーっ!!?」 ソナナニス「うぐ……何故それを……!!」 岡田   「なに!?マジかてめぇ!!」 清水   「キッサマ人が苦労して戦ってた時、マジでオセロの練習してたのか!?」 ソナナニス「なっ……騙したな貴様ら!!」 田辺   「うるせーカスが!!まさか本当だったとは!見損なったぞソナナニス!!」 清水   「てめぇなんてもう僕らのソナっちじゃねぇ!ただのソナナニスだ!」 岡田   「このソナナニスめが!!」 ソナナニス「……自分の名を呼ばれているのに、何故不名誉な気分になるのだろうか……」 それは後ろめたいことがあるからさ。 レイナート「そのくらいで許してやってくれ。報酬はちゃんと渡そう」 清水   「おお!?いったいなにを!?」 岡田   「なになになになになにくれんの!?       黄金の仏像!?黄金のベンツ!?それとも庭付き一戸建て住宅!?」 レイナート「黄金の紅鮭を差し上げよう」 ポク、ポク、ポク、チーン♪ 総員   『なにぃーーーーーーっ!!!?』 清水   「なにそれ!?黄金なのに紅鮭かよ!!」 岡田   「黄金なの!?紅なの!?どっち!?」 レイナート「落ち着け、冗談だ。……どれ、此度の戦いで一番活躍したのは誰だ?」 清水   「誰ってそりゃ……」 総員   『提督軍だろうなぁ……』 レイナート「提督軍?なんだそれは」 清水   「おお、提督軍とはその名の通り、       我らが原中の提督・中井出博光を始めとした戦闘集団のことであります」 田辺   「此度の戦……おそらく彼ら彼女らとレオン殿が居なくてはとてもとても……」 レイナート「レオンか。ヤツの活躍ぶりはどうだった?」 岡田   「雑魚の一掃が主だったねぇ。群がる敵をバッタバッタ。       でも逆を言えば強い敵とはぶつからなかったよ」 レイナート「ふむ、だろうな」 ……む?だろうなってことは……なにか知ってるのかこの王様。 清水   「王様?キミなにか知ってるの?」 レイナート「ああ。恐らくレオンが雑魚とばかり戦っていたのは、       セントール王、レックナートの差し金だろう」 レックナート氏の?なんでまた。 あれだけ強い騎士団長なら、突貫させても死ななかったと思うんだが……。 ありゃ?なにやら物凄い矛盾点が…… レイナート「レックナートは野心家だ。       此度の獣人討伐も、勢力が目障りになっただけのこと。       そこで、これ以上増徴されるのも困ると出て私に協力を求めた。       もちろん私も目に余るものがあった故に助力をした」 清水   「……でも、レックナート卿は雑魚一掃のみしか指令を出さなかった……?」 レイナート「もしものことがあり、レオンが傷つくのを恐れたんだろう。       ヤツの国にはレオンくらいしか強者が居ない。       だがレオンだけで十分と思わせるほど、レオンは強者だ。       もちろん獣人たちの群れに突っ込んでも勝てるくらいの実力はある。       しかしヤツはもしもを考えた。獣人たちの成長は驚くほどに早かった。       故に、もしもその中の強者どもに一気に囲まれたらさすがのレオンも、とな」 田辺   「な〜るほどね」 しかし……なんだそりゃ、同盟国が聞いて呆れる。 そんなの、向うにしてみりゃこっちを利用してるだけじゃないか。 レイナート「言いたいことは解る。だが、そう遠くないうちに鉄槌は降りるだろう。       お前らがここに来る前に、ノイという男がここに来てな。       レックナートの秘密を話していった」 清水   「秘密?なにそれ」 レイナート「国がひとつ滅ぶほどの重大な秘密だ。       国は民あっての国。恐らく、レックナートは民も兵も失うのだろうな」 田辺   「……?」 訳が解らなかった。 しかし訊いたところで教えてくれるような雰囲気ではなく─── 我らは仕方なく、話を戻すことにした。 清水   「それで、報酬のことなんだが……」 レイナート「ああ。その提督軍とやらを連れてきてくれないか。その時に渡そう」 総員   『なんと!?』 ウヒャア、マジですか……? 提督軍って移動速度が滅茶苦茶速いことで有名なんだが……? エンカウント、といったら聞こえが悪いが、出会える確率はとっても小さい気がする。 田辺 「そんな時にはテレフォン」 清水 「出るかぁ?」 岡田 「ま、かけないよりかはマシだろ」 清水 「ん……そだな。そんじゃ、tell:中井出博光、と……」 ナルルルル……ブツッ─── 声  『……我が眠りを妨げるヤツは誰だ……』 声  『おお!起きたのじゃ!遊ぶのじゃヒロミツー!!』 声  『んー……パパ忙しいからあとでね?』 声  『誰がパパなのじゃ!!いいから遊ぶのじゃー!!』 声  『ち、父上!実は新たに魔法を創ることに成功したのです!見てもらえますか!?』 声  『そ、そうなのかー……でもパパ眠くてな……』 声  『遊ぶのじゃ遊ぶのじゃあーそーぶーのーじゃー!!』 声  『オガー!うるせー!!そこの猫で遊んでなさい!』 声  『もう遊びつくしたのじゃ!』 声  『なんと!?───オワッ!?猫の顔に物凄ェ芸術的なアートが!?』 ……賑やかそうでいいなぁ。 だが一応伝えるだけ伝えなければ、報酬が貰えん。 そんなわけで─── 清水 「提督ー、よく頑張りました賞で、     ウチの国の王様からアイテムが貰えるらしいんだが」 声  『すぐ行く』 それは、とてもとても清々しい言葉だったという。 ───……。 ……。 …………、…………ドドドドドドドドゴシャォオオンッ!!! バキベキゴロゴロズシャーーーーアーーーーッ!!! 提督軍『て……天海様の命により、我ら自由人、参上……ゲフッ……』 やがて謁見の間の扉を巻き込むように破壊して転がり滑ってきたのは、 我らが提督とその仲間たちだった。 レイナート「ふむ……この者たちが?」 清水   「うす。真ん中の地味な格好した剣士が提督ですわ」 中井出  「地味言うな!!袖の無い服とステキな剣!これぞ傭兵スタイル!!       どんな敵にもきっと勝てるよ!?初期クラスのオグマっぽくていいじゃん!」 岡田   「防御捨てた姿だな……突入した時までは違ってたよな?」 中井出  「いやさ、実は獣人倒しまくってたらリングシールドっての落としてさ。       これってば“防御したい!”って思考すると、       ここの……この指輪からシールドが出るんだわ。しかも結構強力でさ。       だからどうせならステキな傭兵っぷりを演出したいなぁと、       何処までも付いてくる猫からこの傭兵装備を買ったのである。       ちなみに$なら獣人がたんまり持ってたから困ってない」 藍田   「こっちは当たった相手が悪かった。       あのゴルベーザっての、会う度に強くなっててまいるよ」 丘野   「こっちもでござる。ゴルダークと遭遇して、それはもうコテンパンに。       しかも戦ってる最中に後ろから妙な形の剣閃に切り裂かれてあとはボコボコ。       どうにも出来なかったでござる」 清水   「妙な形の剣閃?」 丘野   「剣、というよりは……相手の武器が鎌だったのでござるよ。       刃の二つついた凶々しい鎌。それがまた滅茶苦茶強くて、まいったでござる」 鎌ねぇ……。 っと、それよりも報酬だ。 清水   「そんで王様?報酬は?」 レイナート「うむ。ソナナニス、宝物殿を開け」 ソナナニス「なっ───正気ですか王!       宝物殿は外部の者が立ち入ってはならぬとまで言われた───」 レイナート「ソナナニス、褒美とは貰ったものが喜ぶものだからこそ褒美と言う。       私の一存で決めたものを、       命をかけてくれたものに対して渡すのは不平等だとは思わないか」 ソナナニス「し、しかし!」 レイナート「戦前に立たず、命も賭けずにこの場でゲームをしていた我らが。       戦前に立ち、命を賭して戦ってくれた彼らに何の文句が言えよう」 ソナナニス「うぐっ……!」 その言葉が決めてとなった。 ソナナニスはがっくりと項垂れると鍵を取り出し、我らを促すとトボトボと歩き出した。 レイナート「宝物殿にあるものの中から好きなものを持っていくといい。       ただし、一人ひとつだけだぞ」 清水   「おお!レイちゃん太っ腹ー!!」 ナギー  『わ、わしもいいのかの?』 レイナート「───、あなたさまは……ドリアード?」 ナギー  『野暮なことを言うでない、レイナート。今のわしは“ナギー”じゃ』 レイナート「……そうですか。ええどうぞ、ひとつだけなら」 ナギー  『うむ!なかなかよい心がけなのじゃ!』 中井出  「フフォフォフォフォ……!思いがけぬ状況よ……!       獣人から奪ったこのステキアクスと、       さらに手に入るステキ武器を合成させるのだ……!」 丘野   「拙者もそろそろ新たなパゥワーが欲しいでござるな」 シード  『父上、僕もいいのでしょうか』 中井出  「なにせ王様だ、ケチなことは言わないだろ」 シード  『……すごいな、何を選ぼう』 中井出  (……何気にワクワクしてるのな。こんなところはまだ子供か) それぞれが思い思いに歩いていっているのがよく解る。 もちろん俺達も提督軍のあとに続くように宝物殿へと足を運んだわけだが。 さて───どんなものが待ち受けているのだろうか。 ───……。 ……。 ギシャーーン!! 総員 『おおーーーっ!!』 ややあって───宝物殿。 こういう場所に訪れるのは初めてだが…… 思わず脳内で“ギシャーン”という効果音を鳴らしてしまった。 それほどこの宝物殿内部は輝いていた。 宝物殿か……マジですごいなこりゃ……!! 中井出 (さあ猫……スキャン開始!この中にきっと宝具シリーズのひとつがある筈だ!) アイルー(ニャニャッ、お任せニャー!ムムムムム……!!) 清水  「…………?」 なにやら提督が猫を抱きかかえつつうろうろしだした。 なにかの儀式だろうか。 ピキーーーン!! アイルー(あったのニャーーーッ!!あれニャ!あの錆びた棒切れニャ!!) 中井出 (おおあれか!貰ったァーーーーッ!!)  ジャッジャーガジャージャージャ・ジャーーーン♪  ピピンッ♪《中井出は錆びた棒切れを手に入れた!》 清水 「……?提督、そんな錆びついたのでいいのか?」 中井出「わたしは一向にかまわんッッ!!」 清水 「そ、そうなんか」 驚きだ。 もしかしてなにかのアンティーク? しかしああまで見事に錆び付いてボロボロだと救いようがないんじゃなかろうか。 丘野 「では拙者はこの“忍刀血桜”を頂いていくでござる」 と、思っているうちに丘野が一本の刀を手に取る。 藍田 「よっし、そんじゃあ俺はこの“エルメスの靴”を」 続いて、藍田が赤く煌くの美しい靴を。 麻衣香「わたしはこの妖精のティアラを」 綾瀬が綺麗な造型のティアラを。 殊戸瀬「わたしは……“うちでのこづち”を」 殊戸瀬が……よく解らん小さな木槌を。 夏子   「じゃあわたしはこれ。“邪神のペンダント”」 ソナナニス「うぉおおおおおお!?そ、それは!それだけはいかん!!」 夏子   「え?なんで?」 ソナナニス「それはかつて大国を滅ぼしたとされる災いの象徴!!       それを、周りに徳のあるものを置くことで封印していたのだ!!       そんな呪いのモノを手に取ったら───!!」 夏子   「そんなに大変なものなんだ……」 ソナナニス「そうだ!貴様も女なら己の将来のため、そんなものには───」 夏子   「───だが断る。この木村夏子が最も好きなことのひとつは。       男女差別を今まさにせんとする者に対し、NOと言ってやることだ」 そう言いつつ、木村がとうとう邪神のペンダントとかいうものを手に───!! ゾワァッ!! 夏子 「うくぅっ!?うわ、なにこれ……!     マナの祝福だけじゃ解呪に間に合わない……!」 中井出「オオッ!?な、なにごとだ〜〜っ、木村夏子二等〜〜っ!!」 藍田 「夏子!?離せ!離しちまえ!このままだと───」 夏子 「あ、はは……、だ、だいじょぶだいじょぶ……ストック解除」 ぺぺらぺっぺぺ〜♪ピピンッ♪《邪神のペンダントの呪いが解除され、効力が反転した!》 清水 「ウオッ!?」 田辺 「え───えぇーーーっ!!?ストックって経験値まで溜めとけるんか!?」 夏子 「説明書き読まなかった?     “能力でもなんでも装填しておけるエキストラスキル能力”って書いてあるよ?」 田辺 「なんとまあ……マジすか?」 夏子 「マジです」 そう言うと木村は、名前が“妖精のペンダント”に変わったブツを首にジャラリとかけた。 しかしなんつーかこう……フルアーマーの人がペンダントを付ける様は異常というか。 夏子  「…………えっとさ、猫さん」 アイルー『なにニャ?』 夏子  「この装備、もっと面積小さく出来ないかな。      さすがにフルアーマーでペンダントって悲しくなってきて……」 アイルー『まいどありニャ!      防御力を損なわずに面積を低くすることくらい造作もないニャ!』 夏子  「商魂だけはどんな時でも忘れないんだね……」 ……ふむ。 ともかく提督軍がアイテムを宝物を手に入れたなら、俺達も─── 清水 「えーとうーと……」 我がジョブはソードマスター。 武器は剣だが……合成させるなら別のものでも構いやしねー。 ではなにを取るかだが…… ナギー『……おお……わしはこれにするのじゃ!』 ピピンッ♪《ドリアードは激槌ピコピコハンマーを手に入れた!》 シード『じゃあ僕はこれだ』 ピピンッ♪《シードはブルボカルボバルボを手に入れた!》 ドリアードが独特の造型、独特の赤色のハンマーを。 で……シードだっけ?が、鋭い造型の傘を。 中井出「ブルボカルボバルボか。懐かしい武器だなぁ」 シード『武器……ですか。強い魔力を感じたので手に取ってみたのですが』 うむむ、魔力探知とは羨ましい能力。 俺達は自力で探さなきゃならんというのに。 清水 「よしっ!そんじゃ俺はこの細剣マスカレイドを!」 岡田 「そんじゃ俺はこれな。曲刀カムシーン!!」 田辺 「じゃ、俺はこの仕込み杖を……」 どれもこれもロマサガ3武器だった。 だがそれ故に期待が持てるのだ! ソナナニス「報酬だと思って好き勝手に取りおって……。       貴様らが取ったものは上から数えたほうが速いものばかりではないか……」 中井出  「ちなみにこの棒切れは?」 ソナナニス「……?そんな棒切れ、私が知るわけなかろう」 中井出  (……この人、案外内部事情知らんのかなぁ……) そんなわけで……眠たそうな目をコシコシと擦りながら、 なんらかの思考に耽っているらしい提督を見つつも───俺達は宝物殿を出たのだった。 ───……。 ……。 ゴコォンッ……! で、再び謁見の間をゴコォンと開けてレイナートの袂へ。 一応報告というか、これを貰いましたぞー、というのをやらなきゃいかんらしい。 もちろんソナナニスが言い出したことである。 清水   「やあやあ王様。ア〜リガトゥォオオ」 岡田   「何故ここで天然声オウム?」 清水   「いーからいーから」 中井出  「本当になんでも貰ってよかったんか?」 レイナート「ああ構わん。しかし、いいものばかりを手に取ったものだな」 ソナナニス「王!だからあれほど───!!」 レイナート「ところでソナナニスよ。       この中で一番高価なものがなにか、お前には解るか?       解るなら、まあ取り戻してもいいが」 ソナナニス「王……?そんなもの、あのペンダントに決まって……」 レイナート「クッ……クッハッハッハッハッハ!!       その答えじゃあダメだな、ソナナニス。正解はあの棒切れだ」 ソナナニス「なっ───!?あんなものがなんだと───!!」 レイナート「稀蒼刀マグナス。この国の宝だ」 ソナナニス「なぁああああっ!!?ななななにをお考えか!!       稀蒼刀マグナスといったら、まさに安置を約束された国の至宝!!       それをどこぞの旅人なんぞにポンと渡すなぞ!!」 中井出  (……性格悪いな、この大臣) 清水   (だろ?そうなんだよ。毎回困っててさー) 王様と大臣が問答を繰り広げる中、俺と提督はボソボソと言葉を躱す。 いやしかし、なんだってこうお偉いがたは、 民や兵士や謁見者を立たせたまま放置するのが隙なのか。 疲れないのが救いだよな、ほんと。 中井出「あー眠い……宿に戻って寝てていいか?」 清水 「原中っぷりを披露して奔放になるのはいいけど、多分手に入れたモン没収される」 中井出「こちとらろくに寝てなくて辛いんだが……」 ナギー『なにをいうか。ヒロミツはこれからわしと遊ぶのじゃ。     それに、わしらを置いて消えた理由もまだ聞いてないのじゃー』 中井出「実はね?僕らは妖精さんに連れられて不思議の国に旅立ってたんだ」 ナギー『そ、そうなのか!?わしも行きたかったのじゃー!』 清水 「騙されるなドリアード。眠たさのあまりに幻覚を見てるだけだ」 提督も提督で、ドリアード救出に全てをかけていたようで…… それが終わった今、気が抜けすぎて眠いらしい。 虚ろな目で王様と大臣のやり取りを眺めてる。 岡田 (うあー……遠い目してんなぁ) 田辺 (きっともうダメなんだよ) 清水 (なにが?) ともあれ疲れた中年男性のような顔をしつつ、遠くを見つめ始めた提督は置いといて。 清水   「王様ー、そろそろ解散したいんだけど」 岡田   「海産!?」 清水   「解散」 岡田   「……海産?」 田辺   「ニポンゴ、ムツカシネー」 清水   「アホゥなことはいいから解散させてください」 ソナナニス「王……!!」 レイナート「気をつけて帰れ。近いうち、気がかりなことをまた頼むかもしれん」 清水   「気がかりなこと?」 レイナート「うむ……実は」 どごしゃーーん!! 丘野 「キャーーーッ!!?」 藍田 「て、提督が眠気に耐え切れずストレートに倒れたぞーーーっ!!」 ナギー『ヒロミツ!?どうしたのじゃヒロミツーーーッ!!』 中井出「ウヘヘヘヘ……妖精さん、僕を花園へ連れてってぇええ……」 麻衣香「ヒィ!よく解らないマボロシを見てる!!」 夏子 「しっかりして提督さん!それは妖精さんじゃなくて養成ギプスよ!!」 岡田 「木村まで幻覚見てるぞオイ!!大丈夫か提督軍!!」 藍田 「大丈夫だ!俺は酔ってない!!」 田辺 「全力で大丈夫じゃなさそうだぁーーーっ!!!!」 丘野 「真っ赤なおっはっなっの〜♪ト〜ナカ〜イベ〜イ〜ベ〜♪     いつ〜もみ〜ん〜な〜の〜♪ト〜ナカ〜イベ〜イ〜ベ〜♪     でも〜その〜と〜し〜の〜♪ト〜ナカ〜イベ〜イ〜ベ〜♪     サ〜ンタ〜のお〜じ〜さんは〜♪ト〜ナカ〜イベ〜イ〜ベ〜♪」 清水 「ああっ!丘野まで!!しっかりしろ丘野!おい!!」 ズパァンゴパァン!!! 丘野 「ぶべっ!ぶべらっ!!───ハッ!?せ、拙者はなにを!?」 俺の往復ビンタが炸裂!丘野は正気に戻った!! 丘野 「……?何故か頬がジンジンする……?」 清水 「実は貴様はアラジンの仲間で、ホオジンという種族だったんだ」 丘野 「わけわかんねーよ!!」 清水 「まったくだ!!」 何故か突然標準語に戻った彼は釈然としないままに頬をさすっていた。 しかしこりゃ一刻も早く解散したほうがよさそうだ。 と、その前に。 清水   「王様、気がかりなことって?」 レイナート「うむ……ジュノーンの動きについてだ」 清水   「ジュノーン……ああ、あの不死戦士の?」 レイナート「近頃まではあまり動きが見られなかったんだが……       つい最近、移動しているのを見たという報告があるのだ」 清水   「移動って、ひとりで?」 レイナート「そうだ。何処に向かっていたのかは解らんがな」 ジュノーンか……大勢を一撃で吹き飛ばすあのソニックブレストの威力、 まだ忘れちゃおりません。 ヤツはマジで強かった。 戦う、なんてことになるなら思いっきりレベル上げておかないとな。 じゃなきゃ、あたかも強制イベントに捕まって、 レベル上げも出来ないままにボスとの戦いにハマった悲しみのセーブ人みたいだ。 ボスの目の前で、しかも帰れない状態でセーブすると地獄を見ます。 僕らはそんな人々(猛者ども)を何度となく見てきました。 ちなみに猛者とは関係ないが、閏璃もその一人である。 レイナート「のちの情報次第ではまたお前たちを呼ぶかもしれない。       それを心内に置いておいてくれ」 清水   「ウィ、ムッシュ」 レイナート「それと……そこの六名」 中井出  「さ……最高さ……?」 岡田   「提督、それ返事か?」 レイナート「良かったら我が国に入らないか?」 中井出  「だめだ」 田辺   (なんでここだけキッパリ言うんだろう……) レイナート「そうか。なに、言ってみただけだ。       気が向いたらでいい、危機に駆けつけてくれると助かる」 中井出  「気が向いたらね。というわけで眠いので失礼します」 レイナート「ああ」 テコテコテコ……ゴコォン……!! 提督軍がゾロゾロと帰っていった。 いやぁ、しかしヘンテコな集団だなぁ、我らの提督とその仲間ながら。 確かに強いんだろうけど、相手があの提督ってだけであまり強いって感じがしねぇや。 まあともかく、俺らもそろそろ出よう。 清水   「ほいじゃあ俺達も失礼」 レイナート「ああ。それではな」 こうして我らも謁見の間をあとにした。 出てみると既に提督軍の姿は見えなかったが、 城下町の宿に訪れてみれば発見できるのだろう。 でも俺達はあえてそれをせず、合成屋へと向かったのであった。 Next Menu back