───冒険の書86/魔物の聖地。その名も……───
【275:中井出博光(再)/ヒロミチュード0.1】 バコォオオンッ!!ボッゴォオオオンッ!! 中井出「うおおおおおおおっ!!!」 藍田 「どんどん来やがれイワンめ!!」 丘野 「地獄への道連れだ!!」 魔物 『ギャーーーーーッ!!!!』 西の大陸を走る。 敵を見つけりゃ喧嘩を売って、経験値へと変化させる。 おおゴッド、居るならなんとなくでいいから我らに力を齎したまえ。 などとつまらんことを考えながも草原を駆ける。 移動方式はあくまで適当だ。 地図も見ず、ただただ突き進んでおります。 体の大きさなら一定以上ペンダントから離れたからだろうか、自然に元に戻った。 俺達が駆ける少し上空にはロドリゲスに乗ったナギーとシードが居て、 俺達の状態のサポートや回復をしてくれている。 お蔭で回復に気を取られることもなく、戦いに専念できまくっている。 もちろんザコどもなら、 中井出「ジークフリード解放!!“斬鉄剣(バルムンク)
”!!」 ゾゴォッフィゾバシャアアッ!!!! 魔物×21『ゲギャーーーーーーッ!!!!』 この通り斬鉄剣で一丁上がりである。 レベルが上がれば上がるほど斬鉄剣の発動範囲も上がってくるのだからありがたい。 斬鉄剣が発動しない相手なら、普通に戦えば実戦経験にもなるし。 中井出「よっしゃあこの調子で西の大陸全制覇してやろう!!     ヒヨッ子ども!覚悟はいいかぁ!!」 総員 『荊棘を踏んだぞぉーーーーっ!!!!』 敢えて荊の道を進みましょう!これぞ荊棘への立ち入り第一歩!! 中井出「西の大陸は東の大陸に比べてそう大きくない!     とっとと制覇してやるぜ〜〜〜っ!!」 ナギー『ちょっと待つのじゃヒロミツ』 中井出「ヌ!?どうしたナギー新兵!」 ナギー『西の大陸にも“西の魔王”という者がおるのじゃ。     あやつ……フォルネリアが居る限り、“制覇”というのは難しいと思うのじゃ』 中井出「魔王!!なんと魔王が!!」 藍田 「お、おもしれぇ〜〜〜っ!!向こうが魔王ならこっちは大魔王だぜ〜〜〜っ!!」 その言葉とともに、 何故か僕をチラチラリと見てくる猛者どもから目を逸らした僕は弱虫ですか? 中井出「しかし、フォルネリアって随分女っぽい名前だな」 ナギー『当然なのじゃ。女じゃからの』 総員 『なんと!?』 藍田 「相手が女でも魔王って言うのか?」 ナギー『魔女では意味合いが違かろ。魔女王では語呂が悪い。じゃから魔王じゃ。     王であろうと女王であろうと“王”がついていることに変わりは無いのじゃ』 なるほど、確かに。 まあ、それ以前に呼び方なんて人それぞれなんだろうな。 俺なら“魔女”でもいいと思う。 でもそれって魔界の王とかっていうよりは怪しい黒魔術とかやってそうな女って感じだ。 さて、ところで魔王ってのはどうして世界征服を企むんだろうな? 俺は是非そこんところを知ってみたい。 そのためには是非とも魔王に会ってみなければ。 そんなわけだ。 相手がナーヴェルブラングみたいなヨボヨボさんじゃないことを切に願う。 中井出「よぅし!我らの手で西の魔王をブッ潰してやるのだ!!」 藍田 「オーケー!!」 丘野 「レベルも既に342!敵なんぞ怖くないでござるーーーっ!!」 斬鉄剣と集団惨殺劇場のお蔭でレベルは鰻登りで上がった。 斬鉄剣で殺せなかった敵は、すぐに背水のストックを解除して羅生門で潰したし、 モンスターハウスにも敢えて突貫し、その全てを経験値へと変えた。 その結果がこのレベルである。 やぁ、パーティーの人数で経験値が下がる、なんてことが無くて本当にありがたい。 藍田 「けど、そろそろ攻撃スキルも上げないとな。     提督の斬鉄剣とか羅生門に頼りっきりだった所為で、     レベル180あたりの頃からそうスキルが上がってない」 中井出「ああ、言われてみれば」 丘野 「じゃあ強そうなヤツを発見したら、     速度と防御重視にして攻撃しまくるでござるよ」 藍田 「決まりだな。ナギ助、シード、サポートよろしくなー」 ナギー『まかせるのじゃー!』 シード『仕方が無いからやってやる。しかし、父上?     父上たちはいったいどういう力を持っておられるのですか?     戦法はどうあれ、魔物を倒すだけで強くなる、なんて』 藍田 「グッ!?」 丘野 「ヌ……そ、それはでござるな……───     て、提督殿の力の為せる技なのでござるよ!!」 中井出「ゲェーーーッ!!?お、丘野二等貴様!     ただでさえ秘密ごとが多くてこはっち大変だってのに……!!」 シード『や、やはりそうだったのですか!いやぁ、さすが父上だ!!     あ、あの!僕とアレイシアスにもその力を齎してくださりませんか!?』 ナギー『おお!それはいいのじゃー!ヒロミツ!ほれ!わしにもその力を与えるのじゃ!     わしもヒロミツのようによぅ解らんものをいじくって強くなるのじゃー!!』 藍田 「カァアーーーーーッ!!!」 丘野 「《ボゴシャア!!》つぶつぶーーーーっ!!!」 藍田 「馬鹿……っ!この馬鹿…………っ!まっこと馬鹿………………っ!     みろっ……話がややこしくなってしまった…………っ!!     カスっ……ゴミっ……クズ…………っ!!」 丘野 「わ、悪気はなかったでござる……」 さてどうしよう。 丘野くんのトンデモ発言の所為で、物凄い危機的状況がここに完成してしまった。 なにか打開策は……ハッ!そ、そうだ!! 中井出(無茶を承知で願います!これを見ている“楽しみ好き”の同志よ!!     我がバックパックに調整の施されたナビネックレスを二つ送ってくれ〜〜〜っ!) 拝むように天を仰いだ。 するとその大空にイセリアさんのニヒルな笑顔が浮かんだ気がし、 そんな時、バックパックが少し膨らんだ気がした。 おお、と声を張り上げるのをなんとか耐え、ゴゾォとバックパックを調べてみた。 すると、 中井出  「……!!」 藍田&丘野『ざわっ……!!』 そこには確かにナビネックレスが!! 愉快な守護神は、きちんとナギーとシードのことも考えていてくれたのだ! しかしまさか“楽しみ好きの同志”に願ったら応えてくれるとは。 そりゃ、イセリアさんは俺が空界に住んでた頃に、 相当空中庭園に遊びに来てたから面識もあったけどさ。 ああ、ちなみに彼女は結構な遊び好きだった。悪い意味じゃなく、ゲームとかの話でだ。 空界のゲームでは不覚をとったが、地界のゲームで負けたことなど皆無である。  ピピンッ♪《メールが届きました》 中井出「オ?」 なんというタイミング。 イセリ子さんめ、今は僕を見ているということデスカー。 メールの差出人の名前もしっかりイセリアさんだし。  《拝啓、ヒロっちくん。   元気?ああいや元気のないヒロっちくんなんてヒロっちくんじゃない。   元気だ。キミは元気。今わたしがそう決めた。うん。   じゃ、早速本題。えーと、   そろそろ子供二人が力の在り方に疑問を持つ頃だろうと思うから、それ送る。   ちゃんとこの世界が創られた世界だって気づける要素は消してあるから大丈夫。   メール機能もtell機能もついてるけど、   まあそのへんはヒロっちくんパワーってことにしといて。   その二人なら信じるだろうから。それじゃアデュー》 アデューってあんた!! メールとかテル機能を誰が俺の力だと信じると!? シード『…………!』 ナギー『…………!!』 中井出「………」 あ、いや、信じる、かも。 邪気の無い子供な笑顔で目をらんらんと輝かせて、今か今かと待ってるし。 散歩を前に尻尾を振る犬ってのはこんな感じだろうか。 俺はというと、危険物をチラリと見るような目でナビネックレスを見下ろし、 それをおそるおそる手に取って、まあその、二人に渡した。 シード『こ、これは?』 ナギー『綺麗なのじゃー!これはぷれぜんとか!?ぷれぜんとじゃな!?ヒロミツ!!』 中井出「ええーとそのー、そ、そのネックレスに提督パワーを封入した!     それを首にかけ、まずは“アンテ”と唱えるのだ!!」 シード『は、はい!』 ナギー『首にかけるのじゃな?あー、あー、あ、“あんて”!!《ボムンッ!》     おお!なにか出たのじゃーーっ!!ヒロミツ、これはなんじゃ!?』 シード『すごい……いったいどんな仕掛けが……!?』 物凄い勢いで興奮している。 まだ何も入ってないバックパックをブンブカと振るって、 どんな反応が戻ってくるかを試している。 中井出「ま、まず落ち着……否!!大いに騒ごう!!よいかヒヨッ子ども!!     それはバックパックといって、我らが持っているこの袋と同じものだ!!     この仲にはアイテムが100個まで入るように出来ている!!」 藍田 「こないだのバージョンアップからだけどなー」 丘野 「その前までは50個だったでござるからな、結構大変だったでござる」 ナギー『おお!斯様に小さなものに百もの物体が入るのか!!』 中井出「うむ!その通り!!大きさ、重さに関係なく、100個入るように出来ている!!     邪魔な時はデムーター。そう唱えればペンダントの中に戻るようになってる」 ナギー『でむーたー!《キュボンッ!》おお、消えたのじゃ!あんて!《ボムンッ!》     おお!出たのじゃー!!面白いのじゃー!!』 まるでオモチャを持った子供だ。 実年齢がいかほどなのかは知らんが、 でもあんな場所で歌だけに興味を持っていた頃に比べると、 それはもう惜しみなく笑顔を見せるようになったといえるだろう。 いいこと、だよな? 中井出    「ヒヨッ子ども!次はステータス情報の表示方法などを教える!」 ナギー&シード『サーイェッサー!!』 中井出    「うむいい返事だ!ではまず、         ネックレスをかけることで視界の中に妙な文字が出ていると思う!         その確認をしてもらうものとする!」 シード    『あ、あります。先ほどからチラチラと気になっていたのですが』 中井出    「ではそれの一番右下にある“Status”の文字を押す」 ナギー    『お、押すのか?この文字、         視界にあるだけで、触れられるとは思えんのじゃー……』 ゆらゆらと指を動かすナギー。 どうやら上手く捕らえられないらしい。 中井出「“これを押す”って意識してやってみろ」 ナギー『む。解ったのじゃ。《ピピンッ♪》わっ!?なにか出たのじゃ!!』 シード『こちらも出ました』 中井出「よし。では次にこのナビシステム最強の能力、ステータス割り振りについてだ」 シード『最強の能力……ど、どんなものなのですか!?』 中井出「ほれ、俺達って戦ってる時によく“ストレングスマックス”とか叫んでるだろ?」 シード『あ、はい。あれはなんなのかとよく考えていましたが……』 藍田 「今に解るぜ〜〜〜っ!!」 丘野 「これで貴様らもバトルメンに仲間入りだぜ〜〜〜っ!!」 中井出「いいか?今見てるステータス画面に文字が書かれてるだろ?     数値と文字の役割を簡単に説明すると、     STRを上げれば力が上がる。単純に力が上がったりするわけだ。     VITを上げれば耐久力と防御力が上がる。     DEXを上げれば器用さが上がる。ようするに敵の急所を突きやすくなる。     AGIを上げれば身体速度が上がる。俺達がルルカより早く走れる理由がこれだ。     MNDを上げれば回復魔法や補助系の魔法の効果が高まる。     INTを上げれば攻撃魔法や弱体系の魔法の効果が高まる。     CHRを上げると魔物を仲間にしやすくなる。     まあ、遠慮無用の斬殺劇場ばっかだからか未だに仲間になる魔物なんざ居ないが」 シード『自分の身体能力を振り分けることが出来るのですか!?』 中井出「イグザクトリィイ〜〜〜〜(そのとおりでございます)」 まったくもってこのナビシステムには頭が下がる。 これがなけりゃ我ら、まだ東の大陸の何処かで細々とレベル稼ぎしてたよ? 中井出「じゃあ、意識してみろ。この力が今は必要だ、とか、     この力とこの力を合わせて行動したい、とか。     まずはAGIをマックスにしてみろ」 ナギー『む……むむむ……おお!数値が変化してゆくのじゃ!     あ……でも他の数値が0になったのじゃ。これは大丈夫なのかの』 中井出「大丈夫だ!よしナギー、その状態でそこらを全速力で走ってみるのだ!!」 ナギー『解ったのじゃー!!《グッ……》』 ゾヒュゥウンッ!!! 中井出「…………え?」 ナギーが消えた。 で、少しののちに遠くの大木がドゴーンという音とともに大きく揺れた。 そして僕らは理解するのだ。 総員 (ああ……あまりの速さに自分がついていけなかったのか……) と。 しばらくして額を押さえながら、 ぐずぐずと涙目で『いたいのじゃ〜』と言いつつ戻ってきたナギー。 しかしその痛みもすぐに回復したのか、 突然のカッパーフィールドに驚くように額をスリスリと撫でていた。 中井出「じゃ、シード。次はお前だ。AGIをマックス状態のまま、あの岩を殴ってみろ」 シード『あれを、ですか?』 中井出「割ることが出来そうか?」 シード『簡単です』 そう言うシードは自信満々といった風情のままに岩の前に立つと、 勢いを付けてゴヅゥと岩をナックル!! しかし、 シード『〜〜〜っ……うわぁあああああっ!!!い、いたっ!いたたたたっ!!!』 岩は割れず、逆にシードがその場をゴロゴロと転がり回る結果となった。 おお、見ていただけでも今のは痛い。 しかしその痛みもすぐに回復。 今度はシードが不思議な顔のままに拳を撫でていた。 中井出「じゃあ次はSTRをマックスにして殴ってみろ」 シード『は、はぁ……では』 先ほどの痛みを気にしてか、今度は痛みがそう響かないよう、勢いを落としての拳。 しかしそれだけで、岩はゴバシャォゥン!!という音とともに砕け散った。 シード『え……あ、え……?』 中井出「これぞ世に言う“STRマックスナックル”だ」 シード『……すごい。全然力を込めなかったのに』 藍田 「ステータス割り振りは慣れるまで大変なんだよなー。     戦いの最中なんて、微量のステータス割り振りが必要になるし」 ナギー『おおー、すごいのじゃー!』 丘野 「おお!すごいでござるー!!」 藍田 「……?どしたー?丘野ー」 丘野 「ナギー殿がSTR少々とDEX大量にステータス割り振りをして、     岩を突ついたのでござるがね!?クリティカルが発生したのでござるよ!     そしたらホラ!爆砕点穴の完成でござる!」 見れば、ナギーがきゃいきゃいと笑いながら岩を指で突き、破壊していっていた。 そこらへんでやめておきなさい、自然の精霊。 藍田 「らんま1/2か」 丘野 「拙者、乱馬が良牙の妹に扮した回がわりと好きだったでござる」 藍田 「そかそか。しっかし恐ろしいステータスだな。     高位精霊と魔王の子ってだけであの破壊力だぞ?     普通、そういう存在が仲間になると滅法弱くなってるもんだが……」 丘野 「この世界が我らの知識を素にゆっくりと構築されているのなら、     そんな常識はどんどん決壊してゆくだけでござるな。     なにせ参加者の約半数が原中でござる」 藍田 「だよなぁ」 中井出「よし!ステータス割り振りだけ解ればオーケーだヒヨッ子ども!!」 ナギー『待つのじゃヒロミツ!』 中井出「バカモーーン!!訓練の最中は提督と呼べヒヨッ子が!!」 ナギー『さ、サーイェッサー!!』 中井出「あ、やっぱ普通でいいや」 ナギー『どっちなのじゃ!!……まあよいわ。     ヒロミツ、“すとっく”とかの説明がまだなのじゃ』 中井出「む。それはだな」 困った。 あれは精霊の宝玉が無いとどうにも出来ない。 けど待て?こいつらって一応精霊と魔王だし、 そういう機能が元々ついてる可能性だってあるよな。 中井出「ナギー、シード、ステータスの項目の隣に“Extra”って項目はあるか?」 シード『あります』 ナギー『あるのじゃ』 藍田 「ひでぇ!!」 ナギー『む?なんなのじゃ藍田、急に』 藍田 「あ、い、いや……」 丘野 (気持ちは解るでござるよ、藍田殿……) 中井出(俺達、頑張って宝玉手に入れたんだもんなぁ……) それなのに最初から持ってるなんて、ヒドイ設定だ。 でもまた取りにいくのも面倒といえば面倒だし。 それはそれで経験値稼ぎにはもってこいって気もするけど、 今はまずナギーとシードにエキストラスキルの使用方法を教えるところから始めよう。 ───……。 ……。 と、いうわけで。 俺達は山を越え谷を越え、出会うモンスター全てをコロがしながら進み続けた。 そして辿り着いた場所がこの、自然に囲まれた広い場所だ。 地図を見てないから名前は解らないが。 中井出「ナギー、ここが何処か知ってるか?」 ナギー『もちろんなのじゃ。     ここがかの有名なマナの大樹がある場所、“聖地ボ・タ”なのじゃー!』 総員 『フランソワ!?』 一瞬にして聖なる雰囲気が僕らの周りからだけ吹き飛んでしまった気分だった。 中井出「ボタか……」 藍田 「いくら聖地っていっても……」 丘野 「ボタじゃあなぁ……」 フランソワ・ボタ。少なくとも神聖味は無い、ボクシング元IBFヘビー級王者である。 何故聖地に彼の名が使われたのかは、 FF11やってる人ならなんとなく予想がつくんだろう。 ナギーたちのステータス割り振りの慣れのためや、 エキストラスキルのポイントを得るためにやはり敵ととことん戦いまくっている我らだが。 気づけばこんな場所に来ていたわけで。 もちろんだが、ボタは居ない。 中井出「しっかし、聖地って割には……」 藍田 「“頬”(ジュー)」 バゴシャオォンッ!! ブルコング『ブゲェエゥウッ!!』 藍田   「“口”(マントン)」 グシャアッ!! ブルワーム『モルグゥウウ!!』 藍田   「どんな食材も捌いてみせます。“胸肉”(ポワトリーヌ)“腹肉”(フランシェ)“腰肉”(ロンジェ)」 バゴシャドゴシャバガァンッ!!! ブルガルーダ 『ゲェエッ!!』 ブルグリズリー『グゲェッ!!』 ブルボーグル 『ゲァアッ!!』 藍田     「至高の技が織り成す上質の味わいを、ご堪能くださいよ、……っと」 聖地に群がる巨大モンスターどもを蹴りの一撃一撃で一箇所に集めるのは藍田。 そのあまりに強打に、敵は動けなくなってるんだからたまらない。 藍田 「“羊肉(ムートン)───……ショット”」 ギャリィッ!! やがて、一番前で動きを止めたボーグルに向けて、 助走無しの回転の力だけで一気にトドメをバゴシャォオンッ!!! 魔物の群れ『グギャァアアアアアアアッ!!!!!』 ドゴドゴドゴドゴバゴドゴゴバゴシャドッガァアアアアアアンッ!!!!! 藍田 「───おそまつさまでした、っとォ」 中井出「……聖地な割りに、随分敵が多いな」 蹴られた先頭のボーグルが弾丸となり、 後ろに固められていたモンスターどもをボーリングのピンのように吹き飛ばしていった。 もちろん吹き飛ぶ過程で鬱葱と生い茂った木々に衝突したりしたため、 少しした頃には全てが塵と化していた。 問題は吹き飛んだモンスターの勢いに任せてブッ倒れた木々だな。 藍田二等の強さは既に鬼神レベルだ。 藍田 「提督提督ーーーっ!!     ここってばデケェモンスターばっかだから暴れ甲斐がありますぞぉーーーっ!!     ふはははは!!せーばいせーばい!!」 丘野 「思い切り暴れるでござるぅうううっ!!!!」 次々と現れるモンスター軍団に変わらず攻撃を加える藍田と、 その横で100体分身をして斬殺劇場を繰り広げる丘野くん。 ナギー『魔物が多いのは当然なのじゃ。ここは魔物の聖地なのじゃからの』 中井出「魔物の?」 ナギー『死した魔物の魂はこの地に運ばれ、     マナの力を以って新たな生命へと転生すると云われておるのじゃ。     じゃからここには全ての場所の魔物が出現するのじゃ。     何処かでスライムが死ねばスライムがここで産まれる。     この大陸に魔物が多いのはその所為じゃな』 中井出「なるほどな。じゃあなんだ?ここでは敵と戦い放題?」 ナギー『ふむ。そうなるのじゃ。ただし気をつけるのじゃぞ?     獣人は転生しないが、     それ以外の種族ならばアンデッド以外はなんでも転生するのじゃ。     その突然変異が、時折現れる巨大なモンスターなのじゃ』 中井出「……ノートリアスモンスターか」 ナギー『のーとり?よく解らんが、わしが言っているのは“ミル”のことなのじゃ。     さらにその“ミル”の魂同士が同時に転生することで転生する魔物が、     いわゆるリザードレイジスなどの強力な色違いモンスターなのじゃ』 中井出「あ、そっちがノートリアスモンスターか」 ややこしいが、なるほどね。 しかしそうなると、空界とはやっぱり勝手が違ってくるわけか。 うーむ、奥深きはゲーム世界か。 藍田 「どんどんいくぜ!九頭竜闘気!“雷華崩拳(らいかほうけん)”!!」 丘野 「拙者もいくでござる!残像剣!!」 シード『僕だって負けていないぞ!“風塵息吹”(ゴッドブレス)!!』 ドゴォオオオンッ!!!バッゴォオオオオンッ!!! モンスターども『ギャーーーーッ!!!』 中井出    「あー……」 みんな暴れまくってる。 しかもみんな強ぇ強ぇ。 藍田なんて九頭竜闘気使って、ネギ先生の真似までしてるし。 え?ああハイ、サービスカットが多すぎなのは見てて眉間にシワを寄せるところだが。 “魔法先生ネギま”という漫画自体は大好きですよ? 藍田 「この際だし篭手にも熱を溜め込んで〜〜……!!よっしゃ!     オォオオオオオッ!!!爆裂究極拳!!」 さて、そろそろ僕の目の前の景色がなんでもアリ劇場になってまいりました。 天国かどっかに居るマイ・ダディ、こんな時僕はどうするべきなのでせうか。 丘野    「おおお!新たな我流奥義でござるな!?では拙者も!        丘野流忍術奥義!!百身瞬速サイクロン!!」 藍田    「おお!!百人の丘野が円の列を成して高速回転を!!!」 丘野×100『フフフフフ!!AGIをマックスにしてのこの素早い動き!        そして空気抵抗からなる巨大な竜巻に飲まれるがよいでござる!!』 丘野が走る!走る!走る! するとその場に巨大な竜巻が!! モンスターども『ギャァアアアアアッ!!!!』 藍田     「こ、こりゃすげぇ〜〜〜っ!!敵がどんどん竜巻に飲まれて……あれ?」 丘野×100 『ギャアーーーーーッ!!!』 中井出&藍田 『ゲェエーーーッ!!回ってた丘野まで飛ばされたぁーーーーっ!!!』 ヒョ〜〜〜……ドゴドサベキゴキドグシャア!!! 目の前でスプラッタ劇場が開催された。 藍田 「うおっ……!次々と丘野が降ってくる……っ!!     しかも風の所為で目ェ回してるからまともに受身もとれてねぇ!」 中井出「イヤァアアアアアアアアア!!脳漿ブチ撒けまくってる!!     怖ッ!!せめてクリスマスに降る雪くらいに風情出そうよ!!     こんな紅蓮な雨が降る聖地なんて冗談じゃねぇーーーっ!!」 藍田 「ま、まさに聖地ボ・タ!!元チャンプの名の下に血の雨が降ってるぜ!!」 中井出「そういう問題じゃねぇーーーーっ!!!」 ボムッ、スタッ!! 丘野 「大丈夫!拙者なら平気でござるぜ!?」 藍田 「平気って……潰れた分身を踏みつけて着地しただけじゃないか」 丘野 「“拙者なら”平気でござるぜ!?」 藍田 「………」 自分が平気であることは最初から表現していたらしい。 シード『しかし、本当にキリがない。いったいどれだけ居るんだ』 中井出「構わーーーん!!片っ端から経験値にしてしまえーーーっ!!     オォーーーーーラ!フルスイングゥウウウウッ!!!!」 ゴォオッ!!ゾガァッッバシャアアアッ!!!! ブルミノタウロス『グモォオオオオッ!!!』 見よこの比類無きパゥワー!! 双剣から繰り出される一撃一撃はまさに夢見る僕らの殺戮パワー!! ビタミンパワーのエネルギー!! 中井出「オッ……よっしゃ藍田二等!ミノタウロスの斧が出た!」 藍田 「待ってましたぁーーーーっ!!!……って言っても、猫は東の大陸だが」 丘野 「しょうがないでござるよ。     まずは拙者たちが様子を見てくる、と言って来てしまったのでござるから」 そう。 この西の大陸は未知なことが多すぎるため、 戦に巻き込まれて死なれると困るという理由で猫達には東の大陸に残ってもらったのだ。 その点、俺達なら何度死んでも大丈夫だし。 そんなわけで突撃部隊としてこの大陸に来てみれば、 案外見慣れない敵との遭遇に結構ドキドキです。 それでもなんとか戦えているのは仲間のお蔭なのでしょう。 なんだか僕は、こいつらが居てくれさえするならなんだって出来そうな気さえするのです。 藍田 「ほぎゃああああああーーーーーーーっ!!!!     て、ててて提督ーーーーっ!!なにやらバカデケェ竜が出たぁーーーーっ!!!」 中井出「バカモーーン!竜ってのは元々デケェもんででけぇえええっ!!!」 で、でかっ!デカすぎだろオイ!! 全長何メートル!?い、いやいや馬鹿正直に正式な答えなんて求めてる場合じゃねぇ!! とにかくデケェ!何者!?ヌシ!? ナギー『こやつは……常霧の山、ガジェロマウンテンのミストドラゴンじゃ』 中井出「ミストドラゴン!?って……あのFF4でかなり弱かった幻獣!?     あ、あの、こんなにデカくなかったと僕のブレインは記憶しておりますが!?」 ナギー『?……何と比べて言っておるのかは知らんがの。     驚くのも無理は無いのじゃ。     こやつがここに居るということは、誰ぞかに殺されたということじゃからの』 中井出「そうじゃなくて!こいつがどうしてこんなにデカいのかをまず説明しようよ!」 ナギー『む?それはの……わしにも解らんのじゃ。     ミストドラゴンを見るのはわしも初めてじゃからの』 中井出「……知識だけ?」 ナギー『当たり前なのじゃ。誰があの関所からわしを出したと思っているのじゃ』 あ、そか。 そういやナギーって関所からろくに出たことなかったんだっけ。 知識だけなのも当然か。  バゴォンドゴガゴドチュンドゴォオオン!!!! 藍田 「うおおおお強ぇええ!!!て、提督!提督ーーーっ!!至急救援をーーっ!!!」 丘野 「こやつ滅茶苦茶強いでござ《ゴッパァン!!》ギャアーーーーッ!!!」 藍田 「ヒィ!お、丘野ォーーーーッ!!!」 跳躍してた丘野くんが巨大な尾撃で地面に叩きつけられた! ウググー!見るからに痛そうだ〜〜〜っ!! 中井出「きょ、今日の丘野は大地に縁があるようだぜ〜〜〜っ!!」 藍田 「いや提督!今はふざけてる場合じゃねぇんだって!!」 ミスト『ルガァアゥウウッ!!!!』 キィンッ!!ゴバシャアアアアアアアッ!!!! 藍田 「どわぁっとぉっ!!」 吐き出された輝く息を見事に躱してみせる藍田。 だが直撃を受けた小さな木が一瞬にして凍てつくのを、俺達は見逃さなかった。 シード『大したブレスだ……。くらったら一溜まりもない』 一言。 こいつ倒したヤツ、バケモンだね。 中井出「よ、よーーーし!!全力を以って戦うぞぉおおっ!!死力を振り絞れぇええ!!」 総員 『サーイェッサー!!』 こうなりゃ持久戦だ。 俺達はロドの体に$袋を全て巻きつけると、空に飛んでもらった。 これでよし!死ぬことなどもう怖くない!! 総員 『鬼ィエエエエエエエィイッ!!!』 バカデケェ竜へと疾駆! くそう、何度見上げても今すぐ逃げ出してぇ大きさだぜ〜〜〜っ!! だが諦めない!!それが人間の最大の武器なんだよ!! 中井出「武器はしっかり二刀流!!」 藍田 「“悪魔風脚”(ディアブルジャンブ)!!」 丘野 「ストック解除!生分身&分身!!」 ナギー『回復と補助と遠距離攻撃はわしとシードに任せるのじゃ!それでよいな!?』 シード『お前が言わなければ僕が言うつもりだったんだ!解ってる!』 さあ!張り切って参りましょう! 我らの夢と希望よウェルカム!! 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