───冒険の書90/ルナっち改造計画───
【ケース280:弦月彰利/愛】 そうしてパーティーは終わりを……実は告げてなかったりする。 吹き飛んでスプラッタになった中井出が港町の教会で復活するのはとても早かったが、 それがまあ原因というか、 皆様が中井出の健闘を称えてワッショイしたのちに海に放り投げ、 電流を流し始めたのである。 海水ってのは電気を通しやすいらしく、 中井出はそれはもうあっという間に沈んでいきました。 もちろんシャークに食されて教会から飛び出てきた中井出によって、 猛者どもも血祭りに上げられたんだけど。 柿崎 「はぁ……こりゃ本当に一生忘れられない思い出になりそうだ……」 凍弥 「よかったな……最高の思い出だ」 柿崎 「ここまで血みどろな結婚式なんて無いって言ってるんだよ!!     この数時間に何人死んだよ!」 彰利 「数えるのもめんどくさいほどだぁね」 はてさてともあれいやはやどうあれ、僕らの祭りはそう簡単には終わらないらしい。 今は悠介と藍田くんがK−1形式でのバトルを開始して、 僕らはそれを囲んでリング代わりになってるわけだ。 しかしこうなると藍田はとんでもなく強く、 そりゃもうおっそろしいほどに蹴り技の嵐を放ってバゴォンッ!!! 悠介 「ゲフォーーーーリ!!?」 ドゴゴゴゴシャーーーーッ!!! 猛者 『ギャアーーーーーッ!!!』 蹴り飛ばされた悠介が、後方に居た猛者どもを巻き込んで吹っ飛んだ。 変わらず避けの戦いをしている悠介だが、どうにも藍田のレベルが高すぎるのです。 拳に蹴りが混ざっただけでおっそろしく強いです。 さすが藍田。 むしろ悠介がゲフォーリ言って吹き飛んだことがかなりレアな気がした。 いや……違うか。 今の悠介、物凄く自然体って感じだ。 素直に笑ってるし、感情のままにはしゃぎまわってる。 悠介 「や、やるじゃねぇか〜〜〜っ!!」 藍田 「ジョワジョワジョワ〜〜〜ッ、レベルの高さなら負けねぇぜ〜〜〜っ!!」 悠介 「だったら俺は経験で勝負だぜ〜〜〜っ!!」 今僕らはきっと珍しい景色を見ているんでしょうね。 悠介がノリノリでキン肉マンの真似してる。 藍田 「“首肉”(コリエ)
!」 悠介 「足払い!」 ガッ!パァンッ!! おお!首への蹴りを左腕で上に弾くようにガード! 次に一本足立ちになってる藍田に足払いを決める! 藍田 「そう来ると思ってたわ!変則“粗砕”(コンカッセ)!」 悠介 「じゃあ横に避ける」 藍田 「あれぇっ!?」 ブンッ!ガツゥッ!! 回転踵落とし、あっさりと躱される。 さらに踵落としが地面に突き刺さった藍田くんの隙を逃す手はないとばかりの悠介の反撃。 悠介 「シャーリーテンプル!!」 藍田 「《ドス!》バッキィーーーッ!!ぶっは……!“腿肉”(キュイソー)!!」 悠介 「《バゴォンッ!》いっ……!!“排撃”(リジェクト)!!」 ゴバァッシャォオオンッ!!! 藍田 「〜〜〜っ!!“悪魔風脚”(ディアブルジャンブ)“整形(バラージュ)ショット”!!」 悠介 「んなっ───!?」 ヒュゴジュバババババババァアンッ!!!! 悠介 「くあぁあああああっ!!!?」 藍田の赫足が悠介の体を焼き蹴ってゆく! 眼にも留まらぬ足技とはまさにこのこと! さすが足技の将!攻撃に足が加わっただけで物凄く攻撃が冴え渡っている!! 悠介 「〜〜……ガードした箇所が焦げやがる……!」 藍田 「我が攻撃は全てにダメージがある!ガードなど無駄無駄無駄ァーーーッ!!!」 悠介 「だったらこっちも体術武具だ!イメージ、凌駕にて解放!“閃光具”(ヴィオダルフ)!!」 藍田 「ヌウ!ベオウルフとヴィーダルか!相手にとって不足なし!     だぁーーーららららららららぁああああああっ!!!!」 悠介 「そぉおおおらぁあああああああっ!!!!!」 バパパンッ!!パンパンパァンッ!! ガカカカドパパゴガオゴガガゴォッ!!! 藍田 「おわっ!?とわっ!?こ、攻撃が速ェエーーーーーーッ!!!」 悠介 「当たり前だ!こっちの武器は閃光拳だ!攻撃の速さならそうそう負けはせん!」 藍田 「な、なんの!AGI重視閃速シュート!!」 悠介 「ぬおっ!?だったらこっちもAGI重視閃速拳!!」 ジガァアアアアアパパパパパパパァアアアアアンッ!!!!! 彰利 「ギャアうるせぇーーーーっ!!!キミらもちっと静かに攻撃なさい!!」 悠介 「黙れクズが!!」 藍田 「死ね!!」 彰利 「なんと!?て、てめぇら〜〜っ、この俺を愚弄しやがる気かぁ〜〜〜っ!!     格闘スタイルなのはなにもてめぇらだけじゃねぇ〜〜〜〜っ!!」 藍田 「おーーっ!?なんだテメやンのかコラ!!」 悠介 「やるんだったら今すぐ篭手と具足用意しろテメコラこの野郎!!」 彰利 「なんで二人ともそんなに殺気だってんの!?」 藍田 「黙れクズが!!」 悠介 「死ね!!」 彰利 「意見しただけでしょうが!コンニャロいい度胸だ!!     黒の篭手と黒の具足よ現れませい!!」 強く念じると、ゾリュンと黒が固まって篭手と具足に変異する! さーあどっからでもかかってきやがれコノヤロー!! 篭手と篭手をズガァと打ち鳴らして準備完了!! 彰利 「さあ来いィ!戦士の力と俺の血が燃え盛る!グルガァッ!タァックル!」 藍田 「ハァーーーイハイハイハイハイ!!!鳳凰ッ烈爪ォーーーー脚!!」 ズババシャゾシュドシュズババシャシャアッ!!! 彰利 「ギャアーーーーーーーッ!!!!」 突っ込んでいった途端にズタボロでした。 脚から鎌鼬のような衝撃波を放ちまくられ、近寄ることも出来ずにボロボロです。 彰利 「こ、こんの!オーダー発動!八翼螺旋拳!!」 生やした八翼から力を吸収し、 肩から拳に凝縮させる過程で螺旋を描くように威力を込める! 藍田 「おおっ!?《バゴシャォオオンッ!!》ごっ……!っふぇぇえええっ!!!」 拳から放たれた螺旋の衝撃が藍田くんを吹き飛ばす!! さらにその時生じた闇の光に珍しく視界を奪われた悠介くんにも螺旋ナックルを進呈!! 悠介 「《バゴシャォオオンッ!!!》げっ……はっ───!?」 なんとステキにクリーンヒット!!OHマーヴェエラス!! 吹き飛ぶ悠介はそのまま海へと落下! 悠介に賭けていたらしい猛者たちに電撃地獄を味わわされ、 敢え無くシャークさんの餌食となった。 一方藍田は───思いっきり素っ飛んでいったがしかし、 民家の壁に脚をダンッとつけると、 ズガァアンッッ!!と壁を蹴って物凄い速さで飛翔するように飛んで来た!! 藍田 「疾風の如く&“悪魔風脚”(ディアブルジャンブ)!     “九頭竜闘気画竜点睛(フランバージュ)羊肉(ムートン)ショットォーーーーッ”!!!!」 彰利 『ヌウ!!闇黒圧縮!!ガードポイント───鉄塊!!』 バゴシャォオンッ!!!! 彰利 『ゲブルファァアアーーーーーーーーッ!!!!』 悪夢です!この人バケモンです! こっちの全力ガードポイントがいとも簡単に破壊されましたゴッド! しかも今俺がやったばっかの螺旋攻撃をそのまま返されたように、 俺の体は高速回転しながら吹き飛んでゆく!! いやぁ凄い回転です!思わず眼が……眼が回る!!コレキツイ!! 中井出「い、いかん!このままでは今日の主役方が巻き添えを食う!!     オペラツィォン:ベルリーノ!!」 総員 『サーイェッサー!!』 永田 「ベルリーノNo.1セットイン!!」 蒲田 「ベルリーノNo.2セットイン!!」 岡田 「セットイン!」 下田 「セットイン!」 島田 「セットイン!」 田辺 「セットイン!」 中井出「うむよし!田圃ファミリーが一列に並ぶことで     どんなものでも受け止める壁を作る原中式合体技、ベルリーノ!!     これで吹き飛ぶ彰利一等兵くらい受け止められる!!」 永田 「どんとこ《ドゴメキャキャアア!!》ギョアーーーッ!!!」 蒲田 「ヒィッ!!喋り途中の永田が潰れた!!」 田辺 「永田!?永田ァーーーッ!!!」 蒲田 「が、頑張れ永田!お前は屍になっても俺の盾になってくれている!!     お前は勇者だよ!勇者!勇……イヤァア光になって消えないでぇえええ!!!     《ゴキキキャキャア!!》ウジュルヴァーーーッ!!」 岡田 「ヒイイ!!蒲田が潰れたぁああーーーっ!!た、助けてぇえええ!!」 下田 「て、提督ーーっ!!このままでは総員死んでしまいます!!退避命令を!!」 中井出「だめだ」 田圃 『ゲェエエエーーーーーーーーッ!!!!!』 田辺 「て、てめぇ!まだシャークに食べられたこと恨んでやがるのか〜〜〜っ!!」 下田 「提督てめぇ!このクズが!!」 中井出「大丈夫だ!貴様らならきっと止められる!!STRマックスで頑張るんだ!」 岡田 「そ、そうだ〜〜〜っ!俺にはそれがあった〜〜〜っ!!     STRマックス!回転停止握撃〜〜〜〜っ!!     《ゾゴシャシャシャシャシャ!!》ギャアーーーーッ!!!」 田辺 「キャーーーッ!?」 下田 「STRをマックスにした途端、岡田が一瞬にして潰れたぁーーーーっ!!     し、しまった!STRをマックスにすればもちろんVITも0になる!     そんな状態で耐えられるわけがギャアーーーーッ!!」 島田 「し、下ギャアーーーーーッ!!!」 田辺 「ヒ、ヒイ!死にたくギャアーーーーーッ!!!!」 彰利 「イヤァアアアア!!回転する自分の背中が     人々を捻り殺す感触がジワジワ伝わってくるーーーっ!!!」 ……こののち。 とうとう田圃ファミリーを磨り潰して教会送りにした僕はそのまま飛翔し、 なおも回転しながらも真っ直ぐ教会へと突っ込んで、 復活したばかりの皆様を再び磨り潰した。 おまけに神父まで巻き込んじまう始末で、 僕らは久しぶりに“なめたらかんでぇ!”と叫ぶ神父にボッコボコにされたのでした。 ───……。 ……。 彰利 「ちくしょ〜〜……」 文字通りボッコボコだ。 くそ、あの神父未だに滅茶苦茶強ぇえよ。 結構本気で戦ったのに思い切り返り討ちにされちまったい。 おお顔痛い。 彰利 「しっかし……いつまでこの祭りごと続けるんかね」 悠介 「俺に訊かれても知らん」 そりゃそうか。 しかしさ、既にとっぷりと夜。 そんな中でも猛者どもは花火とか打ち上げて遊んでいるわけで。 中井出「マイアジトが思い返されるなぁ……」 田辺 「FF11やっとらんと解る人は少ないと思うぞ、それ」 中井出「いやぁ、でもこうやってると調合スキルも悪くないなぁとか思うよな」 清水 「よっ、ネズミ花火〜〜っ!」 シュルルルルルル……パンッ! 丘野 「なんの!こっちは睦月特製のヘビ花火でござる!」 コシュッ、とヘビ花火に火をつける丘野くん。 しっかし花火ね、随分と懐かしい─── ゴプシュッ!ズリュッ!ズゴボボボボボボボ!!! 彰利 「フオッ!?」 異常!火をつけたヘビ花火が、どんどんと巨大化してゆくではないか!! つーかあれは本当にヘビ花火なのか!? 丘野 「ヘッ……ヘビッ……ほぎゃあああああああああっ!!!!」 総員 『だ、だだだ大蛇だぁあーーーーーっ!!!』 モリモリモリモリ!! 永田 「ギャアーーーーーーッ!!!」 田辺 「ああっ!永田が大蛇に巻きつかれた!!」 下田 「永田!?永田ァーーーーッ!!!」 永田 「どういう状況なんだこりゃーーーっ!!どうすりゃいいんだこの花火!!」 丘野 「さ、酒を飲ませると酔いつぶれて寝てしまうらしいでござるよ!?」 永田 「まっ……まだこれがヘビだと言い張る気かぁーーーっ!!!」 ビタァーーーン!!ゴシャーーーーン!! 永田 「ゲファーーーリ!!ゴファーーーリ!!」 岡田 「ああっ!岡田が地面に叩きつけられまくってる!!」 田辺 「永田!?永田ァーーーーーッ!!!」 永田 「おわがぁあ〜〜〜〜……」 岡田 「な、永田が水面に浮かんだ万太郎のように!」 田辺 「永田!俺達はどうしたらいい!?」 永田 「や……やれ〜〜〜、俺に構わず〜〜〜っ……」 総員 『よし解った!!』 永田 「ま、満場一致だぁーーーーーーっ!!!イ、イヤァ!イヤァアアアアアッ!!!」 シュゴバシャドアシャア!!! 永田 「ウギョロギャアーーーーーーーッ!!!!」 ───その日。 とある港町の夜空に極大の爆発が巻き起こり、一つの流れ星が流れた。 みんな一切の遠慮なしに力放出したからね、 それこそヘビ花火ごと永田はケシズミになりました。 その後、しっかりと復活してたけど。 【ケース281:晦悠介/この夜にステキなキミとカレーうどんとかを食う】 騒々しい騒ぎが終わりを告げたのは夜も夜、 いわゆる夜中と言われる時刻に差し掛かった頃だった。 猛者どもや友の里の人々、そして猫の店のやつらは揃って解散し、 今この場には俺とルナと彰利だけが残されている。 弦月ファミリーは宿でご就寝中だ、彰利が逃走しない限り起きやしないだろう。 彰利 「いンやあ、騒いだねィェ〜」 悠介 「だな。たまにはこんなのもいいもんだ」 ルナ 「ゆーすけ、珍しく率先して騒いでたからね」 彰利 「ほんにほんに。オイラも珍しいと思ったさ」 悠介 「そか?まあいいだろ、たまには。それよりどうだ?たまには……な?」 彰利 「オッ?酒かね」 ルナ 「うーわー、これまた珍しいね。晩酌なんて滅多に付き合わせてくれないのに」 悠介 「お前、酒が回ると妙に絡むからな。でも今日は別だ。     せっかくこうして始まりの俺達がここに居るんだ、それこそたまにはいいだろ」 彰利 「始まりの俺達ね。なるほど、妙に的を射てるんだかどうなんだか。     こういうのを言い得て妙っていうんかね」 悠介 「肴……まあツマミか。は、なにがいい?」 彰利 「オイラはサラミかね」 ルナ 「大根おろし醤油」 彰利 「………」 ルナの一言に、彰利が動きを停止させた。 その間、たっぷり12秒。やがて時は動き出す。 彰利 「………悠介がルナっちと酒飲もうとしない理由、なんとなく解ったかも」 悠介 「な?こいつと酒飲むのイヤになるだろ?」 ルナ 「ぶーぶー、差別反対ー!     どうせホモっちだってホントはレタスとか言いたかったに違いないのよぅー!」 彰利 「や……さすがに酒とレタスはないっしょ……あ、でも美味ェかも。頼む」 ルナ 「ね?ね?」 悠介 「はーいはいはい、攻撃できる場所を見つけたからって     しつこく喰らいつくガキみたいに興奮すんなたわけ」 ルナ 「だって」 悠介 「ほら、大根おろし醤油」 ルナ 「…………えへー♪」 それでいいらしい。 創造した大根おろし醤油が消えないうちにザガガガと一気に食うその顔は、 至福なのか気持ち悪いのか微妙な顔だった。 そらな、大根おろし醤油なんて流し込むように食うものじゃないだろ。 彰利 「創造してしばらくすると消えるのは変わっとらんのか」 悠介 「いや、どうとでも出来るんだがノートがそうしとけって言うから」 彰利 「なに。じゃあキミマジでゲームシステム超越しっちゃったん?って……」 悠介 「まあ、そういうことだ。それが俺に贈られた課題だったんだ。     どんな時でも枷を作らずに立ち回れること。     上手く越えることが出来たからこうして酒盛りも出来るんだが」 彰利 「ほへー。んじゃあ俺も頑張れば魔人冥黒結界出来るかね」 悠介 「あれは冥界をそのまま引っ張ってこなきゃならんだろ。     この世界にそんなもん引きずり込んだら破裂するぞ?」 彰利 「うおうごもっとも」 ルナ 「むー。ねーゆーすけ。わたしもそういうの出来ないかな」 悠介 「お前も?んー……」 ちと思考にふけってみる。 ルナに世界行使。 ルナ、ルナねぇ。 “至高なる大根おろし醤油の世界”(デッドリィDAIKONワールド)? 固有結界を張ってそこに大根おろし醤油を満たし、対象を溺れさせる妙技。 悠介 「ヴ」 ルナ 「悠介?」 悠介 「い、いや、なんでもない」 想像してみたら気持ち悪くなった。 こういうところで創造者のイヤな部分がハッキリと解る。 つまり想像力が鮮明すぎるのだ。 味だの臭いだのまでイメージしてりゃ世話がない。 彰利 「そういやさ、悠介って考え事とかする時って     大体『んー』とか『あー』とか言うねィェ?」 悠介 「ん……そうか?」 ルナ 「ゆーすけ、早速言ってる」 悠介 「む」 言われて初めて気が付いた。無意識だなこりゃ。 自分ではそう気になってなかったんだろう。 癖なんてそんなもんだろうけど。 ルナ 「で、どうかな」 彰利 「ルナっちの世界ねぇ。やっぱ月の世界とか?     ……お?お?な、なに?なんでオイラの肩に手ェ置いて項垂れてんの?」 悠介 「いや……ちと自分の想像力に呆れ果ててるだけだから……」 そうだよな、ルナって名前からして普通はそっちを思い浮かべるよなぁ。 なーに考えてんだか俺は。 彰利 「……?ははぁ〜〜ん?まさかおめぇ〜《ボグシャア!》ヂゴーール!!     な、なななにすんのーーー!!まだ何も言ってねぇわよアタイ!!」 悠介 「お前がそういう言い回しすると妙に的を射てるくせにねちっこいんだよ!!」 彰利 「すげぇだろ」 悠介 「そこで胸張ってどうするよ……」 彰利 「まあまあ。で、ルナっちの世界ね、世界。     しかしまあなんてーの?“成恵の世界”を思い浮かべるよりも難しいザーンスよ?     結局成恵さんの世界ってどんなんだったの?ザ・ワールド?」 悠介 「ああ、随分前にお前が持ってた単行本な。     あれはただ単にあのヒロインが見ていた世界に主人公も入り込んだって、     そういう意味だろ」 彰利 「とすると主人公は丸尾くんでもよかったと?」 悠介 「となると愛称は“マルちゃんか”?」 彰利 「ブフゥッ!?くっ……ぷっ……!そ、それイイかも……!」 悠介 「お前、マルちゃんって聞いて真っ先に“火山高”思い出したろ」 彰利 「ゲッ!?何故それを!?エスパー!?」 解らいでか。 いや、むしろ俺も思い出していたからこその発言だったんだが。 ルナ 「相変わらず悠介とホモっちって話してると話が逸れまくっていくね」 彰利 「オウヨ。なにせアタイら原中だから。話題になるものはなんだって使いますよ?     むしろ会話とはそういうものだと認識しておりますえ。     しかし幼少の頃があんな生き方だったため、     本当にこういう会話の仕方でいいのかは謎の極みではあるわけで」 悠介 「会話ってのはお互いが楽しめたり納得できたりすればそれでいいんじゃないか?」 彰利 「そう!まさにその通りだ!     そげなわけでわざわざそげなツッコミ入れたルナっちに罰ゲーム!!」 悠介 「話を捻じ曲げるな。それこそ話が進まないだろ」 彰利 「グムー」 ルナ 「ホントホモっちってよくよく話捻じ曲げるね」 彰利 「それがアタイのEところーーーっ!!」 話題に困らないって点ではいいんだろうけどさ。 もうちょっと纏まった考え方は……無理だな、だって彰利だ。 彰利 「あら?ツッコミ無しですか?クォックォックォッ、     さてはキミらもアタイのEところに気づ《ゾス》オギャーーリ!!     な、なにをいたしますのルナはん!!     話中の御仁の脇腹に貫手なんて紳士とは思えない行為ですことよ!?」 ルナ 「紳士じゃないから大丈夫」 彰利 「そういう問題じゃねィェーーーッ!!でもいいや、話しよ話」 そう思うならもう少し静かにしてもらいたいんだが。 そう言おうと思ったが、その言葉に元気に反応されたら本末転倒もいいところだろう。 彰利 「まずルナっちよ。キミって卍解は使えるんじゃったよね?」 ルナ 「ん」 彰利 「んで、ルナっちとママっちの分の卍解も一つずつ出来るかね?」 ルナ 「悠介に出来るようになっとけって言われて、出来るようになってる」 彰利 「ふむふむ。ではルナっち、自分の中にある力全てを鎌に注ぐようにしてごらん?     で、鎌も力も全部を“一つの力”としてイメージするのです。     上手くいきゃあアタイみたいに鎌がもう一段階昇華するやもしれません」 悠介 「そらそうかもしれないが、それはお前が死神王で黒だったからってことはないか?     全部の鎌を融合させたからこそ出来たんだろ?」 彰利 「グムー、そうなんだけどね?     じゃけんどルナっちももっと強くなったほうがええよ?     囲まれた時に悠介の足手まといになったら大問題だからねィェ〜」 ルナ 「むー……」 彰利の言葉に本気で眉間に力を込めて難しい顔をするルナ。 しかしなんだな、全然迫力がないところはさすがだ。 俺はそんなルナの頭をポンポンと撫でて苦笑する。 こうやって話をするだけなら、俺達はきっとあまり変わってないんだろう、と。 嫌だと思うことはないし、むしろ安心している。 変わってゆく時間や景色の中で、 変わらないものに安心する瞬間があっても別にいいだろう。 彰利 「なにルナっち、悠介の頭撫で癖ってまだ治ってなかったん?」 ルナ 「えへへ〜、わたし専用〜」 彰利 「なんと!?いつの間にそげなことに!?ギイイイ許せねぇーーーっ!!     悠介!さあ我が頭を撫ぜよ!さあ!!《ごすっ!》ギャア!!」 悠介 「な〜んだってお前はすぐにそうルナに張り合うんだ馬鹿者!!」 彰利 「だってハブボッ!アタイだって悠介にブベボ!!かまってもらいバップ!!     たくってブボッ!!やめっ!ぶぼっ!やブボッ!!     ギャアもう!!喋ってる最中にずっと殴るのやめれぇーーーーっ!!!」 悠介 「だったらお前もしつこく頭ぐりぐり寄せてくんなばかっ!!」 彰利 「馬鹿とはなんだコノヤロウ!!アタイほど理知的で聡明な男なんざ居ねぇぜ!?     しかもナイスガイで時に愛らしい胸キュン笑顔で女性たちもイチコロ!!     それがアタイ、弦月アァーーキィーーートォーーーシィーーーーッ!!!!」 悠介 「ああ、だから妻があんなに居るのか」 彰利 「ギャア違う!!それ違う!!あれはきっと何かの間違いYO!?     そりゃみんな愛してるし浮ついた気持ちではねィェーーーッ!!     でも時々“俺、なにやってんだろ”ってしみじみ思うことがあるんだよね……」 悠介 「素直に日余だけに絞っときゃよかったのに」 彰利 「今さら言ってもしょうがねィェーーーーッ!!!     それよりルナっち!鎌のほうはどぎゃんね!?えぇーーーっ!!?」 ルナ 「ムー」 無理っぽかった。 そりゃそうだ、少し願っただけで強くなれるなら苦労はない。 それでもルナは俺に頭を撫でられながら、 どこかき持ち良さそうにする猫のように眼を細めて鎌へと念を送っていた。 彰利 「うーひゃー、緩んだ顔しとるのォ。     キミやる気ある?思わずうにゃー、とか言いそうな顔してっけど」 ルナ 「うっさいホモっち」 彰利 「うっさいとな!?ぬう、至福の時を邪魔されるとむかつくのは解るけどね。     ようするに鎌に送るための力が足りんのじゃろ?」 ルナ 「むー……そうなるのかな」 彰利 「だったらアタイに提案アリ!!キミたちまた魂結糸結びなさい」 ルナ 「魂結糸を?なんで?」 彰利 「そしたら悠介からの力やイメージがルナっちにも流れるっしょ?     そうなれば超越も凌駕も出来るんでないのかいヨォオォ〜イと」 悠介 「けどな。前の糸は鎌でズッパリ斬っちまったぞ?大丈夫なのか?」 ルナ 「またシェイドに申請するのもめんどくさいしね」 彰利 「フッ……」 悠介 「だな。それをするには現実世界に行かなきゃならない」 彰利 「フフン……」 ルナ 「でも魂結糸ね。……えへへー」 彰利 「フ、フッフ?エヘン!オホン!     エヘンエヘヘーーン!!オホーーーン!!《ボゴス!》ドッポ!!」 悠介 「やかましい」 彰利 「キミがアタイの存在に気づいてくれないからっしょ!?」 悠介 「お前はさっきからここに居て俺達と話してただろうが。     お前はなにか?今までここに居なかった船幽霊ですとでも自己紹介する気か?」 彰利 「しませんよそげなもん!!     それよりキミたち!アタイが何者かお忘れでないかい!?」 ルナ 「変態」 悠介 「変態だな、うん」 彰利 「そういう意味じゃねィェーーーーーッ!!!!」 ルナ 「変態オカマホモコン?」 彰利 「そういう意味でもねぇ!!あのね!僕何者!?」 ルナ 「……ホモ?」 彰利 「考える間があってそれ!?     エイィ不甲斐ない!!ならば聞け!アタイこそが───」 悠介 「シミーズか!」 彰利 「そうじゃねぇだろこの野郎マジで怒るぞこの野郎!!」 悠介 「じょ、冗談だ、落ち着こう、な?死神王だ、って言いたいんだろ?」 彰利 「わ、解ってるじゃあねぇか〜〜〜っ!!     だったら最初からすぐに頷いておくれやす……マジで」 ルナ 「でも変態だし」 彰利 「あの……若りし頃におこなった珍体の数々のことなら謝りますから……     今は僕のお話聞いてください……お願い……」 こいつはこいつで変態と呼ばれるのは忘れたい過去らしい。 そりゃあ、変態と呼ばれて喜ぶヤツなんて変態だけだろう。 過去のこいつが変態だったのはまず間違いないことなんだろうが、 きっともう忘れたいんだろうな。 いや、さっきから“アタイ”とか言ってるところを見ると、思い出したいのか? 悠介 「その前にちといいか?なんでお前、自分の人称をアタイにしてるんだ?」 彰利 「え?だってそのほうが“始まりの俺達”っぽくないかね?」 悠介 「あ……」 なるほど。 それは気が付かなかった。 彰利 「ありゃ、気が付かんかった?察しのいいキミなら既に理解してると思ったのに」 悠介 「人を全知全能みたいに言うのはやめろ。     教えてもらわなきゃ理解できないことなんて腐るほどあるだろが」 彰利 「そらそうだけどね。なんでかね、キミなら解るのではと」 悠介 「………」 ルナ 「悠介って確かに察しはいいけど、ぬけてる時は抜けてるから」 お前には言われたくないんだが……。 まあいい。 今はもう少し、話を煮詰めていってみよう。 それが今後の希望になれば、これほど嬉しいことはないだろう。 Next Menu back