───冒険の書91/封天眩き円月の極致───
【ケース282:晦悠介(再)/固有結界】 さて。 悠介 「で、ルナ。魂結糸ってのはどうやって結ぶもんなんだ?」 彰利 「こうして爪と肉の隙間から血管芯を出して結ぶのだ」 悠介 「殴っていいか?」 彰利 「ノ、ノー!殴るヨクナイ!ノー殴る!ノー!!」 どうしてこう、こいつは無駄な知識ばっかり蓄積してるんだろうか。 話を聞いてくれと言ったのはこいつじゃなかったか? けど、確かにこんな現状も懐かしいと感じる。 考えてみれば、俺の世界はこいつらとの出会いから大きく変わったんだよな。 ルナと出会わなかったら俺は十六夜の家で焼け死んでいて、 彰利が居なければ俺は希望も持てずに、浮き草のように人生を過ごしていたんだろう。 本当に、奇跡みたいな過去の上にこの歴史がある。 そのことに、今は感謝をしよう。 ルナ 「ねーホモっち。魂の連結の許可はもらえるのよね?」 彰利 「オウヨ!」 ルナ 「あとでハンターとか送ってこないのよね?」 彰利 「あのね、今さら冥界のハンターよこしたところでルナっちにゃ勝てねぇさね。     そら卍解教えて強くはしたよ?でもみ〜んなそれで満足しちまったんだから、     ルナっちの卍解だけでも余裕で勝てるよ」 ルナ 「ふーん……フレイアの分の卍解無しでもいけるってこと?」 彰利 「そゆことザマス」 ルナ 「そっか、だったら心配もなにもないね。ゆーすけ、いい?」 悠介 「ああ。俺は全然構わない」 ルナ 「んふふー、それじゃあ……」 ルナが指先に妙な光を作り、それをくるくると回して光の軌道上の軌跡を伸ばしてゆく。 それを自分の体の中に埋め込むと、次は俺の胸の奥に手を沈め込んで埋め込む。 と─── 彰利 「その糸の外郭は33日後に溶け始める!糸の中には毒薬が入っている!     手術で取り出すことはできない!     取り出そうとすれば殻はあっというまにやぶれ毒が流れ出す!     毒が体内に流れ出す前に助かる方法はただ一つ!33日以内に俺と戦って勝ち!     俺のこのピアスの中にある解毒剤を飲むことのみ!」 なにやら彰利がワムウと化した。 だから取れというなら取ってやろうと、 彰利が黒で出現させた唇のピアスをブブチャア!!と引きちぎった。 彰利 「ウギャアーーーーーーーーーーッ!!!!」 突如訪れたあまりの激痛ッッ!!転げまわるワムウッッ!! その姿にはかつての誇り高き仕草は微塵も無かったッ!! そう!なにもない!見よ!この無様なヒーローの姿を! AKITOSHIは地面をなめながら転がりまわり、 チューと血が吹き出る唇を押さえながら絶叫さえしている!! だが!だからといってAKITOSHIがヒーローの資格を失うことはない! 何故ならば!どう考えても獣人勢力はヒーローとは言えないからである!! 彰利 「痛ァい!痛ァい!?痛いんだよォーーーッ!!     あまりの痛さに涙が止まらねェーーーッ!!!」 悠介 「感動、シャンプー体験」 彰利 「しぇーーーからしかーーーーっ!!」 ルナ 「ホモっちうるさい」 彰利 「俺が悪いの!?ほ、ほら見て見て!?     ダーリンたらアタイの唇からピアスを強引に抜き取ったんだよ!?     これダーリンが悪いよね!?ねぇ!?そうでしょルナっち!」 悠介 「ワムウの真似なんてするからだろ」 彰利 「ギャアそこうるせぇーーーっ!!     言った途端に千切り取られるなんてワムウでも予測出来るわけねぇべよ!!」 悠介 「これで魂結糸は結ばれたんだよな?」 ルナ 「うん、だいじょぶー」 彰利 「聞きなさいキミたち!!今アタイが喋ってるでしょ!?」 がばしぃっ!!! 悠介 「だぁこらっ!抱きつくな鬱陶しい!!ワムウ話ならもういいだろ!?」 彰利 「そんなことは問題じゃないのYO!!俺の話を聞け!聞いて!?ね!?     今ならアタイが夜なべして作った等身大マスオ人形あげるよ!?」 悠介 「いらんわっ!!」 彰利 「ギャアもう!なんかもうギャアよギャア!!だったらなにが欲しいの!?     アタイのベーゼ!?アタイのチス!?アタイの《バゴシャア!》ゲフォーーリ!     な、ななな殴ったァーーーッ!!でもそんなアナタにフォーリンラァーーブ!!」 悠介 「なぁにをトチ狂っとるかたわけぇええーーーーーーっ!!!!!」 ヂガァンッ!!ズガガガゴバシャアアアッ!!! 彰利 「ギョエェエエエアアアア!!!オガガガガガガギャーーーーーーッ!!!!」 完全に暴走を始めた彰利に裁きの一撃を落とす。 まったく懐かしい限りだが、身の毛も弥立つこんな懐かしさはべつに欲しくなかった。 彰利 「カカカカカ……!!ア、アノ……チョットは加減ってもんを……」 悠介 「やかましい!!」 ぐったりと倒れ伏しつつ、ホシュ〜と煙を出してる馬鹿者にキッパリ言ってやる。 ったく、一度火がつくとなんであれ暴走するのは昔と変わらずだ。 べつにこんなところで懐かしさを醸し出さなくてもいいってのに。 ルナ 「裁きでコゲるホモっちも懐かしいねー」 彰利 「そんなとこに懐かしさ感じんでいいよ!!     今の悠介ってば雷の将なんだからマジでイタイのYO!?」 ルナ 「雷のショー?あ、うん。     ホモっちが雷を受けて跳ね回る姿は確かにショーだったかも」 悠介 「ルナ……あのな、そういう意味じゃなくてだな」 ルナ 「?」 解らないって顔である。 相変わらずの能天気っぷりだが、べつに文句はないな。 こいつのこういう雰囲気や性格は案外落ち着きに繋がる。 彰利 「まあもう細かいことは言いません。で、ルナっち〜?どうかね調子は」 ルナ 「今繋がりを濃くしてるところだから黙ってて」 彰利 「ぎょ、御意」 悠介 「お前って俺の頼みは悉く無視するくせに、ルナの言うことだと素直に聞くのな」 彰利 「俺、案外少々な女性恐怖症候群になってるのかも」 悠介 「………」 彰利の家庭環境を考えてみる。 …………そして、少なからず納得した。 こいつはこいつで苦労してるんだろうなぁ。 彰利 「でもこうして待ってても埒もなしだぁね。どれ、いっちょアタイが」 言いつつ、彰利がルナの頭に触れようとバシィッ! 彰利 「OOOUCH!!な、なにをするのかねてめぇ!!」 悠介 「へ?お、おおっ!?」 無意識だ。 手が勝手に彰利の手を叩いていた。 まるでミャーズで手を洗わずにおやつを食おうとした子供を叱り付けるかのように。 悠介 「……?解らん。ただルナには触るな。こいつに触っていい男は俺だけだ」 彰利 「───…………」 ルナ 「…………《カカァーーー……!!》」 悠介 「…………お?」 口から自然に出た言葉にも驚きを覚えた。 おお、これはいったいどういったカッパーフィールドだ? 彰利 「だ、誰だてめぇ!!」 悠介 「言われると思ったが……」 彰利 「た、宅の悠介くんはそげなことを言うような男じゃあらへんにょろよ!?     そんな……そんなッッ……!!うわぁああん悠介が壊れちゃったYO〜〜ッ!!」 悠介 「こっ!?失礼なヤツだなお前は!面と向かって壊れたはないだろ壊れたは!!」 彰利 「失礼な!俺は失礼ではない、無礼なんだ!!」 悠介 「同じだ馬鹿者!!」 彰利 「しかしね!キミがおなごに対してそれほどまでに独占を主張するなんて、     それこそオメ、めったでねぇぞ!?オメは悠介の皮を被ったモミアゲだ!!」 悠介 「モミアゲがどうやって人の皮被るんだこの馬鹿!!」 彰利 「ばばば馬鹿とはなんだコノヤロウ!!それ言うならだね!     正面きって俺の女に触るな的なことを言うキミの方が馬鹿ではないかね!!     え!?違うのなら言い訳のひとつでもしてみたまえ!出来るものならばね!!」 悠介 「うるせーーーっ!!ルナは俺の女だ!!文句あるか!!!」 彰利 「《どーーーーーん!!!》……ア……ア、アゥワワワ……!!     しょ、衝撃を……かつてない衝撃を受けた……!!     悠介が……あのぶっきらぼうで、     独占欲なんて皆無といっていいくらいだった悠介が……!     ハッ!そ、そうか!これ夢だ!夢だYO!!ホーレ抓れば痛くない!!     痛く……あ、痛っ!い、いや痛くないよ!?ぜ、ぜんぜん痛くないね!!ハハ!?     痛くない痛くない!痛く《ギュリリリ!!》ギャア痛ぇえーーーーーーっ!!!」 悠介 「目、覚めたか?」 彰利 「ハイ……頬が捻じ切れるかと思うくらい覚めました……」 勘弁してほしい。 俺だって自分の言動に驚いてるくらいなのに、そんな状態で騒がれるととても困る。 しかし……そっか。 俺、ルナをちゃんと妻だって認識出来てたんだな。 と、ルナをチラリと見ると、物凄く真っ赤な顔で目をパチクリしながら俺を見ていた。 空き缶……じゃなかった、封冠に通された髪がハタハタと揺れているところを見ると、 そう機嫌が悪いわけじゃないらしい。むしろ喜んでる。 犬の尻尾みたいな髪である。 彰利 「と、とにかくルナっちに触っちゃいけないのね?オーライ解った。     オイラも妻達が他の男に触られるのはムッとくるものね。     でもね?僕ね?キミのそったらとこ見るの初めてだから、それはもう驚いてね?」 悠介 「いーから。ルナに触ることで実行出来るなら、     俺に触れることでも実行出来るんだろ?」 彰利 「ムヒョヒョヒョヒョ、そ、そりゃもう……!」 悠介 「やっぱ触るな。怖い」 彰利 「ちょっとした冗談YO!!マジで引かないでお願い!!」 ───で。 それからあーだこだー言いつつもようやく事態は進展を迎える。 俺の頭に触れて、俺とルナとの繋がりを一気に濃くした彰利はニヤリと笑い、 仕事の速さに胸を張っていた。そこんところはさすが死神王だ。 なんだかんだいってそういったことがらには得手が目立つ。 家系のことと死神のことに関しちゃ優秀の上を行くだろう。 ……他はボロボロだが。 悠介 「で……いつまでお前は俺の頭に手ェ乗っけてるんだ?」 彰利 「魔のショ〜グンクロ〜〜〜〜……!!」 ギリギリギリギリ!!! 悠介 「ほごぉおおおおおおおっ!!!!ごっ!おごっ!!     て、てめっ!いきなりなにしやがるっ!!」 彰利 「なんとなくやらなきゃ気が済まんないのさ!!     さよなら僕の悠介!凛々しく女に興味がなかったキミはもう過去の人!!     その思いを込めてぇえええっ!!(あい)
(あん)苦牢(くろう)!!」 悠介 「あだだだだだだ!!ちょちょちょちょっと待て!     いつから俺がお前のモンになったんだ!さよならだとか言われる覚えがないっ!」 彰利 「うっせうっせーーーっ!!     親友じゃなくなったからってポイ捨てすんのかコノヤローーーッ!!」 悠介 「そういう雰囲気を先に出したのはお前だろうが!訳解らんぞオイ!!」 彰利 「だったらとっとと感情全部手に入れろコノヤロー!!     そうすりゃ俺ゃそっからまたキミと親友ロードを歩むんだコノヤロー!!     感情を手に入れた新しいキミと後楽園遊園地で握手!!」 悠介 「無茶言うな!言われたからってハイと感情手に入りゃ俺も苦労しねぇわ!!     ───けど遊園地か。ヒロラインが終わったら一度行ってみるか?     考えてみれば、子供達をそういうところに連れて行ってやったためしがゼロだ」 彰利 「ブフゥ!その歳になって遊園地行きたァ〜ンウィだって!だっせぇーーーっ!!」 ドゴゴシャバキベキガンゴンガン!!!! 彰利 「ギョァアアーーーーーーーーッ!!!」 ───……。 ……。 彰利 「あの……ハイ……いきなりナマ言ってすんませんでした……」 悠介 「この状況もだが、それよりもナマって言葉自体が懐かしく感じるのは俺だけか?」 彰利 「いや……俺も自分で言ってて酷く懐かしく感じた。もう歳かねぇ」 そう言ってるうちはまだ大丈夫って言うけどな。 そもそもみんな寝静まってる時にあんな大声でギョアーとか叫ぶな。 怪奇生物かおのれは。 彰利 「キミが散々殴ったからっしょ!?しかも問答無用で!」 悠介 「そこ。普通に心を読まんように。いーからルナの強化を続けよう。     鎌昇華以外の可能性はありそうか?死神王のお前から見て」 彰利 「オオ、ワタシに訊いたのはとても賢い生き方ネー。なにせワタシ王様YO!!     さてさて?ピエロEYE〜〜〜〜ン!!《グミミミミ!!!》」 彰利が目を伸ばし、ルナの体のあちらこちらをジロジロと見てゆく。 どうやら死神の霊体としての在り方のバランスを覗いているようだ。 彰利 「FUUUUM……元々がシェイちゃんが作った異端死神だからねぇ。     こりゃ中々に難しい。他の死神と構造のパターンがまるっきり違うんだわ」 悠介 「そうなのか?」 彰利 「オウヨ。でも火力ばっか高い状態でママっちが造られたのは確かで、     そのお蔭といっちゃあなんだけど、鎌はもう一段階くらい解放できそうだ」 ルナ 「ほんと?」 彰利 「彰衛門、ウソつかない」 ウソつけ。 彰利 「キミのその視線が意味するものは訊かないでおくけど、ともかく解放は出来るね。     もっとも、悠介の力があって初めて、って感じだけどね」 ルナ 「ふーん……で、どうすればいいの?」 彰利 「よいですか?まずこの鉢巻を額に当ててこう叫ぶのです。     受けてみよ正義の力!正義装甲ジャスティス《ドボォ!!》ハチボフェエ!!」 悠介 「そーいう無駄知識はいいって言ってんだよ……!!」 彰利 「ゴフッ……!ソ、ソーリー……!!」 殴られた腹を押さえながら、 カタカタと震える彰利だったがさっさと回復すると、再び説明に戻った。 彰利 「俺ゃ黒だからね、     取り込んだものの在り方を読み込んで黒として出すことは容易い。     そりゃつまり、一度体で覚えたことは忘れないってことYO。     だから始解卍解の理も他の死神ですぐ実践させることが出来るし、     その上の解放も他のお方にあてがうことも可能さね。     ただし、純粋な死神としての力が悉く鎌に飲まれちまうけど平気かね?」 ルナ 「どーいうこと?」 彰利 「多分、ママっちの存在が鎌に食われると思う」 ルナ 「うんやっちゃって」 彰利 「即答!?速い!速いよムーミン!!」 悠介 「ちと待て。だったらどうしてお前、月操力使えるんだ?」 彰利 「おやお忘れかね?     月操力は死神の力じゃなくて、神と死神の力を合わせたもんでしょ?     あ、あと天界の力か。ちゃんと言ったっしょ?     純粋な死神としての力が飲まれるって」 なるほど、そういうことなのか。 だから彰利は他の鎌全部の力を失ったってことか。 悠介 「じゃあ、残ってる骨はなんなんだろうな」 彰利 「それがオイラも不思議でね。     どうやら身代わりのハデスディザスターを吸わせることで、     自分の存在を鎌のブラックオーダーに馴染ませたみたいデスネェ〜」 悠介 「そうなのか?」 彰利 「おお。本人……人?本骨がそう言ってる。     だからママっちもそうすりゃ残れるんかね?」 南無 『そりゃ無理ほね。俺が残れたのはひとえに、     純粋な死神というよりは変人側の死神だったからほね』 彰利 「あっ!これ!勝手に出てくるんじゃおへん!!」 南無 『だからフレイアも俺と同じ骨になるほね。そうすれば解決ほね』 彰利 「じゃあこいつをママっちの代わりに生贄にしよう」 南無 『ほねぇええええっ!!?や、やめるほね!忘れたほね!?     俺ゃ貴様の魂の半分ほね!     鎌がそれを察したからこそ鎌に食われなかったほねよ!?』 彰利 「むっ……そうきたか。そんじゃあ……?」 悠介 「ああ、それなら簡単だ。     彰利、ルナの鎌の解放、頼む。死神の力は俺がなんとかするから」 彰利 「マジ?でもキミ、死神の力なんざゼロじゃん」 悠介 「任せろって」 俺は自分とルナの繋がりを強く感じながら、 ルナを抱き寄せて後ろを向かせ、今度は後ろから抱き締めた。 まあようするに座ってる俺の脚の間にルナを座らせて抱き締めてる状態である。 ルナ 「わ、わ、ゆ、ゆーすけ……?」 悠介 『ほら、集中する。精霊化実行、イメージ解放……分析開始』 彰利 「分析?……OH、そういうことか。んじゃあ俺もオーダー解放して、と」 そう、無いのなら創ってやればいい。 ゲームシステムに逆らえずに消えてしまうような死神の力じゃなく、きちんと馴染む力を。 きちんとルナの細部を分析、死神の力の波長を読み込んで、 寸分の狂いもない力を創造して、魂結糸を通して鎌に流し込む。 彰利 『ウホッ!物凄ェ勢いで死神の力が溜まってゆくぜよ!OKOK!     この調子ならママっちを消さずともなんとか……なりまくる!?     OOH!!ちょっと悠介!?流しすぎ流しすぎ!!     ああいや!この力を使ってさっさと昇華させりゃあいいんだった!!     我、死神王の名の下に異端の鎌へと命ずる。     汝、己が姿を己の思うがまま、また主が求める力を以って己を解放せよ。     ……フゥウウウンヌハァアーーーーーーーーーッ!!!!!』 ギヂッ……ギガガッ!バヂバヂッ……ビヂィッ!! ガガヂヂヂヂヂヂヂ……!! ルナ 「わっ、鎌が躍動してる……!?」 悠介 『こ、こらっ!暴れるなっ!集中しろって!』 ルナ 「あ、う、うん……わかったー」 闇の光がルナの鎌へと流れこむ。 その量はいつまで経っても終わることがないのでは思うほどで、 長く長く、まるで全てを吸収するかのように飲み込むことを止めようとしない。 悠介 『《ズキィッ!》ぐっ……頭痛……!?彰利、まだか……!けっこう辛い……!』 彰利 『ちょ、ちょっと待て!これおかしいぞ!?いつまで経っても力が満ちやしねぇ!     シェイドの野郎どんな作り方したんだ!?ルナっちの死神の回路、普通じゃねぇ!     い、いや……もしかして死神ってのは元がこうで、     家系として産まれた俺だから回路が普通に纏まってたってだけなのか……!?』 悠介 『ど……《ズキィッ!》くあっ!ど、どうした……!?』 彰利 『ルナっちの死神の回路、普通の回路じゃないって……言ったろ?     すげぇぞこれ……普通回路ってのは脳とかにあるもんだけど、     ルナっちってば“全身”が回路で構成されてるって言っていいほどだ……!!』 悠介 『なっ……!?それって───!』 彰利 『これが異端ってやつ、ってことか……!?シェイドの野郎、     元々本気で暇潰しとしてしかママっちを構成させるつもりがなかったんだよ!     だからママっちの体から出来てるルナっちの体もこんなにも回路だらけ……!』 悠介 『じゃあ、フレイアがあんなに強かった理由は……!     死神としての回路が溢れてたからだってのか!?』 彰利 『そういうこったよ!!     ただしその回路の中に走る死神の力が満ち足りてなかった所為で、     あれでも満足に力を出せてなかったってこったよ!!』 悠介 『〜〜っ……!!』 暇潰し、か……! シェイドの野郎、今度会ったら腕が飛んでもいいから障壁ごとブン殴ってやろうか……! けどあいつが居なけりゃルナは生まれなかった。 くそ、どうしてくれる、この苛立ち……! 彰利 『オ……よしよし!半分を超えたぞ!あとちょっとだ!』 悠介 『ハ、ハハ……気休めにしか聞こえないな』 彰利 『気休めだ!!』 悠介 『オイ』 彰利 『だいたいキミね!いつもならパパーと簡単に満たしちまうでしょ!!』 悠介 『無茶言うな!力の本体はノートに預けてあって、     しかも壁を越えたとはいえ、ここがゲーム世界であることに変わりはないだろ!     それに逆らいながら集中するのは思いの他大変なんだぞ!?     そもそもゲームの世界ってだけで、創造にはHPを使うんだ!!     創造の領域は超えられても体力までは超えられるか!!』 彰利 『そんなこと知らないっす!頑張るっす兄貴!!』 悠介 『かっ……このっ……!!』 言われなくったってそうするさ。 中途半端に力を注ぎ込めば、妙な風に力が暴走するかもしれない。 そんなものはごめんだ。 これだけ流し込んでも満たない力じゃあ、暴走した時の反動で器が壊れる可能性がある。 つまりルナに危険が及ぶってことだ。 冗談じゃない、他の誰に嫌われても構わないが、ルナと彰利だけは別だ。 一緒に居たいって思えるやつらだ。 誰が欠けるのも冗談じゃない。 彰利 『原中の猛者どもは?』 悠介 『心読むなっての!!』 彰利 『や、中々満ちないと暇でさ。ちと黒を連結させて読んでみました。     しかし……ほほう。オイラのランクは相当上ですな。ルナっちもだけど。     次が精霊や竜族や妖精や召喚獣や幻獣全員で、     次が原中の猛者どもとみさおと深冬ちゃんとな。     家族がクラスメイツと同じ位置ってのも悠介ならでは?』 悠介 『やかましい!!』 彰利 『……違うか。ようするに俺とルナっちは別格で、     あと他は“守りたいやつ”ってことか』 悠介 『あぁそうだ悪いかコノヤロー!!』 彰利 『んーにゃ、俺ゃ満足だ。しかしルナっちと同位とはこれいかに。     もうちょっと上げられない?順位』 悠介 『言ってる場合かぁーーーーっ!!!《ビキィッ!!》いっづ……!!』 ルナ 『ゆーすけ!?』 悠介 『つっ……集中しろ、ほら……!』 ルナ 『う、ううー』 精霊になった日から全て精霊の回路に変化した、未発達の回路がショートする。 お蔭で目の前に火花が散ってるように見えて、とても鬱陶しい。 だがやめない。 限界なんて知るか。 ここが限界ならそんなものは超えてゆく。 限界を超え、なお限界へ……!! 彰利 『───ム!!満ちた!!では再び解放!!そいやぁあああああっ!!!』 ギヂィヂヂヂヂヂヂッ───パギィイインッ!!! ルナ 『きゃーーっ!?のーもあすぱーくーーーっ!!鎌が光ってるーーーっ!!』 彰利 『完……了……!』 悠介 「…………?」 自然と消えた精霊化を気にもせず、痛む頭を押さえながらルナの手元を後ろから覗いた。 するとそこにはシンプルだが、いかにもって感じの死神の鎌があった。 もっとも簡単な造型ではなく、凶々しさと美しさを合わせたような造型だ。 一方ルナ自身はといえば、空き缶……じゃない、 封冠が外れ、長い髪がサラリと下ろされている。 それに加えて黒衣さえ変異し、 どこぞのゲームのイグニスさんを彷彿とさせる造型となっていた。 封冠自体はルナの周りをフヨフヨと飛んでいて、それがまたヘンテコな気持ちにさせた。 なんだこりゃ。 ルナ 『……あれ?終わったの?』 彰利 『うむ、完了さ。どうかね?力が満ち溢れる気分でしょう』 ルナ 『むー。フレイアと意識が混同してヘンな感じ』 彰利 『うむ。思い切り声がブレとるし。で、鎌の名前は?』 ルナ 『“封天眩き円月の極致”(ほうてんまばゆきえんげつのきょくち)って書いてカルミネルゼファーだって』 彰利 『ホーテン?』 悠介 「天の境、または天の領地って意味だな。領域の中で輝く月の極致。     つまり───鎌の能力は固有結界系、だと思う」 彰利 『なんと!?見せれ!今すぐ見せれルナーーーっち!!』 ルナ 『ちょっと待って、力が満ちてて上手くコントロール出来ない……』 彰利 『バカモンそれでも悠介の妻かね!?努力と根性と腹筋でなんとかなさい!     悠介はいつもそうやって自分の力にしてきたでしょう!!』 いや、腹筋はキッパリ関係ないと思うんだが? 彰利 『繋がってる今が旬!さあ!悠介の力を存分に使って安定させるのです!』 悠介 「たわけ!自分の力で安定させなきゃ意味ないだろ!!」 彰利 『おー!?なんだわりゃわりゃー!!     それが楽して強くなろうと決めた男の言葉かー!?』 悠介 「そんなの俺が決めたことであってルナは関係ないだろが!」 彰利 『おおルナっち!夫である悠介がルナっちのこと関係ねぇってYO!!』 悠介 「わざわざ荒波立てる言い方で言うなたわけ!!」 彰利 『そんなにたわけたわけ言うなよぅ!!』 ルナ 『ん……ん、んんー……』 悠介 「ルナ、それは元々お前の中にあるべき力だ。コントロールできない筈がない。     むしろ回路に力が満ちていることが助力となると信じろ」 ルナ 『わたしの……力?自分の?』 悠介 「そーだ。力は乱暴に行使するよりも信じて行使することが大事なんだ。     まずは、自分の力であることを認めて、受け止めてやれ」 ルナ 『むー』 やっぱり難しい顔をするルナ。 集中することが苦手なんだもんなぁ、こいつ。 彰利 『悠介?もしかしてその鎌、骨子用なのではないかね?』 悠介 「お……そうか。考えてみりゃ、     固有結界能力系は大体が骨子を自分に埋め込むものだしな」 固有結界ってのはなにも“世界”を創ったり引っ張ってきたりするだけじゃない。 たとえば彰利の“黒”の中はそれ自体が固有結界のようなもので、 それ故に人型の中に何千もの物質、物体を保有している。 影鎌繰り殺ぐ闇黒の秩序はそれを圧縮したようなものだ。 俺が使用していた月詠の黄昏も骨子型の固有結界。 ようするに自分の中に鎌っていう“力”を埋め込むことで、 自分の中に“出来ること”を増やす自己暗示空間を作り出す。 そこでは自分だけが自由に動け回る、みたいな絶対領域。 それがノートが言うところの固有結界の定義なんだそうだ。 悠介 「ルナ。お前は鎌になにを願って昇華させた?     それによって解放の仕方が変わってくる」 ルナ 『───ちょっと待って』 悠介 「……っと、フレイア?」 ルナ 『そう。もうちょっとで安定しそうだから。     それからヘンなところ触ったらグーで殴るからね』 悠介 「なにぃ、だったら俺はその攻撃の悉くを避けてみせよう」 彰利 『や、妙な張り合いせんでいいから』 ルナ 『───………………うん、落ち着いた。     しっかし驚いたわね、全身がまるで力の塊になった気分』 彰利 『そうやろそうやろー!?なにせ悠介が創造し続けることをいいことに、     一段階昇華させた鎌を強引にもう一段階昇華させたからね!!     もう僕よりも鎌の解放力が高い《バゴシャア!!》ヨーゼフ!!     な、殴ったぁーーーっ!!問答無用で殴ったぁーーーーっ!!』 悠介 「このたわけ!!道理でちっとも満たされないと思ったら!」 そういや“再び解放”とか言ってやがった! その時点で気づくか疑問に思うかするべきだった! 彰利 『押忍!一度マンタンになったところで即座に昇華!     そののちにもう一度満たしたもんだから物凄ェ時間かかりました!     しかも一度目よりも二度目のほうが積載量がメチャクチャ増えてんだもん!!     まさか成功するとは思わんかったけど、     これで俺の鎌ももう一段階昇華出来るかなーとか思ったけど、     やっぱ死神としての性質の違いがあって、     ルナっちのやり方じゃ俺の方昇華出来やしねー!!     むしろオイラのほうがびっくり!ホーコラびっくり!!』 悠介 「……言いたいことはそれだけか?」 彰利 『え?え、えっと……まだ、あるかも。暴力しないと約束して?』 悠介 「よし、それが遺言だな?」 彰利 『イ、イヤァアアーーーーーーーッ!!!!ドゴゴシャバキベキガンガンガン!!!! 彰利 『えぶろげあぁああああああああっ!!!!』 ───……。 ……。 彰利 「…………」 気絶したのをいいことに海に捨ててシャークさんに食われた彰利が戻ってきたのは、 それから数分後のことだった。 何故か二度死んだような寂しげな顔で戻ってきて、 事情を訊いてみれば神父に喧嘩を売ってブチコロがされたんだとか。 悠介 「お前なぁ、神父に喧嘩を売るのは金を誰かに預けてからにしとけよ」 彰利 「あの……ハイ……今ものめっさ後悔してます……。     だ、だからね?そげな気分を払拭するためにもルナっちの固有結界見せて?」 悠介 「俺達はお前が死んでる間にもう見たが」 彰利 「ずりぃ!今すぐ見せろこの野郎!!じゃないとヒドイぞ!!」 ルナ 「べつにいーけど」 彰利 「マジかね!?じゃあ見せろホレ見せろ!!」 ルナ 「うっさいホモっち静かにする!!集中できないじゃないのよぅー!!」 彰利 「ぎょ、御意」 ギシャアと鋭い眼光で睨まれるや否や、 素直に体育座りをしてルナの行動を見守る体勢を取る死神王。 なんなんだろうな、こいつは。 ルナ 「ん……じゃあいくよ?」 彰利 「さっさとしろこの空き缶」 ザシュドシュゾブシャゴプシャゾシャバシャゾグシャア!!! 彰利 「ギャーーーーアーーーーーーーッ!!!!」 ───……。 ……。 彰利 「うう……余計なことを言ったためにまた金が半分に……。     ねぇ悠介?ルナっち?オイラを殺したことで手に入れた金、返して?」 悠介 「ルナの能力をお前が見てからな……」 彰利 「うう……」 ルナによって散々切り刻まれた彰利はあっさりと教会送り。 再び落ち込んだ顔で戻ってきた彰利は、涙ながらに財布の軽さを語ったのだった。 まあそれはそれとしよう。埒が開かない。 ルナ 『───“封天眩き円月の極致(カルミネルゼファー)”』 ドックンッ……キュバアアアアッフィィイイインッ!!! 彰利 「お、お───おおぉおおおっ!!?」 地面より少し宙に舞った完全死神状態のルナが鎌を解放する。 それとともにルナの全身の回路が躍動し、 次の瞬間には景色を塗り替えるほどの固有結界が展開される。 彰利 「悠介、創造の理力……とは違うんだよね?コレ」 悠介 「似て非なるものってとこなんだろうな。     俺と魂結糸を結んだ状態で二度も昇華させた結果だと思う」 俺はこの景色に見覚えがある。 といっても俺自身がきちんと見たわけじゃない。 けど、確かに見た。 精霊になった瞬間に、一度きり見た未来の中で。 それが、この空に浮かぶ満月と、それに照らされて輝く草花の草原。 彰利 「黄昏じゃなくて月夜ときたか……さすがルナっち。     しかも満月ってところが望月の能力者っぽくていいじゃん。     で、なにか付属特典は?悠介みたいに創造楽々行使機能とか?」 悠介 「あー……説明するよりも戦ってみるのが一番なんだが。どうする?」 彰利 「どうするって。俺がルナっちと?火傷じゃ済まねぇぜ?」 悠介 「おお。火傷させてみろ。最初に忠告しとくけどな、“見失うなよ?”」 彰利 「ホホ?そんなの余裕さね。さーこいルナーーーっち!!」 ルナ 『───殲滅を開始する』 彰利 「エ?《ヒュゴォッ!!》とわっ───!?」 ガヂゾバァッフィゾガシャォオオンッ!!! キラキラ……♪ ルナ 『───殲滅を終了する』 悠介 「……3秒保たなかったか……。     でも振り向き様にガード出来たのは大した反射速度だよな、ほんと」 刹那に後ろを取られて、それに反応して獣人の篭手でガードしたまではよかった。 けど次の瞬間に鎌から放たれたダークイーターの鎌閃の前に一撃で教会送りだ。 ダークイーターっていっても、喩えられる名前がそれしかないからそう言ってるだけで、 かつてのフレイアの鎌であるダークイーターに比べりゃ天と地ほどにも威力に差がある。 まともに戦えば確実に殺されるわ。 骨子にするだけじゃなく、鎌としても使えるんだから最高だ。 ───……。 ……。 彰利 「ひっくうっく……うぇえええ……」 ややあって戻ってきた彰利は、やっぱり財布を覗き込みながら泣いていた。 彰利 「こんな筈じゃなかったのに……     返り討ちにして金を巻き上げる予定だったのに……」 そしてヤツはとても正直者だった。 彰利 「でさ、真面目な話だけど」 さらに泣き真似だったらしい。 彰利 「ルナっちってばなしてそげに強くなってしまったと?     口調が変わってたのも物凄く驚いたんだけど」 ルナ 「あれはね、ただ言ってみたかっただけだから意味ないよ?」 彰利 「あ……そ、そうなんすか。じゃああそこまで強い理由は?」 悠介 「鎌の解放で、段階ごとにどれだけ強くなるかを一番知ってるのはお前だろうが」 彰利 「そ、そうだけどYO!!でもやっぱ悔しいじゃん!!     死神で一番強いのは僕だい!僕なんだい!!     だから悠介!僕にも死神パワーを注入しておくれ!」 悠介 「無理」 彰利 「なんで!?」 悠介 「陰気を創造して回復させるならまだしも、     今のお前の死神の力ってのは完全に黒一色だろ。     俺にはそんなにまで強大な力をコピーするほど力が無い」 彰利 「……え?もしかしてオイラ褒められてる?」 悠介 「そんなにあーだこーだ考えるなよ。     ヒロラインから出た状態ならお前のほうが圧倒的に強い。     あの力は俺と魂結糸が繋がってることが絶対条件だし、     使ったあとは酷く疲れるんだ。どの道多用は無理なんだよ」 彰利 「む……繋がってることが絶対条件ってのはなんとなく解るけどさ。     じゃなけりゃルナっちが世界の展開なんて出来るわけねィェ〜」 悠介 「そういうこった。あの世界にはルナの回路をさらに強化する効果がる。     そのお蔭であそこまでの身体能力が出せるわけで、     あの世界無しじゃあそれほどまでの能力は引き出せないんだよ。     ……それでも鎌の威力は本物だけどな」 彰利 「ええ……ええ……そうでしょうとも。あげなもんもう二度と受け止めたくねぇさ。     けどなー!帝王はこのディアヴォロだ!依然変わりなくッ!!」 悠介 「それさ、女の場合だと女帝になるんじゃないか?」 彰利 「ゲッ……《カアア……!》し、知ってたよ!?知ってたよ俺!!     だから帝王はボクだって言ったんだよ!?ボク女帝じゃないもん!!」 悠介 「じゃあルナが女帝なら文句ないのか?」 彰利 「無い───アレ?えっと、帝王はこのディアヴォロで、     だけどそうすっと女帝の座が空席に……アレ?     帝王の女版が女帝で、でも女帝は帝王じゃなくて……アレェ!?     なに言いたかったんだっけ俺!!」 やっぱり死神と家系のこと以外はとことん馬鹿なんだな。 妙に再認識しちまったい。 彰利 「あ、でもさ。そんじゃあ悠介とルナっちが同時に世界行使したら、     黄昏の陽と満月が同時に出るってことなんかね?」 悠介 「───」 そうなるだろう。 いつか俺が視た未来の映像のように、黄昏と月が空にある世界に俺は立つ。 まあ、今は先のことを暗く考えるよりは楽しく生きていたい。 だからこんな暗さを招くような思考はゴミ箱行きだ。 彰利 「これ!これ悠介!?なにボーっとしてんだい!!」 悠介 「どこぞのオカンみたいな呼び方はやめてくれ」 彰利 「だったら返事くらいしなさいよもう。で?そうなると思うかね?」 悠介 「ああ、なると思うぞ。お前ならここでも頭からマツタケモドキくらい生やせるさ」 彰利 「はっ……話が噛みあってねぇにも程がある!!」 彼は大変驚いた顔をしていた。 さて、なんの話だったか? ああ、世界の重複の話だったか。 悠介 「冗談だ。その未来なら見た記憶がある。     だから、月夜の黄昏なんていう矛盾はそこに存在することになると思う」 彰利 「ムウ。決まりごとがあるとそれを破壊したくなるのは原ソウルなのか、     運命に抗い続けた俺の性分なのか。     まあともかく我が獣人勢力に新たな強大な仲間が加わったわけだ!」 加わったもなにも、少し前から既に獣人勢力だが。 でも嬉しそうに跳ね回る彰利を見ていると、それを言うのも無粋だろうかと思った。 散々殴っておいて、今さら無粋もないってもんだが。 彰利 「彼女抱いた赤子実は赤ちゃん人間ン!!     あどけなさの裏であばばほくそえむのさァッ!!     キミもなれよ楽でいいぜベイビヒューマン〜〜♪」 謎な歌も歌ってるし、そっとしておいてやろう。 少しすれば飽きるだろう。 ルナ 「むー……ゆーすけ、眠い……」 悠介 「世界行使なんてそんなもんだ。慣れないうちは精神に負担かけるからな。     少しずつ慣らしていけ。眠くなったら膝でも肩でも貸してやるから」 ルナ 「むむー……腕がいいー……」 一緒に寝ろってか。 しかしそこは素直に受け取らないのが原中魂。 悠介 「アームストロング少佐ばりのムキムキの腕が出ます」 ムキムキの腕を創造して、そっと寝かせたルナの頭の下に敷いてやる。 ルナ 「《ゴニュリ》うわっひゃあああーーーーーーっ!!!?」 飛び起きた。 夜だが言おう、グッドモーニング。 ルナ 「な、ななななに……?なに……?い、いまなにかした?ゆーすけー……」 悠介 「腕を枕にしてやったんだが」 ムキーン!とアームストロング少佐の腕を見せる。 と、彼女は俺の目の前で鎌を解放して襲い掛かってきやがりました。 どうやら冗談がすぎたらしい。 ありがとう青春、原ソウルフォーエバー。 今日の教訓はこれだな。“慣れないことはするもんじゃない”。 そんなことを、鎌の一撃で教会送りにされながら思っていた。 Next Menu back