───冒険の書98/そ〜ら〜を自由に〜飛んで潰れた───
【ケース294:中井出博光(再)/空に浮かぶ島・アンフォメート】 ゴォオオオ……!! 総員 『フ〜〜〜ア〜〜〜ムア〜〜〜〜〜イ!!』 高いところといったらまずこれだろう。 そんなもんだから我ら原中は崖の傍まで全速力で駆けると、 はぁはぁと息をついたのちに高く掲げた両手を前後に振りながら我是誰を絶叫。 本気の本気で絶叫したもんだから、のちにゲホガハと咳き込みまくったが。 中井出「うおお喉痛ぇ……!」 藍田 「し、しかしサー、これはまた空界とは違った感動があります……」 丘野 「なんといっても輝く太陽が眩しいでござブフッ!ゲホッ!」 喋ることくらいできるのだが、どうにも咳が出てしまう。 しかし人間、時には絶叫したくなることがあるもんだろ? 我らはそんな衝動に身を委ねただけなのさ。 都会じゃとても出来ない芸当だ。 や、我らならもちろん他者の迷惑や視線も気にせず絶叫するけどさ。 中井出「マーマーマー♪……うん。さあ浮遊島だ!!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「我らはとうとう来たんだ!ラピュウタに!!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「まず昇ってきた記念にこの極長ロープを使ってここと大地を繋ぐ!     これで死んでもこのロープを昇ってくればOKだ!妖精の道を通る必要アラズ!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「うむよし!いい返事だ!ではナギー新兵!     これから我らがすべきことを通達せよ!」 ナギー『サーイェッサー!!     浮遊島にはそれぞれの浮遊島を繋ぐワープポイントがあるのじゃ!     それは太古に空を浮いていたエルメテウスも同じなのじゃ!』 中井出「ナギーナギー、ここはエルメテウスじゃなくてモンスターユニオンって言っとけ」 ナギー『?なぜなのじゃ?』 中井出「その方が我らにとっては解りやすいからだ」 ナギー『む。解ったのじゃ。わしらがこれから為さねばならんことはエルメテウス改め、     モンスターユニオンに繋がるワープポイントを探すことなのじゃ!     もちろんこの浮遊島に全てのワープポイントが存在するわけではないのじゃ!     じゃからの、様々なワープポイントを経由して、     モンスターユニオンに辿り着く必要があるのじゃ!』 中井出「そうか!で、ナギーは何処が何処に繋がっているのか知ってるか!?」 ナギー『知識としてそういうものを知っているだけじゃから、     すまぬが力にはなれないのじゃー……』 中井出「ぬうそうか……。うむ!では総員!     総力を以ってモンスターユニオンに繋がるワープポイントを探すものとする!!     心の準備はいいかぁっ!!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「ロープはきちんと結ばれているかぁっ!!」 総員 『サーイェッサー!!』 中井出「アイテムの準備も万端かぁっ!!」 総員 『サーノォサー!!』 中井出「なにぃ!ならばこれより下の大地へと降りてアイテムを揃えるものとする!!     イェア・ゲッドラァック!ライク・ファイクミー!!」 ザザァッ!! 総員 『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 ナギー『大勢で叫ぶと楽しいのじゃー!     ……ところでヒロミツ?降りるとは、やはりゲートからかの?』 中井出「バカモーーーン!!貴様にはこの崖が目に入らんのか!!     高いところからの落下など光の塔以来!!     ホオオ、この博光の心の巴里が燃え盛っておるわ!!」 藍田 「ジョワジョワジョワ〜〜〜ッ!!俺もだぜ〜〜〜っ!!」 ナギー『な、なんじゃ?なにをするつもりなのじゃ?』 藍田 「……?あ、そーいやナギ助は光の塔の時は……」 中井出「ストップ藍田二等!話がややこしくなる!」 藍田 「あ……あーあーあー、確かに」 ナギーはあの時、魔法都市カポリトカステで寝たままになっていたのだ。 置いてけぼりをくらっていたことや、 楽しいことを自分の知らないところで俺達がやっていたなんてことが知られてみろ、 どんなことになるか解ったもんじゃない。 そんなわけだからダイヴ開始! 中井出「いくぞぉ!野郎どもぉおおおっ!!!」 総員 『ハワァアアーーーーーーッ!!!!』 ナギー『と、飛び降りるのかの!?命が惜しくないのかヒロミツ!!』 中井出「むっ!?貴様まさか飛び降りないと申すか!?シード!貴様はどうだ!?」 シード『飛行は───』 中井出「ならぬ!!これは勇気を試す行事!!     原中名物“落下肝試死(らっかきもだめし)
”だ!!死への恐怖さえ根性で乗り切る!     それがこの行事の意味するところ!勇気の無い奴は震え上がっておるがよいわ!」 シード『勇気を試す……は、はい!やります!』 中井出「うむよし!貴様ならばきっとそう言うと思っていた!」 ナギー『む……!わ、わしとてこの程度、どうということもないのじゃー!!     飛ぶぞヒロミツ!なにをぐずぐずしておるのじゃー!!』 中井出「飛ぶのではないわ!落ちるのだ!!」 ナギー『わ、わわわ解っておるわ!!』 ゴォオオオオ……!! ナギー『…………《ひききっ……》』 崖っぷちに吹く風がナギーの髪を揺らした。 さらにそんな場所から見下ろす絶景に物怖じしたのか、ナギーの顔が引き攣る。 ゴクリと息を飲む音さえしっかり聞こえた。 あーあ、完全に固まってしまったよ。 岡田 「あ、そうだ。落ちる前にさ、俺一度やってみたかったことがあるんだ」 中井出「ほほう、それは?」 岡田 「スカイダイビングであるだろ?     ほら、大勢が手ェ繋いで輪を作って落ちるヤツさ。あれやってみたい」 永田 「お、いいなそれ。ただ落ちるだけじゃなくていろいろやってみるのも悪くない」 総員 (それにこれなら嫌がる小娘も強引に道連れにできるし……《ニヤリ》) ナギー『!?《ゾゾクゥッ!!》な、なんなのじゃ!?言いようのない寒気が……!!』 中井出「よし!それでは早速行こう!!握手(アクセス)!!」 ガッシィッ!! それぞれが隣に居た者と握手を交わす! もちろん逃れられんようにしっかりとだ! それから崖に沿って一列に並び、 中井出「では行くぞぉおおおっ!!!」 総員 『オイサァーーーーーーーッ!!!!』 ナギー『ま、待つのじゃ!心の準備がぁっ……!!』 中井出「なに!?それはいかん!!では原中名物“子殺埜殉毘(こころのじゅんび)”を開始する!!」  ざわっ……!! ナギー『な、なんじゃ?なんなのじゃ……?』 藍田 「こ……《ゴクリ》子殺埜殉毘……!!」 丘野 「まさか再びこの目で見ることになろうとは……!!」 ナギー『だからなんなのじゃ!?なにか怖いのじゃ!教えるのじゃ!!』 田辺 「こ、子殺埜殉毘……」 ナギー『し、知っておるのか雷電』 田辺 「う、うむ……それこそはかつて我らが学業に時を費やしていた頃のこと……。     提督の言葉の中には大体ある“心の準備は出来たか”をノーと答えた男が、     ある日それを体験したのだが……」 ナギー『……どうなったのじゃ?のう!どうなったのじゃ!?』 田辺 「よ、よく聞くのだ精霊のキミよ。こ、子殺埜殉毘とは、     間近に迫る恐怖や緊張をさらなる恐怖で掻き消すという恐ろしいもの……!     まして、今これより感じる恐怖は死へ直面する恐怖……!     それを上回る恐怖といえば、よっぽどのもの……!」 藍田 「き、貴様はきっと後悔する……!心の準備をしたいなどと言い出すとは……!」 ナギー『う、ううぅう……!?な、なんじゃ……!?なにをするというのじゃ……!?』 中井出「取り出だしましたるは……不要な武器などを合成して作った鉄塊バット」 ズシャアとバットをバックパックから取り出す。 さらにバックパックから西瓜をドチャリと取り出し、地面に置く。 清水 「お、おお……見ろ……!今回は棲威袈把浬(すいかわり)だ……!」 田辺 「ヒィイイ……!な、なんと恐ろしい……!」 藍田 「だ、だが用意をせねばなるまい……他ならぬ仲間のためである」 田辺 「そ、そうだな……。我らはいつだって、     こうして心の準備が出来ないものを救ってきたのだ……(力技で)」 他の猛者どもが浮遊島の大地に穴を掘ってゆく。 その力は凄まじく、特に藍田の腕力もあってあっさりと穴は空き、 そこに汚れ防止用+身動き封じ用のタオルにくるまれたナギーが、 首から上だけ残して埋められる。 その隣に置かれるのは当然スイカ。 ナギー『ま、待つのじゃ!わしは心の準備がしたいと……!』 中井出「大丈夫、大丈夫だ。今までもそんなことを言った女子が居たりもしたが、     そんなやつらはこの子殺埜殉毘を受ければ一発で実行しますと言ったものさ。     ではまず誰からゆくか!!名乗りを上げぇぃ!!     相手が子供でも兵としての名を貰っているならば原中も同様!!     我ら原中の名の下に男女差別も老若男女差別もあってはならーーーん!!」 藍田 「では提督!久しぶりに提督が手本を!!」 丘野 「そうでござるよ提督殿!」 中井出「ウムー、そうか。では久しぶりにこの博光が腕を振るってみるかのう……」 バットを軽く揺らし、肩と同じ位置までに構えるとイチローのように肩に手を置いてみた。 よし全てが良好。 では目隠しをして、と。 中井出「うむ!ではシード!しっかりとナギーの力を相殺しておくように!」 シード『はい父上!!』 ナギー『なにか解らぬが嫌な予感がするのじゃ!シード!シード!やめるのじゃー!!』 シード『心の準備がしたいのなら父上に任せておけば大丈夫だ!!』 ナギー『根拠がまるでないではないかー!!』 中井出「ではまいる!!まずは大回転で方向感覚を殺す!!     ギガティック───サイクロォオオーーーーン!!!」 シュゴォオオオオオオオオッ!!!! 藍田 「おお!すげぇ勢いで提督が回転してる!」 丘野 「す、すげぇ〜〜〜っ!!風が巻き込まれていってるぜ〜〜〜っ!!」 中井出「ヴ……ウ、ムム〜〜……!つ、次に全身全霊を力に込めてバットを構える……!」 うおお……真っ暗でなにも見えん……。 見えないくせにくらくらする……。 だがこれもナギーの心の準備のため!! 中井出「ま、まずバットを置いたのちにジークフリードを装備して、マグニファイ……。     ステータスを二倍にして……藍田二等!」 藍田 「おう!“受付”(レセプション)!!」 ドッゴォオンッ!!! 中井出「ぬぐっ……!くう……!!     VITを下げた状態でダメージを受け、HPを1にする……。     背水の陣とジェノサイドハートを究極発動させ、     さらに藍田二等を切りつけることで鬼靭モードを発動……!     力のガーディアン・魔人カルキの力全てを受け取り、     さらに殊戸瀬作成のドーピングコンソメスープを飲み下せば……!!」 メコッ……モココッ……! 中井出「ぬおぉぉおおおおおぉおおおっ!!!!」 総員 『ゲゲエエエ!提督から物凄い力の波動が!!』 中井出「さあ待たせた……始めようか……」 ガコ、とバットを手に取る。 もちろんやさしくだ。 じゃなければ砕けてしまう可能性がある。 ナギー『あ、わ、わわ……!!』 中井出「声がこっちから……ククク、そっちかぁナギ〜ィイイ……」 ナギー『ひぅっ!?ち、違うのじゃ!こっちではないぃ!!!』 中井出「こっちではない、か。じゃあこっちでいいんだなぁああ……!?」 ナギー『違うと言っておろうに!!く、来るでない!その棒でなにをする気なのじゃ!!』 中井出「もちろんスイカを割るのだぁあああ〜〜〜……!!     もっとも間違えて隣の頭をカチ割ってしまうかもしれんがなぁああ……!!」 ナギー『ひぃっ!?ややややめるのじゃぁああーーーーっ!!!』 藍田 「提督!そっちじゃない!右右!」 丘野 「ノー!もうちょっと左でござる!」 清水 「騙されるな提督!真っ直ぐだ!俺の意見が正しいぜ〜〜〜っ!!」 蒲田 「いいや斜め左だね!袈裟斬りして丁度いい位置だぜ!」 佐野 「いいやそこだ!その場でOK!振り下ろせ!」 中井出「ヌウ……ガァアアアアアッ!!!!ヒュゴォッ!! ヴァゴシャォオオンッ!!!! ビヂヂヂヂヂヂヂィイイッ!!!!!! 総員 『イギャアーーーーッ!!!     大地の土が魔笛散弾射のように飛んできたぁーーーっ!!!』 手応えは……解らん。 なにせ全てのSTRアップ状況に加え、 ジェノサイドサートとフルスイングまで混ぜたのだから、 手応えがあろうがなかろうが当たったら粉微塵になること請け合いだ。 もちろんこんな大胆なことが出来るのも、 しっかりとナビネックレスをつけていれば 死んでも復活できるということの確認を取ってあるからである。 ナギー『…………《こてり》』 藍田 「アアッ!ナギ助があまりの迫力に気絶した!!」 丘野 「そりゃそうでござる!地面にクレーターが出来てるでござるよ!?     あんなの喰らったら一撃で脳漿ブチマケるでござる!」 麻衣香「もちろん原中ルールにのっとって、     子殺埜殉毘中に気絶したものには水をかけます。ウォーターバレット!!」 キィンッ!ばしゃあっ!! ナギー『ひきゃっ!?つ、冷たいのじゃー!!』 中井出「───ソコカ」 ナギー『ヒキャーーーーッ!!?』 ナギーのよく通る声が絶叫となって俺の耳をつんざく。 だがナギーよ、安心するがいい。 この博光は貴様の心の準備が出来るまで、いくらだって協力を惜しまぬ覚悟……!! 中井出「さぁああーーーらばどぅあぁああーーーーーーーーっ!!!」 そうして、振り上げたバットをフルスウィングを遠心力さえ相乗させて一気に───!! ナギー『心の準備が出来たのじゃあぁああっ!!!』 中井出「ヌ!!」 ビッタァア!!!シュゴォッファァアアアアア……ァァン…… ナギー『……!……!!』 片手でバットを持った状態のまま、目隠しを取ってみる。 と、バットが巻き込んだ大気が風となって、ナギーの髪を揺らしているところだった。 そのバット本体といえば、 あと数センチでナギーの鼻っ柱につくといったくらいの距離にある。 で、見下ろすナギーはふるふると震え、その目にはじわりと涙が。 あ、やばい。 ナギー『ひぐっ…………ヒ、ヒロミツが……い、いじめ……《ゴキュリ!》へきゅう!!』 中井出「狼髏館……回頭閃骨殺!」 総員 『ゲゲェエエエーーーーーーッ!!!!』 泣く子は苦手なので眠ってもらうことにした。 さすがに今の状態は危険だから、そっと捻っただけではあるが。 本気でやったらスプラッタになってただろうし。 さて、気絶してるうちに地面から掘り返さないとな。 藍田 「す、すげぇ……!     泣く子を黙らせることはどんな大人にも困難だと言われているのに……!」 丘野 「それを、なんとまあ一瞬で……!」 麻衣香「ねぇ……“黙らせる”の方向性が明らかに捻じ曲がってるって解ってる……?」 岡田 「い、いや、あのナギーとかいうやつもよくやったぜ……!     まさかあの状況で脱出の糸口をはっきり口に出来るとは……!」 夏子 「言えなきゃ死んでたって。確か棲威袈把浬の第一犠牲者って誰だったっけ?」 蒲田 「中学3年の夏、プールで永田が……な」 麻衣香「あー、そうそう。夜の学校のプールに忍び込んで、     魔の第四コースリレーやったんだっけ。     それに恐怖した永田くんが心の準備が、とか言ったがために……」 島田 「そうそう、プールの中心に立って、ビート板で殴られたんだっけ」 岡田 「目隠しにタオル巻いてたのに見事に一撃だったよな」 永田 「しかもその後ホンモノさんが出てきて大変なことになるわで……」 田辺 「あー、あの弦月がカーフブランディングで除霊したやつな。あれすげぇ笑ったな」 灯村 「あれからだよなー、逆に幽霊と遭遇するのがどうでもよくなったのって」 丘野 「カーフブランディングでござるからねぇ……除霊方法が」 中井出「お蔭でコックリーニョ以外の霊にはあまり動じることがなくなってしまった」 まあそれはそれとして。 中井出「ナギーの心の準備は完了した!では飛び降りよう!時は待っちゃくれん!」 総員 『サーイェッサー!!』 ではだ!ナギーの脇腹貫手をドシュリと ナギー『ふきゃあっ!?』 中井出「大丈夫かナギー!しっかりしろ!!」 ナギー『う、うぐ……?わしは……』 中井出「うむ!亜空の瘴気にやられて気絶していたのだ!」 ナギー『そ、そうなのか!?ではさっきまでのは幻覚……!?』 中井出「そう……お前は悪い夢を見ていたんだよ……」 ナギー『ヒ、ヒロミツ……!』 総員 (すげぇ……平気でウソついてやがる……) 中井出「というわけで飛び降りるぞ?」 ナギー『うむ、解ったの……───じゃ?』 カクリ、とナギーの首が傾いた。 夢じゃなかったのなら飛び降りる筈がないとでも思っているんだろう。 中井出「なに!?まさか怖いから嫌だとでも!?」 ナギー『な、なにを言うのじゃ!?怖くなどないのじゃ!』 中井出「ではGO!!“握手(アクセス)”!!」 総員 『サーイェッサー!!』 ズガガガガガガガガシィッ!!!!(一斉に握手する音) 中井出「では───突貫ーーーーーーッ!!!」 総員 『サーイェッサー!!』 ナギー『あ、うあ、ままま待つのじゃーーーーーっ!!!』 中井出「なにっ!?貴様よもや心の準備が出来ていないと!?」 ナギー『ひうっ!?で、ででででで出来ているのじゃ!?もちろん出来ているのじゃ!?』 総員 (断言しつつも疑問系だ……可哀相に) 中井出「ではどうした!?よもやダイヴしたくないと!?」 ナギー『そ、そうなのじゃ!ちと急用を思い出しての!断じて怖いからではないぞよ!?』 中井出「離してほしいか?」 ナギー『ほ、ほしいのじゃ』 中井出「助かりたいか?」 ナギー『助かりたいのじゃ!』 中井出「だめだ」 ナギー『な、なんじゃとーーーっ!?ならばなんのために訊いたのじゃーーーっ!!』 そんなことはケンシロウにでも訊いてくれ。 中井出「というわけで全力ダッシュ&ダーーーイヴ!!」 総員 『オイサーーーッ!!』 ナギー『い、いやなのじゃあああーーーーーーーーっ!!!!』 僕らは走り、そして飛んだ。 途中、愚かにも恐怖したナギーが空を飛ぼうとしたが、 俺はそれをフェニックスドライバーで見事阻止。 さらにシードがナギーの魔力を相殺し、見事に自由落下が開始されたのだった。 藍田 「提督てめぇ!いきなり輪を乱すなよ!!」 中井出「なにを言うか!こうでもしないとナギーが逃げるだろう!」 ナギー『そっとしとくのじゃー!わしは地面に叩きつけられるのなんて嫌なのじゃー!!』 中井出「だめだ!べつに死ねとはいわん!     ただ空を飛ぶ能力であまりに普通に着地するのが許せんのだ!!     落下する時は落下するべきだ!死にたくなければ生きればいい!     だが浮遊して着地などというあまりに普通な着地方法など原中の名が許さん!!」 藍田 「そうだ!」 丘野 「その通りだ!」 総員 『よく言った!!』 藍田 「提督、俺が間違ってたぜ!輪になって落ちるなんてあまりに普通!!     綾瀬!俺にだけ小規模だけど回転力のあるサイクロンをかけてくれ!」 麻衣香「OK!“サイクロン”!!」 シュゴォッファアアアアアアンッ!!! 一瞬の躊躇もなかった。 しかしその結果、物凄い速度で藍田二等が横回転を開始する!! 蒲田 「い、いったい藍田のヤロウはなにを考えて……!?」 藍田 「トアァアーーーーッ!!!」 中村 「《ガッシィ!!》オワァーーーーッ!!?」 飯田 「ア、アアーーーッ!!サイクロンの風で回転した藍田が、     吹き飛びながらも中村の両肩を掴んだーーーっ!!」 藍田 「まだ私の体に残っている、     サイクロンを受けた際の回転と捻れのパワーをお前の体に転化させる!!」 ギュルルルルルルル!!! 中村 「ウワアーーーーッ!!!グオオ〜〜〜〜ッ!!」 丘野 「ゲエエ……!!藍田の体の回転がどういう原理か中村に移って、     中村だけが回転し始めたーーーっ!!」 蒲田 「し、しかも最初のウワアーは勢いよく言ってたのに、     自分が回転し始めた時のグオオ〜はまるで迫力がねぇ〜〜〜っ!!」 藍田 「そして、それに新たに回転と捻れのパワーを加えてお前の体を投げればーーーっ!     ロビン流───アイスロックジャイローーーーッ!!」 シュゴォッ!!ギュルギュルギュルギュルドゴォーーーーン!! 声  「ギャアーーーーーーッ!!!」 投げられた中村が物凄い勢いで地面へと飛翔し、 ついには地面に激突して粉微塵となった。 藍田 「……えーと」 佐東 「そりゃなあ……回転を高めて投げただけなら、普通はああなるよなあ……」 藍田 「ぬう……ならば!トリャタァーーーッ!!」 藤堂 「《ガキィッ!!》グワッ!?」 藍田 「カメハメ48の殺人技のひとぉーーーつ!!キン肉バスタァーーーッ!!」 藤堂 「キョホホホ、なにをするかと思えばそのような破られ続けの化石のような技……。     こんなものはホレ、首のロックが甘いのだから簡単に抜けられるーーーっ!!」 ズボォッ!! 藍田 「ア、アアーーーッ!!」 藤堂 「キョホホホホ!!あとは足を強引に外して《ガキィッ!!》いてぇ!?     ちょ、強く握りすぎだコラ!う、うわぁーーーっ!!逃れられないーーーっ!!」 蒲田 「その首のロック、俺が引き受けるぜーーーっ!ロビン・スペシャルーーーッ!!」 藤堂 「《ガッキィッ!!》ウワァーーーッ!!」 佐東 「と、藤堂の首が三角絞めのカタチでロックされたーーーっ!!」 飯田 「おっとそれだけじゃ終わらねぇぜ!ここからが俺達田圃ファミリーの真骨頂だ!     変則キン肉バスターの状態で固められた藤堂の背中から両腿に両脚を絡め、     さらに両腕を固めて背を預けるように仰け反る!オォラァーーーーーーップ!!」 グワァキイイ!!! 藤堂   「オギャワァアーーーーーーッ!!!」 下田   「さらにOLAPと全てのロックを確かなものにするために、       飯田の上から両脚に我が両脚を絡め、強引に腕を掴む!これぞ───       マァッスルリベンジャァアアアーーーーッ!!!」 田辺   「まだだぜ〜〜っ!!今度は俺が藍田の前から藤堂の両足に両足を絡め、       さらに藤堂の両腕を両脇でロック!これぞトーチャースラッシュ!!」 岡田   「さらに俺が背を預けるように藤堂の腕に腕を絡ませ!!」 島田   「俺が藤堂の両脚に両腕を絡ませれば!」 岡田&島田『巌流島ドロップの!完成だぁーーーーーっ!!!』 永田   「最後にこの俺がガラ空きの腰の部分をバッファローボムのカタチにロック!       マキマキマキマキマキ!!もう逃れられんぞ〜〜〜〜っ!!」 藤堂   「いででででででで!!やばいやばいって!       全然動け《メキキ!!》グエエ!喉が絞まる喉が絞まる!!」 田圃家族 『トドメを刺してやる!いけぇえええーーーーーーいぃ!!!』 グワァッキィイイ!!! 藤堂  「ギャアーーーーーーッ!!!」 佐東  「アアッ!それぞれが一気に力を込めることで、      藤堂の体を物凄い圧力が襲った!」 藤堂  「グ、ググーーー、お、俺をど、どうする気だーーー……」 田圃家族『あの世へ送ってやるのよォッ!!』 麻衣香 「MNDマックス!“ハイパーグラビテーション”!!」 ヴミンッ……ゴコォッシュゥウウウンッ!!!! ただでさえ苦しそうな状況の最中、さらに麻衣香が猛者の塊に重力魔法をかける! と、その姿が一気に地面へと落下してゆくではないか!! 藤堂  「グゲッ……!も、物凄いGだ〜〜〜っ!!      ば、馬鹿な〜〜〜、なにを考えている〜〜〜っ……!      このまま地面に激突すれば、貴様らとてただではすまんのだぞ〜〜〜っ……!」 岡田  「……どうして解らないかな」 島田  「見なよ、この素晴らしい合体技」 蒲田  「俺達は楽しいんだ。滅多に出来ないこんな空中遊びが出来て」 田辺  「“ただでは済まない”んじゃない。      “ただでは済ませたくない”んだ。解るだろ?」 藤堂  「意味……解んねぇよ……素晴らしい……?済ませたくない……?      じゃあ無事でいられる保証はあるのかよ……」 下田  「無いよ」 藤堂  「なんだよそれ!それでもし皆が死んだらどうするんだよ!」 永田  「そんなの決まってる」 藍田  「本望さ」 藤堂  「って!BLEACHの十一番隊の真似してる場合かぁーーーーっ!!!      は、離せ!ヒィ離せぇええええっ!!」 田圃家族『無駄だ!この技は一度極められたら絶対に逃れられん!!』 藤堂  「そんなのやられてる俺が一番解ってるよ!      だから離せってヒィ!!地面がすぐそこに!」 藍田  「フフフ……これぞ田圃家族の即席合体技……!!      NIKU→ROBI→LAP→MUS→SLA→GAN→BOM!」 藤堂  「そんなヘンテコすぎる名前の技で死ぬなんて嫌だぁあああああっ!!!」 ───こうして。 藤堂くんは田圃ファミリーの魔の手から逃れることなくドグシャアア!! 声  『ウギョアァアーーーーーッ!!!!』 田圃ファミリーもろとも、粉微塵になって消えたのだった。 フフフ、待っていろ猛者どもよ……。 我らは貴様らだけを殺したまま生きん……。 ナギー『の、のうヒロミツ?     なにやら他の猛者たちから随分と離れていっているような気がするのじゃが……』 中井出「フフフ、高いところから落ちる場合、俺とあたったヤツは厄日だぜ。     “不死鳥落とし”(ファニックスドライバー)!!」 心配するナギーの腕と足をさらにロック! このまま落下することなど怖いが怖くないと言っておこう!! さあ!レッツビギンだーーーっ!! ナギー『ふっ……甘いのじゃヒロミツ。シードから離れたのは迂闊じゃったの!』 ズッ……スルッ。 中井出「ゲ、ゲェエーーーッ!!     もんがー以外に脱出不可能といわれたこの技から逃れた!?」 ナギー『わしとて日々成長しておるのじゃ!     いつまでも振り回されっぱなしではないのじゃーーーっ!!』 中井出「甘い!完璧!マッッスルスパァーーーク!!」 ガキィッ!! ナギー『ふっ……よく解らぬがこんなもの、わしには通用せんのじゃー!!』 ズル……ズズズッ!! 中井出「ゲゲエ!!小柄な体を利用して、キン肉族三大奥義の中でも至高中の至高、     マッスルスパークを躱してみせただと!?」 ナギー『ではさらばじゃー!わしはひとりでも助かってみせるのじゃー!』 中井出「甘い!!」 近づく地面を前に、ナギーの両腕を掴んで我が身を回転させる!! ナギー『わっ!?ななななんなのじゃー!?』 中井出「トルネードフィッシャーマンズスープレェーーックス!!」 ナギー『ひきゃあ!?いやなのじゃーーー!!』 ギッ……ギギギギギ!!! 中井出「ぬおっ!?落下速度を強引に殺すだとぅ!?」 ここに来て強引に浮遊を実行したナギーが、俺達二人分の落下速度を殺してゆく! くそ、あと少しで地面だというのに! ……いや、べつに死にたいわけじゃないんだけどさ。 ガッシィッ!! 中井出「のぅわっ!?」 しかしそんな思考も束の間! 何者かが俺の足を掴んで─── 佐野 「貴様だけ我らから逸れて助かろうなんざ許さねぇ〜〜〜っ!!」 佐野だった。 佐野が俺の足を掴み、さらに他の猛者とも手を繋いでいるのだ!! これにはさすがのナギーも耐え切れず、 やっぱり落下───い、いや!なんとこのヤロウ、耐えてやがる!! ナギー『う、うぎぎ……!落ちるのは嫌なのじゃ……あああ〜〜〜っ!!』 中井出「す、すげぇ!ここまでくると落下がどうとかよりすでにすげぇ!!」 声  「ヌワッヌワッヌワァ〜〜〜ッ!!     しかしそんなひとりだけ助かろうなんて根性は俺が許さねぇ〜〜〜っ!!」 ドガッ!ドゴッ!ドスッ!ゴシャッ!! 声  『アゥアァアーーーーッ!!!!』 中井出「ぬう!?何事だ!?」 佐野 「ほ、報告しますサー!     丘野の野郎が器用に人の顔面踏みつけながら駆け上ってきております!!     しかもその拍子に猛者どもが次々と落下を!!」 中井出「な、なにぃーーーっ!!?」 丘野 「己の妻とて容赦なし!全て叩き落して我ここに推参!!     くらえ佐野!カーテンコールキックだぁーーーっ!!!」 ドドスドスドスベキョメキャ!! 佐野 「うべぶぼべごべ《ズルッ!》オゲ!?ギャアーーーーーッ!!!!」 顔面を足で踏みつけまくる丘野くんの猛攻に耐え切れず、 ついには俺の足を離してしまった佐野が落下!! それに反比例するようにナギーのフルパワーによって空へ向かう俺とナギー! そして丘野くん! さらに今さら気づいたが、その背にはシードが!! 丘野 「さあシード!偉大なる提督の名の下、     原中の名に恥じぬためにナギーの力を殺すのだ!」 シード『僕に命令するな!!』 バヂィッ!! ナギー『あうっ!?』 言いつつもしっかり力を封じるシード。 ああ、これで我らも落下するのか。 ならば!! 中井出「ヘイテリー!!」 丘野 「オーケーキン肉マン!!」 ガッ!ガッシィイッ!! 中井出   「カメハメ48の殺人技のひとつ!キン肉ッバスターーーッ!!」 丘野    「48の殺人技プラスワン!!キン肉ッドライバーーーッ!!」 ナギー   『うわわっ!?なにをするのじゃヒロミツ!』 シード   『貴様!この僕に対してなにを───』 中井出   「いくぜテリーマン!」 丘野    「おう!」 中井出&丘野『マッスルドッキングーーーーッ!!!!』 ガッキイイ!! 空中で俺と丘野が肩車の状態で合体する! しかしこの博光、ただでは逝かん!! 中井出「フハハハハ!テリーよ!俺を上にしたのは失敗だったなーーーっ!!」 丘野 「なにーーーっ!?ど、どういうことだキン肉マーーーン!!」 中井出「地獄レッグネックロックーーーッ!!」 丘野 「《グギギギィ!!》オパァーーーーッ!!?」 肩車状態で丘野の喉を足で絞める!! 中井出「さらにこの状態で6を9にすれば〜〜〜っ!!」 丘野 「ざっ……ざぜるがぁ〜〜〜っ!!」 中井出「ヌッ!?」 体勢を入れ替えることを丘野くんが阻止した! だが甘い!まるで甘いことよ!! 中井出「メイルストロームパワーーーッ!!!」 ジャガァッキィイインッ!!!《中井出のマグニファイが発動!》 丘野 「ゲェエーーーーッ!!!」 中井出「ふはははは!超人強度が二倍となったこの俺の力に、     貴様の超人強度で抗えるかな〜〜〜っ!?そうらぁーーーーっ!!!」 ゴォッ───ギュルンッ!! 丘野 「ア、アアーーーッ!!」 そしてついに6が9になる瞬間が訪れた! 中井出「さあ受けてみろ!ロビンの法則からすると、     重いものを装備していると落下速度も速まるらしいからなー!!     ギガノタウロスの斧の付属能力、グラビティ!!     その重さを利用し落下速度を上げて(?)首を極める奥義!     リバースキン肉バスターロビンスペシャルーーーーッ!!!」 丘野 「グ、グウウーーーッ!!ただでやられる俺じゃねえーーーっ!!     このままではシードになんの衝撃も伝わらねぇじゃねぇかーーーっ!!     ならば俺も!トワァッタァアアーーーーーッ!!!!」 ガッキィイイ!! シード『うわぁっ!?』 丘野 「掟破りのロビンスペシャルドッキングーーーーーッ!!!!」 中井出「いいぞマンモスマンよ!我が知性チームの勝利のために     よくぞそのような高等技を温存しておいたーーーっ!!」 丘野 「…………」 中井出「《ガキキッ……》ぬ?」 丘野 「この技はおまえたちに裏切られた時の復讐のために     温存しておいた技だーーーっ!!」 中井出「な、なにーーーっ!?正気かマンモスマーーーン!!」 なんと!首を絞めている我が足をしっかりと掴み、 足ではシードの首を絞めてニヤリと笑う丘野くん!! し、しまった!この体勢は───! 丘野 「九龍城落地(ガウロンセンドロップ)ーーーッ”!!!」 なんという迂闊!この体勢だ!肩車というこの体勢が悪かったーーーっ!! まさかこの博光がドゴロシャァアアンッ!!! 総員 『ルヴォアァアーーーーッ!!!!』 思考の途中でとうとう落下は終わったのだった。 もう何も語ることはないだろう。 一番下のナギーは当然即死、次の俺はナギーの肩に首を乗せるカタチだったわけで、 バスターと落地の衝撃で首の骨が砕け、 丘野くんはもちろん俺のロビンスペシャルで首崩壊。 シードも丘野くんと同じ道を辿り、 結局のところ助かった者など誰ひとりなく今回のダイヴは幕を閉じたのだった。 なにやってんだろうねぇ、俺達……。 Next Menu back