───冒険の書123/ロードオブザリングの呪い───
【ケース335:弦月彰利/お空の大陸で】 ズシャア…… 彰利 「ギョウ」 皆様がそれぞれの帰るべき場所へ帰る中、俺は元素大陸……つまり浮遊島に来ていた。 すると……おるわおるわ、鍛錬に励む猛者ども。 原中生『噴ッッ!!覇ッッ!!噴ッッ!!覇ッッ!!』 広い武舞台の上で、 まるで中国拳法の鍛錬をするかのようにバオッ!バオッ!と体を振るっている。 それが終わると次はマクスウェルのじっちゃんが用意した敵との戦い。 一人一人が戦っていき、しかしその経験値は全員に行き渡るというモノ。 どうやら全員が全員パーティー編成をしているようで、 かなり効率よく経験を積んでいるらしい。 加えて、平凡一市民だった皆様には圧倒的に足りなかった戦闘経験も蓄積され、 これはある意味一石二鳥の鍛錬となっているようだ。 マクスウェル『うむ、そこまで』 全員    『押忍ッッ!ありがとうございましたッッ!!』 と、なんのかんのと傍観しているうちに鍛錬は終了。 原中の猛者どもや一般市民の皆様は汗を拭うと、 次はガヤガヤと話をしながら建物の中へ。 俺はもちろんそれを追うようにして、 しかしバレんように藍田くんの影にゾブリと沈み込むと、その後を辿った。 ───。 ややあって───辿り着いたのは食堂。 その奥では精霊野郎ことホギッちゃんと、小僧こと霧波川凍弥が腕を振るっていて、 出来上がった先から次々と容器によそっていっていた。 まるで何処かの収容所だな。 人々が体を動かし、時間が来れば並んでメシを受け取るといった感じだ。 それでもガヤガヤと騒いでるのは、彼らが罪を犯したわけではないからなのでしょう。 藍田 「ジョワジョワジョワ、いい汗かいたぜ〜〜〜っ!」 丘野 「ヌワッヌワッヌワッ、どおれこの調子で夜の部も鍛えてやるか〜〜〜っ!」 閏璃 「しかし体を動かしたあとのメシのなんと美味いこと」 鷹志 「作ってる穂岸の腕もいいしな」 フォル『さあ稔さま、私が食べさせて差し上げます』 柿崎 「えっ……いや、みんな見てるし……」 フォル『構いませんわ。見せ付けてさしあげましょう?』 柿崎 「や、やはははは……照れるな……」 閏璃 「なぁパーシモン。暑苦しいから毒盛っていいか?」 柿崎 「ほっ……!本人を前になんてことを!!」 グーヴ、なるほど……。 確かにこの人数でやれば随分と効率もあがるというもの。 見れば、こやつら既にレベルが700近くにまで達しておるわ。 ……えーと、もしかしてオイラヤバイ? 皆様に置いていかれ放題? そ、そうはさせねぇ〜〜〜っ! こうなりゃじっちゃんに頼んで俺にはもっと過酷な修行を用意してもらうぜ〜〜〜っ! ちと地上のイベントを蔑ろにしてしまうことになるが、 それでも今は自分より他の誰かが強くなることに焦りを感じる! そうと決まればゴー!ニコガクゴー! ───……。 そんなわけで─── 彰利    「じっちゃん、オイラに稽古つけて?」 マクスウェル『ふむ……力の先に何を望む?』 彰利    「友との未来だ!」 マクスウェル『ふぅむ』 最近気になって仕方が無い。 悠介のヤロウ、隠し事するのも大概にしなさいよってなモンだが、 しかしヤツは俺が強者になることを望んだ。 それってつまり、俺がまず強くならなけりゃ始まらないってことだろ? だったら俺は上を目指さなきゃならん。 あいつが、俺が強くならなけりゃ世界が崩壊するって言ったなら、 この世界はどんなカタチであれほんとに崩壊するんだろう。 ただ“俺達の世界”が崩壊するのか、それともこの地界自体が崩壊するのか。 そこんところは解らない。 しかし何もやらないままで崩壊したあとに後悔するんじゃ遅すぎるんだ。 俺は……今の状況が好きだ。 みんなでバカやって、近くに悠介が居る今の状況が。 そんな“日常”っていう世界を壊されるのはゴメンだ。ゴメンすぎる。 だからオラは強くなんなきゃなんねぇんだ! マクスウェル『どうやらおぬしの中には強い力が眠っておるようじゃな。        そしてまだおぬしはそれを扱いきれておらん』 彰利    「ヌッ……そ、その通りだ〜〜〜っ」 マクスウェル『何故操りきれぬか解るか?』 彰利    「それは……オイラの経験不足?」 マクスウェル『違うのぅ。それはおぬしが強者になることを自然と恐れておるからじゃ』 彰利    「ぬ……?俺が?そげな馬鹿な。俺は誰よりも強者に憧れる猛者だぜ?」 マクスウェル『ほほう?では強者に至ったのち、        もし今まで自分よりも強者だった者に降りかかっていた面倒ごとが        自分に降りかかるとしたら、おぬしはそれを良しとして受け止めきれるか』 彰利    「お待ち!今はそげなこと関係ないでは───」 マクスウェル『あるんじゃよ。おぬしにはその覚悟が足らん。        あのモミアゲの長い少年……あやつはいい目をしておった。        自分が強くなり、守りたい者を守れるなら        どんな面倒ごとをも受け止めるといった顔じゃ。        おぬしにはその覚悟が圧倒的に足らん』 彰利    「グ、グウゥ〜〜〜ッ」 またか……?またなのか……? それじゃあ俺って足りないものに満ちすぎてるじゃん……。 せっかく南無と融合しても、これではまるで変わらんではないか。 マクスウェル『では問おうか。おぬしは自分が強くなるのは友人の未来のためと言った。        じゃがその実、自分は面倒ごとを背負うのは嫌だと言う。        あまりに矛盾しておるとは思わんか?何故そんな自分に至った』 彰利    「ぬ、ぬう、それは……」 それは、悠介がなんでも解決してくれるっていつの間にか思っちまってたから、か? いや、きっとそうだ。 ようするに俺は、なんでもソツ無くこなす悠介って存在に安心し、頼りすぎてたんだ。 だってそうだろ。 自分より物事を上手くサバけるヤツが居るのに、 ヘタな俺がしゃしゃり出てなんの得がある? そんなだから、自分は自分の得意なことだけをしていればいいと─── マクスウェル『そんなだからいざという時、守りたいものを守れないんじゃ。        躊躇は深淵に篭るものじゃ。        そうした頼る姿勢が体に染み付けばホレ、        いざという時も自分より上手く助けられるヤツが居るなどと思い、        その行動が一手を遅らせる。この世界は広い。        その一手のうち、どれだけの行動が出来る者が居ると思う』 彰利    「グ、グウウ……」 ぐぅの音も……出てるけど出ない。 まいった、正論すぎて反論出来ない。 マクスウェル『さて、それでは本題じゃ。おぬしは今の自分より強くなりたいと思うか?』 彰利    「もちろんだ!文部省認定!」 マクスウェル『ではその力をなんのために使う』 彰利    「うだうだ言っても埒も無し!今だけは“自分のため”と言っておこう!!」 マクスウェル『そうか。ならば───いいじゃろう。        仲間のためだ友のためだと言うのは強くなってからにせい。        仲間を思う気持ちは大事なものじゃが、        己を高めようとする者が己を高めることのみに集中せんで、        どうして己を高めることが出来ようか』 彰利    「じっちゃん……」 マクスウェル『ではおぬしに稽古をつけてやるとするかのう。        どれほど強くなりたいんじゃ?』 彰利    「えーと、今この世界で一番強ぇええヤツって誰?」 マクスウェル『レベル1721、あの中井出博光という男じゃな』 彰利    「ブホォーーーーーッ!!?」 1700台!?すげぇ!いつの間に……って、エーテルアロワノンに置いていったときか。 それこそこれでもかってくらいに アンデッドモンスターどもをコロがしまくったんだろうなぁ。 マクスウェル『敵も味方も関係なく言うのであれば、間違い無くジュノーンじゃろうな』 彰利    「うあ……」 マクスウェル『心、技、体で言えば晦悠介、力のみで言えばゼット=ミルハザード。        レベルの高さで言えば中井出博光、姑息さで言えばおぬしじゃ』 彰利    「うわー、すげぇ言い方」 でも……そっか。 中井出のヤツ頑張っておるのね。 さすが面白いことをこよなく愛する男。 彰利    「で、中井出が今なにやっとるか解る?」 マクスウェル『巨人の里で大暴れしておるぞい。        どうやら斉王が死滅したことを報せに行こうとしたところを、        侵入者と間違われて襲われておるらしいがのぅ』 彰利    「うわぁ……」 さ、さすが面白いことをこよなく愛する上に、 難癖付けられて巻き込まれやすい僕らの提督。 彰利    「大丈夫なん?」 マクスウェル『なぁに、ゼプシオンにならまだしも、        そこいらの巨人になぞ負けはせんじゃろ。        あやつは楽しみながらもしっかりとした意思を持っておる。        思うんじゃがおぬし、        力を得ても使い道があるのかどうかと悩んでおるのではないか?』 彰利    「アオウ、マサシクソノトオリデスネー」 そういや俺、使い道が無い力になんの意味があるんかなぁとか最近よく思ってるし。 だってさ、いくら危機が迫ってるっつーても、今やゼットまで味方状態の我らだよ? そうそう負けることなど……ねぇ? 俺だって鎌の解放が思いのほか上手くいってるし、この状態で体に戻れば相当強いぜ? これは慢心とは関係なしの力量って意味でね? マクスウェル『しかしそれならば何故強くなりたいと願う?』 彰利    「そら、悠介が───ぐあ」 やべぇ……ちょっとお待ち? つーことはだよ?もしかして“俺自身”に強くなりたいって願望が……無い? マクスウェル『どれだけ勇もうが、        おぬし自身が強くありたいと願わなければ意味がないぞ?』 彰利    「いや……ちっと待って」 嫌なことに気づいちまったもんだ。 つまるところ俺は、適当に強くなって、 適当に強かったらそれでいいとでも思ってたってことか? ……否!断じて否! 俺は確かに守りたいもののために強くなってきた筈だ!それが───! 彰利 「か、考えても仕方がねぇ〜〜〜っ!!     この俺の意思が他人のために強くなることを望むなら、     俺はそうあるべきだと判断したぜ〜〜〜っ!!」 でもさ、ついさっき自分のために強くなると決めた俺がそれでいいんでしょうか。 やべぇ、自分が解らなくなってきた。 マクスウェル『……ふむ。おぬしにはまず精神修行が必要のようじゃな。        その中で自分の意思をきちんと知るのがよいじゃろ』 彰利    「……頼んます」 このままではいかんデショ。 だから俺は強くなる。 強くなって、強さに関して誰も頼ることのない男に───なれるといいね? ともかく俺はやる!どーんとやったるでい! そんな心を胸に、じっちゃんが歩いてゆくあとを追うように、歩を進めるのでした。 【ケース336:中井出博光/パイルバンカーバスターバリエーションパートファイブ】 ジョガガガガガガガギゴギゴシャベキャバガァッシャァアアアアアンッ!!!!! 巨人42「ぐおぁあああああっ!!!!」 中井出 「四十ゥッ……ニ体目ぇっ!!」 六閃化+次元斬(小)の力により、一撃で二十四閃を─── 即ち両手で四十八閃を放てるステキ状態で巨人どもをバッタバッタと薙ぎ倒す!! 巨人43「馬鹿な……!我々巨人族がこうも簡単に……!?」 中井出 「我々巨人族がとか言う前に一人で向かってこようよ!!      多勢無勢で襲い掛かってきて      “我ら巨人族が”とか言っても全然かっこよくないよ!?」 巨人43「黙れ!やはり人間ごときがランククィーンなどと、認めるわけにはいかん!」 中井出 「またそれ!?貴様らようは人間が気に食わないってだけじゃん!!      力を試すための闘技場を用意しておいて、      よくもまあそんなことが言えたものだ〜〜〜っ!!」 巨人43「黙れと言っている!脆弱な人間ごときがぁああっ!!」 巨人が構える! その手にはやはり巨大な斧! もう勘弁してもらいたい。 巨人の攻撃を受け止めるだけでもどれだけ大変か貴様は解っているのか〜〜〜っ! 声    「いいや、その男の言うとおりだ」 巨人43 「あぁ〜〜〜んっ!?───はっ!はああ……!!」 中井出  「な、なにーーーっ!?お、お前はぁーーーーっ!!」 ゼプシオン「武器を納めろバルトロ。お前が敵う相手ではない」 中井出  「ど、独眼鉄ーーーーっ!!」 見上げれば、バルトロと呼ばれた巨人43の後ろには……なんと英雄王が! 巨人43 「お、王……!しかし……!」 ゼプシオン「民が無礼を働いたな。詫びよう」 ……とりあえず独眼鉄に関してはスルーしてくれるらしい。 そっちのほうが安心かも。 ゼプシオン「用件は解っている。アハツィオンのことだろう」 中井出  「へ、へえ……その通りで」 グレートな立ち振る舞いを見るに、 俺は何故か時代劇の下っ端みたいな返事を返してしまった。 落ち着こう、うん。 中井出  「報告する。えっと……アハツィオンは、       封印作戦の途中でジュノーンに襲われ、破壊された」 ゼプシオン「…………やはりか」 中井出  「え……やはりって?」 ゼプシオン「ジュノーンが瘴気を増幅させることで強くなることは知っていた。       ともすれば、瘴気を生じさせながら生きる       斉王となったアハツィオンをほうっておくわけがない。       大方、破壊とともに吸収したんだろう?」 中井出  「……ビンゴ」 さすがに歴戦の勇者は物分りが良くて助かる。 これでゼプシオンまでがコチコチの石頭だったら、 もうどうしたものかって思ってたくらいだ。 ゼプシオン「破壊されたのは残念なことだが、       あのまま徘徊する躯と化したままよりは幾分マシというものだろう。       お前達は我らの願いを実行しようと努力してくれた。それだけで十分だ」 中井出  「お、おお……それならよかった」 ゼプシオン「では、だ。次の用事に入ろうか?」 中井出  「え?あ、やはは……解ってた?」 ゼプシオン「気にすることはない。       闘技場であろうとなかろうと、真剣に戦い敗れたのは事実だ。       既にここに用意してある。受け取るといい」 デッテーゲデーテーテテーン♪ コシャンッ♪《ランクキングの賞品を受け取った!》 中井出  「お、おお!これはありがたい!」 バルトロ 「ランクキング……!?まさか!」 ゼプシオン「いいや、そのまさかだ。多勢ではあったが私は敗れた。故の報酬だ」 バルトロ 「王に勝つとは……!し、信じられん……!」 そりゃそうだって。 だって勝ったの俺じゃないもの。 ゼプシオン「自分に受け取る権利は無いなどと思うな。       お前は私の鎧を破壊してみせたのだ。       その力、その勇気だけでもその褒賞を受け取るに値するものだ」 中井出  「………」 勇気か。 勇者の武具には認められんかったけど、それでいいんだろうか。 ……いいか、英雄王が認めて頷いてくれてるんだから。 むしろ俺は俺らしくこの世界を楽しむべきだ。 ……竜との戦いはかなり怖いものがあるけど。 中井出  「では、遠慮なく受け取っていく。       そしてこれより俺は精霊の力の解放のため、竜の住処へと向かいます」 ゼプシオン「精霊の解放か。精霊の力が封印されたことがあると、話には聞いていたが。       お前一人で平気なのか?」 中井出  「やれるところまで全力でやるのみ!」 むしろこの緊張感や恐怖さえも楽しもう! それが我らの原ソウル! ……我らっていっても俺しか居ないんだけどさ。 中井出  「ではさらば。縁があったらまた会いましょうぞ、英雄王」 ゼプシオン「ああ。持て成しはしてやれんが、いつでも来るといい」 ともあれ、用事を済ませた俺はズズンと群がる巨人たちに背を向け、 先を急ぐことにした。 えーと、確か向かう先は東だったよな? ───……。 ……。 ザアアッ……ザァアア…… 心地よい風に揺られる草を眺めていた。 目に映る景色は瘴気に飲まれ始めてるとは思えないほど綺麗で、 俺はそんな景色の中に腰を下ろし、食事をとっていた。 エィネ『食事も作れるんですか』 中井出「これでもずっとじーさんのメシとか作ったりしてたから。     腕には自信がございます」 大木の木陰を陣取るように用意した調理セットを使い、のんびりと食事を作る。 時折風に煽られる炎の様がなんとも穏やかだ。 見渡してみてもモンスターは居ないし、のんびり出来そうだ。 中井出「よし、あとはゆっくり煮込むだけ、っと」 エィネ『いい香りがしますね』 中井出「これで嫌な匂いしかしなかったらショックだって」 エィネ『それもそうですね』 俺の言葉にくすくすと笑うエィネさん。 時折自分の体くらいに大きいお玉を掴んでは、 俺がやっていたようにゆるゆると鍋の中身を掻き混ぜている。 そんな穏やかな光景の中で、 俺はバックパックからゼプシオンに貰ったキングの褒賞を開けてみる。 すると───ガシャガシャシャンッ♪ 《賞金1000000$、覇王の勲章、皇帝の指輪、秘密箱を手に入れた!》 中からアイテムが飛び出した! つーか金多ッッ!!百万!?おおこりゃすごい! それと勲章、指輪、……秘密箱!?なにこれ!! 中井出「……《ゴ、ゴクリ》」 調べてみるべきか?……べきだろう。 ではいざ!調べる発動ォオオ!!  ◆秘密箱───ひみつばこ  使うと何かが起こるかも?一度使うと消滅するが、ある工夫をするといつまでも使える。  それ以外はひ・み・つY  *神冥書房刊:『パンドラの箱よりは多分マシさ』より 中井出「………」 ますますナニコレ。 使うと何が起こるか解らない……? しかも一発博打みたいなもんなのか……。 ある工夫……?解らんことだらけだ。 中井出「じゃあこっちは?」  ◆皇帝の指輪───こうていのゆびわ  FF11で言うところの女帝の指輪のグレードアップ版。  装備している限り経験値が倍になり、しかしTP消費が5倍になる。  経験値倍程度だというのにコストが5倍というショボイのかありがたいのか解らない物。  しかし他の経験値倍化能力と同時行使が可能。それが唯一の有り難味だろう。  *神冥書房刊:『時間制限無しだから条件が厳しいんだと思う』より 中井出「………」 経験値倍化系か。 おおう……これ凄いのか凄くないのか。 でも霊章と合わせると……上手く立ち回れば経験値16倍!? ヒィ!!凄すぎて逆に怖ェよぅ!! でもTP消費5倍はいくらなんでもヒドイと思います。 双牙旋空衝とか使うと一振りでTPが100消滅するんですが……? あな恐ろしや……! 中井出「でもこれならザコと戦うだけでも十分すぎるんじゃないか?」 ……まあいいや。 TPに頼りすぎて苦労しないように、これは一応つけておこう。 指につけて、と───ズズッチュゥウウウン……!! 中井出「あ、あれ!?ちょいと!?ヒィ!指輪が指にめりこんでゆく!!」 なにかヤバイ!取らねば───ぐあ!完全に入り込みやがった!! もしかしてこれ呪いの指輪!?お、お助けぇええ!! エィネ『……指の中に消えちゃいましたね……』 中井出「あ、あわわ……」 ひでぇ……ひでぇよ英雄王……。 俺になんの恨みが……? そんなに鎧を破壊したことを怒っていらっしゃったのですか……? ピピンッ♪《皇帝の指輪が霊章輪と融合した!》 中井出「……はえ?」 ……え?融合? 中井出「《カラカラカラカラ……キンコーン♪》そ、そうか〜〜〜っ!     霊章輪の野郎は指輪系のものは全部食っちまう力を持っていたのか〜〜〜っ!」 って、そんな滅茶苦茶な……。 あのじーさん、そんなこと全然教えてくれなかったぞ……? しかも……見てくれこのステータス。 稀昂双剣の“技術スキル効果UP”の所為で、 経験値は3倍だけどペナルティの消費TPが8倍になってる……。 俺……泣いていいですか? 中井出「俺……もう二度と指輪はつけないことにする……」 エィネ『は、はあ……よく解りませんが……』 事情を知らないエィネさんは困惑するばかりだった。 はぁ〜〜〜ああぁあ……ペナルティ重すぎだろこれ……。 そりゃ今までが上手くいきすぎてたんだろうけど、それにしたってもう少し、さぁ。 えーと……双牙旋空衝の剣閃一発が消費TP20として……一発160消費かよ……。 そりゃ、レベル1700台行ってるからTPもかなりあるけどさ。 嬉しいのはこの世界だとHPもTPも上限が無いことだけど。 HP24992、TP7423。 これだけあっても一発160じゃああまり無茶が出来やしない。 それにこれだけのHPがあってもゼプシオンの一撃でも死ぬほどだったからすげぇ。 どういう攻撃力なんだろうね、彼。 エィネ『あの、この勲章は?』 中井出「女王の勲章も調べてみたけど、特に効果が無かったような……」 それでも調べるを発動。 すると、  ◆覇王の勲章───はおうのくんしょう  巨人の里の闘技場を制覇した証。  この証を持つことは遙かに高き誇りを持つ事と同じ意味を持ち、  これを持つ者には剣の加護が与えられるという。  しかしその加護がいったいどんなものなのかはまるで謎のまま。  ゲームなどでよくあることだが、なんの役にも立たない可能性は大である。  しかし女王の勲章と合わせることで、  とある条件下にあればなにかしらの奇跡が起こることも……?  *神冥書房刊:『通常ならば厳しい条件なのですがね?』より 中井出「………」 どれもこれも単品では役に立たないものばっかりってことか。 女王の勲章は……一応あるな。 これも融合するってのか? 中井出「ふむ」 コチン、コチンッ……と、合わせてみるも、なんの反応も無し。 なにをどうすりゃ奇跡が起こると? ……ポク、ポク、ポク、チーン♪ 中井出「そ、そうか〜〜っ」 わ、解った〜〜〜っ! 中井出「猫だ!猫の力が必要だ!エィネさん!猫!猫が何処に居るか解るか!?」 エィネ『猫ですか?さぁ……』 中井出「だよね……」 仕方ない、ならば───tell:豆村みずき、っと。 ナルルルル……トルルルル……ブツッ。 声  『ほいっ、こちら豆村鍛冶!』 中井出「いつ独立したんだ貴様」 声  『いやぁ、ほんの冗談ですわ。で、そちらは中井出さん家の提督さんで?』 中井出「………」 いつから俺の名前は提督になったんだろう。 まあいいや。 中井出「そこにアイルーは居るか?」 声  『いや居ないけど。なんでも月に一度の猫の集会があるとかで、     故郷に戻るニャとか言ったっきり戻ってきてない』 中井出「………」 うおうまた面倒なことに。 もはや鍛冶っていったら猫以外に頼む気はないというのに。 中井出「猫の故郷が何処にあるかは───」 声  『知らないや』 それもそうか。 うむよし、では自分でなんとかするしかないだろう。 中井出「そか、用件はそれだけだから切るぞー」 声  『あ、もしかして注文スカ?だったら俺が───』 中井出「間に合ってます」 声  『え!?ちょっと!間に合ってないから連絡よこしたんじゃ───』 ブツッ。 ふぅ、危なかった。 もう少しで逆探知されるところだったぜ。 ……される心配なんて無いけど。 みんなも電話は30秒以内にしとこうな?じゃないと逆探知されちまうぜ? もちろんそんなことは無いと思うけど。 中井出「よし。それじゃあエィネさん」 エィネ『寄り道ですか?』 中井出「イグザクトリィ!(その通りでございます!)     で、早速で悪いけど猫の里とやらが何処にあるのか知らないか!?」 エィネ『いえ……』 中井出「そ、そっか」 ウムムム〜〜〜ッ、こ、これはどうしたものか〜〜〜っ! お、俺としてはアイテムや武具で何かが起こるというのなら、 なによりもまずそれを試してみたいのだが〜〜〜っ! って、マップ見りゃいいんだよな。えーと…… 猫、猫、猫……っと。 豆の集落があるくらいだ、きっと何処かに猫っぽいところが───あ、あった。 名前なんてなにも書いてないけど、猫の形をした森がある。 中井出「よし、じゃあここに行くとしますか。でもその前に、と」 丁度よくくたくたと煮えてきた鍋を前に、ニコリと微笑んだ。 なによりもまず腹ごしらえさ。 押忍、いただきます。 中井出「エィネさん、こういうの食える?」 エィネ『はい、平気です』 中井出「そりゃよかった、じゃあ」 木彫りの器に鍋の中身をよそり、パンと一緒にエィネさんに渡す。 俺も同じ量をよそると、手を叩き合わせて食事を開始するのでした。 Next Menu back