───冒険の書128/あなたの愛剣、鍛えます───
【ケース345:中井出博光/そして夜は明け───】 ホォ〜〜〜……ホ〜ゥケキョッキョォーーーーッ!! 中井出「うぐいすなのかニワトリなのかぁーーーーーーっ!!!」 よく解らん鳴き声に、がばーーっ!と起きた。 で、辺りを見渡せば……昨日と同じ猫の里。 あれから結局シードを見送り、 エィネとナギーとともにドンチャカ騒ぎをして楽しんだ俺は、 猫の宿で崩れるようにして寝たのだった。 そィで目覚めてみれば…… ナギー『うぐぐ……なんなのじゃー……』 エィネ『起床時に急に起き上がると血液の流れの問題で体調不良を起こしますよ……?』 何故か俺の腹の上で寝ていたらしい二人が、無駄に長いベッドの先に転がっていた。 ベッドが無駄に大きい以外特徴が無く、 部屋も一つだから一緒の部屋なのは解るが……何故腹の上? 中井出「朝か……ん、くぁ……あ〜あっと……」 寝惚け眼に伸びをして意識を覚醒させる。 さて……とうに夜は明けたわけだが、猫達は…… 声  『〜〜ッ!?〜〜!』 声  『〜〜ッ!!』 声  『……、……?』 声  『……!』 声  『───!ゴニャーーーーーッ!!』 まだやってるようだった。 元気のいい叫びが聞こえた。 しかしあんまり長引くと、このイベント自体が長引いてしまうのではなかろうか。 いったい誰が風の力を解放したのかは知らんけど、 どうせなら俺も解放の手助けくらいしてやりたい。 とはいえ出来てないなら仕方ないといえば仕方ないっつーか…… あとどれくらいかかるんだろうなぁ、本当に。 あの人数……いや、猫数を以ってしてもこれだけかかってるんだ、 相当に大掛かりなんだろう。 なにせ金全てを託すわけだし、長くなる理由も解るけどさ。 中井出 「ん、散歩がてらに様子でも見に」 アイルー『旦那さん、お待たせニャ!』 中井出 「うおっと!?」 いざとベッドから降りるとそこへ飛び入るアイルー。 さらには、彼(後ろにゾロゾロと他の猫も居るが)が掲げる両手には見事な双剣が。 ……ってことは? 中井出 「おお!終わったのか!?」 アイルー『鍛えるのは終わったニャ!さすがにみんなでやると速いニャ!』 中井出 「こ、これでも速かったほうだというのか〜〜〜っ」 さすが1546921$。 物凄い時間と労力がかかる予定だったのだろうが、猫の数がそれを短くしたのだろう。 しかし仕上げは完璧のようで……さすがアイルー。 中井出 「じゃ、ちょっと貸してくれ」 アイルー『はいニャ』 がしゃり、と双剣を受け取る。 おお、やはりいつ持ってみても重い重い。 だが重みを感じるよりもやってもらいたいことがあるのだ。 ということでガシャン!と双剣を合わせて長剣へと変換する。 中井出 「じゃ、これに秘密箱と天地の覇紋と───      それからこの稀紫槍カルドグラスを融合させてくれ」 アイルー『ニャニャッ、なるほどニャ。それじゃあペリカン、任せるニャ』 いったいいつからそこに居たのか、怪盗ペリカンがギラリと目を輝かせた。 それとともにアイルーが差し出した長剣と秘密箱、そんでもって天地の覇紋を口に含む。 するとギシャアアア!!と口から光が溢れ出し、 あたかも味皇様が美味いものを口に含んだ時のようにシャイニング!! 中井出 「お、おお!美ー味ーいーぞー!と叫んでみてくれ!」 アイルー『喋れないニャ』 中井出 「あ……そうスカ」 眩い光が視界を塞ぐ! 思わず目を塞いでしまうが─── 中井出 「つーかなんで俺目掛けて光が飛び交ってんの!?ま、眩しっ!眩しい!!      ちょ、やめてやめてぇ!!目が潰れちゃう!痛い!この光すげぇ痛い!!      目ェ閉じてても直接叩きつけられてるくらいに眩しいってこれ!      ちょ───見えない!何も見えな助けてぇえええ!!!      まるで光の針で瞼をブスブスと刺されてるかのよう!!      ていうかほんとになんだってこのペリカン俺目掛けて光解き放ってんの!?      どこか横とかに放てばいいのに!え!?俺このペリカンになにかした!?      それともこれって何かのサービスかなんか!?いらないよこんなサービス!!      こんなのただ痛いだけでメリットなんてなにもないよ!      これならまだ針治療とかでサービスされる方が      痛くてもなんとなく得した気分になれるよ!」 アイルー『出来上がるまでもう少し待ってニャ』 中井出 「出来上がるってなにが!?光の剣!?それとも料理アニメの鍋の中身!?      俺ずっと思ってたんだけど料理アニメの中に出現する鍋料理って、      どうして鍋の蓋開けると絶対に光が溢れ出すんだろうね!?      じゃなくてちょっと待った!いいから待って!!どうなってんのこれ!      今までこんな、耳じゃなくて目を劈くような光なんて出なかったでしょ!?      なにこれ新たな客寄せサービス!?こんなの普通の人にやったら失明するよ!」 アイルー『ちょっとした遊び心ニャ』 中井出 「ちょっとしたことで失明してちゃ目がいくつあっても足りないよ!!」 アイルー『ゴニャニャ……残念だニャ。      口から光を出した方が神聖味が出ると思ったんだけどニャ』 中井出 「ありがた迷惑だよそんなの!」 アイルー『解ったニャ。ささ、もう融合してるニャ、吐き出すニャ』 ───……アイルーがそう言ってから少しするとようやく光は消え、 ペリカンの口からは我が長剣が吐き出された。 ……なんだかなぁ、これが普通なんだろうけどなにか釈然としない光景だ。 唾液とか付いてないのが救いだな、ほんと。 中井出 「なんにせよ完成したわけだ……ってのに、      まだ完全に視界が回復してない所為で完全に見定めることが出来ん……」 アイルー『悪ふざけがすぎたニャ……反省してるニャ』 中井出 「いやいや。ではこれは約束の金でおじゃる」 アイルー『毎度ありニャ!』 ガシャガシャチンッ♪《有り金全部を渡しました》 アイルー『ひのふの───…………………………ニャニャッ、確かに頂いたニャ!』 中井出 「こちらこそいいもの作ってもらったぜ〜〜っ」 ではもはや恒例! 鍛えたら内容を確かめましょうの“武器詳細”発動!  ◆稀紅蒼剣ジークフリード+700───きこうそうけんじーくふりーど+700  美しい紅と蒼が混ざり合った世にも珍しい長剣。  しかし外見の美しさとは裏腹に、その刃は大型の飛竜さえ斬り殺すという。  様々な素材、様々な生物素材の複合に成功し、特種能力を存分に発揮出来るに至った。  特に炎と風の属性値が高く、そういった属性の力も抑えることが出来るため、  通常攻撃にも属性攻撃にも向いている紅蓮蒼碧の大剣。  剣全体に天地の覇王たる証が埋め込まれており、  これを持つ者は天上天下において唯一の戦士たる存在に至った者として認められる。  この世界でいう“天上天下”は“てんじょうてんが”と読む。“てんげ”ではない。  *特種能力:双剣化、技術スキル効果UP  ◆技術スキル  毒      :★★★★★☆/攻撃HIT時に敵を毒状態にすることが出来る  麻痺     :★★★★★☆/攻撃HIT時に敵を麻痺状態にすることが出来る  回復     :★★★★★☆/攻撃HIT時に自分のHPを中回復することが出来る  銭      :★★★★★☆/敵をコロがした際に$を多く手に入れることが可能  金      :★★★★★☆/サビつかなくなる べつに本当に金メッキは付かない  背水     :★★★★★☆/HPが一定以上下がると攻撃力が上昇  会心     :★★★★★☆/クリティカルヒットが発生しやすくなる  超ためる   :★★★★★☆/ためる 常にためるの速度を強化  フルスイング :★★★★★☆/両手持ちで全力で振り切ると攻撃力UP  ボマー    :★★★★★☆/火属性などの攻撃の際 爆発してダメージが追加される  火      :★★★★★☆/火属性ダメージが上昇 ボマースキルと合わせると強力  火円     :★★★★★☆/ヒノカグツチスキル 火の円が持ち手を守る  鎌鼬     :★★★★★☆/武器から風 または風の刃を発生させることが出来る  麦茶     :★★★★★☆/麦茶の真の味と美味しい作り方が解る  リネーム   :★★★★★☆/様々なものの名前を変えられる  グラビティ  :★★★★★☆/武器がとても重くなる フロートと併用で調節可能  フロート   :★★★★★☆/浮遊石の力 強い風を起こせば空を飛ぶことも  精霊斬    :★★★★★☆/ソードマスター秘奥義 キャリバーの真価  ガザミ    :★★★★★☆/双剣ガザミスキル 甲殻類の敵に対して優位に戦える  ルドラ/アグニ:★★★★★☆/ルドルグニススキル 炎と風の力がUP  ドラゴンキラー:★★★★★☆/ブラッシュデイムスキル 竜に対して優位に戦える  パンドラポット:★★★★★☆/なにが起こるか解らない博打能力  神威     :★★★★★☆/クライシスハート HPが高いほど攻撃力UP  殺戮     :★★★★★☆/ジェノサイドハート HPが低いほど攻撃力UP  覇王の加護  :★★★★★☆/取得経験値が倍になるがTP消費が5倍に  スリースターズ:★★★★★☆/天地の覇紋による境地 TP消費が1/10となる  ヘッジホッグ :★★★★★☆/攻撃を受けると受けたダメージの半分を敵に返す  両手持ち   :★★★★★☆/武器を両手で持つと攻撃力2倍  元素の加護  :★★★★★☆/“無 死 然 時”以外の属性攻撃全てを行使可能  攻撃力UP  :★★★★★☆/武器攻撃力がUP 地味だが地味なりに強い  睡眠     :★★★★★☆/攻撃HIT時に敵を睡眠状態にすることが出来る  刺連突    :★★★★★☆/突き攻撃時のみ残像が発生 二連撃になる  主神の加護  :★★★★★☆/霊章輪の力 一部のマグニファイ能力が変化する  補足:☆は“技術スキル効果UP”のもの。    *霊章の力と覇王の加護により、かつての武具の真価が発揮された。     それにより双剣ガザミから蟹キラーの上位スキル“ガザミ”が、     ルドルグニスからは“ルドラ/アグニ”が、     ブラッシュデイムからは“ドラゴンキラー”が開花。     なおブラッシュデイムとは“頬を赤らめた貴婦人”という意味。    *覇王の加護により神威と殺戮が分離。     HPが高くても低くても攻撃力が上がるという、     敵にとっては迷惑極まりない能力の実現が可能になった。     HPの半分を境に、半分より上が神威、半分より下が殺戮となっている。    *ヘッジホッグは物理攻撃のみに有効。    *覇王の加護は技術スキル効果UPのため経験値3倍、消費TP8倍になっている。    *元素の加護は元素の指輪の効果。属性が安定するまでは行使に注意が必要。    *攻撃力UPは★の数だけ%が上がる。★一つなら1%。★五つなら5%。     つまり★五つなら武器の攻撃力の5%分、攻撃力が上がる。     ようは武器が強ければ強いほど地味に強くなる。     ちなみに鬼人化で自分が強くなっても、     持ち主のSTRと武器の強さを合わせた数の5%ではないので、     そこのところは融通が利かない。    *パンドラポットは……秘密らしい。使う度に何が起こるか解らない。    *刺連突は“しれんとつ”と読み、突き攻撃に長けた稀紫槍カルドグラスのスキル。    *主神の加護は覇王の加護、霊章の力、     元素の加護が合わさることで発生した霊章輪ニーヴェルンゲンの力。     一部のマグニファイが変化、または進化する。  ◆マグニファイ  鬼人化      :全ステータス二倍  黄竜剣      :長剣時 マグニファイ中一度のみの黄竜の力を込めた破壊攻撃  ミニ黄竜斬光剣  :双剣時 10秒間のみ小さな黄竜斬光剣を放てる  守護炎陣     :全火属性の力を高めて強化させる  猛毒       :毒効果倍化  一発剣閃     :マグニファイ中に一発だけ無消費で攻撃力二倍の剣閃を放てる  衝撃波      :一分間のみ衝撃波を出せる  アーマーキラー  :一撃目のみ相手の防御力を半分無視した攻撃が放てる  オーガインパクト :一撃目のみ攻撃力4倍  ガンランス    :突き攻撃時に爆発ダメージ追加  ストライクブラスト:次の攻撃が確実にクリティカル+ボーナスダメージ  フォアストール  :閃速螺旋槍 投げた瞬間に敵に刺さる事実を捏造する次元の槍  補足:主神の加護により守護炎陣、一発剣閃、衝撃波、     アーマーキラー、オーガインパクトが進化。     それぞれ守護炎陣が火属性強化、一発剣閃が攻撃力倍化、     衝撃波が普通の衝撃波に、アーマーキラーが一撃目のみ防御力半分無視、     オーガインパクトが通常攻撃のみから全攻撃4倍化。    *フォアストールは稀紫槍カルドグラスの能力。     投げ、手から離れた刹那に“敵に突き刺さる”という未来を捏造する。     いわばゲイボルグのようなもので、手から離れた瞬間には既に敵に刺さっている。     これも主神の加護により強化されたものであり、     普段のソレは“逃げようが追尾して刺さる”というもの。    *稀紫槍は“先手必勝”の理を持つ槍であり、その名に恥じぬ能力を備えている。     が、あくまで“捏造”。こじつけで作り上げたでっちあげな事実なので、     “必ず当たる”可能性は100%ではない。  ◆剣士スキル  鬼靭モード:TPが少しずつ減ってゆく代わりに攻撃力が上がる。  H・A  :ハイパーアーマー。攻撃を受けても全く仰け反らずに行動出来る。  魔人憑依 :憑依したカルキの力。霊章によりSTRだけでなく武器威力にも+修正。  霊章輪・地:体に地属性を纏う。雷属性に強くなるが、風属性に弱くなる。  霊章輪・水:体に水属性を纏う。火属性に強くなるが、雷属性に弱くなる。  霊章輪・火:体に火属性を纏う。氷属性に強くなるが、水属性に弱くなる。  霊章輪・風:体に風属性を纏う。地属性に強くなるが、氷属性に弱くなる。  霊章輪・雷:体に雷属性を纏う。水属性に強くなるが、地属性に弱くなる。  霊章輪・氷:体に氷属性を纏う。風属性に強くなるが、火属性に弱くなる。  霊章輪・光:体に光属性を纏う。闇属性に強くなるが、強い闇属性に弱くなる。  霊章輪・闇:体に闇属性を纏う。光属性に強くなるが、強い光属性に弱くなる。  霊章輪・元:体に元属性を纏う。属性攻撃に左右されないが、敵の弱点属性も突けない。  補足:霊章が一定値以上に成長し、元素の加護を受け止めるに足りる器になったため、     幅広い属性を発動させることが可能になった。     それぞれの属性を引き出すと、属性に対する強点と弱点が浮上する。     しかしそれぞれに特種能力が秘められており、困ったことばかりでもない。     地/地属性系統能力強化、物理攻撃力、物理防御力UP     水/水属性系統能力強化、自然治癒能力UP、戦闘中自動回復     火/火属性系統能力強化、物理、特種攻撃力UP     風/風属性系統能力強化、物理、特種防御力UP     雷/雷属性系統能力強化、魔法攻撃力UP(小)     氷/氷属性系統能力強化、魔法防御力UP(小)     光/光属性系統能力強化、攻撃力UP(小)、防御力UP(小)     闇/闇属性系統能力強化、魔法攻撃力UP(小)、魔法防御力UP(小)     元/無、時、然、死以外の全属性系統能力強化+全能力UP(小)  ◆潜在スキル  鬼人化+1分 :鬼人化状態が1分だけ追加される。  六閃化    :双剣状態時のみ、振るう一閃が六閃になる。          が、使用中はHPが減ってゆく。  羅生門    :マグニファイ中ならばいつでも使用可能に変異した二刀流秘奥義。          ただし使用するとマグニファイの効果が消えるのは変わらない。  極光吼竜閃  :レイジングロア。HPとTPを1残して全て使用する、          黄竜のレーザーを模した一刀流秘奥義。          HPTPともにMAXの状態でなければ放てない。  双牙旋空衝  :六閃化させた双剣から剣閃を放ちまくる二刀流秘奥義。          一振り20TP消費。TPが尽きるか任意で効果が切れる。  斬鉄剣    :主神の加護により昇華したバルムンク。          自分より明らかな三下を蹴散らし屠る一閃。          発動するとどこからともなくオーディンが現れ、          自ら斬鉄剣で敵を蹴散らしてくれる。          時折グングニルの槍の場合もある。  神威クラッシュ:神威/殺戮から分離が成功した“神威”側の潜在スキル。          神威状態、つまりHPが“最大の半分より上”である時のみ使用可能。          元素の力を体に纏った超絶火ノ魂タックル奥義。          使用コストがHPの最大の半分なため、          使用すると問答無用で“殺戮”側へ移行。          使いどころを間違えると一気に死に直面するので気をつけよう。          絶対にHPが半分より1だけある、なんて時には使わないように。  殺劇舞荒剣  :神威/殺戮から分離が成功した“殺戮”側の潜在スキル。          殺戮状態、つまりHPが“最大の半分より下”である時のみ使用可能。          元素の力を武器に込めて連撃を連ねてゆく、防御を捨てた乱舞系奥義。          使用中は防御力が極端に下がる代わりに速度が飛躍的に向上する。          元素の力が込められた武器には無属性の刃が宿り、          一撃を四撃へと変えるので敵に反撃の余地を与えない。          が、使用コストがHPのため、攻撃する毎に次々とHPが減ってゆく。          HPが1になったところで効果が切れるが、          後になるにつれ強力になる様は剣士にはたまらなく快感らしい。          だがやはり使いどころを間違えると一気に死に直面する。          神威クラッシュ後、即座に繋げることも可能。          双剣状態時でも可能な上に六閃化状態でも使用可能。          しかし六閃化もHPがコストとなっているために危険といえば危険。          乱舞系奥義と出ているが、乱舞にするかは個人の自由である。          HPが1になると切れるのは殺劇舞荒剣であり、          速度と防御力が通常に戻るだけで、ジェノサイドハートは消えない。 ……長いって。 しかし……なんとまあ色々な要素が追加されたもんだ。 精霊斬から下の技術スキル、今まで無かったよな? おお、よく見てみれば技術スキルの全てが★がマックスになってる! しかも“+”も700って物凄い数に……! は、はああ……!これは是非とも試し斬りがしたいもんだぜ〜〜〜っ! 中井出「だ、だがなんとも嬉しいのは“スリースターズ”だ〜〜〜っ!     消費TP10分の1!今の俺にはこれだけで十分すぎるほど嬉しいぜ〜〜〜っ!」 スリスターズってのは確かファイナルファンタジー6であったアクセサリーの名前だ。 あっちの方は全ての消費MPを1にするっていうとんでもないものだったが、 こっちは10分の1。 本来ならそれで大体のTP消費技などは一桁消費で十分使えるんだろうが、 今の俺は平気で100とか使う悲しき状態。 それが10になってくれるのはどれほど嬉しいことか。 双牙旋空衝一振りで20消費するTPが、消費7倍ペナルティの所為で一振り140だぞ? それがスリースターズのおかげで消費TP14!嬉しいじゃないか! ……事実上、普段の消費TPから6しか下がってねーけど贅沢は言ってられん。 中井出 「+700ってことは、普段のジークフリードの攻撃力に      700の攻撃力がプラスされているということ!      おおやはり武器加工バンザイ!だが猫よ」 アイルー『アイルーだニャ』 中井出 「風来のシレンだと武器を鍛えるのにかかる費用は1000ギタンなんだが、      いったい猫が鍛えるといくらかかるんだ?      シレン計算だと+1500くらいいっててもおかしくないんだが」 アイルー『猫の技術は他の鍛冶職人とは一線を画すニャ。      それを1000$でしてもらおうなんて、本来甘いにも程があるニャ』 中井出 「むう、そういえば最初っから貴様の店で鍛えると高くついたな」 アイルー『アレは蒼竜の鱗や風切りの刃に加えて、強化費用も込みだったからニャ。      鍛えるための費用は武器にもよるニャ。大分立派に育てられたものだと、      鍛えるのも結構一苦労なのニャ。      武器そのものの品質を落とさずに鍛えるなんて神業だニャ。      だから1500000$で+700は結構いいほうだニャ。      僕らも頑張ったし、一気に+2増えたことも何度かあったニャ。      実は本当は697までにしかいかなかったんだけど、      中途半端だったし旦那さんにはお世話になってるから      感謝の気持ちを込めて700になるように3をプラスしといたのニャ』 中井出 「お、おおお……そうだったのか……」 なんとありがたいことだろう。 確かに武器の強度なんて普通の武器なら+99で終わるのだ。 それを頑張って700にまで高めてくれたというなら これ以上なんのツッコミがあろうか。 おおありがとうファンタジー、ありがとう猫達よ。 これでまた一つ、この武器は高みに至った。 中井出「よし!ありがとう猫たち!さぁエィネ!ナギー!旅に出るぞ!準備はいいか!」 ナギー『サーイェッサー!!』 中井出「心の準備もいいか!」 ナギー『サーイェッサー!!』 中井出「金はあるか!?」 ナギー『サーイェッサー!!』 中井出「元気もあるか!?」 ナギー『サーイェッサー!!』 中井出「うむよし!ではこれより精霊復活祭を開催する!     総員全力を以って戒めの宝玉の捜索と破壊にかかれ!     イェア・ゲッドラァック!ライク・ファイクミー!!」 ザザッ! ナギー『Sir(サー)!!YesSir(イェッサー)!!』 一人だというのに、ナギーは元気よく返してくれた。 おお、やはりこれがなくては気が引き締まらん。 エィネ『あの……なんなのですか今の』 中井出「我ら原中に伝説として伝わる、ミッション前の掛け声である。     これをするとなんとなく心が引き締まり、やる気が出るのだ」 エィネ『そ、そうですか』 ナギー『ところでヒロミツ、この妖精は新兵なのかの?』 中井出「うむ、しかしながら大人しい性格のためにああいったハジケ方ができないのだ」 ナギー『む。それは難儀なことよの。     大声で叫ぶというのは気持ちがいいことだというのに』 目を閉じて頷きつつ、“大体近頃の者は声を抑えすぎなのじゃ”と続けるナギー。 そうか?って、確かにお祭り騒ぎなどの時、人々は昔ほど騒がなくなったと聞く。 ディズニィ〜ランドゥ〜のパレードなどを見ろ、 最近の若人の中で“みなさんご一緒に〜”とか言われて一緒に騒ぐやつが居るか? そう。あそこで騒ぐ者こそが真の騒ぎ者というものぞ。 中井出「まあそれはともかくとして!さあ行こうやれ行こう!     エィネ!行くべき場所はどっちだ!?」 エィネ『少し待っててくださいね。     ───………………、ここからは遠すぎて解らないようです』 中井出「ぬおう」 ナギー『む?ヒロミツ、妖精は宝玉の在り処が解るのか?』 中井出「うむ。厳密に言えば宝玉の在り処というよりは、     宝玉から漏れる精霊の波動を感じ取るらしいのだ」 ナギー『なるほどのう。しかし感じ取ることが出来んのでは仕方ないのじゃ。     これから何処に向かうのじゃ?』 中井出「そうだな……無難に昨日、波動を感じ取った場所───     トカホウテ山と巨人の里の境あたりに行ってみるか」 ナギー『あそこか。そういえばトカホウテ山には     カイザードラゴンという竜が居ると聞いたことがあるのじゃ』 中井出「カイザードラゴンって……」 そりゃまた強そうな名前のドラゴンさんで……。 中井出「聞いたことがあるってことは、やっぱり情報としてしか知らないってことか?」 ナギー『なのじゃ。仕方なかろ、わしは関所から出られなかったのじゃ』 中井出「む、確かに。じゃあ他に情報は───」 ナギー『他のドラゴンは知らんのじゃ。     ただ、この世界に住む者ならば大体は知っているバケモノがおると聞く』 中井出「バケモノ?」 その言葉に、話しながらも猫達に手を振りつつ、歩き出していた足を止める。 そうしてナギーの目を見るに至り……どうやら真実らしい。 目が本気だ。 ナギー『名をデスゲイズ。わしは見たことなどないが、その噂くらいは知っておるのじゃ。     空を支配し、飛翔する者を容赦無く喰らう伝説の怪物。     かつて空の王であったバハムートという翼竜王を喰らったと聞くのじゃ』 中井出「うあ……」 バハムート、そしてデスゲイズって来たら……こりゃFF6のアレじゃないか。 マジですか。 あ、でも宝玉と関係あるという可能性はべつに─── ナギー『翼竜王バハムートは無の宝玉を飲み込むことで絶大な力を得ていた。     そのバハムートでさえ戦いに敗れ、喰らわれたというのじゃ。     生半可な力では傷さえつけられぬじゃろうな』 中井出「ゲェエーーーーーーッ!!!」 人生はとっても無情。 そしてゲームももちろん無情。 所詮嫌な方向に流れなきゃストーリーが膨らまないのがゲームのセオリーか……。 デスゲイズかぁ……FF6と一緒で、 何回か戦ってようやく勝てるようなトンデモモンスターなんだろうなぁ。 FF6の場合、確かドラゴンってのは8体居て……そうそう、たしかこんな感じだ。 ストーム、フリーズ、アース、レッド、ホーリー、ブルー、イエロー、スカル。 それぞれ違う属性のドラゴン8体倒すと、ジハードの魔石が手に入る、とか。 でもこの世界にゃそんなの無さそうだし、 もしかしてこの世界の場合は勇者の装備が手に入るとかそんなのか? ぬはぁ、条件厳しすぎやしないか神よ。 ……ああいや、落ち着け博光、これは俺が勝手に想像したものであって真実じゃない。 しかし───うむむむむ。 中井出「か、考えていても埒も無し!よし行こう!デスゲイズは一番最後にする方向で」 ナギー『もちろんなのじゃ』 エィネ『はい』 さあいざ新たなる出発を! ……って、そういや風が使えないからこの高すぎる山を登って、 さらに降りなきゃいけないんだっけ。 どうしたもんか。 中井出 「っと、そうだ。おーいアイルー」 ふと気になったことを訊くため、振り返って猫を呼ぶ。 すると素直に反応してゴニャアアア〜〜〜ォオと鳴きつつ走ってくる猫。 ……うん、遅いな。 アイルー『ゴニャウ、旦那さん、どういった御用ニャ?』 中井出 「ちと訊きたいことがあるのだが……貴様らはこの里に来る時、      わざわざこの切り立った山を上り下りして来てるのか?」 アイルー『ニャニャッ、違うニャ。ちゃんと猫専用の秘密の通り道があるのニャ』 中井出 「なにっ!?それは本当か!?」 アイルー『本当ニャ。でも猫の通り道だから、他の種族に教えるわけにはいかないニャ』 中井出 「ヌ……」 アイルー『でも旦那さんには日頃からお世話になってるニャ。有料でいいなら教えるニャ』 中井出 「……何処までも商売の上手い猫だなちくしょう。なんぼや!」 アイルー『500$ニャ。良心価格だニャ』 中井出 「そ、そうか。じゃあ……───金が1$も無いな」 アイルー『ゴニャ。だったら何か売るかニャ?貴重な素材なら高価格で買い取るニャ』 中井出 「ウヌ……」 商談となるととことん上を行かれる悲しい状況だ。 こういうのを商売上手って言うのだろうか。 まあそれはいい。 ともかく今は適当なものを売って、さっさと山を抜けるのが先決というものだろう。 何故って?早く成長した武器を試したいからさ。 ああ素晴らしきかなファンタジー!俺は今、ファンタジーにこそ感動している。 非常識結構!だからこそ夢が広がり溢れてる! 中井出 「じゃあこの死人の頭骨と刃毀れした剣と巨人の骨と……      いいや、持ってるアンデッド系素材全部売る」 アイルー『毎度ありニャ!全部で590$になるニャ!』 中井出 「安ッ!!もっと高くならないの!?」 アイルー『ならないニャ。誰も好き好んで骨なんて欲しがらないニャ』 中井出 「や……そりゃそうだけどさ」 アイルー『骨素材は案外砂漠探索で見つかるニャ。      500までいったのはこの剣のお蔭ニャ』 アイルーが金と交換して受け取った刃毀れした剣を見せる。 中井出 「もしかしてレアウェポンか?」 アイルー『ただの王国の剣だニャ。でも磨けば少しはマシになるニャ』 中井出 「そ、そか」 で、それを500以上で売るんだろうな。 ボロイ商売である。 と、小さく羨ましながらも500$を差し出す。 中井出 「じゃ、これが情報量の500$な」 アイルー『毎度ありがとうニャ。秘密の抜け道はこっちにあるニャ』 で、金を受け取ったら受け取ったでゴニャニャウ、とお辞儀をすると、 さっさと移動を開始する猫。 大変キビキビしてていいんだが、 やはりさすが商売する者だ、という考えしか浮かんでこない。 つまり行動があまりにも慣れすぎてるんだよな。 これぞ商人……じゃないな、商猫魂か。 ナギー『行くんじゃろ?』 エィネ『行きましょう、博光さん』 中井出「ヌ、ヌーム」 トサトサと歩いてゆく猫を追い、ナギーとエィネが移動を開始する。 俺はといえば……少し頬をコリコリと掻きつつ移動を開始。 さて……思うことは、その抜け道というのがまともかどうかなわけで─── 俺は少し不安を抱きながら、歩みを連ねてゆくのだった。 Next Menu back