───祝おう友よ!/プレゼンテーション───
【ケース370:晦悠介/信楽焼きとシガラミ焼きのごった煮ポタージュスープ】 ドンチャカチャカポンゴンチャカドゴシャァアーーーーーーーン!!! 中井出「さあ騒げや歌えや踊れや笑え!今日は無礼講!     祝いの席とはかくあるべしと《ドゴォオオンッ!!》ギャアーーーッ!!!」 藍田 「て、提督ーーーっ!!」 丘野 「提督が吹き飛んだでござるーーーっ!!」 中井出「ななななにすんだぁーーーっ!!なんで!?なんでジャスタウェイ投げんの!?     あとちょっとセット言うのが遅かったら死んでたよ!!」 殊戸瀬「……無礼講って」 中井出「無礼講だからって人殺しに手ェ染めたらだめでしょ!!     そこまでの無礼講許容できないよ!!ていうか無礼講どころじゃねぇだろコレ!」 悠介 「ていうかさ。どういう祭りなんだこれは」 訓練中に引っ張り出されたと思えば既に準備終了…… しかもジャスタウェイという用途の解らんものが飛び交う状況。 ただのコケシかと思えば爆発してみせるというあまりにも恐ろしい物体であることを確認。 ……なんなんだアレは。 悠介 「ちょっといいか?それ見せてもらっても」 殊戸瀬「はい」 ヒョ〜と投げられたジャスタウェイをポムと受け取ドゴォオオンッ!! 悠介 「うおわぁあああーーーーーーっ!!!!」 丘野 「あ」 受け取った拍子に爆発した。 瞬時に竜人化を発動させて体を竜鱗で守ったが……生身で食らったら危なかったぞオイ。 悠介 『なんなんだよこれはっ!     軽く掴んだだけで爆発する爆弾なんて聞いたことないわ!』 彰利 「なにって……あれだよお前、ジャスタウェイに決まってんだろうが」 悠介 『名前は解ってるわっ!!     いやむしろどうしてこんな形の爆弾作ったのか訊いてんだ!!』 彰利 「そりゃお前……あれだよ、ほら。その方がカモフラージュになるし」 悠介 『だからだなぁああ……!!どうせこれはヒロラインで作ったものだろうが……!     それをわざわざカモフラージュする意味が何処にあるかって訊いてんだよ……!』 彰利 「すぐそうやって怒るよね、悠介は。僕そういうのよくないと思うな」 悠介 『パーティーの開幕直後に爆破されれば誰だって起こるわ!!     誰がパスを受け取っただけで爆発するだなんて思うんだこの野郎ォォォ……!!』 彰利 「《ギウウミキミキ……!!》ウゴァアアアア……!!!!」 たわけたことを言う彰利の首を、渾身を込めて締め上げた。 しかしてんで余裕な風情に、俺も随分パワーダウンしたもんだなぁと妙に再確認した。 こんなんで未来が切り開けるのかどうか、まったく……。 柾樹 「……あの」 悠介 「───うん?あ、ああ、どうした柾樹オワッ!?」 思考に意識が取られていたほんの数瞬、 ふと気づけば首を絞めていた筈の彰利が等身大マスオ人形に……! しかも当の本人は柾樹の肩に肘を乗っける感じで、 よく不良どもがやるようなポーズ取ってるし。 ほらあれだ、肩に肘乗せて、片足をもう片方の足に絡めるようにしてるあれ。 今更だがあのポーズにはなんの意味があるんだろうな。 彰利 「ヨクキタネー。解っとる、解っとるよー。     ミッションの成功報酬を頂にきたのねこの強欲人め」 柾樹 「何も聞かされないままにテロリストにされたんですよ!?当たり前でしょうが!」 彰利 「ほっほっほ、そうそう怒れ怒れ。慰めの言葉なぞ与えてやらん」 悠介 「……?なんの話だ?」 彰利 「OH、そういや悠介は修行してたからな〜んも知らんかったんだよね」 悠介 「あ、ああ……」 彰利は語る。 パーティーの準備の際、お嬢がギャースカ騒いだことや柾樹が校務仮面になったこと。 そして、日頃の鬱憤晴らしにジャスタウェイを用いて、 殊戸瀬エレクトロニクスに乗り込んで爆破テロを行ったことを。 悠介 「柾樹……お前な、鬱憤晴らしとはいえ店を爆破するのはどうかと思うぞ」 柾樹 「信じないでくださいよ!!」 悠介 「信じてない。その上でからかってるんだ」 柾樹 「なおさらに性質悪いです、それ……」 モシャアと溜め息を吐く柾樹。 まああれだ、俺もたまにはこういうことをしないと息が詰まる。 悠介 「それで?成功報酬ってのは?」 彰利 「オウヨ。今からキミを好いているおなごの中に眠るハート、     その中の一個だけをキミのモノにしてあげる」 柾樹 「結構です」 彰利 「かっ!即答だよこのガキャ!これだからモテ男くんは!」 柾樹 「いや……それ妻が五人も居る彰利さんに言われたくないです」 彰利 「バカヤロー!!だから一人に絞らせてやるって言ってんだろうがーーーっ!!     キミあれだよ!?妻が何人も居ると絶対苦労するよ!?     そりゃボカァ妻を全員愛してる!───ウギャア胡散臭ぇ!!     愛って言葉ってどうしてこんなにも胡散臭いんだ!!     でも他に喩えられる言葉が無いから言うけど愛してる!     でもね……ほんとね……時々ね……やすらぎが欲しいって……思うの……」 重いな……おい。 思いっきり影かかってるじゃないか……。 彰利 「だから決めなさい。キミ、誰が好き?」 柾樹 「や……誰って……」 彰利 「紗弥香っち、ユキミドラ、毒ミッフィー、この三人の中の誰!?誰なのよー!!」 悠介 「ユキミドラってあれだろ?随分前にお前が作った雪見大福どら焼き」 彰利 「おお、あれあれ。いや、ただ悠季美っちにかけてみただけなんだけど」 悠介 「そういう無意味なことばっか言ってるから話が進まないんだよ……」 彰利 「いや……うん、解ってるんだけどね?」 気を取り直して。 俺と彰利は視線を互いから柾樹へと戻し、詰め寄った。 悠介   「さあ!」 彰利   「今夜のご注文は!」 悠介&彰利『どっち!?』 柾樹   「注文なんてしませんよ!ちょっ……いいじゃないですか!       俺べつに好きな人なんて居ないんですよっ!       好きがどんなものかも知らないで、       誰かを選ぶなんて出来っこないじゃないですか!!」 悠介   「………」 彰利   「アアッ!悠介が落ち込みだした!!───貴様!       悠介は好きがどんなものかも知らない状態でルナっちと結婚して       子供まで作った小悪外道なんだぞ!それを」 悠介   「いや……あのな彰利、それフォローになってないから……」 彰利   「え?そりゃそうだよ。フォローする気ねぇもん」 悠介   「お前な……ほんとコロがすぞ……」 彰利   「俺多分、キミほどクロマティ高校の前田くんの言葉が似合う人知らないよ?」 悠介   「そんなつもりで言ったんじゃないっ!!」 もう勘弁してくれ……俺のことはもうどうでもいいだろうが……。 やがて頭を抱える俺の心情を察したのか、彰利は再び俺から柾樹へと狙いを変え、 ズズイと詰め寄るように迫った。 彰利 「して?キミはこのままでええの?」 柾樹 「えっ……このまま、って……」 彰利 「どのおなごにもその気を見せないヘタレっぷりでいいのかと訊いておるの。     だってね、キミ。今のキミってばとっても悲しいよ?見てるこっちが情けない。     代わる代わるに水着美女にディープキスなんてアンタ……     噂に聞いただけでももう殺意の波動に目覚めちゃいそうで絶ッ!!」 悠介 「目覚めそうもなにも目覚めてるぞ!落ち着け!まず落ち着け彰利!!」 彰利 「肝の臓!止めてくれる!!」 悠介 「いや……止めるなら心の臓って言おうな」 彰利 「バカヤロコノヤロォ!肝臓止められるとなぁ!ほら……あれだよ。     グリコーゲンとかがアレでソレで、乳酸がエネルギーに変えられなくて、ねぇ?」 悠介 「乳酸をエネルギーに変えるのはクエン酸だが」 彰利 「ゲッ……!し、知ってるよ!?僕知ってるもん!!     言おうとしたら悠介が言い出したんだもん!」 悠介 「……埒が明かないから俺、パーティーに埋もれてきていいか?」 彰利 「イヤァ俺だけなんてやだぁ!!」 悠介 「複数に好かれている者同士、よろしくやってくれ。俺は今を楽しみたい」 彰利 「キミだって複数に好かれてることには変わりねぇだろうがこの野郎!!     ええいああキミから貰い泣き!じゃなくてええいああもうキミ!!     誰!?誰が好きなのかねハッキリしろ!!」 柾樹 「だ、だから……俺はまだ好きとかは全然……」 彰利に詰め寄られて、申し訳なさそうに言う柾樹。 まあ……そうだよな、いきなり理解しろって言うのも、 好かれてるからすぐ応えろってのも無茶なことだ。 だが娘が関係しているのならこっちの反応も別になってくるわけで。 実際、気になると言えば気になる。 もちろん自由意志は深冬のものなんだが。 悠介 「まあ、落ち着け彰利。こればっかりは押し付け気味に言っても仕方ないだろ。     誰が好きかも解らないヤツに誰が好きなのか訊きまくるのって、     見てて鬱陶しいというか腹が立つ」 彰利 「大丈夫!解っててやってるから!」 全然大丈夫じゃないだろそれは……。 彰利 「世にはくっつけたがりが居るので困るのですよ。     でもこういう八方美人はもっと嫌い」 悠介 「好きでそういうことになってるんじゃないだろ。それくらい察してやれ」 彰利 「お?なんだ?キミ柾樹の味方?やンのかコラ」 悠介 「意見のぶつけ合いなら喜んで乗るが」 彰利 「え?血沸き肉踊る殴り合いじゃないの?」 悠介 「あんなもんは例外だ。俺はもうヒロライン以外でお前と喧嘩するつもりはない」 ヒロラインでぶつかるにしたって、喧嘩じゃなくて戦争みたいなことになる。 そうなれば条件は違ってくるし、約束は果たせるだろう。 それ以前にやらなきゃいけないことは結構ありそうだが。 はぁ……ほんと、厄介なことになったもんだ。 彰利 「ふぅむ……だったらしゃあねぇ。ちと反則技使うぜ?」 悠介 「反則技?」 彰利 「そう!というわけで本日ご紹介するのは冥界アドバイザー、     超暇死神のルヒドなシェイちゃん」 ルヒド『やあ』 悠介 「……相変わらず暇してるんだな」 ルヒド『魂の管理とかは他の死神にやり方を教えてやらせてるからね。     いくら暇だっていっても、     あんな面白味のないものをずっと続けていると流石に飽きるよ』 どれほど続けたのかは敢えて訊かんが、相当に長いのは確かだろうな。 彰利   「そんなわけでルヒドくん。       精霊にもシェイドが居るから敢えてこう呼ばせてもらうよルヒドくん。       ここに居るモテ王サーガに魂の救済を」 ルヒド  『この子かい?ああ、感情に欠落が見えるね。       といっても感情が弱いだけで、欠けてる部分があるわけでもない……か』 彰利   「こやつの中に眠る好きという感情をなんとかしてほしいんですわ。出来る?」 ルヒド  『え?もうやったけど』 悠介&彰利『速ッ!!』 仕事の速度も相変わらずか……。 どういう速さなんだよ、おい。 ルヒド『まず彼の中の感情を上手く浮上させて、     さらに彼の記憶の中にある女性との経験を全部、     記憶の中だけで再体験してもらった。     そうすれば感情が満たされた上で今までの人生を歩んできたことになる』 彰利 「オ、オオ、ナルホロ……で?キミはいったい誰が好き?」 柾樹 「………」 彰利 「紗弥香っち?」 柾樹 「紗弥香さんは……姉のような存在だから……」 彰利 「ホホウ、では……意表を突いて深冬ちん?」 柾樹 「いや……深冬ちゃんは……妹みたいな存在で……」 彰利 「ではズバリ、ユキミドラ!?」 柾樹 「…………《カァア……!》」 彰利 「おおビンゴ!!」 悠介 「ナックル!!」 柾樹 「《ボゴシャア!!》あぶあぁーーーーっ!!?」 彰利 「ウヒョーーーイ!?なななんで!?なんで殴るのーーーっ!?」 悠介 「うん?ああ……やっぱり娘のファーストキスの相手なのに、     その娘を取らないなんてムカツクじゃないか」 彰利 「ああなるほど。じゃあ俺も」 柾樹 「ちょ、ちょっと待《ボゴシャア!!》あがぁっ!!」 彰利 「スッキリ……♪」 お前は関係ないだろうがとツッコミたかったが、 まあ深冬のことをよく気にかけてくれた彰利だ。 自分の娘のように思ってくれてたに違いない。 ……ただ殴りたかっただけって線もあるだろうけどさ。 彰利 「ん〜で?なしてユキミドラなん?」 柾樹 「いぢぢぢぢ……!あ、いや……だって俺、     あんな風に誰かを守りたいって思ったのって初めてだったし……。     力を求めたのだって、悠季美を守ってやりたいって思ったからで……」 彰利 「で、冷静になって思い返してみれば、     自分が今まで頑張ってきた全てのことが     ユキミドラのためだったと確認してしまったと……」 柾樹 「う……は、はい……《カァアア……!!》」 見事に赤くなってるな。 とはいえ……柾樹がこうなったとして、紗弥香嬢と深冬が引き下がるかどうか……。 ……って、なんだルヒド、その笑顔は。 悠介 「……?」 ス、と手を軽く持ち上げたルヒドが、その虚空で指をパチンと鳴らしてみせた。 すると───その場に居た全員がビクンッ!と一瞬躍動し、 その後、何事もなかったかのように騒ぎを再開させる。 これって…… ルヒド『他の二人が彼とキスをした、という記憶を消させてもらったよ。     もちろん、本人からも。悠季美って子だけが、     自分がこの子にキスをした事実を覚えていて、     さらに他の二人の中にあった“好き”という気持ちを、彼女の中に移植した』 彰利 「ほへ?それって……」 ルヒド『あはは、彼女は今現在、     自分も含めて三人分の彼への想いを抱いているということだよ』 悠介 「……それってマズくないか?」 ルヒド『大丈夫だよ。彼女はきちんと場を弁える子だ。     こんな場所で何かをしでかすのはマズイって解っているし、     そもそも恥ずかしがり屋で素直じゃない点も目立つ所為で、     そんなことを実行すれば自分の立場が危ぶまれるのを知っている』 彰利 「おおなるほど、優等生タイプってわけですな?     で、肝心なところでミスると」 ルヒド『あはははは、そういうことになるね』 彰利 「クォックォックォッ……そちも好きよなぁ……」 ルヒド『キミには負けるよ、あはははは』 悠介 「………」 二人の死神がグオッフォフォと笑う中、俺はやっぱり軽く頭痛を覚えていた。 こんなに簡単に感情浮上が出来るなら俺も───とも思ったが、 こればっかりは自分で手に入れないと意味がない。 それに浮上させることが出来るのは沈んでいる感情であって、 砕けた感情はまず無理だと思うからだ。 ……というか、悠季美嬢と柾樹に心底同情する。 ふと見た視界の先では、 真っ赤になりながら潤んだ瞳でちらちらと柾樹を見る悠季美嬢が確認できたし。 そんなものを見てしまったら、ああ……ほんとに実行したんだなぁと妙に納得。 柾樹も悠季美嬢の方をちらちらと見ては、目が合うとババッと逸らす始末。 微笑ましいんだが……微笑ましいのはこんな状況だからだろうなと想像した。 どう考えたって一人に三人分の感情は重いだろ。 柾樹はこれから、一人から贈られる三人分の愛情を受け止めなければならんのだ。 果たして身が保つかどうか……。 彰利 「まあそげなわけでプレゼント終了!さあ柾樹!男を見せて来い!!」 柾樹 「えぇっ!?やっ……でもっ!」 彰利 「バッケヤラァ!男だろうが告白しろ!     他の二人からは記憶も感情も抜き取ってあるんだ!     何も言われんから大丈夫!」 柾樹 「……?記憶?感情?……他の二人って?」 彰利 「へ?ああそっか、柾樹からも記憶抜いてあるんだっけ。     なんでもねーから言ってこい!!」 柾樹 「あ、いや、その……あ、あとで二人きりなってから……とかは……」 彰利 「かっ!これですよもうこのキングオヴヘトゥァーレ!!     ここは祝いの席!その中で告白してカップリャーになりゃ、     便乗してからか───祝われるだろうが!!」 柾樹 「そ、そうですか……?なんかあまり想像できないような……」 ていうか彰利よ。 お前今“からかえるだろうが”って言おうとしただろ。 それに気づかなかった柾樹も相当動揺してるんだろうな。 って、いつの間にかルヒドのやつ居なくなってるし。 彰利 「はいみんなちゅーーーもーーーく!!」 ガヤガヤガヤガヤ…… 彰利 「………」 一人も向き直らなかった。 どうやらパーティーに夢中らしい。 そこで彰利は何を思ったのか、ツェペリさんのように剥き歯になりながら サンドウィッチを食していた中井出の首根っこを掴んで引っ張ってくると、 彰利 「中井出、貴様を提督と見込んで頼む。みんなに僕の話を聞くように言って?」 中井出「いやお前……それくらい自分で……」 彰利 「だってみんな僕の言葉すら耳に入れてくれなかったんだもん!!」 中井出に対して愚痴をこぼし始めた。 すまん中井出、付き合ってやってくれ。 この馬鹿は人に無視されるのは慣れてるけど、 真面目になにかをしようって時に無視されるのはかなり嫌いなのだ。 ていうかなんなんだ、その子供の駄々のような文句は。 中井出「はぁ……じゃあ───All the members observe.(ヒヨッ子ども!注目!!)!!!!」 総員 『イェッサァッ!!』《ザザァッ!!》 悠介 「うおっ……」 彰利 「なぁんで中井出の時だけあっさり振り向くかなぁ……」 正直俺も驚いた。 けど……あれだろうな、条件反射。 なんだかんだでずっと提督扱いされて号令だのなんだのを担ってきた中井出だ。 猛者連中も、無意識にでも中井出の声に反応するようになってしまったんだろう。 えーと……なんだ?パブロフの犬状態? 明かりが点けば餌が貰えると思うが如く、中井出の声がすれば体が動く、って感じで。 岡田 「なんの用だ提督てめぇ!!俺達ゃ今メシ食してんだよ!」 佐野 「邪魔するんやったら覚悟してもらうでぇ!!」 ただし、それが尊敬の意からくるものじゃないところがさすが原中ってところなんだが。 中井出「いや用があるのは俺じゃなくて……」 佐東 「黙れクズが!」 総員 『死ね!!』 中井出「だ、だから違うよ!?僕じゃないよ!?僕べつにキミたちに用は───」 藤堂 「だったら邪魔すんなクズが!」 田辺 「そうだこのタコ!!」 殊戸瀬「そんな無粋っぷりだから提督はエロマニアなのよ!」 島田 「そうだこのエロマニア!」 藍田 「エロ!このエロが!」 飯田 「マニア!エロマニア!!」 蒲田 「エッロマッニアッ!エッロマッニアッ!!」 総員 『エッロマッニアッ!エッロマッニアッ!!』 中井出「なぁ……俺、お前を呪い殺していいか……?」 彰利 「いやあの……マジすんません……。     猛者どもがこうまで食事に集中していたかったとは思わんかったもんで……」 涙ながらに震え、自分を睨む中井出を前に、流石の彰利も本気で悪かったと思ったらしい。 中井出自身も楽しんで食事してたんだろうに……本気で申し訳ないことをした。 罵倒がいつの間にか声援に変わっている中で、 中井出だけが床に蹲り、“の”の字を書いて負のオーラを背負って落ち込んでいた。 そんな中井出を見て、これでもかというくらいにからかいモードに走る猛者ども。 食事はもういいのか、とツッコミたいが……巻き込まれたくなかったので無視した。 強く生きろ提督……貴様の未来はきっと光り輝いている。と思う。 ていうか結局からかいに夢中になって彰利の話を聞いちゃいないし。 こういうのを本末転倒って言うんだろうな……。 彰利 「みんな!僕の話を聞くのだ!     じゃないと僕の体の中のブラックモンスターどもが     全ての食べ物を食べてしまうぞ!!」 中井出「なんだとてめぇ!!」 総員 『このクズが!!』 彰利 「アレ?」 あ、一転して中井出を含めた全員が彰利に狙いを定めた。 彰利 「いやちょっ……落ち着いてほしいな……ほ、ほら、話せば解るよ……?」 総員 『解らん!!』 彰利 「ゲェエーーーーーッ!!!」 こうして彰利は猛者どもに囲まれ、ボッコボコにされてゆくのだった。 何故殴られているのかは……まあ、ついでなんだろうな。 さらにその騒ぎに触発された名誉ブリタニア人の面々も混ざり、乱闘騒ぎ勃発。 直接戦闘には参加していない女性陣や一部の男も乱闘騒ぎに意識を取られている。 悠介 「……体張るのも大概にしろよ、親友」 なんだかんだで溜め息を吐くと、俺はポカンとしている柾樹の背をトンと押した。 柾樹 「えっ……ゆ、悠介さん……?」 悠介 「ほれ。今は全員があの乱闘に意識取られてるんだ。告白するなら今してしまえ」 柾樹 「え───あ……」 ここにきて彰利の行動の意味が解ったのか、 うんと頷いて悠季美嬢のもとへ駆けてゆく柾樹。 そんな様子を、俺は俺の影から伸びるブラックアイとともに眺めていた。 黒目 『ツカマエタ』 悠介 「爆発能力も無いのにマッディボムの真似なぞせんでいい」 黒目 『いやあまあ、こうして未来あるお子を歩ませるのが我らの務めデショ?』 それとマッディボムの真似と、なんの関係があるんだ。 黒目 『ささやかなお手伝い、大いに結構。でも守るのはダメヨ?』 悠介 「目だけの物体に語られてもむかつくだけなんだが」 黒目 『怒るのは図星を疲れた証拠YO!     あ、うそ!うそうそ!無言でジャスタウェイ創造しないで!!     ていうか痛ッ!本体側痛ッ!!やつらめ斬撃から抓りにスイッチしやがった!     斬られるより地味に痛ぇ!!たすけてぇええええっ!!     全身が!全身が抓られてる!!しかもみんなSTRマックスで!ギャアア!!』 悠介 「花山さんに抓られたスペックの気持ちが解ったか」 黒目 『やかましいですよ!?』 悠介 「黒目で喋るな恐ろしい」 黒目 『いやぁ、でもやっぱ食事の邪魔をした代償は払わんと。     だからボディをサンドバッグ代わりにしてるんだけど、     殴るどころか抓ってきおって覇王ッッ!!』 悠介 「おわっ!?───…………あ、彰利?」 突如、空中に浮いていた黒目がビクーンと硬直。 その後、フラフラという動作も無しにコシャッと床に落下した。ストレートに。 えーと……まあ、なんだ?もしかしてアレか?死神図鑑ゴールデンか? 図鑑は関係ないわけだが……その、なんだ。強く生きろよ、彰利。 声  「うわわっ!動かなくなっちゃったよ!?」 声  「お前が鈍器でトンデモないところを強打するからだろうが!     そりゃ動かなくもなるわっ!!」 声  『さすがに笑えん……静かに眠れ、弦月……』 ……かくして、予想は当たったわけだ。 仕方なしに溜め息混じりに黒目を拾った俺は、せめて儚く散った者への手向けとして、 告白現場が見える位置にまで持ち上げてやった。 黒目 『日本男児の生き様は……色無し恋無し……(なさけ)……有り……     男の……道を……ひた、すらに……歩、みて……明日を……魁……る……』 というか、大量の汗……じゃないな。 大量の涙を流しまくり、 震える声で男塾塾歌を謳いだしたこの目玉を俺はどうすればいいのやら。 ええい、溢れる涙が人の手を嫌っていうくらい濡らしていきやがる。 いっそ握り潰してくれようか。 悠介 「……ま、でも……」 視線の先の景色はなんだかんだで幸せそうだし、 こいつの犠牲は決して無駄じゃあなかったってことで。 黒目 『グ、グオッフォッフォ……ど、どうやら成功したようじゃね……?』 悠介 「……頼むから涙溢れ出しながら痙攣して喋るのはやめてくれ。     生きた小魚をこれでもかってくらいいっぱい掴んでるみたいだ……」 黒目 『しゃあないでしょう!キミも男ならこの痛みを知っている筈!』 悠介 「頼むからそういうことを大声で言わないでくれ……」 黒目 『あらまた溜め息?やぁねぇこれだから溜め息が呼吸になってる男は』 悠介 「誰の所為だと思ってんだぁああ……!!」 黒目 『《メキメキメキメキ》ギョァアアーーーーーーーッ!!!』 握り締めた手の中で目玉が叫ぶ……とんでもなく気色悪い状況だ。 ああもういい、こうなりゃ俺も面白味に走るぞ、少しは思い知れ、ばか。 悠介 「───ラグ」 黒目 『ア、アレ!?ちょ、なにしてるの!?賢者の石に手ェ添えて───え!?     イヤァたすけてぇ!!この人僕を変換する気だ!!     握り締めて変換なんて、てめぇいったい何処の“妖怪にぎり変化”だ!!』 悠介 「妙な知識振り絞って人を妖怪扱いするなこのたわけっ!!」 黒目 『《シュゴォオオーーーーッ!!!》キャーーーーーッ!!!』 手の平から光が溢れる! やがて手の中の物体の面積が大きくなったのを感じるとゆっくりと手を開く。 すると─── 目玉?『……アレ?』 目玉のオヤジがそこに居た。 目玉?『お───おお!こういう変換なら大歓迎!OHナーイス!』 悠介 「よし、その状態で体に戻ってみてくれ」 目玉?『ウィ?お、おおオーケー《ウジュルルルル……》』 目玉が俺の影を通して自分の体へと戻っていく。 ───と、猛者どもで出来た人垣がざわついた。 声  「ぎゃああああ!!目からちっこい裸の体が飛び出てるーーーーっ!!」 声  「えっ!?なになにイカ子さん!」 声  「誰がイカ子さんだこの怖ぇえーーーーーっ!!!」 声  「うわこっち向くなっ!怖ッ!怖すぎる!!」 声  「え?え?なに?なんなの?つーか痛ッ!なにこれ!瞼閉じれねぇ!目が乾く!!」 声  「うおお目からこぼれた涙がちっこい体を湿らせてゆく!怖ぇえ!!」 声  「ハッ!?い、いや待て!よく見るんだみんな!あのちっこい体の一部分を!」 声  「一部分って───ウオッ!?ケツがキュッと絞まってる!」 声  『紳士だぁーーーっ!!紳士の誕生だぁーーーっ!!』 悲鳴が歓喜に変わった瞬間だった。 それでいいのかお前らは……。 ちなみにその後、彰利は“目玉ジェントルマン”のあだ名を付けられ、 果てしなく落ち込んでいたことを語っておこう。 ───……。 ……。 ややあって───パーティーが段々と落ち着きを得てきた頃。 中井出「うしゃー!」 彰利 「むしゃー!」 中井出と彰利がだだんっとテーブルの上に乗り上がり、 マゴシャアとコップを叩き割り合わせ、手を裂傷して絶叫していた。 悠介 「なにやりたいんだよお前らは……」 中井出「ワナババババババ……!!」 彰利 「ズバババババババ……!!」 大激痛を噛み締めているらしい。 特に中井出。 彰利 「ああいやいえいえ……あの、ほら、そろそろプレゼンテーションを……」 中井出「そ、そうそう……そろそろ皆様の覇気が落ち着いてきちゃったから、     今からぱぱーっと盛り上げようかと……」 で、そのために立ち上がったはいいけど気合が入りすぎてコップを乾杯で叩き割ったと。 誰かこいつらに限度ってものを教えてやってくれ。俺じゃあ無理だ。 中井出「うー……よし。ヒロラインパワーで傷が治ったところで、と」 彰利 「そういやキミ、既にヒロラインって呼ぶことに抵抗無くなってんね」 中井出「忘れてたんだから思い出させるなよぅっ!!     むしろ今じゃ“ヒロライン”って名前のゲームって認識してたんだから!」 彰利 「ああ……そういうことね」 悠介 「つまりお前の中じゃあ博光の野望オンラインじゃなくて、     既に“正式名称ヒロライン”になってたんだな」 中井出「………」 あ。頭抱え出した。 悠介 「まあまあ落ち込むなよ。ちゃんと野望を持って冒険してるんだろ?     ほら、タイトルは間違ってないじゃないか」 中井出「うわー、すげぇ嬉しくねぇ慰め方」 彰利 「ままま、それは今はどうでもいいとして。イッツプレゼントターイム!!!」 中井出「よ、よっしゃ!これより橘の皆様へのプレゼントの受け渡しを開始する!」 総員 『サー!イェッサー!!』 ドカカカカカカカッ……!! 叫び、敬礼すると同時にそれぞれが兵隊のように走り、列を作る。 その先には……橘一家。 鷹志 「いや……つーかこれ、とんでもないプレゼントの数にならないか?」 中井出「泣いて喜べ!ほれ泣け!泣けっつーの!!」 鷹志 「急かされても泣けるか!!」 彰利 「よーしゃー!そいじゃあ皆様一人ずつ、好き勝手に渡してしまえ!」 中井出「あーそこ、列を乱さんようにー!」 悠介 「なんだかなぁ……」 言いたくもない言葉が口から自然に漏れた瞬間だった。 ……しばらくしてプレゼントの受け渡しは終了。 橘家の面々の前にはごっちゃりとプレゼントの箱の山が重ねられ、 橘家の面々はポカンと口を開けたまま、どうしたものかと途方にくれていた。 鷹志 「や、なんか悪いな……こんなに……」 真由美「うん……」 悠季美「あの……開けてもいいんですか……?」 中井出「もちろんだ!」 彰利 「開けて開けて!」 悠季美「はい、それじゃあ……」 カサカサ……コサッ。 悠季美嬢が包みを開け、いざと蓋をコサッと開ける。 と─── 悠季美「……ぐあ」 かつて聞いたことがないような声が耳に届いた。 鷹志 「……?どした?」 真由美「悠季美?」 他の二人もガサガサと開け、蓋をコサッと取ると───やっぱり固まる。 鷹志 「あっ───いや、ま、まさかなぁ」 続いて二個目。 心なし、一個目より乱暴に開けられたその箱の中身を見た橘は───やっぱり固まった。 鷹志 「……おい、なんだよこれ……」 そしてこっちに向き直って、深い絶望とともにその言葉を紡ぎ出す。 なにか?と聞かれればそれは───ジャスタウェイじゃないのは確かだ。 鷹志 「これも……これもこれもこれも───     なんで全部メリケンサックなんだぁーーーっ!!」 あ、キレた。 中井出「あ、あれ?嬉しくなかったか?」 鷹志 「40個もメリケンサックプレゼントされて嬉しいヤツが居るなら見てみてぇよ!」 岡田 「え……じゃあお前も?」 藍田 「え!?お前もか!?」 島田 「お、俺もだ!俺もメリケン───」 飯田 「やっぱメリケンだよな!?」 永田 「そりゃお前、誕生日っていったらメリケンだろ!」 蒲田 「だよなぁ!」 下田 「もちろんだよ!やっぱメリケンだって!!」 田辺 「そうか……!俺だけじゃ……俺だけじゃなかったんだな!!」 総員 『我ら!岩清水さんの名の下に!!』 鷹志 「現実に真似る馬鹿がいるかぁあっ!!」 総員 『見縊るな!!誰かが無理でも我らがする!!     それが原中クオリティ!!それが我らの原ソウル!!』 鷹志 「てめぇらぁあああああっ!!!」  ◆メリケンサック  誕生日に贈ると非常に嫌がられるブツ。  普通はデパートで手に入れられるようなものではないが、  何故か殊戸瀬エレクトロニクスには全店に置いてある。  その影で丘野くんが暗躍していたのはもはや火を見るより明らかというものだろう。  なお、岩清水とはここで言うところの“ときめきメモリアル”の清川さん。  彼女の誕生日にメリケンサックをあげるととても嫌がられる。レアアイテムなんだが。  というか誕生日プレゼントの選択肢に何故そんなものがあったのか。  主人公のプレゼントセンスが超一流が故か。どちらにせよナイスである。  なお、ファミコンソフト“ダウンタウン熱血行進曲”にて、  熱血高校の“もりもと”にメリケンサックを持たせるととても強いのは有名である。  *神冥書房刊:『これで解決!正しい女性の堕とし方』より 悠季美「あの……こんなのどうしろと……」 彰利 「使え!」 悠季美「どうやってですか!!」 彰利 「なに?最近のお子はメリケンの使い方も知らんの?     いいかい?これはこうして指に嵌めてだね……」 悠季美「それくらい解ります!」 彰利 「なんだとてめぇ!どうやってって訊いたじゃん!     このアタイをたばかったのか!ギギギィイイイ許せ《ボゴス》ウコバク!!」 悠介 「落ち着けっつっとろーがまったく……」 例の如く暴走を始めた彰利の右肋骨あたりに拳を進呈して止めた。 悲鳴がどうしてウコバクだったのかは解らん。 確か下級悪魔だったよな、ベルゼブブ配下の。 中井出「大丈夫だぞ悠季美ちゃん!俺のはメリケンじゃないから!」 悠季美「あ……これですか?この……爪が四つついた缶切りみたいな……」 中井出「そう。名をバグナウという通称虎の爪。こうしてしっかり握って……そうそう、     ほら、こうすると上手く指に隠れるだろ?     で、相手がこっちが素手だと油断したところを《ゾブシャア!》ギャーーーッ!」 悠季美「大差ないじゃないですか!!」 悲鳴に振り向いてみれば、中井出が自分がプレゼントしたバグナウで斬り殴られていた。 中井出「し、失礼な!!メリケンは殴るだけだが!     これは斬り付けることも出来て《ゾブシャア!》ギャアーーーーーッ!!!」 悠季美「どちらにしたっていりませんよこんなの!!」 中井出「わーった!わーったから言葉の途中でザクザク刺さないで!!     くそうヒロラインって言ってもみんな強くなったこともあって、     ただ野蛮人が増えただけなんじゃないか!?」 シュバルドラインに勝ってみせたお前が言うな。 あいつを倒すのに俺がどれだけ苦労したと……。 ともあれ返品希望を申し渡されたメリケンサックとバグナウだったが─── 総員 『俺は嫌だぜ!!』 猛者ども総員、もちろん女も合わせて“俺は嫌だぜ”と言ってみせた。 魔界塔士SaGaだよな、確か。 生きてる仲間を外そうとすると“おれはいやだぜ”と言うと思った。 それが女でもモンスターでもだ。 ……かくして、大量のメリケンは有無も言わさず橘家の面々のものになったわけだ。 確かにな、あんなもんを大量にプレゼントされて喜ぶヤツなんて居やしない。 かく言う俺も何をプレゼントすればいいのか解らず、 メリケンを贈った中の一人だったりするわけだが。 ……正直すまんかった。 鷹志 「なにかもっとまともな物は無いのかよ……」 中井出「バグナウ……」 鷹志 「要らんわっ!!」 閏璃 「よし、じゃあ俺のプレゼントだ。きっとお前は喜んでくれるだろう」 鷹志 「お前の?えっと確か……ああこれだこれ。     奇妙に毒々しい模様の紙で梱包してあるから解りやすい」 毒々しい梱包へのツッコミはないのか……。 確かに閏璃に対してアレコレ言ってたら身が保たないとは思うけどさ。 しかし相手は閏璃だ。 ツッコミ以前に中身が気になるのは確かな筈。 というか俺は気になる。 “こっちサイド”で言うところの彰利みたいなヤツのプレゼントだ。 いったいなにがドゴォンッ!! 鷹志 「ぶぼっふ!!」 ……飛び出すパンチンググローブだった。 閏璃 「どうだ?」 鷹志 「よくうきうき顔で感想求められるなこれで!!お前ほんっとに凍弥だな!!」 閏璃 「これでも懸命に考えたんだが」 鷹志 「うそつけ!これどう考えたって葉香さんのトラップツールの中の一つだろ!!     〜〜ってぇえ〜〜……!!顔面にモロヒットしたぞおい……!」 閏璃 「た、鷹志!大変なことに気づいてしまった!」 鷹志 「なんだよ……」 閏璃 「お前、少し顔が腫れたくらいのほうが男前だぞ」 鷹志 「嬉しくねぇよ!!」 まったくだった。 というかこんなものを引いてしまったからか、 残りのプレゼントを開けることに抵抗を感じ出している様子の橘。 そりゃ、そうなるよな。 来流美「あぁ、わたしのはちゃんとしたのだから大丈夫よ。     ティーセットだけど、よかったら使って」 真由美「あ……わぁ、これ欲しかったやつだ」 来流美「ふっふぅ、ちゃ〜んと覚えてたわよ。     まあわたしは凍弥みたいに悪戯だけで済ませるなんてことはしないから」 閏璃 「ぬ、ぬおお……!よし鷹志!このグローブで世界を目指せ!!」 鷹志 「お前はなにか!?グローブ一個で、     しかも内部にスプリングがぎっしり仕込まれてる物体で世界を目指せってのか!」 閏璃 「お前なら出来る!セコンドは俺が!」 鷹志 「出来ねぇよ!!」 閏璃 「よし、とりあえず減量から始めよう!お前の食事、これから科学汚染水だけね」 鷹志 「死ぬだろそれ!そんなの飲んで腹下してゲッソリになれるのなんて     マンガやアニメの中だけだから!」 閏璃 「じゃあコーラックで」 鷹志 「食事じゃねぇよそれ!!」 閏璃 「どうしろっていうんだお前は!!」 鷹志 「いいから黙れぇえええっ!!」 橘はもう暴走寸前だった。 こうまで振り回されるようにからかわれれば暴れそうにもなるだろう。 悠介 「あー……すまん、多分お前の言った通りの未来になったと思う」 鷹志 「だからあれほど静かに祝いたいと……」 悠介 「心中察するけど、こいつらが居ないと騒げない状況ってのもちゃんとあるだろ。     やり直しをするなら止めないから、今は今でこの状況を楽しむべきじゃないか?」 鷹志 「つ、晦……───そ、そうだよな。     なにも祝い事全部から逃げる必要なんかないよな……」 悠介 「ああ。そんなわけで俺から改めての贈り物を贈りたいんだが」 鷹志 「あ、ああ、なんだ?なんでも受け取ジャスタウェイかよ!!」 悠介 「ああいや待て待て、こりゃ爆弾じゃなくて貯金箱だ。     一応空界硬貨専用になってる。空界に行ったら使ってくれ」 鷹志 「…………なぁんか素直に喜べねぇ……」 悠介 「むしろこのメンバーでまともなプレゼント期待するほうがどうかしてるだろ」 鷹志 「ああそうだろうよ……」 それでも期待してしまうのは人間の悪いくせだよな。 どこまでも同情するよ、橘。 Next Menu back