───冒険の書144/喪失の翌日に───
【ケース400:中井出博光/トラットリア羅門(のちのリュウケンである)】 ガシャガシャチンッ♪《遥一郎に$を渡した!》 中井出「鬼や……!鬼ッ子や貴様……!」 遠路を旅して歪みの森から戻り、早翌日……こんにちわ、中井出博光です。 今日はここ、辺境の町ムコソルバンからお伝えします。 薬の名前に似てるとかそんなツッコミは無しだ。 で……朝日が昇り始める早朝の頃、きっちり金を請求されました。 別に俺、溢れ出すほどの食材なんか欲してなかったのに。 遥一郎「ん、確かに。それじゃあ───」 中井出「あのさ、俺結構いろいろ拾ったから持ち物いっぱいだぞ?     さすがにそれ全部は受け取れない」 遥一郎「……だな」 ナギー『ならば簡単なのじゃ。与一、おぬしも一緒に来ればいい』 遥一郎「フン断る」 中井出「即答かよ!しかも犬塚くん風に!?ええいこれだから頭でっかちは!     いいから来るのだ!持てない分を誰かに無償で渡すほどこの博光!     金に関して適当でも裕福でもないわぁーーーーっ!!」 遥一郎「まあ……一緒に行くこと自体に問題はないんだけどな。     ただ一つ願ってもいいか?あ、すまん、やっぱり二つだ」 中井出「なんぞな?」 遥一郎「一つ、食事は当番制。二つ、各地に居る精霊のところに行ってほしい」 中井出「当番制は別に構わんが、精霊か……。     俺達これからドラゴン退治をしなけりゃならんのだが」 遥一郎「これくらい妥協してもらわないと、俺が一緒に行く理由が無いんだが」 中井出「面白いからってことでどうだ」 遥一郎「面白いどころか、経験上振り回される気がしてならん」 中井出「ヌウウ……」 それは確かにそうかもしれん。 稲岬街の穂岸くんといえば馬鹿に振り回されるホギッちゃんとして有名だ。 そしてそんなノリで俺達にまで振り回されかねない。 というか最近じゃあ俺もナギーに振り回されてる感あるし。 ここはやっぱり別々に行動したほうがお互いのためになるのかもしれない…… ナギー『おお、言い忘れておったのじゃ。     ドラゴンの中には魔法でなければあまり攻撃が利かない相手もいるのじゃ』 中井出「よろしくマイフレンド」 遥一郎「お前……相当いい性格してるな……」 ぺぺらぺー♪《穂岸遥一郎が仲間に加わった!》 中井出「よぅし!そうと決まれば善は急げだー!     体の痛みも消えてくれたし、あとは《コサッ……》お?」 ナギー『ヒロミツ、なにか落ちたのじゃ』 中井出「おおナギーよ。俺も気がついた」 問題はどこから落ちたか、なんだが…… なんだか俺の指から落ちなかったか? と、落ちたキラキラした物体を摘み上げてみる。 と─── 中井出「んげっ……!」 軽い寒気と眩暈。 手に取ったそれは、綺麗な橙色をしてはいるが、 先ほど俺の指の中に埋もれていった狂戦士の指輪と同じ形をしていた。 しかし、何度も言うようだが色が“闇の炎”の色ではないのだ。 あの黒と赤を混ぜたようなものではなく、橙色の綺麗な色をしている。 ……え?つまり? 狂戦士自体は俺の霊章に溶け込んで、指輪だけが弾き出されたってこと……? うおお……嬉しくねぇ……。 ナギー『ふむ……これはコーテライトじゃな』 中井出「コーテライト?」 遥一郎「壊れないように特殊な技術で加工された、     素粒子を引き伸ばして作られた物質のことだ。     それ自体が混ざり物無しの素粒子の一物質だから、     どれだけ衝撃を加えようが壊れない。それがコーテライトってやつ」 中井出「そ、そうなのか……あれか?     ヴァルキリープロファイルで言うエーテルコーティングっぽいの。     ていうかお前、よくそんなの知ってるな」 遥一郎「伊達に勉強はしてないからな」 言って、メガネをツイ……と上げる仕草をしてみる穂岸。 もちろんメガネなんぞかけてないんだが。 ナギー『う、うぅうう……!わしが言う筈じゃったのに邪魔をするでないのじゃー!!』 遥一郎「誰が言ったって結果は同じだと思うんだが」 ナギー『わしがヒロミツに教えたかったのじゃー!!』 中井出「まあまあそう怒るでない、ナギー新兵。     つまりこれはどういう役に立つのかを教えてくれないか?」 ナギー『ヒ、ヒロミツっ……!わ、解ったのじゃー!これはじゃな!』 遥一郎「使っていると壊れるアクセサリとかと合成させるのが普通の使い道だな。     どの道、彫金とか細工とかで使う場合、相当にスキルレベルがないと無理だ」 ナギー『………』 中井出「………」 ナギー『う、う……うぅうう……マ゙ーーーーーッ!!!』 遥一郎「うぉわっ!?《ぎゅりぃっ!》いててててて!!」 ナギー『何故言ってしまうのじゃー!!わしが言う筈だったのじゃー!!』 遥一郎「ククク、馬鹿め!知識とは先に発表した者の勝ちなのだ!     ああほら、苦労して考えたネタを     別の誰かが先に使ってたって気づいてしまった悲しみを覚えた時のあの感じ。     そんなわけで一度味わってみたらどうだってことでやったんだが……     すまんがそろそろ頬を抓るのをやめてくれると助かる」 ナギー『次邪魔をしたらただでは済まさんのじゃ!よいな!?』 遥一郎「解った、解ったから」 中井出「そんなナギーに質問だ!」 じゃかじゃんっ♪ ナギー『おお!なんなのじゃ!?なんでも訊くとよいのじゃー!!』 中井出「うむ!では───八百屋がトラックにかぼちゃ、トマト、ナス、きゅうり、     リンゴを積んで高速道路を走行しています!     急カーブであるものが落ちました!さて、それはなに!?」 ナギー『むぐっ!?と、とらっく?やおや?な、なんなのじゃ?』 中井出「なに!?解らんと申すか!」 ナギー『ま、待つのじゃ!     そのとらっくとかやおやなんてもの、わしは聞いたこともないのじゃ!』 中井出「ぬう!ならばトラックとは荷台、八百屋とは野菜を売る場所だ!     さあ!急な曲がり角で落ちたものはなに!?」 ナギー『野菜なのじゃ!』 中井出「馬鹿野郎!答えはスピードだ!!     野菜を売る者が商品に傷をつけるような行為をするわけがないだろう!!」 ナギー『ハッ……そ、そうなのじゃ!その通りなのじゃ!』 中井出「では第二問!お茶はお茶でも八百屋にあるお茶は!?」 ナギー『野菜屋にお茶などないのじゃ!』 中井出「答えは“かぼちゃ”!ナギーよ、難しく考えるな!柔軟に考えてゆくのだ!」 ナギー『む、むうう……!!』 中井出「第三問!海の中でパンを発見しました!     しかしそのパンはそこにあるのが当然です!さあ、このパンなぁに!?」 ナギー『───スカシカシパンなのじゃ!!』 中井出「おおっ!なんでそんな微妙な知識ばっかあるのか知らんがおめでとうナギー!     卒業……!卒業…………っ!揺ぎの無い……まさに正解…………っ!!」 ナギー『やったのじゃ……わしはやったのじゃーーーっ!!』 がばしぃとナギーを抱き上げて、俺達はハワァーーーッ!と喜び合った。 その感動を誰が知ろう……僕らはここに答えを得たのだ……!! ナギー『……ところでなんの話をしておったのかの』 中井出「さあ……」 遥一郎「………」 疑問に抱かれる僕らを、ただただ溜め息を吐く穂岸だけが眺めていた。  ピピンッ♪ 中井出「お?」 遥一郎「うん?」 と、謎劇場を繰り広げていると、ふと届くナビメール……ヒロミ通信。 嫌な名前だが、もう慣れた。 中井出「なになに……?」 ナギー『?なんなのじゃ?』 ルルカ『ゴエ?』 遥一郎「いや……お前は見ても解らないだろ、ロドリゲス」 覗き込んでくるナギーとロドリゲスを余所に、メールを開いて見てみる。 と───  ◆ヒロミ通信No.5億号  事情により晦悠介の記憶の大部分を封印しました。  もし出会って会話しても、かみ合わないことの連続かもしれません。  だが勘違いは無用。これは彼自身が望んだことであり、  既に彼は大抵のことを覚えておりません。故に出来るだけ接触は避けてください。  故意に彼に会い、“覚えてないのか”などの言葉をかける者には天誅が下ります。  強くならなければいけないという意志だけは確実に残っているので、  そう心配は要らないかと思われます。お供にディルゼイルがおりますのでご安心を。  では各々方、決して鍛錬と冒険の心を無くさぬよう、よいヒロラインライフを。  なおこのメールは晦悠介には届けられておりません。 …………。 中井出「いっつも思うんだけどさ、このヒロミ通信のナンバーっていっつも適当だよな」 遥一郎「5億はないだろ5億は……」 ナギー『……?よく解らんのじゃ。なんて書いてあるのじゃ?』 中井出「……?」 遥一郎「……、」 ハテ、と疑問符付きの謎顔を穂岸に送ると、彼はうんと頷いた。 つまりナギーにはこの文字が読めないということだ。 もしくは、ここに何が書いてあるのかも見えないと。 そうだよな、一緒に旅をしてる時間が長いから忘れがちになるけど─── ナギーはヒロラインの住人であって、プレイヤーじゃない。 NPCだっていうのに随分と個性的になったもんだと感心するくらいだ。 中井出「けど……なんだって記憶を?」 遥一郎「いろいろあったんだろ。俺達が考えても仕方が無いくらいのことが。     接触を避けてくれってナビに出てるんじゃあ、そうするしかない」 中井出「……か。そだな。じゃあ俺達は俺達でこの世界を堪能するということで」 さすがに心配ではあるけど、ヤツが何かの行動に出たのなら見守るのが男魂。 晦一等兵……実際に見てはいないが、俺はいつでも貴様のことを見守っておるよ……。 中井出「というわけでまず」 ナギー『うむなのじゃ』 中井出「この然の宝玉をナギーに」 ナギー『うむ。……うむ?』 戸惑うナギーの手に、ポムと宝玉を乗せる。 すると言葉も出ないくらいに驚き、俺と宝玉とを見比べている。 中井出「ガイアフォレスティアにあった宝玉だ。     なんでも先代のドリアードが精製したものらしい」 ナギー『な、なんと……!まだ残っておったのか……!     よ、よいのか?わしが貰ってもよいのか?』 中井出「よいさ!何故なら俺は既に元素の宝玉持ってるから、     それってばキーアイテム扱いされてて使用出来ないみたいだし」 ナギー『きー?……よく解らんがありがとうなのじゃヒロミツ!』 中井出「いやははは、まあまあまあ。で、貴様にはこれを」 ナギーに宝玉。 穂岸にはコレ、妙な杖を。 遥一郎「……いいのか?」 中井出「本音を言えば麻衣香に渡したいところだが、そこは乱世のヒロライン。     まずは仲間を強くすることこそが最大の醍醐味。     ところで思うんだが、ゲームとかでも     コロコロと仲間が外れたり入ったりするゲームってむかつかないか?」 遥一郎「すまん、正直ゲームとかはあまりよく知ってない」 中井出「そ、そうか……だがまあそれとこれとは話が別。受け取れぃ!!」 コシャンッ♪《穂岸遥一郎にマインドクライを渡した!》 遥一郎「マインドクライ?」 中井出「なんでも攻撃時に敵のTPを食らうらしい。だからマインドクライ」 遥一郎「“叫び”とかの“クライ”じゃなくて“喰らい”だったわけだな?なるほど」 うん、ヘンな名前だと頷く穂岸。 確かにヘンな名前だが、こういう単純な名前は結構嫌いではなかったりする。 遥一郎「よし、じゃあまず何処から行こうか」 中井出「町行って半分くらい売らない?その食料」 遥一郎「……、……賛成」 受け取ったマインドクライをバックパックに仕舞おうとしていた穂岸が停止。 そう、結局はアイテムがいっぱいなのだ。 俺は俺でいい加減アイテム整理をしなけりゃならん。 そのためには是非とも猫に会いたいんだが。 ともあれこうして、俺達の旅が始まった。 パーティー構成は…… 剣士、魔法使い、サポート専門魔法使い、ルルカ(ナギー用)。 なんともデコってボコボコなパーティーだなぁと思ったりした。 ……っと、そうだ。 一応豆坊主にtellして、猫の居場所が解るかどうかを訊いてみよう。
【Side───マメ】 豆村 「そいやぁーーーっ!!《ナルルルル》はうあっ!?誰だこんな時にtellをかけ」 彰利 「シャラァーーーッ!!」 豆村 「《バゴシャア!!》ヒブリヴォーーーッ!!」 実戦訓練……頓挫。 親父に立ち向かった俺はあっさりと親父の拳を軸に一回転し、武舞台に倒れ伏した。 豆村 「うう……も、もしもし……?」 声  『おぉ、豆坊主か?俺だ、提督だ』 豆村 「て、提督さんスか……なんすかもう……俺今訓練中で……」 声  『猫が何処に居るか知らんか?』 豆村 「ずっとここに居る俺が知るわけないじゃないっすか!!」 声  『うむ、知ってて言った』 豆村 「ぎぃいいいいいいい悪戯電話をありがとうぅう……!!」 声  『もういい加減、猫の里からは出て来てると思うしな……まあいいや。     で、もう一つ訊きたいことがあるんだが。そこに晦家の面々は居るか?』 豆村 「あ、はぁ……居るっすよ。急に転移してきたっす。     話聞く限りじゃ修練場をクリアしてあと、直接飛ばされたらしいっすね」 声  『柾樹坊主も?』 豆村 「柾樹は俺達と一緒にここに降り立ったっすね。結構驚いたっす。     で、今はマクスウェルに徹底的に基礎叩き込まれてる最中。時々絶叫が聞こえる。     晦家の面々もそんな感じで、ゼノさんとシュバルドラインさんはもう基礎クリア」 声  『速ッ!!ぬう……さすがとしか言いようがないな……。     しかし、ほうかほうか。うん、訊きたいのはそれだけ、と見せかけてあと一つ』 豆村 「纏めて言ってくださいよ……」 声  『シードは?元気してる?』 豆村 「あ〜、あのヒネたガキっすか。今丁度───」 彰利 『トドメを刺してやる───いけぇえええええぃいっ!!』  グワァッキィイイッ!! シード『ぐわぁあーーーーっ!!!』 彰利 『あの世へ送ってやるのよぉ!!』  ドグシャォオオオオオンッ!!! シード『ッ……グヘッ!』 豆村 「親父にメイプルリーフクラッチされて、     血を吐いて武舞台に転がったところっすけど」 声  『オーケー、元気にしてさえくれればいい』 豆村 「……元気って言えるんかなぁ……」 親父に空中でなにかの形に固められたのち、 思い切り武舞台に叩きつけられた彼は痙攣してる。 あれはさすがになかなか回復出来ないだろう。 元気といえば元気だったんだろうけど、現状だけで伝えるなら元気じゃない。 藍田 「ジョワジョワジョワ……順調に勝ち進んでいるようじゃあねぇか〜〜っ!     だがその快進撃もここまでだぜ〜〜〜っ!!」 彰利 『ギャヒヒィ〜〜〜ッ!!この口汚い罵りようと傍若無人な振る舞いは     今回の“究極の超人タッグ戦”開催の首謀者でもある悪衆・時間超人だな!?     て……てめぇらがあの悪名高きライトニング&サンダーかぁーーーっ!!』 藍田 「てめぇらもなにも俺一人だよ!!ジョワジョワ……だがまあいい。     今こそ錬金術の粋をかけて作り上げた核鉄の力、見せてくれる!武装錬金!!」 コシャァアアンッ!!! 騒がしさに視線を探らせてみると、 武舞台の上で藍田さんが黒い核鉄を突き出して叫んでいた。 するとそれが勝手に飛翔し、心臓部分に沈んでいくと、藍田さんの姿が変貌する───!! 藍田 「“黒戦撃足装(バトルグリーヴ)”の武装錬金!“暴走せし闇紅の具足(ダークネス・ランペルージュ)”!!     長ったらしいのでランペルージュで結構!!ルルーシュではございません!!」 彰利 『暴走せし闇紅の具足(ぼうそうせしえんくのぐそく)ねぇ……ホホ?     大暴れな紅とかけてランペルージュか。ランページとルージュ……     暴れる紅なのに何故に黒なのか疑問でヘンテコですね。     大体それの色、どこもかしこも全部黒じゃん!』 藍田 「ところがどっこい……!そうでもありません…………っ!帯熱スキル発動!!」 藍田さんがギャリンと具足と具足と弾き合わせる! と、火打石でも打ったかのように火花が散り、 その時に発生した熱が逃げることなく具足に蓄積! それを火種にでもしたかのように足を振り出すと、次第に黒の具足が紅く染まってゆく! 彰利 『な……なんとまあ……!』 藍田 「稀黒装は貴様にくれてやったが……俺にはこの、みんなの夢の結晶の核鉄がある」 彰利 『そういや使うの今日が初めてだったねぇ……。     調子どう?エナジードレイン発動してる?』 藍田 「してるしてる。吸収するのはHPじゃなくてTPみたいだけど」 佐古田「緊迫した雰囲気から急にクラスメイト気分に戻るんじゃねーッス!」 藍田 「うるせー!!」 彰利 『そんな常識に囚われないのが我ら原中のいいところ!!』 藍田 「そんなわけで死ね!!」 彰利 『いきなり!?おのれヴィクター化してようがこの俺の前では黒は無力よ!!』 やがて始まるドンパチ。 なんていうか状況を説明するまでもなく、 tellの先の提督さんが“元気そうだなぁ……”と呟くほどに元気だ。 豆村 「他になにか用は?」 声  『無いなぁ。そんじゃあ切るぞ』 豆村 「うぃす。それじゃあ」 声  『へばの!』 ブツッ…… 提督さんとのtellは、妙な言葉を最後に切れた。 ……へばのってなんだ?  ◆へばの  別れの言葉。 “さようなら”などの意。  ちなみに相撲の掛け声であるどすこいは、ドスコイカーンの(略)  *神冥書房刊:『方言は難しいであります』より 【Side───End】
中井出「さぁってとぉ」 遥一郎「猫がどうとか言ってたけど、なんだ?」 中井出「豆の師匠でさ、物凄く腕のいい鍛冶屋が居るんだよ。     今じゃそいつじゃなくちゃ武器を預けるのも嫌ってくらいの」 遥一郎「へえ……御用達ってやつか」 中井出「そんなとこ。で、そっちはもう終わったのか?」 ナギー『うむ。丁度加護を渡し直したところなのじゃー』 ピピンッ♪《加護の昇華!然の加護が昇華した!》 遥一郎「よし、っと。あとは地、水、火、風、雷、光、闇に、氷に無に時に死だな」 中井出「あるのは元素と自然だけか」 遥一郎「そうだな。道のりは長い」 中井出「長い方が面白いから大丈夫だ」 遥一郎「……お前って本当に面白ければなんでもいいんだな」 中井出「面白いことになんの不満がある」 遥一郎「いや、不満があるから言ったんじゃなくてだな」 ナギー『御託はいいから行くのじゃ。いや、それよりもまず何をするか決めるべきかの』 中井出「精霊と会うってことでいいんじゃないか?     その方が穂岸もパワーアップ出来るんだろ?」 遥一郎「一応。俺がパワーアップするんじゃなくて、加護がパワーアップするんだけどな」 中井出「よぅし!じゃあまず───」 ナギー『四大元素からいくのかの?』 中井出「馬鹿!もう馬鹿ナギー!なに言ってるの!そんなのあんまりにも普通でしょ!?     ここは高位精霊から行くのがステキ!考えてもみるのだ!     元素!自然と来て、何故根源精霊に行かなければならんのだ!     だから高位精霊!手っ取り早く神父から行こう!」 遥一郎「くれるかぁ……?」 中井出「いや、実は俺も激烈不安なわけだけど」 話し掛けて加護をくれって言った途端、襲ってきそうな気さえする。 何故って、今までの印象が酷すぎたからだろう。 ていうか穂岸がこうまで嫌そうな顔をするのも珍しいんじゃなかろうか。 ……いや、俺もかなり嫌だけど。 中井出「いいかいナギー、僕らの歴史では、     大抵は位の低い精霊から会っていくのが常識なんだ」 ナギー『う、うむ……わしらもその意識は同じなのじゃ』 中井出「しかしな、俺は正直ああいうパターンは好かん。     苦労して倒した敵が、敵勢力のザコだったなんてのは嫌なんだ。     “俺を倒してさぞ嬉しかろうが、俺は軍団の中でも三下……”なんてのは嫌だ。     もういいじゃんそいつが一番強くて!     そんな都合よく弱いやつとばっかり一番最初に当たるわけないじゃん!!     だから!選べるのであれば高位精霊から!」 ナギー『な、なるほどの!そういった常識の殻を破ろうというわけじゃな!?』 中井出「うむ!その通り!頷いてくれるかナギーよ!」 ナギー『もちろんなのじゃ!』 中井出「おおナギー!」 ナギー『ヒロミツ!!』 俺とナギーは互いに理解を得たことから喜びの眼差しで互いを見詰め合う。 やがて─── 中井出&ナギー『抱きっ!!』 ひっしと抱き締め合うと、心の中のメロディーをステップに踊り出した。 というよりは俺が主軸になってナギーを振り回しているような感じなわけだが。 遥一郎「お前らさ……旅の行く先々でいっつもそんなことしてるのか?」 ナギー『もちろんなのじゃ!』 中井出「ククク、慣れちまえば逆に楽しくて仕方がなくなるぜ?」 遥一郎「邪悪な笑みを浮かべるのはやめてくれ……。ほら、いいから行こう」 中井出「よっしゃ!近接戦闘は任せてくれ!」 ナギー『サポートなら任せるのじゃ!』 ルルカ『ゴエゥ』(“空の移動なら任せてくれ”と言っている) 遥一郎「いや……だからな?俺はべつに精霊と戦うつもりは───」 中井出「近接戦闘は任せてくれ!」 ナギー『サポートなら任せるのじゃ!』 ルルカ『ゴエゥ!!』(“空の移動なら任せてくれ”と言っている) 中井出「よっしゃあやってやろうぜロドとナギー!エイオー!!」 ナギー『やってやるのじゃヒロミツ!ロドリゲス!エイオー!!』 ルルカ『ゴェエエァゥ!!』 遥一郎「………」 俺とナギーとロドリゲスが気合を入れて手を叩き合わせる中、 穂岸だけが何処か“早まったかなぁ……”といった顔で、遠くを見ていたのだった。 【ケース401:簾翁みさお/夢も希望もありゃしない……】 チュンチュン……チ、チチチ…… みさお「う……ん……?」 視界をつつく朝の日差しで目が覚めた。 何度か瞬きすると定まる視界に、視界の横でチカチカと点滅しているナビ。 なにかメールでも来たのかなと思いながらも、まずは立ち上がってぐぅっと伸びをした。 みさお「………」 そうしてから自分の頭に触れて、そういえばって寄りかかっていた木を見る。 けど……そこに父さまは居ない。 みさお(もう起きたのかな……) 父さまの朝は早い。 一緒に住んでみれば解るけど、早寝早起きをあれほど正確にする人なんてそうそう居ない。 朝起きたらまず鍛錬だし、それから朝食を作ってくれたりなんだりと、 まるで主夫のような人だ。 ……言ってしまえば、確かに母さまは主婦とは言えないような人なのだけれど。 みさお「……はぁ」 それにしても昨夜は恥ずかしいことをしてしまった。 相手が父さまとはいえ、男の人に体を預けたまま眠るなんて滅多なことだ。 でも酷く安心してしまったのは事実で、寄りかかりながら撫でられていた時なんて、 確かにわたしはひどい幸福の中に居たんだと思う。 ……人に甘えるのって、なんだか悪くなかったです。 思えば父さまは過去が過去で、しかもぶっきらぼうなところがあるから、 家族を甘やかすなんてことが苦手な人だった。 それでも時々、真っ赤になりながら心配してくれるあの人はとても暖かかった。 みさお「父さま?」 多分食料の調達にでも行っているんだろう。 結局昨夜は食事を取れなかったから、その分奮発するような人だ。 それでも相手が食べ過ぎたりしないようにと気遣ってもくれる人。 こうして一人で考えてみると案外解ることだけど、 どうやらわたしは父さまに甘えたいらしい。 頭を撫でられるだけでもとても心が踊るのが解るくらいだ。 ……多分、母さまはもっと心が踊るんだろうけど。 みさお「………」 まだ寝ている母さまとゼットくんを見る。 ここ最近の付き合いで、ゼットくんの癖というのは大体解ってる。 多分今、彼は起きている。 狸寝入りか、それともまた眠ろうとしているだけなのか。 どちらにしろ今は起きようって思う気分じゃないのかもしれない。 でも隠し事をしている時の雰囲気っていうのも解ってしまうので、 ゼットくんが何か隠し事をしていることくらいわたしは見抜いてしまった。 みさお「ん……」 でもその前に、視界の隅でチカチカと点滅しているメールを開いた。 さっきからどうにも気になって仕方が無かった。 届いていたものはヒロミ通信五億号。 いつも思うけど、このメールの番号はとても滅茶苦茶だ。 そんなことを思いながら開いたメールを見て───わたしは愕然とした。 みさお「っ……そんなっ……」 そして理解する。 彼がここに居ない理由を。 そう……待ってたって来たりしない。 そしてきっと、ゼットくんが隠しているのもこれなんだ。 みさお「………」 いつだって奔放な人だとは思ってた。 それは、彰衛門さんに比べればよほどに真面目な人だけど。 それでもなにかをすっぽかして黙って去っていくような人じゃなかったと思う。 みさお「………」 ……ふと触れた頭には、既に大きな手のぬくもりなど無く。 ただ静かに吹く夏の風だけが、静かにわたしの髪の毛を揺らしていた。 ───一言文句が言いたかった。 甘えた途端にこんな決断はあんまりだと。 それでも父さまが自分のことでいつも悩んでいたのは知っていたから─── 追うことなんて出来なかったし、 追いついたとしても悲しむだけなんだろうと理解していた。 みさお「母さま……」 ふと見た母さまは、何処か心細そうに丸まっていた。 見慣れない毛布にくるまっているところを見ると、父さまがかけていったんだと思う。 そんな気遣いが出来る人が、どうして今更記憶を消したりなんかするのかが解らない。 だからわたしは─── みさお「……ゼットくん、わたしに言うことあるでしょ」 ゼット「………」 もう寝たふりもしていなかったゼットくんに話し掛け、彼から全てを聞いたのだった。 ……結果は……そっか、っていう感じが大半で。 父さまが自分でそうと決めたのなら、それでいいと思った。 なにより“自分のために”と願ってくれたのなら、それ以上に嬉しいことはない。 ずっと他人ばかりを守ってきていたあの人だ。 もういい加減、自分のために生きてほしかった。 だからわたしはゼットくんに怒ることもせず、“料理の仕度、しようか”とだけ言って、 朝の行動を開始した。 ……母さまにはちゃんと話すつもりだ。 そのことで母さまがどう動くかなんて解らないけど、 受け入れてもらうしかない。 思えばいっつも父さまに振り回されている母さま。 大抵の人は逆に見るけど、母さまはただただ父さまの背中を追っていた。 置いていかれないようにと。 父さまには、なんていうか孤高感がある。 ふと気づけば一人で何処かに行ってしまうような孤高感が。 でも大体は彰衛門さんと一緒に行動していて、 それに置いていかれるのがいつも母さまだった。 だからきっと……今回も悲しむんだろうと思う。 でも母さまが望んでくれるなら、一緒に居たいと思うから。 少し頑張ってみよう。 義理ではあるけど、これが彼女への孝行になってくれるように。 【ケース402:弦月彰利/残酷な天使(怪力無双)の(アンチ)テーゼ】 ボグルシャアッ!!! 彰利 『じぇぎゃぁああーーーーーーーっ!!!!』 ぼっごぉおおおおおんっ!!! 空を飛んだ。 ああ、狂おしいほどに空を飛んだ。 そィで武舞台の壁に激突すると、 俺は壁にめり込んだままで武舞台の上に君臨する暴君を見る。 オリバ「銃が小さすぎるぜ……なぁジェフ」 帯熱スキルが予想以上に厄介だったため、 離れてガトリングブラストを撃っていたんじゃけんど…… 巻き起こったブラストの煙幕を利用して襲い掛かったんだけどね、 思いっきりボグルシャアと殴られてしまったのです。 さて……中井出から連絡があったぜとのマイサンの報せが来てからしばらく、 我らは悠介関連のメールを見て結構驚いていたんですがね。 どうしてそげな事態になったのかも解らんし、なんだかむしゃくしゃしたから、 現在の実戦訓練学科を取ってる者全員で舞台に上がってバトルロイヤルをしたんですわ。 で……それからああなってこうなってそうなって………こんなことになってしまったがね。 彰利 『お、俺場外ね!?だからキミたち頑張って!』 清水 「うおお汚ぇ!!オリバにさせとくだけさせといて自分はとんずら───ヒィ!!」 オリバ「馬鹿だぜアンタ」 清水 「!ってうぉわぁあああああああっ!!!!」 清水がオリバの行動パターンを悟り、一目散にごしゃーーっと逃走した!! 田辺 「よ、よく逃げ帰ってきてくれた!     今はただ一人でも無事なヤツが居てくれたほうが心の処方箋になるわ!!」 岡田 「というわけでさあ行けボウズ!」 豆村 「《ズズイ》ヒィイ!!ダメっす!押さないでくださいよちょっと!!」 七尾 「そんなこと言わずに!ね!?好きな子にカッコイイとこ見せるチャンスよ!?」 豆村 「今ここに居ない相手にどうやって見せるっつぅんすか!!」 総員 『THE・テレパシー!!』 豆村 「無茶言わんでくださいよ!!     だいたい同じ原中の人間なら少しは対処法とか解ってそうなもんでしょ!?     あんたたちが先陣切ってくださいよ!!」 田辺 「よし任せろ!ならば俺が先陣を切ってやる!」 総員 『おお田辺!田辺が立った!』 他人の息子だろうが平気で盾にする猛者どもが騒ぐ中、田辺が立ち上がった! 我らはその勇気に深い感動を覚え、思わず拍手をする!! 田辺 「俺のターン!!豆村みずきを守備表示にして特攻!!」 豆村 「へっ!?」 しかし彼は宅のみずきを持ち上げると、それを武器に駆け出したのだ!! かなりド外道な対応だが、拍手までした猛者どもの反応は───!! 清水 「そ、そうか!その手があったか!」 岡田 「さっすが田辺だぜ!やることが突飛してる!」 誰もが賞賛し、大きな拍手を贈っていた。 実にクズである。……いや、俺もだけどさ。 田辺 「受けるがいい!剛刃ビーンズブレイカー!!」 豆村 「それって俺が砕けるってことじゃおぉおわぁああああっ!!!」 田辺がみずきの足首をしっかと掴み、STRをいじくってから攻撃! まるで大剣でも振り下ろすかのように斜め上から一気にみずきで攻撃を仕掛けた!! オリバ「ハハ、日本刀(サムライソード)とは」 豆村 「あんた一度眼科行って診察受け───ろぉあぁあああああっ!!!!?」 しかしオリバはそれをあっさりと避けバゴシャア!! 豆村 「おべぇっ!!」 ……た結果、みずきの顔面が武舞台に叩きつけられた。 おお、見るからに痛いぞあれは。 田辺 「そう動くことも───知っていたッッッ!!」 続いてのニ撃! ぐったりとしているみずきを振り上げるようにして、 攻撃を避けたオリバへと即座に攻撃バゴキャア!! 豆村 「ヘギョオッ!?《ゴキュリ》」 その攻撃は見事にオリバにクリーンヒット! だけどオリバは平然と立っていて、 逆に武器として振るわれたみずきの首が絶妙な感じに曲っていた。 オリバ「心臓をプレートでカバーしてあるのさ」 田辺 「うっ……うそつけぇええっ!!心臓をプレートでカバーしてるなら、     皮膚に当たっただけでこんなに首が曲るもんかぁっ!!」 清水 「お、落ち着けぇ田辺ぇええっ!!STRマックスで振るったのはお前だぁっ!!」 田辺 「───ハッ!しまったそうだった!そりゃ首も曲るわ!     でもそれってよっぽど硬いものにぶつけた証拠だと思うんだけど!?」 オリバ「攻守交替───」 清水 「い、いかん!避けろ田辺ぇえっ!!」 田辺 「ヒ、ヒィッ!!」 ボリュズドボッシャォオオオオオンッ!!! 豆村 「うべるげぇあぁああああっ!!!」 ヒュゴォッドッゴォオオオンッ!!! ……遠く離れた舞台壁で、マイサンが壁画と化した瞬間だった。 やっぱり首が曲ったままで。 田辺 「危なかった……!(俺が)」 どうやら咄嗟にみずきを放り投げて盾にしたらしい。 すげぇ……すげぇよ田辺、あの一瞬で……!中々頭が回るゼあの野郎……! おお……戦いのなんと残酷なことよ。 だが生き延びることこそこの学科の重要課題! どんなことをしても最後まで立っていればそれでいいのだッッ!! 現に敵対心が解けたことでさっさと回復したみずきは、 壁から這い出して一命を取り留めてるし。 オリバの拳を受けて死ななかっただけ上等だ。 恐らく咄嗟にVITをマックスにしていたんだろう。 でも内部のダメージが高かったのか、 ヨロヨロと歩くとドグシャアと倒れて動かなくなった。 やすらかに眠れ、マイサン。 などと、少しでも視線を逸らしていたのがいけなかった。 彰利 「───!う、ううっ……瞬殺!!」 ふと武舞台に視線を戻せば、既に全員リタイアしていた。 中心に立っているのは……やっぱりオリバ。 ちなみにゼノとシュバちゃんは一番に突っ込んで一番に壁画と化した。 だってね、地味に鍛錬続けてる我らと彼らとじゃあ、やっぱりレベルに差があるし。 いくら現実では強かろうが、この世界ではそんなもの通用しません。 これが……この世界での現実ッ……!! ザウス『これを以って、実戦訓練学科サバイバル大会の優勝者は     ビスケット=オリバに決定するザウルス!!おめでとうザウルス!!』 と、そこへザムゥ〜と武舞台に降り立ったのが審判役のザウス。 いっつも語尾にザウルスとつけては、 猛者どもにうるせぇとかクズがとか言われまくっているヤツだ。 清水 「わ、わあ馬鹿ッ!!」 岡田 「不用意に間合い(エリア)に踏み込むな!!」 ザウス『ザウルス?《サモ……》ザウ?』 オリバ「馬鹿だぜアンタ」 ザウス『!』 謝謝、楊海王……。 ベッシアァアア!!! バキベキゴキボキベキンッ!!……パキ……コキ、ン…… 総員 『潰したァアアアーーーーーーッ!!!     審判潰したァアアアーーーーーーッ!!!!』 岡田 「このクソザウルス!最後まで舞台に立ってたヤツが優勝だって言っておきながら、     わざわざ舞台の上に立つとは……!なんという愚かさ!!」 清水 「自ら死にに行くとは……この愚か者め!だからお前はザウルスなんだよ!」 総員 『このクズが!!』 既に潰れてるのにひどい言われようだった。 彰利 「よぅしオリバ!キミが優勝だ!だから変身解いてもう降りて!     じゃないとオイラたち舞台に上がれねぇYO!!」 とりあえず気を取り直して言ってみる。 が、なんだかオリバはポージング大会を始めてしまい、 人の話を全然聞いちゃいなかった。 清水 「す、すげぇ……我らに対する強烈なアンチテーゼだ……!」 田辺 「なんてこれみよがしの逆三角形……!!」 彰利 「降りる気全然ねぇみたいね……。     こうなりゃ全員で命続く限り、ヤツをボスに見立てて戦い続けてやろうぜぇ!!」 清水 「仕切ってんじゃねぇ一等兵!!」 田辺 「貴様一等兵だからって俺達を見下すつもりか!?」 彰利 「だからキミ達いい加減にしなさい!!     中井出が居ねぇんだからしゃあないでしょ!?だったら誰が号令かけんの!!     もはやオイラ以外に一等兵なんておらんでしょ!?」 佐野 「ッチィ……!晦を失ったのは痛いな……!」 岡田 「記憶の封印とか書いてあったな……」 彰利 「でがしょ!?だからこの一等兵の言葉を聞いて動くのだ二等兵ども!!」 田辺 「黙れクズが!!」 総員 『死ね!!』 彰利 「なんでそこでクズ言われにゃならんの!?」 田辺 「一つ上だからって司令塔でもねぇ貴様に命令される覚えはねぇ〜〜〜っ!!」 岡田 「我らに号令を仕掛けていいのは中井出提督ただ一人!     最初にそう決めたのはてめぇだろうがぁ〜〜〜っ!!」 彰利 「ア、アアーーーーーッ!!!」 そ、そういえばそげなこと言ったような言ってないような……!! 佐野 「そういうこっちゃでぇ!せやからお前の言うことナンか聞いたらへん!!」 彰利 「じゃあ前言を撤回します」 総員 『クズがクズがクズがクズがクズがクズが!!』 彰利 「ギャアごめんなさい!ほんともう言いません!!     だから全員でクズクズ言うの勘弁!!わーった解りましたよもう!!     じゃあみんなで協力してオリバ倒そ!?お願いよもう!!」 田辺 「お高い御用だ!」 岡田 「俺達、同じトルーパーだもんな!!」 清水 「お前のその言葉、待ってたぜ!」 彰利 「………」 時々思うんです、僕。 エロマニア扱いされまくってる時の中井出の気持ちって、こんなのなんだろうなぁ……と。 しかもお高い御用って……確かにオリバが相手じゃ安くはないけどさ。 ほんと……みんないい性格してるよ。 永田 「蒼き〜ひ〜かり〜を〜灯ォす、それは〜破〜壊っ、眠り蘇〜生〜♪     ゲ〜シュ《バゴシャア!!》ぺっしぇぇえええーーーーーーーーっ!!!!」 岡田 「ああっ!先陣を切った永田がっ!」 清水 「パンプキンシザーズのOPを歌いながら     オーランド伍長みたいに虚ろな目をして進んでいった永田が!!」 丘野 「歌の途中であっさり殴られた永田殿が拳を軸に一回転して倒れたでござるー!」 田辺 「ところであの歌、どう聴いてもゲ〜シュペ〜セ〜ガ〜としか聞こえないんだが」 佐野 「実際なんて言っとんのやろな。やっぱゲシュペンストイエーガーか?」 永田 「《ドゴーン!バゴーン!》ゲファーーーリ!ゴフォーーーリ!!」 丘野 「ヒィ!倒れた永田殿が足を掴まれて武舞台に叩きつけられまくってるでござる!」 岡田 「歌のテンポとして合わない気がするよな、それだと。     ゲ〜シュペ〜ンスティェ〜ガ〜って感じか?」 清水 「それじゃあゲシュペンステイエーガーじゃないか」 永田 「片手デ振リ回サレテイル……!80《ドゴォン!!》ゲフォーーーリ!!」 丘野 「永田殿!?永田殿ーーーーっ!!」 岡田 「難しいところだな……」 清水 「ゲ〜シュペ〜セ〜ガ〜……だよなぁ、どう聞いても」 カラーーーン……カラーーーン…… 岡田 「おっと、終了の鐘の音だ」 佐野 「次なに取っとったやろなぁ」 田辺 「俺空界学科」 清水 「俺戦略学科だ」 蒲田 「じゃあ解散しますか」 総員 『おつかれっしたぁ〜!』 丘野 「いやさすがにオリバ殿相手に無視はあんまりなんじゃないでござるか!?     永田殿!?永田殿ォーーーーーッ!!」 総員 『誰だって自分が一番可愛いのさ……アンタだってそうだろ?』 丘野 「そうでござるな」 それはそれは、とてもいい笑顔だったという。 こうして僕らは去ってゆく。 永田 「てめぇら覚えてろよぉおおっ!!?《ドゴォーーン!!》ゲファーーーリ!!」 ただ一人、勇敢に立ち向かった勇者を(にえ)にして。 そういや潰れたザウスさん、どうなるんだろね……。 などと思いつつ、やっぱりちょっとモヤモヤした心を抱きながら、 俺も神殿のほうへと戻った。 記憶の封印か……はぁ。 悠介のやつ、今頃どんなことしてるのかね……。 Next Menu back