───冒険の書151/銀嶺の山を行く───
【ケース415:中井出博光(再)/皇帝より優れた臣下などいくらでもいる。○9点。】 ザムザムザムザムザム……!! 中井出 「ナギー!大丈夫かー!」 ナギー 『大丈夫なのじゃー!』 ルルカ 『ゴエー!!』 アイルー『ゴニャー!』 晦と別れて全力疾走、現在トカホウテ山攻略に勤しんでいる。 今日も良い風が吹いています……こんにちわ、中井出博光です。 しかしこの山、巨人の里とサンドランドノットマットを繋ぐ場所を通るだけなら低いのに、 昇るとなるととんでもない高さになっていやがる事実に驚愕。 しかもじっくり昇らせるためかフロートも使えないしルルカの飛翔も出来やしない。 一応風が強くて飛べないって設定だけはあって、物凄い風が吹いている。 だから会話は叫んでじゃないと通らない。 先ほど、設定がなんぼのもんじゃーーい!とフロートと風を利用して飛翔。 そしたら突風に煽られ飛んで来た大木が直撃。地面に叩きつけられる結果となった。 何度試してみても大木が飛んできて、しかも斬っても壊れないのだ。 恐らくあれは我ら原中対策に作られた超特殊木材の木に違いない……! そんなわけで斬るのではなく強引に受け止めて、 一本だけバックパックに無理矢理詰め込んだ。 これで武器を作ったらきっと強いものになるに違いない。 フフフ、ゲームマスターどもよ…… 上手くこの俺を出し抜いたつもりだろうがこの博光、ただでは折れはせん。 と、それはそれとして。 中井出「ぐおお凄い風だぁーーーっ!!」 ナギー『ロドリゲスー!頑張るのじゃー!』 ルルカ『ゴゴエェエエ……!!』 俺達よりも比較的体が大きいルルカという生物にとっては、 この風はかなり辛いものがあるだろう。 加えてナギーはロドリゲスの背中でエールを送り続けるだけである。 猫においては、ナギーとロドリゲスの間に挟まれながらヌクヌクとぬくもりを感じていて、 少し眠りモードである。 ……頑張れ、動物。 ああちなみに体を重くしつつも山の壁をよじ登る方法もとったんだが、 そんな場合は山の上からこれでもかってくらいの落石があった。 まるでメテオである。 どうやら意地でも普通に昇らせたかったらしい。 しかしこの山……ほんと長いな。 まるで、ボスが居るからきっと登り切るだろうとか考えた上で、 登るのが面倒と思うか思わないか程度のギリギリの高さに調節されているかのようだ。 それでもここまで登ったからには引き返すのも嫌なわけで。 中井出「横穴発見!ちょっと休もうロドリゲス!」 ルルカ『ゴエェエ〜〜〜ッ♪』 ナギー『おお!物凄く嬉しそうな顔をしたのじゃー!』 中井出「なんていうか……キモいな」 ルルカ『ゴエッ!?』 横穴というか、まだまだ続く高い山の肌にある穴を見つけた。 そこは洞窟になっているらしく、中には通路が続いている。 ───と思いきや、中からゴバー!と物凄い数のコウモリが!! 中井出「うおおーーーーっ!!」 ナギー『ふきゃあーーーっ!!』 コウモリが飛んでゆく! コウモリどもは俺達の上や横を通り抜けて、 風が吹き荒ぶ山の外側へと飛翔バキベキドカゴシャベキャア!! コウモリ×25『クギャアーーーーーーーッ!!』 中井出&ナギー『キャーーーッ!!?』 飛んでいった途端、風に飛ばされてきた大木によって全て全滅させられていた。 すげぇ……プレイヤーだけじゃなく、 この山の生き物にすら容赦なく襲い掛かるのかあの大木……。 ナギー『これはこの先、難儀しそうじゃの……』 中井出「まったくだ……」 ルルカ『ゴエエ……』 ゼェゼェと疲れるルルカに水とフレッシュミートをあげつつ休ませる。 俺とナギーも岩肌に体を預けては、 風に打ち付けられた所為か精神的に疲れたために休憩をとった。 疲れないっていったって、この風はこたえる。 ナギー『のうヒロミツ?ロドリゲスにもネックレスをあげたらどうじゃ?』 中井出「ぬう、それはこの博光も考えていたんだが……」 ナギー『ところでヒロミツは何故自分のことを“このヒロミツ”と言うのじゃ?』 中井出「ワムウっぽい口調が好きなんだ」 ナギー『わむー?…………やっぱり解らんのじゃ』 中井出「いつかきっと貴様にも解る日が来るさ」 そんなわけで神……というかゲームマスターに祈ってみる。 ……しかし現れないネックレス。 どうやらこれ以上のサービスはないようだ。 中井出「ぬうすまん……そういえば超絶中井出ネックレスは、     一年に二回しか精製出来ぬのだナギーよ……」 ナギー『な、なんとそうじゃったのか!     とするとわしとシードに精製したので二度……すまぬの、ロドリゲス……     おぬしの分のネックレスは作れないそうなのじゃ……』 ルルカ『ゴェエーーーッ!?』 とても悲しそうだった。 中井出「で、どうだ?この先登れそうか?」 ルルカ『ゴエェエ……《フルフル》』 ついていけない悲しさと置いていかれる悲しさを混ぜたように、 残念そうに首を横に振るロドリゲス。 中井出 「ナギーはどうだ?」 ナギー 『わしはいけるのじゃー!』 中井出 「うむよし、猫よ、貴様はどうする?」 アイルー『…………ゴニャ……ニャ……』 ……寝てる。 この風がビュービュカうるさい中でよく眠れるもんだ。 中井出「よし、じゃあロドリゲスと猫はここで待っててくれ。     お、俺とナギーでこの山を攻略してくるぜ〜〜〜っ!!」 ナギー『わ、わしらに任せておくのじゃ〜〜〜っ!!』 ルルカ『ゴ、ゴエゴエゴエエ〜〜〜〜ッ!!』 無駄にキン肉チックに言い合いをしたのち、手を合わせてエイオー。 それが終わるといざと、俺とナギーは歩き出したのだった。 いや、だってさ、走ると危ないんだよこの山……。 ───……。 ……。 Gクロウラー『もろもろもろもろ!!』 ジャイアントクロウラーが現れた!! ていうかクロウラー族ってどうして絶対もろもろ言いながら出てくるんだ!? 中井出「ちょぇええーーーーーっ!!!」 しかしそんな疑問もなんのその! 俺は素早くクロウラーを両手で持ち上げ頭上に掲げると走り出し、 風が荒ぶ山の外へと投げた!!  ヒュゴォベグシャアッ!! Gクロウラー『ムゲェッ!!』 そして飛んで来た大木によって塵になるクロウラー。 中井出「お前は強かったよ……でも、間違った強さだった」 さあそんなことより先を急ごう。 ナギー『しかしほんに強い風よの……!進む体が吹き飛ばされそうなのじゃ……!』 中井出「精霊の身にもやっぱりこたえるか?」 ナギー『当たり前なのじゃ……!     風の精霊でもここまでの強風を作り出しっぱなしには出来ないのじゃ……!』 中井出「さっ……先行き不安になるようなこと言うなよぅ!!」 それってそれだけカイザードラゴンが強いってことじゃないか! だが戦うね!俺は!たとえ死ぬ結果になろうとも! ようは角だ!角ばかりを狙う! で、コロがされようが再び登り、HPが完全回復する前に攻撃! いくらコロがされようが倒すまでは諦めん! こ、怖くないよ!?全然怖くないもん!! 中井出「いやしっかしほんと長くて高い山だなぁーーーっ!!     いい加減にしとけとか叫びたくなるぞーーーっ!?」 ナギー『まったくなのじゃーーーっ!!』 ビュゴォオオと吹き荒ぶ風はまるで止まない。 そんなだから進む体にもいい加減力が入らなくなるところだが─── こんなことでくじけていては、連戦など無理! というわけで俺はナギーをお姫様抱っこで抱きかかえると、体に渾身を込めて走り出した! ナギー『お、おお!速いのじゃヒロミツー!!』 中井出「鍛えてますからぁ?っへへぇ!」 ナギーの言葉にクリリンの声真似をして返す。 あの言葉、凄い好きだった。 やっぱクリリンっていいよね、うん。 悟空さよりもよっぽど好きさ。 サイヤ人どもはスーパーサイヤ人になってからというもの、 周りの地球人を完全に置き去りにしちゃってたからなぁ……。 かつてはあんなにも強さを競った相手だっていうのに。 だから僕はクリリンを応援します。 中井出「ぬぅううおおおおお!!《ビシィッ!!》ぐおおおお目に砂がぁああっ!!!」 そしてやっぱり格好つかない俺が居た。 だがXメンは挫けない!Xメンじゃないが挫けない!! 俺は数度瞬きをして涙で砂を流すと再び走りだした! 攻略してやるぜ───アロマタクト!じゃなくてトカホウテ山!! ───……。 ……。 ゴォオオオオオ……!! 中井出「長ェエエーーーーーーッ!!!」 そしてやっぱりあまりの高さに大変驚く俺が居た。 もうどれほど登っただろうか……そんなことさえ解らなくなるほど高い。 くそうゲームマスターめ……!よくもこんな山にボスを……! ナギー『む……?大変なのじゃヒロミツ!風が治まってきているのじゃ!』 中井出「なにぃ!?」 愚痴を展開しつつも登っていた先─── ふと気づけば風の流れが緩やかになっていた。 試しにそこらのモンスターを蹴飛ばして山の外に出してみたがドグシャア! 中井出&ナギー『あ』 それでもやっぱり大木は飛んでくるらしい。 すまんモンスターよ……思わせぶりな言葉運びだったのに不運な結果に……。 ていうか風が緩やかなのにあんな速度の大木が飛んでくるなんて、 どういうカッパーフィールドなんだろうか。 中井出「風が治まっても先はまだありそうだな……」 ナギー『うむ……』 今では既に普通に話していても聞こえるくらいになっている。 しかしナギーはお姫様抱っこが気に入ったのか、 “ごーなのじゃー”と言って俺を促すばかりだった。 ……まあ、いいんだけどさ。 ───……。 そうして山を駆け上る。 急斜面や絶壁なども登り、 まるでモンスターハンター2の雪山の山頂を目指すハンターの如く登ってゆく。 通り道である絶壁を登る分には落石はないらしい。 まったく理不尽な限りだ。 中井出「オーーーッギョッギョッギョッギョ!!《ザカザカザカザカザカ!!》」 ナギー『おお!速いのじゃー!』 だが絶壁登りならば任せてもらおう! 光の塔や猫の里で絶壁登りを鍛えたこの博光、この程度の絶壁など屁でもないわ!! ───と、ナギーを背に登り切ると─── 神父 「ようこそ、迷える子羊よ」 中井出「アンタなにやってんの!?こんなところで!!」 ……神父が居た。 神父 「ここは私が修行しにくる山だ。居たとしてもおかしくはあるまい」 中井出「あ、あ……いや……そりゃ、     貴様以外の誰が居ても多分驚かなかったんだろうけど……」 あ、でもダニエルだったら驚いてたな、俺……。 なんて思いつつ、ここにもあったらしい洞穴に張られたテントをチラリと見る。 どうやら本当にここで修行しているらしい。 中井出「ていうかさ、お前どうやってこんな場所まで移動してるの?」 神父 「神の力だ。フェルダールの神、ゴッドマシューが私を導くのだ」 中井出「うぅうーーーっひゃぁあーーーーー胡散臭ぇええーーーーーーっ!!」 神父 「時折この先のカイザードラゴンに挑もうとする旅人が居るのでな。     ヤツに敗れた魂を私が迎えている。     そういった意味ではここは大変な修行場なのだよ」 中井出「挑んだヤツが大抵死ぬから?」 神父 「大抵ではない、確実だ」 中井出「うおお訊かなきゃよかった!!あ、でもここに居てくれるのは大変ありがたい」 神父 「おお、この者の感謝はきっと神に届くでしょう。お布施をくれたら」 中井出「つ、つくづくがめついゴッド!!捨てちゃいなさいそんな荒神!!」 神父 「あなたにも楽園の扉が開かれますよう……」 中井出「開かれないよ!!     お布施のひとつで開かれる楽園なんて胡散臭い宗教みたいで嫌だよ!!     ごめんだよそんなの!!」 FF11の宗教者のように両手を挙げてそんなことを言う神父に言い放って先を急いだ。 ここまで来ると風はもうほとんど無い。 それでも目指す場所はまだまだ上であり、俺はそこを目指して突き進むのだった。 【ケース416:弦月彰利/お空の果てで自己鍛錬に励む黒】 とある昼の頃。 オイラはかねてよりの実験をするべく、九頭竜闘気を解放して九翼を解放。 さらに黒から八翼を出して重ねる───が、 やっぱりどれだけ気合を入れても九枚目が出ない。 彰利 『わっかんねぇなぁ〜〜……九枚目ってのはどうやったら出せんだぁ〜〜?     オラ腹減ったぞぉ〜〜……』 などと悟空さの真似をしている場合ではござらん。 いやほんとまいった。 かなりレヴァちゃんの力は吸収出来ていってる筈なのに、 八翼から先がどうしても得られない。 彰利 「はふぅ……ダメだぁ〜〜……」 オーダーを解く。 今のやり方じゃあダメだってことなのかなぁなどと思いながら。 ランクはA++。 Sになれば使えることが出来るのかといえば……そんなことはないんじゃろうね。 俺に足りないもの……それはなんだ? いや、まずレヴァちゃんの力を 自分用に吸収しきれてないってのもあるかもしれんのだけど。 彰利 「ええいうだうだ考えても埒も無し!悟空!修行じゃ!」 ドシュシュッ!バオバオッ!ビッ!ブバッ!! でげででげででげでで〜〜〜ん♪  ピピンッ♪《彰利は霊幻道士奥義“飛び蹴り”を覚えた!》 彰利 「いらねぇえーーーーーーっ!!!」 でもアンデッドには効果大らしい。 そういや技閃くのも久しぶりだなぁ。 考えてみればいろいろと独自の道を歩みすぎて、初歩的なことを忘れがちである。 とはいってももう二度とチューチャイ三段蹴りはやらんけど。 彰利 「確か武具にはスロットってのがあって、     アイテムやらなにやらを嵌めることが出来たのよね」 言いつつスロットを探してみる。 ……と、どうやら稀黒装には四つしかつけられないらしい。 つまり両手両足一個ずつ。 しかも嵌める幅が小さいような……何事?  ピピンッ♪《メールが届きました》 彰利 「ややっ?」 相変わらずいきなりくるメールである。 しかもそれが大抵、何かを思い出した時にばかりくる。 もしかして気づいたヤツにしか通信送ってないんじゃなかろうか。 だとしたらイ、イヒィッ!ちょっと優越感だねトニー!イッ……イッヒィイッ! そんなわけでハイ開帳。  ◆ヒロミ通信783640号  スロットについて───  武器にはそれぞれスロット限界数というものがあります。  それは手に入れた時点で決まっているものであり、増やしたりすることは出来ません。  今回のバージョンアップによりスロットに嵌め込めるのはマテリアのみとなりましたが、  マテリアにもいろいろあるので、これからは錬金にも力を入れてみましょう。  マテリアには属性のマテリア、ステータスUPのマテリア、状態異常付加のマテリア、  状態異常防止のマテリアなどなど、様々なマテリアがあります。  ただし属性のマテリアは物理攻撃に属性が付加されるのみで、  中井出博光のように多属性のキャリバーが放てるようになるわけではありません。  多属性のキャリバーを放つにはあくまで宝玉が必要です。 …………。 彰利 「グゥ〜〜〜ム」 つまりなんだ? 既にアイテムをホイホイ嵌めこめた時代は過ぎ去ったと? いや、そういや俺も全然使用してなかったけどさ。 しかしナルホロ。 しからばオイラはダークマテリアを狂おしいほど嵌めこもう。 スロット4つだけだけど嵌めこもう。 でもマテリア、藍田くんの核鉄作るのに使っちゃったしな……よし作るか。 今日の自己鍛錬はこれで終わりさ。 やれることからコツコツとだ! ───……。 ……。 そんなわけでどごぉおおおーーーーーん!! 総員 『ホギャアアアアーーーーーーーッ!!!!』 張り切りすぎて分量ミスしました。 藍田 「なにやってんだ一等兵てめぇ!!一等兵のくせに先陣切って失敗すんなクズが!」 彰利 「えぇっ!?失敗しただけでクズなの!?     い、いいじゃねぇの!錬金にゃ失敗は付き物だよ!?いやむしろ憑き物!!」 藍田 「黙れクズが!」 総員 『死ね!!』 彰利 「しっ……失敗しただけでなんて言われようだ!!」 今日も元気に錬金三昧。 名誉ブリタニア人も猛者連中もなんだかんだで錬金が好きなご様子。 一部のブリタニア人がちょっと暗い空気に包まれておりますが、 それでも基本は明るくやっております。 ていうか猛者連中はまるで空気を読むことを知らないかのように騒ぎまくってます。 さすが暗い雰囲気大嫌いな猛者連中よ。 ええもちろんオイラも大嫌い。 カラーーン……カラーーーン…… 彰利 「よっしゃあ終了!戦闘学科ァーーーッ!!」 藍田 「フハハハハハ!!今日こそ貴様の本気をブチ抜いて俺がランクA++を頂く!」 丘野 「なんの!そんなことはさせんでござる!     オリバ状態でのランク各付けが禁止されている藍田殿などおそるるに足らず!」 夜華 「馬鹿を言うな貴様ら!彰衛門はわたしと訓練し、わたしと卒業するのだ!」 藍田 「ジョワジョワジョワ!そうはさせねぇぜ〜〜〜っ!!」 丘野 「ヌワヌワヌワ!ワンツーフィニッシュなぞ誰がさせるか〜〜〜〜っ!!」 真穂 「篠瀬さんも大胆になってきたよね〜」 夏子 「最近はずっと弦月くんと一緒だし」 夜華 「そっ……そそそそんなことはない!断じてない!!気の所為だ!!」 春菜 「アッくんとまともにぶつかれるだけの技量がわたしたちには無いからね……」 彰利 「俺は今!強くなれるだけ強くなりたい!だからごめんよ僕のハニーたち!     今は力量重視!藍田くんや夜華さんとバトってた方が修行になるのYO!!」 そんなわけだから早速武舞台へレッツ&ゴー! もちろん他の皆様は受ける学科ごとに向かう場所が違い、 大半の人はここで別れることになるが。 ───……。 ……。 ガンガガガガガガドガガギゴギィンッ!!! 彰利 『ズォリャァアアッ!!!』 藍田 『ディエエエエエーーーーーッ!!!』 そんなこんなで、ヴィクター化している藍田くんとバトル。 この稀黒装の特性をよ〜くしってやがる藍田くん相手だと、 ほんの僅かな技の発動も見切られてしまってとても大変さ。 夜華さんはというと……丘野くんと戦ってる。 丘野×100『いくでござる!百身烈風け───』 夜華    『紅葉刀閃流!』 ドゴォオンッ!! 丘野×100『ややっ!?』 夜華    『“四聖刀覇-乱れ紅葉-”!!』 ゾガガバッシャァアアアアアッ!!! 丘野 「ギョルァアアーーーーーーッ!!!」 例のごとく分身して襲い掛かった丘野くんだったが───たった一撃でリタイア。 踏み出した一歩から風の衝撃波を放ち、丘野くんどもを怯ませてから、 気配を探っての本体のみへの全力攻撃。 丘野くんは大空を舞い上がり、場外にドグシャアと落下した。 夜華 「……貴様、分身のみに頼る戦い方をしているとのちのち後悔するぞ。     気配を殺しきれていないのでは折角の分身も意味がない」 丘野 「が、ががが……お、押忍……ごっつぁんでした……《ガクッ》」 岡田 「し、死んだァーーーーッ!!」 田辺 「ホリデー垣内が死んだァーーーーーッ!!」 夜華 「次!誰でもいいから来い!」 田辺 「よっしゃあ次は俺だぜ〜〜〜っ!我が我流刀術……受けてみさらせ!」 夜華 「刀か……」 田辺 「グオッフォフォ、この俺の飛燕から逃げられる者などおらんぜ……?     この場でさらに鍛えた俺の刀は次元を曲げ、何閃もの攻撃を同時に放つ……!     それが我が飛燕虚空殺!発動すれば何人たりとも止められん!」 夜華 「………」 田辺 「そう!何人……!何人たりとも……!な、なん…………」 夜華 「………」 田辺 「た、助けてぇえええっ!!この人全然隙がねぇええーーーーっ!!!     踏み込めない!踏み込めないよぅ!!」 岡田 「イメージするんだ!こう動けばこう潜り抜けられるとか!     弦月と篠瀬さんが戦ってるところを何度も見てた貴様なら出来る!」 田辺 「そ、そうか!私にはそれがあった!!ではイメージ!………………!     だ、だめだぁ!アライ戦の時にどう動こうが     殴られるイメージしか出来なかった猪狩のように、     俺も今自分がやられるイメージしか沸いてこねぇええーーーーーッ!!」 岡田 「な、なにぃいーーーっ!?」 ああ……なんだか田辺くんはいっぱいいっぱいらしい。 彰利 『どぉーーーしたぁーーーカカロットォーーーーッ!!     そんな程度じゃっ───ない筈だぁーーーーーっ!!!』 藍田 『《ドゴォンッ!》ぐぉおーーーーっ!!』 だが我らは違うね! 武舞台の上で衝突したのちに宙に浮き上がりながら攻防を繰り広げる! ていうかどうしてヴィクターって空飛べたんだろ。 その奇跡が今まさに藍田くんの身にも起こってるわけだけどさ。 ともかく攻防をし、大体の高さまで来ると “ない筈だ”という言葉とともに両手を合わせ、藍田くんを武舞台目掛けて殴り落とした。 思うんだがこれってあんまり痛くないんじゃないかな。 思うより勢い付かないし。 田辺   「まァ大変!篠瀬さん!アナタさらしがゆるんでいてよ!」 夜華   『なにっ!?』 清水&岡田『今だァーーーッ!』 夜華   「《バッシィッ!》なっ……貴様ら!!」 そんなことを思っている中、 武舞台では騙された夜華さんが清水と岡田に武器を奪われていた。 相変わらず妙なところで純情なため、ああいうこと言われると戦いに集中出来ないらしい。 田辺 「ぐっへっへっへ、武器がねぇなら刀術は撃てねぇよなぁあ……」 実にクズである。 夜華 「…………いいだろう、来い」 刀であり鎌でもある武器を奪われたために死神化が解けた夜華さん。 しかし臆することなく手刀を構え、三人を見据えた。 田辺 「ウハハハハ!では今日こそ一本を頂きますぞぉ〜〜〜っ!」 清水 「この清水も助太刀いたす!」 岡田 「我ら三人のジェットセンチメンタルアタックを受けてみよ!!」 三人 『死ねぇええ〜〜〜〜〜〜〜っ!!!』 佐野 「ア、アカンお前ら!それは倒されるザコの謳い文句や!」 そうは言うがもう遅い。 卑劣な方法で武士の誇りである刀まで奪ったんじゃあ、 夜華さんは三人を許さないでしょう。 夜華 「紅葉刀閃流……無刀の型。無鳳輪(むほうりん)-円月-(えんげつ)!!」 スフィンッ───ゾブシャアッ!! 三人 『ギャアーーーーーーッ!!!!』 振るった手刀が風を巻き起こし、なんと飛びかかった三人の体を切り裂いた!! いや、真っ二つとかそこまではいかん程度に。 中村 「ぬうあれは……」 蒲田 「し、知っているのか雷電」 中村 「う、うむ……あれぞ伝説の奥義、無刀流刀術……。     伝説に聞き及んではいたが、まさかこの目で見る時が来ようとは……」  ◆無刀流刀術───むとうりゅうとうじゅつ  刀ではなく己の手刀を刀とし、  瞬速で振るうことで空気を裂き、剣閃のようなものを放つ達人技。  特に篠瀬さんの場合は風の能力に優れているため、そういった特技が放ちやすい。  散々と刀しか使わんと言っていたわりに、  どこぞのツンツン頭に勧められた途端に熱心に勉強、  鍛錬の末にここに至ったという心温まる物語の先に存在する技。  剣閃だけでなく、刀術も普通に扱えるらしい。  地味に彼女の手刀スキルが高いのはそのためだとかなんとか。  *神冥書房刊:『夫の言葉一つに心揺り動かされる武士の技大辞典』より 蒲田 「ぬう……そんな事実があったとは……!」 夜華 「こ、こらそこっ!なにを話し合っている!!」 中村 「い、いえなにも」 そうしてドグシャアと受身も取れずに落下する三人を横目に、 岡田の手を離れ、弧を描く刀を手に取ると三人に向けて言う。 夜華 「刀士が刀しか使えないなどと思うからそういう目に遭う。     刀に誇りを持ってはいるが、わたしはもうそれのみに頼るつもりはない」 田辺 「ア、アワワ……!」 夜華 「さて……刀を持ちわたしの前に立っておきながら、     随分な下郎ぶりを見せてくれたな……。どうなるか解っているな?」 田辺 「わ、解らないって言ったら……?」 夜華 「厳しく教えてやる」 田辺 「じゃ、じゃあ解るって言ったら───」 夜華 「再び教えてやる!!」 田辺 「い、いやぁああっ!!逃げ道無しぃいいいいいーーーーーっ!!!!」 ザンゾシュドシュザシュゾブシャゴブシャ!!!! 三人 『ギャアアアーーーーーーーッ!!!』 結局田辺、清水、岡田の三人は夜華さんによってザックザクに斬り刻まれましたとさ……。 もちろんリタイア。 彰利 『“黒驟雨竜尾脚”(こくしゅうりゅうびきゃく)!!』 藍田 『“悪魔風脚”(ディアブルジャンブ)!!“一級挽き肉”(プルミエールアッシ)!!』 ズガガガガガガガガシィイインッ!!! 彰利 『《ドヂュゥウウッ!!》おぁあああっちぃいいいっ!!』 藍田 『《ギシィイイイッ!!》いぃいいっっぎぃいいいっ!!』 衝突する黒と熱! その藍田くんの熱が俺の足を焼き、俺の黒が藍田くんの脚を軋ませる! ていうか熱ッ!すっげぇ熱ィ!!どういう温度してんだ藍田の具足!! 彰利 『ふはははは!やりおるやりおる!だが残念だがまだまだ俺には敵わん!     慢心などではない───確信があるのよ!貴様は俺には勝てん!!』 藍田 『なにをこの野郎!!“受付”(レセプション)!!』 ブフォンッ! 彰利 『《ひらりっ》甘い甘いっ』 藍田 『なんの!“粗砕”(コンカッセ)!!』 彰利 『《ボファアンッ!》甘いと言っている!』 藍田の攻撃を躱し、追撃を黒化で躱す。 しかし黒の霧を通り抜ける藍田の脚に実体化させた体を絡ませる! 藍田 『おわっ!?テメッ!』 彰利 『キミは俺には勝てない』 掴んだ脚を、体を振るうようにして黒で空中に投げる。 そうして飛ばした藍田に向けて、自分の後ろにゲートを開く。 藍田 『へっ……や、ちょ───』 彰利 『開け、冥界の門。“万象滅する煉獄の閻王”(ロードオブハーディス)』 閻魔 『グゥウォオオオオオオゥウウッ!!!』 藍田 『おわ《ザゴォンッ!!》ぐっ……へ……!』 唱えるとともに、開いた扉から巨大な剣が出現する。 それは藍田の体をなんなく串刺しにし、抗う隙を与えずに門へと引きずり込む!  ガゴッ……ゴコォオン!! やがて扉が閉ざされると、そこには何も残されなかった。 中村 「死んだァーーーーッ!!」 蒲田 「ホリデー垣内が死んだァーーーーーッ!!」 中村 「つーかアレどうなるんだ!?藍田のやつ平気なのか!?」 藍田 「やあ」 総員 『普通に戻ってきたぁあーーーーーーっ!!!』 蒲田 「だ、大丈夫なのかお前!」 中村 「え!?だって腹貫かれて……!」 藍田 「死んで戻ってきた」 総員 『速ぇえええーーーーーっ!!!』 藍田 「いやぁ〜、閻魔の強ぇえこと強ぇえこと。     まるで閻魔と戦ったラディッツのように手も足も出なかった」 中村 「それはどういう強さの基準なんだ?」 藍田 「さあ……」 さて……こうなるとあとはもう─── 夜華 「さあ彰衛門……勝負だ。手加減無しの一本勝負……!」 やっぱりこうなるわけですよね……。 ゼノとシュバちゃんは相変わらず自分たちで物凄い速度で追い上げしてきてる最中。 今はオイラのことなんか忘れて、ただただ自己鍛錬しまくってる。 で、相応のレベルに至ったらきっと我と戦えって叫ぶんだろうね、今の夜華さんのように。 なんだって僕らの周りにゃ戦い好きが多いんだろうなぁ悠介よぅ……。 彰利 『OK夜華さん……だが本気を出した俺はちょっとひでぇぞ?』 夜華 「貴様の能力が反則的だということなどとっくに承知している」 彰利 『グッド!ならば始めよう!“魔人冥黒結界”(ロードオブデスラインゲート)!!』 我が闇の黒衣から冥界の瘴気が溢れ出る! それは確かに夜華にも+になる力だが、 それはより鋭くより濃い死神である俺とは比べるほどでも無し! 蒲田 「うーお……!いつ見ても凶々しい……!」 中村 「晦のラインゲートとはあまりにも違うよな……華やかさってもんがない」 彰利 『う、うるせーーーっ!ほっとけコノヤローーーッ!!!』 夜華 「彰衛門。今はわたしに集中しろ。     わたしも武士だ、どう立ち会っても勝てないことなど見えている。     だが、だからといってふざけながら戦われるのは御免だ」 彰利 『ん、解ってるよ“夜華”。一片の曇りも無く、ただ闇が光を食らうように───     一切の揺るぎも無く、全力で───お前を叩きのめす』 夜華 「ああ……《ゾフィィンッ!》……来い!』 夜華さんが鎌を解放し、死神化する。 黒く変色した稀蒼刀は鋭さを増し、その身に鋭い鎌鼬を常に纏う。 一方の俺は九頭竜闘気とオーダーを合わせ、 全十七翼全ての力と冥界の力全てをルナカオスに叩き込む。 彰利 『“魔神天衝剣”(オメガレイドカタストロファー)』 夜華 『…………《ジャリッ》』 準備はここに完了。 あとは互いが互いのみを見据え、渾身の力を以って───! 彰利 『行くぞ夜華!』 夜華 『応ッ!!』 この一時のみ、互いを想い人などではなく好敵手として見据え、全力を振るう!  ゴォッザギシャゴガガカッフィィイインッ!!! ───……。 ……。 マクスウェル『へー……それでなにチミら。わしの家壊しちゃったの』 彰利&夜華 『申し訳ありません……』 俺と夜華さんの全力が衝突したのち─── 物凄い爆発を起こした武舞台は、武舞台の崩壊だけでは治まらず、 グラウベフェイトー山の大半を崩壊させた。 これにはさすがのマクスウェルのじっちゃんもカンカンで、 今現在チクチクと言葉攻めを受けているところである。 マクスウェル『……おぬしらまた一教科からやり直しじゃ』 彰利    「えぇええーーーっ!!?」 夜華    「そ、そんな!!」 マクスウェル『どぅあぁーーーまらっしゃぁあーーーーい!!        精霊の聖堂を破壊するなど前代未聞じゃこの大たわけどもめ!!        決定は覆らんぞい!やり直しじゃおぬしら!!』 彰利    「お……おぉお……おうまいがぁ……(訳:おかしすぎるわよ)」 夜華    「………」 そんなこんなで一教科……つまり基礎からやり直し指令。 がっくりと項垂れるオイラは、それはもう悲しみに抱かれていた。 これから夜華さんと二人で補修みたいなもんか…… つーか何気に夜華さんが嬉しそうなのはどうしてだろうなぁ……。 とにかくこれからは気をつけよう……。 ていうかさ、どうせ直せるんだろうからべつにいいじゃないの、ねぇ? 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